Motor Fan's YEAR 2016

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モトチャンプ

ノートe-POWERの登場でますます混沌とする「HV&EVのセカイ」を整理してみる

日産から発売されたノートe-POWERは、ガソリンエンジンで発電し、その電力をバッテリーに蓄え、モーターを駆動する「シリーズハイブリッド」という方式を採用する。

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ホンダの現行フィットなどはガソリンエンジンの力で走行することが基本で、発進時や急加速時などにモーターが手助けするもので、これを「パラレルハイブリッド」という。

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ハイブリッドの代名詞ともいえるトヨタのプリウスは、パラレルハイブリッドとシリーズハイブリッドの両方の特徴を持った方式で「シリーズ・パラレルハイブリッド」などと呼ばれる。ハイブリッドはいずれの方式でもモーターのみで走るモードが存在することが多い。

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これら3つのハイブリッド方式をまとめて「フルハイブリッド」や「ストロングハイブリッド」と呼ぶ。

対して、日産のセレナなどが採用する簡易的なものを「マイルドハイブリッド」と呼ぶ。「ストロングハイブリッド」と「マイルドハイブリッド」の境界線は明確ではないのが現状。

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日産リーフのような「EV(電気自動車)」は、クルマを充電器につないで電気を充電し走るものだが、それだと充電切れでストップしてしまう恐れがあるため、充電用に小さなエンジンを積んだタイプもある。これを「レンジエクステンダー付きEV」と呼ぶ。

BMW i3は普通のEVと「レンジエクステンダー付きEV」が用意されている。「レンジエクステンダー付きEV」と「シリーズハイブリッド」は構造的似ているが、エンジンの存在が常に充電のため(シリーズハイブリッド)と、充電切れ対策のため(レンジエクステンダー)の違いがある。

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さらに、ハイブリッドでありながら、充電器につないで電気を充電できる「プラグインハイブリッド」というものも存在する。三菱のアウトランダーPHEVなどがこのタイプ。「プラグインハイブリッド」はHVとEVの中間的存在ともいえる。

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トヨタ・ミライやホンダ・クラリティ フューエル セルなどの「燃料電池車」は、水素を使って発電し、その電気を使って走るクルマ。シリーズハイブリッドのエンジンの部分を燃料電池に置き換えたものと考えればわかりやすい。燃料電池というのは電池というよりも水素発電装置と考えるといい。ただし、水素を燃やすのではないところがポイントだ。

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各社はそれぞれ販売戦略もあって、いろいろな名称で名前をつけているが、そろそろしっかり整理して、どんな方式なのかが一目でわかる表示が必要な時期に来ているのではないか……と感じる。

(諸星陽一)

光岡自動車が自社製の小型パーソナルEVを温泉街に導入!

大手自動車メーカーが新車開発で凌ぎを削る中、独自路線の商品開発を実践している小さな自動車会社「光岡自動車」。

市販車をレトロタイプに改造・販売していることでお馴染みの同社ですが、その一方で小型パーソナルEVの開発も手掛けています。

EasyRamble

そこで本稿では同社の新作、小型EV「EasyRamble」(イージーランブル)をご紹介したいと思います。

道路運送車両法上、サイドカーやトライクと同分類で扱われており、経済産業省による「クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金」の補助対象車となっています。

コンパクトサイズながら、最大100kgまで積載可能で、運転席をまたがり式に、さらにバーハンドルにすることで「側車付二輪貨物」として国土交通省の型式認定を取得。

EasyRamble

光岡自動車は同車の販売にあたり、観光地を中心に独自の営業を展開、レンタカーとして有馬温泉旅館街への販売に成功。

EasyRamble

カラフルな車体は小回りが利き、細い坂道の移動にも最適。ヘルメット不要、普通自動車免許で運転できるので、季節の風を感じながら温泉街の名所巡りができます。

レンタカー仕様車については、構造変更届けにより4人乗りにアレンジされており、温泉街の観光用として活躍しています。

EasyRamble

光岡自動車では、運搬用車として大手農機具メーカーへの販路も広げており、施設内運搬車やゴルフ場内のマーシャルカー、運送業・サービス業の配送・配達用などにも販売先を広げていく考えとか。

このように、小型パーソナルEVは地域と密接に結び付く形で、普及が進んでいくことになるのかもしれません。

Avanti Yasunori・画像:光岡自動車/有馬自動車)

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【関連リンク】

光岡自動車「EasyRamble」
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有馬自動車
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自動車大手4グループ、欧州でEVの超高速高出力充電ネットワークを設置する合弁事業を計画

ポルシェおよびアウディを含むフォルクスワーゲン(VW)グループ、BMWグループ、ダイムラーAG、フォード・モーター・カンパニーの自動車大手4グループは、欧州の主要幹線道路に超高速高出力充電設備を設置する合弁事業を計画していると発表しました。

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この計画の骨子は次の5点です。

1.欧州の長距離走行道路を対象にバッテリー式電動輸送機器(BEV)向けに高出力DC充電ネットワークを展開。

2.高出力DC充電設備は、現在の充電システムより大電力の350kWの出力レベルを持ち、充電時間を大幅に短縮。

3.欧州全域で約400ヶ所の超高速充電施設を構築。

4.最新および次世代BEVに完全に対応するコネクターを使用したコンバインド・チャージング・システム(CCS)に基づくネットワーク。

5.先例のない自動車大手4グループの提携で、ブランドから独立した充電インフラ・ネットワークを新設。

前出の欧州の自動車大手4グループは、欧州において最高出力の充電ネットワークを新設する覚書に署名して、この計画がスタートしました。この計画はマスマーケットでのBEVの普及を促進する重要なステップとなります。

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計画されている出力レベル350kWの超高速高出力充電のネットワークは、現在ある最も短時間で充電できる充電システムの充電速度を大幅に上回ります。充電ステーションのフルパワーに対応するBEVは、現在のBEVに比べて大幅に短い時間で車両のブランドに関係なく充電できるようになります。

このネットワークの構築は2017年に開始され、欧州全域で約400ヶ所の設置が初期目標の計画です。さらに、2020年までに数千ヶ所の高出力充電ステーションをユーザーが利用できるようになる見込みです。

計画されている充電インフラのネットワークは、コンバインド・チャージング・システム(CCS)標準テクノロジーに準拠し、電気自動車(EV)向けの既存の標準充電技術を、次の段階の350kWによるDC急速充電に更新することを後押しすることになります。

計画では幹線道路や主要道路沿いにオープンネットワークのスタイルで充電ステーションを設置する予定で、これまであきらめていたBEVの長距離走行を可能にすることを目標としています。

充電作業がガソリンスタンドの給油と同じくらい簡単なものに進化することに期待が寄せられており、今後、350kW DC急速充電に対応したBEVが、どのように普及するかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:ポルシェ)

新型EV 「ルノー・カングーZ.E.」は従来型から航続距離を50%以上延長

ルノーは、「カングー」ベースの電気自動車(EV)「カングーZ.E.」の新型車で、航続距離を新欧州ドライビングサイクル(NEDC)での航続距離を170キロメートルから270キロへ、50%以上延長すると発表しました。

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新型車では、モーターとバッテリーのパッケージを改良することで航続距離を延長。車名の「Z.E.」はゼロ・エミッションの意味で、同モデルは、ルノーの仏北部モブージュ(Maubeuge)工場で生産されます。

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「カングーZ.E.」を実際に走行させた状況での実用航続距離は200キロで、ルノーによると小型バンでは最長となる見込みとのことです。同モデルは、取回しが楽な小型ボディながら大きな積載能力とEVならでは低ランニングコストで、環境問題を意識する法人顧客にとって現実的なソリューションとなるとしています。

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ルノーは昨年以来、小型商用車(LCV)事業の強化を進めており、今回の新型「カングーZ.E.」の発表もその一環と見られます。

新型「カングーZ.E.」の詳細は、来年1月13日〜22日にベルギーのブリュッセルで開催される欧州モーターショーで発表される予定です。

(山内 博・画像:ルノー)

VWが電動化戦略で「e-ゴルフ」のパワートレーンを強化!

フォルクスワーゲン(VW)が電動化を軸にした「e-mobility」戦略に伴い、EV「e-ゴルフ」のパワートレーンを強化。来年4月から本社工場に加え、ガラス張りの外観が特徴のドレスデン工場でも生産するそうです。

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米ロサンゼルスモーターショー16で公開された新型「e-ゴルフ」は、駆動用リチウムイオンバッテリーの容量が24.2kWhから35.8kWhに拡大されており、航続距離がこれまでの約1.5倍となる300km(NEDCモード)に拡大。

急速充電器なら1時間程度で80%の充電が可能になっているといいます。

e-Golf

搭載モーターの出力は116psから136psに引き上げられ、0‐100km/h加速が9.6秒と、約1秒以上短縮している模様。

VWはディーゼル車の排ガス不正問題に伴い、11月22日に米国でのディーゼル車販売から撤退する方針を表明。

不正対象車は全世界で1,100万台にのぼり、数百万件の訴訟が発生。同社は制裁金やリコールなどの費用として約2.2兆円を引き当てているそうです。

VW

こうした状況を受け、VWを率いる立場となったマティアス・ミュラー社長(画像左)は同社の再生に向け、EVやモビリティーサービスの強化策を打ち出しました。

組織改革により、新たな収益基盤を構築すべく、11月18日にはグループ販売台数の6割を占めるVW乗用車部門を中心に最大3万人の従業員を削減する方針を表明。

またVWブランドの乗用車部門責任者として、これまでBMWの技術開発部門を率いていたヘルベルト・ディース氏をCEOに起用して立て直しを急いでいます。

VW

ディース氏は今年のパリ国際自動車ショーで、テスラやアップルなどを標的に、EVやコネクテッドカー開発に重点を置くことを明かしています。

VW

すでに2025年までの経営戦略「TRANSFORM 2025+」を発表しており、今後、収益性の高いSUV開発に注力。2020年までに19モデルのSUVを揃える考えで、2025年までに年間100万台のEV販売を目指すとしています。

EV戦略を前面に押し出して一大改革に踏み出したVWの今後の動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:フォルクスワーゲン)

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トヨタが電動化を加速!2050年に「脱エンジン」を目指す

12月1日付けでEVの開発や戦略を担当する「EV事業企画室」を社内に設置したトヨタ自動車。

TOYOTA

既存の社内組織に属さない、独立した社内ベンチャー的な組織運営を目指しており、意思決定を迅速化することで、EVの早期商品化につなげる考えとしています。

「EV事業企画室」は豊田章男社長直轄の組織で、加藤光久・寺師茂樹 両副社長を統括役員に、室長には現行4代目プリウスの開発を手掛けた豊島浩二氏が就任。豊田自動織機、アイシン精機、デンソーからも人材を募り、僅か4名で構成されています。

欧州に目を向けると、世界販売台数で依然競合するVWが先頃、パワートレーンを強化した「e-ゴルフ」を発表。

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駆動用のリチウムイオンバッテリーの容量を24.2kWhから35.8kWhに拡大、航続距離が約1.5倍に拡大しており、急速充電器を使えば約1時間で80%の充電が可能になっているといいます。

また、パリモーターショー16では同社が今後投入するEVの考え方を具現化したコンセプトカーで電動車用に開発した新世代のモジュラープラットフォーム「MEB」(Modular Electric Platform)を採用する「I.D.」を出展

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VWはディーゼル車の排ガス不正問題に伴い、11月22日に米国でのディーゼル車販売から撤退する方針を表明しており、今後は同市場にSUV系を中心としたEVを投入する模様。

VWに限らず、ダイムラーも電動パワートレイン車に特化した新ブランド「EQ」を立ち上げており、今秋開催されたパリモーターショー16に同ブランド初となる「ジェネレーション EQ」を出展。

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2019年に同タイプのディーゼル車並みの価格で市販予定で、2025年までに「EQ」シリーズを10車種投入、販売台数の15-25%をEV化する計画といいます。

BMWも今春、電動化による新戦略「ナンバーワン・ネクスト」を発表するなど、電動化への動きを活発化させています。

ちなみに、欧州では各自動車メーカーが共同で合弁会社を設立、幹線道路に超急速充電ネットを展開しようと動いているようで、これが実現した場合、ガソリン車並みの短時間で電力補給が可能になるとか。

TOYOTA

こうした情勢の中、トヨタ自動車は昨年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表、2050年の「脱エンジン」を宣言。

HV・PHV「プリウス」などのハイブリッド車で先行、FCV(燃料電池車)「ミライ」の量産・市販化で先鞭をつけた同社が、少数精鋭の「EV事業企画室」から今後、どのようなクラスの、どのようなモデルを繰り出してくるのかが大いに注目されます。

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BMWへの対抗か?日産が急速充電器「使いホーダイ」サービスをスタート
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BMWへの対抗か?日産が急速充電器「使いホーダイ」サービスをスタート

日産自動車のEV「リーフ」は、2010年の発売開始から国内累計7万台を販売、グローバルでも累計24万台以上を販売しているそうです。

そうしたなか、同社は12月1日に「リーフ」のオーナー向けサポートサービス「ZESP」(日産ゼロ・エミッションサポートプログラム)を改定。新サービス「ZESP2」の提供を始めたと発表しました。

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「ZESP」は日産販売店舗や高速道路SA、コンビニなどに設置されているNCS(日本充電サービス)運営の全国約5,600基の急速充電器が定額で使い放題となるもので、「リーフ」のオーナーの約9割が加入しているそうです。

今回のサービス改定の目的は、より魅力的な料金体系の実現とオーナーの利便性向上を図ることにあり、具体的な変更内容は次の2点となっています。

①ZESP2 「使いホーダイプラン」

月会費2,000円(税別)で、日産販売店舗および高速道路SAやコンビニなどのNCS急速充電器が使い放題に。

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②ZESP2 「つど課金プラン」

月会費1,000円(税別)で、日産販売店舗および高速道路SAやコンビニなどのNCS急速充電器を、15円/分の充電料金で利用可能。

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共通サービスとして、カーナビゲーション内の充電スポット情報更新や、オペレータサービスが利用できる「ITサポート」、レンタカー利用時の基本料金が最大で半額になる「日産レンタカー割引」、車両トラブル発生時に常時24時間体制でサポートする「エマージェンシーサポート」を設定。

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また今回の改定で、サポート対象車種に「e-NV200」が追加されており、「ZESP2使いホーダイプラン」に申し込んだオーナーを対象に、月会費を2年間無償とするキャンペーンを実施するそうです。

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この改定は、BMWがEVやPHVなどの電動車拡販を目的に、公共充電サービス「ChargeNow」を今秋から導入、購入者向けのお得なサービスを充実させたことが背景にある模様。

国内でも電動車が普及するにつれ、今後はこうしたサービス競争が本格化することになると予想されます。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車、BMW)【関連記事】

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「日産リーフ」からビルへ給電し、夏場のピーク電力削減に成功していた!
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【関連リンク】

日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2
http://ev.nissan.co.jp/ZESP2/

BMW i3「ChargeNow」
http://www.bmw-i.jp/BMW-i3/

トヨタ自動車が「EV事業企画室」を始動!電動化加速へ

2014年に、水素で発電してモーターで走行、水しか排出しない「究極のエコカー」とされるFCV(燃料電池車)「MIRAI 」を世界に先駆けて量産化したトヨタ自動車。

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そのトヨタが今度はEV(電気自動車)の開発に向けて大きく動き出しました。12月1日付けでEVの開発や戦略を担当する「EV事業企画室」を社内に設置したのです。

昨今のEV駆動用バッテリーの性能向上で航続距離拡大が見込めるようになったことや、欧米における環境規制強化に伴い、競合他社がEV開発に積極的に乗り出している状況を踏まえ、トヨタもHVやPHVを含め、全方位で対応する方針に出たようです。

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「EV事業企画室」はまさにその先導役を担う部署で、豊田自動織機、アイシン精機、デンソーからも人材を募り、グループ企業の技術やノウハウを結集した僅か4名の少数精鋭で構成されています。

豊田章男社長直轄の組織となっており、加藤光久・寺師茂樹 両副社長を統括役員に、室長には現行4代目プリウスの開発を手掛けた豊島浩二氏が就任。

既存の社内組織に属さない、独立した社内ベンチャー的な組織運営を目指しており、意思決定を迅速化することで、EVの早期商品化につなげる考えといいます。

欧州ではVWが排ガス不正問題以降、EV戦略を鮮明に打ち出しており、BMWも電動化による新戦略を発表、ダイムラーもEVを軸にした新ブランド「EQ」を立ち上げるなど、電動化への動きが活発化しています。

また米国ではテスラに加え、GMがEV「ボルト」の航続距離を拡大、国内でも日産がEV開発の実績を持つ三菱自動車を傘下に入れるなどで動いている状況。

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既に米テスラと共同開発した「RAV4 EV」や、小型乗用車「iQ」のEV版「eQ」、トヨタ車体によるパーソナルEV「COMS」、バイク感覚で運転できるユニークな「i-ROAD」などの開発実績を持つトヨタだけに、今後のEV開発に向けた動きが大いに注目されます。

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

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【関連リンク】

トヨタ自動車のEV
http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/environment/ev/

待ってろ、テスラ!ポルシェ初のEV、年間販売目標2万台!?

ポルシェがフランクフルト・モーターショー15で公開した「ミッションE」。

このモデルは2020年末の市販化を目指す同社初のピュアEVで、テスラの「モデルS」などに対抗する4ドアスポーツサルーンとなっています。

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独自動車誌の情報によると、ポルシェでは同モデルの販売目標台数を2万台/年に置いているそうで、昨年の全世界におけるポルシェ911の販売台数が3万台強だったことを考えると、かなり強気の数字と言えそうです。

メカニズム的には、ル・マン24時間レースで優勝した「919ハイブリッド」の電動パワートレイン技術を応用しているそうで、最高出力は600ps超と強力。

0-100km/h加速を3.5秒以下でこなしながらも、満充電で500km以上の航続距離(欧州試験モード)を達成しているそうです。

ちなみにテスラの急速充電システム「スーパーチャージャー」の場合、30分の充電で約270km走行できるのに対して、「ミッションE」では専用開発のチャージャーシステム(800V)により15分間で80%の充電が可能で、約400km走行できるとか。

ポルシェによると、「ミッションE」のプラットフォームは様々なモデルに活用できるとしており、718系ボクスターのEVやPHVを計画しているとの噂もあるようです。

VWをはじめ、BMW、メルセデスベンツなどが電動化に舵をきるなか、VWグループのポルシェにおいても、EVがバリエーションに加わることは確実とみてよさそうです。

Avanti Yasunori・画像:Porsche)

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【関連リンク】

Porsche Concept Study Mission E.
http://www.porsche.com/microsite/mission-e/international.aspx

月会費2000円で急速充電器が使い放題になる、日産リーフ・e-NV200向けサービス

2016年12月1日、日産リーフのオーナー向けのサポートプログラムである「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」(以下、ZESP)の内容が改定され、「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2」(以下、ZESP2)として加入受付を同日より開始すると発表しました。

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ノートe-パワーの登場により、バッテリーEVであるリーフの販売がどうなるのか気になるところで、急速充電サービスである「ZESP2」によってどれだけ販促効果があるか注目が集まります。

というのも、BMWが今秋から大胆な充電サービスを展開しているからで、EVなどのオーナー候補にとっては充電サービスの充実化は、クルマ選びにも程度の差はあれ影響を与えるかもしれないからです。

BMWの場合は、i3をはじめとしたEV、レンジエクステンダー付EVのi3、PHEVのBMW X5 xDrive40eなどを対象に「ChargeNow(チャージナウ)」を2016年10月1日から導入。

専用のChargeNowカードにより、国内最大の充電器ネットワークである「NCSネットワーク」の充電器の利用が可能で、月会費、および充電器利用料(急速および普通)が初年度無料となるだけでなく、普通充電器の利用料は永久無料というもの。

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日産の「ZESP」は、日産販売店舗をはじめ、高速道路のSAやコンビニなどに設置されている日本充電サービス(以下NCS)が運営する全国約5600基の急速充電器が定額で使い放題になるなどのプログラムです。

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今回改定される「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2」は、一部プログラム内容と料金体系を見直すことで、よりお得な価格で、オーナーの利便性を高めたプログラムの提供を実現としています。

改定された「ZESP2」には、以下の2つのプランが用意されています。

1. ZESP2 使いホーダイプラン:月会費2000円(税別)で、日産販売店舗および、高速道路SAやコンビニなどのNCS急速充電器が使い放題となるプラン。

2.ZESP2 つど課金プラン:月会費1,000円(税別)で、使いホーダイプランと同じ充電設備を15円/分の充電料金で使えるプラン。

また、上記の2プラン共通サービスとして、カーナビ内の充電スポット情報更新やオペレータサービスなどが利用できる「ITサポート」、レンタカー利用時に基本料金が最大50%オフとなる「日産レンタカー割引」、出先での車両トラブルを365日24時間体制でサポートする「エマージェンシーサポート」が提供されます。

なお、今回のZESP2より、リーフに加えてe-NV200もプログラムの対象となっています。

me0-150408-01-1200x802さらに、これからリーフかe-NV200を購入し、「ZESP2使いホーダイプラン」に申し込むと、ZESP2の月会費(2000円)が2年無償になるキャンペーンも実施されます。

(塚田勝弘)

ジャガー・ランドローバーが2020年までに半数を電動化する理由とは?

既報のとおり、ロサンゼルスオートショー2016においてジャガー初の電気自動車「I-PACE(アイ・ペイス)コンセプト」が初公開されています。

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同ショーにおいてジャガー・ランドローバー社は、クリーンディーゼルエンジンやガソリンエンジン、BEV(バッテリー式電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド式電気自動車)、MHEV(マイルドハイブリッド式電気自動車)のすべてを今後の製品戦略計画に盛り込んでいることを披露。

最高経営責任者(CEO)のラルフ・スペッツ氏が今後2020年までに製造、発売されるジャガー・ランドローバーの各モデルの半数を電化すると表明したものです。

これは、世界各地で強化されるCO2排出量の規制に対応するものと考えられます。というのも、欧州では2021年にCO2排出量を95g/kmという厳しい数値をクリアできなければ罰金まで課せられるようになります。

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今回ワールドプレミアされた「I-PACE コンセプト」は、スポーツカーのような外観とパフォーマンス、そしてSUVのスペースを兼ね備えた5人乗りのEVで、市販仕様の発表は2017年後半、発売は2018年となる予定。

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目標(推定)航続距離は「NEDC(New European Driving Cycle:新欧州ドライビング・サイクル)」で500km以上、「EPA(Environmental Protection Agency:米国環境保護庁)で」220マイル以上とされています。

(塚田勝弘)

2025年にEV販売100万台で首位狙う!VWが新戦略を発表

ディーゼル車の排ガス不正問題に伴い、11月22日に米国でのディーゼル車販売から撤退する方針を明らかにしたフォルクスワーゲン(VW)。

ドイツ経済誌によると、乗用車ブランドのトップを務めるヘルベルト・ディース氏が「今後、米国でディーゼル車を販売することはないだろう」と述べたそうです。

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同社は併せて、2025年までの経営戦略「TRANSFORM 2025+」を発表。組織改革により、新たな収益基盤を構築する考えで、18日にはグループ全体で最大3万人の従業員を削減する方針を表明しています。

製品戦略を再編し、電動車や収益性の高いSUVで攻勢をかけるそうで、2025年までにEVの販売を年間100万台とする考え。

新たな収益事業として、ネットワーク化したクルマで独自のデジタルプラットフォームを構築。将来的に世界で8,000万人の会員を獲得し、2025年には関連売上高で10億ユーロ(約1180億円)を狙うそうです。

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同社は北米市場で今後数年間に渡って充電インフラを中心に投資を進め、電動車用プラットフォーム「MEB」を採用したモデルを2021年から現地で生産する計画。

VW_I.D.

VWでは、この新戦略を実行することで、次の10年間に売上高が大幅に増えると見込んでおり、営業利益率を2015年の2%から2020年に4%へ倍増、さらに2025年には6%を目指す考え。

EV戦略を前面に押し出して一大改革に踏み出したVWの今後の動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:フォルクスワーゲン)

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パナソニックが2020年までに自動運転式小型EVを製品化!

米テスラモーターズにEV用バッテリーを全面供給するなど、自動車関連事業を拡大中のパナソニックが、完全自動運転式の2人乗りパーソナルEVを自社開発、2020年までに製品化を目指しているそうです。

Panasonic

同社は自動車関連事業を新たな成長分野として位置付けており、これまで培ってきたカメラセンサーの技術を活かそうと、昨年10月に自動運転技術開発のためのプロジェクトチームを設置。

報道によると、既に試作車を完成させており、横浜市にある自社テストコースで走行試験を繰り返しているようです。

Panasonic

AI(人工知能)によるディープラーニング(深層学習)により、ドライビング経験を積むにつれて運転が上達する仕組みを採用。

死角を無くすため、高感度カメラセンサーを5基搭載しており、同社が得意とする防犯カメラのセンシング技術や画像解析技術を応用、周囲360度の映像を解析しながら走行します。

Panasonic

車両の周囲10mの範囲に存在する人や自転車などの動きを高精度に検知・予測。夜間や大雪、濃霧でも自律走行が可能で、40km/h以下の速度で1-2kmの圏内を走行するパーソナルEVを目指している模様。

Panasonic

来年からは本社がある大阪府門真市で公道試験を予定。人やクルマが行き交う実環境の中で、路車間や歩車間通信を含めた実証実験を予定しているそうです。

培った自動運転技術はパーソナルEVの他にも農業機械や鉱山用ダンプ、物流施設向けの無人走行システムとしても活かす考えとか。

日本国内では自動車業界にとどまらず、東芝やソニーなどの大手電機メーカーやレーザー技術を得意とするパイオニアなどが、これまで培ってきた技術を活かして新たなビジネスチャンスを掴もうと、 車載用のカメラセンサーなどを中心とした自動運転関連事業の強化に相次いで乗り出しています。

そうしたなか、パナソニックは自動車メーカーが開発中の完全自動運転車と競合しないジャンルの近距離移動用のパーソナルEVにターゲットを絞り、複数台の試作車による走行テストを実施している点で、競合メーカーを一歩リードしているといえそうです。

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Panasonic Camera
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トヨタが少数精鋭の「社内ベンチャー」でEV開発を加速!

トヨタ自動車がEV開発を担う新たな組織を立ち上げると発表しました。

EV分野の業務に特化した上で、スピード感のある仕事の進め方を目指す考えで、新聞報などによると、12月1日に「EV事業企画室」として発足させるそうです。

TOYOTA

既存の社内カンパニーや本部に所属しない独立した「社内ベンチャー」的な組織運営を目指すとしており、意思決定を迅速化することで、EVの早期商品化につなげる模様。

新組織は自社に加え、グループ企業であるデンソーやアイシン精機、豊田自動織機からそれぞれ人材を募り、4人の少数精鋭で構成する計画といいます。

昨年のEVの世界販売は32.8万台と、新車販売全体に占める割合は0.4%未満に留まっていますが、IEA(国際エネルギー機関)によると、2030年には8%程度にまで上昇すると予測しています。

トヨタ自動車では、米国の環境規制強化に伴い、これまでのエンジン搭載車に代わる電動車の拡充が急がれることや、バッテリー性能の著しい性能向上を背景に、現行のHVやPHV、FCVに加え、EVを含めた全方位体制でこの状況を乗り切る考えのようです。

また、トヨタとのと包括提携で基本合意しているマツダが同日、2019年までにデミオクラスのコンパクトEVを米国に投入すると発表しました。

北米に導入後、各国の規制動向に応じて中国や欧州、日本への導入も検討しており、家庭用電源でも充電できる「中・大型」クラスのPHVについても、2021年以降の投入を目指しているそうです。

新聞報道などによると、同社は昨年5月にトヨタ自動車と先進技術の包括提携で合意して以降、既に人的交流を進めているそうで、今後はEVの制御技術面で共同開発を検討しているとか。

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ただ、こうした米国の環境規制強化に向けた動きが加速するなか、トランプ次期大統領が、温暖化対策に対して慎重な姿勢をとっており、現時点では今後の米国の動向が見通せない状況にあるのも事実。

米国の新車市場ではガソリン安を背景に、全体の約6割がピックアップトラックなどの大型車が占めており、小型で高額なエコカーの販売が伸び悩んでいます。

自動車各社は今後、難しい舵取りを強いられそうで、方向性を見誤らないためにも、政情とリンクした経営戦略をとる必要がありそうです。

Avanti Yasunori

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ガソリンを使わないF1!? フォーミュラEが丸の内を駆け抜けた!

2016年11月23日(水)、フォーミュラEを戦うマシンが東京丸の内にやってきました!

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フォーミュラEは、2014年9月よりスタートした電気自動車フォーミュラカーによる、FIA世界選手権。電気自動車なので、ガソリンは一切使用しないF1の近未来版といったところです。

都市部の大気汚染対策となる電気自動車の普及促進を狙い、レースは世界各地の大都市や有名リゾート地の市街地コースで行なわれます。2016-2017シーズンでサードシーズンとなり、世界中から注目を浴びているレースのひとつです。

そんなフォーミュラEのマシンが、「エコロジー&モビリティフェアin丸の内」のスペシャルコンテンツとして、東京丸の内仲通りでデモンストレーション走行を行いました。

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丸の内仲通りを駆け抜けたマシンは、サードシーズンで活躍しているABT SCHAEFFLER FE02。セカンドシーズンで優勝3回を含む10回の表彰台を獲得し、圧倒的なパフォーマンスを発揮した前モデルの基本コンセプトを踏襲しながらも、車両のさらなる軽量化と、パワートレインの高効率化を達成させ、更にパワーアップしています。

オープニングセレモニーに登場したのは、シェフラージャパン株式会社最高技術責任者アジアパシフィックアンドジャパンのトーマス・スメタナ氏。シェフラーは、テクノロジーパートナーとしてABT SCHAEFFLER FE02のパワートレインを開発しています。

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「シェフラーは走る楽しみや、エモーショナルといったような側面だけでなく革新的な高効率のソリューションなども提供しています。フォーミュラEにはその両方の要素がうまく融合されているのであって、純粋な電動駆動のエモーショナルなレースマシンでありつつ高効率でもあります。この東京において、モータースポーツのスリルを皆様に少しでも味わっていただきたい。デモンストレーション走行をぜひお楽しみください。」

ABT SCHAEFFLER FE02をドライブしたのは、ABTシェフラー・アウディスポーツチームのルーカス・ディ・グラッシ選手。

ディ・グラッシ選手はフォーミュラEがスタートした2014年からABTシェフラー・アウディスポーツチームから参戦し、記念すべき第1戦北京GPで見事優勝したのを皮切りに6度表彰台へ。次のセカンドシーズンでも史上初の2戦連続優勝を含めて7度表彰台に上るなど、2季通算13度の表彰台回数は全選手中最多を誇ります。

セカンドシーズンでは、セバスチャン・ブエミ選手(eダムスルノー)と最終戦でファステストラップを獲得したほうがドライバーズチャンピオンを獲得するという激しい争いを繰り広げ、ランキング2位に。サードシーズンの開幕戦香港GPは2位でフィニッシュし自身通算14度目の表彰台を飾りました。現在ランキング2位にたち、初の年間王座獲得へ期待が膨らみます。

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「こんにちは、東京! 私の名前はルーカス・ディ・グラッシです。」と日本語で挨拶し、会場を盛り上げたディ・グラッシ選手。

「今回、東京のストリートでフォーミュラEのマシンを運転することができ、嬉しいです。日本、もしくは東京での開催にむけて、これは第一歩ではないかというふうに思います。日本のファンの皆様を代表し、日本のどこかでフォーミュラEを開催することができることを期待しています。もうお待たせするのはやめて、早速マシンを運転しましょう!!」

と早くドライブしてくてたまらない様子。

午後1時と4時の二度行われた走行には、合わせておよそ1万1千人のファンや通行人が足を止め、デモンストレーション走行を楽しみました。

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電気自動車とだけあって、もちろん排気音は全くしません。マシンが近くに来ているのが気付かないくらい静かです。でも、加速時に聞こえるヒューンというモーター音は、クセになるかも!? もちろんタイヤの焦げた匂いも、たまりません。

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ディ・グラッシ選手はモーターならではのトルクの大きさをアピールするために、ホイールスピンをさせて路面に黒々とブラックマークを残してくれました! 丸の内仲通りを通る機会があれば、ぜひチェックしてみてくださいね。

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4時の走行ではイルミネーションの点灯式も行われ、イルミネーションの中をマシンが駆け抜ける姿はとても幻想的でした。やはり、走りを近くで見ると興奮しますね。たくさんの人にフォーミュラEの面白さを伝えるためにも、日本でレースを開催してほしいと心から思った瞬間でした。近い将来、実現しますように!!

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走行を終えたディ・グラッシ選手は、

「今の走行がうまくいったことを、大変嬉しく思います。東京のストリートにおいて、初めてフォーミュラEのマシンを運転することができました。これは誇りに思うことです。小さな一歩であったかもしれませんが、電動モビリティの未来にむけて正しい方向に進みだすことができたのではないかと思います。」

と目を輝かせていました。

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また、日本の印象についても話してくれましたよ。

「私は日本が大好きで、日本に初めてきたのは2008年のことです。当時はF1ルノーチームのリザーブドライバーとして来たんですけれども、それ以降は2010年にF1ドライバーとして来ました。そして、2014年から3年連続WECドライバーとして来ています。一番好きな食べ物は寿司で、どこにいっても寿司ばかり食べています(笑)。東京も大好きです。東京のライフスタイルは大都市でありながらクリーンで安全で……。東京は世界の大都市の素晴らしい例になるのではないかと思っています。」

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そうそう、幸運なことにディ・グラッシ選手と写真を撮ることができました。とっても優しくて、スタイルも抜群でかっこいい! 惚れ惚れしちゃいました。フォーミュラEサードシーズンは始まったばかり。今年こそはドライバーズチャンピオンを獲得してほしいです!!

(yuri)

日産のEVが80万円に!? 2018年までに中国販売を目指す

ルノー・日産アライアンスのカルロス・ゴーンCEOが、リスボン(ポルトガル)で行われたウェブサミットや、ニューヨーク・タイムズ紙主催のカンファレンスなどで、中国市場に約80万円(補助金除く)で購入できるEVを2年以内に導入する予定であることを発表しました。

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中国では昨年、約2,400万台の新車が販売され、都心部などで渋滞等に伴う大気汚染が深刻化しており、政府はEV1台当たり200万円を超える補助金を付けるなどして、普及を急いでいます。

この10年間で中国が世界最大のEV市場になるとの予想も有り、ゴーンCEOは将来、EVが自動車産業の中で大きなウエイトを占めるようになると予想している模様。

他方、中国と共に新車市場で大きなシェアを占める米国では、ガソリン安から日本が得意とするエコカーの販売が苦戦しており、大型ピックアップトラックが新車販売の大勢を占めている状況。

年初からの米国における電動車(EV、PHV)販売台数は約10万台程度で、同社としてはEV販売の活路を中国に見出したいところ。

既にダイムラーやVWが中国におけるEV販売の拡大方針を明らかにしていることや、「リーフ」の販売が安価な現地製EVに押され気味なことから、ゴーンCEOとしてもリーズナブルなEVの投入で、中国における販売を早期に拡大したいとの思いが透けて見えるようです。

Avanti Yasunori

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ジャガー初の電気自動車「I-PACE」コンセプトをワールドプレミア

世界中で燃費規制が高まっており、燃費規制を達成できないなら罰金を支払う、という時代になると新車を売って稼ぐという商売すらできなくなるかもしれません。そこで今後必須となるのが車両の電動化。

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欧州勢がPHV(PHEV)に注力し、さらにEV化を推し進めているのは、走行車両からのCO2削減、つまり燃費規制をクリアするためで、どんなメーカーでもPHVやEVはラインナップに欠かせない存在になりはず。

さて、今回初披露されたジャガー初の電気自動車の「I-PACE」は、2018年の市販化を見据えたコンセプトカー。

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EVの「I-PACE」は「F-PACE」同様、車名に「PACE」が付くことからも分かるように、5人が乗れるスポーツカーでありながら、ハイパフォーマンスSUVという位置づけになっています。

最新世代の電気モーターと90kWhのリチウムイオン・バッテリーパックを搭載する「I-PACE」は、ジャガー・ランドローバーが設計、開発。一晩充電すれば、世界でも平均的な通勤距離である約50km以上を走行することが可能。

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もちろん、急速充電にも対応。50kW直流充電器を使用した場合、90分で80%の充電が可能で、追加2時間で満充電となります。NEDCサイクル(New European Driving Cycle)での想定航続距離は500km以上、EPA米環境保護庁のモードでは220マイル以上に達します。

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「I-PACE」コンセプトは、走りの面でもジャガーらしい力強さを発揮するとしています。前後アクスルに電気モーターを搭載し、その総パワーは400ps、トルクは「F-TYPE SVR」にも匹敵する700Nmを生み出すということからも、その実力の一端がうかがえます。駆動方式はAWDで、0-60mph加速は約4秒という俊足ぶり。

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また、世界初の「ソーシャルVR」発表イベントとして披露されたのも、ジャガー・ランドローバーらしいユニークな試み。この種のVRイベントとしては最大規模を誇り、1日を通して300名以上がバーチャルリアリティを体験しました。「I-PACE」コンセプトのために特別に用意された仮想空間では、開発に携わったイアン・カラム氏とイアン・ホーバン氏がホストを務めています。

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I-PACEが登場すれば、EV化しやすいSUVの世界もさらに競争が激しくなることは必至。2020年に向けてこうしたハイパフォーマンス電気自動車SUVが定番になりそうです。

(塚田勝弘)

日産ノートe-POWERは、電気自動車嫌いを治す特効薬になるか?

日産リーフをはじめ電気自動車(以下EV)のシームレスな加速と高い静粛性に魅了される人は多いです。しかし実際にEV購入に踏み切れない理由として、“高・短・長”という3つのワードが挙げられます。

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“高”は、EVがガソリン車やハイブリッド車に比べて高価格であること。“短”は満充電時の走行距離が短いこと。そして“長”は充電時間が長いことです。

そんなEVが敬遠される3つのワードを打ち破るクルマが登場しました。それが日産ノートe-POWERです。

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日産ノートe-POWERはリーフのような純粋なEVではありません。リーフは充電システムを備えていて、電気を燃料として走行します。しかしノートe-POWERは充電システムがありませんし、使用する燃料はガソリンです。すなわちガソリンを燃料にして発電しモーターで走行する、充電する必要のないEVというのがノートe-POWERの特徴を最もわかりやすく表しています。

ノートe-POWERが走行するための駆動力は、リーフ譲りのモーターで発生します。そしてモーターを動かすエネルギーとなる電気は搭載する1.2Lガソリンエンジンで発電します。つまり、充電システムを搭載しないノートe-POWERは、ガソリンエンジンで電気を発生させてモーターを動かす、シリーズハイブリッド車なのです。

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一般的なハイブリッド車というとエンジンとモーターを搭載し、エンジンの弱点であるスタート時や加速する際など大きな負荷が掛かるときにモーターがサポートするというエンジンがメインで、モーターがサブという関係性です。しかしノートe-POWERは駆動するモーターがメインで、発電機であるエンジンはサブという全く逆の関係となっています。

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これによりノートe-POWERの走りは、リーフ譲りの高い静粛性とアクセルを踏むと瞬時に加速するリニア感、そしてスムーズな加速を実現しているのです。エンジンはスタート時や加速する際に掛かりますが、インパネ内の表示を見ていてもスタート時以外はほとんどわかりません。特に走行時はロードノイズが気になる程度でエンジン音や振動は感じられません。

そしてノートe-POWERのもう一つの特徴が、アクセルペダルだけで可減速が御可能なe-POWER Driveです。SモードやECOモードにしてアクセルを戻すと、強い減速力が発生しブレーキに踏み替えることなく、クルマを停止させることができます。

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最初はこの減速力にとまどうシーンもありましたが、慣れてくると信号待ちなどの停止線にピタッと停めることができるようになり楽しくなります。このアクセルペダルだけで、可減速ができるのも駆動力がモーターだからこそできる技です。

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気になる燃費ですが、JC08モード燃費でノートe-POWER Sが37.2km/L。そしてe-POWER X、メダリストが34.0km/Lです。燃料タンクはSが35L、Xとメダリストが41Lですから、モーターで走行するノートe-POWERは、ガソリン車やハイブリッド車と変わらない走行距離を実現しています。

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価格は177万2280円〜224万4240円とかなりリーズナブルです。しかも今回のノートe-POWERの発電用エンジンは1.2Lですが、バッテリーの大きさと発電用のエンジンを変更することで、ほかの車種にも搭載できるという話です。EVをリードする日産が提案するこのe-POWERがEVの食わず嫌いを治す特効薬になるのは間違いないでしょう。

(萩原文博)

NEDOがEVの行動範囲を拡大する実証事業「DRIVE the ARC」を米カリフォルニア州で開始

新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)、日産自動車、Nissan North America, Inc.、商社の兼松は、カリフォルニア州政府とEVgoの協力を受けて、米カリフォルニア州北部都市圏で電気自動車(EV)の行動範囲を拡大する実証事業「DRIVE the ARC」を11月14日から開始したと発表しました。

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本実証事業は、充電インフラに不安がある都市間を繋ぐ幹線道路沿いの20カ所以上に50基の急速充電器を設置したうえで、急速充電器の位置をEV利用者に案内する誘導サービスシステムを提供し、EVの行動範囲拡大を目指します。

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米・カリフォルニア州は、自動車メーカーに対してEVなどの販売を義務付けるZEV規制や、EVには優先レーンの通行を許可する法制を施行する環境先進州です。それでもEVの利用者には、EVの充電切れを心配してEVでは遠出しないというEV特有の心理的不安(Range Anxiety)があり、EVの活用が近距離利用に限定されてしまう原因になっているといわれています。

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そこで、今回の実証事業では、充電切れを心配するEV利用者の心理的不安を解消して、EVの行動範囲を拡大することに取り組みます。

NEDOでは、本実証の成果が他の地域へ波及し、世界各地のEV行動範囲が広がることで、EV市場が拡大することに期待しています。

(山内 博・画像:NEDO)

トヨタがPHV/FCVに加えて、「EV」開発にも本腰を入れる理由とは?

トヨタ自動車が2016年度上期(4〜9月)の決算発表で、今後のパワートレーン戦略について明らかにしました。

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それによると、短期的には重点的に投資している従来車の燃費向上や、排ガスのクリーン化促進、HVのバリエーション拡充に取り組む予定で、中期的にはPHV、FCVに加え、EVの開発にも力を入れる方針といいます。

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同社はこれまで日産などに比べ、バッテリー容量に起因する航続距離の課題から、EV開発には積極的ではありませんでした。しかし昨今、バッテリー性能が向上しつつあることや、欧州勢の電動化推進状況を踏まえ、EV開発にも力を入れることにしたもの。

FCV開発からの方向転換という訳では無く、当初からの計画に則ったものであり、構造的に難易度が高い燃料電池車から優先的に実現したというスタンス。

FCVは水素の充填時間や一充填あたりの航続距離など、ほぼ現行車と同様に扱えるメリットが大きく、排ガスを一切出さないため、「究極のエコカー」とされています。

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FCVもモーターで走行する一種のEVであり、外部充電する代わりに、水素燃料を使ってFCスタック(燃料電池)で自車発電する構造で、技術的にはHV/PHV/FCVからEVへの移行は同社にとって比較的容易なもの。(その逆は難易度大)

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同社は2017年初めに新型「プリウスPHV」の発売を予定しており、2018年には「カローラレビン」のPHV投入を予定するなど、PHVの展開を加速する構えのようですが、主力市場の米国では、カリフォルニア州で「ZEV(Zero Emission Vehicle)」規制強化が待ち受けています。

2018年以降、排出ガスを一切出さない電動車(EV、FCV)の販売比率が、現状の14%から16%に引き上げられる見通し。

同州以外でもZEV普及に積極的なことや、欧米勢がEVの開発に余念が無いことから、トヨタとしても持ち前の開発力と資金力を活かし、「EV」の品揃えを充実させ、フルライン体制で米国の規制強化を乗り切る考えのようです。

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ソーラーパネルが不要!? テスラが「発電する屋根材」を開発

米テスラモーターズが10月28日、買収交渉中のソーラーシティ社と共同で、屋根用タイルと一体化した太陽光発電用の「ソーラールーフ」を発表しました。

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ガラスタイルと太陽電池で構成された屋根素材で、発電効率を落とさずに、外観からは太陽光パネルだと判らないデザインに仕上がっています。

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米ニューヨーク州の新工場で生産、来夏に米国で出荷を始めるそうで、米国の屋根市場で数年内にシェア5%を目指すそうです。

また、テスラは「ソーラールーフ」とセットで提案する家庭用の壁掛け型蓄電池「パワーウォール2」と、大容量「パワーパック」のニューモデルを併せて発表しました。

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「パワーウォール2」は、1基あたり税込み61.7万円〜(14kWh)。インバーターを一体化することで競合他社製品の半額以下に抑えています(設置費用とハードウェア11.2万円を含み総額72.9万円)。

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こちらは既に日本でもWebサイトで予約を開始しており、来年以降の納品を予定しているそうです。

テスラモーターズのイーロン・マスクCEOは今年6月、自身が会長を務め、いとこのリンドン・ライブ氏がCEOを務める太陽光発電ベンチャー、ソーラーシティ社に対して買収提案を実施。

ソーラーシティ社は11月17日に株主総会を開き、テスラによる買収を受け入れるかどうかを決めるそうで、新聞報道によると、マスクCEOは「買収が遅れれば製品開発に遅れが出る」と株主にアピールしている模様。

ソーラーシティの買収が実現すれば、「ソーラールーフ」で発電して「パワーウォール」に蓄電、「EV」がその電力を使うという循環構造が出来上がり、マスクCEOがかねてから目指している「化石燃料からの脱却」と「持続可能エネルギー」へのシフトが加速するというわけです。

Avanti Yasunori・画像:TESLA)

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米・テスラが自社のEVに完全自動運転のためのAIを搭載か?
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イーロン・マスクCEOが先進的な「新事業計画」をブログで公開!
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テスラが格安「家庭用蓄電池」を開発、8月に販売開始か?
http://clicccar.com/2015/07/17/317738/

【関連リンク】

テスラモーターズ ジャパン
https://www.tesla.com/jp/

テスラ パワーウォール
https://www.tesla.com/jp/powerwall

米・テスラが自社のEVに完全自動運転のためのAIを搭載か?

世界の自動車メーカーは、将来の完全自動運転に向けた取り組みを進めています。

TESLA

そうした中、米・テスラが、今後製造する全てのモデルに完全自動運転システムを搭載するとしており、AI(人工知能)に役立つ機能も採用するそうです。

同社が新たに搭載するのは、周囲監視用カメラ8台と改良版の12個の超音波センサー、そして電波により雨や濃霧、粉塵など悪条件の中でも障害物を見通すレーダー。

TESLA

さらに従来の40倍以上の処理能力を持つ車載コンピューターを搭載、人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークの採用により、今後のAI搭載に繋がる「ディープラーニング(機械学習)」機能を持たせるようです。

これにより、人間の感覚では捉えきれない情報まで認識可能になるそうで、ニューラルネットワークを採用したEVは既に購入できる状態にある模様。

TESLA

将来的にはワイヤレスアップデートにより、完全自動運転が実現するようで、今後もEV、そして自動運転で先行するテスラから目が離せません。

Avanti Yasunori・画像:TESLA)

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カバンに入るサイズの超小型電気自動車!? 立ち乗りスタイルの「WALKCAR」が登場

COCOA MOTORS.は、カバンで持ち運びできる立ち乗りタイプの超小型電気自動車「 WALKCAR(ウォーカー)」の予約販売を、2016年10月21日(金)13時から同社のオンラインサイトで受付を開始しました。

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「WALKCAR」は、13インチノートパソコンとほぼ同じサイズで、スニーカーがはみ出すほどのカーボン製小型ボディを採用して重さ2.8kgに軽量化しています。最高時速は16キロで、60分の充電で約60分間の走行できるということです。

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「WALKCAR」にはハンドルもアクセルもブレーキもなく、重心移動だけで操作する仕組みなっており、発表された発売価格はUS$1,280です。

同社では、電車移動の後に目的地まで歩行する代わりに「WALKCAR」に乗って楽に移動するという使い方を想定しているようです。

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気になるのは交通法規上の扱い。同社では「各国の法律に従って使用してください」としているのみで、「WALKCAR」を購入しても公道で合法的に使用できる保証はないようです(現段階では、日本国内の公道では使用することができません)。

(山内 博・画像:COCOA MOTORS.)

NEDO、フィリピンで電動3輪車による新公共交通システムの実証事業を開始

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、フィリピンで電動3輪車を使った新公共交通システムの実証事業を開始したと発表しました。

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今回のNEDO実証事業は、フィリピンの貿易産業省(DTI)およびイントラムロス監督庁(IA)と共同で、日本のソフトバンクを委託先として、電動三輪自動車とEVエコシステムを組み合せた新公共交通システムの実証事業を行うものです。

具体的には、2016年10月から2018年9月までの2年間で、マニラ市内の観光・文教地区であるイントラムロスで実施され、現地の交通事情に合わせた定期運行管理、車両稼働率管理、EV充電管理を行って、現地ニーズに適合した公共交通システムであるかを検証する、ということです。

フィリピンでは、125ccのガソリンバイクにサイドカーをつけた「トライシクル」と呼ばれる3輪タクシーが400万台も走っており、年式の古いトライシクルが大気汚染や交通渋滞の原因になっています。

フィリピン政府はトライシクルの電動化を進めており、愛媛県の渦潮電機が2014年からトライシクルを電動化した「e-トライクル」を現地で生産する事業を開始しています。

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今回の実証事業は、現地で生産されている「e-トライクル」に代表される電動3輪車にクラウドを利用した「EVエコシステム」を組み合わせて、①個別認証を含む充電インフラ、②運行管理・アセット管理をするテレマティクス、③運賃課金等のサービスプラットホーム、④車両に搭載する通信機器の4テーマについて実証するものと見られます。

NEDOは、今回の実証事業で電動3輪車を使った新公共交通システムを実現して、エネルギー消費量を85%削減することを目指しています。

(山内 博・画像:NEDO、渦潮電機)

メルセデス・ベンツなどドイツ3強がEV投入を加速!【パリモーターショー16】

10月16日に会期を終えたパリモーターショー16。今回のショーでは、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンが出展した次世代のEVが注目を集めました。

メルセデス・ベンツは新たに電動パワートレイン車に特化した「EQ」ブランド初となるコンセプトカー「ジェネレーション EQ」を初公開。

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ディーター・ツェッチェCEOによれば、「EQ」は「エレクトリック・インテリジェンス」を意味しているそうで、知能を持たせた電動車両シリーズとしています。

スポーティなエクステリアデザインを纏ったボディに408ps/71.4kgmを発生する強力な電動モーターを前後に搭載しており、子会社である独アキュモーティブ製70kWhの大容量リチウムイオンバッテリーとの組み合わせにより、0-100km/h加速は5秒以下、最大航続距離は500kmとなっています。

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2019年に同タイプのディーゼル車並みの価格で市販予定で、2025年までに「EQ」シリーズ(SUV、サルーン、クーペ、カブリオレ等)を10車種投入、販売台数の15-25%をEV化する計画といいます。

同社はこれまで、2017年までにPHVを10車種投入するとしていましたが、バッテリー性能の急速な向上が見込まれることから、EVへのシフトを明らかにした形。

フォルクスワーゲンも先回の記事でご紹介したとおり 、同ショーでEVのコンセプトハッチバックモデル「I.D.」を発表。

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「I.D.」はEV専用のプラットフォーム「MQB」(Modular Electric Platform)を採用した初のモデルで、航続距離は400-600km、2020年発売を目指しているそうです。

2025年には「IDパイロット」装備により、自動運転にも対応する模様で、現行のゴルフのEVモデルについても2017年に航続距離を50%向上させる計画とか。

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同社は2025年までにEVを30車種投入予定で、販売台数の20-25%をEV化するなど、ディーゼル排ガス問題からのイメージ転換を図る姿勢を鮮明に打ち出しています。

一方、BMWは電動車ブランドの「iシリーズ」を2013年に立ち上げており、コンパクトEVの「i3」やPHVのスポーツモデル「i8」を既に市場投入しています。

パリモーターショー16では今後i3に続いて全車種にEVを設定すると宣言するなど、ドイツ勢3強はEVの販売が好調な米テスラに刺激され、EVシフトを加速させる構えをみせています。

FCVよりも、まずEV投入に注力する方向性を強く打ち出した欧州勢と、それに対抗するトヨタなど国内勢の今後の動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:Mercedes Benz、VW)

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BMWが米・テスラへの対抗で全モデルにEVを設定?
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フォルクスワーゲンが2020年に「MEB」搭載の新型EVを投入!
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パリモーターショー2016
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BMWが米・テスラへの対抗で全モデルにEVを設定?

昨年あたりから、EV普及のネックになっているバッテリー容量拡大に関する情報が流れ始め、それに連動してEVの航続距離拡大が注目されるようになってきました。

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BMWは今年3月、電動車両と自動運転車の拡大を柱とする2025年までの経営戦略「NUMBER ONE NEXT」を発表。

ハラルド・クルーガーCEOによれば、今後PHVやBMW「i3」に続くピュアEVなど7モデルを投入するそうで、年内にバッテリー性能の向上により、航続距離を200km(+40%超)に拡大した「i3」を発売する計画とか。

一方、米テスラは年間8万台のペースでセダンやSUV系のEVを生産しており、2018年までに年間50万台を生産できる体制を着々と準備中。来年には従来モデルよりも低価格なセダン「モデル3」の投入を予定しているようです。

こうした状況を受け、同CEOは10月11日、米WSJの取材に対して「全てのブランドとモデルのEV化を組織的に進める」と述べたそうです。

BMWでは既存モデルのハイテク化に取り組んでおり、先月には「MINI」のピュアEVを2019年に、BMW「X3」のピュアEVを2020年にそれぞれ投入すると発表。

10月16日には同社のHP上でMINIのPHVバージョンを紹介するなど、電動化をアピールしています。

しかし米国では、昨年来からの原油価格低下によりガソリン価格が低下しており、従来のように低燃費車よりも大型SUVへの人気が高まっており、HVやPHVも含め、電動車へのニーズが低減しているのが実情。

調査会社オートデータによると、「i3」の2015年の世界販売台数は約2万5000台でしたが、今年9月の米国における同車の販売台数は、前年同月比で77%減の391台と低迷しています。

こうした状況から、米市場でのEV展開に際しては、やはりリーズナブルな価格帯のSUV系ラインナップから充実させる必要性がありそうです。

Avanti Yasunori・画像:BMW)

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ルノーのキュートなEV「ZOE」、航続距離が400kmに伸長
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BMW・i3、航続距離大幅アップで販売台数が増大!
http://clicccar.com/2016/08/24/394038/

「BMW 330e」の本当の弱点とは?
http://clicccar.com/2016/07/24/388065/

BMWがEV、電動化による新戦略「ナンバーワン・ネクスト」を発表!
http://clicccar.com/2016/03/28/362878/

バッテリー性能革新とインフラ整備進展でEV本格普及へ
http://clicccar.com/2014/12/31/284336/

ルノーのキュートなEV「ZOE」、航続距離が400kmに伸長

日産がアライアンスを組むルノーでは、「SM3 Z.E.」、「ZOE(ゾエ)」、「Kangoo Z.E.」、「Twizy」の4車種のEVを販売しており、2011年10月の「KangooZ.E.」発売以降、世界で累計10万台のEVを販売しています。

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その中の「ZOE」はジュネーブショー12でデビュー、同年11月にフランスで販売を開始し、欧州で販売を伸ばしているキュートなデザインを採用したピュアEVです。

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全長4,084mm×全幅1,788mm×全高1,562mmと、トヨタ「アクア」を少し大きくしたような5ドアハッチバックモデルで、発売後3年半で累計生産台数が5万台に達するなど、年間1万台以上を生産する人気車となっています。

発売当初のスペックは最高出力88ps/最大トルク22.4kgmを発生するモーターと韓国LG製のリチウムイオンバッテリー(22kWh)の組み合わせにより、NEDC(新欧州ドライビングサイクル)による航続距離が210kmとなっていました。

RENAULT_ZOE

その後、昨年3月に開催されたジュネーブショー15では、電気制御の最適化により、モーターの効率を向上させ、航続距離を240km(+30km)に延長、車載充電システム「カメレオン・チャージャー」の改良により同車の充電時間を10%短縮したと発表。

さらに今年のパリモーターショー16では航続距離400km(NEDC)を達成したと発表、実用上で300km程度の性能を有しており、約270万円からの価格帯で販売を予定しているようです。

ただし、同車に搭載するリチウムイオンバッテリーはリース方式をとっており、年間走行距離7,500Km当たり約8,000円のリース料金が別に発生する模様。

RENAULT_ZOE

ルノーでは今後、ZOEに自動運転機能の搭載を予定しているそうで、中国の自動運転モデル地区で走行テストを開始するようです。

自動運転機能付きのEVといえば米「テスラ」を思い浮かべますが、ZOEは超コンパクトモデルだけに、使用性や価格面からも普及する可能性が高そうです。

昨今、PHVなど主にモーターで走行する電動車に注目が集まるなか、ようやく実現し始めたバッテリー性能の向上に伴い、再びEVにも目が向けられ始めており、今後はZOEのようなエントリークラスのEVが各社から登場する可能性が出てきました。

Avanti Yasunori・画像:RENAULT、パリモーターショー)

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日産/ルノーが累計35万台のEVを販売、4.5億トン超のCO2排出を抑制!
http://clicccar.com/2016/09/21/400666/

キュートとサプライズをデザインするルノーのデザイン力に脱帽
http://clicccar.com/2016/09/11/398956/

【関連リンク】

パリモーターショー2016
http://www.mondial-automobile.com/visiteurs/

ルノー ZOE
https://group.renault.com/vehicules-groupe/decouvrir/renault-vehicules-electriques/

持ち運べるノートPCサイズのEV、「WALKCAR」 受注開始!

とかく体力を消耗する、広大な展示場やショッピングセンターでの「見て歩き」。

そんな時に誰もが一度は「あったらいいな」と思う乗り物「WALKCAR」を開発した日本のEVベンチャー「ココアモーターズ」を以前にご紹介しました。

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その後、量産・販売体制に目処が付いたようで、いよいよ受注を開始するそうです。

「WALKCAR」はバッグに入れて持ち運べる13インチノートPCサイズで、カーボン製ボディの採用により僅か2.8kgと非常に軽量。

最高速度は16km/h、フル充電で約1時間の継続走行が可能とか。

創業者の佐藤国亮代表によれば、大学入学で上京、それまでの車中心の生活から電車と徒歩の生活に一変。その結果、行動範囲が狭まり、長時間の徒歩が苦痛に感じたため、5年前から独自にソフトウエア開発に取組んで来たそうです。

開発目標はクルマを携帯する「Car in your bag」だったとか。

COCOA_Motors_WalkCar

ハンドルもコントローラーも無く、運転操作は実に簡単で、重心移動により進行方向の切替が可能になっており、ボディから降りるだけで自動的に停止する安全設計。

もちろん駐車場の心配も要りません。

来年9月からの世界13ヶ国での発売に先駆け、10月21日(金)13:00より、同社のWebサイトで受注を開始。

COCOA_Motors_WalkCar

発売価格は12.8万円で、来年9月より順次発送を開始するそうです。

大型ショッピングモールやイベント会場内での利用など、用途が色々と考えられるだけに、ヒット商品になる可能性を秘めていそうです。

Avanti Yasunori・画像:COCOA MOTORS)

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日本のベンチャーが「バッグに入る超小型EV」を開発!
http://clicccar.com/2015/08/17/321953/

若手起業家が高齢化時代に役立つパーソナルEVを開発!
http://clicccar.com/2015/08/02/319873/

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COCOA MOTORS
http://www.cocoamotors.com/

エコなのはパワートレインだけじゃない。BMWの電気自動車・新型i3の魅力をチェック!

現在、クルマのパワートレインは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンだけでなく、ハイブリッドや電気といったようなものも加わり、徐々に脱・化石燃料の流れが強まっています。

そのなかでも、バッテリーに蓄えた電力でモーターを駆動させて走る電気自動車は、登場時は航続距離の少なさや充電の手間などが指摘されましたが、最近ではバッテリーの進化によってこれらの課題を徐々に克服し、その存在感を高めています。

電気自動車の分野において日本で有名なのは、日産自動車のリーフ、アメリカのテスラ・モーターズ、そしてBMW iです。

なかでも社会とクルマの持続的な関係の構築を理念にスタートしたブランド「BMW i」は、クルマだけでなくその素材や製造に至るまで徹底したエコが特徴なのをご存じでしょうか?

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第一弾として登場した「i3」は小柄なボディのフロアにバッテリーを敷き詰め、モーターで後輪を動かして走ります。

そのボディサイズとモーター(170ps/250Nm)のスムーズな走行感覚で街乗りでの活用を中心とする一方で、航続距離を稼ぐためと充電の手間を省くために発電用のエンジンを搭載する「レンジ・エクステンダー装備車」も用意し、長距離ドライブもこなせる実力を持っています。

これだけでは電気自動車としては想定の範囲内なわけですが、「i3」ではモーターやバッテリーを搭載することで増加する車重を相殺するために軽量なカーボンをふんだんに使用したパッセンジャーセルを採用しています。

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また、インテリアもエコな素材で仕立てられています。

具体的には、原材料の約84%が再生ペットボトルのリサイクル材で構築され、レザーのなめしはオリーブオイル生産の際に廃棄される抽出液で行ない、ウッドパネルは最も成長の早いユーカリを使用、そしてプラスチックの代替としてケナフ麻を使うなど徹底しています。

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さらに、「i3」はその製造もとにかくエコ。カーボンの加工を行なう工場は水力発電所の電力を100%使用し、ライプツィヒ工場も使用するのは100%再生可能エネルギーなのです。

そして2016年9月に、一部改良を施した新しい「i3」の販売がスタート。それに合わせて、「i3」の魅力を網羅した動画も公開されています。

今回の改良で、搭載するバッテリーが96セル(21.8kWh)になり、航続距離は約70%アップの最大390kmを実現。さらに、レンジ・エクステンダー装備車では最大511kmもの走行を可能とします。

そのほか、内外装のラインナップを見直し、一部グレードには自動ブレーキや前車追従クルーズコントロールが標準装備されます。

環境へ配慮しつつ、でもやっぱり走りも楽しみたい。そんな方にとって、“駆け抜ける歓び”を謳うBMWが送り出す新型「i3」は魅力的な選択肢といえます。

(今 総一郎)

三菱自動車が次世代店舗「電動 DRIVE STATION」第1号店を東京世田谷にオープン

新生三菱自動車への第一歩となる、新たな動きがあります。

日産自動車とのシナジー効果が出るのはまだ先になるはずで、そうなる前に少しでも国内市場では信頼回復が必須の三菱自動車。

新たにCMも展開されていて、「今度こそ大丈夫?」と思った三菱オーナーもいるでしょう。

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三菱が全国に展開する次世代店舗「電動 DRIVE STATION」、その第1号店として、関東三菱自動車の世田谷店(東京都世田谷区)がリニューアルされ、10月8日にオープンしました。

「電動DRIVE STATION」は同社の強みである電動車両を前面に押し出した店舗で、通常の店舗機能(新車販売やアフターサービスなど)に加えて、EVやPHEVの意義と価値、魅力を多くの人に広めるべく、プレゼンテーションツールやデモンストレーションコーナーを備えた次世代型の店舗です。

「電動DRIVE STATION」には、太陽光発電システムとV2H(V2:Vehicle to Home の略。電動車に蓄えた電気を家に供給する仕組みのこと)機器を設置し、太陽光で発電した電力を電動車への充電に使用。

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また店舗内では、日本のエネルギー問題に対して電動車が果たす役割に加えて、災害時に電動車の外部給電機能がもたらす価値について、デジタルサイネージシステム(デジタルサイネージシステム:電子看板。電子的な表示機器を使って情報を発信するシステム)やタブレット端末などで紹介されます。

さらに、一般家庭のダイニングルームを模した「ライフスタイルコーナー」では、停電発生時のV2H機器による電力供給を実演する「停電デモンストレーション」や、電動車の100V AC電源(1500W)で家庭の電化製品を同時に複数使用できることを実演する「1500W体感デモンストレーション」も行われます。

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そのほか、エネルギー、環境をテーマにした小中学生向けワークショップや防災イベントの開催、防災への取り組みをはじめとする地域情報を自治体と連携して発信するなどの活動を通じ、地域社会への貢献を目指すとしています。

繰り返されてきたリコール隠しやディーゼル不正問題などで、愛想を尽かした現ユーザーや元ユーザーもいることでしょう。それでもどうやって信頼回復を成し遂げるか。

今後、「電動 DRIVE  STATION」も含めた三菱自動車の動きに注目です。

(塚田勝弘)

フォルクスワーゲンが2020年に「MEB」搭載の新型EVを投入!【パリモーターショー16】

2025年までに30車種以上のEV投入を目指すフォルクスワーゲン(以下VW)が、10月1日に開幕したパリモーターショーにコンセプトカー「I.D.」を出展しました。

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ハーバート・ディエスCEOによると、同車はVWが今後投入するEVの考え方を具現化したコンセプトカーで、電動車用に開発した新世代のモジュラープラットフォーム「MEB」(Modular Electric Platform)を採用した最初のコンパクト・ハッチバックモデルになるそうです。

「オープンスペースコンセプト」を採用したインテリアは広く開放的で、乗降時にはリヤドアが後方にスライドする構造。

従来の「キー(鍵)」に代わるのが、同車の車名にも由来するID(デジタルキー)。

スマホで同車の充電状況を確認したり、自身の居場所への配車が可能で、ユーザーID認識機能により、シートポジションやエアコンの設定、お気に入りのラジオ局やメディアのプレイリスト、サウンドシステムを呼び出せます。

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ステアリングホイール中央のVWロゴマークをタッチすると、自動運転機能「IDパイロット」が起動。自動走行中はステアリングホイールがダッシュボードに格納されるマルチファンクションステアリングホイールを採用しています。

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さらに、クラウド環境と連携したコネクテッドカーとしての機能も持ち合せています。駆動用モーター(125kW)は最高出力170psを発生、航続距離は満充電で400-600km。

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VWでは2020年に「I.D.」の市販を目指しているそうで、2025年には「IDパイロット」を装備する予定としています。

Avanti Yasunori・画像:VW、パリモーターショー)

【関連リンク】

パリモーターショー2016
http://www.mondial-automobile.com/en/visiteurs/

ホンダとカブクが3DプリンターでマイクロEVを製作【CEATEC16】

「CEATEC JAPAN 2016」のホンダ・ブースの見どころのひとつは、カブクと共同で製作されたマイクロEV。

多様なユーザーニーズを反映させたカスタマイズ商品をオンデマンドでデジタル製造できるカブクの「Rinkak マス・カスタマイゼーション・ソリューション」を活用し、ボディのデザインから設計、製造まで包括的に行っているもの。

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今回展示されているのは、鎌倉市にある豊島屋のオーダーに応えたマイクロEV。狭い道が多い鎌倉市ならではの「地域宅配サービスがしやすく、宣伝もできる配送車両」というニーズに応えたカマスカスタマイズ車両で、カブクとホンダにより共同された車両になります。

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迅速な3Dデザインと3Dプリンターの活用により、金型レスの開発プロセス、デジタル製造工場ネットワークの活用を実施。総工程を約2か月に大幅短縮させ、時間もコストも削減したオリジナル車両。隣には、ホンダのマイクロEV「MC-β」が展示されていました。

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3Dデザインと3Dプリンターを活用したビジネスモデルがここ日本でも車両にまで及んでいますが、自分だけのEVをオーダーできる日が来るかもしれません。

(塚田勝弘)

約5万円のスーパーカー!? マクラーレンが「P1」のキッズカーを10月末に発売!

ジュネーブショー2013でワールドプレミアされ、その後375台が限定発売された「マクラーレンP1」。

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737ps/720Nmを発生する3.8L V8ツインターボエンジンと、179ps/260Nmを発生するモーターの組み合わせにより、システム出力916ps/900Nmものパワーを発生するハイブリッドシステムを搭載しており、0-100km/h加速2.8秒、最高速度は350km/hに達します。

日本でも1億円に迫る9,661万5,000円(税込み)の高値で発売されました。

そんなマクラーレン「P1」のキッズ用EVモデル(対象:6歳以下)が、10月末から375ポンド(約48,800円)で全世界の玩具店で販売されるそうです。

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近頃ではフェラーリやランボルギーニ、ポルシェなどのキッズカーが販売されるなど、その人気が高いことから、マクラーレンも発売に踏み切ることにした模様。

モーターと前進3段/後退1段のトランスミッションの組合せにより、僅か2秒で最高速度4.8km/hに到達するそうです(笑)

ボディカラーには「ボルケーノ・イエロー」を採用。

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ドライバー席をセンターに配置、キャビン内にMP3プレイヤー、オーディオシステムを標準装備したオープントップモデルで、ドアはガルウイング仕様となっています。

マクラーレン自らこのキッズ向けEVを破格?で発売する背景には、将来のユーザー獲得に向けた思惑があるのかもしれません。

Avanti Yasunori・画像:マクラーレン)

【関連リンク】

マクラーレン P1
http://cars.mclaren.com/P1

新型smartにもEVを設定。4人乗り仕様のsmart forfourも初EV化

新型smartにもEVが設定されるのは予想どおり、既定路線といえるものでしたが、パリモーターショーで新型smartのEV版がワールドプレミアされました。

Mercedes-Benz auf der „Mondial de l’Automobile 2016“

ルノー・日産連合とダイムラーとの提携により生まれた新型smartのEV版は、ガソリンエンジンモデルに続くもので、同車に搭載される新型モーターはルノーのクレオン工場で生産されます。

バッテリーの生産はドイツのカーメンツにあるダイムラーの子会社である「Deutsche ACCUmotive(ドイチェ アキュモーティブ)」社が受け持っています。

今回初めて4人乗りのsmart forfourにもEV仕様が設定されたことで、内燃機関と電池駆動の両パワートレーンを全車種にラインアップする初のブランドになりました。

smart electric drive; Exterieur: schwarz; Interieur: schwarz ;Elektrischer Energieverbrauch gewichtet: 13,1 - 12,9 kWh/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 0 g/km smart electric drive; exterior: black; interior: black; Electric power consumption, weighted: 13.1 - 12.9 kWh/100km; CO2 emissions combined: 0 g/km

クーペとコンバーチブルだけでなく、4人乗りのsmart forfourにもEV仕様が設定されたことで、利便性が向上。取り回しのしやすさを含めたシティコミュータとしての使い勝手は、BMW i3よりも上かもしれません。

EVとしての実力を図る目安であるバッテリー容量17.6kWh。リヤに搭載されるモーターの出力は、60kW/160Nmで、航続可能距離は160km(NEDC)と、先代の145kmから延びています。

smart ed tailor madeWorld premiere for the fourth generation smart electric drive

充電時間は欧米の家庭用急速充電240Vで2時間半、オプションとなる22kWの新しい急速充電器なら45分以下でフル充電が可能。

装備面では、エコモードが用意されるほか、「スマートコントロール」と呼ばれる機能の多くをスマホ用アプリで呼び出せるのも特徴です。充電スポットの検索や充電量の確認、エアコンの設定などができます。

World premiere for the fourth generation smart electric driveWorld premiere for the fourth generation smart electric drive

smart for two electric driveは2017年春の販売開始予定で、ドイツでの価格は2.194万ユーロ(日本円に単純に換算すると約248万円)です。

(塚田勝弘)

スーパーカーより速い「EVバン」、その1/4マイル加速タイムは?【動画】

あいつが性能アップして帰ってきました。

そう、約2ヵ月前に当サイトでも紹介した、フェラーリよりも速いバン「Edna」です。

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あらためて紹介しておきましょう。

これは、アメリカのAtievaという企業が開発しているEVです。これは実験車両でEdnaと名づけられています。

2ヵ月前に紹介した動画でも、加速でフェラーリをぶっちぎり、驚愕の速さと駆動系の強さを証明したEdnaですが、なんでもインバーターを変更したそうで、性能が上がったようです。

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そしてまた滑走路を使ったクローズドコースで、こんどはマイカーを持ち込んでくれた有志の方々と加速勝負をします。

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以前のインバーターは最大トルクが600Nmで、こんどのものは700Nmになっているそうです。

以前のテストでは、0-60mphが2.94秒。こんどはどうなるでしょうか? そして1/4マイルの通過タイムは? その模様は次のページの動画でどうぞ。

なんか、動画のなかの最初のレースでは負けていたような気がしましたが、そのあとはブッちぎってますね。

RACE2ではフェラーリとGT-Rに勝っているようです。RACE3のスタートダッシュの速さは本当に圧巻ですね。

さて、0-60mphのタイムは2.74秒。前回から0.2秒タイムアップしました。そして1/4マイルのタイムは11.3秒だったようです。

ちなみに、『テスラ・モデルS P100Dとランボルギーニ・ウラカン、1/4マイルはどっちが速い?【動画】』の記事では、テスラ・モデルS P100Dは10.8秒で走っていたので、単純比較すればテスラ・モデルS P100Dのほうが速いですね。

もっとも、モデルSはドラッグコースで走っていたので、スタート地点の路面グリップなどの面から有利かもしれません。

また、『新型NSXも参戦!「第6回世界一すごいゼロヨン」の結果は?【動画】』のタイムと単純比較すれば、Ednaより速いクルマが何台も出てきますが、それでもメルセデスAMG GTSやジャガーFタイプSVR、ポルシェ911カレラSなどは、このEdnaより遅いタイムです。

このEdna、開発車両なので、まだまだ進化するかもしれません。この技術を市販車にフィードバックできるといいですね。

(まめ蔵)

超カワイイEV「rimOnO」の開発に中部地区6社が協力!

EVベンチャーの「リモノ」が9月20日、愛知県名古屋市で2人乗りの超カワイイEV、「rimOnO」の試乗会を開催しました。

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「リモノ」社のネーミングは「乗り物」から「NO」を無くす意味で命名したもので、従業員は42名、同車の開発には10名が関わっているそうです。

経産省で数々の国家プロジェクトを手掛けて来た伊藤慎介氏と、元トヨタ自動車のカーデザイナーで「Camatte(カマッテ) 」シリーズや、木製車「Setsuna(せつな)」のデザインを手掛けたznug design代表の根津孝太氏が発足させたEVベンチャー。

「rimOnO」では着せ替え可能な「布製ボディ」を採用、車重を200kg以下に抑えるのが目標で、内外装の素材を帝人子会社や三井化学などが提供。愛知県豊田市でシートの縫製を手掛けるビー・クラフトなど、中部企業6社が協力しています。

交換式のカセット型バッテリー「e-cell」を搭載し、一充電当たりの航続距離50kmを目指しているそうで、車両スリーサイズは全長2.2m×全幅1.0m×全高1.3mとコンパクト。大人2名(または大人1人と子供2人)が乗車できます。

rimOnO

小型車先進地域のヨーロッパでは「欧州L6e」という規格があり、原付免許で運転できる定員2名のマイクロEVの販売が可能。

フランス、イタリア、スペインなどでは既に2人乗りの量産車が街中を走っていますが、現在の日本の法律では2人乗りのEVが認められていません。

そこでリモノ社では、2017年夏までに1人乗りのミニカー規格に適合したモデルを発売、2019年に2人乗りタイプの発売を計画しているそうです。

rimOnO

伊藤社長は元キャリア官僚というバックグランドを活用して「日本版L6e」の実現を呼びかけており、近い将来、日本版L6e規定が誕生すれば、月産1,000台を目指し、40万円前後の車両価格を実現したいとしています。

リモノ社ではもっと多くの人たちが気軽に移動できることが、社会全体に「やさしい」と考えており、同社の今後の市販に向けた動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:リモノ)

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トヨタが「AR」技術を使った擬似体験ブースを出展!
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【関連リンク】

rimOnO
http://www.rimono.jp/

znug design
http://www.znug.com/

メルセデスがEVの新ブランド「EQ」を発表。第一弾は最長500km走行可能なコンセプトカー【パリモーターショー16】

年々厳しくなる燃費規制をクリアするためには、内燃機関の改良やハイブリッドだけでは厳しく、欧州勢は電気自動車(EV)に軸足を移しています。

今後は官民で充電スタンドを整備させ、普及への課題もクリアしてくるでしょう。

Mercedes-Benz auf der „Mondial de l’Automobile 2016“

ドイツのダイムラー(メルセデス・ベンツ)がパリモーターショーで披露した「ジェネレーションEQ」は、2つのモーターにより300kWという最高出力、最大トルク700Nmのアウトプットを得て0-100km/h加速は5秒以内、最長500kmの航続が可能なEVコンセプトです。

「Electric Intelligence」から命名されたという「EQ」ブランドは、EVシリーズの新ブランドという位置づけになります。

Mercedes-Benz auf der „Mondial de l’Automobile 2016“

「EQ」シリーズは、機能拡張や規模の拡大に対応できるのが見どころで、バッテリー、電気モデルのために特別に開発されたアーキテクチャーを使用。

ホイールベースや全幅だけでなく、バッテリーなどすべてのシステムコンポーネントがモジュラーブロックシステムにより、SUV、セダン、クーペなどEVであれば対応できるのが特徴です。

充電は誘導システムまたはウォールボックスを使ったコードレス充電システムに対応しています。

Generation EQ

今回の「ジェネレーションEQ」は、ダイナミックなクーペフォルムで、SUVのテイストを盛り込んだクロスオーバーコンセプトです。ドアミラーやアウターハンドルなどを廃止することで空気抵抗を削減。

Generation EQ, Exterieur ; Generation EQ, exterior;

Generation EQGeneration EQ

インテリアはドライバー中心の設計で、左右非対称のインパネにフローティング式の24インチワイドスクリーンディスプレイが採用されています。速度などのメーターや地図画面などが表示され、コンテンツの表示も選択可能です。

(塚田勝弘)

フォルクスワーゲン「I.D.」は最長600km走行可能な次世代EV【パリモーターショー16】

フォルクスワーゲンがパリモーターショーで初めて披露した「I.D.」は、125kWの電気モーターを搭載し、400〜600km走行可能なコンパクトEV。

2025年以降に実用化を目指しているという完全自動運転の技術を備えたコンセプトカーでもあります。

Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.

しかも、単なるコンセプトモデルではなく、今回同時に発表された「e-Golf」などとともに2020年にコンパクトEVとして市販化することも見据えているそうですから、中身が気になるところです。

Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.

フォルクスワーゲン「I.D.」は、EVであることが視覚的に分かるように「Iconic Design(アイコニックデザイン)」を採用。

さらに注目は、新しい「MEB」車両アーキテクチャーに基づいたVW初のコンパクトコンセプトカーであること。

MEBは「Modular Electric Drive Kit/モジュラー エレクトリック ドライブキット」」の略で、ピュアEVのために新たに考案されています。

Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.

インテリアは「オープンスペース」コンセプトと命名され、ラウンジにいるようなくつろいだ雰囲気を演出。

電気モーターを含めて駆動系をリヤアクスルと一体化し、高電圧バッテリーを床下に収めた車両レイアウトによって実現したもので、全長わずか4m程度でも広くて明るく、そして柔軟に使えるスペースとなっています。

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「I.D.」は既存のポロやゴルフ、パサートなどと同様に量産車としてラインナップを拡充していくコンパクトEVというポジションになるようです。

(塚田勝弘)

【IAA 2016】ダイムラーがEVトラックを来年後半に導入!

ドイツのハノーバーで9月22日に開幕した商用車ショー「IAA 2016」。

同ショーでダイムラーが、メルセデス・ベンツの大型EVトラック「Urban eTrack」と、FUSOの小型EVトラック「eCanter」をワールドプレミアしました。

Daimler_Urban_eTrack

ダイムラーでは、市街地での騒音・排気ガス問題など、社会ニーズへの対応として、ディーゼル車に代わるEVトラックの開発を急いでいるそうです。

「Urban eTrack」は車両総重量26トンで、都市部での食料品輸送などの用途を想定しており、高性能リチウムイオン電池(2.5トン)搭載により、出力100kWの場合、2〜3時間で充電を完了。

Daimler_Urban_eTrack

最大で200Kmまでの輸送が可能で、自動運転(CityPilot)やコネクテッドカーの機能を搭載して、2020年頃の実用化を目指しているそうです。

また「eCanter」は、FUSOの「キャンター」をベースにした「eCELL」の第3世代となる7.5トンクラスで、最大航続距離は100km、市内での積荷配達等での利用を想定しているそうです。

Fuso_eCANTER

ディーゼル車比で維持費を30%削減可能で、初期費用を2年で回収できるとか。

ポルトガル工場と川崎工場で製造、単眼カメラによるレーン逸脱防止機能を搭載しており、リチウムイオンバッテリーの搭載数を用途に応じて変更できるモジュール形式を採用。2017年後半から欧州、北米、日本の市場に投入する計画。

IAA_2016

日本でも依然として坂道にさしかかると、黒鉛を吐きながら重い積荷を苦しげに運搬するトラックが散見され、近隣への環境や後続車への影響を考えると、EV化は本来、乗用車よりもトラックを優先させるべきなのかもしれません。

Avanti Yasunori・画像:ダイムラー、IAA)

【関連リンク】

IAA(ハノーバーモーターショー)
http://www.iaa.de/

日産/ルノーが累計35万台のEVを販売、4.5億トン超のCO2排出を抑制!

日産自動車が2010年12月にピュアEV「日産リーフ」を発売以来、今年8月までに世界で累計25万台以上のEVを販売したそうです。

NISSAN_LEAF

「リーフ」の累計走行距離は27億kmを超えており、世界で約4.5億トンのCO2排出を削減。2014年以降は「リーフ」に加えて「e-NV200」を国内と欧州を中心に導入。

NISSAN_e-NV200

同社がこれまでに世界で販売した25万台のうち、米国、日本、欧州の3地域が全体の9割を占めており、中でも米国が9.7万台と最も多く、次いで日本が6.8万台、欧州が6.1万台の割合になっているそうです。

一方、日産がアライアンスを組むルノーでも、「SM3 Z.E.」、「ZOE(ゾエ)」、「Kangoo(カングー)Z.E.」、「Twizy(トゥイジー)」の4車種のEVを販売しており、2011年10月の「KangooZ.E.」発売以降、世界で累計10万台のEVを販売。

Renault_SM3_Z.E.Renault-ZOE

ルノー・日産アライアンスとして、これまでに累計35万台を販売するなど、世界で販売されたEVの半数を占めており、中でも「日産リーフ」はグローバルで累計23万台以上を販売する業界最量販EVとなっています。

日産は昨年11月、同車の航続距離を250kmに向上させたモデルを米国と日本に導入、欧州でも今年初めに発売。

Renault_Kangoo_Z.E.Renault-Twizy

またルノーも昨年「ZOE」の航続距離を+30km延長、充電時間を10%短縮、電気制御の最適化によりモーターの効率を向上させるなど、ルノー・日産アライアンスでは今後もEVの革新を続ける考えとしています。

Renault-ZOE

さらにアライアンスは今年1月、2020年までに自動運転技術を10モデル以上に採用する計画を発表。

今後主要な量産車に手頃な価格で搭載することで、「ゼロ・エミッション」、「ゼロ・フェイタリティ」の実現に向けたコミットメントを確固たるものにするとしています。

Avanti Yasunori・画像:NISSAN、RENAULT)

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テスラからSUVタイプのモデルXが登場!! 価格は895万円〜

セダンのモデルS、モデル3に続き、SUVのモデルXがテスラから登場しました。

9月12日からすでにウェブで予約受注を開始し、店頭では9月16日にテスラ青山、17日からテスラ心斎橋にて販売、展示されます。

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「ファルコンウィングドア」と呼ぶガルウイングドアを採用し、3列7人乗り(もしくは6人乗り)としているモデルX。

センサーが付いていて障害物がある場合は開かないようになっているのはもちろん、全開させると大人でも立つことができます。両サイドに30cmしか隙間がないような場所でも開閉が可能。また、フロントドアにも自動開閉する機能が用意されています。

全長5037×全幅(ミラー格納時)2070×全高1680mm(ドアを閉めた状態で、オープン時は2200mm)。ホイールベースは2965mmとなっています。なお、アクティブスポイラーを備えたモデルXはCd値を0.24とSUVトップクラスを達成しているそうです。

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バージョンは全部で5つ。60D(新ドライビングサイクルのNEDC値で航続可能距離355km、最高速210km/h)、75D(417km、210km/h)、90D(489km、250km/h)、P90D(489km、250km/h)、P100D(542km、250km/h)となっていて、最上級のP100Dは0-100kph加速を3.1秒でこなすという俊足ぶり。

なお、自動運転のバージョンが7.2から8.0にアップデートされ、自動運転の「レベル2」は変わらないものの、ソフトウェアの進化により検知するデバイスをレーダーに変更しているとのこと。

駆動方式はAWDで、前輪と後輪へのトルクを独立させてデジタル制御することによりSUVに求められるトランクション性能を確保。

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居住性は、サードシートは頭上、足元ともに少し狭いですが、1列目、2列目は十分な広さが用意されています。トランク容量はフロントが187L、「6シート インテリア レイアウト」と呼ぶ状態で最大2180Lもの容量を誇っています。

なお、モデルXの納車は、現時点で2017年前半の納車が予定されているそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

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これがテスラモデルX「ファルコンウィングドア」の開き方http://clicccar.com/2016/09/12/399248/

妨害電波を抑制し、EVバス用ワイヤレス急速充電の実用化につながる技術を東芝が開発

東芝は、EVバスなどの大型車用ワイヤレス急速充電システム向けに妨害電波の抑制技術を開発したと発表しました。

東芝では、この技術により他の無線通信を妨害する不要な電磁波を抑制することができ、ワイヤレス急速充電システムを実用化する際に必要な電波法の規制をクリアできるとしています。

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東芝ではEVバス向けに標準化が進む85KHzの周波数で、44KWの電力を伝送するワイヤレス充電システムを開発しています。

この開発中のワイヤレス充電システムを実用化するためには、10kHz以上の高周波を利用しているので、電波法における高周波利用設備としての許可を受ける必要があり、システムから出る他の無線通信を妨害する不要な電磁波を抑制する必要があります。

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今回東芝では、EVバス向けの44kWワイヤレス急速充電システムを2系統に分割し、2か所の送受電パッドからそれぞれ22kWの出力で逆相の電力を送電する方法を採ることで、それぞれのパッドから放射される電磁波が打ち消し合い、不要な電磁波を抑制しました。

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さらに、2か所の送受電パッドの位置関係にも、バスの底面に「斜めかつ水平」に配置する工夫をしてパッド間で生じる干渉の抑制を実現しています。この2か所のパッドの配置は、2か所のパッドの最適な位置関係を電磁界シュミレータで割り出すことにとって見出したということです。

これらの技術により、対策前と比べて距離が10m離れた位置における電磁波が約1/10に抑制され、EVバスに必要な44kWので送電量を確保しながら、電波法上の高周波利用設備の許容値を満たすことが可能になりました。

東芝では、早稲田大学理工学術院紙屋雄史教授研究室と共同で環境省からの委託を受けて「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として、2016年2月から行っているEVバスの公道実証実験にも本技術を採用しています。

この公道での実証実験は2016年末ごろまで実施される予定で、その後はワイヤレス急速充電システムの早期の実用化に向けて研究を進めたい、としています。

(山内 博・画像:東芝)

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東芝、共同開発したワイヤレス受電のEVバスを公道実証実験【動画】http://clicccar.com/2016/02/21/355188/

日産ノートにモータードライブの「セミEV」が登場する!?

日産が年内にマイナーチェンジを予定している「ノート」に発電専用エンジンを搭載、モーターで走る「シリーズ式ハイブリッドシステム」採用のHVを設定するようです。

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これにより、EV「リーフ」に匹敵する軽快な走りと、静粛性、優れた加速性能、低燃費を実現している模様。

これは同社が「Pure Drive e-Power」と呼ぶシステムで、6月の定時株主総会の際にカルロス・ゴーンCEOがこのシステムに言及、その存在が明らかになっています。

NISSAN_2016 NISSAN_2016

このシステムは来春の発売が予想される次期「ジューク」や、先頃発売された新型「セレナ」にも来夏頃に搭載される模様で、「ノート」への搭載が第一弾となるようです。

発電専用エンジンは1.2Lクラスの直列3気筒エンジンとみられ、走行中に最も発電効率の良い条件でエンジンを回し続けることで燃費効率を高める仕組み。

最高出力80kW、最大トルク254Nmを発生する「リーフ」用のモーターに発電用エンジンをプラスした構成となり、リチウムイオンバッテリー搭載量を減らせることから、コストを抑制できる可能性があります。

NISSAN_NOTE

気になる燃費はトヨタ「アクア」のJC08モード燃費「37.0km」を上回る見込みで、車両価格も200万円以下となると予想され、同車の強力なライバルモデルとなりそう。

新型「ノートHV」はEVと異なり、ガソリン給油によるエネルギー補給が可能で、航続距離の心配や充電の手間が無いことから今後の普及が期待されます。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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テスラが航続距離613kmを実現する100kWh大型バッテリーを発売。気になる今後のEVバッテリーの行方

EVのテスラ・モーターズは、従来の90kWhより大型で同社では最大となる100kWhバッテリーサイズを発売すると発表しました。

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この100kWhバッテリーを搭載したModel S P100Dにルーディクラス モードのソフトをインストールした場合、推定航続距離が613km(EUサイクル)となり、EV市販車として初めて航続距離600kmを越えることになります。

また、その車両の0-100km/h加速タイムは2.7秒となり、ラ フェラーリやポルシェ918スパイダー並の加速性能を発揮します。

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テスラでは、新発売の100kWhバッテリーをSUVタイプのModel Xにも搭載し、納車前のModel S P90Dルーディクラス モードに、1,152,000円(消費税込み)でアップグレード可能であるとしています。

このように90kWhバッテリーと換装可能であることから、100kWhのバッテリー・パックの外形寸法は変わらないとすると、テスラはどうのような方法でバッテリーを大容量化したのでしょうか?テスラでは、どのように大容量化に成功したかについては、コメントしていません。

考えられるのは、①テスラが採用している直径18mm×65mmの単3乾電池を大きくしたような汎用18650型リチウム・イオン・バッテリー・セルの搭載個数を増加する、②18650型バッテリー・セルを大容量化するという2つの方法です。

①の搭載個数を増やす方法については、情報によるとテスラのバッテリー・パックには搭載されているセルの間に、冷却のための隙間が設けられているので、セルの間に隔てられている隙間を狭くすることで大容量化が可能です。

また、②のセル自体の容量の大容量化については、今年1月にテスラに18650型バッテリー・セルを納入している日本のパナソニックが、16億ドル(1900億円)を投資して、ネバダ州にテスラ向けのバッテリー工場を建設したことから、パナソニックが18650型セルの大容量化に成功した可能性も考えられます。

EV用のバッテリー・パックについては、日産「リーフ」のようにEV専用のセルを使うのが多数派で、汎用規格の18690型セルを採用しているのは現在のところテスラだけです。

一方、最近になって日産は「リーフ」用のバッテリーを製造している子会社を売却して、バッテリー・セルを市場から購入する方向へ転換することを発表しました。

今後EVのバッテリーは、日産「リーフ」のように専用セルを使う方がよいのか、それともテスラのように汎用セルを使うのが得策なのか、どのように進化してゆくのかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:テスラ・モーターズ)

BMW・i3、航続距離大幅アップで販売台数が増大!

次世代モビリティを提供するプレミアム・ブランド「BMW i」にラインナップされるコンパクトEV「i3」。

BMW_i3

都市圏向けのピュアEVとして専用設計された4人乗りモデルで、「ライフドライブ」構造と呼ばれる革新的な車体構造を採用しています。

BMW_i3_05

「ライフドライブ」は、パワートレインなどを収めるシャシーの役割を果たすアルミニウム製「ドライブモジュール」と、乗員などが搭乗するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製の基本骨格「ライフモジュール」で構成されています。

最大出力170ps、最大トルク250Nmを発生する電気モーターと、総電力量21.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。

ドイツ本国では2017年モデルとして、バッテリー容積を変えずにリチウムイオンバッテリーの電力量を21.8kWhから33kWhまで高めた新グレード「94Ah」 の追加がアナウンスされています。

BMW_i3

現行モデルの一充電当たりの航続距離は約130km(実勢値)ですが、「94Ah」グレードでは車両重量が約45kg増加したものの、約183kmと40%以上も伸びています。

BMW_i3

欧州では「BMW i」の需要増が続いており、今年6月に西欧で販売された全BMW販売車両のうち4%を電動モデルが占めており、「94Ah」についても導入前から、既に受注が5,000台に達する状況といいます。

VWの排ガス不正問題を機に、これまでディーゼル車一辺倒だった欧州市場においても、環境に優しいクリーンな電動車に注目が集まるようになりつつあるようです。

Avanti Yasunori・画像:BMW)

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EVが「ウォレット」に変わる!? ブロックチェーン技術でEVのデメリットを克服

ドイツのベンチャー企業、「Slock.it(スロックイット)」が、欧州の大手エネルギー会社「RWE」(アール・ヴェー・エー)と共同で、新たな決済システムを搭載したEVを開発しているそうです。

Slock.it

EV自体を「デジタルウォレット(財布)」化することで、一充電当たりの航続距離の短さや、充電時間の長さに伴う非効率さを解消しようというもの。

独Slock.it社では、EVとクレジットカード等を連携させた電子端末「デジタルウォレット」をリンクさせることにより、様々な電子決済を可能にしようとしている模様。

これにより、充電スタンドでは時間単位ではなく、電力の補給量単位で決済が可能となり、信号待ちの僅かな時間で、道路上に設置された充電スポットから小こまめに充電することも可能になるといいます。

Slock.it

この「EVのデジタルウォレット化」の鍵を握るのが「ブロックチェーン」技術。

「ブロックチェーン」とは、取引記録をひとつのブロックにまとめて、それぞれのブロックを鎖のように繋いで行く分散コンピューティング手法で、銀行などを介さないため信頼性の高い決済が可能。

サイバー攻撃による契約の改ざんなどが不可能になるため、安心して利用できるようになるそうで、同社ではプロジェクトが完了次第、60台のEVを使ってドイツで試運転を始めるそうです。

ソフトウェア開発分野で20年以上のベテラン勢が立ち上げたSlock.it社のブロックチェーン技術と、3000万人の顧客を持つRWEのエネルギー網の融合により、EVにおける革新的なサービスの展開が期待できるとともに、EVが抱えていたデメリットを克服できる可能性が出てきそうです。

Avanti Yasunori・画像:Slock.it)

「ニッサン ブレードグライダー」の最新版がオリンピックの開催地ブラジルで公開

2013年の東京モーターショーで披露されたEVコンセプトカーの「ニッサン ブレードグライダー」。2016年8月4日に、オリンピックが開催されるブラジルのリオデジャネイロで最新のプロトタイプが公開されました。

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車名からも想像できるように「滑走するように走るクルマ」がテーマ。何といっても外観で目を惹くのは、超ナローのフロントトレッドと、高い空力性能と安定したハンドリングを実現するというワイドなリヤトレッド。

矢先形状の車体部分に設置された運転席には、広々としたレッグルームが広がり、コックピットは継ぎ目のないウィンドスクリーンを採用。3シーターのどこに座ってもパノラミックな景色が楽しめるそうです。

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また、同車専用のステアリングコントローラーには、バッテリー残量、速度、回生モード、トルクマップなどを表示する最新型ディスプレイを搭載。

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さらに、センターディスプレーの左右に配された2つのスクリーンには、フロントホイール後方に搭載したカメラにより、斜め後ろの映像が映し出されます。カメラはドアミラーの役割も果たすだけでなく、空力性能の向上にも貢献します。

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技術面のトピックスは、英国のWilliams Advanced Engineering(ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング)が開発したバッテリー(5個の電池モジュールから構成する220kWのリチウムイオンバッテリー)、モーター技術を動力源としている点で、左右のタイヤに設置された130kWの電気モーターにより後輪を駆動。

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「滑走するように走るクルマ」を掲げるだけに、プロトタイプの最高時速は190km/hに達し、0-100km/h(62mph)加速は5秒を切るそうです。なお、同コンセプトカーの1台はオリンピック・パーク内に常設展示され、もう1台をメディアやVIPの試乗に使用する予定となっています。

(塚田勝弘)

テスラのイーロン・マスクCEOが先進的な「新事業計画」をブログで公開!

テスラモーターズの自動運転機能に関するニュースが飛び交うなか、イーロン・マスク会長兼CEOが7月20日、同社の新事業計画を自身の公式ブログ上で明らかにしました。

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マスク氏が同社を発足させて以来、一貫して目指しているのは、化石燃料への依存を早期に断ち、「持続可能エネルギー」への切り替えを加速させること。

そうした観点で、今後実現を目指す新たなマスタープランを公開したもので、要約すると、次の4つのポイントで構成されています。

1)蓄電装置一体型ソーラーパネルの普及
パワーウォールを進化させ、契約から設置までの全てを1社で一元管理

2)自律走行可能な大型EVトラック、都市型EVバスを開発
・トラックの大型化により貨物輸送コストを大幅削減
・車内レイアウト工夫でバスの乗客密度を向上、車体を小型化

3)人間の運転より10倍安全な自律走行システムを実現
世界中で販売したテスラ車から収集した走行データを活用

4)自家用車のシェアリングシステム構築
テスラ車ユーザーが同社のカーシェアリングシステムに自車を登録、
使用しない時間帯に貸し出し、車両返済資金、維持費に充当

2)については、来年にも発表する予定としており、小型EVバスでは、携帯電話を持たない人のために、既存のバス停に呼び寄せ用のボタンを設置、車椅子や自転車も載せられるようなデザインを予定しているそうです。

4)のシェアリングシステムは、税金や保険料など維持費が高くつくことから、日本でもクルマ離れが懸念されるなか、持続的な新車販売に効果的なシステムとなる可能性を秘めていそうです。

モデルSの自動運転支援システムは、米国では昨年10月に発表され、日本でも国交省の認可を受けて、運転支援システムの配信が今年1月から始まっています。

TESLA_MODEL-S

そうしたなか、今年5月7日に米フロリダ州の幹線道路で、初となる自動運転機能作動中の死亡事故が1億3000マイル(約2億km)走行時点で発生しました。

事故原因については現在のところ、ドライバーの前方不注意(DVD鑑賞?)と、カメラセンサー等の認識能力に起因している可能性があるとの見解のようです。

同社では現在、世界中の車両を合わせて、1日当たり約500万kmの走行実績を積んでいるそうですが、ワールドワイドで自動運転が法的に認められるまでには100億km(約6年相当)の実績が必要になると予測。

TESLA_MOTORS

テスラでは、これまでに得た知見をベースに、技術力に更なる磨きをかけながら、「EV」、「自動運転」、「家庭用発電システム」、「カーシェアリング」をトリガーにして、今後も持続可能エネルギーへの早期移行を実現させる考えのようです。

Avanti Yasunori・画像:TESLA)

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超小型EV「 i-ROAD」のライバル車がカナダから登場!

カナダのバンクーバーに拠点を置くEVベンチャー「エレクトラ メカニカ」が、1人乗りのパーソナルEVを開発しており、発売が近いようです。

Electra_ Meccanica_SOLO

3輪式の小型EVで、同社が公開したスペックによると全長3,048mm、全幅1,209mm、全高1,283mm、ホイールベース2,045mmと、軽自動車よりは小さいものの、トヨタ「i-ROAD」よりも一回り大きいボディサイズになっています。

Electra_ Meccanica_SOLO

最高出力82hp、最大トルク19.4kgmを発生するモーターにより後輪を駆動、車両重量は450kgと軽量で、0-100km/h加速は8秒、最高速度130km/hの性能を発揮。

8.64kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載しており、満充電までの所用時間は220V電源で3時間、110Vの場合は6時間、航続距離は最大で160kmとなっています。

車名は「SOLO」(ソロ)。

市販開始は7月以降としており、車両価格は約160万円程度。1人乗りにしては少々お値段が張りますが、既に2万件以上の予約が入っているといいます。

Electra_ Meccanica_SOLO

日本ではトヨタ「i-ROAD」などのパーソナルEVによるシェアリングサービス実証実検が数年に渡って継続されていますが、肝心の法整備が進んでいない状況。

TOYOTA_iROAD

しかし市販化が実現した際には、「ソロ」のように海外のベンチャー参入が活発化する可能性があり、将来的に「 i-ROAD」のライバル車が増えることが予想されます。

Avanti Yasunori ・画像:Electra Meccanica、トヨタ自動車)

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「2016年のもっともスマートな企業」50社にトヨタがランクイン!

米マサチューセッツ工科大学傘下のメディア「MIT テクノロジーレビュー」が、効果的なビジネスモデルや革新的な技術を持つ「2016年のもっともスマートな企業」50社のランキングを発表。

ITやメディア、バイオ関連の企業が並ぶなか、テスラモーターズとトヨタ自動車の2社が自動車メーカーとしてランクインしました。

MIT_Technology_Review

テスラモーターズはEVのモデルSやモデルXにオートパイロット(自動運転)システムを搭載したことや、車両価格を約380万円〜に抑えた「モデル3」が発売前から40万台規模の事前受注を獲得したことが評価され、4位にランキングされています。

TESLA_MODEL3

一方、今回初登場のトヨタ自動車は「マイクロソフト(26位)」や「IBM(45位)」、「インテル(49位)」を抑え、「Facebook(15位)」や「SpaceX(16位)」に続く17位にランキングされました。

トヨタ自動車が今回ランキングに登場した背景には、年初に10億ドルを投じて自動運転に向けた「AI」(人工知能)を研究する「TRI」(Toyota Research Institute)を米国に新設したことが評価されたようです。

TOYOTA_TRI

そのほか、2位には中国の検索エンジン大手「Baidu(バイドゥ)」、6位には高度運転支援システムを手掛ける「Mobileye (モービルアイ)」、8位には自動運転技術で先行するGoogleの持ち株会社「Alphabet(アルファベット)」、12位にはグラフィック・プロセッサーを手掛ける「Nvidia(エヌビディア)」がそれぞれランクインしています。

これらの顔ぶれは、自動運転技術の実現に向けた「クルマとITの融合」が加速していることを如実に表しているようです。

Avanti Yasunori ・画像:MIT Technology Review、TESLA、TOYOTA)

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VWが新戦略「TOGETHER-2025」で新型EVを30車種以上投入!

VWはディーゼル車排ガス認証試験に関する問題が表面化したことを受け、開発責任の所在を明確化すべく、年初に車両開発部門の大掛かりな組織改革を実施しました。

同社は深刻なダメージから再生を図るべく、過去の過ちから学んで欠点を改め、オープンで信頼性の高い企業風土を確立するとしています。

Volkswagen

具体的には組織を「スモールカー」、「コンパクトカー」、「ミッド&フルサイズカー」、「BEV(バッテリー式電気自動車)」の4つに集約、その上で各組織のマネージャーをサポートする「ストラトジー&プロダクト部門」を新設しており、デジタル化、電動モビリティなどの市場要請に応えて行くとしています。

そうしたなか、VWは6月16日に開催した記者会見で、マティアス・ミューラーCEOが新戦略「TOGETHER -Strategy 2025」を発表しました。

VWは同戦略により「e-mobility」に注力していく考えで、10年内に30車種以上のピュアEVを投入、年間200〜300万台規模の販売目標を掲げており、2025年にはVWグループ総販売台数の20〜25%を電動車が占めるとしています。

「自動走行」についても、独自開発した競争力のある技術を他社に提供する考えで、新戦略を掲げて再出発した同社の今後の動きが注目されます。

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日本でもお馴染みのサーブブランドが消滅。来年からEVのNEVSに

スウェーデンの電気自動車(EV)メーカー、ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)は、2017年に開始する初のEVの量産を前にして、新ブランドをNEVSにすると6月21日付けで発表しました。

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同社は自動車ブランド、サーブの運営会社であり、今回の発表でサーブブランドの使用が中止され、今後新ブランドのNEVSが使用されることになります。これで、日本でもお馴染みの約70年続いた自動車ブランド サーブが消滅することが確実になりました。

NEVSのHPにはNVESのロゴと、生産されていたサーブ車の写真が公開されていますが、このサーブ車の姿も見られなくなります。

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一方サーブの母体であるスウェーデンの航空機・軍需品メーカーのサーブABは、NEVSに対してサーブのブランド名の使用を認めない考えを示していました。

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ここでサーブの歴史を振り返ると、サーブは1947年にサーブABの自動車部門として設立され、90年にサーブ・オートモービルとして分離されました。

その後サーブは2000年にゼネラル・モーターズ(GM)の傘下に入りましたが、09年に経営が悪化し、10年にオランダのスパイカー・カーズへの売却を経て、11年末に経営破綻、破産を申請しました。12年6月にはNEVSがサーブを買収していました。

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NEVSは14年5月にスウェーデン・トロヘッタンの本社工場の生産を停止し、15年6月には中国・天津市で新工場を起工し、今後、福建省にも拠点を置く計画を持っています。天津工場の年産能力は10万台で、サーブの中型車「9―3」がベースのEVを生産するものと見られます。

(山内 博・画像:NEVS)

2035年にPHVの世界市場が32倍、EVが17倍に拡大する!?

世界のマーケット情報や企業情報のレポートを手掛ける富士経済が、次世代自動車の市場動向を調査、その結果をまとめた「2016年版 HEV、EV関連市場徹底分析調査」を公開しました。

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報告書によると、現状ではHVが次世代自動車市場を牽引しているものの、2020年頃を起点にPHV、EVの市場拡大ペースが加速。2030年頃には拮抗し、その後PHVとEVがHVを抜き去り、逆転するとしています。

PHV:欧州、北米、中国で2025年頃より大幅な需要増加
EV:2015年に市場が大きく伸張。今後中国の需要増加がけん引
HV:日本を中心に市場が拡大。欧州や中国は伸び悩む

2035年頃にはPHVの世界市場が欧・米・中を中心に665万台(2015年比:約32倍)まで拡大、EVについても567万台(同 約17倍)に達するとしており、共にHVの468万台(同 約3倍)を上回ると予測。

欧米各メーカーを中心としたPHVとEVの多車種展開により、市場の伸びが予想されるとしています。

TOYOTA_PRIUS_PHV

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その背景として、北米のZEV(Zero Emission Vehicle)規制により、HVがZEV認定の対象から外れたことや、各国に於けるPHV・EVへの優遇策(購入補助他)による普及拡大とそれに伴う車両の低価格化、急速充電器の普及、二次バッテリーの容量アップによる航続距離拡大などをあげています。

次世代自動車の更なる普及拡大には世界的に需要が高いSUV、ピックアップトラックの電動化が有効としており、今後の企業戦略に活かせそうな内容となっています。

Avanti Yasunori ・画像:富士経済、トヨタ自動車)

昭和電工、車載向け需要の増加でリチウムイオン電池材料の供給能力拡大へ

昭和電工は、リチウムイオン電池(LIB)材料用カーボン負極材SCMG(登録商標、以下同じ)の生産能力増強を決定しました。

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同社が生産能力増強を決定したSCMGは、上の写真のように黒い粉状の材料で、同社のHPでは下の写真のようにラミネートセルに封入してLIBの負極を形成する使用例を紹介しています。

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LIBは、スマートフォンやタブレット向けをはじめとする小型用途に加え、電気自動車(EV)向けの大型用途での需要が拡大しています。

特に中国では、大気汚染対策で政策によるEV推進が図られており、EVやEVバス向けLIBの需要が大きく伸長しています。

EV向けは1台あたりに搭載されるLIB容量が大きく、使用される材料も多くなります。今後、EVの普及に伴ってLIB材料市場は拡大を続け、2020年の市場規模は2兆円程度になると同社は見込んでいます。

昭和電工のSCMGは低抵抗や長寿命を特徴とし、EV用のLIB向けだけに限らず、今後の市場拡大が期待されるアイドリングストップ用途にも採用されており、需要が増大しています。

このような市場動向から、LIB向けの負極材の製造能力増強を決定したものと見られます。

今回決定された増強設備の本格稼働は2016年末を予定しており、能力増強により大町事業所における生産能力は現在より50%増の年間1,500トンとなります。加えて、6月からは中国における委託生産も開始したということです。

また、今年1月からLIB向けの正極用カーボンコート箔SDX(登録商標、以下同じ)の中国における委託生産も開始しました。

SDXは低抵抗で正極材料との密着性に優れているため、充放電特性が高まり、正極材に添加する導電助剤やバインダーの使用量を抑える効果がります。SCMGと同様、EV用途での需要が高まり、供給能力の拡大が必要なことから、中国での生産を開始したということです。

(山内 博・画像:昭和電工)

バイオエタノールを燃料に使った日産のレンジエクステンダーEV「e-Bio Fuel-Cell」は何がスゴイ?

SOFC(固体酸化物型燃料電池)の車載では世界初の試みとしている日産自動車の「e-Bio Fuel-Cell」。エタノール燃料を使った車上(水素)改質型のレンジエクステンダーEVという位置づけになります。

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今回の日産「e-Bio Fuel-Cell」のように、エタノールなどのアルコール燃料、ガソリンなどの炭化水素燃料を使った車上改質は、80年代後半から1990年代後半にかけて各自動車メーカーが研究してきました。

しかし、改質器の小型化や熱対策や耐久性、始動性や応答性などが解決できず、高純度の水素を使ったSOFC(固体高分子型燃料電池)へと収斂していったという流れがあります。

こうした課題は、日産が発表した「e-Bio Fuel-Cell」の課題でもあるのでしょうが、こちらでも紹介したように、FCスタックの熱対策や作動温度のさらなる低温下などにより、かつてとは状況が違うというのも「絵空事ではない」ことにつながっているようです。

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燃料となる100%エタノールやエタノール混合水は、ブラジル、アメリカ、タイなどの世界中で普及しているという状況もあります。

食料と競合してしまう(バイオエタノール生産か食料か)フード・コンフリクトという問題も、サトウキビなどの残渣からバイオエタノール生産に成功するなど、解決策も芽生えつつあります。

なお、エタノール混合水の比率は水が55%、エタノールが45%となっています。この比率は改質器でエタノール混合水から水素を取り出す際の化学式の主反応によるものだそうで、これ以上水の割合を増やしても反応はするが、効率が悪くなるそう。

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日産が発表した「e-Bio Fuel-Cell」は、100%エタノールもしくは水を混ぜたエタノール混合水を補給する燃料タンクが30L前後で済み、航続可能距離は600km以上。

60%前後という燃焼効率の高さも利点で、ガソリンエンジンが究極的には43〜44%というところを目指すとされていますから、1.5倍以上という効率の高さが目を惹きます。

日産の算出によると、Cセグメントクラスを前提としたランニングコスト(参考値)は、ガソリンエンジン車が9.0円/km、「e-Bio Fuel-Cell」が3.1円/km、EVが2.9円/kmと、EV並のコストで済むうえに、エタノール燃料もしくはエタノール混合水の補給もすぐ完了し、EVのように長時間充電する必要がありません。

ガソリンや水素よりもインフラの制約が低く、自分で補給することも難しくないため、日本だけでなく世界的にガソリンスタンドの減少にも対応できるほか、高純度の水素が必要なPFEC(固体高分子型燃料電池)を採用するトヨタMIRAIやホンダFCXクラリティなどのような高額な水素スタンドの必要もありません。

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日産では、同システムを短距離走行、長時間使用のデリバティブ・ユースを想定。バッテリーEVを軸に、エタノール燃料を使ったレンジエクステンダーEVでトヨタやホンダなどの高純度水素を使ったFCVに対抗する構えを取りつつあるといえそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

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NEDOが「超急速充電」できる2階建てEVバスを実証試験!

経済産業省が所轄するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、重量の制約上、EV化は困難とされていた2階建て大型EVバス(ダブルデッカー)の実証試験をマレーシアで実施するそうです。

NEDO

同機構は2015年度から現地で実施しているEVバスシステム実証事業を通して、マレーシアの都市交通スマート化と、都市交通事業の広域展開を目指しています。

実証試験は東芝、ピューズ、ハセテック、オリエンタルコンサルタンツグローバルの4社、及びマレーシアのバス運行会社であるPAPSB社と共同で行う模様。

NEDOとマレーシアのプトラジャヤ市が6月3日、新たな実証試験で協力して行くことで合意、基本協定書を交わしました。

主な実証内容は以下の3点となっています。

・超急速充電が可能な超寿命二次電池搭載のEVバス走行
・超急速充電システムの現地設置
・バス運行状況モニタリング、電池の品質、充電状態確認

実証試験用の2台のEVダブルデッカー(長さ12m)は、僅か10分間で充電できる「大電力充電技術」を採用、ディーゼルバス並みの運行性能を保有しているといいます。

NEDOは日本の技術を活用し、現地企業とも連携しながら、本事業をショーケース化することで、マレーシアがASEANのEVハブとなることに貢献、都市交通パッケージ事業の広域展開を目指すとしています。

Avanti Yasunori

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リチウムイオン電池内部の反応不均一性を可視化する研究がEVの走行距離を伸ばす!

京都大学大学院 人間・環境学研究科の内本喜晴教授、折笠有基助教(現 立命館大学 准教授)らの研究グループは、リチウムイオン電池内部の反応不均一現象の可視化に成功しました。

これにより、EVの走行距離延長につながると期待されています。

fig1

今回の研究は、京大研究グループが立命館大学、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、株式会社KRIと共同で行ったものです。

現在のリチウムイオン電池の設計はトライ&エラーの要素を多く含んでいますが、今回の成果を用いることで、今後、EVの走行距離延長へ向けたリチウムイオン電池開発が期待されています。

本研究内容は、2016年5月19日午後6時(日本時間)付けで、英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されます。

リチウムイオン電池はEV用のように大型化すると、電池内部の反応不均一現象が電池性能を左右すると考えられていますが、この現象を解析する有効なツールはこれまでありませんでした。

fig2

本研究では、反応不均一現象を可視化するために、2次元データが取得可能なX線吸収分光測定を行いました。また、リチウムイオン電池の電極における、電子伝導率とイオン伝導率の計測手法を確立しました。

fig3

性能が異なるリチウムイオン電池の電極を上記手法によって解析した結果、電極内部の反応不均一性はイオン伝導によって決定されており、これが性能に大きく影響していることを突き止めました。

今回の研究成果はリチウムイオン電池の実用的な設計に貢献し、電池性能の向上に有用です。

前述のように反応の不均一性は大型電池では顕著となるため、自動車用リチウムイオン電池の設計へ適用されることで、走行距離が長く、高い安全性を有する電池の実現につながると期待されます。

(山内 博・画像:国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

トヨタと米スタンフォード大、駆動用バッテリーのコストを半分に!

米スタンフォード大学とトヨタグループの豊田中央研究所が共同で、EVやPHVに使用する駆動用2次バッテリーの価格をリチウムイオン電池の半分以下にできる技術を開発したそうです。

TOYOTA

日経新聞によると、使い切りタイプの「亜鉛電池」をベースに従来の弱点を克服、蓄電池化に成功した模様。

これまでの亜鉛を使う電池には「デンドライト」(樹状析出)と呼ばれる充電時に樹氷のような形状に成長する針状結晶がセパレーターを貫通してショートが発生するなど、蓄電池には応用しにくい課題がありました。

そこで、充電時に発生する針状の亜鉛が電池を破壊しない方向に伸びるよう設計を工夫し、繰り返し充電できるようにしたそうです。

亜鉛を使った電池は電解液を使っているため発火リスクが無く、製造、維持コストを抑制でき、既存設備が使用できることから追加投資も抑えられます。

現行のリチウムイオン電池と同等の性能を維持した上で、価格を半分以下に抑えることができるそうなので、電動車のように大量に電力を使う用途向けに普及しそう。

TOYOTA

一方、リチウムイオン電池にもまだ伸びる余地があり、亜鉛の蓄電池との間で棲み分けが進みそうです。

Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車、豊田中研)

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経産省とトヨタの出身者が生み出した超「カワイイ」EV!

経済産業省出身の伊藤慎介氏と、トヨタ自動車出身のカーデザイナー根津孝太氏によるベンチャー「リモノ(rimOnO)」が先頃、小型EVのプロトタイプを発表しました。

rimOnO

「社会に優しい、小型でスローなモビリティ」を開発テーマに、ユーザーがワクワクするような商品を日本発で生み出したいとの思いで製作。

とにかく「カワイイ」ことを徹底して追求したそうで、同車の開発には三井化学や帝人といった大手企業に加え、楽器メーカーのローランドも参画するなど、異色のコラボとなっています。

<rimOnOのスペック>

・全長2.2m×全幅1.0m×全高1.3mとコンパクト
・大人2人乗り(または大人1人と子供2人)
・着せ替え可能な「布製ボディ」
・交換式のカセット型バッテリー「e-cell」
・目標車重200kg以下(軽量樹脂を活用)
・最高速45km/h(欧州L6e規格に準拠)
・航続距離50km(目標)

プロジェクトを立ち上げたリモノ社の伊藤社長は、京都大学大学院工学部を卒業後、経産省に入省。「EV、PHEVタウン構想」や省エネ住宅「スマートハウス」の政策を担当していたキャリア官僚。

rimOnO

また、同車のデザインを担当した根津取締役は、トヨタ時代にパーソナルモビリティ「i-Unit」や、子供でも乗れるEV「カマッテ」のデザインを担当した人物。

そんな二人が出合ったのは2014年の2月頃で、その後約2年をかけてプロトタイプ製作に漕ぎ着けたそうです。

ちなみに「リモノ」社のネーミングは「乗り物」から「の」を取って命名したもので、従業員は42名、同車の開発には10名が関わっているそうです。

rimOnO

伊藤社長は高齢化社会に対応したコンパクトシティには小型でスローな乗り物が必要であり、街中の細い道を前提に開発したといいます。

ボディ表面は耐光性・防水性・耐火性を持つポリエステル繊維を採用、裏面にはウレタンフォームが入っており、着せ替えにより、色やデザインの変更が可能。

rimOnO

詳細設計やプロトタイプ製作には自動車部品の設計・開発を手掛ける愛知県名古屋市の「ドリームスデザイン」が協力しており、その他にも帝人フロンティアがボディ表皮を、三井化学がボディー・シートの樹脂製骨格部材を提供、ローランドがEV用の走行サウンドを製作しています。

同社では2017年の夏頃までに市販用モデルを作り、販売を予定しているそうです。

ただ、国土交通省における「超小型モビリティ」の実証実検が過去6年間に渡って行われているものの、法整備が未だに進んでいないのが実情。

一方の小型車先進地域のヨーロッパでは「欧州L6e」という規格が有り、原付免許で運転できる定員2名のマイクロEVの販売が可能ですが、日本では認められていません。

rimOnO

フランス、イタリア、スペインなどでは既に2人乗りの量産車が街中を走っており、日本もオープンカフェが立ち並ぶ中、歩行者と共栄共存できる「社会に優しいクルマ」の先進国になれる可能性も。

伊藤社長は元キャリア官僚というバックグランドを活用して「日本版L6e」の実現を呼び掛けているそうです。

rimOnO

同社はまずミニカー規格に適合した1人乗り仕様で発売するそうで、近い将来、日本版L6e規定が誕生すれば、月産1000台を目指し、車両価格40万円を実現したいとしています。

rimOnO

リモノ社ではもっと多くの人たちが気軽に移動できることが、社会全体に「やさしい」と考えており、超小型モビリティの要件では不十分で、欧州に倣った「日本版L6e」の導入を切望しており、今後の動きが注目されます。

Avanti Yasunori ・画像:リモノ)

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テスラ対策!? 日産がリーフに続いてe-NV200を値下げ

発表1週間で約32万台という先行予約を受けたというテスラ・モデル3のインパクトは大きなものがあります。

しかも米国での価格は3万5000ドル〜ということで、1ドル110円で換算すると385万円。移送費や諸経費を入れると多少高くなるとはいえ、日本での売れ行きも気になるところ。

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テスラが登場するまでピュアEV市場をリードしてきた日産は、2016年1月にようやく? 20万台に達する見込みというリリースを出しています。

テスラが凄いのか、日産の踏ん張りをもっと期待しなくてはならないのか分かりませんが、テスラの店舗に行列(日米ともに)ができた写真を見ると前者のような気がします。

登場以来、リーフは度重なる値下げをしてきましたが、今回は商用バンである「e-NV200」の値下げを実施しました。

同モデルは室内の広さや多用途性、EVならではの滑らかな加速性や高い静粛性が好評なだけでなく、最大1,500Wの電力を供給するパワープラグは、電源が無い屋外での電源供給が可能となり、走る蓄電池などの利点があります。

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あくまで個人的な印象ですが、「e-NV200」を街中で見かけることは多いとはいえず、さらに商用ではない乗用ニーズとして使っているケースも多いとは言えなそうです。

今回の価格改定では、ユーザーの裾野を広くするべく価格が見直され、全グレードにおいて価格を値下げ。

国の購入補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金)26万4000円を利用すれば、303万円〜という設定になります。なお、補助金をのぞく価格帯は、329万4000円〜476万7120円です。

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日産によると、全国で約2万3000基を超えた充電インフラが設置完了していて、充電のしやすさもアピールしていますが、サービスエリアや空港の駐車場などの充電ニーズが多い場所でPHVが充電していてピュアEV(主にリーフ)が充電できない、という問題も出てきています。

充電可能な新型プリウスPHVの販売開始も控えており、車両価格の値下げだけでなく充電インフラの拡充もEVの普及にとっては重要な課題になってきているようです。

(塚田勝弘)

ホンダの電動カブは市販の期待も!?【人とくるまのテクノロジー展16】

2015年の東京モーターショーに世界初公開された電動カブ「EV-Cub Concept」が「人とくるまのテクノロジー展2016」にも出展されました。

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カブといえば、1958年に発売された初代スーパーカブ以来、日本だけでなく世界中で愛されていますから、時代に合わせたEV化はぜひ期待したいところ。

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「EV-Cub Concept」は、参考出品のコンセプトカーということで詳細は明らかにされていませんが、家庭のAC100Vで気軽に充電でき、バッテリーも脱着可能。

盗難対策なのかあるいは蓄電池としても想定しているのか分かりませんが、電動アシスト付自転車が人気を集めているいま、発売されればコンシューマ向けとして話題を集めそうです。

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担当者にお話を伺うと、この電動カブ「EV-Cub Concept」は、新聞配達などの商用ニーズではなく、一般ユーザーを想定。さらに、ホンダの仕事外活動から発展したものではなく、市販化も見据えている模様です。

(文/写真 塚田勝弘)

日産がいち早く発動した三菱自とのシナジー戦略とは?

三菱自動車の燃費偽装をきっかけに、同社を傘下に収めることになった日産自動車が、さっそくそのシナジー効果を出すべく動き出しているようです。

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6月24日付けで日産から開発担当トップを送り込み、三菱自動車 開発部門の抜本的な改革に着手するようで、産経新聞によると、それを担うのは日産の元開発担当副社長、山下光彦氏としています。

同社は三菱自への34%出資が完了する10月には会長を送り込む予定。

注目される日産の今後のシナジー戦略は以下となっているようです。

・ルノーの欧米工場を活用して三菱の輸出車を現地生産化
・軽自動車を生産する水島製作所に日産の製造ノウハウ導入
・三菱自の東南アジア販売網を活用して販売をてこ入れ
・EV、PHV開発における両社の役割分担を明確化
・将来的に三菱自からのOEM車種を拡大
・国内外の生産拠点を相互活用

なかでも注目されるのが、開発における役割分担で、今後は日産がEV開発を一貫して担当、三菱自は経営資源をPHV開発に集中させる考えのようです。

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日産はEV「リーフ」の世界累計販売が21万台を超えるなど、EV開発に強みを持っており、PHVは「アウトランダーPHEV」のノウハウを持つ三菱自が得意としていることが背景にあります。

また軽自動車タイプの小型EV開発については既に日産主導で進めている模様。

このように早くも日産はゴーンCEOの号令のもと「マイナス」を「プラス」に転換する作戦を着々と進めつつあるようです。

Avanti Yasunori

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次期「86/BRZ」も富士重工業とトヨタが共同開発、2021年にはEV投入!

先頃社名を2017年4月1日以降「SUBARU」に変更すると発表した富士重工業ですが、同社の吉永社長は提携しているトヨタ自動車と開発面で協力を深める方針を改めて示しました。

SUBARU

これは日経新聞の取材に対して明らかにしたもので、次期「86/BRZ」についても共同で開発するほか、PHVなどの電動車両についてもトヨタの技術を導入することを明言。

吉永社長は「巨額の投資を伴う環境技術を全て自社開発するのは難しい」としており、トヨタからハイブリッド技術で協力を受ける一方、同社のエンジンを搭載した「トヨタ86」「スバルBRZ」の次期モデル開発に向けて協議を進めていることを明らかにするなど、開発面でもトヨタとの協力を続ける考えを示しました。

同社は主力の米国工場でトヨタ車の生産を受託(〜今夏)しており、年内に61万5千台の販売達成に自信を見せています。

また、吉永社長はNHKの取材に対して5年後の2021年をめどに電気自動車を発売するとコメント。走行中に排出するCO2を大幅に抑えるエコカーの開発競争が激しさを増すなか、一旦撤退した電気自動車を再び開発し、発売する方針を明らかにしました。

米カリフォルニア州のZEV(Zero Emission Vehicle)規制が今後更に強化され、富士重も同規制の対象となるため、ZEVを一定以上販売する必要があります。

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ZEV規制では2018年までにカリフォルニア州内で販売する車のうち、16%をゼロエミッション車にするよう、自動車メーカーに義務付けています。

これに対応すべく、同社としてはガソリンモデルのプラットフォームをベースにEVを開発することでコストアップを抑制、車両価格を抑えたい考え。

同社では以前に軽自動車「STELA(ステラ)」にリチウムイオン電池を搭載したEV「スバル プラグイン ステラ」を国内の法人向けにリース販売していましたが、インフラ整備が進まないことや、軽自動車の自社生産から退いたことからEV事業からも撤退した経緯があります。

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今回同社が米国に投入するEVは、その際に蓄積した技術をベースに自社で開発を進めていく方針のようで、吉永社長はどのモデルにEVを設定するかは未定としています。

このように同社では一昨年にお伝えしたEV参入への動きががいよいよ具体的になってきたようです。

Avanti Yasunori

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フェイスリフトを受けた新型テスラ・モデルSの納車が開始

発表から約3週間で40万台に迫るオーダーを受けているテスラ・モデル3。日産・リーフは2015年12月で発売から5年が経ち、2016年1月に20万台に達したところですから、その売れ行きには驚かされます。

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日本では、5月18日にリモート駐車機能「サモン」の無料配信を発表したテスラモーターズジャパンから、フェイスリフトを受けたモデルSの納車が開始されました。

こちらはモデル3ではなく、モデルSのマイナーチェンジ。

最大の見どころはフロントマスクで、黒いノーズコーンを外し、ボディ同色であるフロントマスクになった点で、「T」エンブレムを強調した顔つきとなっています。

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また、新しいフルLEDヘッドランプもトピックスです。

夜間の視界を高める「14 LED 3ポジション ダイナミック ターニングライト」は、「拡散型LEDシグネチャーライトブレード」と「インテークグレート ターンシグナル」により、キリッとした目つきになっています。さらに、オプションでアダプティブヘッドランプの選択も可能。

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サイドは、ボディカラーのサイドロッカーパネルが見どころで、スマートな造形となったリヤディフューザーはスタイリッシュな外観だけでなく、パフォーマンスと効率の向上にも寄与するとしています。

インテリアでは、日本導入が間近なモデルXに採用されている「テスラHEPAフィルター」がオプションで選べるようになったのがポイント。

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同社のテストでは、車内の空気から99.97%の微粒子状汚染ガスをはじめ、アレルギー源、バクテリアなどの汚染物質を事実上完全に排除することが可能だそう。

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ほかにも、標準装備の充電器が従来の40Aから48Aにアップグレードされ、高アンペアの電源に接続すれば、より高速な充電が可能になります。

(文/写真 塚田勝弘)

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「焼酎粕」から作るEV用の超高速充電池を福岡工大が開発!

福岡工業大学工学部の研究室が焼酎製造時に生じる「粕(かす)」を活用した電動車(EV・PHV)用の超高速充電池を開発したと発表しました。

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これまで廃棄に困っていた九州地方で大量に発生する焼酎粕を使って電動車などへの充電時間と地域の環境問題を一気に解決しようというもの。

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同大学では焼酎粕の新たな活用法を開拓、廃棄物を使用するため、低コストなうえに放充電の際に劣化が少なく長期間の使用も可能で、地域の環境保護や産業の活性化が期待できるとしています。

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同充電地は焼酎粕を炭化させ、炭の表面にある微細な隙間に多数のイオンが付着したり放出されたりする現象を利用した「電気二重層キャパシタ」タイプ。

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通常の充電池と比較して貯められる電気の量は少ないものの、短時間で充放電する瞬発力に優れており、繰り返しの使用に非常に強く、HVのブレーキ回生や発進・加速時の大電流の供給に適しているそうです。

製法の工夫により、従来から多く用いられてきたヤシ殻由来の活性炭と比較して、イオンを表面に保持する能力を約13%向上、活性炭を電気二重層キャパシタの電極として応用し、蓄電容量も約20%向上させたとしています。

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焼酎の種類によって蓄えられる電気の量が異なるそうで、今後実用化に向けてさらに研究を進めるそうです。

長時間かかっていた充電が将来「瞬間的に可能になる」というだけに、焼酎粕をキャパシターの材料に活用するというこの興味深い研究、実用化の進展が注目されます。

Avanti Yasunori ・画像:福岡工業大学)

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BMW i3にバッテリー容量を増やした新グレードを設定。アップデートも用意

ドイツ本国において、BMW i3の新グレード「94Ah」の追加が発表されました。

床下にリチウムイオン電池を収める構造はそのままに、バッテリー容積を変えずに総電力量を33kWhまでアップさせることで航続距離を伸ばしたバージョンです。

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従来モデルのバッテリー総電力量は21.8kWh、日本国内でのJC08モードによる航続可能距離は229kmとなっていますが、新しい「94Ah」グレードは欧州サイクルでの航続可能距離を300kmまで延長(従来モデルの欧州サイクル値は190km)しています。

つまり、航続可能距離は1.5倍以上になることが期待できるというわけです。

さらに注目は、従来モデルの所有者に対して33kWhの新バッテリーをインストールする特別なレトロフィット・プログラムを用意するという点でしょう。

なお、従来同様のバッテリーを搭載したモデルも「60Ah」として継続販売。

また、BMW i3の特徴ともいえる2気筒エンジンを搭載したレンジエクステンダー仕様は、60Ah、94Ahいずれにも設定されています。

(山本晋也)

英国向けの小粋なパーソナルEV「e2o」は日本導入もあり?

マヒンドラグループの英国子会社「マヒンドラ インターナショナルUK」が4月15日、4人乗りの小型EV「e2o」を発売しました。

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通勤や買い物に便利なパーソナルEVとして開発されており、5月から納車を開始するそうです。

今回同社が発売したのはエントリーモデルの「City」と上級グレードの「TechX」。

「TechX」ではテレマティクスを搭載、目新しいところでは電欠時にサポートセンターからのリモート操作でバッテリー容量の一部を使えるようにする“Revive”機能(緊急リモート給電システム)を装備しています。

急速充電規格“CHAdeMO(チャデモ)”にも対応しており、約1.5時間で95%まで充電可能、満充電時のEV航続距離は約127km(Revive機能で+13km)、最高速度は100km/hとなっています。

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またスマホ用の「e2oアプリ」を使えば乗車前のエアコン調節、電気料金の安い時間帯を利用しての充電に役立つ充電スケジューラー、充電ステーション検索等が利用可能。

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同車には英国の助成金が適用され、車両価格は「City」が約200万円〜、「TechX」が約240万円〜となっており、電費は月額10ポンド(約1,600円)未満とのことです。

日本発の急速充電規格“CHAdeMO”に対応済みで、しかも英国仕様が右ハンドルということもあり、今後の日本導入の可能性も含めて同社の動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:マヒンドラUK)

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日産が「超小型EV」4台をカスタマイズ!NYショーに出展
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本格水上走行可能な小型EVのベンチャー「FOMM」
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超小型EV トヨタ「i-ROAD(アイロード)」が公道走行へ!
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安川電機、中国で車載電気駆動システム事業の拡大を図る

安川電機は、中国で車載電気駆動システム事業の拡大を図るために、合弁で奇瑞安川電駆動系統有限公司を設立すると発表しました。

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今回の合弁は、中国・安徽省蕪湖市政府、現地でEV車を製造・販売する奇瑞新能源、安川電機の3者の合意によって成立しました。

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これで安川電機は同社のモータ、インバータ技術を応用したEV車の電気駆動システムを中国で拡販する足掛かりを得たことになります。

安川電機は、奇瑞新能源で使用する電気駆動システムに限らず、中国市場のEV車に最適な電気駆動システムを提供したいとしています。

中国では大気汚染対策のためにEV車の拡大が国策で推進されており、今回の合弁事業が今後どのように発展していくかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:安川電機)

トヨタが米大学と共同でコンセプトEV「uBox」を開発!

トヨタ自動車が4月12日、米サウスカロライナ州のクレムゾン大学と共同で若者向けのEVコンセプトカー「uBox」を開発したと発表しました。

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同大学の「Deep Orange」と呼ばれる国際自動車研究センターの大学院生が主体となってコンセプトカーを製作。市場調査に始まり、デザイン、設計、製造までの車両開発全体を2年間に渡って経験したそうです。

TOYOTA_USA_uBox(出展 米国トヨタ)

“ジェネレーションZ”と呼ばれるインターネット世代にアピールできるクルマづくりがテーマで、普段は仕事での移動手段に加えてオフィス代わりにクルマを利用、週末にはレジャーに利用する若手企業家がターゲットとか。

車体にはカーボンファイバーやアルミなどの軽量素材を使用しており、車内を低床化、サイドドアを観音開きにするなど、乗降性に配慮すると共に嵩張る荷物の出し入れや、ビジネス作業を容易にするなどの工夫がなされています。

TOYOTA_USA_uBox(出展 米国トヨタ)

インテリアは3Dプリンターで製作したパーツでカスタマイズが可能。EVならではの利点を活かし、110Vの電源ソケットを設置、電気製品も使用できます。

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今回の学生とのコラボはトヨタにとっても、将来の若い世代がどのようなクルマの使い方をするのか参考になるとともに、学生側も自動車開発全体の流れを習得する良い機会になったようです。

こうした取組みはエンジニアの育成に繋がることから、日本の大学でもカーメーカーと共同でクルマ作りを経験できる機会があると良いかもしれません。

Avanti Yasunori

日本にもEVブームが到来する? 新型テスラ「モデル3」画像ギャラリー

米EVメーカーのテスラが先頃公開した新型EV「モデル3」。

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同車は「ロードスター」、「モデルS」、「モデルX」に続く、第4弾となるもので、発表1週間で33万台を受注するなど、来年終盤の生産開始を前に既に大きな注目を集めています。

内外装ともシンプルなデザインながらも、これまでの「モデルS」、「モデルX」の流れをしっかり引き継いでおり、インテリアにはタブレットタイプの15インチ大型モニターを装備しています。

TESLA_MODEL3

一番の特徴は「モデルS」より20%程度コンパクト化された車体サイズと、ベースグレードで400万円を切る車両価格。

同社はこれまで高級EVを主に人気を獲得、販売台数を伸ばしてきましたが、今回の「モデル3」を手の届き易い価格設定とすることで、ガソリン車から電動車への転換を促し、世界のEV市場を牽引する狙いが有るようです。

TESLA_MODEL3

自動運転機能の搭載や満充電で実質300km以上走れるのも大きな魅力。

創業から僅か10年余りで既に年間販売台数が5万台を超えており、2020年までに年間50万台を目指す同社の原動力となるのがこの「モデル3」。

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日本でも同様に受注を開始しており、日産が年内にも発売を予定しているとされるレンジエクステンダー方式のEV版「ノート」や、自動運転機能を搭載されると予想されるピュアEV、次期「リーフ」なども航続距離を大幅に伸ばすとみられることから、国内でもEVへの注目度が高まる可能性が出て来ました。

関連リンク:テスラが量販EV「モデル3」を発表。1週間で33万台受注!

Avanti Yasunori

テスラが量販EV「モデル3」を発表。1週間で33万台受注!

米EVメーカーのテスラ社を率いるイーロン・マスクCEOが4月7日、5人乗り新型EVセダン「モデル3」の受注が1週間で32.5万台を超えたと発表しました。

TESLA(出展 テスラモーターズ)

受注ベースの売上高は約1.5兆円に上り、1台当たりの平均価格は約460万円(オプション込み)となります。

5つ星の安全性能を持つ車体は「モデルS」と比べると20%程度コンパクトで、0-100km/hは6秒以下、満充電時の航続距離は345km(米国基準)となっています。

オートパイロット機能については段階を踏んで搭載される予定で、インテリアには15インチのタッチスクリーンを装備しています。

世界中で受注を開始しており、もちろん日本でも15万円の予約金を支払えば「モデル3」の発注が可能です。

発表と同時にテスラの販売店の前には多くの予約客が並んだようです。

TESLA_MODEL3(出展 テスラモーターズ)

「モデル3」は2017年終盤に生産が開始されるそうで、米国では約380万円からとリーズナブルな価格で発売される見通し。

同社はこれまで優れた内外装デサインや加速性能、航続距離の長さをウリにした高価格モデルを中心に販売台数を急速に伸ばしてきましたが、今回のモデルは価格を抑えた量販モデル。

TESLA_MODEL3(出展 テスラモーターズ)

パナソニックとの共同出資により、ネバダ州の砂漠に建設中の“ギガファクトリー”と称する巨大な工場でバッテリーを大量生産予定で、30%ものコストセーブを図るなど、車両価格の低減に向けた工夫を織り込んでいます。

米アップルを含め、今後各社からEVなどの電動モデルが登場すると予想されるなか、テスラ社が目標とする2020年の年間生産台数50万台にどこまで「モデル3」が貢献するのかが注目されます。

Avanti Yasunori

EVに強い味方。EVsmartで長距離ドライブの充電計画をカンタン・スピーディに!

ソフトウェアのアユダンテは、EV・PHEV車向け充電スポット検索アプリ【 EVsmart 】(登録商標)ver.1.9をリリースしたと発表しました。

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EVで長距離ドライブをするときに気になるのが、不慣れな地域での充電。充電スポットはどこにあるのか?営業時間は?など心配の種はたくさんあります。

PHEVならばエンジンで充電しながら走行できますが、EVの充電切れは悲劇です。

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そこで、EVで長距離ドライブするときの強い味方になるのが充電スポット検索アプリEVsmartです。EVsmartが面倒なEVの充電計画をカンタン・スピーディに案内してくれます。

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EVsmartには次のような多彩な機能が備えられており、これからも新機能を追加する予定のようです。

・車種で絞り込んで検索できる!
・正確!最新!充電スポットデータ
・地図画面での充電スポット検索
・現在地付近の充電器、地名・住所による充電器検索
・充電スポットの詳細情報
・充電スポットのSNSシェア
・写真・コメント投稿による最新情報の発信・共有
・充電終了時刻の設定とアラーム通知
・現在地からのルート距離距離表示
・『高速道路上の充電器のみ表示』『急速無料のみ表示』などの細かな絞り込み表示の設定
・地図画面にて、24時間営業などひと目で分かるアイコンによる充電スポット
・現在地から選択した充電スポットまでのルート検索機能(Google Map や iOSマップを利用)

(山内 博・画像:アユダンテ)

PSAプジョー・シトロエン・グループが「Groupe PSA」に社名変更。PHVを7車種、EVを4車種投入へ

プジョーとシトロエン、高級ブランドのDS Automobilesを擁するPSAプジョー・シトロエン・グループが社名の変更を発表しました。

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同時に、新経営戦略「Push to Pass」の導入もアナウンスされています。

「Push to Pass」では「最先端の効率を備えた一大自動車メーカーとなること」、「世界で通用し愛されるモビリティサービスを提供し、顧客との関係を生涯にわたり築くこと」という2点が掲げられています。

現在「Groupe PSA(グループPSA)」は、フランス政府に加えて、中国の東風汽車から出資を受けています。

ここ数年で、プジョー308などに代表されるようにライバルに十分対抗できる魅力を備えたモデルがリリースされているだけに、今後ブランドの再浮上を狙うにはEVやPHVなどのエコカーの開発と販売は必須でしょう。

発表された中長期経営目標にもエコカーの開発なども盛り込まれています。

具体的な数値としては、パフォーマンス向上とコストの徹底的な見直しなどにより、「2016年から2018年までの自動車部門における平均営業利益率を4%、2021年に6%を目標とする」というもの。

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ほかにも「26モデルの乗用車と8モデルの商用車を生産し、毎年3ブランドで各リージョンにおいて最低1台のニューモデルを発表する」、「7モデルのプラグイン・ハイブリッドと4モデルの電気自動車、そしてネット接続された自動運転プログラムの導入に代表される、充実した最先端の技術戦略を継続する」などが掲げられています。

新しい社名のGroupe PSA(グループPSA)は、グループが持つ3つのブランド(プジョー、シトロエン、DS)のブランド力を均等に表現したものだそう。

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新社名のロゴは、プジョーデザインラボのクリエイティブ・チームである、グローバル・デザイン・スタジオによってデザインされ、「新たな夜明けを切り開く情熱と野心を象徴し、新しい時代に向けて製品とサービスの進化を体現」されているそうです。

ロゴに使用されているミッドナイトブルーは、たとえば2010年に創業200年を迎えた、自動車メーカーでも世界屈指の歴史を誇るグループの豊かな歴史を裏付けるものとしています(シトロエンは1919年設立)。

(塚田勝弘)

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三菱ふそうの電気トラック「キャンター E-CELL」が次世代の都市内輸送を担う~ドイツで初の実用供試

三菱ふそうトラック・バス(三菱ふそう:MFTBC)は、独シュトゥットガルト市でゼロエミッションの小型電気トラック「キャンター E-CELL」を使って1年間の実用供試を開始したと発表しました。

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今回の実用供試では、シュトゥットガルト市と物流事業会社ヘルメス社に「キャンター E-CELL」5台を提供し、持続可能な都市内配送を追求する、としています。

シュトゥットガルト市に提供される4台のトラックのうち2台はダンプ仕様で道路および都市景観工事に、2台はバン仕様で家財運搬とゴミ収集に、また物流事業会社への車両は都市内配送に使用される、ということです。

4月11日にシュトゥットガルトで行われた実験車両の引渡しイベントで、ダイムラーAG取締役兼トラック・バス部門総責任者のウォルフガング・ベルンハルト氏は、

「都市内短距離輸送において一部の車両を数年以内に電気トラックに移行していくことは技術的・経済的に実現可能です。電気トラック技術のさらなる開発や実用供試を通じ、我々は都市モビリティに貢献していきます」

と挨拶しました。

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MFTBCは2015年にポルトガルで、「キャンター E-CELL」8台の配送実用供試を行いました。

その結果、電気トラックは短距離輸送や都市内配送に有用であることが1年間の実証結果で明らかになった、ということです。

約100キロメートル範囲の配送で航続距離が小型トラックの平均距離を超え、十分な航続距離があることが明らかになりました。また運用コストは従来のディーゼルトラックと比べて最大で64%削減することができました。

EV乗用車に限らず、今後の電気トラックの進歩にも目が離せません。

(山内 博・画像:三菱ふそうトラック・バス)

絶対に倒れない電動バイクの開発に成功!?

四輪と二輪との決定的な違いは、やはり転倒への不安ではないでしょうか?

ところが、そんな不安を克服する斬新なバイクを、アメリカのサンフランシスコを拠点とするLIT MOTORSが開発に成功したのです。それが、この「C-1」です。

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開発に6年の歳月をかけたという「C-1」の最大の特徴は“絶対に倒れない”こと。

搭載される2つのジャイロスコープを用いて実現したジャイロスタビリティシステムにより、衝突時でも瞬時に姿勢を制御。また、乗員保護のためにボディはドライバーを囲むほか、シートベルトやエアバッグなどの安全装備も備わっています。

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なお、パワートレーンは10kWhサイズのバッテリーで航続距離は最大で320km。フル充電には6時間かかるとのこと。

最近、都市圏でのちょっとした移動手段として超小型モビリティに注目が集まっていますが、やはり事故にあった時の不安があるのも事実。日本への導入は未定ですが、“絶対に倒れない”というのは強みと言えるに違いありません。

(今 総一郎)

まるでUFO。日産の電動トラックe-NT400の走りの衝撃は異次元の世界だった

これは素晴らしい! まるでプロペラ機からUFOに乗り換えたみたいな異次元感。

軽トラックからマイクロバスまでたくさんの商用車を集めて開催された日産の商用車大試乗会。

とっかえひっかえいろんな商用車に触れた後、帰りがけに広報スタッフから聞かれたのが「いちばんよかったのはどれですか?」という質問。

「e-NT400に決まっているじゃないですか」とボクは即答しました。

だって凄いんです、e-NT400。ここまで異次元感を味わえるのは、年間200台以上の車に乗る僕だってそう経験できることじゃありません。まるで脳天を貫かれたようなレベルです。

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e-NT400のどこが素晴らしいか。走りが凄いんです。

エンジンをかけるとガラガラガラと荒々しい音を立ててアイドリングする、振動も乗員にたくさん伝わってくる。加速は鈍くてかったるい。

ディーゼルエンジンを積む商用トラックはだいだいそういう感じ。ドライバビリティとか快適と言う言葉は本当に本当に縁遠い。

だけど、e-NT400はそんなトラックらしさがすべてない。「影を潜めている」とか「緩和されている」なんてレベルじゃなくて一切ないんです。これを大革命といわずしてなんと表現したらよいものか。

……なんて書くと大げさだと思うでしょ? でもこれでも控えめに書いているくらいの衝撃だったのです。

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ところで「e-NT200」ってなにか。実はエンジンを取り外してかわりにリーフ譲りの電動ユニットを組み込んだモーターで走る電気トラック。

まだ試作車レベルで発売はしていないけれど、量産化を目指して宅配会社や生協が日産のパートナーとなりモニターで使用しています。

その走りが凄い。見た目が普通のトラックだから動きが鈍いと思うじゃないですか。だけどアクセルを踏み込むとヒューンという甲高いインバーター音(だけどうるさくはない)を発しながら滑るように加速。

それが滑らかなだけじゃなく俊足なのだから最初に見たときは目を疑いましたワタクシ。そのうえ加速感だって伸びやかで爽快。なんだこの見た目のギャップの大きさは。

その様子は言うなれば目を疑う速さで疾走するカバ。その見た目の想像を裏切る感覚が痛快です。もはや異次元の世界。道路を走るUFOですこれは。

そのうえ、メリットは加速感だけじゃないのだからまた素敵。

「EVだから環境にやさしい」なんて優等生的なことを言うつもりはないけれど、アイドリングがないから閑静な住宅街でも音が迷惑にならないし、エンジンの振動がないから乗り心地だっていい。

ドライバーにとってはいかにもトラック的な加減速のクセが少なくて運転しやすい。そして振動がないから精密機械などの荷物がシェイクされずにだってすむ(かもしれない)。

もちろん通常のEV同様に長距離は無理だけど、担当地区を回る宅配会社の集配業務など狭い範囲での使い方には最適です。

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だけどすぐに実用化できないネックがやっぱりあって、そのひとつが航続距離の短さ。いまの仕様(リーフ用24kWバッテリーを搭載)だと実質30キロくらいしか走行距離が持たないのだそうで。

「この倍くらい走れば広く活用できると思うのですが」と開発者は言ってました。まずはリーフ上級仕様用の30kWバッテリー搭載かな。ポテンシャルは高いと思います。

それから高価なバッテリーを積むので価格も安くはない。これも事業者にとっては難しい問題。バッテリー搭載の都合で荷物スペースも狭くなってしまう。

とはいえ、個人的にはこの電気トラックにはとても将来性を感じるし期待したいところ。だって、ガラガラうるさいエンジン音で近所迷惑にならないし、とっても運転しやすいんだから。乗用車よりも電動化のメリットがあるんじゃない?と思っているくらい。

それにしても、あの加速の爽快感は思わず顔がにやけちゃった。トラックなのに。

(工藤貴宏)

豊橋技術科学大学、世界初のバッテリーレスEV・電化道路の走行実験を公開

豊橋技術科学大学は大成建設との共同研究で、バッテリーレス電気自動車(EV)での有人走行実験に世界で初めて成功した、と発表しました。

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走行実験は、一般アスファルト舗装に近い構造で舗装の中に2 本のレール電極板を埋め込んだ電化道路上で、バッテリーを外したEVを電化道路からの電力で走行させる形で行われました。

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同大学は3月18日に、バッテリーレスEVと電化道路の走行実験を報道機関に公開し、
当日は同大学の大平孝教授による説明の後に、約30メートルのテストコースでドライバーが乗車して走行実験を行った、ということです。

実験では、電化道路に埋設した2 本のレール電極板からタイヤを通じて バッテリーレスEV へ走行に必要な高周波電力を送電 することに成功しました。

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今回の実験は、バッテリーレスEVを走行させるという形で行われましたが、この送電技術を利用すれば、走行中のEVやHV・PHVに電化道路から充電することが可能になり、走行中充電への道を拓くものとなります。

(山内 博・画像:豊橋科学技術大学)

次期日産リーフ?「ニッサンIDSコンセプト」を中国初披露

昨年の東京モーターショーにサプライズで出展された日産の「IDSコンセプト」が4月25日から5月4日まで開催される「北京モーターショー2016」で初披露されるほか、プレミアムスポーツセダンを標榜するマキシマも出展されます。

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「IDSコンセプト」は次期リーフか? という噂や見方も一部であるようですが、どう見てもその名のとおり、フルカーボン製ボディを使った外装など、「コンセプト」然とした内・外装になっています。

簡単におさらいすると、完全自動運転と部分自動運転の切り替えが可能など、自動運転を見据えた技術、そして60kWhというリチウムイオン電池は、最新リーフの倍。

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日産では「ゼロ・エミッション」、究極的には死亡事故ゼロを目指す「ゼロ・フェイタリティ」の実現に向けた将来ビジョン「日産インテリジェント・モビリティ」を体現するコンセプトカーとして中国でも提案するとしています。

The all-new 2016 Nissan Maxima, which goes on sale in summer 2015, sets a new standard for style, performance and technology in the mid-size sedan segment.

また、最新のプレミアムスポーツという位置づけのマキシマは、「高品質かつエキサイティングな商品を中国市場にもたらす」という日産のコミットメントを体現する商品として出展。

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2015年の広州国際モーターショーで中国初公開されたマキシマは、洗練されたスポーツカーのようなスタイリングや高い走行性能、 セグメントをリードする先進技術の搭載により、とくに中国のヤングエリートから注目を集めているそうです。

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同車には、セーフティ機能が多数搭載されていて、ラグジュアリーモデルにふさわしい高級感あるインテリアが特徴。

8代目マキシマは、 2015年に米国でのデビュー以来、高い評価を得ているそうで、中国でも、若者をターゲットにした東風日産の「Young Nissan」戦略を強化するモデルとして、販売に寄与するものと期待されています。

(塚田勝弘)

トヨタが立ち乗り電動車「ウイングレット」の公道試乗募集!

トヨタ自動車が一般者を対象にした「Winglet(ウイングレット)」の公道乗車体験会を4月下旬から開始すると発表しました。

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立ち乗り電動二輪車「Winglet」で臨海副都心の公道(歩道)を走行するもので、これまでつくば市や豊田市などの特区に限定されていた公道走行実証実検が昨年7月に全国展開されたことを受けて実施することにしたそうです。

この乗車体験会は今年の4月下旬から毎月土日の2日間を主体に実施予定(参加無料)で、当面1日あたり10名程度の募集を予定しているそうです。

先頭と最後尾にスタッフが付き、隊列を組んで走行する形式となります。

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参加するには原付免許を所持しており、MEGA WEBで所定の運転教育を受講後に発行される「Winglet Pass」を取得していることが条件となります。

ちなみにトヨタによると「Winglet Pass」取得者は既に600名を超えている模様。

同社は実証実験等を通じて、体の重心移動で走行する“Winglet”を操る楽しさや使い勝手の良さをより多くの方に実感してもらうことにより、地域振興・観光振興に貢献するとともに新たなモビリティ社会の構築を目指すとしています。

今回の公道走行実証実検は来年の3月31日まで実施されるそうで、詳しくはトヨタMEGA WEBのホームページに案内が掲載されています。

これから季節が良くなることもあり、風を感じながら「Winglet」で臨海副都心を“ドライブ”するのも良いかもしれません。

Avanti Yasunori

業界最大の14直列セルを実現したリチウムイオン電池二次保護LSI

ラピスセミコンダクタは、EVなどのリチウムイオン電池システムの機能安全を実現する、業界最大の14直列セル、最大80Vに対応したリチウムイオン電池二次保護LSI「ML5232」を開発した、と発表しました。

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新開発のLSI「ML5232」によれば、電池監視システムの機能安全とシステムの小型化を実現することができ、リチウムイオン電池システムの小型化につながる技術といえそうです。

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リチウムイオン電池は、過充電や過放電への対策が欠かせませんが、万が一の対策として、二次保護LSIを使用するケースがますます増えてきています。

二次保護LSIとは、リチウムイオン電池監視システムに搭載される電池監視LSI側のシステムが不具合により機能しなくなった場合に、リチウムイオン電池の事故を防ぐ機能を果たすものです。

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今回開発した「ML5232」は、最大14直列セルまでの検出が可能で、従来の4直列対応の二次保護LSIと比較し、部品点数の大幅に削減と回路の簡略化を実現します。

これまではリチウムイオン電池の二次保護を実現するために、複数の二次保護LSIとその周辺回路が必要でしたが、それらを「ML5232」1個で置き換えることが可能となりました。

EV・HV・PHVなど電動車が増加するにつれて、関連の部品メーカーでリチウムイオン電池システム関連の技術開発が進展しており、今回の二次保護LSIの開発もその一環と言えます。

(山内 博・画像:ラピスセミコンダクタ)

テスラ・モデル3、日本時間3月31日午前10時から予約開始!

アメリカのシリコンバレーを拠点に電気自動車(以下:EV)の開発および製造そして販売を行なっている“テスラモーターズ”。

2008年に登場したスポーツカー「テスラ・ロードスター」をきっかけに、2009年にはセダンの「モデルS」の販売を開始。

同モデルは床下にリチウムイオン電池をぎっしり敷き詰めたことで、航続距離はいずれのグレードでも400kmを上回るなど、従来のガソリンエンジン車と同等の長距離ドライブ性能を獲得。

また、ソフトウェアのアップデートでクルマに新機能をプラスできるのも魅力の一つで、最新のソフトウェアでは自動で車線変更を行うなど、自動での運転を一部可能とし話題となりました。

そんな革新的なテクノロジーが特徴のテスラから、このたび新モデル「モデル3」の販売が日本時間の3月31日(木)からスタートします。ちなみに、世界最速のスタートとなります。

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予約方法は以下の通り。いずれの方法でも予約金として15万円が必要となります。

1:3月31日(木)午前10時から、テスラ青山(東京都港区南青山2-23-8)またはテスラ心斎橋(大阪府大阪市中央区南船場4-2-4)にて

2:日本時間の4月1日午後0時30分からホームページ上にオープンする予約ページから

なお、「モデル3」の生産開始は2017年終盤を予定。

各国のホモロゲーションに対応しつつ、北米西海岸から東海岸、ヨーロッパ、アジア太平洋地域、そして日本を含む右ハンドル市場へ順次納車が予定されています。

(今 総一郎)

日産が「超小型EV」4台をカスタマイズ!NYショーに出展

日産が4月3日までの日程で開催中のニューヨーク国際オートショー16に、「NNMC」(日産ニューモビリティコンセプト)のカスタマイズ車を出展するそうです。

Nissan New Mobility Concept

ベースモデルは日本でもかねてからカーシェアリングの実証実検などが行われているので、実車をご覧になった方も多いかもしれません。

同車はルノーが欧州で販売しているパーソナルEV「TWIZY(トゥイジー)」の日産版で、スリーサイズは全長2,337mm×全幅1,237mm×全高1,453mmとコンパクト。

Nissan New Mobility Concept

車両重量も474kgと軽量で、車内は2名が縦に並んで座るタンデムレイアウトとなっています。

17psのモーターを搭載しており、満充電までの時間は3.5時間。航続距離は約64kmで最高速度は40km/hとなっています。

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そのコンパクトさを活かして駐車車両の隙間に停めることも可能。

Nissan New Mobility Concept

北米日産では色違いのコンセプトモデル4台を出展する予定で、大都市における交通渋滞や排ガスによる大気汚染、駐車場問題を解決するのに有効としています。

Avanti Yasunori

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BMWがEV、PHVなど電動化による新戦略「ナンバーワン・ネクスト」を発表!

BMWが決算報告会で、電動車両と自動運転車の拡大を柱とする2025年までの経営戦略「NUMBER ONE NEXT」(ナンバーワンネクスト)を発表しました。

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「BMW i」ブランドのラインナップを拡充させるほか、デジタル化や自動運転技術の開発を強化予定で、2020年以降に新モデル「iNEXT」を発売する計画といいます。

ハラルド・クルーガー会長の説明によると、2016年からPHVやBMW「i3」に続くピュアEVなど7モデルを投入するとしており、年内にはバッテリー容量の増量により、航続距離を大幅に拡大した「i3」を発売するそうです。

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また既存モデルではPHV「i8」のオープン版(ロードスター)の追加や、「MINI」のPHVを数年内に投入する予定とか。

BMWブランド車についても「BMW i」の技術を採用したPHV「iパフォーマンス」モデルの販売を強化していく考え。

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フラッグシップモデルとなるBMW7シリーズでは「リモートコントロール駐車」や「ジェスチャーコントロール」などを既に実用化しており、今後他のモデルへの展開を予定している模様。

トヨタと共同開発中のFCVについては試験車両で水素1回の充填当たり700kmの航続距離を達成しているそうです。

一方、自動運転車については「Project i 2.0」のもと、高精細デジタル地図、 センサー技術、クラウド技術や人工知能を積極採用、2020年に発売予定。

このようにBMWはEV、PHV、FCVといった様々なシステムを並存させる方針。

エコカーで先行した日本勢もこれまでの「燃費性能」に加えて、欧州勢が得意とする「走り」などの新たな魅力の確保に向けた技術開発が必要になりそうです。

Avanti Yasunori

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IHI、EV向け非接触給電システムを戸建住宅で実証実験

重工大手のIHI(旧:石川島播磨重工業)は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)へ、コネクタなし充電できる非接触給電システムの実用化に向けて、戸建住宅での非接触給電システムの実証実験を実施する、と発表しました。

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(画像出展:三井ホーム)

実証実験では、三井ホームのスマートハウスMIDEAS(千葉県柏市)を非接触給電システムが設置される戸建住宅として、EV, PHV用普通充電器の電力に相当する3.3kWの電力をEVへ非接触で給電した場合の使い勝手を実証します。

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(画像出展:IHI)

非接触給電システムは、コネクタの接続なしで、充電スポットに停車するだけで、充電スポットに設置された送電コイルから車両側の受電コイルへ給電することで車両へ充電することができます。

ただし、車両はいつも同じ位置に駐車するとは限りませんし、実際に使用した場合、どの程度の給電効率になるのかを今回の実証実験で試されることになります。

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(画像出展:IHI)

今回の実験では,IHIの非接触給電システム単体だけではなく、三井ホームMIDEAS のHEMS(家庭内エネルギー管理システム)に非接触給電システムを接続し、戸建住宅のHEMSとの相性や周辺の送電網への影響も検証されることになります。

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(画像出展:IHI)

住宅内のHEMS画面で非接触給電システムへの送電量を表示することができ、タブレット端末に非接触給電システムの充電状態を表示することもできるようです。

IHIでは、2〜3年後の非接触給電システムの実用化を目指して、開発を進めているようです。

(山内 博)

経産省がEV・PHVの普及促進で「ロードマップ」を公表!

経済産業省が3月23日、自動車メーカーや電力会社、大学教授など、幅広い関係者で構成される「EV・PHVロードマップ検討会」でとりまとめた「EV・PHVロードマップ」を公表しました。

TOYOTA_PRIUS_PHV(出展 トヨタ自動車)

次世代自動車「EV」や「PHV」は「FCV」と共にCO2排出削減効果が高く、災害対応等の新たな価値も期待できることから、経産省が普及に向けて2020年までに必要となる戦略について検討を重ねて来たもの。

EV_PHV(出展 経済産業省)

「PHV」はこれまで日本が先行して普及させて来たハイブリッド車に、モーター(EV)走行のための充電機能を持たせたもの。

欧州では「EV・PHV」を次世代自動車の主軸に位置付けており、日本にも多くのモデルを投入するなど、その動きが積極化しています。

EV_PHV

こうした状況を受け、今回公表された「EV・PHVロードマップ」の概要は以下となっています。

・2020年における普及台数目標を最大で100万台に設定
・電欠回避のため、わかりやすい場所に充電器を計画設置
・EV、PHVユーザーが設置費を広く薄く支える仕組みを作る
・国民の4割が居住する共同住宅への充電器設置を促進
・居住者の合意形成を得るための必要情報をガイドブック化

経済産業省は「EV・PHVロードマップ」を「水素・燃料電池戦略ロードマップ」のFCVに関連する部分とともに、今後の次世代自動車戦略の柱としていくそうです。

Avanti Yasunori

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日産は独自のバッテリーで電気自動車の600km走行を目指す

いち早く100%電気自動車「リーフ」を発売するなど、EVの実績を積み重ねている日産自動車。「誰よりも早く、電気自動車の時代を実現する」をテーマに、『EV進化論2016』を発表しています。

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販売開始から5周年を目前にしたマイナーチェンジにより、リーフはバッテリーを進化させ、パッケージを変えずに総電力量を30kWhへと向上。満充電からの航続可能距離を280kmに伸ばしています。

EV進化論2016の第一号では、その新しいリチウムイオンバッテリー開発者が、EV用バッテリーの展望について語っています。

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日産では1992年から自動車用の駆動バッテリーとしてリチウムイオンバッテリーの開発を進めていたといいます。また、リーフなどにも使われているラミネート構造のバッテリーセルは独自に開発した技術と主張するもので、コスト面でもパッケージ面でも有利な構造だということです。

ラミネート構造は強度的に不安に思うかもしれませんが、これまでバッテリーに起因する事故は起きていないというから安心ですし、新しい30kWh仕様に使われているバッテリーでは容量保証も8年間・16万kmへと延長しています。

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着実に進化している電気自動車用の駆動バッテリーですが、満充電からの航続可能距離が280kmというのでは、まだまだエンジン車には届いていません。次なるステップとしては、軽自動車の満タン状態からの航続距離に匹敵する600kmを目指しているといいます。

また、バッテリーの性能は蓄電能力を示す電力量だけではありません。バッテリーから同時に取り出すことのできるパワー(出力)もクルマのパフォーマンスを左右するスペックです。

リーフの30kWhバッテリーパックから瞬間的に取り出すことのできるパワーは、なんと200kWにも達するといいます。すなわち、かつて自主規制値として存在していた280馬力のスポーツカーに匹敵する加速性能を実現することができるだけのポテンシャルがあるというわけです。

さらに航続距離を伸ばすこと、加速性能を高めること。電気自動車の進化を担うバッテリーの伸びしろに期待が高まります。

日産が次期「リーフ」で航続距離500km超えを達成する?

「第7回国際二次電池展」にて、電動車向けバッテリーの開発、製造、販売を手掛ける「AESC」(オートモーティブエナジーサプライ)社がリチウムイオン電池の最新動向をプレゼンテーションしました。

AESCは日産自動車とNECが共同で設立したバッテリーサプライヤーで、展示会では今後の電動車の航続距離拡大の鍵を握る革新技術を紹介。

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それによると同社はEVの航続距離を倍増させる技術に目処を付けているようです。

おりしも昨年6月、日産自動車が株主総会で株主に対してガソリン車並みの航続距離を実現したEV(実検車両)の存在を明らかにしており、日産に電池を供給する「AESC」の出展内容が注目されていました。

NISSAN_LEAF

「AESC」はエネルギー密度を1.3倍以上に向上させたリチウムイオン電池を2018年に製品化する考えのようで、EVの航続距離を現行比で1.5倍から2倍近くにまで伸ばせる見込みとしています。

具体的には正極材に使用している“マンガン酸リチウム”を三元系材料に置き換えることでエネルギー密度を200Wh/kgにまで高める模様。

日産リーフは2010年12月の発売以降、航続距離を年々伸ばしており、発売当初の160km(JC08モード)から5年後の昨年12月には大容量(30kWh)化の実現により、約1.8倍となる280km(JC08モード)にまで拡大しています。

日産が製作した動画の中にも航続距離“544km”という数値が示されており、次期リーフでは500km超えが期待できそうです。

NISSAN_LEAF(出展 日産自動車)

また三菱自動車も2020年までにエネルギー密度を200Wh/kgにまで高めるとしており、これまでEV普及の足かせになっていた“航続距離”問題も2018年を目処に解消されそうな状況に向かいつつあるようです。

Avanti Yasunori

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