Motor Fan's YEAR 2016

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デンソーがNECと共同で「高度運転支援技術」開発を加速!

愛知県刈谷市に本社を置くデンソーが12月26日、高度運転支援や自動運転、モノづくりの分野でNECと協業を開始したと発表しました。

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自動車事業で培った技術力・モノづくり力と、NECのAI(人工知能)やIoT、セキュリティなどの先進技術を融合することで、「安全・安心」を実現する製品の共同開発を行うとしています。

今後、自動運転や電動化の技術開発競争が加速し、クルマに搭載される製品同士の連携が複雑さを増すと予想されることから、車載製品の効率的な開発に繋げる狙いがあるそうです。

世界的な潮流として、メガサプライヤとIT企業が連携する背景には両者間に補完関係があるためで、自動運転や「コネクテッドカー(つながる車)」の実現にはIT企業の持つ技術が不可欠。

また、IT企業にとっても、熱や振動などが伴う過酷な環境下に製品を搭載するには、メガサプライヤーの技術が必要とされています。

新聞報道などによると、同社はNECから人材を受け入れるようで、AI技術の開発にあたり、自社が持つカメラやセンサーの技術と、NECが持つAIによる「ディープラーニング」(深層学習)技術を融合することで、双方の技術力向上に繋げる模様。

これまで長らく自前主義を通してきたデンソーですが、すでに東芝ともAIの共同開発を発表するなど、積極的に提携戦略を推し進めており、こうした傾向はさらに加速しそうな状況にあります。

デンソーは今回の提携により、いち早くAI技術の実用化に漕ぎ付けることで、激化する競争の中で優位性の確保を図る考えのようです。

Avanti Yasunori・画像:DENSO)

【関連記事】

デンソーと東芝が自動車向け「AI」技術を共同開発
http://clicccar.com/2016/10/30/411434/

【関連リンク】

DENSO
https://www.denso.com/jp/ja/

求む、アイデアのあるスタートアップ!トヨタの「オープンイノベーション」が開始

トヨタがオープンイノベーションプログラム『TOYOTA NEXT』を始めます。

高齢化・少子化など日本にある様々な課題を解決するソリューションを広く求めるもので、トヨタと個人や組織、企業がタッグを組んで、サービスを共同開発していくというものです。

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WEBによる公募形式でアイデアを集めるという『TOYOTA NEXT』。そのテーマは次の5つとなっています(テーマ外での応募も可)。

1.全ての人の移動の不安を払拭する安全・安心サービス
2.もっと快適で楽しい移動を提供するクルマの利用促進サービス
3.オーナーのロイヤルティを高める愛車化サービス
4.トヨタの保有するデータを活用したONE to ONEサービス
5.全国のトヨタ販売店を通じて提供するディーラーサービス

開発するサービスにおいては、トヨタの持つユーザー情報やディーラーネットワーク、製品の提供も可能となっています。つまり、トヨタの資産と予算を活かして、クルマに関する新サービスをローンチする絶好の機会というわけです。

たとえば、スマートフォンによってカギの開け閉めができる「スマートキーボックス」といった、カーシェアリングなどで使えるハードウェアを利用したサービスも開発可能なのです。

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書類応募は2017年2月20日まで。サービスリリースは2017年8月以降というプロジェクトとなっているのも、いかにもオープンイノベーションらしいスピード感といえそうです。

(写真・文 山本晋也)【関連リンク】

トヨタNEXTサイトURL
https://toyotanext.jp/

東芝がコネクテッドカー・自動運転車対応のソフトウエアプラットフォームを販売開始。電機大手の車載機器事業進出が続く

東芝は、コネクッテドカー・自動運転車に対応するソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」の販売開始を発表しました。

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先日は日立グループの日立オートモティブが自動運転技術への進出を発表するなど、電機大手の車載機器事業進出が続いています。

東芝のソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」は、自動車や二輪車はもちろん、建設機械、農業機械などを含む多様な車両や機械・機器で行う移動体通信に対応できるIoTデータを扱う車載機器向けの次世代テレマティクスを実現するための通信制御ソフトウエアプラットフォーム。自動車・二輪車だけに限らず、幅広い移動体通信全体をカバーできることが目新しい点です。

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たとえば建設機械の移動体通信に関しては、パワーショベルなどの建設機械にGPS端末を搭載して端末からの位置情報を利用することで、一時新聞紙上をにぎわした盗難建設機械によるATM破壊事件が激減したというセキュリティ面での事例があり、このような建設機械を含めた幅広い車載機器向けの次世代テレマティクスに対応できます。

東芝のソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」の特長は、①車載ネットワーク側の機器とクラウド間通信のセキュリティ機能、②通信状態の監視して通信経路を選択・自動切り換えする機能、③クラウド選択機能で通信コストを低減、④通信切断時でも継続したサービスが可能、⑤データバッファリング機能でクラウドへの再送信を実現する機能を備えていることです。

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東芝は、自社が保有する組込みソフトウエア開発、ICカード技術などの産業機器、通信・制御技術、セキュリティ技術を活用して、車載IoTシステム・機器でのソフトウエア開発から、安全なクラウドの構築・提供までをトータルで対応できる広範囲な車両・機械・機器間をつなぐ移動体通信の制御ソフトウエアプラットフォームを手掛けることになります。

電機大手は、従来の電機業界での収益減少に対応して車載機器事業へ進出する事例が続いており、電機業界各社の車載機器事業への進出に注目が集まっています。

(山内 博・画像:東芝)

【関連記事】

デンソーがソニー製イメージセンサーを使用して車載用画像センサーを高性能化
http://clicccar.com/2016/10/28/411710/

日立オートモティブとルネサスの2社が相次いで自動運転関連技術への対応を発表
http://clicccar.com/2016/10/31/412672/

EVが「ウォレット」に変わる!? ブロックチェーン技術でEVのデメリットを克服

ドイツのベンチャー企業、「Slock.it(スロックイット)」が、欧州の大手エネルギー会社「RWE」(アール・ヴェー・エー)と共同で、新たな決済システムを搭載したEVを開発しているそうです。

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EV自体を「デジタルウォレット(財布)」化することで、一充電当たりの航続距離の短さや、充電時間の長さに伴う非効率さを解消しようというもの。

独Slock.it社では、EVとクレジットカード等を連携させた電子端末「デジタルウォレット」をリンクさせることにより、様々な電子決済を可能にしようとしている模様。

これにより、充電スタンドでは時間単位ではなく、電力の補給量単位で決済が可能となり、信号待ちの僅かな時間で、道路上に設置された充電スポットから小こまめに充電することも可能になるといいます。

Slock.it

この「EVのデジタルウォレット化」の鍵を握るのが「ブロックチェーン」技術。

「ブロックチェーン」とは、取引記録をひとつのブロックにまとめて、それぞれのブロックを鎖のように繋いで行く分散コンピューティング手法で、銀行などを介さないため信頼性の高い決済が可能。

サイバー攻撃による契約の改ざんなどが不可能になるため、安心して利用できるようになるそうで、同社ではプロジェクトが完了次第、60台のEVを使ってドイツで試運転を始めるそうです。

ソフトウェア開発分野で20年以上のベテラン勢が立ち上げたSlock.it社のブロックチェーン技術と、3000万人の顧客を持つRWEのエネルギー網の融合により、EVにおける革新的なサービスの展開が期待できるとともに、EVが抱えていたデメリットを克服できる可能性が出てきそうです。

Avanti Yasunori・画像:Slock.it)

PHEVのVWパサート/パサートヴァリアントGTEが対応するIoT関連がスゴい!

フォルクスワーゲンのプラグインハイブリッドでは第2弾となるパサート/パサートヴァリアントGTEには、「Discover Pro」と呼ぶ純正インフォテインメントシステムが標準装備されています。

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8インチの大型フルカラータッチスクリーンに、ナビだけでなくETC2.0対応のルートガイド(合流や渋滞、事故などの情報をリアルタイムで受信して、それらを反映させたルートを案内)を用意するほか、地デジ、iPod/iPhoneの楽曲再生、Bluetooth、MirrorLinkにも対応するなど、最新の車載インフォテインメントシステムにふさわしい陣容となっています。

さらに、モーターによる走行距離が分かる「レンジモニター」には、エアコンをオフにするとどれくらい航続可能距離が伸びるかが分かる機能も用意。

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ほかにも「エネルギーフローインジケーター」や、最大3回まで出発時間と充電時間をプログラムできる「eマネージャー」、その時点の充電量でEV走行が可能な範囲を地図上に360ゾーンで表示する「360°レンジ」などが搭載されています。

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また、3年間無料(通信料は別途必要)のモバイルオンラインサービス「Volkswagen Car-Net」のEV/PHEV専用サービス「e-Remote」にも対応しています。こちらは、アプリをダウンロードしたスマホで各種機能を設定できるほか、バッテリー充電や車両のエアコン予約、車両データや車両状況(駐車位置やドアの施錠状況)などの確認ができます。

(文/塚田勝弘・写真/佐藤靖彦、フォルクワーゲン)

【関連記事】

フォルクワーゲンのPHEV「パサートGTE」はEVとしても使える!?
http://clicccar.com/?p=386660

フォルクワーゲン第2弾のプラグインハイブリッド「パサートGTE」もスポーティな走りが魅力

http://clicccar.com/?p=386644

トヨタ、クルマの次は工場を高速通信で「つなぐ化」!

あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)時代の到来に伴い、電化製品に加えてクルマもクラウドにつながろうとしています。

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トヨタ自動車は2014年8月にクルマとITを融合させたテレマティクスサービス「T-Connect」をスタート。

さらに今年1月にはフォードやその子会社リビオ社と、クルマとスマホアプリをつなぐ「SDL」(スマートデバイスリンク)の展開で提携するなど、「つなぐ」技術の導入に積極的な姿勢を見せています。

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そうしたなか、同社は今春ドイツで開催された「ハノーバーメッセ2016」で、工場間ネットワークの新たな自社標準として、ドイツ発の通信規格である 「EtherCAT」(イーサキャット)を採用する方針を明らかにしました。

「EtherCAT」は、ドイツのFA機器メーカー「ベッコフ オートメーション」が開発した工場の生産設備をつなぐのに適した通信規格で、「高速データ通信」と「電力供給」に必要な両ケーブルを1本化できる省配線技術が大きなメリットとされています。

「つながる工場」では、生産現場に無数のセンサーを設置、データの分析結果を品質や、生産性の向上に活用することになります。

日経新聞によると、トヨタではこれまで主要なFA機器メーカーが加盟する日本電機工業会によって策定された通信規格「FL-net」を使ってきたそうですが、世界規模で工場を運営する同社にとって、データ通信も世界標準に切替える必要があった模様。

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「IoT」のコンセプトに基づいて生産システムを進化させるには、「EtherCAT」が最も合致しているとの考えから、今後はサプライヤーの工場にも展開していくことになるとみられます。

このように、「IoT」はますますその規模が拡大しており、自動車生産の現場にも浸透し始めているようです。

Avanti Yasunori・画像:TOYOTA)

【関連記事】

トヨタがフォードとの連携で「T-Connect」を進化させる?
http://clicccar.com/2015/06/07/310838/

トヨタが新テレマティクスサービス「T-Connect」を披露!
http://clicccar.com/2014/10/14/272959/