Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

NEWS

2016.12.25

「完全自動運転」、「自動運転機能搭載で安全」などの文言が広告でNGワードに

12月1日、自動車公正取引協議会が、「完全自動運転」、「自動運転機能搭載で安全」といった文言をCMなどの広告で謳うことをNGとする指針を策定しました。

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この指針の詳細について、自動車公正取引協議会がホームページでも公開しています。それによると、

昨年以降、「ハンドルから手を放し、脇見運転をしている映像」を用いたテレビCMに対し、消費者からは、「危険運転(法令違反)を助長するのではないか」、「完全自動運転が実用化された技術であるかのように勘違いされる」などの意見が当協議会やJARO(日本広告審査機構)にも寄せられています。

これは、批判が集中して打ち切られた、某ミュージシャンを使ったフォルクスワーゲンup!、そして「やっちゃえNISSAN」の日産リーフのCMがそうでしょう。

今回のNGワードの設定により、今後CMなどがどうなるかというと、

1:自動運転機能(レベル2、準自動走行(ドライバー責任)について表示する場合は、自動 運転機能の限界や注意点、「機能を過信せず、責任を持って安全運転を行う必要がある旨」を表示することを義務付ける

2:実際には完全な自動運転ではないにもかかわらず、完全な自動運転であるなど、自動運転機能について、実際のものよりも優良であるかのように誤認(過信)させるおそれのある表示、映像 表現を不当表示として禁止する

としています。

今回の「完全自動運転」、「自動運転機能搭載で安全」だけでなく、「自動ブレーキ」を連呼する姿勢もまた小さな字で注釈入りだとしても問われるべきでしょう。また、某社が「自動ブレーキ標準装備」とCMで謳っていたことに関しても、他の自動車メーカーの関係者が「見識がない」とバッサリ切ったことを聞いたことがあります。

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今回の指針により、自動車メーカーにとって最も大切であるはずの「安全」をマーケティング主導で軽視する姿勢は、自動車メーカー(14社)も維持会員となっている自動車公正取引協議会から否定されたことになります。

自動運転関連技術は、事故を減らす重要なものであるのはいうまでもなく、高級車だけでない多くのクルマに搭載する姿勢は「見識」があるといえる一方で、訴求の方法が厳しく問われることになります。

(塚田勝弘)

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