Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

NEWS

2016.8.21

新型アクセラは乗るほどにじわじわと効く漢方薬だった!?

クルマにおける進化というと、多くの人はフルモデルチェンジやマイナーチェンジなど、これまでの姿カタチがガラッと変わるほどの大変化を想像することでしょう。

たしかにそれは王道ですが、現在のマツダはその王道とはひと違った独自の路線を歩んでいるのをご存知でしょうか?

最近の動きを振り返ると、2012年に登場したSUV「CX-5」を皮切りに魂動デザインとスカイアクティブテクノロジーを全面採用した新モデルを続々投入。ライトウェイトスポーツカーの雄「ロードスター」をもって、この新世代商品群へのシフトが完了しました。

とまぁ、ここまでは王道中の王道。しかし、面白いのは、これら新世代商品群が根っこの部分でお互いが密接に繋がりを持っていることです。

具体的にはシャシーやエンジンといったメカニズムのほか、運転席周りの操作性などです。一括企画・一括開発のもと開発されたこれらのテクノロジーは、同じく一括企画・一括開発という絆で繋がるモデルならば速やかな展開を可能としています。

そしてマツダが取り組んでいるのが、新技術の速やかな展開によりクルマを常に新鮮な状態として保つことなのです。

02

■さらなる一体感に貢献「G-ベクタリングコントロール」

今回の改良で新たに「アクセラ」に盛り込まれたものを挙げていくと、まず「デミオ」や「CX-3」ですでに搭載されている1.5Lディーゼルエンジンが遂に「アクセラ」にも投入されました。安全装備が充実したグレード「15XD PROACTIVE」で243万円と、1.5L版を加えたことでディーゼルへの入り口は広がりました。

また、ディーゼルエンジンについては1.5Lですでに実装済みのナチュラル・サウンド・スムーザーを2.2L版にも導入して、エンジンから放たれる3.5kHzの音圧レベルの低減に成功。

さらに、エンジン回転数の高まりにより生じる周波数のピーク変動を整えるナチュラル・サウンド・周波数コントロールの新採用で、加速感ともリンクした上品な音色を奏でます。

ここまでは既存の技術をもとにしたブラッシュアップですが、改良後の「アクセラ」で初出しとなったのがG-ベクタリングコントロールです。

運転に自信のある方なら、例えばコーナーでは、手前から緩やかに減速してフロントタイヤに荷重をのせて旋回し、コーナーの脱出では逆に緩やかにアクセルを踏んで加速というプロセスを滑らかに行ない、それができるクルマを「気持ちいい」と形容します。

そんな気持ちよさを誰もが実感できるようにしたのがG-ベクタリングコントロールなのです。

ただし、その制御は人間の足ではほぼ不可能な微小域で行なわれているため、あたかも自分の運転が上手くなったかのように感じるそうです。高性能スポーツカーが積むシステムがドライバーの想像を越える走りを実現させる特効薬だとするなら、G-ベクタリングコントロールは良い運転へじわじわとドライバーを導く点から漢方のようなものだといいます。

01

■上質か、スポーティか、選んだのは……

少し話が脱線するかもしれませんが、ここで“ある場面”を想像していただきたいです。それは、“書類でも何でもいいですが、とにかく探し物を探す”というありふれた日常の一コマです。この場面を乗り越えるコツは「無いと思って探す」のではなく「あると思って探す」ことで、そう考えるだけですんなりと探し物は見つかったりします。

それと似たようなことが「アクセラ」にも。今回の改良の第一報を聞いて「見た目は変わっていないよね」と率直に思った方は少なくないのではないでしょうか? しかし「見た目は変わった」と思って改めて見ると……フロントマスク、ホイール、さらに5ドアハッチバックのスポーツではリヤバンパーなど、実はその外観のほとんどに手が加えられています。

この新デザインが目指したのは上質感の向上。当初はCセグメントのハッチバックらしく躍動感あふれるスポーティ路線で行くことも検討されたそうですが、現在はプレミアムブランドにも負けないレベルで質感を高める時期との考えに至り、上質路線でのデザイン変更が行なわれたそうです。

03

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

00

  • Share on
  • LINE
  • Twitter
  • Facebook