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2016.9.16
日産デザインをもう一歩先に! ─ 新型セレナのチャレンジ(前編)
2016.9.16
日産デザインをもう一歩先に! ─ 新型セレナのチャレンジ(前編)
先進の自動運転支援技術「プロパイロット」を搭載した新型セレナは、スタイリングもまた一新されての登場となりました。
そのアグレッシブなスタイルの秘密について、早速チーフデザイナーにインタビューを試みました。前半は、コンセプトからボディサイドについてを紐解きます。
[語る人]
日産自動車株式会社
グローバルデザイン本部プロダクトデザイン部
プログラム・デザイン・ダイレクター
入江 慎一郎 氏
── まずは全体的なところからお聞きします。歴代セレナは日産のヒット作となりましたが、デザイン面から見たヒットの理由はどこにあったと分析していますか?
「セレナは先々代にあたる3代目までで、ほぼセレナらしさが確立されたと言えますが、それは『誠実さ』だと考えます。ユーザーが接することで得られる安心感や親しみやすさ、あるいは優しさですね」
── それは具体的にはどんなところでしょう?
「たとえば、セレナの特長であるボディサイドのシュプールライン。ミニバンであってもスポーティでスピード感のある表現としつつ、機能的には視界の確保と開放感を与えている。単なるスタイル優先に走らない姿勢が誠実さを生んでいると思います」
── 新型は、いま日産車が展開する『エモーショナル・ジオメトリー』と呼ばれるデザイン・フィロソフィを反映していますが、そもそもこの発想はどのように生まれたのですか?
「他社と日産との表現の違いを考えたとき、インフィニティブランドはエモーショナルオンリーに特化させ、一方で日産ブランドはジオメトリー(幾何学的)な要素を加えました。さらに、そこへリッチなテイストを加えたのが特徴です」
── かつて、V字回復時の日産車は非常にプレーンな表現でしたが、いまなぜエモーショナルなのでしょう?
「いや、ベースはあくまでも当時のモダンな造形が基本なんです。そこに面の抑揚や豊かなサーフェスを加えた。それによって、もう一歩先の新しい日産テイストが表現できるだろうと。変わったのではなく、進化ですね!」
── 新型セレナ独自の造形コンセプト、あるいはキーワードのようなものは設定しましたか?
「チャレンジです。歴代のよさは残しつつ、次のステップへ進むために私たち自身の殻を破りたかった。当初はキープコンセプトな案もありましたが、結局もうひとつのアグレッシブ案を採ったわけです」
── では、フロントから各パートを見ます。先代後期に準じた二段構造のランプとしましたが、これはそれほど重要な要素なんですか?
「いえ、これは単純な二段構造ではなく、上下で別モノと考えています。上はシュプールラインにつながるサイド面のスタート地点で、下はグリルの一部なんです。それぞれがまったく別の要素になっている」
── Vモーションの表現を標準車で2段、ハイウェイスターで3段と多層にしたのは? また、メッキ部分をボディ色にする案はなかった?
「当初はマーチなどと同じ1段だったのですが、ボディサイズに対してちょっと弱かった。ただ、あくまでも最下段がメインの表現です。色については、ボディカラーを挟んでしまうとグリルが煩雑になるし、そもそもVモーションはメッキによる表現が日産での定説なので」
── では、ボディサイドに移ります。見せ場の大きなキャラクターラインですが、本来張りのある広い面にあえて強い線を流した必然性は?
「まず今回のチャレンジング案では、当初からプレーンな面は作らないと決めていました。ショルダーの張り出した面をこのラインで一旦大きくエグって、もう一度下で膨らませる変化を見せたかった。もうひとつは、ミニバンの宿命であるスライドドアレールへの対応で、機能としてのレール部分を、今回はキャラクターの一部にしてしまおうと。実際には、直線のレールと曲線のラインをつなげるのは至難の業でしたげど(笑)」
── このラインは、少し上のシュプールラインとは逆方向で、いわば2本が泣き別れの流れになっていますね
「サイド面では、フロントがキャラクターラインより下のフェンダー部に張り出しを持たせているのに対し、リアへ向けては次第にラインの上の部分が張り出して来る。そうした、交差する彫刻美のような表現にすることで見せ場を作っているんです」
── なるほど。では続きは後編で。
(すぎもと たかよし)
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