ドイツのベンチャー企業、「Slock.it(スロックイット)」が、欧州の大手エネルギー会社「RWE」(アール・ヴェー・エー)と共同で、新たな決済システムを搭載したEVを開発しているそうです。
EV自体を「デジタルウォレット(財布)」化することで、一充電当たりの航続距離の短さや、充電時間の長さに伴う非効率さを解消しようというもの。
独Slock.it社では、EVとクレジットカード等を連携させた電子端末「デジタルウォレット」をリンクさせることにより、様々な電子決済を可能にしようとしている模様。
これにより、充電スタンドでは時間単位ではなく、電力の補給量単位で決済が可能となり、信号待ちの僅かな時間で、道路上に設置された充電スポットから小こまめに充電することも可能になるといいます。
この「EVのデジタルウォレット化」の鍵を握るのが「ブロックチェーン」技術。
「ブロックチェーン」とは、取引記録をひとつのブロックにまとめて、それぞれのブロックを鎖のように繋いで行く分散コンピューティング手法で、銀行などを介さないため信頼性の高い決済が可能。
サイバー攻撃による契約の改ざんなどが不可能になるため、安心して利用できるようになるそうで、同社ではプロジェクトが完了次第、60台のEVを使ってドイツで試運転を始めるそうです。
ソフトウェア開発分野で20年以上のベテラン勢が立ち上げたSlock.it社のブロックチェーン技術と、3000万人の顧客を持つRWEのエネルギー網の融合により、EVにおける革新的なサービスの展開が期待できるとともに、EVが抱えていたデメリットを克服できる可能性が出てきそうです。
(Avanti Yasunori・画像:Slock.it)