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「quattro GmbH」が「Audi Sport GmbH」に社名を変更。ブランド力を強化

アウディといえば、フルタイム4WDの「Quattro(クワトロ)」を思い浮かべる方も多いでしょう。クワトロはアウディの4WDの呼称になっていますが、1980年登場の初代クワトロ(Audi quattro)という車名としても使われています。

Moving forward under a new name: quattro GmbH becomes Audi Spor

そのクワトロの社名に使う「quattro GmbH」は、1983年、ドイツはネッカーズルムに設立されました。今回、30年以上使われてきた社名を「Audi Sport GmbH」に変更するそうです。なお、よく耳にする「GmbH(Gesellschaft mit beschränkter Haftung)」とは、ドイツの有限責任会社のこと。

アウディのモータースポーツ、そしてハイパフォーマンスモデルを送り出してきた「quattro GmbH」は、AUDI AG(AGは株式会社)の100%子会社で、現在約1200人の従業員がいるそうですからモータースポーツ、ハイパフォーマンスモデルの部門としてはかなりの規模。

社名を新たにした「Audi Sport GmbH」は、主に4つの事業で構成されているそうで、中核となるのはアウディR8やアウディRSモデルの開発、生産。さらに、「Audi Sportカスタマーレーシング」が顧客のモータースポーツ活動のサポートも行っています。

Audi RS 3 LMS

そのほかの分野では、「Audi exclusive」プログラムを介したユーザーの車両のカスタマイズの対応、「Audi Sportコレクション」として販売されているライフスタイル製品のプロデュースなども行っています。

アウディのハイパフォーマンスモデルのブランド名でもある「Audi Sport」は、新しいブランド名ではありますが、モータースポーツ、市販車の歴史は古く、1930年代、「シルバーアロー」の名で知られるアウトウニオン(アウディ、ホルヒ、ヴァンダラー、DKWの4社が合併した自動車連合)時代のレーシングカーをはじめ、1980年代には、フルタイム4輪駆動を採用した「Audi quattro」が、ラリーシーンを席巻したのはご存じのとおり。

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WECとルマンから撤退しましたが、現在のアウディはDTM(ドイツツーリングカー選手権)、フォーミュラE、GTレースそしてツーリングカー選手権のTCRカテゴリーに参戦。こうしたレースで培われた技術をフィードバックした量産車として先述したアウディR8、Audi RSシリーズがあります。

今回紹介したAudi Sportに限らず、Mercedes-AMG GmbH、BMW M GmbH、ボルボ ポールスターなどの子会社、モータースポーツ、ハイパフォーマンスモデル部門は環境面(たとえばハイパフォーマンスな電動車両の開発など)も含めて今後その役割がさらに重要になるはずです。

(塚田勝弘)

新型アウディA4は前輪駆動とクワトロのどちらを選ぶ?

いきなり結論を言うようですが、アウディといえばクワトロ以外興味はなし、という方は新型アウディA4でもフルタイム4WDを選べばいいと思います。

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でも、新型A4に興味があるけれど、エンジン(駆動方式)で悩んでいる場合は、まずはFFで十分満足できるはず。

2.0L TFISエンジンは、FF向けの190ps/320Nm版、クワトロ向けの252ps/370Nm版があり、エンジンを選ぶと必然的に駆動方式も決まっています。

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FF向け190ps版は、252ps版のクワトロと乗り比べなければトルク、パワーともに不足は感じさせず、4WDよりも車両重量は当然軽く、重量差は120kgもあります。

およそ大人2分の差は無視できないもので、ダウンサイジングならぬ「ライトサイジング」というコンセプトを掲げるもの。

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こうした省エネ系エンジンにありがちな線の細さや、「回らない」など面白みのない加速フィールもほとんど感知させず、いわれなければ吸気バルブ早閉じのミラーサイクルエンジンだとは分からないかもしれません。

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エンジンレスポンスやパワーだけでなく、ダイレクト感のある変速フィールも今モデルからFFにもDCTの7速トロニックが組み合わされる恩恵も感じさせてくれます。

一方のクワトロモデルに乗り替えると、やはり「速い!」という感触は街中で巡航速度に乗るまでの早さでも実感できますし、高速道路でも床まで踏み込む必要性は感じさせません。

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最高出力の発生回転数は、190ps版が4200-6000rpm、252ps版が5000-6000rpmとなっていますが、252ps版の高速域の伸び、パンチ力は明らかに上で、しかも7000rpm近くまで回りますから高速道路での追い越し時なども余裕綽々。

高速域の直進安定性は、ドライ時であればFFもクワトロも劇的な差は感じさせず、FFでも十分過ぎるほど安定感があり、しかもパワステのフィールもより手応えがあり、安心感も絶大といえます。

雨天時や雪上では当然ながらクワトロの利点が際立つでしょうが、普段は街中使いが中心で、ロングドライブに時々出かけたとしてもFFで何ら不足はないはず。

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これだけFFの出来がいいと、クワトロが必要という明確な理由がない限り、カタログ燃費も約3km/L良好(FF:18.4km/L クワトロ:15.5km/L)なFFを選んでも新型A4の良さは十分に堪能できるのではないでしょうか。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

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