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2016.7.6
プジョー3008が「緊張感の中から生まれた」SUVと言えるワケは?
2016.7.6
プジョー3008が「緊張感の中から生まれた」SUVと言えるワケは?
先日、パリ近郊ブールジェで行われた新型・プジョー3008の発表会に、運よく出席することができました。
壇上から所感を述べたオートモーティブ・プジョー社のマクシム・ピカCEOは、自身がトップに就任して初めてゼロから手がけたクルマであること、そして従来的なハッチバックの上背を伸ばしただけのSUVと違って、ハンドリングやドライビング・エクスペリエンスという点で一切妥協や我慢のないプジョーらしいプジョーであるとスピーチ、個人的な思い入れを隠そうとしませんでした。
プジョーのトップ自らがそこまで新しい3008に感情を込める理由は、いくつかあります。
まず、ピカCEO自身が就任した時期は、プジョーの屋台骨が傾きかけてフランス政府や中国の東風グループの資本注入を受け入れ、生産拠点の閉鎖や人員削減をやむなくされた危機の時代であったこと。
その一方で、SUVクロスオーバーというジャンルは、先進国・新興国それぞれの市場を問わずここ数年、世界的に隆盛しています。全体の市場規模ではほぼ横ばいが続く欧州ですら、SUVの占めるシェアだけは7年前の約2.5倍にまで伸びているほどです。
しかも2世代目となる3008には、欧州COTYを獲ったプジョー308ハッチバックやシトロエンC4ピカソですでに投入され、性能やポテンシャルを高く評価されている最新世代プラットフォーム「EMP2」を使えるという、高いデフォルト期待値がありました。
そもそもEMP2は軽量かつ低重心であるだけでなく、SUV化を視野に入れてステアリングポストやバルクヘッド周りの剛性を確保して設計された、この上ない素材です。
ハッチバックの派生モデルだったひと世代前の時代と違って、プラットフォーム開発の流れの中でもはやSUVは、亜流どころか限りなくメインストリームに近い存在なのです。
つまり、新しい3008は開発から生産、販売まで全体のオペレーションのあらゆる局面で、プジョーとして捲土重来を期すべき緊張感の中から登場してきたニューモデルであることが了解されます。
現行3008のデザインには、モノスペースとワゴンの中間のような不思議なシルエットによる独特の爛熟感があって、フランス本国をはじめ欧州でも大ヒットしましたが、2世代目はあえて雰囲気をガラリと変え、明快なSUVルックとしてきました。
垂直近くに切り立ったフロントグリル、ボンネットからリアにかけて流れる高めのショルダーライン、それでいて低くコンパクトにまとめられたルーフラインは、骨太なシルエットを強調しますが、じつは現行モデルより車高は低められています。
Cピラーのデザインに凝り過ぎたSUVが多い昨今、窓から上をブラックアウトした3008はほぼツートン。スッキリと、彫像のようなカタマリ感で存在感を主張するデザインは、近頃のプジョーが得意とするところです。
発表によればボディサイズは、4447×1841×1624mm。全長は+82mm、全幅は+6mm、全高は-11mm。ホイールベースは2675mmと+60mm伸ばされ、その恩恵でリアシートの足元や上半身のスペース、トランク容量も+90Lの520Lと拡大。居住性や実用性に大きく貢献しています。
EMP2の利点が、パッケージングにももたらされているのです。
でもどうやら、3008は「走る・止まる・曲がる」を誇るだけのSUVではなさそうなのです。次回で内装の説明をしていきましょう。
(NANYO Kazuhiro)
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