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2016.11.4
新型スバル・インプレッサを350km走らせて分かった「走り」の長所と短所は?
2016.11.4
新型スバル・インプレッサを350km走らせて分かった「走り」の長所と短所は?
「SUBARU GLOBAL PLATFORM」を初めて採用した新型インプレッサ。10年、15年単位で一新されるプラットフォームですから走りに期待が高まるのは当然でしょう。
プロトタイプを限られた条件下(日本サイクルスポーツセンターの自転車専用コース)で味見したのと、量産車を一般道で走らせての相違点、あるいは同じ点などをご報告したいと思います。
プロトタイプ試乗会が開催された日本サイクルスポーツセンターは、自転車競技用コースということもあって路面の状態は良好。上り下りや多様なコーナーがあってもボディが大きく揺すられることはあまりありませんでした。
今回の試乗では、量産仕様の5ドアハッチバックである「IMPREZA SPORT 2.0i-S EyeSight」を借り出し、愛知県半田市にある半田工場(航空宇宙カンパニー)を出発。トレーラーやトラックが数多く走る工業地帯ということもあって路面には多様なアンジュレーションがあり、乗り心地を感じるには格好のスタート。
路面状態を考えると、225/40R18タイヤ(ヨコハマ・アドバンスポーツ)の割に乗り心地の良さが伝わってきます。路面の凹凸を乗り越える際は、18インチなのでそれなりに当たりは大きめですが、ボディのしっかり感があるため、不快とはいえません。
しかし、距離を重ねて一般道や高速道路を走っていると熟成不足と感じさせるシーンもあります。概ね「よく動く足」という美点がある一方で、ボディ(上屋)の動きが一発、二発で収束せずに、揺れの余韻が残ってしまう点です。
100km/h巡航時の高速道路で路面のアンジュレーションがきついと特に顔を出す悪癖で、「リヤスタビの車体直止め」という工場(ライン)での工程数を増やすという手間を踏んだ割には……というのが正直なところ。
プロトタイプ試乗会でも感じた点ではありますが、おそらく量産車も17インチの方が(セダンのG4ならなおさら)乗り心地、ボディの揺れなどは抑制されるのではないでしょうか。
また、高速道路の直進安定性、スタビリティはもう少し向上して欲しいところです。
ステアリングのセンター付近が不感気味であるのに加えて、路面が良くて風が弱いシーンでもアクティブレーンキープ(車線中央維持/車線逸脱抑制)が助けになっているものの、フォルスワーゲン・ゴルフやプジョー308、メルセデス・ベンツAクラスのように矢のようにピタッと巡航するというところまではいっていません。
154ps/196Nmという2.0Lの動力性能は「I」モードだとややトルクが細い印象。「S」モードにすれば元気にスタートダッシュを決めてくれますし、「I」モードでも流れに乗ってしまえば不足はありません。ただし、デフォルトの「I」モード時にもう少しトルク感があった方がアクセルをそれほど深く踏まなくなる分、実燃費が改善する気もします。
一方、新型インプレッサの明らかな美点は静粛性の高さ。中・低速域のこもり音などはほとんど感じさせず、高速道路で流れに乗って走るようなシーンでも静かな車内が保たれるため、長距離移動でも疲れを誘いません。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久、塚田勝弘)
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