Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

NEWS

2016.10.24

新型NSXの開発責任者、テッド・クラウスLPLのハートが熱い!

■リーマンショックの大どんでん返しからの再出発

実は2代目NSX開発の道程には、大どんでん返しがありました。2008年のリーマンショックにより、世界規模で不況が勃発。ホンダも大打撃を受け、V10を搭載したFRベースの2代目NSXが、発売間近にも関わらず発売中止に追い込まれました。発売延期や限定販売ではなく発売中止ですから、大変な経営判断だったと思います。

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そしてリーマンショック後も、東日本大震災やタイ水害、また円高に苦しめられつつも、ホンダは激変した社会を先取りすべく、全く新たに2代目NSXの開発を推進したのです。

再出発した新型NSXの開発責任者に任命されたテッド・クラウスLPLは、20代の若き頃に初代NSXに魅せられてホンダ入社を決意。クライスラーから転職したアメリカ人技術者です。自分の未来を決定付けた車種の開発責任者になるなんて、まさしくホンダドリームですよネ。

■開発責任者テッド・クラウスLPLのコメントが熱すぎる!

開発コンセプトについては、テッド・クラウスLPLの熱いコメントから紹介しましょう。

「NSXという車名の意味は、初代では”ニュースポーツ・エクスペリメンタル=実験的な新しいスポーツカー”でした。新型ではその意味を”ニュースポーツ・エクスペリエンス=新しいスポーツカー体験”と定義していますが、新しい走りの提案、そしてクラフトマンシップなど、初代の”エクスペリメンタル”という心は忘れていません。」

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「NSXは初代も新型も、人間をブロックするものではなく、その能力をサポートすることが最大のコンセプトです。NSXは人間ばなれした筋力や反射神経を要求しませんし、サーキットに持ち込まないと楽しめないクルマではありません。そこには当然、好き嫌いはあるでしょう。100%に好かれようとは思っていません。しかし、これが次世代に向けたスポーツカーの姿のひとつと確信しています」

生粋のホンダマンは、日本人とかアメリカ人とかの国籍に全く依存しないのが、本当に素晴らしいと思います。

■行けるところまでトコトン行くのが、ホンダのスポーツカー開発

新型NSXが採用した3モーター式ハイブリット”SH-AWD”は、トルクベクトリング機能を備えた4WDシステムです。開発当初は、レジェンドの横置きFFベースを流用する予定でしたが、ミッドシップスポーツに相応しい縦置きに変更するために、エンジンやDCTを専用開発! 初代NSXでも総アルミボディとV-TECエンジンを専用開発しましたから、行けるところまでトコトン行くのが、ホンダのスポーツカー開発なのでしょう。

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新型NSXの開発では、日本が企画とプロトタイプ開発を行い、米国が市販モデルの開発を担当。まさに国境を越え、グローバルで開発が進められました。創業者の本田宗一郎氏が伝えたホンダの熱いDNAは、世代と国境を越えて確実に継承されているのです。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

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(星崎 俊浩)

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