Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

NEWS

2016.9.18

2017年モデルの日産・GT-Rはラグジュアリーセダンと錯覚する快適さを実現

2007年のデビュー以来、最大規模の変更を施された2017年モデルの日産GT-R。

車両本体価格が996万840円からという高価格帯のクルマながら、2016年7月27日の販売開始から、わずか1カ月で年間の販売台数である800台を超えており、ユーザーからの注目の高さも伺えます。

その注目の17年モデルのGT-Rに公道で試乗することができました。

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まずは変更点をおさらい。エクステリアデザインでは、フロントからリアまで大幅に変更されています。エクステリアの変更の目的はスポーティでシャープに見せるだけでなく、空気抵抗、ダウンフォース、冷却性能という3つの性能を高次元でバランスさせています。

フロント部分では新デザインのグリルを採用し、開口部を拡大させパワーアップしたエンジンの冷却性能を向上させています。また、開口部の拡大に伴い空気抵抗の増加をふせぐため、バンパーサイドの形状を最適化することで、従来の空気抵抗・ダウンフォースを維持しています

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サイドではこれまで直線的なデザインだったサイドシルを、空気の流れを改善させるため前方を張り出させています。

リアは新形状のサイドアウトレットを採用することで、リア廻りの空気の流れを改善させています。さらに新デザインのシルバーフィニッシャーのリアディフューザーを囲むバンパー下部とボディカラーを分けるラインは高い位置に変更され、よりワイドに見せる効果を発揮しています。

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インテリアではインパネやセンターパネルのデザインが大幅に変更されました。ナビのディスプレイはこれまでの7インチから8インチに拡大。一方、操作するスイッチも27個から11個へと減少。

そしてパドルシフトがステアリングホイール固定式となり操作性が向上しています。インパネには高級本革のナッパレザーを使用し質感も高めています。

それでは、いよいよ17年モデルのGT-Rの試乗です。

試乗したモデルはGT-Rプレミアムエディション。

GT-Rに乗り込み、走り出して感じたのは静粛性の高さです。吸音材や遮音構造の徹底的な見直しを行ったため、エンジン音や風切り音の室内への侵入が抑えられ、車内での会話やオーディオの音が非常に明瞭に聞こえます。その静粛性の高さはプレミアムブランドの高級セダンに匹敵するレベルです。

走行安定性の高さも17年モデルGT-Rの特徴です。2007年当時のGT-Rは路面のキレイなサーキットなどでは抜群の速さを発揮しましたが、硬いサスペンションとワイドタイヤによって、路面にアンジュレーションのある一般道ではハンドルが取られることがありました。

しかし、17年モデルのGT-Rはボディ剛性の前後バランスの調整などを行ったことで、ハンドルを修正するという操作がほとんど必要ありません。サスペンションは一般道でも高速道路でも路面からの入力をしなしてくれ、快適に走行することができます。

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最高出力570ps(419Nm)、最大トルク637Nmまでパワーアップした3.8LV6ツインターボエンジンは、非常に扱いやすいです。試乗した日はあいにくのウェット路面でしたが、安心して踏み込むことができますし、高速道路での追い越し加速も右足に少し力をいれるだけで、スッと加速してくれます。

2速や3速といったギアでレッドゾーンの始まる7000rpmまで回してもまったくパワーダウンすることがなく、スカッとする気持ちの良い加速を見せてくれました。

GT-Rは日本的なおもてなしの精神で上質な乗り心地そしてどこまでも気持ち良く乗り続けられるGT(グランツーリスモ)性能と圧倒的な速さのR(レーシングテクノロジー)という2つの両立をさせることを目指しているクルマです。

今回試乗した17年モデルのGT-Rは世界基準の圧倒的な走行パフォーマンスとラグジュアリーな装備そして乗り心地を両立させたモデルへと進化しています。

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GT-Rは登場した当時は速さが際立ったモデルでしたが、9年という時間の経過による熟成によって、速さとラグジュアリーを両立した日本のスーパースポーツカーに相応しいモデルに仕立てられています。

これまでは欧州のプレミアムブランドのスポーツカーが目標でしたが、この17年モデルのGT-Rはそれらに肩を並べるレベルまで来たといえます。

(萩原文博)

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