Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

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2016.7.7

「GT」と「S」どちらのグレードが買い? 207馬力にパワーアップしたBRZに試乗

2016年8月1日より発売されるスバルBRZの大幅改良モデルに乗ることができました。

今回のビッグマイナーチェンジでは、内外装が変化しているだけでなく、MTモデルのエンジン出力アップ(200馬力→207馬力)と、ファイナルギアのローギアード化(4.1→4.3)による動力性能やフィーリングの変化も見逃せないポイントです。

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もともとBRZはパワーに頼るキャラクターではありません。今回のマイナーチェンジでも、ボディ剛性アップや、それに合わせてサスペンションのセッティングも変更することにも注力しているといいます。

そうして標準車のシャシー系もレベルアップしていますが、シャシー系のアイテム(ブレンボブレーキやザックスダンパー)をグレードアップした最上級グレード「GT」が追加されるというのもトピックスのひとつでしょう(GTの発売は2016年秋予定)。

まだ発売前ということもあり、参考価格が発表されているのみですが、その価格は331万5600円(MT)。

標準仕様の価格帯243万円〜297万円(MTの場合)と比べると、十分に高価に感じます。果たして、価格差だけの価値は感じられるのでしょうか。

今回、従来の最上級グレードである「S」の進化版と、新たな最上級グレードとなる「GT(プロトタイプ)」、いずれもMT車を同条件で、比較しながら乗りことができました。

メーカー希望小売価格297万円の「S」と、それに対して34万5600円高のGT(プロトタイプ)。

果たして、ドライビングの満足度には価格なりの違いが明確にあったのかといえば、答えはノー。第一印象は、意外にも「S」にドライビングファンを感じるものだったのです。

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その理由はタイヤとのマッチングにあります。いずれのグレードも、ミシュラン・プライマシーHP(215/45R17)を履いていますが、おそらく「S」は標準タイヤに完璧にターゲットを合わせたシャシーと感じられたのです。

それはブレーキやサスペンションから感じたことで、フルブレーキングをしたときの減速感も互角ですし、旋回しながらアクセルを開けていったときの粘り具合も同様。むしろ加速状態で適度にリアが沈み込む「S」の方が、安心してアクセルを踏んでいけると感じたくらいなのです。

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発想を転換して、タイヤをグレードアップしていくと想像すると「GT」の充実したシャシーとバランスが取れ、その能力を存分に味わうことができそうな予感。

自動車メーカーの標準装着タイヤというのは、雪道用のチェーンを装着することも考慮しなければいけないので、ドライ路面での走りだけを考えて選定することはできません。

今回のマイナーチェンジではボディ寸法などには手を入れていませんから、「GT」グレードであっても標準装着は215幅となってしまうとエンジニア氏は言います。

件のエンジニア氏は明言したわけではありませんが、その言葉の行間と「GT」グレードの印象からは『225サイズのタイヤであれば』、『もっとグリップ重視の銘柄であれば』、まったく違う印象になるであろうということは感じられます。

BRZというクルマは、ノーマル状態で乗るだけでなく、オーナーの好みに合わせてモディファイすることも含めてスポーツカーとして受け入れるというキャラクターも持っています。

そうした部分も含めて考えれば、吊るしで楽しむのであれば「S」が最適バランス。一方、タイヤ・ホイールのグレードアップを考えているのならば「GT」を選ぶのがベターといえそう。

17インチに収まるブレンボブレーキですが、その存在感は大径ホイールを履かせても色褪せることなく、相乗効果で足元をマッシブに魅せると思えるからです。

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■スバルBRZ S(6MT)主要スペック
車両型式:DBA-ZC6
全長:4240mm
全幅:1775mm
全高:1320mm
ホイールベース:2570mm
車両重量:1240kg
乗車定員:4名
エンジン型式:FA20 D-4S
エンジン形式:水平対向4気筒DOHC
総排気量:1998cc
最高出力:152kW(207PS)/7000rpm
最大トルク:212Nm(21.6kg-m)/6400-6800rpm
変速装置:6速MT
燃料消費率:11.8km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/45R17
メーカー希望小売価格(税込):297万円

(写真と文 山本晋也)

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