Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

脳の中が見える!? ドライバーの脳活動を可視化するウェアラブル光トポグラフィ

日立ハイテクノロジーズは、ドライバーの脳活動を可視化するウェアラブル光トポグラフィを開発しました。

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このウェアラブル光トポグラフィは、人体の前額部に巻き付けるように装着するだけで、簡単に脳活動を可視化することができ、同社ではドライバーの脳活動を自動車の開発に利用することを提案しています。

たとえば

①運転中のドライバーの脳活動を可視化して自動車の挙動に対するドライバーの反応を確かめて自動車の操縦性を改善する

②インパネ回りの装備を操作したときにドライバーの脳活動を確認してインパネのユーザビリティを評価する

③自動車のデザインを見たときにドライバーの脳活動からドライバーのデザインの好みを評価する

などの利用方法を同社では見込んでいます。

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上の画像で赤い部分は、ウェアラブル光トポグラフィで測定した脳の活動が活発な領域を示しています。

ウェアラブル光トポグラフィでは、人体に無害の近赤外光を照射して脳血流量の増減を観察できます。

近赤外光は血中のヘモグロビンに吸収される特性があるため、光が透過しにくくなった領域ほど脳が活性化していることが分かります。

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ウェアラブル光トポグラフィは、脳の司令塔と言われる前額部を計測するように測定装置をハチマキのように装着します。脳の前額部は、高次脳機能といわれる短期記憶・注意・意思決定・思考・行動の制御・情動などを司っていると考えられています。

計測の実例の様子が以下の動画からわかります。

ウェアラブル光トポグラフィで自動車開発にドライバーの脳活動を反映させることができるようになり、新しい開発ツールが登場したことになります。自動運転の開発などで、人間が何気なくやっていることへの解析にも有効なツールとなるかもしれません。

(山内 博・動画、画像:日立ハイテクノロジーズ)

オムロンが運転手の状態をリアルタイムに判定する世界初の車載センサーを開発

オムロンは、運転手の行動や状態をセンシングし、安全運転に適した状態かを判定する「ドライバー運転集中度センシング技術」を搭載した、世界初の車載センサーを開発したと発表しました。

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この車載センサーに搭載されている「ドライバー運転集中度センシング技術」は、画像センシング技術に「時系列ディープラーニング」という最先端のAI(人工知能)技術を組み合わせているということです。

オムロンでは、運転手の健康状態が急変し、運転の継続が困難な状況に陥ってしまうことによる事故の複数発生や、自動運転の実現にむけた運転手の安全運転を支援する技術開発が求められていることを背景に、運転手が安全運転に適した状態かをリアルタイムに判定できる技術開発を進めてきました。

今回の車載センサーのキモである「ドライバー運転集中度センシング技術」は、画像センシング技術に最先端のAI技術「時系列ディープラーニング」を取り入れて、カメラで撮影した映像から、運転手が運転に適した状態かをリアルタイムにレベル分けして判定することができます。

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オムロンは、この技術を搭載した車載センサーを2019年〜2020年に発売される自動運転車などへ搭載することを目指しています。

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新開発の車載センサーの特長は次の3点です。

・運転手の行動/状態をセンシングし、運転に適した状態かをリアルタイムにレベル別に判定できる
・多様な運転手の状態を手のひらサイズのカメラ1台で判定できる
・ネットワーク接続を必要としない車内で完結したシステムでもリアルタイムに判定処理が可能

オムロンは、当技術のデモンストレーションを、2016年6月8日(水)から10日(金)まで開催された「第22回 画像センシングシンポジウム SSII2016」および、2016年6月27日(月)から30日(木)に、アメリカ・ラスベガスで開催される「CVPR Industry Expo 2016」に展示します。

(山内 博・動画、画像:オムロン)