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2016.5.11
「軽」を作ってなければ出来なかった!? ブーン・パッソ、超合理性のデザイン。
2016.5.11
「軽」を作ってなければ出来なかった!? ブーン・パッソ、超合理性のデザイン。
「軽じゃないK」(トヨタ)というキャッチーなコピーで登場した新型ブーン/パッソ。一見キープコンセプトなモデルチェンジの進化点はどこにあるのか?あらためてチーフデザイナーに話を聞いてみました。
[語る人]
ダイハツ工業株式会社 デザイン部
第1デザイン室 東京デザイン課長 清水幸治 氏
── はじめに体制面からお伺いします。新型は企画・開発がダイハツ主導になりましたが、デザインをする上での影響はありましたか?
「ありましたね。生活に密着し、かつ廉価なコンパクトという条件では、制約の大きい軽での経験は非常に有利でした。また、トヨタさんにとってはエントリーですが、ダイハツでは上級車という立ち位置の違いも実は大きいんです」
── 造形上のテーマ、キーワードは?
「合理性です。初代は円柱、2代目は卵をボディのモチーフにしつつ、大きなフレアでタイヤの存在感を出しました。ホイールベースを50ミリ延ばした今回は、タイヤをさらに四隅に置いて、プロポーションとパッケージを高次元で成立させました」
── では前から具体的に。標準車であるXはランプとグリルを横長に、上級のシルク/モーダは丸形と六角形としました
「今回はトレッドも拡大し、Xではそのワイド感を強調するため横基調に、シルク/モーダは上級車として、ひと目見て忘れない記号性の強い丸形ランプとしました。六角形のグリルは左右に広がる形状として、やはりワイド感を狙いました。実は、六角形がこのクルマのキーになっているんです」
── バンパーは、先代に続いてプロテクト感を強調していますね
「コンパクトとしての安心・安全と、同時にワイド感、安定感の表現です。丸いフォグランプを左右両端の低い位置にしたのも同じで、印象的な形で視線を下に引っ張り、安定感のある台形ボディを表現しました。これはリアでもやっています」
── 横からのシルエットでは、ルーフからリアへ向けて大きな曲面とし、ウインドウ・グラフィックもこれに沿うように丸いのが特徴です
「リアの大きなRは居住空間確保のためです。ウインドウ・グラフィックは、実は外周が大きな六角形になっています。Xのキャラクターラインはフロントフェンダーでカクっと上を向いていますが、ここが六角形のカド部分です。先代まではボディ全体で居住性を表現しましたが、今回はこの六角形のグラフィックで広さを示しています」
── リアピラーの黒いガーニッシュはワイド感の強調ですか?
「はい。同時に空力パーツとして整流線を入れています。ここは板金の方が安上がりなのですが、成形が難しく樹脂としました。一方、その前のリアドア後端はボディ色のままですが、これはリアへの目線をここで一旦止め、コンパクトカーであることを認識させるためです」
── 先代までは縦長のリアランプが、今回はほぼ正方形です。ワイド感を出すには横長もあり得たのでは?
「実はリアランプも六角形で、先端をセンターに向けることでワイド感を出しています。また、左右のランプを結ぶラインがリアパネルのピーク面となっていて、これもワイド感に効いているんです」
── ボディカラーですが、パステル調が多いコンパクトカーの中で、かなり彩度の高い色を集めましたね
「まず、アイキャッチ性を考えて高彩度の青・赤・黄の3原色で脇を固め、その中で数色を配することでバラエティを感じてもらいたいと。また、今回はより質感重視の意図から、あえてマイカ色をメインにしています」
── 内装ですが、ダッシュパネルは構造も配色も上下2段構造です
「運転席に座ってパッと目に入るのはパネルの上半分なんです。で、今回は限られたコストを上部に集中させ加飾類を配しました。例の六角形を用いたパネルも、フォグランプを反復させた両端の丸いエアダクトも上部にまとめたわけです」
── なるほど。本日はありがとうございました。
(すぎもとたかよし)
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