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2016.10.22
マツダの「マシーングレープレミアムメタリック」は、塗装プロセスにもさまざまな工夫を凝縮
2016.10.22
マツダの「マシーングレープレミアムメタリック」は、塗装プロセスにもさまざまな工夫を凝縮
リアルな金属質感を目指して開発されたマツダの「マシーングレープレミアムメタリック(以下、マシーングレー)」は、かなり難しいチャレンジだったそうで、当然ながら塗装プロセスにおいても新しい試みがなされています。
通常のボディカラー開発は、デザインがある程度ターゲットユニットとして決まり、設計、性能要件、生産と工場(単位)にシフトしていく流れの中で進んでいきますが、こうした流れだとどうしてもそれぞれの要件に壁があるそうです。
そこで「マシーングレー」では、デザインのイメージ段階からデザイン、設計、生産、サプライヤーが集まった「共創」活動でアイディアを出しながら開発。この活動が、「マシーングレー」を商品化できた大きなポイントになっています。
「マシーングレー」が目指したのは「金属質感」、「鉄の黒光り感」、「みずみずしいツヤ感」。
まず、「金属質感」をどうやって出したかというと、一番下に鉄、錆防止などの下塗り、カラー層、その上にアルミフレーク(ラメ)の入った薄いカラー層(メタリック層)、一番上がクリア層になっています。
通常と異なるのは、カラー層が1色ではなく別々の塗料で2層に分けている点で、「金属質感」をどう「捉えるか」に注力。
そのため、新潟県燕市の金属加工の職人に協力してもらい、金属プレートの磨き度合いの異なるサンプルをいくつも出してもらったそうです。燕市の金属加工といえば、iPodの研磨で世界的な話題になったこともありました。
磨き方によっては鏡のような状態までになりますが、表面に若干研いだ後が残るような研磨状態が今回マツダの考えた「マシーン感」と決定し、さらに分析すると、表面にごく僅かな凹凸が残っているために、光が反射した時に「マシーン感」を醸し出すことが分かったとのこと。
しかし、その質感を塗装で表現するのが課題。そこで、メタリックを入れたアルミフレーク層に「段差」をわざと付けることで、金属の凹凸のようにならないかと考え、「マシーン感」が得られる「段差」を試行錯誤しながら決定されました。
つぎの「鉄の表現(黒光り感)」は、鉄そのものを使えれば表現しやすいものの、錆の原因になるため塗装の中には使用できません。そこで、アルミフレークを使いながら鉄を表現するという、相反する課題にチャレンジ。
まず、「黒光り感」は何かを分析すると、光を当てたときアルミは90%以上を反射させ、鉄は50〜60%以上反射させる点に着目。鉄は光を半分くらい吸収することで「黒光り感」が出ていると考え、10ミクロンくらいのアルミフレークとアルミフレークの間に隙間を設けることで、その隙間に入った光が黒のカラー層に吸収させています。その隙間の比率を調整することで、鉄と感じる(鉄の反射率に近づく)ように設計されています。
「マシーングレー」の塗装は、噴霧(塗装の小さな粒)の大きさが20〜30ミクロンで従来よりも小さくなっていて、この粒子の中にアルミニウムが1つ入っているそうです(厳密には1つは究極の理想で、時々2つ入ることもある)。
ボディ全体に噴霧した時は、アルミニウムがばらばらな方向を向いていて、その後塗装が蒸発(水分やシンナーが蒸発)していくと、塗装の厚みが薄くなり、体積の圧縮とともにアルミフレークを並行にして、最終的には0.5ミクロンという普通の塗装の1/6くらいまで薄くなるそうです。そこまで薄くすることでアルミを綺麗に並べられます。
そして、塗装表面の滑らかさもポイント。厚く塗れば可能になりますが、生産台数に制約が出てくるため、鋼鈑の表面から平滑にしていくという挑戦もなされています。下塗り、カラー層(ブラック)も塗装そのものが真っ平らになるように開発されていて、反射層を塗る頃にはかなり平滑になっていて、アルミフレークを並べ、最後にクリア層が塗られています。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)
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http://clicccar.com/2016/10/18/409150/
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