Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

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2016.6.5

経産省とトヨタの出身者が生み出した超「カワイイ」EV!

経済産業省出身の伊藤慎介氏と、トヨタ自動車出身のカーデザイナー根津孝太氏によるベンチャー「リモノ(rimOnO)」が先頃、小型EVのプロトタイプを発表しました。

rimOnO

「社会に優しい、小型でスローなモビリティ」を開発テーマに、ユーザーがワクワクするような商品を日本発で生み出したいとの思いで製作。

とにかく「カワイイ」ことを徹底して追求したそうで、同車の開発には三井化学や帝人といった大手企業に加え、楽器メーカーのローランドも参画するなど、異色のコラボとなっています。

<rimOnOのスペック>

・全長2.2m×全幅1.0m×全高1.3mとコンパクト
・大人2人乗り(または大人1人と子供2人)
・着せ替え可能な「布製ボディ」
・交換式のカセット型バッテリー「e-cell」
・目標車重200kg以下(軽量樹脂を活用)
・最高速45km/h(欧州L6e規格に準拠)
・航続距離50km(目標)

プロジェクトを立ち上げたリモノ社の伊藤社長は、京都大学大学院工学部を卒業後、経産省に入省。「EV、PHEVタウン構想」や省エネ住宅「スマートハウス」の政策を担当していたキャリア官僚。

rimOnO

また、同車のデザインを担当した根津取締役は、トヨタ時代にパーソナルモビリティ「i-Unit」や、子供でも乗れるEV「カマッテ」のデザインを担当した人物。

そんな二人が出合ったのは2014年の2月頃で、その後約2年をかけてプロトタイプ製作に漕ぎ着けたそうです。

ちなみに「リモノ」社のネーミングは「乗り物」から「の」を取って命名したもので、従業員は42名、同車の開発には10名が関わっているそうです。

rimOnO

伊藤社長は高齢化社会に対応したコンパクトシティには小型でスローな乗り物が必要であり、街中の細い道を前提に開発したといいます。

ボディ表面は耐光性・防水性・耐火性を持つポリエステル繊維を採用、裏面にはウレタンフォームが入っており、着せ替えにより、色やデザインの変更が可能。

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詳細設計やプロトタイプ製作には自動車部品の設計・開発を手掛ける愛知県名古屋市の「ドリームスデザイン」が協力しており、その他にも帝人フロンティアがボディ表皮を、三井化学がボディー・シートの樹脂製骨格部材を提供、ローランドがEV用の走行サウンドを製作しています。

同社では2017年の夏頃までに市販用モデルを作り、販売を予定しているそうです。

ただ、国土交通省における「超小型モビリティ」の実証実検が過去6年間に渡って行われているものの、法整備が未だに進んでいないのが実情。

一方の小型車先進地域のヨーロッパでは「欧州L6e」という規格が有り、原付免許で運転できる定員2名のマイクロEVの販売が可能ですが、日本では認められていません。

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フランス、イタリア、スペインなどでは既に2人乗りの量産車が街中を走っており、日本もオープンカフェが立ち並ぶ中、歩行者と共栄共存できる「社会に優しいクルマ」の先進国になれる可能性も。

伊藤社長は元キャリア官僚というバックグランドを活用して「日本版L6e」の実現を呼び掛けているそうです。

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同社はまずミニカー規格に適合した1人乗り仕様で発売するそうで、近い将来、日本版L6e規定が誕生すれば、月産1000台を目指し、車両価格40万円を実現したいとしています。

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リモノ社ではもっと多くの人たちが気軽に移動できることが、社会全体に「やさしい」と考えており、超小型モビリティの要件では不十分で、欧州に倣った「日本版L6e」の導入を切望しており、今後の動きが注目されます。

Avanti Yasunori ・画像:リモノ)

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