Motor Fan's YEAR 2016

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日立オートモティブシステムズ、11種類の先進運転機能を自動運転ECUに実装しテストコースで実証

自動車部品大手 日立オートモティブシステムズは、同社が開発中の先進運転機能(ADAS)を実装した自動運転ECU(電子制御ユニット)を実証テストしたことを発表しました。

写真は同社の自動運転ECUで、大きさは縦:142mm、横:202mm、高さ:37mmであると公表されています。

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発表によると、 低速先導車追従走行(渋滞運転支援)を含む11種類の先進運転機能を実装した自動運転ECUを車両に搭載し、同社の十勝テストコースで実際に車両を走行させる実証テストで、全ての機能が正常に作動したことを確認したとのこと。同社は2017年7月に自動運転ECUの販売開始を目指しています。

同社が実証テストした先進運転機能は下の表に示す11種類で、このうち8種類のアプリケーションについては、昨年の2015年度までに開発済みで、今回残る3機能の開発が完了したということです。

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今回、新しく開発された3機能は、高速道での渋滞時の走行を支援する、低速の先導車を追従走行する機能TJA(Traffic Jam Assist)、低速域で前車を追い越す機能 LSP(Low Speed Car Passing)、自動で車線変更する機能 ALC(Auto Lane Changing)を自動運転ECUで制御するアプリケーションです。

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すでに8月に新発売された運転支援機能「プロパイロット」を備えた日産セレナに、同社製のADAS ECUが搭載されていると発表しています。日産セレナに搭載されているADAS ECUにも、今回発表されたアプリケーションに類する技術が実装されていると思われます。

(山内 博・画像:日立オートモティブシステムズ)

ホンダが「自動運転」開発方針を転換!Googleと連携へ

2017年1月5日に開幕する国際家電ショー「CES2017」において、人とのコミュニケーションができる「AI」(人工知能)を搭載したEVコンセプトカー「NeuV(ニューヴィー)」をワールドプレミアすると発表したホンダ。

ソフトバンクグループ傘下のcocoro SB株式会社が開発したAI技術「感情エンジン」を、同モデルに搭載しているとして話題になっています。

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そうしたなか同社は、車載用OS「アンドロイド」で結びつきが深いGoogleが立ち上げた「ウェイモ」社と、自動運転技術の共同研究に向けた検討に入ったそうです。

本田技術研究所が12月22日に発表したもので、新聞報道などによると「ウェイモ」が保有する自動運転技術を自社車両に搭載して米国の公道で実証実験する模様。

同社は2020年頃に高速道路での自動運転実用化を目指しており、いち早く実用化に取組んで来たGoogle(ウェイモ)の知見を活用することで、運転手不要の完全自動運転車(レベル4)の早期実現を目指すものとみられます。

トヨタや日産は「コネクテッドカー(つながる車)」分野で米マイクロソフトと提携しており、BMWは米半導体大手のインテルと提携、ボルボも米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズと連携して自動運転車を共同開発しています。

「ウェイモ」も既にFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と同分野で提携するなど、自動車メーカーとの連携により自社技術の標準化を目指しており、自動車メーカーとIT大手との連携が加速するなか、これまでの単独開発から一転、連携戦略で巻き返しに出た、ホンダの今後の動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:HONDA)

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「5G」活用で無人運転バスを遠隔制御!DeNAとドコモが実証実験
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自動運転車の原点は米TVドラマ「ナイトライダー」だった!?
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「完全自動運転」、「自動運転機能搭載で安全」などの文言が広告でNGワードに

12月1日、自動車公正取引協議会が、「完全自動運転」、「自動運転機能搭載で安全」といった文言をCMなどの広告で謳うことをNGとする指針を策定しました。

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この指針の詳細について、自動車公正取引協議会がホームページでも公開しています。それによると、

昨年以降、「ハンドルから手を放し、脇見運転をしている映像」を用いたテレビCMに対し、消費者からは、「危険運転(法令違反)を助長するのではないか」、「完全自動運転が実用化された技術であるかのように勘違いされる」などの意見が当協議会やJARO(日本広告審査機構)にも寄せられています。

これは、批判が集中して打ち切られた、某ミュージシャンを使ったフォルクスワーゲンup!、そして「やっちゃえNISSAN」の日産リーフのCMがそうでしょう。

今回のNGワードの設定により、今後CMなどがどうなるかというと、

1:自動運転機能(レベル2、準自動走行(ドライバー責任)について表示する場合は、自動 運転機能の限界や注意点、「機能を過信せず、責任を持って安全運転を行う必要がある旨」を表示することを義務付ける

2:実際には完全な自動運転ではないにもかかわらず、完全な自動運転であるなど、自動運転機能について、実際のものよりも優良であるかのように誤認(過信)させるおそれのある表示、映像 表現を不当表示として禁止する

としています。

今回の「完全自動運転」、「自動運転機能搭載で安全」だけでなく、「自動ブレーキ」を連呼する姿勢もまた小さな字で注釈入りだとしても問われるべきでしょう。また、某社が「自動ブレーキ標準装備」とCMで謳っていたことに関しても、他の自動車メーカーの関係者が「見識がない」とバッサリ切ったことを聞いたことがあります。

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今回の指針により、自動車メーカーにとって最も大切であるはずの「安全」をマーケティング主導で軽視する姿勢は、自動車メーカー(14社)も維持会員となっている自動車公正取引協議会から否定されたことになります。

自動運転関連技術は、事故を減らす重要なものであるのはいうまでもなく、高級車だけでない多くのクルマに搭載する姿勢は「見識」があるといえる一方で、訴求の方法が厳しく問われることになります。

(塚田勝弘)

ホンダ、米ウェイモ社と自動運転の共同研究を検討開始

ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所は22日、グーグルの親会社 アルファベット社の自動運転研究開発子会社であるウェイモ社(Waymo)と、米国で自動運転分野の共同研究を行う検討を開始したと発表しました。

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今後両社は、ウェイモ社の自動運転向けセンサーやソフトウェア、車載コンピューターなどをホンダの車両へ搭載し、共同で米国での公道実証実験を実施するとしています。

ウェイモ社は、先日の設立ステートメントで米国の4都市(カリフォルニア州マウンテンビュー、テキサス州オースティン、ワシントン州カークランド、アリゾナ州フェニックス)で自動運転車の公道実験を実施していると公表しており、ウェイモ社の公道実験に、ホンダとウェイモ社が共同開発した車両も参加する形になる模様です。

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ホンダは、現在2020年に自動運転を実用化するロードマップを公表して技術開発を続けており、今回のウェイモ社との共同研究で、自社とは異なるウェイモ社の自動運転へのアプローチを学んで自動運転技術の幅を広げることを目論んでいると考えられます。

一方、ウェイモ社では現在、FCA(Fiat Chrysler Automobiles)グループとも自動運転技術の提携が進行しており、それに加えて今回ウェイモ社は、もうひとつの既存の自動車メーカーであるホンダとの共同実験を進めることが明らかになりました。

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このことからウェイモ社は、今後FCAグループ、ホンダ以外にも他の自動車メーカーとの連携を進めて、自社の自動運転技術をブラッシュアップする方針であることが伺えます。

(山内 博・画像:ホンダ、ウェイモ社)

ADAS・自動運転向けの次世代画像認識システムをデンソーとモルフォが共同開発

画像認識技術のモルフォは、デンソーと共同で研究開発中のディープ・ニューラル・ネットワーク(Deep Neural Network:DNN)による画像認識技術のアルゴリズムが、高度運転支援(ADAS)および自動運転技術向けの次世代画像認識システムに応用されることになったと発表しました。

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上の画像は、DNNを用いた画像認識のイメージで、上段が入力画像を示し、下段がDNNを用いて対象物を判別した画像を示しています。

自動運転を実現するには、障害物や標示、車両が走行するためのフリースペース、また危険が予想されるシーンの認識など、周囲の状況を認識する必要があります。従来、画像認識で使われていたパターン認識や機械学習では、認識が必要な対象物を人為的に特徴づけ、あらかじめ学習させる必要がありました。

これに対して、今回のDNNを用いた画像認識は、自ら対象物の特徴を抽出し学習することができ、多様な対象物を認識でき、検知精度も飛躍的に向上するということです。

モルフォは画像認識技術に特化した研究開発型企業で、同社とデンソーは、昨年2015年12月11日の資本業務提携に合意し、DNNによる画像認識技術に関して、共同で研究開発中でした。

デンソーが開発を進めている次世代技術の電子ミラーや周辺監視システムでも、モルフォの画像処理技術を応用して画像認識の技術開発が進んでいる、ということです。

(山内 博・画像:モルフォ)

ホンダがGoogleと自動運転技術の共同研究を開始!

交通事故を減らし、多くの人に自由な移動をもたらすと期待されている自動運転。ホンダの自動運転技術に大きな進展がありそうです。

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同社のR&D部門である本田技術研究所が、Google 系の自動運転技術研究会社Waymo(ウェイモ社)と自動運転技術領域の共同研究に向けた検討を開始したことを発表しています。

Googleの自律走行車に用いられてきた技術を進化させている、ウェイモ社のセンサーやソフトウェア、車載コンピューターとホンダの車両を組み合わせ、アメリカで拡大することが予想されている公道実証実験に使用するということです。

独自に自動運転の研究・開発を進めているホンダですが、Googleとの共同研究によりブレークスルーと実用化へ加速することが期待されます。

※写真はホンダの先進安全技術「ホンダセンシング」の試験風景

(山本晋也)【関連記事】

トヨタ、日産、ホンダが伊勢志摩サミットで最新の自動運転車両を披露
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自動運転技術を睨んだホンダの次世代コクピット【ロサンゼルスオートショー16】
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ホンダがアメリカで自動運転車を発表。フラッグシップがベースだが、込められた想いは…
http://clicccar.com/2016/06/03/376235/

未来のアコードは自動運転でGo! ホンダ「AC-X」 【東京モーターショー】
http://clicccar.com/2011/11/30/87712/

Googleが自社製の自動走行車で公道テストをスタート!
http://clicccar.com/2015/05/19/307799/

自動車業界の巨人・ゼネラルモーターズが、自動運転の生産計画を発表!

アメリカでの自動運転に大きな進展がありそうです。

世界的自動車メーカーであり、先行技術の進度でも知られるゼネラルモーターズが、2017年からミシガンの組み立て工場にて、次世代自律走行車の生産を行なうことを発表しました。

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現在はテクニカルセンター内でのテストにとどまっているゼネラルモーターズの自動運転技術ですが、自律走行車に関する法整備を受けて、公道での走行実験を始めるということです。

現在テストされている自律走行車は、電気自動車「Bolt」をベースにしたもので、LIDAR(赤外線センサー)やカメラを備えています。それらのデバイスは信頼性においても量産レベルに達しているもので、より安全な移動に寄与できるということです。

(山本晋也)

アウディ、人工知能専門家会議でディープラーニングによる自動駐車を実演

アウディは、バルセロナで12月5日から12月10日まで開催された人工知能専門家会議で、Audi Q2の1/8スケールモデルカーを使用してディープラーニングによる自動駐車の実演を披露しました。

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アウディが自動駐車を実演したのは「神経情報処理システム(NIPS)に関する国際会議及びワークショップ」で、アウディは同会議に自動車メーカーで唯一参加しています。この会議で縮尺モデルながら、クルマ自身が人工知能でパーキングの方法を学んでいく過程を紹介しました。

Audi Q2 deep learning concept , model car on a scale of 1:8

アウディでは、自己学習システムを自動運転を実現するための人工知能分野で重要なテクノロジーと捉えており、自己学習システムのノウハウを蓄積してきました。

今回、Audi Q2の8分の1スケールのモデルカー「Audi Q2ディープラーニング コンセプト」を使って、広さ3×3メートルのスペースのなかで、モデルカーが人工知能を働かせて金属フレームで囲まれた駐車スペースを探って発見し、パーキング作業を完了する様子を実演しました。

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Audi Q2ディープラーニング コンセプトには、前方用と後方用の2つの単機能カメラと、車体の各所に設置された合計10個の超音波センサーからなるセンサーシステムが搭載されています。センサーシステムからのデータは、車載のセントラルコンピューターが自己学習システムで分析して、ステアリングや電気モーターを動かす信号に変換します。

デモンストレーションでは、システムが最初に駐車スペースと自車の位置関係を把握し、目的の場所である正しい駐車位置に車体を移動するためにはどうしたらいいかを自己学習して、始めにはエラーが多く発生しても、次第にエラーを減らして、クルマを駐車させていく様子が映されています。

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Audi Q2ディープラーニング コンセプトは、ドイツのガイマースハイムが本拠のアウディの子会社「アウディ エレクトロニクス ヴェンチャー(AEV)」が先行開発プロジェクトとして製作しました。次の段階では、モデルカーではなく実際の自動車を使って、駐車スペースを探すプロセスを検証する予定。

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アウディは、画像認識の分野で世界をリードするイスラエルのMobileye(モービルアイ)と連携しており、ディープラーニング(深層学習)を利用した環境認識システムのソフトウェアを、共同で開発中であることも明らかにしました。

アウディはこのソフトウェアを、2017年に発売する新型Audi A8の「セントラル ドライバーアシスタンス コントローラー」(zFAS)に初めて採用する予定としています。このzFASのハードウェア開発については、米NVIDIAがパートナーとして参画しています。

今回の実演では、モデルカーによるデモンストレーションでしたが、アウディが開発中の技術が実車に搭載されると、渋滞時の自動運転や自動パーキングといった機能が市販車で実現することになります。

今後、アウディ以外のメーカーも続々と自動運転や自動パーキングを搭載したモデルを発売することが予想され、期待が膨らんでいます。

(山内 博・画像、動画:アウディ)

会話できるEVコミューター「NeuV」をホンダが出展!【CES 2017】

ホンダが12月6日、ネバダ州ラスベガス市で2017年1月5日に開幕する国際家電ショー「CES2017」で、人とのコミュニケーションができる「AI」(人工知能)を搭載したEVコンセプトカー「NeuV(ニューヴィー)」をワールドプレミアすると発表しました。

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「NeuV」にはAI技術「感情エンジン」が搭載されており、自動運転機能も備えたコンセプトカーとなっています。

「感情エンジン」は、ソフトバンクグループ傘下のcocoro SB株式会社が開発したAI技術で、パーソナルロボット「ペッパー」に搭載されていることでもお馴染みの技術。

同社は、1980年代の米TVドラマ「ナイトライダー」に登場したドライバーと会話できるクルマ「ナイト2000」に搭載されていたAI「K.I.T.T.」のような技術の実現を目指しているのかもしれません。

その他にも、パーソナルモビリティ「UNI-CUB β」の体験試乗コーナーや、コネクティッドカー技術でスムーズな交通の流れを実現する提案、米カリフォルニア州シリコンバレーの情報技術研究開発拠点Honda Silicon Valley Labで取り組んでいる車載エンターテイメント技術など、様々な展示を行うとしており、同社の最新技術に世界の注目が集まりそうです。

Avanti Yasunori・画像:HONDA)

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http://clicccar.com/2014/10/22/274072/

【関連サイト】

HONDA USA
http://www.multivu.com/players/English/7988331-honda-ces-cooperative-mobility-ecosystem/

CES2017
http://www.ces.tech/

日産・追浜工場でリーフを使った無人搬送システムが稼働中!

日産が、自動運転技術を活用した無人搬送システム 「Intelligent Vehicle Towing(インテリジェント ビークル トーイング)」を追浜工場に導入していることを発表しました。

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すでに1年前から試験をしてきたという「インテリジェント ビークル トーイング」は、自動運転機能を備えた電気自動車「リーフ」をベースの牽引車を使った完成車無人搬送システムで、一度に最大3台のクルマを運ぶというもの。

台車へのクルマの載せ降ろしは人間が行ない、そこから構内の移動を無人運転で行ないます。

自動運転技術としては、複数のカメラとレーザースキャナーにより白線、路肩、障害物などの情報と地図データを組み合わせたもの。また、管制センターから緊急停止させることも可能ということです。

自動運転の基準としては、もっとも高度といえる「無人走行」を、クローズドエリアとはいえ、実用化した日産の自動運転技術。これにより、車両搬送のスタッフを減らすことができ、労働人口減少に対するソリューションのひとつとして考えているということです。

(山本晋也)

パナソニックが2020年までに自動運転式小型EVを製品化!

米テスラモーターズにEV用バッテリーを全面供給するなど、自動車関連事業を拡大中のパナソニックが、完全自動運転式の2人乗りパーソナルEVを自社開発、2020年までに製品化を目指しているそうです。

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同社は自動車関連事業を新たな成長分野として位置付けており、これまで培ってきたカメラセンサーの技術を活かそうと、昨年10月に自動運転技術開発のためのプロジェクトチームを設置。

報道によると、既に試作車を完成させており、横浜市にある自社テストコースで走行試験を繰り返しているようです。

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AI(人工知能)によるディープラーニング(深層学習)により、ドライビング経験を積むにつれて運転が上達する仕組みを採用。

死角を無くすため、高感度カメラセンサーを5基搭載しており、同社が得意とする防犯カメラのセンシング技術や画像解析技術を応用、周囲360度の映像を解析しながら走行します。

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車両の周囲10mの範囲に存在する人や自転車などの動きを高精度に検知・予測。夜間や大雪、濃霧でも自律走行が可能で、40km/h以下の速度で1-2kmの圏内を走行するパーソナルEVを目指している模様。

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来年からは本社がある大阪府門真市で公道試験を予定。人やクルマが行き交う実環境の中で、路車間や歩車間通信を含めた実証実験を予定しているそうです。

培った自動運転技術はパーソナルEVの他にも農業機械や鉱山用ダンプ、物流施設向けの無人走行システムとしても活かす考えとか。

日本国内では自動車業界にとどまらず、東芝やソニーなどの大手電機メーカーやレーザー技術を得意とするパイオニアなどが、これまで培ってきた技術を活かして新たなビジネスチャンスを掴もうと、 車載用のカメラセンサーなどを中心とした自動運転関連事業の強化に相次いで乗り出しています。

そうしたなか、パナソニックは自動車メーカーが開発中の完全自動運転車と競合しないジャンルの近距離移動用のパーソナルEVにターゲットを絞り、複数台の試作車による走行テストを実施している点で、競合メーカーを一歩リードしているといえそうです。

Avanti Yasunori・画像:Panasonic)【関連記事】

霧や逆光を見通す「電子の目」を搭載した自動運転車をパナソニックが公開!
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【関連リンク】

Panasonic Camera
http://www.js-sys.com/product/panasonic/

「5G」活用で無人運転バスを遠隔制御!DeNAとドコモが実証実験を実施

ディー・エヌ・エー(DeNA)とNTTドコモが、「5G」(第5世代移動通信方式)活用による自動運転車両の遠隔制御に向けた実証実験を共同で進めると発表しました。

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この実証実検は、DeNAの自動運転技術を使ったモビリティーサービスのノウハウと、ドコモのLTEや5Gのノウハウを組み合わせることで、遠隔地からの自動運転車両の制御に加え、運転状況の監視や乗客へのサポートの実現を目的としています。

DeNAでは仏イージーマイル社が開発した「ロボットシャトル」を使い、大型ショッピングセンターに隣接する公園内で今年の8月から試験運用を開始するなど、実用化に向けた実証実検を重ねており、各地で乗車体験会を開催。

また今月13日には、内閣府が秋田県仙北市の県道を使い、同バスに地元の乗客を実際に乗せて国内初となる公道を使った自動運転走行を実施しました。

今後DeNAとNTTドコモは、自動運転車両に複数のカメラを設置、周辺環境情報を高精細な映像で取得し、「5G」により瞬時に情報を伝送する実験を共同でスタートさせる計画。

次世代の移動通信方式「5G」は10Gbpsを超える超高速通信により、飛躍的な通信容量の拡大が可能となり、これを無人運転バスの遠隔制御に活用することで、より安心・安全な運行サービスが期待されます。

Avanti Yasunori・画像:DeNA、Docomo)

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「ペダルの踏み間違い事故」が激減する!? 町工場から画期的なアイテムが登場!

最近耳にする機会が増えている高齢者による歩行者等への加害事故。

人は年齢を重ねるごとに老化が進み、反射神経や視力の衰えからくる対応能力の低下から、誰しもが常に危険と隣り合わせの状態にあります。

中でも「ペダルの踏み間違い」による事故は、年間6,000件を超える規模で発生しており、その多くがコンビニやショッピングセンターなどの駐車場内での発進・後退時に起きているそうです。

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MT車の場合、運転時に常にギアの選択や、頻繁なペダル操作が必要だけに、脳が活性化される傾向にありますが、AT車が主流の現在では運転が「安楽化」しており、その副作用として「うっかり」や「ボンヤリ」による事故が増える傾向にあるようです。

「ペダルの踏み間違い」による事故は、実は「踏み換え忘れ」により発生しているといいます。運転時にパニック状態に陥ると、アクセルからブレーキへの踏み換え操作が省かれ、ブレーキを強く踏んだつもりが、実際にはアクセルを強く踏み続けることになってしまうようです。

当然クルマは急加速しますが、ドライバーは意図しない加速が発生したと勘違いし、その恐怖から、さらにアクセルペダル(ブレーキのつもり)を踏み続けることに……

そこで重要になってくるのが、こうした操作ミスの未然防止。現状のAT車に何らかの工夫を施す必要性が高まっていることから、最近では低コストで後付けが可能な画期的な発明品が登場しています。

その一つがナンキ工業が開発した「STOPペダル」。

例えペダルを踏み間違えたとても、前進、後退のどちらの場合でもクルマが止まる仕組みで、同社ではこの開発品を100台ほど生産し、希望者に無料提供していくそうです。

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また、熊本県の町工場、ナルセ機材からはアクセルとブレーキを一体化した「ワンペダル」と称する発明品が登場しています。

ペダルの踏み換え操作を不要にしたもので、操作方法は至って簡単。

ぺダルを踏めばブレーキが作動、足を横にずらせばアクセルが作動し、アクセルONの状態でブレーキを踏めばアクセルが解除される仕組みになっています。

ペダルを踏む操作をブレーキに限定することで、踏み間違える可能性を排除したという訳です。

最近では20代のドライバーでもペダルの踏み間違い事故が多発しているそうで、もはやこうした対策の必要性は高齢者だけに留まらない状況。

究極の対策としてAI(人工知能)を使った「自動運転車」が研究される一方で、こうした身近で即効性が期待できる打開策が、自動車メーカー側から一刻も早く提案されることを望まずにはいられません。

Avanti Yasunori

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安倍首相、高齢ドライバーによる加害事故多発で対策指示!
http://clicccar.com/2016/11/17/417457/

高齢者の踏み間違い事故への救世主となるか?「ワンペダルフィーリング」
http://clicccar.com/2016/11/14/416892/

【関連リンク】

ナルセ機材有限会社「ワンペダル」
http://www.onepedal.co.jp/

デンソーが車両電子システムのプロセッサ開発を強化のため、イマジネーションテクノロジーズ社と共同研究を開始。

デンソーは、英国の半導体メーカー イマジネーションテクノロジーズ社とプロセッサ(CPU)内で、複数のタスクを並行処理する際の処理能力を高めることができる「ハードウェア・マルチスレッド(Hardware Multi-thread)機能」(マルチスレッド機能)についての共同研究を開始すると発表しました。

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高度運転支援(ADAS)や自動運転技術の技術開発が進む中、自動車の電子制御が進展し、自動車には多数のコンピューターが組み込まれていることは読者の皆さんもよくご存知だと思います。そのなかでデンソーとイマジネーションテクノロジーズ社が行う今回の共同研究のテーマであるマルチスレッド機能とはどんな技術なのでしょうか?

CPUのマルチ化というと、すぐ思い当たるのはパソコン用CPUでおなじみのマルチタスク技術です。このマルチタスク技術は、インテル社のCOREプロセッサに代表されるマルチ・コアCPUに採用されており、複数の処理を同時にこなすことができます。

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マルチタスク技術では、上図のように複数の処理を2つのCPUで分担して処理し、複数のタスクを同時に処理する能力を向上させています。

ところが、マルチタスク技術で2つのCPUが分担するタスクはあらかじめ固定されており、処理能力向上に限界がありました。

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そこで、登場したのがマルチスレッド機能で、上図のように複数のタスクをどちらのCPUに分担させるかを、アプリケーションとOSの側で決定し振り分けるようにして、空いているCPUの能力を最大活用することが特徴です。

一方、車載CPUの分野では、ADASや自動運転のように、CPUには車両の動き全体を制御する能力が要求され、従来より高速で反応できるCPUが必要になっており、CPUの処理能力向上がADASや自動運転の性能向上に直結するようになっています。

このような車載CPUを巡る事情からデンソーは、CPUの「マルチスレッド機能」で世界をリードする技術を持っているイマジネーションテクノロジーズ社との共同研究で、エンジン制御用CPUである複数のECU間を接続する機能を中心にマルチスレッド機能をより効率的に車載CPUに利用することを目指しています。

(山内 博・画像:デンソー、NATIONAL INSTRUMENTS社)

安倍首相、高齢ドライバーによる加害事故多発で対策を指示!

高齢ドライバーによる加害事故が日々報道されるなか、11月15日に総理官邸で開かれた閣僚会議で、安倍総理が石井国土交通大臣、加藤一億総活躍担当大臣らを交え、事故の未然防止に向けた対策について協議したそうです。

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安倍総理は、来年3月に施行を予定している認知症対策を強化した改正道路交通法の円滑な施行に万全を期すとともに、自動車の運転に不安を感じる高齢者の移動手段の確保など、社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備を着実に進めていくとしています。

新聞報道によると、総理は今後も高齢ドライバーの一層の増加が見込まれることから、取り得る対策を早急に講じ、喫緊の課題に一丸となって取り組むことで、事故防止に向けた対策を積極的に講じるよう指示した模様。

その一方で、交通網が脆弱な地方や山間部に住む高齢者にとっては、クルマが生活の足となっており、免許更新時の認知機能検査の強化や免許の自主返納だけでは解決し得ない課題になっています。

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政府は同日、こうした状況を受け、高速道路や一般道を利用して、自動車メーカーや部品メーカー、大学などと共同で大規模な自動運転の実証実験を行うと発表しました。

記者会見に臨んだ鶴保科学技術担当相は「高齢化が進んで運転したくてもできない人が増えてくる。ニーズは計り知れない」と述べたそうです。

実証実検は2017年9月頃から2019年3月末までに及び、首都高のほか、東名高速道路や新東名高速道路、常磐自動車道などの自動車専用道路計約300Kmの区間と、東京臨海地域の一般道、経済産業省が整備中のテストコースなどで実施する予定になっているそうで、海外の自動車メーカーにも参加を呼び掛けるそうです。

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基本的に人は年齢を重ねるにつれ、「老化」による認知・判断力の低下からは誰一人として逃れることができません。

従って、高齢化による事故の未然防止においては、難易度が高い「完全自動運転車」の実現をただ待つのではなく、その過程で普及できそうな運転支援機能(例:逆走防止やペダルの踏み間違い防止など)から順次、市販車に搭載していく必要が有ります。

また、それらの機能は別枠のオプション設定にするのではなく、標準仕様化してこそ効力を発揮するだけに、自動車メーカーにはコストダウンへの努力が求められます。

今後、ますます高齢化社会が表面化するなか、それに伴う加害事故未然防止への努力で成果を出した企業が業績を伸ばす時代になると予想されます。

Avanti Yasunori

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「自動運転」の国際基準作りで政府が国連会議を主導か?
http://clicccar.com/2016/09/06/397570/

2020年に「先進運転支援システム」市場が1.4兆円規模に!
http://clicccar.com/2016/07/22/386990/

ヴァレオの自動運転車「Cruise4U」がヨーロッパ一周13000キロの公道実証走行へ出発

欧州の自動車部品大手・ヴァレオは、同社の自動運転車「ヴァレオ Cruise4U(クルーズ4U)」が10月26日にヨーロッパ一周の公道実証走行へ出発したと発表しました。

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ヴァレオ Cruise4Uは、一年前のフラン ス一周、今夏の米国一周、一カ月前のパリ環状道路 24 時間走行に続いて、5 週間かけて欧州の主要地を巡る13000キロの公道を自動運転で実証走行することになります。

今回の自動運転による公道実証走行は、まず英国からスタート。エジンバラからプリマスまで走行した後、大陸に渡り、ドイツでベルリン、カールスルーエ、ミュンヘンなどの都市を走行して、オランダのアムステルダムで U ターン。チェコ・プラハまで走行した後、フランスとスペインを走行し、 セビリアからパリに戻るというコースを巡ります。

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ヴァレオ Cruise4Uがどのような自動運転システムを備えているかは発表されていませんが、今回ヨーロッパ一周・6カ国を自動運転モードで走行することで、ドライバーの代わりに運転操作を担うヴァレオが開発したソフトウェアを実際の道路状況の中でテストする絶好の機会が得られるとしています。

(山内 博・画像:ヴァレオ)

自動運転に対応する日本初の自動車保険特約を東京海上日動が発表。来年4月から導入

自動運転システムの開発・市場投入が続いていますが、システムを搭載した車を使用するときに気になるのは、万一の事故のときに自動車保険が使えるのか、という点ではないでしょうか。

今回、自動運転システムに対応する日本初の自動車保険が、東京海上日動火災保険から登場しました。

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同社では、自動運転中に発生した事故に対して、保険金を支払う新特約制度の新設を発表。来年4月以降に契約・更新される全自動車保険に無料で付与されます。

従来の自動車保険では、自動車側の不具合で事故が発生した場合には、ドライバーに過失が無くても保険金は支払われず、自動車メーカーに別途損害賠償を請求するしか被害が救済される方法はありませんでした。

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新特約では、自動運転システムが作動しているときに事故が発生した場合、ドライバーの過失の有無が不明の段階でも保険金が支払われ、被害を迅速に救済できるようにしたことが特徴です。

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保険金が支払われた後に、自動車メーカーに責任がある場合には同社がメーカーに対して賠償請求を行い、ドライバーに責任があるとなった場合には通常の賠償責任保険などの仕組みを使って補償されることになります。

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東京海上日動火災保険が新特約を設定したのは、これまで何らかの自動運転システムを搭載している市販車は、米テスラ・モーターズなどの一部高級車に限られていましたが、日産が「セレナ」に高速道路で同一車線を維持するシステムが搭載されたように、大衆車でも自動運転システムを搭載する車種が増えてきていることに対応したものと考えられます。

(山内 博・画像:ボッシュ、日産自動車)

東芝がコネクテッドカー・自動運転車対応のソフトウエアプラットフォームを販売開始。電機大手の車載機器事業進出が続く

東芝は、コネクッテドカー・自動運転車に対応するソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」の販売開始を発表しました。

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先日は日立グループの日立オートモティブが自動運転技術への進出を発表するなど、電機大手の車載機器事業進出が続いています。

東芝のソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」は、自動車や二輪車はもちろん、建設機械、農業機械などを含む多様な車両や機械・機器で行う移動体通信に対応できるIoTデータを扱う車載機器向けの次世代テレマティクスを実現するための通信制御ソフトウエアプラットフォーム。自動車・二輪車だけに限らず、幅広い移動体通信全体をカバーできることが目新しい点です。

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たとえば建設機械の移動体通信に関しては、パワーショベルなどの建設機械にGPS端末を搭載して端末からの位置情報を利用することで、一時新聞紙上をにぎわした盗難建設機械によるATM破壊事件が激減したというセキュリティ面での事例があり、このような建設機械を含めた幅広い車載機器向けの次世代テレマティクスに対応できます。

東芝のソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」の特長は、①車載ネットワーク側の機器とクラウド間通信のセキュリティ機能、②通信状態の監視して通信経路を選択・自動切り換えする機能、③クラウド選択機能で通信コストを低減、④通信切断時でも継続したサービスが可能、⑤データバッファリング機能でクラウドへの再送信を実現する機能を備えていることです。

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東芝は、自社が保有する組込みソフトウエア開発、ICカード技術などの産業機器、通信・制御技術、セキュリティ技術を活用して、車載IoTシステム・機器でのソフトウエア開発から、安全なクラウドの構築・提供までをトータルで対応できる広範囲な車両・機械・機器間をつなぐ移動体通信の制御ソフトウエアプラットフォームを手掛けることになります。

電機大手は、従来の電機業界での収益減少に対応して車載機器事業へ進出する事例が続いており、電機業界各社の車載機器事業への進出に注目が集まっています。

(山内 博・画像:東芝)

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デンソーがソニー製イメージセンサーを使用して車載用画像センサーを高性能化
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日立オートモティブとルネサスの2社が相次いで自動運転関連技術への対応を発表
http://clicccar.com/2016/10/31/412672/

米Uberが自動運転の長距離トラックでビール5万本を配送!

Uberの子会社「Otto」が、自動運転トラックで5万本のバドワイザービールの長距離配送に成功したそうです。

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このトラックは、完全自動運転が可能な「レベル4」を満たしているそうですが、複雑な交差点が存在する一般道ではドライバーが運転を担当。ハイウェイに入ると、ドライバーは運転席後方の仮眠用スペースに移動して自動運転中の様子を確認。

Uber-Otto

トラックは安全な車間距離を維持し、システムが必要と判断した際に車線変更を実行、コロラド州フォート・コリンズからコロラド・スプリングスまでのハイウエイ部分120マイル(約190km)を自動運転で走りきったそうです。

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米国の運送業界では、需要に対して4.8万人のドライバーが不足しているそうで、2024年には17.5万人にまで拡大すると予想されています。

Uber-Otto

Uberはこの点に着目し、今年の8月に約7億円で「Otto」を買収。

「Otto」の自動運転システムは一式約300万円程度で、一般的なA/T仕様の大型トラックにも取り付け可能といいます。

同社はサンフランシスコ地域に6台のテスト車両を配置しており、システムの更なる改良に向けて実験走向を繰り返している模様。

日本でも運転手不足に伴う過重労働により、バスや大型トラックの事故が絶えず、こうした自動運転システムは乗用車よりも先に実現すべきなのかもしれません。

Avanti Yasunori

ソフトバンク子会社SBドライブが「喋る無人運転バス」を実証実験開始!

ソフトバンクグループの「SBドライブ」が、自律型ヒューマノイド・ロボット「Pepper(ペッパー)」の開発を手掛けた同グループの「Cocoro SB」と連携して、自動運転車の会話機能を開発。愛知県で実証実験を開始しました。

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今回の実証実検は、愛知県が実施している自動走行社会受容性実証実験事業の一部を「SBドライブ」が受託。アイサンテクノロジーやZMP、名古屋大学が開発した自動運転車に会話機能を搭載しています。

クラウドAI(人工知能)サービスなどに取り組んでいる「Cocoro SB」が無人タクシーを疑似体験できるアプリケーション「cocoro Drive(ココロドライブ)」を開発。

「Pepper」に搭載した人間の感情を表現する「感情エンジン」を活用しており、無人バスの車内に設置したタブレットを乗客が操作することにより、モニターを通して乗客と会話したり、運転状況や走行ルート周辺の施設を案内したりするほか、目的地や所要時間などを画面に表示することが可能になっています。

乗客がタブレット端末に話しかけると、その音声情報を携帯電話網でデータセンターに送信、内容を認識した後で乗客に返答するシステム。

「SBドライブ」は同機能を「無人運転車のインターフェース」と位置付けており、開発中の無人運転バスの運用地域として、高齢化が進んだ過疎地などを想定。

会話で多くの機能を動作できれば、高齢者に使いやすい無人バスになると考えているそうです。

「感情エンジン」のモビリティへの活用については、今年の7月21日にホンダがソフトバンクと共同研究をスタートさせると発表するなど、動きが出ています。

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「SBドライブ」では今回の実証実験事業への参画を通して、自動運転技術を活用したスマートモビリティーサービスの事業化を目指しており、2018年後半に実験運行を目指している無人運転バスに今回の技術を採用する考えのようです。

SoftBank

過疎が進む地域では、既存の交通システム存続が危ぶまれており、こうした地域で自動運転による無人の路線バスを走らせれば大幅な人件費節約が可能となり、交通網を存続できる可能性が高まるだけに、今後の取組みが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:SoftBank)

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SBドライブがスズキ、遠州鉄道、浜松市と自動運転の連携を締結
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トヨタが2019年度に家庭用ロボットの量産を開始する?
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ソフトバンクが自動運転サービス事業に進出! その理由とは?
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【関連リンク】

SoftBank SB Drive
http://www.softbank.jp/drive/

デンソーと東芝が自動車向け「AI」技術を共同開発

デンソーと東芝が、高度運転支援や自動運転の実現に向け、「AI(人工知能)」に関する技術を共同で開発すると発表しました。

DENSO

自動運転の実現には、様々な障害物や標示、車両が走行するためのスペース、危険が予想されるシーンの認識などが必要となります。

そこで、デンソーがこれまで開発してきた「AI」技術を東芝の画像センサーに応用、高性能な高度運転支援、自動運転システムの実現を目指すそうです。

具体的には、人間と同等以上の高精度な認識処理を可能にすべく、画像認識システムに「AI」技術を合体させ、自ら対象物の特徴を抽出。さらに、人間のように学習する「ディープラーニング」を取り込むことで、センシング能力の飛躍的な向上を目指すそうです。

人間の脳の神経回路をモデルとする「ディープラーニング」では、大量のデータを元に「AI」が自ら学び、分析することで進化。

TOSHIBA

自動運転の分野では、安全面から歩行者や障害物を正確に認識することが不可欠なため、今回共同開発に乗り出したという訳です。

両社によると、年内に本格始動し、2020年以降の実用化を目指しているそうです。

Avanti Yasunori・画像:DENSO、TOSHIBA)

【関連リンク】

DENSO
http://www.denso.co.jp/ja/

TOSHIBA
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm

米・テスラが自社のEVに完全自動運転のためのAIを搭載か?

世界の自動車メーカーは、将来の完全自動運転に向けた取り組みを進めています。

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そうした中、米・テスラが、今後製造する全てのモデルに完全自動運転システムを搭載するとしており、AI(人工知能)に役立つ機能も採用するそうです。

同社が新たに搭載するのは、周囲監視用カメラ8台と改良版の12個の超音波センサー、そして電波により雨や濃霧、粉塵など悪条件の中でも障害物を見通すレーダー。

TESLA

さらに従来の40倍以上の処理能力を持つ車載コンピューターを搭載、人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークの採用により、今後のAI搭載に繋がる「ディープラーニング(機械学習)」機能を持たせるようです。

これにより、人間の感覚では捉えきれない情報まで認識可能になるそうで、ニューラルネットワークを採用したEVは既に購入できる状態にある模様。

TESLA

将来的にはワイヤレスアップデートにより、完全自動運転が実現するようで、今後もEV、そして自動運転で先行するテスラから目が離せません。

Avanti Yasunori・画像:TESLA)

【関連記事】

テスラが完全自動運転に対応するハードウェアを装備すると宣言
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BMWが米・テスラへの対抗で全モデルにEVを設定?
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イーロン・マスクCEOが先進的な「新事業計画」をブログで公開!
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2020年に「先進運転支援システム」市場が1.4兆円規模に!
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テスラ・モデルSが米国の公道で自動運転中に初の死亡事故
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ジャガー・ランドローバーがテストを開始した自動運転技術の目標とは?

好調な販売が続くジャガー・ランドローバー社。環境対策や自動運転技術の開発は、自動車メーカーにとって直近の業績が好調でも待ったなしの課題となっています。

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同社は今秋、英国において車両間通信を可能にする新しいコネクテッド技術の試験運用を初めて実施しました。

HORIBA MIRA社で実施されたUK Autodriveのデモンストレーションの一環として、最新のコネクテッド自動運転車両(CAV:Connected and Autonomous Vehicle)技術を披露しましたもので、ジャガー・ランドローバーはフォードおよびタタ・モーターズ欧州技術センターと協力し、車両間、そして車両と信号機をはじめとする道路インフラとの通信(路車間)を可能にするコネクテッド技術を英国で初めてテスト。

コネクテッド自動運転車両技術は、ジャガー・ランドローバーとしての重要プロジェクトのひとつに掲げられています。今後4年間で同分野の開発およびテストを幅広く行うために、100台を超える研究用車両を用意するという気合いの入れよう。

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最終的にはこの技術によって、ドライビング体験が向上するだけでなく、よりスマートかつ安全で、クリーンな運転が実現できることを目指しているそうです。

具体的には、下記の3つが挙げられます。

■Advanced Highway Assist(先進道路走行アシスト)
ドライバーがステアリングやペダルの操作をせずに、車両は道路の車線に沿って走行し、自動で追い越しが可能な技術。

■Electronic Emergency Brake Light Assist(電子緊急ブレーキライトアシスト)
前を走行する車両が急に、または予想外のタイミングでブレーキをかけた際、ドライバーに警告。濃霧のなかでの運転や、前方の車両が見えない場合にとくに役立ちます。

■Green Light Optimal Speed Advisory(青信号最適速度アドバイザリー)
車両が信号機と接続し、青信号で通過できるための最適な走行速度をドライバーに助言します。これにより交通の流れやCO₂排出量、さらにはドライビング・エクスペリエンスも向上します。渋滞の多いロンドン中心部やパリを走行中、すべての信号が青で通過できることをイメージしています。

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ちなみに「Green Light Optimal Speed Advisory(青信号最適速度アドバイザリー)」と似た装備として、ホンダがアコードや新型フリードに一部搭載し、日本でも導入済み。

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ジャガー・ランドローバー社では、運転する楽しさを維持したうえで、運転技術を必要とする走行や、退屈な道を走行する場合にドライバーを支援できるように完全自動および半自動運転車両技術の開発に取り組んでいます。

また、最終的なビジョンとして、オンロードのみならずオフロードを含めた路面状況や天候条件など、現実社会のあらゆる運転環境に対応する自動運転車両を提供するとしています。

(塚田勝弘)

テスラの新車は完全自動運転に対応するハードウェアを装備すると宣言

現在、新型車「モデル3」の予約受付中の電気自動車メーカー「テスラ」のビッグニュースです。今後、テスラの工場で生産されるすべての車両には、将来の完全自動運転機能に対応可能なハードウェアが搭載されることが発表されました。

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ハードウェアの具体例として発表されているのは、クルマから最長250mまで360度の視界を提供する8台のサラウンドカメラ、従来の約2倍もの距離まで物体を認識するアップデートされた12個の超音波センサーをはじめ、最先端技術が採用されたフォワード フェーシング レーダーにより、豪雨、霧、塵などでも前方を走るクルマを見通すことが可能といいます。

さらに、これらのハードウェアから得られるすべてのデータを理解するために、初代の40倍以上の処理能力を持つ新型車載コンピューターが搭載されるということです。

こうしたデータをマシンラーニングのニューラルネット(アルゴリズムの1種)で処理することにより、予測結果などをアウトプット。それにより、新しいシステムは全方向を同時に監視し、人間の感覚だけでは感知し得ない情報を取得し、安全に寄与するといいます。

将来的には、ワイヤレスアップデートにより完全自動運転が実現することが期待される、テスラの先進的な試みです。

ADAS・自動運転の目に期待! 富士通、世界最高レベルのミリ波信号源CMOS回路を開発

富士通の研究機関である富士通研究所は、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の「目」を実現できるCMOSミリ波信号源回路を開発したと発表しました。

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今回富士通研究所が開発した車載レーダー向けのCMOSミリ波信号源回路は、76〜81ギガヘルツ(以下、GHz)の広い周波数域において世界最高速で周波数を変調できることが特長です。

この特長を聞いても、何がよくなるのか素人には分かりませんが、自転車と歩行者などのように速度の異なるターゲットを見落とす危険を無くし、時速100kmで対向する車両(相対速度時速200km)でも相手の距離と速度を検知できるようになるということです。

そもそもミリ波レーダーはADAS・自動運転の目の役割を担う技術の1つとして、夜間、霧や降雨、逆光など悪環境時に車載カメラの弱点をカバーする監視装置として開発が進められてきました。

ところが、現状のミリ波レーダーでは、ミリ波信号の周波数の速度を周期的に変調させるFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)によるものが主流で、同方式では歩行者と自転車のように速度の異なるターゲットが近接すると、片方を見落としてしまうという問題がありました。また、対向して走行する車両を検知できる相対速度は時速50km程度が限界でした。

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このような問題を解消するために、ミリ波信号の周波数の変調速度を高速化して、距離分解能や対象物の速度の検知範囲を広げることができるFCM方式(Fast-Chirp Modulation)の開発が試みられています。

今回、富士通研究所が開発した車載レーダー向けのCMOSミリ波信号源回路は、このFCM方式のミリ波レーダーのキモになる技術なのです。

新開発の高速度で周波数を変調できるミリ波信号を使う車載レーダーシステムでは、自転車と歩行者など速度の異なるターゲットの見逃しを防ぐことができ、時速200kmの相対速度で対向する車両を検知することが可能になります。

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しかも、併せて開発された4チャンネルCMOS送信回路と組み合わせることで、一方向の監視に限らず、車両の周囲全方向を高精度にスキャンすることが可能になるため、高速走行と周辺監視の両方を1台でこなせる車載レーダーの実現が期待できます。

今後富士通研究所では、高機能な演算を行うプロセッサーをワンチップに集積したミリ波CMOSレーダーチップの開発を計画しており、2020年以降の実用化を目指しているということです。

ADAS・自動運転の実現のためには、ミリ波信号を使う車載レーダーシステムひとつをとってみても、現状の技術では、見落としの危険、検知能力の限界があり、ADAS・自動運転を実用化するにはハードルが高いことが実感されます。

(山内 博・画像:富士通研究所)

ルノーのキュートなEV「ZOE」、航続距離が400kmに伸長

日産がアライアンスを組むルノーでは、「SM3 Z.E.」、「ZOE(ゾエ)」、「Kangoo Z.E.」、「Twizy」の4車種のEVを販売しており、2011年10月の「KangooZ.E.」発売以降、世界で累計10万台のEVを販売しています。

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その中の「ZOE」はジュネーブショー12でデビュー、同年11月にフランスで販売を開始し、欧州で販売を伸ばしているキュートなデザインを採用したピュアEVです。

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全長4,084mm×全幅1,788mm×全高1,562mmと、トヨタ「アクア」を少し大きくしたような5ドアハッチバックモデルで、発売後3年半で累計生産台数が5万台に達するなど、年間1万台以上を生産する人気車となっています。

発売当初のスペックは最高出力88ps/最大トルク22.4kgmを発生するモーターと韓国LG製のリチウムイオンバッテリー(22kWh)の組み合わせにより、NEDC(新欧州ドライビングサイクル)による航続距離が210kmとなっていました。

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その後、昨年3月に開催されたジュネーブショー15では、電気制御の最適化により、モーターの効率を向上させ、航続距離を240km(+30km)に延長、車載充電システム「カメレオン・チャージャー」の改良により同車の充電時間を10%短縮したと発表。

さらに今年のパリモーターショー16では航続距離400km(NEDC)を達成したと発表、実用上で300km程度の性能を有しており、約270万円からの価格帯で販売を予定しているようです。

ただし、同車に搭載するリチウムイオンバッテリーはリース方式をとっており、年間走行距離7,500Km当たり約8,000円のリース料金が別に発生する模様。

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ルノーでは今後、ZOEに自動運転機能の搭載を予定しているそうで、中国の自動運転モデル地区で走行テストを開始するようです。

自動運転機能付きのEVといえば米「テスラ」を思い浮かべますが、ZOEは超コンパクトモデルだけに、使用性や価格面からも普及する可能性が高そうです。

昨今、PHVなど主にモーターで走行する電動車に注目が集まるなか、ようやく実現し始めたバッテリー性能の向上に伴い、再びEVにも目が向けられ始めており、今後はZOEのようなエントリークラスのEVが各社から登場する可能性が出てきました。

Avanti Yasunori・画像:RENAULT、パリモーターショー)

【関連記事】

日産/ルノーが累計35万台のEVを販売、4.5億トン超のCO2排出を抑制!
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キュートとサプライズをデザインするルノーのデザイン力に脱帽
http://clicccar.com/2016/09/11/398956/

【関連リンク】

パリモーターショー2016
http://www.mondial-automobile.com/visiteurs/

ルノー ZOE
https://group.renault.com/vehicules-groupe/decouvrir/renault-vehicules-electriques/

フォルクスワーゲンが2020年に「MEB」搭載の新型EVを投入!【パリモーターショー16】

2025年までに30車種以上のEV投入を目指すフォルクスワーゲン(以下VW)が、10月1日に開幕したパリモーターショーにコンセプトカー「I.D.」を出展しました。

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ハーバート・ディエスCEOによると、同車はVWが今後投入するEVの考え方を具現化したコンセプトカーで、電動車用に開発した新世代のモジュラープラットフォーム「MEB」(Modular Electric Platform)を採用した最初のコンパクト・ハッチバックモデルになるそうです。

「オープンスペースコンセプト」を採用したインテリアは広く開放的で、乗降時にはリヤドアが後方にスライドする構造。

従来の「キー(鍵)」に代わるのが、同車の車名にも由来するID(デジタルキー)。

スマホで同車の充電状況を確認したり、自身の居場所への配車が可能で、ユーザーID認識機能により、シートポジションやエアコンの設定、お気に入りのラジオ局やメディアのプレイリスト、サウンドシステムを呼び出せます。

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ステアリングホイール中央のVWロゴマークをタッチすると、自動運転機能「IDパイロット」が起動。自動走行中はステアリングホイールがダッシュボードに格納されるマルチファンクションステアリングホイールを採用しています。

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さらに、クラウド環境と連携したコネクテッドカーとしての機能も持ち合せています。駆動用モーター(125kW)は最高出力170psを発生、航続距離は満充電で400-600km。

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VWでは2020年に「I.D.」の市販を目指しているそうで、2025年には「IDパイロット」を装備する予定としています。

Avanti Yasunori・画像:VW、パリモーターショー)

【関連リンク】

パリモーターショー2016
http://www.mondial-automobile.com/en/visiteurs/

コンチネンタルが提案する自動運転を含む最新HMIとは?【CEATEC16】

2016年10月4日から7日まで一般公開されている「CEATEC JAPAN 2016」。

今回、初出展したドイツの自動車部品のメガサプライヤーであるコンチネンタル(コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン)。

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同社が「ホリスティック(包括的)・ヒューマン・インターフェイス」と呼ぶHMI分野のコクピット・デモンストレーションを披露しました。

コンチネンタルでは、タイヤはもちろんパワートレーンからシャーシ、そして自動運転技術まで幅広いハード、ソフトウェアを手がけています。

また「Toyota Safety Sense C」のサプライヤーとしても話題になりましたが、同社のグローバルシェアのうち1/3超が日本市場となっています。

日本初公開となる「インタラクティブ・コクピット・デモンストレータ」では、手動運転時のドライバーの注意喚起、ナビゲーションなどを警報音だけでなく、仮想現実感HUD(ヘッドアップディスプレイ)による誘導などで促したり、スマホを車両のドアロック、アンロック、エンジン始動に使ったりするなど、最新の技術を披露。

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たとえば、スマホをリモコンキーとして使う機能では「グラス・コントロール」として提案。スマホをかざすとサイドウインドウがスモーク状態(ドアロックが掛かっている状態)からクリアな状態(ドアロックが解錠された状態)に変化するなど、視覚的に分かりやすい仕組みが用意されています。

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また、手動運転時でもドライバーから見えない死角になっている車両などを知らせたり、ショッピングモールなどの大型駐車場の空きスペースに案内したりと、具現化されれば便利だと思われる機能を提案。

自動運転時には、ドライバーを監視するインカメラを使って眠気やよそ見、脈拍なども計測することで、手動運転時はもちろん、自動運転から手動運転に切り替わる際に備える(リバース・デリゲーション……ドライバーに手動運転に切り替わることを伝える方法、手段がHMIの課題のひとつ)などの機能も試験車を使ってテストされています。

そのほか、自動運転時の渋滞時運転支援機能、パーキング・アプリ、車線逸脱警報などを3Dサングラスをかけて体感できるようになっています。

(文/写真 塚田勝弘)

フォルクスワーゲン「I.D.」は最長600km走行可能な次世代EV【パリモーターショー16】

フォルクスワーゲンがパリモーターショーで初めて披露した「I.D.」は、125kWの電気モーターを搭載し、400〜600km走行可能なコンパクトEV。

2025年以降に実用化を目指しているという完全自動運転の技術を備えたコンセプトカーでもあります。

Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.

しかも、単なるコンセプトモデルではなく、今回同時に発表された「e-Golf」などとともに2020年にコンパクトEVとして市販化することも見据えているそうですから、中身が気になるところです。

Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.

フォルクスワーゲン「I.D.」は、EVであることが視覚的に分かるように「Iconic Design(アイコニックデザイン)」を採用。

さらに注目は、新しい「MEB」車両アーキテクチャーに基づいたVW初のコンパクトコンセプトカーであること。

MEBは「Modular Electric Drive Kit/モジュラー エレクトリック ドライブキット」」の略で、ピュアEVのために新たに考案されています。

Volkswagen Showcar I.D. I.D. ? die Revolution. Der erste Volkswagen auf der vlig neuen Elektrofahrzeug-Plattform. Der erste Volkswagen, der f・ das automatisierte Fahren vorbereitet ist.

インテリアは「オープンスペース」コンセプトと命名され、ラウンジにいるようなくつろいだ雰囲気を演出。

電気モーターを含めて駆動系をリヤアクスルと一体化し、高電圧バッテリーを床下に収めた車両レイアウトによって実現したもので、全長わずか4m程度でも広くて明るく、そして柔軟に使えるスペースとなっています。

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「I.D.」は既存のポロやゴルフ、パサートなどと同様に量産車としてラインナップを拡充していくコンパクトEVというポジションになるようです。

(塚田勝弘)

独・コンチネンタルがアジア地域での先進運転支援システム(ADAS)の強化を発表

ドイツの自動車部品大手コンチネンタルは、アジア地域で先進運転支援システム(ADAS)を強化すると発表しました。

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今回のコンチネンタルの強化策は、

 1) 日本とインドでの開発能力を向上させる
2)フィリピンと中国でレーダーセンサーの生産能力を向上させる

ことの2点を柱としています。

同社はアジア地域の自動車業界について、全世界で生産される車両の半数以上をアジアの自動車メーカーが生産する車両であり、日本の自動車メーカーの生産台数が世界全体の約30%を占めており、アジアが世界の自動車業界で成長センターとなっているとしています。

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さらに2020年の東京オリンピック開催を契機に、 日本の自動車メーカーを含む世界中の自動車メーカーが自動運転を含むADASという革新技術の開発にしのぎを削っています。

コンチネンタルでは、すでにカメラ、レーダーシステム、高解像度のレーザーセンサー、電子制御ユニットやソフトウェアなどの自動運転やADASに関する主要な要素技術を持っています。

コンチネンタルのADAS事業部の責任者、カール・ハウプト(Karl Haupt)氏は

「先進運転支援システムは、成長が最も著しい分野です。今年は周囲をモニタリングする環境センサーのおかげで、10億ユーロ以上の売上を達成する見込みであり、2020年には20億ユーロ以上への拡大を見込んでいます。つまり、わずか5年でさらに倍増することになります。」

とADAS分野の急成長を予測しています。

今回のADAS強化策のひとつ、日本とインドでの開発能力向上については、日本でADAS機器のハード部分の開発を行い、インドでソフトウェアとアルゴリズムの開発を行うことを計画しています。

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実際に、トヨタ自動車の衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」向けのカメラ・レーザーレーダー一体型センサーモジュール(MFL)で、コンチネンタルのADAS事業部が二度目となるトヨタ自動車の技術開発賞を受賞しているように、日本でコンチネンタルのADAS機器は高く評価されています。

もうひとつの強化策、フィリピンと中国でのレーダーセンサーの生産能力向上については、コンチネンタルの「in the market for the market(その市場で、その市場のために)」というスローガンに応じた現地化施策ということができます。

コンチネンタルは、2015年、短距離レーダーセンサーの製造をフィリピンのカランバで開始。この短距離レーダーセンサーは、死角検出、車線変更支援、後退時のトラフィックアシストなどの機能を自動車に提供しています。

同社では、将来的にはカランバ工場で1000万台以上の短距離レーダーセンサーと、100万台以上のカメラシステムを製造する計画で、多機能カメラ一体型レーザーセンサーも今年秋には生産を開始する予定としています。

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自動運転・ADASというこれからの自動車の鍵を握るキーテクロジー分野で、日本を含むアジア地域でのコンチネンタルの動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:コンチネンタル)

霧や逆光を見通す「電子の目」を搭載した自動運転車をパナソニックが公開!

パナソニックは、事業の柱である家電部門が厳しい競争に晒されるなか、自動車関連事業を新たな成長分野に位置付けています。

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一方、検索サイト大手の「Google」や、ベンチャー企業の「テスラ」などが自動運転技術の分野で大きな成果を上げていることもあり、国内家電メーカーについても得意とする電子技術を活かし、同分野への参入を狙っている状況。

そんな状況の中、パナソニックは、雨や霧、雪など視界が悪い中でも人や車などを正確に見極める画像処理技術を開発したそうです。

従来の画像センサーでは、対向車のヘッドライトなど、強い光を受けると映像がホワイトアウトしやすく、夜間の信号色や歩行者が見分けにくいという課題がありました。

Pabasonic

そこで同社は、テレビや防犯カメラで実用化した技術をカメラセンサーに適用、夜間に高速で通過する車のナンバーまで見分けられるといいます。

材料を従来のシリコンから有機材料の薄膜に換え、光を電気信号に変換する際のノイズを独自の回路設計で抑制、電極部の構造も見直し、僅かな光をも効率よく取り込めるようにしており、撮影可能な明るさは従来品の100倍に達しているそうです。

そうしたなか、パナソニックはこの技術を搭載したカメラを5台使い、周りを確認しながら自律走行する自社製の小型自動運転車を開発、公開しました。

NHK

高齢化社会が進むなか、全国的にバス路線の縮小や減便が続いており、病院通いや買い物に利用できる「足」として今後、自動運転のニーズが高まると予想。

2020年代半ばを目標に、自宅と最寄り駅や病院間などの近距離を、安全な40km/h以下の速度で往復する、街乗りに適した自動運転技術を目指しているそうです。

NHK報道によると、同社は車間通信の分野において、携帯電話の開発で培ったセキュリティー技術が活かせると考えているそうで、今後はプロのドライバーの運転技能を備えたAI(人工知能)の開発にも進出、自動運転車向けの製品開発を加速していくとしています。

このように、自動運転技術の高度化に向け、自動車メーカーはもちろん家電メーカーからの参入も増加すると予想され、今後はオールジャパンによる技術革新が本格化するものと思われます。

Avanti Yasunori・画像:Panasonic、NHK)

【関連リンク】

Panasonic
http://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/technology/ai.html

NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160917/k10010690591000.html

ボルボ、公道実証実験「Drive Meプロジェクト」用自動運転車の第1号車をラインオフ

ボルボ・カーズは、9月9日にスウェーデンのトースランダ工場で同社の公道実証実験「Drive Meプロジェクト」で使用される自動運転車の第一号車をラインオフさせたと発表しました。

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実際にプロジェクトで使用される自動運転車がラインフしたことで、公道で一般ユーザーが自動運転実験を行う、いままでに例のない「Drive Me プロジェクト」がスタートします。

ボルボは現在、販売している90シリーズのモデルに、「パイロットアシスト」と名づけたレベル2に相当する半自動運転機能を搭載しています。

この「パイロットアシスト」は、緩やかなステアリング操作によって運転をアシストする機能があり、時速130kmまでの速度であれば、前走車がいなくても走行車線をキープして走行することができます。

今回のプロジェクトに使用されるのは、XC90にDrive Meプロジェクト用の自動運転テクノロジーを搭載した車両です。

「Drive Meプロジェクト」用の自動運転車は「パイロットアシスト」に加えて、ボルボが「自動運転頭脳(Autonomous Driving Brain)」と呼ぶ、1段階進歩した自動運転機能を搭載しています。

ボルボでは「自動運転頭脳」について、イェーテボリ周辺に設定した自動運転ゾーンでは、ハンドルを離したままで、さらにアクセルやブレーキを操作する必要なく安全に運転することが可能であると説明しています。この「自動運転頭脳」機能をもたらす装置の詳細は未発表です。

ボルボが明らかにしているように、今回のプロジェクトでの自動運転が特定の「自動運転ゾーン」でのみ機能するということから、車両側の装置だけではなく、道路側にもなんらかの自動運転を補助する仕組みが付加されていることが考えられますが、この点についてもボルボは発表していません。

あるいは、ボルボが指定した「自動運転ゾーン」とは、単なる自動運転に適した道路という意味かも知れません。

ともあれ今回の「Drive Me プロジェクト」がユニークなのは、一般ユーザーが日常生活の中で公道を自動運転車で走行するという点です。

このことは、ボルボ・カーズのアクティブセーフティ部門でシニアテクニカルリーダーを務めるエリック・コリン氏が、

「お客様は私達エンジニアとは違った目で車を見ます。そのため、お客様が日常生活の中でこれらの車をどのように使うのか、またどんな意見が出るのかを楽しみにしています」

と語っていることからも理解できます。

ボルボは今回のイェーテボリで行われる実証試験と同様のプロジェクトを、2017年にロンドンでも実施する予定で、さらに今後数年以内には中国でも「Drive Me プロジェクト」を実施することを予定しているということです。

最近のボルボは、自動運転技術について積極的に他社と提携を進めています。

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本年8月には、米国の配車サービス大手のウーバー(Uber)と次世代の自動運転車を共同で開発する提携を開始。ウーバーとの提携で開発される自動運転車も公開されています。

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さらに9月には、次世代の自動運転ソフトウェアを開発するために、スウェーデンの自動車安全システム大手であるオートリブ(Autoliv)との合弁会社をスウェーデンに設立することを発表しています。

このように自動運転分野で活発な活動を見せるボルボが今後どのような自動運転技術を開発してくれるのかに期待が高まっています。

(山内 博・画像:ボルボ)

デンソーが富士通テンの筆頭株主へ。自動運転などを強化

自動車部品大手のデンソーは、デンソーの富士通テンへの出資比率を10%から51%に引き上げることで、富士通テンに出資している富士通・トヨタ自動車と基本合意したと発表しました。

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今回の合意で富士通テンの資本構成は、現在のデンソー10%、富士通55%、トヨタ35%から、2016年度内を目途にデンソー51%、富士通14%、トヨタ35%に変更される予定で、富士通の持分がデンソーに移動する形です。

デンソー・富士通・トヨタの3社が合意したデンソーの増資が完了すれば、デンソーは富士通テンの筆頭株主となり、富士通テンはデンソーグループ入りすることになります。

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富士通テンは、以前からオーディオ、マルチメディアに強みを持つカーエレクトロニクスメーカーですが、近年はミリ波レーダ、周辺監視システム、緊急通報システムなど自動運転関連技術にも注力しています。

最近の自動車業界では、特に高度運転支援・自動運転関連で人と車のインターフェースをどのようにつないでいくかがカギになっており、 こうした中でデンソーは富士通テンをグループ会社として高度運転支援・自動運転・電子基盤技術を強化することを目指しているようです。

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今後両社から、人と車のインターフェースに関する、どのような新技術・新製品が登場するかが期待されます。

(山内 博・画像:富士通テン)

新型Eクラスの「自動車線変更」はどこまで自動運転に近付いた?

新型にスイッチしたメルセデス・ベンツ Eクラスには、最新技術が惜しみなく投入されています。

ここではEクラスの看板技術である「アクティブレーンチェンジングアシスト」をご紹介します。

同機能は部分自動運転機能のひとつで、新型セレナが「同一車線」において部分自動運転機能を搭載していますが、新型Eクラスのそれは「複数車線」で実現しているわけです。

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今回、新型Eクラスに初めて導入された自動車線変更の「アクティブレーンチェンジングアシスト」は、高速道路などでウインカーを2秒以上点滅させると、変更したい車線に先行車や後続車がいないか検知し、自動で車線変更する機能。

「アクティブレーンチェンジングアシスト」は、「ステアリングパイロット」が作動状態であり「2秒以上ウインカーが点滅させる」ことが自動車線変更の条件です。

「ステアリングパイロット」は、車線のカーブと先行車を認識するだけでなく、車線が消えかかっていたり、消えていたりする道路でもガードレールなどを認識し、車間を保ちながらステアリングをアシストする機能。

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この自動車線変更機能は、作動前に一瞬の間を感じます。初めは反応が遅く感じますが、進路変更の3秒前にウインカーを出すという法規がある以上、理に適っているといえるでしょう。

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さらに、移りたい車線に先行車がいる場合、もちろん車線変更はされずに直進します。また、微妙な車間距離だとどうでしょうか? 行けそうで行けないような車間距離だと、「一瞬車線変更するような動き」がステアリングと車両から感じられます。この動きは、同機能がオフになっているのではなく、きちんとアクティブ(作動状態)になっていることをドライバーに知らせるものだそう。

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レーダーセンサーやステレオカメラにより全方位ほぼ360°監視している高度なシステムを搭載しているメルセデス・ベンツ Eクラス。ロングドライブで疲れている際などに威力を発揮してくれそうです。

(文/塚田勝弘 写真/水野孔男、塚田勝弘)

SBドライブがスズキ、遠州鉄道、浜松市と自動運転の連携を締結

SBドライブ、スズキ、遠州鉄道、浜松市の4者は、浜松市で自動運転技術を活用したスマートモビリティーサービスを事業化する連携協定を締結したと発表しました。

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SBドライブは、ソフトバンクと東大の研究グループが自動運転の技術コンサルタントのために設立した会社で、これまでもスマートモビリティーサービスに関して、北九州市、白馬村などと協定を締結しています。

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今回の4者による協定で注目されるのは、いままでのSBドライブとの連携に参加していなかった自動車大手のスズキが参加している点です。

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SBドライブは、親会社のソフトバンクが発売している人型ロボット「pepper:ペッパー」で開発したロボット技術を本格的に自動車の自動運転に応用するすることを目指しており、一方スズキも、自動運転技術で有力な提携先を探しており、両社の思惑が今回の協定で一致した形です。

自動車自体の技術に関して実績が少ないSBドライブの自動運転技術と、スズキの連携でどのような自動運転車が生まれるかが注目されています。

(山内 博・画像:SBドライブ、ソフトバンク)

「自動運転」の国際基準作りで政府が国連会議を主導か?

日産自動車が8月24日、国産車で初となる運転支援機能「プロパイロット」を搭載した5代目「セレナ」を発売しました。

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高速道路における渋滞走行時や長時間の巡航走行において、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作の全てを自動的に制御するもので、政府が策定した自動運転技術ロードマップによると「レベル2(準自動走行システム)」に相当します。

「レベル2」では、システムはあくまで「ドライバーの補助」としての位置付けで、アクセル・ブレーキ・ステアリング操作のうち、複数の操作をクルマが自動で行うものを指します。

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欧米では既にテスラやメルセデス・ベンツが実用化しており、トヨタ、ホンダも2020年には「レベル2」の車両を市販する予定になっているようです。

そうした中、政府(国土交通省)は今年5月24日、官民からなる連携組織「自動運転基準化研究所」を設立しました。

国交省をはじめ、経産省、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、自動車技術会、JASICなどが参画しており、政府としては日本の技術を背景とする国際基準を「世界標準」とすることで、国際競争力を高めたい考え。

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自動運転は、自動ブレーキなどの「レベル1」から人が運転に関与しない「レベル4」まで、難易度に応じて4段階に分類されています。

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今回、国交省が策定する基準は、「レベル2」に対応するもの。

新聞報道などによると、国連の専門家会議で2018年にも基準が確定する見通しの中、国交省は「日本案」をベースに国連の議論を主導したい考えのようで、2017年度予算の概算要求において、自動運転関連で3億4,100万円を要求するそうです。

政府は2020年を目処に、高速道路上での車線変更や追い越しを伴う自動運転「レベル2」を実用化させる方針。

人的要因が大半とされる交通事故撲滅に向け、日本が得意とする技術力を活かし、「自動運転」の国際基準作りで世界をリードしたい考えのようです。

Avanti Yasunori・画像:総務省、日産自動車)

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乗ってみてわかった新型メルセデス・ベンツ「Eクラス」の凄さとは?

7月27日に発売された5代目となる新型メルセデス・ベンツ「Eクラス」(W213系)。

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折からのクラスレス化により、外観はCクラスとの差が判り難くなっていますが、実車を前にすると、サイズ感の違いから「Eクラス」としての風格を感じさせます。

ちなみに車両のスリーサイズは全長4,950mm×全幅1,850mm×全高1,455mmと、先代の最終モデル比で60mm長く、5mmスリムになっており、Cクラス比では235mm長く、40mmワイドで、25mm高いなど、明確に差が付けられています。

またホイールベースについても2,940mmと、先代モデル比で65mm長く、Cクラス比では100mm長くなっています。

今回はそんな新型「クラス」の進化度について、試乗レポートを交えながらお伝えしたいと思います。

試乗車に選んだのは、アバンギャルド・シリーズの中でもAMGルックでスポーティな「E200 アバンギャルド スポーツ」。

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確実にサイズアップしている訳ですが、それを全く感じさせないエクステリア・デザインを採用しており、実際に運転していても想像する程大きく感じません。

その背景にはショート・オーバーハングで、且つステアリング切れ角が大きく、最小回転半径がAクラスやCクラスの5.1mに対して5.4mと、コンパクトに抑えられていることが寄与しているようです。

さっそく走り出してみると、2.0Lながらも184ps/30.6kgmを発生する4気筒ターボ エンジンは軽々と1.7トンの車体を加速させるだけの十分なパワーを秘めており、高回転まで一気に吹け上がります。

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その際のキャビンへの透過音レベルは、やはり同エンジンを積むCクラスよりも一段と低く抑えられており、クラス相応に静粛性が高められていることを窺がわせます。

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また、19インチのAMGホイールに装着されているミシュラン製のランフラットタイヤはフロントが245/40R19、リヤが275/35R19とかなり太目ですが、それでもロードノイズは比較的小さく、乗り心地も非常にしなやかで適切なものとなっています。

そして以前にもお伝えしたとおり、数多くの運転支援システムを搭載する中でも、新型「Eクラス」の最大のウリとされるのが、同車に初採用された半自動運転システム、「ドライブパイロット」。

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Cクラスにもステアリングアシスト機能付の「ディストロニック・プラス」が装備されていますが、Eクラスの「ドライブパイロット」では一歩進めて、車線が不明瞭な場合や表示されていない場合でも、車両やガードレールなど車線と並行する物を監視、前走車との車間を維持しながらステアリング操作をアシストしてくれます。

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これは完全自律走行に向けた1つの大きなステップとなる機能で、安全性、快適性を向上させ、運転時のストレスレベルを大幅に低減させる効果があります。

今回の試乗ではその効能を一般道で試してみました。

メーターパネル内に表示されているステアリングマークが緑色の場合、アシスト機能ONの状態で、違和感の無い適度な力でステアリング操作をアシストしてくれます。

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ただ、前走車がいない場合や、道幅が広くガードレールまでの距離が遠い一般道でのアシストは限定的で、同機能が本領を発揮するのはやはり高速道路上となるようです。

これまでの「ディストロニック・プラス」では、遠方で停止中の前走車は意外にも検知しませんでしたが、「ドライブパイロット」ではそんなシーンでも自動で停止します。

これは壁などを停止中の前走車と誤認することを防止するため、意図的に検知しないようにプログラムされていたようですが、新型Eクラスでは、ステレオマルチパーパスカメラやレーダーセンサーのセンシング能力向上により、実現したようです。

他にも一般路での不意な歩行者飛び出しに対応する「緊急回避補助システム」などの先進的なアシスト機能も装備。高速道路上ではウインカー操作で自動追い越しが可能。

そんな「E200 アバンギャルド スポーツ」のお値段は727万円。

現時点で新型「Eクラス」にはガソリンモデルの「E200アバンギャルド(675万円)」をはじめ、「E250」、ディーゼルモデルの「E220d」、そして最上級の「E400」がラインナップされています。

日本では恐らく「E200アバンギャルド」が売れ筋になると予想されますが、個人的には大きさを感じさせない軽快な走りや質感、インテリアの豪華さも含め、もはやこれで十分といった感想でした。

読者の皆さんも試乗フェアなどの機会に、最新のメルセデスを体感されてみてはいかがでしょうか。

Avanti Yasunori・画像:Mercedes-Benz)

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nuTonomy

米国ベンチャーの「nuTonomy」(ヌートノミー)がルノー・ゾエ(ZOE)をベースに開発。乗客はスマホの専用アプリでタクシーを呼び出したり、目的地を決めたりすることが可能とか。

試験段階のため、当面シンガポール中部のワン・ノース地区内での運行を予定しており、利用者についても予め選ばれたシンガポール住民に限定。

とはいえ、実際に乗客を乗せた自動運転タクシーが公道を走るのは世界初で、年末までには運行台数を数十台規模に増やし、エリアも拡大する予定といいます。

nuTonomy

2年後には利用制限を無くし、誰でもどこでも利用できるようにする計画。

日本でも走行エリア限定で自動運転タクシーの実証実検が始まっており、今後はこうした動きが徐々に本格化していくものと予想されます。

Avanti Yasunori・画像:nuTonomy)

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【関連リンク】

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デンソー、自動運転技術で金出 武雄 米カーネギーメロン大教授と技術顧問契約を締結

デンソーは、米国カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授 金出 武雄(かなで たけお)氏と技術顧問契約を締結したと発表しました。

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最近、自動車部品業界では、安全分野特に自動運転につながる技術開発が盛んになっています。デンソーは、人工知能、コンピュータービジョン、ロボット工学の世界的権威である金出教授と技術顧問契約を締結し、自動運転関連の画像認識、機械学習分野の技術開発を加速させる狙いがあるようです。

金出教授は、京都大学助教授を経て、1990年からカーネギーメロン大学ロボット研究所所長を務める一方、日本では2001年から産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センター長を兼務し、現在は特別フェローに就任するなど、日米を通じて活躍されています。

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金出教授とデンソーとのつながりは古く、たとえば2003年のデンソーテクニカルレビューに金出教授が米国での研究を紹介する「大きな研究、面白い研究」と題した論文を寄稿しています。

この論文で金出教授は、「アイ・ビジョン」という三次元ビジョンシステムの開発を例に米国での研究を紹介しています。このアイ・ビジョンとは、たとえばフットボール場の周囲に30台以上のロボットカメラを配置して、グラウンドでのプレーを、その周りをぐるっと回って再生してみせることができるシステムです。

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このように以前から関係が深い金出教授に、①画像認識、機械学習分野の技術指導やアドバイス、②デンソー主催の講演・セミナーでの講師を依頼することを通じて、自動運転関連の画像認識、機械学習分野での技術開発を加速することを期待しているようです。

人工知能、コンピュータービジョン、ロボット工学の世界的権威である金出教授との協力関係を得たデンソーが自動運転分野で、今後どのような成果を見せてくれるかが楽しみです。

(山内 博・画像:デンソー)

日産が新型セレナで実現した自動運転「レベル2」って何?

日産自動車から8月24日に登場した5代目となる新型「セレナ」。

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同社が独自に開発した国産車初、ミニバンクラスでは世界初となる運転支援機能「プロパイロット(ProPILOT)」をOPT設定しています。

これは高速道路における渋滞走行時や長時間の巡航走行において、アクセル、ブレーキ、ステアリングの全てを自動的に制御するもの。

政府が策定した自動運転技術ロードマップによると、難易度を初期段階の「レベル1 」から完全自動運転の「レベル4」まで4段階に分けており、今回日産が実現した「プロパイロット」は「レベル2」に相当します。

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「レベル2」では、システムはあくまで「ドライバーの補助」としての位置付けで、アクセル・ブレーキ・ステアリング操作のうち、複数の操作をクルマが自動で行います。

欧米では既にテスラやメルセデス・ベンツが実用化しており、トヨタ、ホンダも2020年には「レベル2」の車両を市販する予定になっているようです。

新型セレナでは、高速道路の単一車線内において、常に前走車との車間距離を保持しながら追従走行可能となっており、ドライバーが設定した車速(約30〜100km/h)を上限に、車線中央を走行するようにステアリング操作を支援します。

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一方、「レベル3」ではアクセル、ブレーキ、ハンドルの全ての操作が自動で行われ、事故時の運転責任は原則としてシステム側が負うことになります。

基本的にドライバーが運転操作に関わる必要が無くなる訳ですが、システムに異常が発生した場合など、緊急時に操作する義務は残るため、ドライバーの責任が無くなるわけでは無さそうです。

いずれにしても、実用化のハードルがいっそう高くなるのは間違いありません。

日産は今後、2018年に自律走行の適用範囲を高速道路の複数車線に、さらに2020年には一般道路に広げるとしており、ドライバーの介入無しで市街地での交差点・信号停止・自動合流・自動分岐・インターチェンジ走行を可能にするそうです。

国内メーカーでは同技術において一日の長がある日産の今後の展開が注目されます。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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【関連リンク】

日産セレナ
http://www.nissan.co.jp/SERENA/

総務省
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/iinkai/jidousoukou_5/5_jidousoukou_siryou_4.pdf

新型メルセデス・ベンツ Eクラスの「ドライブパイロット」は車線が無くてもステアリング・アシスト可能!

7月27日に国内市場に導入された新型メルセデス・ベンツ「Eクラス」。

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数多くの運転支援システムが搭載されていますが、中でも注目を集めているのが新型「Eクラス」で初採用された半自動運転システム「ドライブパイロット」。

完全自律走行に向けた1つの大きなステップとなる機能で、安全性、快適性を向上させ、運転時のストレスレベルを大幅に低減させる効果があります。

車線が不明瞭な場合や表示されていない場合でも、車両やガードレールなど車線と並行する物を監視、車間を維持しながらステアリング操作をアシストするのが大きな特徴。

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また、高速道路走行中にドライバーがウインカーを2秒以上点滅させると、車両周囲を監視しているセンサーが他の車両等との衝突の危険が無いことを確認し、安全が確認された場合に自動で車線変更してくれます(約80km/h以上で作動)。

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さらに緊急回避機能として、車道横断中の歩行者等との衝突の可能性を検知すると、システムが正確なステアリングトルクを計算してドライバーのステアリング操作をアシスト、回避後の車線復帰も同様にサポートします(約20〜70km/hで作動)。

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このように、新型Eクラスに搭載された「ドライブパイロット」は、より積極的にドライバーをサポートすることにより、従来にも増して運転時の疲労軽減と安全確保に寄与するシステムとなっています。

テスラやGoogleの自動運転車が話題になるなか、メルセデス・ベンツは今後の完全自律走行に向け、一歩づつ着実な進化を遂げているようです。

Avanti Yasunori・画像:Mercedes-Benz)

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新型セレナの初期受注で7割が部分自動運転技術「プロパイロット」を選択

8月24日に発売された5代目の新型セレナ。最大の目玉である部分自動運転技術「プロパイロット」は、ミニバンでは世界初となる同一車線内での部分自動運転技術。

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同装備は「プロパイロットエディション」として2017年3月末までの期間限定生産される特別仕様車、またはカタログモデルにメーカーオプションとして用意されています。

なお、メーカーオプションで選ぶ際は、3種類の「セーフティパックA、B、C」の中から選択する必要があります。

[nextpage title=”初期受注で7割が「プロパイロット」を選択”]

「プロパイロットエディション」をおさらいすると、単眼カメラのみで前方の車両や白線などを検知し、車間距離と車線維持(車線中央を維持)を行うもので、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で制御。高速道路での使用を前提としています。

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約30〜100km/h(実際はメーター読みでACCの作動範囲である約114km/hか?)の速度内で作動。操作は、プロパイロットの青いボタンを押してスタンバイ状態になった後、セットスイッチで車速を設定し、プロパイロットがオンになります。

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そのため、作動には30km/hを超える必要があります。プロパイロットが作動すれば、前走車に追従して新型セレナも自動的に停止し、3秒以内の停止であれば自動的に再発進しますから、ダラダラとした渋滞中にも威力を発揮します。3秒を過ぎるとアクセルやスイッチの操作が必要になります。

NISSAN_SERENA_10

新型セレナのプロパイロット装着車は予約受注の段階で装着率が7割に達したそうで、これは日産が想定していた4割という予測を大きく超えるもので、手応えを得ているそう。

なお、販売、納車時などの現場では、「自動運転技術」を謳うプロパイロットの作動条件や使い方などの周知を徹底するとしています。

(文/塚田勝弘 写真/冨士井明史、塚田勝弘)

ボルボが米・ウーバー社と自動運転開発で提携した狙いとは?

日本でもサービスを開始しているアメリカのUber(ウーバー)。アプリを使って、タクシーだけでなく個人のクルマも含むライドシェアを世界中の都市で展開しています。

日本では個人所有のクルマとドライバーの利用は「白タク」行為に当たるとして、福岡の実証実験は途中で国交省から「待った」がかかり、現在は富山県南砺市とウーバーが提携することで、無償を前提とした実証実験が行われています。

Volvo Cars and Uber join forces to develop autonomous driving cars

クルマの乗り方を変えるタクシーの配車サービス、そしてライドシェアは、ウーバーに限らず、車両が自動で迎えに来てくれる完全自動運転との関連性を感じさせます。

2016年8月19日、ボルボ・カーズとウーバーが自動運転車の開発で合意しました。

ドライバーがいない完全な自動運転を含む、最新の自動運転技術の開発に対応できるよう、XC90を元にした新しいベース車を開発するジョイントプログラムの立ち上げの合意に達したというもの。

ベース車はボルボによって生産され、ウーバーがボルボから購入するカタチになり、ボルボとウーバーはこのプロジェクトに3億USドル(約300億円)を出資。

Volvo Cars and Uber join forces to develop autonomous driving cars

ウーバーが自社開発した自動運転システムをボルボのベース車に搭載し、またボルボは同じベース車両を、完全な自動運転を含む自動運転戦略の次世代車として活用するとしています。

新しいベース車は、ボルボの新世代プラットフォームスケーラブル・PRODUCT・アーキテクチャー(SPA:Scalable Product Architecture)を元に開発され、最新のXC90を始め、S90/V90でも採用されています。

Volvo Cars and Uber join forces to develop autonomous driving cars

ボルボはお膝元スウェーデンや中国で100台規模の自動運転の実証実験を推進するとしていて、今回の提携でさらに自動運転技術を高めるのは間違いないでしょう。

ボルボは2020年向けてボルボ車による死亡事故ゼロを掲げています。世界で毎年100万人以上が交通事故で亡くなるという現状は、ボルボだけでは解決できないとして今回のような提携の意義を強調しています。

(塚田勝弘)

日産が米国でインフィニティのフラグシップセダンを公開!

日産自動車が米カリフォルニア州で開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、「インフィニティ Q80インスピレーション」を公開すると発表しました。

Infiniti_Q80

クーペのようなエレガントさを備えたインフィニティのフラッグシップモデルで、米国では初公開となります。

全長5,060mm、全幅2,010mm、全高1,340mmと、同社の現行「シーマ」に迫る堂々としたボディサイズを持つ4ドアセダンとなっており、カーボンファイバーやアルミ、レザーなどの素材を使用するなど、最高の品質を追求したといいます。

ハイブリッドシステムを採用しており、新型「Q60」や「Q50」改良新型に搭載された3.0L V6ツインターボエンジンを搭載、モーターとの組み合わせによるシステム出力は550hpに達しています。

駆動方式はFRと4WDを切り替えられる仕組みになっており、燃費性能は、欧州複合モードで18.2km/L。

インテリアは、独立4シーターとなっており、運転席や助手席にHUD(ヘッドアップディスプレイ)が装備されています。

Infiniti_Q80

ルノー出身で現在はインフィニティ副社長のフランソワ・バンコン氏によれば、「同モデルはプレミアムセダンの新境地を開拓するもので、これまでの伝統的な高級セダンではない」とした上で、「製品化の意図を持ったインフィニティの野望を示唆するモデル」と説明。

Infiniti_Q80

また「インフィニティ・ブランドのプレミアムカーにとって、自動運転機能は不可欠」としており、日産がセレナ以降、各車種に展開中のドライバー支援システムにも注目が集まりそうです。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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米・フォードCEOが2021年「完全自動運転」実現を宣言!

米フォードが8月16日、人が運転に関与せず、ハンドルやアクセル、ブレーキペダルが無い自動運転車を2021年までに実用化する計画を発表しました。

FORD

同社が目指しているのは最も難易度が高い「レベル4」(完全自動運転)で、マーク・フィールズCEOはこのチャレンジについて「フォードが100年前に実現した自動車の大量生産方式と同様、社会に大きな影響を与えるだろう」としています。

同社は「完全自動運転」の実現に向け、米カリフォルニア州シリコンバレーの研究所を拡充。自動運転に必要なセンサーやAI(人工知能)、地図情報などのベンチャー企業への出資や提携を発表しています。

2021年時点では「ライドシェア」など、配車サービス事業用途を考えているようで、一般向けには2020年代後半の実現を想定している模様。

新聞報道などによると、同社はこの分野で先行するGoogleとの提携を模索していたそうですが、合意に至らず自社開発することにしたそうです。

FORD

自動運転技術をめぐっては、交通事故の減少や渋滞の緩和につながることから、BMWが今年7月に2021年までの完全自動運転技術導入に向けて米インテルと提携するなど、世界の大手自動車メーカーが開発に鎬ぎを削っており、IT企業からの参入も相まって、開発競争は業種の壁を越えて激しさを増しています。

そうしたなか、日本政府は2020年をめどに「レベル3」(非常時ドライバー介入)、2025年に「レベル4」の実現を目指しており、世界レベルでの技術競争の行方が注目されます。

Avanti Yasunori・画像:FORD MOTOR)

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新型・セレナは「プロパイロット」搭載でドライブがココまで変わる!

日産自動車の国内中核モデルとして長年ファミリー層を中心に多くのユーザーに支持され、1991年の初代モデル発売以来、累計150万台以上を販売して来た「セレナ」。

NISSAN_SERENA

8月下旬にフルモデルチェンジを予定している5代目では、日産が独自に開発した国産車初、ミニバンでは世界初となる運転支援機能「プロパイロット(ProPILOT)」を装備しています。

高速道路の単一車線内で、カーブ走行を含め、常に前走車との車間距離を保持しながら、追従走行することが可能となっています。

NISSAN_ProPILOT

設定した車速(約30〜100km/h)を上限に、アクセル、ブレーキ操作はもちろん、車線中央を走行するようにステアリング操作をアシスト。特に発進・停止を繰り返すような渋滞発生時にはドライバーの疲労低減に大きく寄与しそうです。

なお、「プロパイロット」作動中にステアリングから手を離した際には、2段階でワーニングが発せられ、従わない場合には最終的にシステムを解除する仕組みになっています。

今回搭載されるのは「プロパイロット1.0」ですが、2018年には「プロパイロット2.0」へバージョンアップ。車線変更を含む、複数レーンでの自律走行が可能になるようです。

NISSAN_ProPILOT

さらに2020年には「プロパイロット3.0」に進化、ドライバーの介入無しで市街地での交差点・信号停止・自動合流・自動分岐・インターチェンジ走行が可能になる模様。

一方、2017年初頭には、次期「ノート」で採用が予想される、発電用小型エンジンを搭載したレンジエクステンダー方式のEV(e-POWER)もラインナップされるとの噂もあり、同車の今後の展開が注目されます。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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日産がプロパイロット搭載の新型「スカイラインクーペ」を年内発売か?

日産自動車が8月10日、デトロイトショー2016でワールドプレミアした「インフィニティQ60スポーツクーペ」(国内:スカイライン・クーペ予想)の本格生産を栃木工場で開始したと発表しました。

NISSAN_SKYLINE_Coupe

栃木工場では同車の生産に向け、4,500名の中から216名の高度な技能を有する熟練の職人である「匠」を選出。プレミアムカーの生産に関する特別な訓練を実施し、その「匠」の中から選出された6名が「マイスター」として生産に関わるあらゆる面を監督しているそうです。

新たに開発した新色「ダイナミック・サンドストーン・レッド」の塗装のために、専用の塗装ブースを導入したそうで、艶のある深い赤色の仕上げに際し、機械と人間の手による塗装を組み合わせた新工法を採用。

NISSAN_SKYLINE_Coupe

このダイナミック・サンドストーン・レッド塗装工程は、数百種類の塗料配合・塗布方法をテストして生まれたもので、塗膜厚さや品質をより緻密に管理しているそうです。

ピンと張った筋肉質のボディデザインを表現すべく、深いボディプレス加工技術を採用するとともに、トランクリッドには樹脂製の外板にスチール製のフレームを組み合せた世界初の構造を採用。

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リヤスポイラーをトランクリッドと一体成形するなどの工夫が織り込まれています。

エンジンは2.0L直4ターボ(211ps)と、新設計の 3.0L V6ツインターボ(305ps/405ps)をラインナップ。ミッションは7速ATを採用。

NISSAN_SKYLINE_Coupe

駆動システムにはオプションでFRベースのAWDシステムを採用、ハンドリング性能と乗り心地を高次元でバランスさせる新設計の「ダイナミック・デジタル・サスペンション」を用意。

第2世代の「ダイレクト アダプティブ ステアリング」の採用により、操縦性能を高めており、より自然なステアリングフィールとフィードバックを実現しています。

NISSAN_SKYLINE_CoupeMercedes-Benz_C-Class_CoupeNISSAN_SKYLINE_CoupeMercedes-Benz_C-Class_Coupe

2010年4月以降、ダイムラーと提携関係にある同社だけに、デザイン的にメルセデス・ベンツCクラス・クーペとの類似点がみられるのも興味深いところ。

米国では今秋発売(車両価格400〜600万円)、日本でも年内に発売される可能性がありそうです。

さらに、セレナに初採用される「プロパイロット」搭載の噂もあるようで、同車に関する今後の情報が待たれます。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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「新型」日産・セレナの登場でミニバン市場はこう変わる!

初代モデルの発売以来、累計150万台以上を販売して来た日産自動車のミニバン「セレナ(SERENA)」ですが、いよいよ8月下旬に5代目が登場しようとしています。

NISSAN_SERENA

同車は国内ミニバン市場において、2013年に販売台数No.1の座を獲得(9.6万台)。

その後、2014年にはトヨタ「ヴォクシー」のフルモデルチェンジに伴い、2位(7.7万台)に、2015年にはトヨタ「シエンタ」の登場で3位(6.2万台)へと後退したものの、一貫して上位をキープし続けている人気モデル。

NISSAN_SERENA

そこで5代目ではミニバン販売TOPの座奪還に向けて、国内初となる先進の運転支援機能「プロパイロット」を搭載、一気に巻き返しに出ようとしています。

NISSAN_SERENA

新型セレナに搭載されるこの「プロパイロット」は同社が2016年、2018年、2020年と段階を踏んで実用化を目指している自動運転システムの第一弾となるもの。

設定した車速を上限に車間距離を保ち、車線中央を維持するようにステアリングを制御、渋滞時のステアリング、アクセル、ブレーキの全てを自動化しており、ドライブにおける疲労感軽減に大きな威力を発揮しそう。

新型セレナではプラットフォームを現行モデルからキャリーオーバーしており、乗り込み易さでは超低床フロアを採用しているトヨタ「ヴォクシー」に軍配が上がりそうですが、先進の運転支援システム「プロパイロット」搭載による商品力の向上により、ライバルに対して大きなアドバンテージを持つことになります。

TOYOTA_VOXYHONDA_STEP_WAGON

おりしもマツダのミニバン販売が他社に押されて低迷しており、今年の2月末には、2017年を目処にSUV開発に専念するとの情報が新聞報道で伝えられるなど、今後のミニバン販売競争はトヨタ、日産、ホンダの3強で繰り広げられる様相となっています。

NISSAN_SERENA

そうした中、スッキリとしたエクステリア・デザインを継承、日本初となる高度運転支援システム搭載モデルを300万円以下の車両価格に抑え、8月24日に発売するとみられる「新型セレナ」に大きな注目が集まります。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

ジャガー・ランドローバーが100台以上のコネクテッド自律運転車両を投入して目指す世界とは?

オンロードだけでなく、オフロードでの自動運転技術の開発を推進しているジャガー・ランドローバー。

今後4年間、「コネクテッド自律運転車両(CAV:Connected Autonomous Vehicle)」の技術開発とテストに、100台を超える研究用車両を活用する計画を明らかにしました。

JLR_on_road autonomous_tests_02

2016年後半にも本社コベントリーとソリハル周辺の高速道路と市街地に設けられた41マイル(約65km)の新しいテスト用ルートを、研究用車両で走行させる予定だそうです。

初期段階では、車車間通信と、車両とインフラ間の路車間通信を使い、車両間の相互通信はもちろん、道路沿いの標識、道路情報掲示板、信号との通信を可能にするというもの。

将来的には車両間のデータを共有し、複数のコネクテッド・カーが連携し合うことで、車線変更や交差点の通行をより容易に、安全にするとしています。

具体的な技術として「ROADWORK ASSIST(ロードワーク・アシスト)」を搭載。

前向きに設置されたステレオカメラを使い、前方道路の3Dビューを生成し、高度な画像処理ソフトウエアと連携させることで、コーンや障害物を認識することが可能。

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同システムにより、車両が道路工事の開始地点に接近していることを検知し、込み入った建設現場や一方通行道路があることを知らせます。わずかな力でステアリング操作をアシストし、ドライバーが車線中央を走行し続けることができるようにサポートするものです。

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また、無線信号を使用し、車両間で関連データを送受信するデバイスをテストする研究プロジェクトの一環である「OVER THE HORIZON WARNING(視野外警告)」も実施されます。

車両が独立して通信し、ドライバーと自律運転車両に見通しが悪く、目視できない場所にある危険や障害物を警告。

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ほかにも、車両を減速か停止させることで、ほかの車両に危険が生じる場合、付近の車両に「Hazard Ahead(前方危険)」警告を送信する機能も搭載されます。

また、コネクテッド技術を搭載した緊急車両が周囲の車両と通信し、ドライバーが警告灯やサイレンに気が付くよりも先に、緊急車両に搭載されたデバイスがその接近を配信する機能なども開発項目に入っています。

これらが実現すると完全自動運転車両も現実味を帯びてくるように感じさせますが、手動運転車両、部分自動運転車両、完全自動運転車両の混在期間をどう運用していくかなど、課題は山積しているのは間違いないでしょう。

(塚田勝弘)

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ジャガー・ランドローバーはあらゆるオフロードを走破できる「オールテレイン自律運転技術」を目指す
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あらゆるオフロードを走破できる「オールテレイン自律運転技術」を目指すジャガー・ランドローバー

メルセデス・ベンツが最新のEクラスに一歩進んだ部分自動運転技術を投入するなど、まだ一部とはいえ市販車に自動運転技術が採用され始めています。

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先日、ジャガー・ランドローバーが「オールテレイン自律運転技術」のデモンストレーションを実施しました。

世界初のオフロードのデモンストレーションとして、2台のレンジローバー・スポーツを使用し、専用狭域通信技術(DSRC:Dedicated Short Range Communications)で接続される「OFF-ROAD CONNECTED CONVOY(オフロード・コネクテッド・コンボイ)」が行われました。

2台のレンジローバー・スポーツは、「無線車両間(V2V:vehicle-to-vehicle)通信システム」を活用し、車両位置、空転などの情報に加えて、すでに実用化されている「オールテレイン・プログレス・コントロール・システム(ATPC)」と「テレイン・レスポンス」の設定を2台で瞬時に共有するそうです。

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数百万ポンド(約数億円)規模の予算を投じた「AUTONOMOUS ALL-TERRAIN DRIVING(オールテレイン自律運転)」研究プロジェクトは、あらゆるオンロードやオフロード環境、どんな天候条件においても車両が自動的に走行可能となることを目指しているプロジェクトで、ランドローバーを抱える同社らしい試み。

ジャガー・ランドローバー社では、高度な自律運転技術や完全自動運転技術の適用を舗装路のみに限定するのではなく、オフロードなどの脇道に入ったとしても、継続的にサポートしていきたいと考えているそうです。

日本の道路環境だとあまり必要性を感じさせませんが、世界には多様な「道」がありますし、ドライバーをサポートするという意味では悪路や悪天候下でこそ大切な技術ともいえそう。

目指しているのはオフロードなどの悪路だけでなく、コーンや一方通行表示のある工事中の道路をはじめ、雪で覆われた山道、ぬかるんだ林道でも、ドライバーと自律運転車両の両方がこの先進技術を使用できるようになると想定。

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もし、ドライバーが前方の障害物や危険にどのように対処すればよいかわからない場合でも、車両に制御させることが可能になるそうです。

オールテレイン自律運転能力を実現するため、同社では未来の自律運転車両の「目」として機能する次世代のセンシング技術を開発。

ドライバーよりも優れた視覚を有するセンサーは常時作動し、どのような路面でも車両が車両自身で考え、最適なルート選択をする高度な人工知能を車両にもたせることができるようになるとのことです。

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自律走行などの技術は、軍事を含むロボットなどで採用されていますが、同社が開発している「SURFACE IDENTIFICATION AND 3D PATH SENSING(路面識別および3D道路センシング)」研究では、カメラ、超音波、レーダーおよびLIDAR(ライダー)センサーを組み合わせ、車両に360度の視界を提供。非常に高精度なセンサーを搭載し、雨天時や降雪時でも路面特性からタイヤ幅まで判断し、ルート設定をすることができます。

(塚田勝弘)

ヤマト運輸が自動運転による宅配「ロボネコヤマト」プロジェクトを始動!

ヤマト運輸とDeNA(ディー・エヌ・エー)が7月20日、国家戦略特区において自動運転による次世代物流サービス「ロボネコヤマト」プロジェクトの実証実験を来年3月から1年間に渡って実施すると発表しました。

YAMATO

「クロネコ宅急便」を手掛けるヤマト運輸では、受け取りニーズの多様化に合わせて、コンビニなどにも受け取り場所を拡大するなど、利便性の拡大を進めています。

一方のDeNA はインターネットサービスで培ったノウハウと自動運転技術を連携させた、物流領域での自動運転技術の活用を模索中。

そこで両社は持ち前のノウハウを結集、「より利便性が高く、自由な生活スタイルを実現する物流サービスを目指す」ことにしたといいます。

両社は「ロボネコヤマト」プロジェクトで2種類のサービス実証実験を予定。

「オンデマンド配送サービス」は、共働き夫婦や一人暮らしの人が、望む時に望む場所で荷物を受け取ることができる配送サービスで、スマホで荷物の現在地や到着予定時刻の確認が可能。

また「買物代行サービス」は、小さな子供を持つ家庭やお年寄りが地域の複数商店の商品をインターネット上で購入、一括で宅配。

実証実験では、ニーズに応えられているかどうかの検証と、サービス利用における顧客からの細かな要望などの収集を行う計画で、市販車の後部座席に荷物の保管ボックスを設置した専用車両を使用するそうです

YAMATO

また実験では安全確保のために人が乗り込み、配送ルートの一部で自動運転、将来は完全無人化を目指す予定としています。

DeNAは「自動運転」をゲームに次ぐ主力事業に育てる方針で、ベンチャーの 「ZMP」との合弁会社「ロボットタクシー」を設立、すでに神奈川県藤沢市などの国家戦略特区で「自動運転タクシー」の実証実験をスタートさせており、8月からは幕張イオンモールにも「自動運転バス」の導入を予定。

今回、新たにヤマト運輸と共同で実施する「ロボネコヤマト」プロジェクトはそれに続くもので、自動運転車による宅配実現を目指すことになります。

ただ、公道を使った自動運転による宅配サービスには法整備の問題や、都市部の複雑な道路網への対応が必要となることから、課題が多いのも事実。

実現した場合、早朝や深夜の配達などサービスの幅が広がり、消費者にとって宅配便をより便利に使えるようになることから、両社の今後の取組みが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:ヤマト運輸)

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自動運転車向けの地図配信にNTTドコモの携帯電話ネットワークを活用する研究

NTTドコモ(ドコモ)は、総務省・自律型モビリティシステム(自動走行技術、自動制御技術等)の委託事業で、パスコ社と共同で委託先に選定され、7月15日に採択通知書を受け取ったと発表しました。

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今後ドコモは、エッジコンピューティングを利用した高度地図データベースの高効率なリアルタイム更新・配信技術の開発を開始することになります。

今回ドコモとパスコ社が委託先に採択されたのは、総務省の「平成28年度 情報通信技術の研究開発『自律型モビリティシステム(自動走行技術、自動制御技術等)の開発・実証』」の4つの研究開発課題のうち、課題III「高度地図データベースの高効率なリアルタイム更新・配信技術の確立」についてです。

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ドコモとパスコ社の役割分担については、パスコは主に自動走行に必要な高度地図データベース(以下、ダイナミックマップ)の更新技術の開発を分担し、ドコモは自動走行車へのダイナミックマップの効率的な配信技術の開発を分担します。

ダイナミックマップとは、道路情報や道路上の物体に関する高精度な地図情報と、道路交通情報や他の車、バイク、歩行者等の状況に応じて変動する情報を、時間的・空間的に統一して三次元の空間情報にまとめた地図のことです。

ドコモが開発する技術は、自動走行車へのマップ情報配信に携帯電話のネットワークを活用することを想定したものです。

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現状のネットワーク技術で膨大なデータ量となるダイナミックマップを高速移動する自動走行車に配信すると、携帯電話ネットワークへ高負荷がかかり、ダイナミックマップの配信に不具合が発生することが予想されるため、より効率的な配信技術が求められています。

そこでドコモは、エッジコンピューティングの技術を用いて、ダイナミックマップのサーバーを携帯電話のネットワークに分散して配置することで、ネットワークに与える負荷を低減する技術を検証し、効率的な配信技術を開発します。

エッジコンピューティングは、ユーザーの近くに情報を処理するサーバー(エッジサーバー)を分散設置することで、クラウドコンピューティングに比べて、遅延の少ない情報処理やデータの分散を可能とする技術です。

ドコでは、今回の実証実験で携帯電話(モバイル)のネットワーク網にエッジサーバーを設置することで、モバイルエッジコンピューティングの環境を構築することを目指しています。また、今回の委託事業による技術開発の一部をNTT未来ねっと研究所と連携して進めるとしています。

(山内 博・画像:総務省、ドコモ)

テスラのイーロン・マスクCEOが先進的な「新事業計画」をブログで公開!

テスラモーターズの自動運転機能に関するニュースが飛び交うなか、イーロン・マスク会長兼CEOが7月20日、同社の新事業計画を自身の公式ブログ上で明らかにしました。

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マスク氏が同社を発足させて以来、一貫して目指しているのは、化石燃料への依存を早期に断ち、「持続可能エネルギー」への切り替えを加速させること。

そうした観点で、今後実現を目指す新たなマスタープランを公開したもので、要約すると、次の4つのポイントで構成されています。

1)蓄電装置一体型ソーラーパネルの普及
パワーウォールを進化させ、契約から設置までの全てを1社で一元管理

2)自律走行可能な大型EVトラック、都市型EVバスを開発
・トラックの大型化により貨物輸送コストを大幅削減
・車内レイアウト工夫でバスの乗客密度を向上、車体を小型化

3)人間の運転より10倍安全な自律走行システムを実現
世界中で販売したテスラ車から収集した走行データを活用

4)自家用車のシェアリングシステム構築
テスラ車ユーザーが同社のカーシェアリングシステムに自車を登録、
使用しない時間帯に貸し出し、車両返済資金、維持費に充当

2)については、来年にも発表する予定としており、小型EVバスでは、携帯電話を持たない人のために、既存のバス停に呼び寄せ用のボタンを設置、車椅子や自転車も載せられるようなデザインを予定しているそうです。

4)のシェアリングシステムは、税金や保険料など維持費が高くつくことから、日本でもクルマ離れが懸念されるなか、持続的な新車販売に効果的なシステムとなる可能性を秘めていそうです。

モデルSの自動運転支援システムは、米国では昨年10月に発表され、日本でも国交省の認可を受けて、運転支援システムの配信が今年1月から始まっています。

TESLA_MODEL-S

そうしたなか、今年5月7日に米フロリダ州の幹線道路で、初となる自動運転機能作動中の死亡事故が1億3000マイル(約2億km)走行時点で発生しました。

事故原因については現在のところ、ドライバーの前方不注意(DVD鑑賞?)と、カメラセンサー等の認識能力に起因している可能性があるとの見解のようです。

同社では現在、世界中の車両を合わせて、1日当たり約500万kmの走行実績を積んでいるそうですが、ワールドワイドで自動運転が法的に認められるまでには100億km(約6年相当)の実績が必要になると予測。

TESLA_MOTORS

テスラでは、これまでに得た知見をベースに、技術力に更なる磨きをかけながら、「EV」、「自動運転」、「家庭用発電システム」、「カーシェアリング」をトリガーにして、今後も持続可能エネルギーへの早期移行を実現させる考えのようです。

Avanti Yasunori・画像:TESLA)

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2020年に「先進運転支援システム」市場が1.4兆円規模に!
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2020年に「ADAS(先進運転支援システム)」市場が1.4兆円規模に!

車両の前後や側方に装着したセンサーにより、車両周辺の状況を検知して事故を未然に防ぐ先進運転支援システム「ADAS」(Advanced Driving Assistant System)。

TOYOTA

市場調査や企業向けコンサルティングを手掛ける矢野経済研究所が、「ADAS」の世界市場動向について調査したそうです。

ADASの主な運転支援機能には、車線維持支援(LKS)、前方車両追従(ACC)、緊急自動ブレーキ(AEB)、標識認識(TSR)などがあり、センシング・デバイスとしてはミリ波レーダーやカメラ、赤外線レーザー、ナイトビジョン、超音波センサーなどが挙げられます。

矢野経済研究所が今年の3月から6月にかけて、カーエレクトロニクスや半導体、自動車メーカーなどを対象に動向を調査した結果、2015年から日米欧でADAS装着車が急増しており、世界市場が本格的に拡大していることが判明したそうです。

ADAS

今後も2020年にかけて年平均成長率29.3%で推移し、2015年時点で約4,300億円だったADAS市場は、2020年に1.4兆円を超える規模にまで成長する見通しといいます。

米国運輸省やIIHS、NHTSAが、2022年までに主要自動車メーカー20社が製造する全新規販売車両において「AEB」(緊急自動ブレーキ)が標準装備になると発表。

これを受けて、各自動車メーカーが搭載を前倒しする可能性が高く、2020年までに9割以上の新規販売車両に「ADAS」が標準装備されると推測しています。

センシング・デバイス別に見ると、特に車載カメラは自動運転車向けに複数の搭載が検討されていることから、昨年の約1,500億円から2020年には約6,800億円市場(年平均成長率43.6%)に拡大する見込み。

また、ミリ波レーダーについても、2019年以降に検知距離が100m以下の周辺監視向けSRR(Short Range Rader)として複数個の搭載が進むため、市場規模が約1,100億円→約3,900億円(同27.8%)に、超音波センサーも300億円→860億円(同19.0%)にそれぞれ拡大する見込みといいます。

一方、廉価タイプの赤外線レーザーや、高価なナイトビジョンについては伸びが鈍化する傾向にある模様。

このように、自動運転車両の普及とともに、ADAS市場は2020年に向けて飛躍的に拡大するとみてよさそうです。

Avanti Yasunori・画像:TOYOTA、矢野経済研究所)

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テスラ・モデルSが米国の公道で自動運転中に初の死亡事故

電気自動車の米国テスラ・モータースは、同社モデルSで自動運転中に発生した死亡事故について、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が予備審査を開始したと6月30日に発表しました。

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各種情報によると、公道で自動運転中の自動車による死亡事故が明らかになるのは初めてということです。

事故は5月7日、フロリダ州の幹線道路を自動運転で走行中のモデルSの前方を大型トレーラーが横切ったところ、トレーラーの側面にモデルSが衝突。ドライバー1名が死亡したというものです。

テスラの発表によると、事故は強い日差しの中で発生。白色に塗装されたトレーラーにドライバーが気付かず、モデルSの自動運転システムも動作しないか、あるいは動作が間に合わない形で発生しました。

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モデルSの自動運転システムは、米国では昨年10月に発表され、日本でも国交省の認可を受けて、自動運転システムの配信が今年1月から始まっています。

モデルSの自動運転システムでは、カメラ・レーダー・センサーで周囲の状況を検知し、設定された速度で所定の車間距離を保って走行しますが、自動運転中でもハンドルを握ることが必要で、運転中にドライバーがハンドルから手を離したらシステムが自動的に減速運転に入るようになっています。

テスラでは、モデルSの自動運転システムはドライバーが何らかの運転操作をすれば、すぐに自動で解除されるようになっており、またシステムは開発途上であることをユーザーに告知済みであると発表しています。

テスラの自動運転中の死亡事故は1億3000マイル(約2億km)の走行実績で今回初めて発生しましたが、米国内では9400万マイル毎に、全世界では6000万マイル毎に死亡事故が発生しているとしています。

今後NHTSAの調査結果がどのようになるかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:テスラ・モータース)

VWが新戦略「TOGETHER-2025」で新型EVを30車種以上投入!

VWはディーゼル車排ガス認証試験に関する問題が表面化したことを受け、開発責任の所在を明確化すべく、年初に車両開発部門の大掛かりな組織改革を実施しました。

同社は深刻なダメージから再生を図るべく、過去の過ちから学んで欠点を改め、オープンで信頼性の高い企業風土を確立するとしています。

Volkswagen

具体的には組織を「スモールカー」、「コンパクトカー」、「ミッド&フルサイズカー」、「BEV(バッテリー式電気自動車)」の4つに集約、その上で各組織のマネージャーをサポートする「ストラトジー&プロダクト部門」を新設しており、デジタル化、電動モビリティなどの市場要請に応えて行くとしています。

そうしたなか、VWは6月16日に開催した記者会見で、マティアス・ミューラーCEOが新戦略「TOGETHER -Strategy 2025」を発表しました。

VWは同戦略により「e-mobility」に注力していく考えで、10年内に30車種以上のピュアEVを投入、年間200〜300万台規模の販売目標を掲げており、2025年にはVWグループ総販売台数の20〜25%を電動車が占めるとしています。

「自動走行」についても、独自開発した競争力のある技術を他社に提供する考えで、新戦略を掲げて再出発した同社の今後の動きが注目されます。

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日産自動車が先頃開いた定時株主総会で、カルロス・ゴーンCEOが今年度に投入する新型車や新技術について説明しました。

NISSAN_2016

最新のハイブリッドパワートレーン「e-POWER」システムを搭載した新型コンパクトカーの国内導入を控えているとしており、航続距離の拡大と燃費向上を求めるユーザーのニーズに応え、EVの「リーフ」に匹敵する軽快な走りと、静粛性、優れた加速性能、低燃費を実現しているそうです。

各種情報によると、同車は日産が11月頃の投入を目指している「ノート」のHVモデルとみられ、発電専用のガソリンエンジンを搭載してモーターで走行するレンジエクステンダー方式を採用している模様。

この「e-POWER」システムは昨秋のフランクフルトモーターショーで同社が公開した「GRIPZコンセプト」に搭載されていたシステムで、「ノート」のビッグマイナーチェンジに合わせて市販化する計画のようです。

NISSAN_Gripz_Concept

さらに、単一車線での自動走行を実現する「プロパイロット」技術を他市場に先駆けて国内に投入することを発表。

これは、同社が2016年度末までに国内で販売する中核モデルの8割に搭載する既存の自動ブレーキ技術をさらに発展させたもの。

NISSAN_IDS_Concept

より安全で効率的なドライビングを提供するとしており、国内に投入後、米国、欧州、中国で商品化する計画のようです。

あわせて、「e-POWER」システム、「プロパイロット」技術を搭載した新型車を株主にひと足先に公開予定で、今年後半に発表会と試乗会を企画しているそうです。

Avanti Yasunori

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開発を急ぐ新技術は「守護天使」!? トヨタの研究部門の計画とは?

トヨタ自動車が1月、米国に設立した「TRI」(Toyota Research Institute)を率いるギル・プラットCEOが、AI(人工知能)を使った新技術について語ったそうです。

TOYOTA_TRI

ロイター等によると、同社は自動運転技術で2方式の開発を進めていると言います。

一つはドライバーが事故を起こしそうになった際、AIが運転操作を支援する方式で、同社が「守護天使」(Guardian Angel)と呼んでいるもの。

TOYOTA_Highway_Teammate

プラット氏によれば数年内の実現を目指しているそうです。

もう一つは高齢者や体の不自由なドライバーに代わり、AIが運転する「Chauffer」(お抱え運転手)と呼ぶ方式で、こちらはほぼ完全な自動運転。

米人気映画「MIB Ⅱ」(メン・イン・ブラック2)でステアリングホイールの中から現れる運転代行ロボットを思わず連想してしまいますが、こちらの実現にはより高い信頼性が必要となるため、さらなる研究が必要としており、実用化には時間がかかるとしています。

TOYOTA_Highway_Teammate

また、プラット氏はAIの応用領域として「家庭用ロボット」が有力としており、日本を中心に今後10〜15年で高齢化に伴う介護用で需要が高まるとの予想のもと、商用化を急いでいる模様。

トヨタ自動車はTRIに今後5年間で約10億ドル(約1,050億円)の研究費を投じる計画で、先頃ご紹介した米Google傘下のロボット会社買収への動きも含め、AI研究を加速させる考えのようです。

Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車

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世界の先進自動車技術市場、2030年にはどうなっている?

マーケティング&コンサルテーションを手掛ける富士キメラ総研が、自動車産業において「環境」「安全」「快適」をキーワードとする有望技術の方向性や、それらに応じて変化する機器やデバイス市場の将来動向を調査しました。

TOYOTA_ADAS

その調査結果を元にまとめた「2016 次世代カーテクノロジーの本命予測」では、自動車産業の将来を以下のように予測しています。

・自動運転システム

衝突回避、車線逸脱防止、道路検知などを行う先進運転支援システム(ADAS)搭載車は2015年時点で1,030万台に達しており、2020年には日米欧における販売台数の過半数がADAS搭載車となる見込み。

その後、2030年には全販売台数の41.5%にあたる5,800万台に拡大すると予測しています。

2016

また、2020年から徐々に「自動運転レベル3」の生産が拡大、2020年代後半には高級車や商用車を中心に、より高度な「自動運転レベル4」の量産がスタートするとしています。

・次世代カーナビゲーションシステム

ADASの搭載が進むなかで、日欧を中心に次世代車載情報通信システム「IVI」(In-Vehicle Infotainment)のディスプレイにADAS情報を映すニーズが高まるとしており、2030年には現在の6倍以上の1,812万台まで搭載が拡大すると予測しています。

TOYOTA_PRIUS_PHV

また、低価格車を中心にスマートフォン連携システムの需要が拡大しており、2030年には現在の30倍以上となる7,450万台にまで拡大する見込み。

2016

・センシング技術

ADASの普及に連動してセンシングカメラの需要が拡大すると予想され、2030年には日欧で主流になりつつあるミリ波レーダーとの組合せがさらに拡大。

TOYOTA__TSS-C

また、レーザーレーダーは、コスト低減要求の強いコンパクトカーや新興国向け車種の一部で採用が拡大するとの予想。

2016

・車載電源

2011年にドイツのメーカー5社が「LV148」規格を策定、48V電源対応車の開発が進んでおり、今年から欧州を中心に「48VマイルドHV」が投入されるようです。

2016

また、2020年からは中国、米国でも採用が増えるとの予想。

・バイ・ワイヤ技術

機械式制御に代わって電気信号で制御する技術で、主に日米欧を中心に搭載が増えています。

ドライブ・バイ・ワイヤは、エンジンの回転を電気制御するため、燃費削減につながるほか、アクセルワイヤやなどの部品が不要になるため、軽量化にも貢献。

2016

今後、自動運転などで電子制御化がさらに進むことから、2020年代前半には搭載率が100%になるとみられ、上級モデルを中心に搭載が進むようです。

シフト・バイ・ワイヤは、シフトレバーのデザインに制約がなくなり、センタークラスター、センターコンソールのデザイン性向上にもつながるため、ハイエンドクラスの自動車を中心に搭載が進むとの予想。

また、クラッチ・バイ・ワイヤは、高速道路でのみクラッチ操作からオートマチックに切り替えるなど、ドライバーの運転支援にもつながることから、2018年から主にM/T車の多い地域で搭載が進み、欧州、中国、新興国に限定的に普及するとしています。

これらの調査結果より、今後2020年から2030年にかけて「環境」「安全」「快適」をテーマにした機器やデバイス市場が飛躍的に拡大するとみてよさそうです。

Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車、富士キメラ総研)

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オムロンが運転手の状態をリアルタイムに判定する世界初の車載センサーを開発

オムロンは、運転手の行動や状態をセンシングし、安全運転に適した状態かを判定する「ドライバー運転集中度センシング技術」を搭載した、世界初の車載センサーを開発したと発表しました。

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この車載センサーに搭載されている「ドライバー運転集中度センシング技術」は、画像センシング技術に「時系列ディープラーニング」という最先端のAI(人工知能)技術を組み合わせているということです。

オムロンでは、運転手の健康状態が急変し、運転の継続が困難な状況に陥ってしまうことによる事故の複数発生や、自動運転の実現にむけた運転手の安全運転を支援する技術開発が求められていることを背景に、運転手が安全運転に適した状態かをリアルタイムに判定できる技術開発を進めてきました。

今回の車載センサーのキモである「ドライバー運転集中度センシング技術」は、画像センシング技術に最先端のAI技術「時系列ディープラーニング」を取り入れて、カメラで撮影した映像から、運転手が運転に適した状態かをリアルタイムにレベル分けして判定することができます。

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オムロンは、この技術を搭載した車載センサーを2019年〜2020年に発売される自動運転車などへ搭載することを目指しています。

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新開発の車載センサーの特長は次の3点です。

・運転手の行動/状態をセンシングし、運転に適した状態かをリアルタイムにレベル別に判定できる
・多様な運転手の状態を手のひらサイズのカメラ1台で判定できる
・ネットワーク接続を必要としない車内で完結したシステムでもリアルタイムに判定処理が可能

オムロンは、当技術のデモンストレーションを、2016年6月8日(水)から10日(金)まで開催された「第22回 画像センシングシンポジウム SSII2016」および、2016年6月27日(月)から30日(木)に、アメリカ・ラスベガスで開催される「CVPR Industry Expo 2016」に展示します。

(山内 博・動画、画像:オムロン)

トヨタが人工知能「AI」の開発で米Google傘下のロボット会社を買収か?

今年1月、米国にTRI(Toyota Research Institute)を設立するなど、AI(人工知能)の研究を加速させるトヨタ自動車。

DARPA(米国防総省 国防高等研究計画局)主催の災害対策ロボット競技会でプロジェクトマネジャーを務めたギル・プラット氏をTRIのCEOに据え、同氏の人脈によりGoogleで自動運転車開発プロジェクトを立ち上げたジェームズ・カフナー氏を招聘(しょうへい)するなど、積極的な動きをみせています。

TOYOTA_TRI

TRIはマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学ともAIの研究・開発で連携しており、走行中予期しない状況下に陥った際に危険を回避したり、何故そのような状況になったのかを説明できるような人工知能の実現を目標にしている模様。

さらに、トヨタはロボット事業を将来の成長を担う事業のひとつに位置付けており、日経新聞によると、Googleのロボット事業を担う中核子会社2社を買収すべく、詰めの交渉段階にあるようです。

2社の人材を活用してロボットの開発体制を大幅に強化する考えのようで、自動運転技術などへの応用も視野に入れている模様。

TOYOTA_TRI

買収対象としているのは1992年設立の米ボストン・ダイナミクス社と、2013年に米国企業の手に渡った東京大学発のベンチャー、SCHAFT(シャフト)社。

両社ともにDARPAの災害対策ロボットコンテストで注目を集め、Googleの傘下に入った経緯があり、TRIにとって理想的な買収相手と言えそうです。

このように、最先端のAI技術を吸収して生まれ変わろうとしているトヨタ自動車。今後もその動きから目が離せません。

Avanti Yasunori

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日立オートモティブが自動運転・電動化・環境関連に注力、フォード向け拡販を目指す

自動車部品大手の日立オートモティブシステムズ(以下、日立オートモティブ)が、6月1日に2018年へ向かっての中期経営目標を発表しました。

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発表によると、技術分野では自動運転関連・電動化関連・環境規制関連の製品に注力し、従来からメインの日産との取引に加えて、グローバルトップ10と呼ばれる大手自動車メーカーへの拡販を目指し、特にフォード向けへの販売増加を目論んでいます。

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地域戦略については、米州と中国を成長センターとして捉えていて、メキシコと重慶に現地法人を設立しています。米州では現地テクニカルセンターを強化して、米州の顧客対応を拡充することを目指しています。

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一方中国では、2018年に向けて中国市場の成長予測を大きく上回る成長を狙っており、内陸地域での生産を拡大しているカーメーカーに対応して、重慶に15番目の製造会社を設立しています。

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自動車部品業界では、従来からの系列を超えた取引が広がっており、日立オートモティブもメインの日産系の取引に加えて、グローバルトップ10と呼ばれる系列外の大手メーカーへの拡販を目指していることが目立ちます。

(山内 博・画像:日立オートモティブ)

ホンダが知能化技術研究開発の新拠点「HondaイノベーションラボTokyo」を開設

ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所は、知能化技術の研究開発を強化するため、外部有識者や研究機関との連携を図る共創の場として、新拠点「HondaイノベーションラボTokyo(英語名称:Honda R&D Innovation Lab Tokyo)」を、今年9月を目標に東京・赤坂に開設すると発表しました。

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本田技術研究所は、すでに2003年に知能化研究を進化させることを目的に、ホンダ・リサーチ・インスティチュート(以下、HRI)を設立。ドイツ・フランクフルト、米国・シリコンバレー・コロンバス、日本・埼玉県和光市に拠点を設けています。

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これらの拠点に加え、今回新たにHondaイノベーションラボTokyoを開設する理由は、都内・赤坂という立地条件を活かして、大学や研究機関の研究者・外部有識者との連携を密接にして、人工知能(AI)に特化した研究開発を加速させることにあると見られます。

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ホンダの知能化技術というと、ロボットASIMOがありますが、ASIMOで蓄積した成果に、HondaイノベーションラボTokyoで得られるAIの技術・情報を加えて、自動運転やコネクティビティ、ロボティクスなどの分野の研究を拡大強化することが期待されます。

(山内 博・画像:ホンダ)

ポルシェが自動運転などの先進技術開発で新会社設立!

ポルシェが先頃、新会社「ポルシェ・デジタル」を設立すると発表しました。

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今後ますます進むクルマのデジタル化に対応するのが目的で、プレミアム車用のソフト開発をリードする大手サプライヤを目指すそうです。

ドイツ・シュトゥットガルト近郊に本社を構え、米ITコンサルティング会社であるガートナー出身のティロコスロフスキー氏がCEOに就任。

新会社では先進技術の動向調査を行うとともに、特に自動運転の分野で世界中のイノベーターをつなぐインターフェイスに位置付けている模様。

PORSCHE

今後はドイツ本社の他にも米シリコンバレー、ベルリン、中国にも拠点を置くそうで、デジタル化に向けたパートナーとの長期的な協力を推進して行くとしています。

トヨタ自動車も自動運転の研究を加速すべく、米国に研究機関「TRI」を設置するなど、クルマの高度AI(人工知能)化に乗り出しており、こうした動きはポルシェにおいても同様のようです。

Avanti Yasunori ・画像:PORSCHE)

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アウディの研究車両「ジャック」がアウトバーン9号線で自動運転を披露

アウディは、Audi A7をベースにした自動運転の実験用コンセプト車両「ジャック」がアウトバーン9号線を自動走行する様子を公開しました。

「ジャック」というのは実験用コンセプト車両のアウディ社内でのニックネームです。

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「ジャック」の自動走行は、普通に人間が運転しているように自然な走りを見せています。

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トラックを追い越すときには、横方向の車間距離を少し余分に開けています。車線変更するときには、ウインカーを点灯させた後、移動する側の車線マーカーに少し幅寄せしてから車線変更を実行しています。

これらの運転動作は、人が実際に運転しているときに、周囲のドライバーに意図を伝えるために行う自然な運転動作を真似ているということです。

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アウトバーン9号線での自動走行実験では、テストドライバーではなく取材に訪れえたメディア関係者がアウトバーンでの自動走行を体験しました。テレビのレポーター?は両手をハンドルから離してマイクを手に自動走行の様子をレポートしています。

「ジャック」の自動運転の頭脳となっているのは、zFASと略称されているセントラルドライバーアシスタンスコントローラーです。

このコントローラーは、高性能プロセッサーがすべてのセンサーからのシグナルをリアルタイムで分析し、クルマを取り巻く状況を判断しています。ZFASは、周囲の交通の状況を判断して、次の瞬間にどう変化するかを予測して、次にどんな運転操作をするべきかを導きだしている、ということです。

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最近、自動車メーカー各社が自動運転のデモンストレーションを公開していますが、メディア関係者に公道上で自動運転車に試乗させるのは、アウディの「ジャック」への自信と信頼が表れているようです。

「ジャック」の自動走行の動画は下記のサイトで公開されています。

公式ページ:Audi piloted driving on the A9

(山内 博・画像:アウディ Media TV)

いすゞと日野がトラック・バスの自動走行・高度運転支援向けのITS技術の共同開発で合意

いすゞ自動車(以下、いすゞ)と日野自動車(以下、日野)は、自動走行・高度運転支援に関わるITS技術を共同開発することを合意したと発表しました。

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今回の合意の背景には、慢性的なトラック運転手不足解消と省エネルギーの達成には、会社の枠を超えたITS技術の共同開発が欠かせないという事情があります。

2013年に終了したNEDOのエネルギーITS推進プロジェクトで、日本のトラックメーカー4社は、大型トラックの隊列走行実験に成功しており、今後両社はNEDOプロジェクトで開発された要素技術の実用化に共同開発で取り組むものと見られます。

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NEDOプロジェクトで開発された大型トラックの隊列走行に必要な要素技術は次の5項目です。

・隊列形成:個々の車両の位置を認識して隊列を形成し管理する技術
・車線保持制御:道路端の白線を認識して操舵を制御する技術
・車間距離維持制御:車車間通信と車間距離検出によって車間距離を制御する技術
・障害物との衝突回避制御:障害物を検出し、レーンチェンジや非常ブレーキ制御を行う技術
・先頭車追尾制御:分合流部、降雪や悪天候時などの白線認識不可時に先行車を認識し追従する技術

米国ではロボット技術を活用したトラックの隊列走行実験が行われ、欧州では互いに通信しながら隊列走行する自動運転トラックが欧州横断に成功したという情報もあり、今後いすゞ・日野の両社は大型トラックの隊列走行に必要なITS技術の共同開発を急ぐものと見られます。

(山内 博・画像:NEDO)

トヨタ、日産、ホンダが伊勢志摩サミットで最新の自動運転車両を披露

2016年5月26日〜27日に開催されている伊勢志摩サミットには、G7などの首脳だけでなく世界各国のメディアが集結します。

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2020年の東京オリンピックに向け、日本の自動運転技術を披露するには格好のステージといえますが、トヨタ、日産、ホンダが最新の自動運転車両を披露しました。

トヨタは、Lexus LSに開発中のUrban Teammate(新型自動運転実験車)を搭載。一般道の自動走行に必要となる歩行者、二輪車、障害物の検出が可能なほか、交差点での右左折や信号機認識、道路規制情報に従って走行することを念頭に開発されています。

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そのため、センサーとしてGPSやカメラに加えて、周囲の距離画像計測機能を備える新規開発のSPAD Lidar(高解像度レーザーレーダー。従来から大幅な小型化、低コスト化を実現)を新たに搭載。

今後は、2015年12月に発表した地図自動生成システム(市販車に搭載されているカメラやGPSを活用して自動運転の走行に必要な高精度地図を自動的に生成)やAIなどが追加搭載され、「Urban Teammate」を常に進化させることで、より複雑な交通環境下で自動運転の実験を実施していく予定としています。

日産は、お馴染みのリーフをベースに、ミリ波レーダー、レーザースキャナー、カメラ、専用のHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)など自動運転を支える特別な機能が搭載された最新の自動運転技術「プロパイロット」を披露。

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EUのトゥスク議長が試乗したサミット専用の同車両は、2つの革新的な自動運転技術が搭載されています。

ひとつは世界最先端の小型・高性能レーザースキャナーで、高精度な3次元計測によって車両周囲の物体との距離を正確に把握しながら安全に走行することができます。

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もうひとつは、遠方までの360度視野を持つ8カメラシステム。交差点やきついカーブ路を走行するときにクルマの進む方向を的確に決めることが可能です。

これらの技術は昨年から日本と米国の一般道や高速道路でテストを重ねてきたそうです。

日産は、2016年に混雑した高速道路上での自動運転技術「プロパイロット1.0」を世界に先駆けて日本市場に導入するとアナウンスしていますが、日本だけでなく、その後、欧州、米国、中国へと導入する予定。

さらに、2018年には高速道路での車線変更の自動化を含む、複数レーンでの自動運転技術の実用化を目指しているほか、2020 年までに交差点を含む一般道での自動運転技術を投入する予定とされています。

ホンダは、最新の燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」と自動運転車「AUTOMATED DRIVE(オートメイテッド ドライブ)」を提供しています。

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また、G7伊勢志摩サミットの開催に合わせて設置された国際メディアセンター内の日本国政府広報展示スペースには、パーソナルモビリティ「UNI-CUB β(ユニカブ ベータ)」、超小型EV「MC-β(エム・シー・ベータ)」、歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」を展示するなど、同社のスマートコミュニティを世界に発信。

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G7伊勢志摩サミットに先立って開催された閣僚級会合でも、先進技術の展示や試乗車の提供などを行ったそうです。

(塚田勝弘)

ボルボがスタートさせる公道での自動運転実験の野心的な狙いとは?

ボルボのクルマといえば、安全性へのこだわりを思い浮かべる人もいるでしょう。

いまや大半の新車に標準もしくはオプションで用意されている衝突回避・被害軽減ブレーキも、日本ではボルボがいち早く導入しており「アイサイト」で知られるスバルよりも早く、2009年にXC60に搭載されています。

Volvo XC90 Drive Me

外資のボルボが先んじたから、というわけではないでしょうが、機能の認可など、諸手続をめぐって国土交通省通いで苦労した逸話もうかがったことがあります。

ボルボは現在、「2020年までにボルボの新車に乗車中の死者・重傷者をゼロにする」という「VISION2020」を掲げています。

同社が熱心に推進している自動運転の実験は、こうしたビジョンの成功に欠かせないだけでなく、安全性への追求に終わりはない、というポリシーを貫くための目標なのかもしれません。

ボルボは、2017年にロンドンにおいて、英国史上で最も野心的な自動運転実験を開始すると発表しました。。

この実験は「自動車事故の大幅な減少と渋滞からの開放、そして運転者の貴重な時間の節約を実現する自動運転技術の導入速度を加速させるべく実施」するという、「野心的」と表現するのにふさわしい目的が掲げられています。

Autonomous driving

ボルボのイギリスでの実証実験は「Drive me London」と呼ばれ、ほかの自動運転実験とは、一般のドライバーも自動運転車を公道で使用するという点で一線を画しています。

この実証実験により、一般の参加モニターが日常使いをする自動運転車からデータを収集。クローズドのテストコースで行われる非現実的なテストとは全く異なる実際の道路環境にマッチした自動運転車の開発に活用する予定です。

Volvo XC90 Drive Me

また、ロンドンの保険産業の研究機関であるサッチャムが、技術データの分析と実験の一部として必要な各種のプロテストドライバーを提供します。

なぜ、保険産業の研究機関が絡んでいるのでしょうか。

これは、オートブレーキの導入により保険料金のレートが引き下げられているイギリスでは、自動運転の分野でもこうした保険の研究機関の分析は不可欠なのだと思われます。

この「Drive me London」は、2017年初頭から限られた数の半自動運転車から始まり、2018年には自動運転車100台を含むレベルまで拡大する予定。

英国の交通史上、最も大掛かりな自動運転の実証実験となるそうです。

IntelliSafe Auto Pilot interface

現在、事故の約90%はドライバーのミスや注意散漫で起きているそうですが、自動運転技術によりそのほとんどを防ぐことが可能となります。

ほかにも混雑や渋滞の解消、ドライバーの運転時間からの解放など、自動運転により得られる効果はいくつもあげられます。遠い未来の話ではなく、課題は数多くありながらも段階を踏みながら実現に向けて近づいているようです。

(塚田勝弘)

日立グループ、自動運転システム向け無線通信でECUのソフトウェア更新を可能に

日立製作所(以下、日立)、日立オートモティブシステムズ(以下、日立オートモティブ)、クラリオンの日立グループ3社は、無線通信により電子コントロールユニット(ECU)のソフトウェア更新を行う「OTA(Over the Air)ソフトウェア更新ソリューション」を開発した、と発表しました。

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このOTAソフトウェア更新ソリューション(以下、OTAソリューション)は、自動運転車両やコネクティッドカー向け中核技術の一つとして開発されたもので、高い信頼性とセキュリティを備え、従来比1/10の短時間でソフトウェア更新が可能になります。

従来比1/10の短時間とは、OTAソリューションを使う方式と車両を自動車ディーラーに持ち込みソフトウェアを更新する従来方式との更新時間の比較です。

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OTAソリューションでは、更新ソフトウェアの送信を行うデータセンター(以下、OTAセンター)から車両側のシステムまでをワンストップで構築しており、日立グループでは2018年の提供開始を予定しています。

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自動運転車両やコネクティッドカーなど次世代車両では、車両を制御するECUソフトウェアを車両製造後もタイムリーに更新していくことが必要になります。

そこで新開発のOTAソリューションを使えば、車両が市場に投入された後の車載ソフトウェアの保守・更新が、車両をディーラーへ持ち込まなくても遠隔アップデートによって対策することを可能になります。

今回開発したOTAソリューションは、更新ソフトウェアの生成や配信を行うOTAセンター側のシステムと車両側のシステムで構成されており、日立グループの3社が分担して開発しました。

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まず日立が担当したOTAセンター側のシステムでは、OTAセンター側で新プログラムと旧プログラムの差分を抽出・暗号化し、差分データのみを車両に配信します。

次に日立オートモティブが担当した車両側のシステムでは、クラリオンの無線通信機(TCU:Telematics Communication Unit)で受信したデータセンターからの差分データを、セントラルゲートウェイを介して自動運転ECUやエンジンECUなどの更新対象のECUに送信。

更新対象のECUは、上記差分生成サービスに対応する高信頼な差分復元・更新ソフトウェアを用いて、差分データと旧プログラムから新プログラムを復元し、メモリ上のプログラムの書換えを実行することで、ソフトウェアを更新します。

データセンターと車両のセントラルゲートウェイ間では、配信データの暗号化や相互認証を行うことで、情報漏えい、改ざん、成りすましを防止し、セキュリティが確保されます。

自動車の電子化が進んで、一般ユーザーが愛車をディーラーへ持ち込んで車載ソフトウェァを更新してもらう作業を経験されたことも多いと思います。

今回のOTAソリューションがあれば、車載ソフトウェアの保守・更新を遠隔で自動化することが可能になりユーザーの利便性が向上するため、早期の実用化が期待されます。

(山内 博・画像:日立オートモティブシステムズ)

ジャガー・ランドローバーが目指す「手動運転と自動運転が選択できること」は当たり前?

ジャガー・ランドローバーがオランダのアムステルダム市内において、ヨーロッパ各国の運輸大臣に「ハンズフリー」運転などを含む高度な自動運転車両技術を披露したそうです。

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同時に、28の加盟国が欧州閣僚理事会の会議に集い、自動運転車両に関連する試験、販売、義務の適法性について、法律および技術面での標準化と調和を図ることの重要性について会合がもたれ、自動運転車両技術の標準化と調和に関する欧州の計画への支持も表明しています。

ジャガー・ランドローバーのリサーチ&テクノロジー担当ディレクターであるウルフガング・エップル氏は「私たちは力を合わせてこの自動運転技術に取り組んでいます。これらの技術を実現させるには、業界全体で自動車メーカー、通信端末事業者、沿道インフラシステム事業者の間に共通したアプローチを定める必要があります」とコメント。

これは、ヨーロッパだけでなく自動運転を実現するには欠かせないアプローチですが、自動運転といってもすぐに完全手放しになるのではなく、いくつかの段階を踏んでいく必要があります。

「レベル1」や「フェーズ1」など官民含めた業界用語で言われていますが、手動運転車両(手動運転者)と自動運転車両(自動運転者)が混在するだけでなく、部分自動運転車と完全自動運転車、完全手動運転車が混在するのは間違いないでしょう。

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なお、ジャガー・ランドローバーのビジョンは、「手動運転と自動運転を選択可能にすること」。これは、運転することはこれからも楽しくあり続けるという、哲学ともいえるポリシーに基づくものです。当たり前といえば当たり前ですが、自動車メーカーはおそらくこうしたポリシーを貫きそうですが、GoogleなどのIT系がこうした思考を持っているか興味があります。

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さらに、同社では「ドライバーは車両による自動運転を選択するか、または調整可能なインテリジェントシステムを通じて、より積極的に運転に関わるかを選択できる」としています。

こうなると気になるのが、多様な運転状態にあるクルマが同じ道路環境下に混在することで、事故への備えも含めて事故の責任をどうするかなど、複雑な問題を解決する策を生み出せるかという点。

ジャガーランドローバーでは、自動運転を実現する多くのセンサーとADAS技術(先進運転支援システム)によってドライバーの管理のもとで車両はより安全な移動手段となりますとしていますが、自動運転と手動運転が混在する中で安全を確保できるのでしょうか。現在の公道実験は、まだまだサンプルとしては少なすぎるからです。

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なお、同社のインテリジェント車両は、ライバルと同じく今後10年の間に実用化される見込みとしていて、今年はこれらの技術を実際の道路環境でテストしていく予定とアナウンスしています。

(塚田勝弘)

トヨタ、ミシガン州に新拠点を開設し、「自動運転」の研究を加速

トヨタ自動車が4月7日、年初に設立した人工知能技術研究会社「TRI」の新拠点を米国ミシガン州アナーバーに開設すると発表しました。

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カリフォルニア州、マサチューセッツ州に次ぐ第3の拠点となるもので、今年6月に開設を予定しているそうです。

これに伴い、米トヨタ・テクニカル・センターの自動運転研究チーム約15名が新拠点に異動するそうで、当面の計画では全体の人員は約50名ほどになる模様。

新拠点はミシガン大学から徒歩圏内に位置しており、自動運転研究で同大学と密に連携する考え。

「TRI」はすでにスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)とも研究を進めており、今後、大学・研究機関との連携が一層進むことになりそうです。

TRIのギル・プラットCEOは、

「ミシガン大学は自動運転など自動車安全に関する研究で非常に優れており、走行実験施設である“Mcity(エムシティ)”や、開設予定の“アメリカン・センター・フォー・モビリティ”が存在するなど、アナーバーはTRIが自動運転研究を拡大するうえで絶好の拠点。
TRIでは5年間で約10億ドルの予算のもと、“事故を起こさないクルマ”を実現すべく人工知能研究に取り組んでおり、全ての人に、いつでもどこでも安全な移動手段を提供することで人々の生活をより豊かにすることが我々の目標」

とコメントしています。

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警察庁が公道での「自動走行」実証実験ガイドラインを策定!

警察庁が4月7日、「自動運転」に関する法律上の課題や、自動走行システムに関する公道実証実験のための初となるガイドライン(案)を公表しました。

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政府は「日本再興戦略」改訂2015において、「完全自動走行の早期の実現を目指す」 としており、自動運転を「完全自動走行」(レベル4 )から、システムが要請した場合のみドライバーが対応する「準自動走行」(レベル3 )、システムが複数の操作を同時に行う「準自動走行」(レベル2 )、システムが単独操作を行う「安全運転支援」(レベル1 )の4段階に分類しています。

01こうした政府の方針を受け、警察庁や有識者による検討委員会では「レベル4」 を見据えた安全性に関するデータ収集等に必要な公道実証実験を積極的かつ安全に行うための環境を整備するとともに、道路交通法等を含め、事故時の責任関係のほか運転者の義務等の在り方について検討しているそうです。

・自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン案の作成
・自動走行についての法律上・運用上の課題の整理

今回公表されたガイドライン(案)では以下の条件を満たせば公道実証実験を行うことが可能としています。

・公道実証実験に用いる車両が道路運送車両の保安基準の規定に適合していること
・運転者となる者が実験車両の運転者席に乗車して常に周囲の道路交通状況や車両の状態を監視(モニター)し、緊急時等には、他人に危害を及ぼさないよう安全を確保するために必要な操作を行うこと
・道路交通法を始めとする関係法令を遵守して走行すること

あわせて「実験車両にドライブレコーダーやイベントデータレコーダー等を搭載するなど、公道実証実験中に発生した交通事故等の事後検証を十分に行うことができるように、各種データ等を適切に記録・保存すべき」としています。

また法律上の課題では「レベル3」、及び「レベル4」における事故発生時の責任の所在について、「レベル3」までは現状どおり責任はドライバーにあるとしており、「レベル4」については技術開発の方向性や国際的な交通ルールを巡る議論を踏まえながら検討する必要があるとしています。

道路交通法や日本が批准する「道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)」では、車両に運転者が乗っていることが前提となっているため、「レベル4」の完全自動運転の実現には条約改正が必要との見解。

02(出展 警察庁)一方、警察庁では4月8日〜5月7日の期間、インターネットなどで「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン(案)」に対する意見募集を開始しており、国際的な法整備の動向や技術開発の動きも念頭に置いて法整備に向けた議論を深めるそうです。

このように自動車各社が鋭意開発中の「自動運転車」の市販化に向け、官民での具体的な動きが活発化しつつあるようです。

Avanti Yasunori

ソフトバンクが自動運転サービス事業に進出! その理由とは?

ソフトバンクが3月29日、ペッパーでお馴染みのロボット事業に続き、自動運転車を使ったサービス事業に乗り出すと発表しました。

同社は、トヨタ自動車出身者らが2014年6月に東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センターを母体に創設したベンチャー企業「先進モビリティ」に5億円を出資し、4月1日付で合弁会社「SBドライブ」を設立。

SOFTBANK(出展 ソフトバンク)

高速通信技術や、ビッグデータ分析・利用などのノウハウを持つソフトバンクが「SBドライブ」を通して自動運転技術を活用した特定地点間の移動サービスや、隊列および自律走行による物流・旅客運送事業などの実用化を目指すそうです。

日経新聞によると、「SBドライブ」では小型バスやトラックの自動運転技術の開発が中心になるようで、2018年を目処に制御装置を搭載したバスやトラックの販売、レンタルを目指す模様。

定期運行バスや配送などに使うトラックの方が、自家用車やタクシーよりも走行ルートが事前に決まるため自動運転の実用化に適していることや、人件費の占める割合が高く、運転手の高齢化、過疎化に悩むバス会社や地方自治体の需要を狙えることが背景にあるようです。

ソフトバンクでは子会社のヤフーと協力してスマホを使った送迎バスの予約や決済などの関連サービスも開発、自動車メーカーにも協力を働きかける予定とか。

今後、主力の携帯事業に次ぐ新たな事業の一つに位置付ける考えのようです。

もしかすると将来、「ペッパー」が運転するバスやトラックを街で見かけることになるかもしれませんね。

Avanti Yasunori

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トヨタ紡織、シリコンバレーオフィスを新設~自動運転や移動空間に関する先進技術の調査活動を強化~

トヨタ紡織は、2016年4月にアメリカのシリコンバレーに「トヨタ紡織アメリカ シリコンバレーオフィス」を新設し、自動運転や移動空間に関する先進技術の情報調査・分析活動を強化する、と発表しました。

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シリコンバレーオフィスは、トヨタ紡織アメリカのR&Dセンター組織として、 トヨタ紡織 日本本社の基礎研究所や、世界各地域に設けるR&Dセンターとも連携する、ということです。

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シリコンバレーオフィスの所在地は米国カリフォルニア州 サンノゼ市で、当面は3名の人員でスタートします。

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自動運転に関しては、グーグルが最高レベルのレベル4の実験車を公開して、世間の注目を集めました。

日本でも、トヨタが昨年10月に首都高速でレベル2に相当する自動運転実験の様子を公開し、また産官学の「自動運転ビジネス検討会」が発足するなど、活発な動きを見せています。

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このような中で、トヨタ紡織のシリコンバレーオフィスからどのような自動運転に関する新しい技術やアイテムが登場するかに興味がつきません。

(山内 博・画像:トヨタ)

自動運転技術の開発強化へ向け、高解像度3Dフラッシュライダー技術をコンチネンタルが獲得

独コンチネンタルは米国・カリフォルニア州サンタバーバラに本社を持つAdvanced Scientific Concepts, Inc. (ASC)から高解像度3Dフラッシュライダー(以下、FL)事業を取得することを発表しました。

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コンチネンタルは、ASC社のFL事業を買収して、コンチネンタルの自動運転部門を強化することを狙っているようです。

既存のコンチネンタルの運転者支援システム(ADAS)製品ポートフォリオをFL技術で補完し、高度自動運転や完全自動運転の実現に必要となる周辺センサー群にFL技術を組み込むものと見られます。

ASC社のFL技術の特長は、リアルタイムの画像認識と周辺環境認識を同時に実現できることです。FL技術を自動運転のサンサー類やMPUに組み込むと、より詳細・正確に車両周囲の視界を認識し、昼夜問わず、悪天候下でも性能を発揮することができることになります。

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コンチネンタルでは、車両の周囲を検知するさまざまなセンサー類を開発しており、まずセンサー類にFL技術を組み込むと思われます。

コンチネンタルのシャシー&セーフティー部門の先進運転者支援システム(ADAS)事業部を統括するカール・ハウプト氏(Karl Haupt)は、

「自動運転レベルを安全に高めていくには、幅広い環境センサー類が必要です。コンチネンタルは、これまでにレーダー類、カメラ、そしてデータ融合の分野で能力を発揮してまいりました。自動運転の開発において、業界リーダーの地位を高めるためには、ASC社のFLを製品群に加えることが非常に重要だと考えています」

と説明しています。

事業統合にあたり、ASC社の従業員はコンチネンタルのシャシー&セーフティー部門ADAS事業部に加わり、カリフォルニア州サンタバーバラに事業部を構えることになります。買収価格については非公表です。

コンチネンタルの取締役会メンバーでシャシー&セーフティー部門プレジデントを務めるフランク・ヨーダン氏(Frank Jourdan)は

「コンチネンタルでは、自動運転といった次世代技術に継続的に投資しています。自動運転は将来のモビリティの主要な要素であることは明らかであり、ADAS製品(先進運転者支援)ポートフォリオの拡充はその基礎なのです」

と述べています。

2012年12月、コンチネンタルはサプライヤーとして初めて、アメリカ・ネバダ州DMV(自動車登録免許管理局)から承認を受け、公道での自動運転カーの試運転ライセンスを取得し、72,000マイル(約115,880キロメートル)以上を高度自動運転モードで走行しました。

アメリカ、ドイツに続き、コンチネンタルでは日本でも自動運転への取り組みを開始しています。

コンチネンタルというとタイヤメーカーという印象ですが、傘下にオートモティブ・グループを抱える欧州での自動車部品メーカー大手としての顔もあります。

完成車メーカー、部品メーカーを問わず、自動運転に対する動きが激しくなっており、自動運転の分野でもコンチネンタルの今後の動向に注目が集まっています。
動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:コンチネンタル)

自動運転に対応する次世代コンセプトのタイヤがついに登場!?

絶え間なく進化を続けるタイヤは、クルマの中で唯一路面と接している機能パーツであり、その接地面積はハガキ大程度……。というような説明をよく耳にするかと思います。

Eagle 360

さらに、グリップやウェット路面への対策をはじめ、スタッドレスタイヤやレーシング向け、ミニバンや軽自動車など用途や車種に応じたタイヤ、燃費性能向上に貢献したり、減衰も担ったりするなど、その役割は非常に大きく、乗り心地やハンドリングなどシャーシの性能を大きく左右するケースも珍しくありません。

次世代タイヤといわれているタイプも各メーカーから提案されていますが、グッドイヤーがジュネーブモーターショーで披露したのは「自動運転向け」を標榜する次世代タイヤ。

ついに「自動運転向け」も提案されたのか、そんな感想を抱く方も多いと思いますが、どんなタイヤなのでしょうか。見た目もテニスボール?のようですが…

グッドイヤーが掲げた新しいコンセプトは「Eagle-360(イーグル・サンロクマル) 」と「IntelliGrip(インテリ・グリップ)」のふたつ。

「Eagle-360(イーグル・サンロクマル) 」は球状に設計されていて、「機動性」、「通信接続性」、「バイオミミクリー(生態 模倣性)」が特徴。

IntelliGrip

クルマやタイヤの性能で「機動性」と聞くと、旋回性能やハンドリングなどの高さ、シーンを問わない俊敏な動きを思い浮かべそうですが、同タイヤでは「すべての方向に移動できる多方向性により、運転者および同乗者の安全性が向上。さらに、隙間のない駐車場や街中の狭い道路など限られたスペースへも対応が可能」と、まさに単語の意味どおりの機動性を提案しています。

「通信接続性」は「埋め込まれたセンサーが車両制御システムおよび周りの車両に対して、路面状況や気象状況を伝達することにより安全性を高め、さらに空気圧&トレッド監視システムがタイヤの摩耗状態を管理し、走行距離を伸ばす」というもの。

空気圧監視システム(TPMS)はお馴染みですし、トレッド監視システムも他メーカーがコンセプトとして提案していますが、路面や気象状況を車両と周囲の車両にも伝える、というのは次世代タイヤであることを感じさせます。

「バイオミミクリー(生態 模倣性)」と聞くと、昆虫や植物などの模倣性、擬態などを想像しますが、自然界からヒントを得たトレッド設計とのことで、「ブレインコーラル(ブレインコーラル:脳サンゴ=見た目が脳みそ状であることから名がついたサンゴの一種 )」のパターンを模倣し、 天然のスポンジのように作用するものだそう。

具体的には、ドライ路面では硬くウェットな状態では柔らかくなる設計により優れた運転性能を発揮。またハイドロプレーニング現象の防止にも寄与するとしています。

ほかにも、磁場浮揚(リニアモーター)方式という、一見するとタイヤの常識を覆すような技術も盛り込まれています。こちらは「タイヤと車両の接点に磁気浮揚方式を採用することで、スムーズで静かな乗り心地を楽しむことができる」という考え方。

もうひとつのコンセプト「IntelliGrip(インテリ・グリップ)」は、先進センサー技術と専用設計のトレッドにより、路面状況や気象状況を感知するほか、タイヤと車両の状況をリアルタイムに評価する最先端のアクティブ・ウェア(耐摩耗性) 技術が採用されています。

さらに「カスタム・アルゴリズム」として、独自開発のアルゴリズムにより、空気圧やタイヤの温度といった変動要素を定義づけているほか、路面状況にフレキシブルに対応。

タイヤが「雨で濡れている」あるいは、「滑りやすい」と感知すると車載システムが状況に合わせてスピードを調整。それにより、制動距離の短縮、確かなコーナリング、操縦安定性の向上、さらには衝突防止機能のサポートも実現するそうです。

また、現在のタイヤも担っていそうな、車両技術適合として、多くの自動車メーカーと協働し、横滑り防止装置(ESC)、ブレーキ制御システム、サスペンション制御システムなどの機能との関連性を強化。自動車メーカーのニーズに適合させるタイヤ作りを推進していくとしています。

これらのコンセプトが具現化されれば、気象状態なども加味しなければ成立しそうにない自動運転の高度化に貢献しそうな気がします。

(塚田勝弘)

アウディ自動運転カップ2016で学生がソフトウェア開発を競う!

アウディが提供するQ5の自動運転1/8スケールモデルを使って学生が自動運転のソフトウェア開発を競う「アウディ自動運転カップ2016」が開催されます。

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このアウディ自動運転カップ2016は、3月22〜24日にドイツ インゴルシュタットにあるアウディ自動車ミュージアム(Audi museum mobile)で昨年に続く第2回目として開催され、優勝したチームには1万ユーロの賞金が授与されます。

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第2回 アウディ自動運転カップ2016 には次の8大学チームが参加します。各大学チームのメンバーは、ほとんどが情報テクノロジーと数学を専攻するマスターコースの大学院生ということです。

・アルベルト ルードヴィッヒ大学フライブルク
・カールスルーエのFZI情報技術研究センター
・フリードリヒ=アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク / ニュルンベルク技術研究所
・ライプツィヒ応用科学大学
・インゴルシュタット応用科学大学
・ミュンヘン工科大学
・ブレーメン大学
・ヴュルツブルク大学

参加チームは競技用モデルカーを自動運転するためのアルゴリズムを開発しています。ベースとなるソフトウェアはアウディが提供したものですが、各チームの学生たちは、独自のソフトウェア開発に腕を競うことになります。

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競技に使用されるアウディQ5の1/8スケールモデルは、レース用周回路で遭遇する諸条件の中で、自動運転で走行するタイムを競うことになります。

レース用周回路には、公道で実際に遭遇する条件が反映されており、そのなかでモデルカーは自動的に障害物を避け、交通標識を確認し、交差点を無事に通過して、前走車両との間では安全な車間距離も保たなければなりません。

また、対向車があるなかで安全に左折(ドイツは右側通行のため日本での右折に相当)したり、駐車したり、障害物が飛び出して急ブレーキを使う、という課題も設定されています。

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学生たちが使用するブルーのAudi Q5スケールモデルに組み込まれているソフトウェアは、アウディのエンジニア陣が実際にADTF (Automotive Data and Time-Triggered Framework) の開発に使用してものとほぼ同様のものである、ということです。

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競技の実行委員のひとりであるラルス・メソウ博士は「競技コースの難易度は非常に高いので、ここを上手くクリアできる工夫があれば、それを現実の交通環境で走らせるためのソフトウェア制御アルゴリズムにも活かせるはずです」と語っています。

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競技用スケールモデルに備えられているセンサーは、距離測定用カラーカメラ、画像認識用の超音波センサー、モデルカーの運動を検出する加速度センサーから構成されており、各センサーからのデータはリアルタイムで、クァドコアの高速プロセッサーを備えたオンボードコンピューターに送られます。

この構成は、中央ドライバー支援コントロールユニット(zFAS)が、センサーからのデータを分析し、交通環境を演算して、その情報を車載の様々なアシスタンスシステムに送る、近未来のアウディのエレクトロニクスアーキテクチャーと同様の仕組みになっています。

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アウディ自動運転カップに参加する学生には、アウディへの就職につながるアウディとのコンタクトの機会が与えられ、アウディは学生たちに対し、インターンシップのほかにも、魅力的な交流の機会を提供しています。

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アウディ自動運転カップ2016 の決勝は、3月24日午前9時(現地時間)からドイツインゴルシュタットのアウディフォーラムで開催され、その様子はウェブサイトで公開されています。

(山内 博・画像:アウディ)