Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

富士重工業の航空機製造部門って何をしているの?【半田工場見学編】

中部国際空港(セントレア)での見学の後は、富士重工業の航空機宇宙カンパニー 半田工場見学会に訪れました。

セントレアも立ち入り禁止区域での見学でしたが、半田工場も富士重工業の社員(もちろん関係者をのぞく)であっても、そうそう立ち入ることができないとのことです。

handa_004

2017年4月1日から社名をSUBARUに変更する富士重工業には、自動車事業などのほかに、航空宇宙事業を展開していて、同社の売上高でみると全体の約5%を占めています。

この数字は一見少ないように感じますが、日本の航空機産業と自動車産業を比べると、前者はその3%しかことを考えると、決して低い数字ではありません。

また、世界の航空旅客もジェット旅客機の需要も今後伸びていく予測があるそうで、SUBARUにとって航空機宇宙事業は今後さらに重要な地位を占めるのは間違いないでしょう。

さらに、自動車生産工程をそのまま活用するわけではない、という前提がつきますが、自動車産業の手法を応用したコスト低減、調達管理なども採り入れられているそうです。

handa_024

半田工場で組み立てられているのは航空機(ボーイング777、787、777X)の中央翼。左右の主翼外翼と前後胴体をつなぐ非常に重要な翼で、ありとあらゆる方向から荷重がかかります。

handa_029

使用されている素材は、ボーイング777がアルミ合金(ジュラルミン)、787が炭素繊維複合材、チタン合金、アルミ合金を使用。防衛省のP-1、C-2はアルミ合金となっています。

なお、半田工場のほか、約4km離れた場所に半田西工場があり、こちらではボーイング787の中央翼の炭素繊維複合材製の外板パネルが製造されています。

ANA 787 ZA008 B-1 flight K65425

777-300ER ANA #833-WE001

中央翼を組み立てている半田工場では、現在の787用が月産10機、777用が8.3機で、777X用の組立工場も新設されています。

ボーイング社からの設計どおりに作り、組み立てるのはもちろんですが、穴の開け方や必要な刃具、工具などの設計や使い方などは富士重工業に任されているそうです(全部ではないかもしれませんが)。

handa_032

handa_033

また、設置場所のミスを防いだり、装着のし忘れを防いだりするため、部品供給キットを段ボールで作るなど、随所に工夫が凝らされています。

handa_030

中島飛行機というルーツをもつスバル。現在のクルマにもフロントグリルやバンパーのウイングチップなどに航空機由来のモチーフが使われているのは周知のとおり。

ほかにも、複合材を使ったパーツをクルマにも使われているのはもちろん、「アイサイト」も無人機の制御技術を活用しているそう。自動車産業と航空機産業をもつスバルの技術の深さを感じることができました。

(文/塚田勝弘 写真/富士重工業、ボーイング)

【関連記事】

富士重工業の航空機製造部門が作ったものはどうやって運ぶ?【セントレア見学編】
http://clicccar.com/2016/12/15/425966/

富士重工業の航空機製造部門が作ったものはどうやって運ぶ?【セントレア見学編】 

2017年4月1日に社名をSUBARUに変更する富士重工業。今秋、航空宇宙カンパニーが行っている航空機事業の半田工場と関連施設を見学する機会がありましたのでご報告します。

handa_001

愛知県の半田工場に向かう前に訪れたのは、中部国際空港セントレアの立ち入り禁止区域。ここでは、世界で4機しかないというB747 LCFドリームリフターがボーイング787の部品、つまり「航空機の部品を航空機に積み込む」という作業が行われています。

富士重工業 航空宇宙カンパニーの半田工場では、ボーイング777、787の「中央翼」をはじめ、防衛省向けのP-1哨戒機、C-2輸送機の中央翼組立も行われています。

handa_010

787用の部品を収めたコンテナは陸送ができないため、工場近くの亀崎港からセントレアに船で輸送され、巨大な鯨のような形をしたドリームリフターでアメリカのノースカロライナ州にあるボーイングのチャールストン工場に運ばれているそうです。

777-300ER ANA #833-WE001

なお、777用の中央翼は、亀崎港から名古屋港まで海上輸送され、その後外洋船に積み替えられ、西海岸のワシントン州エバレット工場に運ばれます。

ドリームリフターへの部品の積み込みは、富士重工業のほか、三菱重工、川崎重工の担当分も含め約4時間もかかるそう。

Boeing 747 Dreamlifter Achieves FAA Certification

運良くその積み込み風景を遠くから少し見学できましたが、航空機の後部がガバッと大きく開き、ゆっくりと閉じていく姿、そして部品を運ぶ巨大なカーゴローダーには驚かされました。

k63824-01 First Cargo Loader Completed for Boeing 747 Large Cargo Freighter

さらにセントレアでは、ボーイング787ドリームライナー(ZA001号機)の見学もできました。この機体は飛行試験機として製造されたもので、機体の35%が中部地域で製造されていることからボーイングから中部国際空港に寄贈されました。

787 First Flight K64825-10

なお、2017年度下期には、セントレア内にZA001号機を屋内展示できるスペースを含む複合商業施設を開設予定としていて、新たな人気スポットになりそうです。

(文/塚田勝弘 写真/ボーイング、富士重工業)

富士重工業が2020年に新プラットフォームを全車種展開!

2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、「トヨタ プリウス」と大接戦の末、本年のイヤーカーに輝いた新型「スバル インプレッサ」。

Subaru_Impreza

今回受賞した富士重工業の「スバル インプレッサ」には、衝突強度を従来比で1.4倍に引き上げた「スバルグローバルプラットフォーム」が採用されており、同社は今後他モデルにもフルモデルチェンジを機に順次採用を拡大する方針のようです。

新聞報道などによると、2020年をめどに同プラットフォームを全車種展開する計画のようで、衝突回避ブレーキなどの運転支援システム「アイサイト」に加え、車両本体の性能向上により「安心・安全」を訴求する考えとか。

Subaru_ImprezaSubaru_Impreza

同社の2017年3月期の世界販売台数は約106万台(前期比10.9%増)となる模様で、初となる100万台超を記録する見込みといいます。

吉永社長はその主な要因として、「安心・安全」のイメージ浸透によるブランド力向上を挙げており、今後もその根幹となる新プラットフォームの優位性を活かしていく考えを示唆しています。

安全性の高さを武器に勢いに乗るスバルですが、SUV系を含めた今後の車種展開が注目されます。

Avanti Yasunori・画像:SUBARU)

【関連記事】

決定!カーオブザイヤー「インプレッサ」から始まる「スバルのフルモデルチェンジ」
http://clicccar.com/2016/12/11/425146/

日本カー・オブ・ザ・イヤー、スバルインプレッサスポーツ/G4に決定!
http://clicccar.com/2016/12/09/424871/

スバル・インプレッサの1.6Lモデルが発売開始
http://clicccar.com/2016/11/29/421454/

スバルが中国市場への「アイサイト」初導入を発表!
http://clicccar.com/2016/11/16/417125/

注目の5台をピックアップ!新型SUVがロサンゼルスショーに大集結
http://clicccar.com/2016/11/20/418759/

【関連サイト】

スバル インプレッサ SPORT
http://www.subaru.jp/impreza/impreza/

スバル インプレッサ G4
http://www.subaru.jp/impreza/g4/

さらば富士重工業、 2017年度から社名がSUBARUになることが決定!

2016年6月28日、富士重工業株式会社の第85期定時株主総会が開催され、同総会において第2号議案として付議していた「定款一部変更の件(商号の変更)」が承認されました。

すなわち、事前に発表があったように、2017年4月1日をもって、同社の社名は「株式会社SUBARU」(英文表記:SUBARU CORPORATION)に変更されることが決定したというわけです。3D_BI_TypeH_C300

1917年に創設された飛行機研究所(後の中島飛行機株式会社)を源流とする富士重工業が設立したのは1953年。SUBARUというブランドが生まれたのは1958年です。

もともとは四輪車に付けられたSUBARUブランドが生まれる以前には、スクーターの「ラビット」ブランドなどでも知られた富士重工業。富士重工業の頭文字を使った「フ」をモチーフとしたロゴを使っていた時代もありました。

社名をアルファベットにすることで、グローバル企業としてのステップアップを期待させるのはもちろん、『すばる』という美しい響きの日本語をアルファベットにして展開することで、日本のものづくりを感じさせるブランドとなることも想像させる社名変更です。

(山本晋也)