Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

NEWS

2016.9.30

新型NSXの開発者が「叶えた」夢と「叶えたい」夢とは?

この瞬間を待っていた方は多いのではないでしょうか?

そう、遂に新型「NSX」が日本での販売をスタートさせたのです。

試乗記

初代モデルが発表されたのは1989年のこと。オールアルミ製ボディの後方にV6エンジンを搭載するミッドシップレイアウトを採用した和製スーパーカーである「NSX」は、その性能から国内をはじめ海外でも多くのファンを獲得し、登場から20年以上が経った現在でも強い憧れを抱いている方は少なくありません。

開発を率いたテッド・クラウス氏もその一人。「初代NSXに憧れてホンダに入社した」と公言するほどのNSXファンです。

テッド・クラウス氏とNSXの出会いは90年のデトロイト・オートショーでのこと。

周囲が気にならなくなるほど強烈な出会いから9ヵ月後にはホンダR&Dアメリカに入社し、栃木県にある四輪R&Dセンターに駐在。その際に両親が遊びに来たタイミングで青山にある本社下のギャラリーにてNSXと再会を果たしました。

その後は、アメリカにてシャシー領域の研究に従事していたわけですが、入社から25年を経て、初めて開発責任者を務めることとなったのが新型「NSX」だったのです。

開発ストーリー

登場を待ち望まれていた新型「NSX」は、オールアルミ製ではないものの適材適所を考え抜いたボディの後方に3.5L V6ツインターボを搭載するミッドシップレイアウトを踏襲。

さらに前輪に2個、後輪に1個と合計3つのモーターを搭載するハイブリッドとして登場しました。

車両本体価格は2370万円と初代よりも圧倒的に高価になりましたが、同価格帯のモデルと比べても決して見劣りしないユニークな魅力となっています。

これらの先進的なメカニズムもさることながら、やはりそれを包み込むデザインも新型の見所。

「人間中心の高性能」と掲げたデザインでは、第一に乗員が車体の中心に座ることとし、次いで意図した感覚そのままで運転できるための要素(広い視界、直感的な操作が出来るレイアウトなど)を織り込み、その上でバッテリーなどの搭載位置が決められていきました。

見た目/機能性/走行性能と様々な要素が高いレベルで実現する上で創業者である本田宗一郎の意志(「世界一へのこだわり」「他にないものをつくる」)も支えになったとか。

デザインインタビュー

人間中心でつくられた新型NSXのコックピット周りは、色使いや細部の造形にこだわりがある一方で、ステアリングの外周から250mmの範囲に操作系がまとめられており、シフトは「レジェンド」と同じくボタンとレバーを組み合わせて操作性と先進性を表現したものが採用されています。

また、ナビやエアコンなどの操作系は慣れ親しんだホンダ車のそれで直感的な操作が可能なのが美点です。

使い勝手

初代NSXに憧れ、そして新型NSXの開発の舵取りを担ったテッド・クラウス氏によると「初代が“実験的な新しいスポーツカー”であるなら、新型は“新しいスポーツカー体験”であり、サーキットでなくともスポーツカーの歓びや楽しみを感じられるようにした」といいます。

そして「環境をはじめとした逆境の中で開発したNSXこそ次世代のスポーツカーの在り方を示してくれるに違いない」と。

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

表紙

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