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2016.6.1
レーシングドライバー・モリゾウ選手とトヨタ自動車・豊田章男社長がいる現場
2016.6.1
レーシングドライバー・モリゾウ選手とトヨタ自動車・豊田章男社長がいる現場
2016年のニュルブルクリンク24時間レースが終了しました。レースレポートはAUTSPORT WEBなどの詳報に譲りますが、今年も最終ラップまで目が離せない、白熱したレースを楽しむことができました。
かつては「世界最大の草レース」と呼ばれ、それこそワゴンでも大衆車でもポルシェでも参戦できたこのレース。
近年は、多くの自動車メーカーがワークスもしくはそれに準ずる体制で参戦し、最先端の市販レース用マシン規格を満たしたGT3車両が多く参戦しています。
車両のバリエーションは、今の日本のスーパー耐久に各種ワンメイクレース車両が混走しているようなイメージです。
さて、今年はTOYOTA GAZOO RACINGがアルテッツァで参戦してから10年目の区切りを迎えました。
そういうこともあってか、トヨタ自動車の関係者そして関連企業の重役クラスの方々の来場が非常に多く、トヨタ自動車社内外でこのレースのプレゼンスが大変高まっていることがよくわかります。
そして、今年もドライバーのラインアップにモリゾウ選手、つまりトヨタ自動車の豊田章男社長がエントリーされていました。世界の豊田社長が重視するイベントとあっては、周囲の方々も見逃すわけにはいきません。
レースウイークの木曜日には「今年は走らない」とこれまで言ってきたモリゾウ選手がレーシングスーツを着て予選1回目の現場に登場しました。
実際のところは、現場の皆を驚かせてやろうと、サプライズでレーシングスーツを着たのだといいますが、いざモリゾウ選手が現場に到着してみると、チームの誰もが「マシン、準備できています」と、予選出場が当然だという対応をしたのだそうです。
「断ることもできなくなってしまってね。乗らないわけにはいられなくなっちゃったんですよ」と笑いながら、そのときの様子を語ってくれたモリゾウ選手。
でも、本当は走る気満々だったのだと、勝手に思っています。
先にも書きましたが、世界の豊田章男社長です。
当然ガードも厳しく、やすやすとお話できるような雰囲気ではありませんし、新聞経済系記者はまだしも自動車メディアの端くれがおいそれと話しかけられるような状況にはとてもなりません。
しかし、決勝レース中、空が白んできた日曜朝、GAZOO RACINGのピットで取材をしていると、朝の陣中見舞いでしょうか、豊田社長が現れました。
そして、気軽に話かけてきてくれたのです。
「朝から大変だね〜。記者のみんなもメカニックみたいだね。私は寝ましたよ。でもあまり寝られないんだよ。年だからね〜。体力がない(ワハハハ)」と、そんな世間話をしてくれました。
トヨタ自動車の代表取締役豊田章男ではなくひとりのクルマ好き、レース好きのモリゾウ選手の素顔と接することができました。
マシンにトラブルが続く現場の様子を、そして必死に対応する現場の面々の姿を、自分の目で見に来たのでしょう。
そして、早朝からピットでうろうろしているレースが好きそうな取材陣をちょとからかってやろうと思ったのだと思います。
こちらも調子に乗って、モリゾウ選手に聞いてみました。
GAZOO RACINGのニュル24時間レース活動において、これまで重要な役割を担ってきたトヨタ86の存在が今年はないことが非常に気になっていたのです。多くの86オーナーの皆さんの、今年のニュルに86が出ないことが残念だという声を聞いていたのです。
「86は、ここ(ニュル)でなければ生まれなかったクルマです。そしてここでの走りをベースとしたGRMNを発売し、それをある程度盛り込んだマイナーチェンジを迎えようとしています。
あるひとつのところまでは、やりきったというふうに、私は見ています。これから次の86に対してのいろいろなヒントを、ここから盛り込んでいくのではないかと思います。未来を向いていると思っていただいていいと思いますよ」
とモリゾウ選手。
モリゾウさんのコメントは、決して86オーナーに対するリップサービスや宣伝文句ではありません。
真摯に来年の参戦車両を検討し、それを市販車にいかに直結させるのか考え、そして現場に指示する方向性を考えているのだろうと感じました。
ニュルブルクリンクで自分という人を鍛え上げ、自らがステアリングを握ることで86も鍛え、ついに86GRMNを世に送り出した人物たからこそ言える言葉です。
一番楽しそうに応えてくれたのは、86のマイナーチェンジ版の乗り味をお聞きしたときです。
「ええ、乗りました乗りました。ほんと、良いクルマに仕上がってますよ。エンジンもいい感じです。ほんと86・BRZは素晴らしい」
と。
さて、GAZOO RACINGからはエントリーした、LEXUS RC、TOYOTA C-HR、そしてTOM’Sの協力により出走となるLEXUS RC-F、そしてLEXUS IS-F CCS-R。
それぞれ、レース中のトラブルで厳しいレースとなりました。
特にRCは電気系統に起因する駆動系のトラブルで、エンジン、トランスミッションを夜通しかけて交換する状況でした。
「大変でしょうが、仕方ないですね。頑張るしかない」とモリゾウ選手。
本当はそんな作業を続ける現場でメカニックに檄を飛ばし、不具合があるというクルマを自分で乗って確かめて、ニュルのコースに出ていきたいのではなかったのでしょうか。
でも、豊田章男社長という存在が、そんなことを許してはくれません。
ニュルに来ても、世界の豊田章男社長でいなければならないモリゾウ選手が、少しだけかわいそうに思いました。
しかし、レーシングドライバーとしてのモリゾウ選手の存在を薄く消しながらも、クルマづくりに対するモリゾウ選手のポリシーを、強く表現されているように見えました。
現場ありき。道が人を鍛え、クルマを鍛える。
今年のニュルブルクリンク24時間レースでモリゾウ選手とお話をしてその言葉の意味が、少しわかったような気がします。
(ハイパーレブ/86&BRZ WORLD 編集長・渡辺)
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