Motor Fan's YEAR 2016

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ルーフレールやフェンダーモールなどでSUV色を強調したスズキ・イグニスの特別仕様車

コンパクトカーとSUVを融合させたようなフォルムと個性的なディテールが目を惹くスズキ・イグニス。フロンテクーペや初代エスクードなど、過去の名車の一部をデザインモチーフにするなどして、ほかの国産コンパクトカートは一線を画す雰囲気を醸し出しています。

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限られた予算で個性的なモデルを作り上げるのはスズキが得意とするところで、アルトやハスラー、このイグニスも好例といえそうです。

11月16日に発売されたイグニスの特別仕様車「Fリミテッド」は、ルーフレールやフェンダーアーチモール、サイドアンダーモールを装備することで、よりSUVテイストを強調。

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内装も汚れを拭き取りやすいレザー調シート表皮や防汚タイプラゲッジフロアを採用することで、アクティブなユーザーのニーズに応えています。

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さらに、専用となる本革巻ステアリングホイール(シルバーステッチ付)や専用シフトブーツ、本革巻パーキングブレーキレバー、専用色センターコンソール(一部カーキ塗装)、専用色インサイドドアグリップ(一部カーキ塗装)、専用シート表皮(レザー調)などにより質感が引き上げられているのも見逃せません。

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ボディカラーは新色の「ミネラルグレーメタリック」をはじめ、「フレイムオレンジパールメタリック」、「ピュアホワイトパール」、「プレミアムシルバーメタリック」、「スーパーブラックパール」の全5色を用意。

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パワートレーンは、1.2L DOHCエンジン搭載のマイルドハイブリッドにCVTの組み合わせになります。「イグニス・Fリミテッド」の価格は、2WDが168万8040円、4WDが182万1960円となっています。

(塚田勝弘)

スズキ・イグニスにSUVテイストを強めた特別仕様車「Fリミテッド」が登場

スズキのコンパクト・クロスオーバー「イグニス」に特別仕様車「Fリミテッド」が登場しました。

ルーフレール/フェンダーアーチモール/サイドアンダーモールの特別装備に加え、ガンメタリック塗装の専用16インチホイール、ブラック塗装ドアミラーによりエクステリアのクロスオーバーSUVテイストを強めているのがポイント。

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ボディカラーは、新色となるミネラルグレーメタリック、フレイムオレンジパールメタリック、ピュアホワイトパール、プレミアムシルバーメタリック、スーパーブラックパールの5色を設定。メーカー希望小売価格は2WDが168万8040円、4WDは182万1960円となっています。

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インテリアではアクティブユーザー向けに汚れを拭き取りやすいレザー調シートを採用することで、上級指向のユーザーにも訴求しています。

そのほか、専用本革巻ステアリングホイール[シルバーステッチ]/専用シフトブーツ[シルバーステッチ]、専用本革巻パーキングブレーキレバー[シルバーステッチ]、専用色センターコンソール[一部カーキ塗装]/専用色インサイドドアグリップ[一部カーキ塗装]、防汚タイプラゲッジフロア(リヤシートバック背面、ラゲッジボード、スライドラゲッジボード)、ブラックインテリア(インパネロア、フロントドアロアトリム、リヤドアアームレスト)、助手席シートヒーター(2WD車)を与えられているのが充実した装備が特徴の特別仕様車です。

●スズキ・イグニス Fリミテッド(2WD)主要スペック
車両型式:DAA-FF21S
全長:3700mm
全幅:1690mm
全高:1595mm
ホイールベース:2435mm
車両重量:880kg
乗車定員:5名
エンジン型式:K12C
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1242cc
最高出力:67kW(91PS)/6000rpm
最大トルク:118Nm(12.0kg-m)/4400rpm
駆動モーター型式:WA05A
駆動モーター形式:直流同期電動機
モーター最高出力:2.3kW(3.1PS)/1000rpm
モーター最大トルク:50Nm(5.1kg-m)/100rpm
変速装置:CVT
燃料消費率:28.0km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:175/60R16 82H
メーカー希望小売価格(税込):168万8040円

(山本晋也)

スズキ・イグニスはニッチから王道になれるか?

スズキのコンパクトカーは、一見オーソドックスでも走りにこだわったスイフト、欧州仕込みのフットワークを披露するスプラッシュなど、個性的なモデルが多い印象を受けます。

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初代SX4も全長は4.1mちょっとで、日産ノートと同じくらい。全幅は1.7m台でややワイドだった点をのぞけばコンパクトカーといえる範囲に収まっていました。

ただ、SUV系のクロスオーバーモデルであったため、全高は1585mmと立体駐車場の高さ制限(ひとつの目安)に多い1550mmを上回っていました。

また、2014年に販売を終えたスプラッシュも全長3715×全幅1680×全高1590mmと、ハンガリーからの逆輸入モデルで、Aセグメントのコンパクトカーでありながら全高は1550mmを超えていました。

さて、スズキ・イグニスのサイズを見ると、全長3700×全幅1660×全高1595mmで、クルマが肥大化し続けている時代なのに、全長と全幅はわずかに小さくなっています。1550mm超えをした全高もスプラッシュと同じですが、駐車場事情から全高だけで購入を見送る人もいるでしょう。

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最低地上高を180mmと高くして全高も高くするクロスオーバースタイルは、初代SX4の175mmよりも5mm高く、たかが5mmでも雪国などでは効果のある数値なのかもしれません。

高い全高は、高めのヒップポイントによる良好な乗降性、高めのアイポイントによる前方視界の良さ、そしてアップライトに座らせる設計により、頭上だけでなく足元の広さ感にも貢献してくれます。

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こうしたパッケージングは、イグニスに限らず、Aセグメントで居住性を確保する王道といえる手段で、フィアットがFIAT500をベースにパンダを仕立てているのも好例といえるもので、イグニスの広さ感は、新プラットフォームによるエンジンルームの最小化などもあって、わずか全長3.7mとは思えない仕上がり。

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元々のお家芸であるクロスオーバースタイル、そして現在のSUV人気にもあやかろうとしているのかもしれませんが、時代がスズキに追いついたともいえます。

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スプラッシュの販売実績がスズキの満足できるものだったか分かりませんが、日産ジュークがアーバンセレクションで、ホンダが軽自動車のN-ONEで「1550mm」に対応する低全高グレードを追加したように、イグニスも低全高モデルも追加すれば、ニッチから主役になれるかもしれません。

そんな秘めた魅力が伺えるのもイグニスの実力だと感じました。

(文/写真・塚田勝弘)

スズキ・イグニスの走りはどうか?

全長3700×全幅1660×全高1595mm、ホイールベースは2435mmというコンパクトなボディサイズの割に広さ感のあるスズキ・イグニス。

トヨタ・パッソの全長3650×全幅1665×全高1535mm、ホイールベース2440mmと比べるとやや長めの全長と高めの全高になっていますが、ホイールベースは同じくらいになっています。

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最も気になったのはやや硬めの乗り味。舗装状態が良ければショートホイールベース、軽量化のネガはあまり感じさせませんが、荒れた路面だとボディが上下、左右に揺すられるのは驚かされました。

というのは、新型ソリオと同じ新プラットフォームを使っているのになぜ? という理由から。

ですが、こうした条件(荒れた路面)でもソリオはここまでボディの収まりが悪かった記憶もなかったからです。また、イグニスの試乗車の差(個体差)もあるかもしれませんが、もしディーラーなどで試乗する機会があればチェックしたいところ。

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動力性能は、速度が乗ってしまえば880kg(FFのMZ、MXグレード)と軽量に仕上がっているためまさに不足なし、といったところ。

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しかし、停止状態からの出足はアクセルを踏んでもワンテンポも間があってから動き出す反応が気になるうえに、発進時に「最長」30秒間モーターのアシストが働くそうですが、試乗時には30秒よりも前に終わってしまうことが多かった気がしました。

街中でそれほどエンジンを回さなければ、という条件付ですが、4気筒ということもあり、3気筒のトヨタ・パッソや三菱ミラージュよりもエンジンの音・振動面は気にならないのは美点でしょう。しかし、CVTということもあってか、アクセルを踏み込むことの多い高速道路や山岳路ではそれなりに高まります。

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荒れた路面での乗り心地に課題を残す一方で、フットワークの仕上がりは良好で、背の高さの割にロール時に腰砕けになることもなく、コーナリングは思ったほど苦手としない印象。サスペンションの取付部の剛性を強化しているそうですが、そうした効果でしょうか。さらに、もう少し減衰されれば課題の乗り心地も改善される気がします。

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良好なパッケージングや個性的な外観、安全面を含めた装備の充実も光るだけに、乗り心地に関しては、今後の熟成に期待したいところです。

(文/写真 塚田勝弘)

スズキ・イグニスは燃費と安全装備で選んで間違いなし!?

2WDと4WD、3グレードを設定するスズキ・イグニス。

マイルドハイブリッドシステムにより、JC08モード燃費は25.4km/L〜28.8km/Lを実現。中間の「HYBRID MX」と上級の「HYBRID MZ」の2WDが28.0km/Lとなっています。

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数あるコンパクトカーの中でもサイズは小さめで、全長3700×全幅1660×全幅1595mmというスリーサイズは、トヨタ・ヴィッツ(全長3885×全幅1695×全高1500mm)と比べてもひと回り小さく、トヨタであればパッソ(全長3650×全幅1665×全高1535mm)に全高をのぞいたサイズが近くなっています。

4WDの設定や180mmの最低地上高による高い機動性が特徴ですが、冒頭で紹介した燃費は、パッソの19.0km/L〜27.6km/Lと比較しても最高値では若干上回っています。

さらに、同じ1.3Lエンジン(2WD)で比べると、イグニスの28.0km/Lに対してパッソは19.0km/L。

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ただし、モデル末期と思われるパッソは次期型で大きく燃費を伸ばしてくると予想されますので、「スモールカーで燃費最重視」という条件であれば、新型パッソ待ちという手もあるでしょう。

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イグニスは燃費や機動性の高さ以外にも、良好な使い勝手や安全装備の充実ぶりも見逃せません。

後席は左右別々にスライドするだけでなく、背もたれの前倒しが可能。しかもスライドとリクライニングレバーが背もたれ上部に用意されているため、荷室側から容易に荷室の拡大ができます。

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このクラスは、エントリーグレードになると後席一体可倒式になるケースもありますが、イグニスは中間グレード以上が5:5分割可倒式、下位グレードは6:4分割可倒式なので、「3名乗車+多めの荷物」というアレンジも可能。また、中間グレード以上には大きめのサブトランクも用意されています。

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安全装備では、デュアルカメラブレーキサポートを採用する「セーフティパッケージ装着車」の設定も見逃せません。約5〜約100km/hで作動する前方衝突警報機能は、車両や歩行者を検知し、衝突の回避もしくは被害軽減を図るもの。

ほかの方式、たとえば「Toyota Safety Sense C」は、レーザーレーダー(赤外線)と単眼カメラを組み合わせ、約10〜80km/hで自動ブレーキの作動条件で、先行車との相対速度が30km/h以内であれば衝突回避もしくは被害軽減を図るという内容になっています。「Toyota Safety Sense C」だと80km/h以上の高速域(高速道路)では作動条件からも外れてしまいます。

ライバル車となりそうな他車をみてみると、日産・マーチは未設定、ノートに80km/h以下で作動する「エマージェンシーブレーキ」を設定、ホンダは軽自動車に多い30km/h以下で作動する「シティブレーキアクティブシステム」をフィットに設定していますが、「ホンダ・センシング」はまだフィットには用意されていません。

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イグニスはほかにも、誤発進抑制機能(前進時のみ)、車線逸脱警報機能(警報、注意表示のみ)、ふらつき警報機能(警報、注意表示のみ)、先行車発進お知らせ機能も搭載。

贅沢をいえば誤発進抑制機能は後進時も、車線逸脱警報機能とふらつき警報機能に車線維持機能が用意されるとベターですが、現時点でもコンパクトカーでは最先端の安全装備が用意されています。

(文/写真 塚田勝弘)