Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

NEWS

2016.9.18

現役続行?それとも引退? 新型GT-Rの決断とは……

「GT-R」というネーミングに興奮を覚えないクルマ好きは少ないのではないでしょうか?

その歴史は長く、古くは1969年の“ハコスカ”こと「スカイライン2000GT-R」から始まり、全日本ツーリングカー選手権をはじめとした活躍が輝かしい「スカイラインGT-R(R32)」など、「GT-R」を冠するモデルはいずれも人気が高いです。

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2002年に販売を終了した「スカイラインGT-R(R34)」までは同社のセダン「スカイライン」をベースとした高性能グレードでしたが、2007年の「NISSAN GT-R(R35)」ではスカイラインから独立した専用モデルとして登場したことが話題を呼びました。

デビュー当初のスペックで最高出力は480ps、ドイツのニュルブルクリンクで7分38秒54を記録するなど、高性能モデルから距離を置いていた国産メーカーの中で明らかに異彩を放っていました。

さらに「NISSAN GT-R(R35)」では、2007年から2014年にかけて毎年欠かさず改良を行なって、その実力を研鑽してきたのも特徴のひとつであります。

そして、2016年7月。2017年モデルにあたる新型GT-Rが登場しました。

デビューから9年が経過し、一流アスリートでは現役の続行もしくは引退がちらつく頃のはず。ひょっとしたら、2017年モデルはR35の集大成として役目を終えて、R36の登場を期待している方もいることでしょう。

しかし、開発を率いた田村宏志氏が言うには「R36とかR37と言っても良いくらいの進化をしている」そうです。

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2017年モデルのGT-Rの改良内容を見ると、エンジンに新たに気筒別点火時期制御を採用してトルクの向上を図ったこともポイントですが、とくに大きく手が加えたのがボディです。なかでもAピラー周りの強化が肝。この解答を見つけ出すのに2年間を費やしたそうです。

エンジンそしてボディの強化が進めば、次はサスペンション。4輪の接地荷重を最適化するためのチューニングが行なわれ、結果としてスラローム時の車速が約4%向上しています。

これらメカニズムの改良が運動性能の向上をもたらすのはイメージしやすいですが、実はボディのデザインもクルマの性能向上には欠かせない要素なのです。

新型GT-Rではエンジンのパワーアップに伴って、グリルの開口面積が20%拡大しており、それによって空気抵抗が増えてしまったのです。それをいかにして取り戻すかがデザインの命題ですが、これはフロントとリヤのフェンダーを延ばすことで対処に成功。

そのほかにもフロントバンパーやサイドシルさらにはボンネットの形状も変えてダウンフォースを向上させています。

その上で、最近の日産車が採り入れているVモーショングリルを織り込むなど、新型GT-Rのデザインは緻密な計算のもと成り立っているのです。

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とにかく卓越した走行性能を追求してきたのがGT-Rでしたが、実は2014年に行なわれた改良で、その趣に変化が起きたことをご存知でしょうか?

デビューから数年は走行性能をひたすらに追い求めたストイックなキャラクターでしたが、2014年の改良を機に、通常のGT-Rでは走りに加えて日常での快適性や上質感も含めた総合力の高さを追求。その一方で、走りをひたすらに磨くのは「GT-R NISMO」と、その役割を分担しています。

今回の新型では快適性や上質感をさらに押し上げるべく、インパネの水平基調を強めたほか、新たに8インチのタッチパネル式ナビを搭載してスイッチの数を半減して、視認性と操作性を改善。

さらに「プレミアムエディション」のインパネには牛革を一枚使って余計なステッチのない上質な空間づくりが行なわれています。新型GT-Rの内容を見る限り、まだまだ現役続行の意思が伺えます。

使い勝手

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

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