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2016.8.29
グローバルMX-5カップカーはモメンタムカー? ─ 開発ドライバートム・ロングさんインタビュー
2016.8.29
グローバルMX-5カップカーはモメンタムカー? ─ 開発ドライバートム・ロングさんインタビュー
「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」の参戦車両となるグローバルMX-5カップカーの試乗会が開催されるのに合わせ、開発ドライバーのトム・ロングさんも来日しました。
トムさんは現在、マツダUSA/マツダ・モータースポーツが開発しているプロトタイプレーサーのドライバーでもあり、デイトナ24時間レースなどを擁するIMSAウェザーテック選手権に出場中です。
そんな彼も、実はそのレースキャリアをロードスターの北米仕様であるMX-5ミアータでスタートしているのです。
2003年、NA型を相棒にスペックミアータというレースで始まったチャレンジは、2005年にはチャンピオンシップを獲得。NB型を経てコンチネンタルチャレンジでも好成績で戦歴を重ね、NC型に乗る頃にはフリーダムオートスポーツチームからレースエントリーするように。
アマチュアドライバーならば憧れるレーシングチーム所属となり、快進撃は続きます。
2011-20112年には4ローターエンジンを搭載したRX-8でデイトナ24時間レースに参戦、表彰台に上るなど大躍進。また自らも走っていたスペックミアータ・レースでは、ドライビングコーチとしてもロードスターに関わっていきます。
そしてND型ではグローバルMX-5カップカーの開発ドライバーとなっています。
まさにそのレースキャリアをMX-5ミアータ=ロードスターとともにステップアップしてきたヒストリーが見えてきます。
そんな歴代ロードスターを深く知るトムさんに、ロードスターのレーシングカーとしての資質やロードスターレースの魅力について訊いてみました。
すると「私たちはロードスターのことを『モメンタムカー』と呼んでいます」となにやら聞き慣れないコトバが飛び出しました。
トムさんに、歴代ロードスターをストリートで、そしてレースで走らせてきて感じている共通点、ロードスターの魅力について訊いてみたところ飛び出してきた『モメンタムカー』。それってどういう意味なのでしょうか。
トムさんは続けます。
「ロードスターは、ご存知の通り大出力のエンジンはないけれど、軽量でレスポンスの良いシャシーとハンドリングを持っています。旋回スピードを含めてスタート地点からゴール地点までの平均速度を高く維持していくのが秘訣。
そのためには、タイヤと相談し、ブレーキングもステアリングも的確な速度で的確な量だけ動かすことが必要です。これも皆さんご存知のとおり『速く走りたいならアクセルをより速く多く踏めば良い。深く曲がりたければステアリングを速く多く回せば良い』というようなセンスのものではなく、スポーツカーを知らない方が思っているより少ない動きでしかもゆっくり……ですよね。
そして、更なるタイムアップのために、その引き出し方を最適解の上下にあるほんの小さな調整範囲内で少しずつ使っていき、操っていく。
速く走らせるには、ドライバーのすべてのスキルを常に最大限使ってマシンを走らせる必要があります」。
ここでのモメンタムカーとは、うまくあらわせませんがすべてにおいて「足るを知るコトができるクルマ」といったところでしょうか。
「レースではさらに……」とトムさん。
「この効率よくアベレージを上げていく走らせ方をしながら、回りのライバル達の動き方を見つつ、ゴールまでレースプランを組み立て直し続けるというスキルが必要になります。
私がエントリーしていたミアータカップなどは出場台数も多く、もちろんすべてロードスターですから、そういった駆け引きも多く学べました。
ロードスターのレースはステップアップしていくために必要なものがたくさん含まれているのです。グローバルMX-5カップは45分のレース、長いレースになりますから、そういった戦術に対するスキルもアップできるはずです」。
「そのモメンタムカーとしての資質という点で、新型となったグローバルMX-5カップカーは人気が絶大だった初代MX-5に原点回帰している印象もあります。
パワーウェイトレシオが向上した上、ライトウェイトシャーシを手に入れたことでバランスのとれたプラットフォームとなって、運転するのがワクワクします。
初心者でもエキスパートでも、誰に乗ってもらっても価値のあるクルマにするというテーマで開発してきたマシン。まさにロードスターらしさに溢れているといえるでしょう」。
MX-5カップカー、北米市場ではすでに100台が販売され、各レースも40台前後のマシンで争われているという状況。来年から始まる日本でのレースにも注目ですね。
トムさんは現在もプライベートではNB型のストリートカーを所有しているそうで、愛車を評して「今でもとてもファンなクルマだよ」とおっしゃっていました。
(文:古川教夫 写真:古川教夫・マツダ)
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http://clicccar.com/2016/08/25/394762
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