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自動運転に対応する日本初の自動車保険特約を東京海上日動が発表。来年4月から導入

自動運転システムの開発・市場投入が続いていますが、システムを搭載した車を使用するときに気になるのは、万一の事故のときに自動車保険が使えるのか、という点ではないでしょうか。

今回、自動運転システムに対応する日本初の自動車保険が、東京海上日動火災保険から登場しました。

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同社では、自動運転中に発生した事故に対して、保険金を支払う新特約制度の新設を発表。来年4月以降に契約・更新される全自動車保険に無料で付与されます。

従来の自動車保険では、自動車側の不具合で事故が発生した場合には、ドライバーに過失が無くても保険金は支払われず、自動車メーカーに別途損害賠償を請求するしか被害が救済される方法はありませんでした。

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新特約では、自動運転システムが作動しているときに事故が発生した場合、ドライバーの過失の有無が不明の段階でも保険金が支払われ、被害を迅速に救済できるようにしたことが特徴です。

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保険金が支払われた後に、自動車メーカーに責任がある場合には同社がメーカーに対して賠償請求を行い、ドライバーに責任があるとなった場合には通常の賠償責任保険などの仕組みを使って補償されることになります。

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東京海上日動火災保険が新特約を設定したのは、これまで何らかの自動運転システムを搭載している市販車は、米テスラ・モーターズなどの一部高級車に限られていましたが、日産が「セレナ」に高速道路で同一車線を維持するシステムが搭載されたように、大衆車でも自動運転システムを搭載する車種が増えてきていることに対応したものと考えられます。

(山内 博・画像:ボッシュ、日産自動車)

トヨタが米で展開する「テレマティクス自動車保険」とは?

トヨタ自動車が4月13日、米カリフォルニア州に「テレマティクス自動車保険」を提供する新会社「TIMS」(トヨタ インシュランス マネジメント リューションズUSA)を設立したと発表しました。

TOYOTA_T-Connect(出展 TOYOTA)

あいおいニッセイ同和損害保険との共同出資会社として4月1日付けで設立され、今秋から試験的にサービスを展開し、2017年から本格的な事業としてスタートさせるそうです。

両社はこれまでも金融と保険が一体となったサービスを1990年代より世界各地で展開しており、培った経験とノウハウを集約し、米国で新たにサービスを開始することにしたもの。

出資比率はあいおいニッセイが50%、トヨタファイナンシャルが45%、トヨタコネクティッドが5%の割合となっています。

「テレマティクス自動車保険」はイギリスやアメリカで導入が進んでおり、2020年に契約件数の約3割を占めるとの予測も有るそうですが、この保険、一体どのようなものなのでしょうか?

そもそも「テレマティクス」は“テレコミュニケーション(遠隔通信)”と“インフォマティクス(情報工学)”を合わせた造語で、移動体に通信システムを組合わせ、リアルタイムに情報を提供するもの。

安全・安心機能の実現と、情報配信による利便性の向上を2大目的としており、この「テレマティクス」を利用する自動車保険が「テレマティクス自動車保険」。

この保険のメリットは安全運転をすれば保険料が抑えられる点で、国土交通省が「リスクに応じた詳細な保険料設定により、安全運転の促進の効果及び事故の減少効果がある」としていることから、日本でも昨年春頃から導入されつつあります。

走行距離やアクセル・ブレーキ操作など、ドライバーの運転特性に関するデータを取得・分析して保険料を算出する仕組みになっています。

安全運転をしている場合は事故リスクが減少、保険会社が支払う保険金の額も少なく済む可能性が高いため、保険料を安く設定できるという訳です。

あいおいニッセイ同和損害保険では、トヨタ車のカーナビに搭載されているテレマティクスサービス「T-Connect」を使って「つながる自動車保険」を設定しています。

同社は今回設立された合弁会社「TIMS」で、これまでの「テレマティクス自動車保険」のノウハウを活かしていく考えで、通信モジュールを搭載した米国内のトヨタ車から収集した走行履歴や運転情報を「トヨタコネクティッド」と共同で分析するそうです。

一方、新会社「TIMS」では米国だけでなくグローバルに事業展開する計画のようで、蓄積したデータは、トヨタ自動車の米国における人工知能開発拠点、「TRI」(Toyota Research Institute)でも活用していく計画。

また「TIMS」では「テレマティクス自動車保険」の開発支援を行うとともに、販売店・ディストリビューターと一体となって新たなサービスの提供に貢献していく予定。そのために保険分野でのビッグデータの分析や、アルゴリズムの開発、マーケティング等の活動も進めていくとしています。

今後、コネクティッドカーが普及するに従い、走行データと金融、保険の関係はいっそう緊密になっていくようです。

Avanti Yasunori

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