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アウディA4/A4アバントに1.4TFSI搭載車とローンチ記念限定車を設定

現行アウディA4は、FF向けに190ps/320Nm、AWDのクワトロに252ps/370Nmの2.0L TFSIエンジンが投入されています。

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今回、エントリーモデルとして新たに1.4 TFSIが追加されました。このエンジンは、A4として初めて搭載されるエンジンになります。

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1.4L直列4気筒直噴ターボエンジンは最高出力150ps/250Nmというスペックで、トランスミッションにはDCTの7速Sトロニックが組み合わされています。

ダウンサイジング(ライトサイジング)化の最大の狙いは、車両価格だけでなく燃費にもあります。JC08モード燃費は、2.0LのFFモデルが18.4km/Lなのに対して、1.4TFSIは16.6km/Lとなっています。

エントリーモデルとはいえ、「プレセンスシティ」「プレセンスベーシック」など最新の安全装備も搭載されているほか、「Audi connect」、スマートフォンインターフェイスなどの車載インフォテイメントも標準装備されています。

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スポーティグレードである「A4/A4 Avant 1.4 TFSI sport」は、クローム調のスポーツエクステリアや、17インチアルミホイールによる精悍なスタイルが特徴。

インテリアにはサポート性に優れたシートヒーター付きのスポーツシートが採用されているほか、スポーツサスペンションの採用によってスポーティかつ快適な乗り味を得ています。

装備では「アドバンストキーシステム」や、先述したセーフティ機能に加えて、リヤビューカメラ、アウディパーキングシステムのアシスタンス機能も標準装備。さらにオプションで先進のアシスタンス、安全機能を備えたセーフティパッケージが選択できます。

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同時設定された限定車の「A4/A4 Avant 1.4 TFSI 1st edition」は、上記の「1.4 TFSI sport」がベース。通常は設定のない「S lineエクステリアパッケージ(S line専用のフロント&リヤバンパー、ドアシルトリム、リヤディフューザーなど)」を装着。

これ以外にも3ゾーンオートマチックエアコンディショナーや、メタリックボディカラー(グレイシアホワイトM、ミトスブラックM、デイトナグレーP)を備えた買い得感の高いモデルです。販売台数はSedanが220台、Avantは230台の限定。

価格はカタログモデルの1.4L TSFIが447万〜478万円(セダン)、アバントが476万〜507万円。限定車はセダンが509万円、アバントが538万円です。

(塚田勝弘)

エアロダイナミクスと先進装備が自慢 ─ 新型「アウディA4アバント」画像ギャラリー

新型A4セダンのCd値0.23には及びませんが、新型A4アバントもワゴンとしてはクラストップレベルのCd値0.26を達成するなど、燃費や静粛性能を含む走行性能に効く空気抵抗係数を実現しているのが自慢。

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Cd値を追求してもあまり意味がないという見方もあるようですが、A4セダンのプレス発表会のトークセッションで、流体力学が専門の東洋大学理工学部生体医工学科の望月 修教授から「100km/h時で0.24から0.23に下げると700m/Lの燃費削減に相当する」という話があり、同値を減らしていくことは確かに効果があるそうです。

低速走行時にどれだけCd値削減が分かりませんが、高速道路を巡航する際の燃費には効きそう。

遠くから見ると新型か旧型か分からないという声もありそうな新型A4アバントですが、オプションのマトリクスLEDを装着したフロントマスクはとくに精悍な雰囲気で、最新モデルらしい厚みを感じさせる存在感のある顔つき。

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リヤビューは、テールランプがよりワイドに、そして鋭さを感じさせる造形となったことで、ワイド感を強調。

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ボディサイズの若干の大型化もありますが、室内は先代よりも広くなっているのはもちろん、ラゲッジスペースも5人乗車時は15L増の505L、最大時は80L増の505Lを確保するなど、ライバルよりも大柄とはいえスクエアかつ広大で使いやすい設計となっています。

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写真のアウディA4アバント2.0TFSI Sportには、オプション(35万円)の「S Lineパッケージ」が装着されていて、専用バンパーやドアシルトリム(S Lineロゴ)、エクステリアのS Lineロゴ、ヘッドライニングブラック、デコラティブパネルマットブラッシュトアルミニウム、5ツインスポークスターデザイン(8J×18)、スプリントクロスレザー(S Lineロゴ)などのほか、先述したマトリクスLEDヘッドライトパッケージ(34万円)が用意されています。

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また、ボディカラーの「グレイシアホワイトメタリック」も8万5000円のオプションで、車両本体価格は585万円、オプション込みで662万5000円です。

(文/写真 塚田勝弘)

新型アウディA4アバントの美点と課題とは?

プレミアムワゴンでありながら初の大台超えとなる、通常時500Lという大容量のラゲッジスペースをはじめ、電動ラゲッジルームカバー、パーティションネット、ルーフレールを全車に標準装備するなど、新型アウディA4アバントの積載性や装備は、最新モデルらしい隙のない仕上がりになっています。

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なお、電動ラゲッジルームカバーは、全車標準のオートマチックテールゲート(キーを保持した状態でのキック操作にも対応)と連動して自動的に上下する便利なトノカバー。トノカバーを上げたままだと後方視界が制限されてしまいますが、いちいち上げたり下ろしたりする手間が省ける装備です。

Audi_a4_avant_06ステーションワゴンである新型アウディA4アバントの美点は、スクエアで使いやすくて大容量(505L〜1510L)、荷室フロアに配置されたフックも含めた電動ラゲッジルームカバーといった積載性の高さ。

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また、セダン同様に質感の高いインテリアと操作性を若干変更したMMI(ナビやオーディオ、車両設定などを司る)、そして12.3インチというワイドなメーター(バーチャルコクピット)などの先進装備も魅力です。

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安全装備では前後カメラ、ディスタンスセンサー、フロントアシストの「アウディプレゼンスシティ」をはじめ、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、「アウディアクティブレーンアシスト」などの予防安全システムを備えていて、欧州ミドルサイズワゴンの中でもトップクラスの充実ぶりとなっています。

2.0LのFF(2.0 TFSI Sport)仕様を走らせてみて気になるのが、乗り心地の洗練度がもう少しという点。

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足まわりの熟成不足なのか、路面状態を問わず絶えず上下に揺れている印象で、しなやかさもあまり期待できません。

試乗車の「2.0 TFSI Sport」に装着されているスポーツサスペンションによるものなのか、スポーツタイヤ(試乗車はブリヂストン・ポテンザ S001)の特性か、その両方なのか分かりませんが、セダンでもFF、クワトロモデルともに見受けられた傾向の乗り味なのでワゴンのクワトロ仕様がどういうマナーを示すのか気になります。

また、オーナー予備軍の方は重々承知の上で購入するとは思いますが、若干のボディサイズ拡大により(全長4735×全幅1840×全高1435mm/全長5mm、全幅15mm拡大)狭い場所でのすれ違いや車庫入れなどもライバルであるCクラスワゴン(全長4705×全幅1810×全高1460mm)やBMW3シリーズツーリング(全長4625×全幅1800×全高1460mm)などと比べるとかなり不利であるという点でしょうか。

ボディサイズ以外、とくに走りの面では熟成が進めば、乗り心地と操縦安定性のバランスもより改善が期待できますし、ワゴンで重要な積載性が良好といえるのはまずは朗報といえそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

新型・アウディ A4アバントの荷室容量、走りはどうか?

セダンに続き、4月末に発売された新型・アウディ A4のステーションワゴン「アバント」。アウディのアバントには多くのファンがいるだけに、登場を待っていた方も多いでしょう。

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VWグループのディーゼルゲートの余波により、残念ながら日本向でのローンチ時にディーゼルの設定はありませんが、FFの「2.0 TFSI」、「2.0 TFSI Sport」、クワトロ(AWD)の「2.0 TFSI quattro」、「2.0 TFSI quattro Sport」という4モデルが設定されています。

セダン同様に、空力性能を徹底したダイナミックな外観、先進的なコクピットと広くなった上質なインテリアなどが大きな魅力です。

なお、セダンのCd値0.23、アバントは0.26となっています。

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ワゴンだけに気になる荷室容量は、後席を立てた状態で505L、3分割式の後席バックレストを倒すと最大で1510Lを確保。先代よりもそれぞれ15L、80L拡大するなど、スクエアなラゲッジスペースは大きさだけでなく、使い勝手も良さそう。

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ボディサイズは、全長4735×全幅1840×全高1435〜1455mmと、先代よりも5mm長く、全幅は15mmワイドになり、全高は標準車が10mm高く、スポーツサスペンション仕様は逆に10mm低くなっています。

なお、最小回転半径は先代と変わらず5.5mで、FFもクワトロも同じ。

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ボディサイズはやや拡大していますが、セダン同様にアルミとスチールを組み合わせた複合ボディを採用し、最大120kgの軽量化(欧州仕様値)果たし、ボディも熱間成形鋼板(ホットスタンプ)の多用により15kgの軽量化を果たしています。

ジャガーがXEやXFなどでアルミ合金製ボディを積極採用している点などを考えると新型だけにA4にもその使用比率を高めて欲しいところですが、実際の走りは190ps/320Nmというアウトプットを誇るFFでもパワー不足は感じられず、1人乗車で空荷状態だと痛快な加速を堪能できるほど。クワトロよりも100kg軽い車両重量ももちろん効いていそう。

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FF向けは、アウディが「ライトサイジング」と呼ぶ燃費とドライバビリティを両立したエンジンですが、高圧縮比のアトキンソンサイクルでもパフォーマンス面に影響が出ていないのも朗報。吹け上がりも良好で、トルク感も十分に感じられます。

さらに、7速Sトロニック(デュアルクラッチトランスミッション)の変速もスムーズで、しかも美点のダイレクト感も健在。

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今回はFFモデルのみの試乗でしたが、「アウディ=クワトロだろう!」という声があるのを重々承知しながらも、セダン同様に使用条件などが合えばFFを積極的に選んでいいのかなと感じさせてくれる仕上がりになっています。

(文/写真 塚田勝弘)

新型アウディA4アバントは広くなったキャビン、ラゲッジが魅力で価格は547万円〜

セダンの新型アウディA4に続き、新型アウディA4アバントも発表され、4月21日から販売が開始されます。

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アウディのファンの中には、ステーションワゴンであるアバントが好きという方も多いでしょう。世界的ヒットモデルであるA4アバントは、1992年に登場したAudi 80アバントを含めて累計生産台数は220万台を超えているそうです。

今回発売された新型アウディA4アバントは、新型A4セダン仕様同様に最新のモジュラープラットフォーム「MLB evo」をベースに、ゼロから設計されたアウディの今後を担う基幹モデル。

セダンと同様、走行抵抗の削減が主要な開発テーマとして掲げられていて、軽量化に取り組むとともに、エアロダイナミクスの最適化に注力。ワゴンボディではトップクラスとなるCd値0.26(欧州仕様値)を誇ります(セダンは0.23)。

搭載される2.0L TFSI(直噴ガソリンターボチャージャー)ユニットは、従来よりも動力性能を高めつつ、アイドリングストップシステムやエネルギー回生機構を標準装備することで燃費も向上。

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とくに、セダンと同じようにミラーサイクルが採用されている2.0 TFSIと初の7速Sトロニックが組み合わされたFFモデルは、先代から燃費を33%高めています。なお、トランスミッションは全車7速Sトロニックとなっています。

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エンジンは出力が異なる2.0 TFSIエンジンを2つ用意し、お馴染みのフルタイム4WDである「quattro(クワトロ)」と組み合わされるハイパワー仕様は、最高出力252ps、最大トルク370Nm。

先代よりも41ps/20Nmアップしながら燃費も15.5km/Lと14%の改善。もうひとつの190ps/320Nmを発揮する2.0 TFSIは、アウディが「ライトサイジングエンジン」と呼ぶコンセプトによりミラーサイクルが採用されています。

FFモデルとの組み合わせにより、JC08モードで18.4km/Lを達成。

先述したように燃費は先代から33%改善され、2.0Lクラスのガソリンエンジンとしてはトップレベルの低燃費を実現しています。

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居住性では足元、頭上空間ともに先代よりも大きく余裕を増しているほか、ワゴンで気になる積載性も向上。

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荷室容量は、後席の背もたれを立てたままの5人乗りの状態で505L、後席のバックレストを前倒しすると最大1510Lまで拡大可能で、先代よりもそれぞれ15L、80L大きくなっています。

後席の背もたれは3分割式で、スクエアな荷室は使い勝手も良好で、全モデルに電動ラゲージルームカバーのほか、パーティションネット、ルーフレールを標準装備。

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価格はFFのA4 Avant 2.0 TFSIが547万円、同じくFFのA4 Avant 2.0 TFSI Sportが585万円、A4 Avant 2.0 TFSI quattroが626万円、A4 Avant 2.0 TFSI quattro Sportが653万円となっています。

(塚田勝弘)

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■新型アウディA4が誇るドライバー支援機能の実力は?
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■Apple「Car Play」、「Android Auto」の両方に対応する新型アウディA4
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Apple「Car Play」、「Android Auto」の両方に対応する新型アウディA4

アウディ80時代から数えること9代目となった新型アウディA4。

ボディサイズは全長4735×全幅1840×全高1410〜1430mmで、先代から全長は15mm延び、全幅も15mmワイドに、全高は10〜30mm低くなっています。

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新型A4の試乗記や使い勝手、先進安全装備などは、別の記事でご紹介してきましたので、ここではナビやオーディオなどを含むインフォテイメントシステムについてご紹介します。

操作は主にアウディ自慢の「MMI」コントローラーが中心で、操作は固定した階層構造を持たず、2〜3回の操作で主要メニューを呼び出して完了できるなど、操作感覚はこの手のコントローラーの中でもスマホ感覚に近いものになっています。

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また、ダイヤル部はタッチパッドになっていてスワイプや文字の認識、そしてマップのスクロールや拡大なども指先で可能。

MMI all-in-touch

文字の入力は急いでいる時はまどろっこしく感じてまだ実用的とはいえませんが、インターネットの検索エンジンのようにレストランやガソリンスタンドの検索などを素早くできる「MMIサーチ」などを備えているほか、使用頻度の高いスイッチ(8つ)はハードキーとして用意されているなど、使い勝手はかなり練られている印象を受けます。

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ナビは、8.3インチディスプレイに表示されるMMIナビゲーションが標準装備されるほか、メーターパネルのバーチャルコクピットとディスプレイの2つに地図画面を表示することもできます。

アウディA3から始まったWi-Fiホットスポットも搭載され、最大8台のモバイル端末の接続が可能で、「Audi Connect」により、「Google Earth」、「Google Street View」を使ったナビ、オンラインの交通情報や駐車場検索なども可能。

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「Apple CarPlay」、「Android Auto」への対応もトピックスで、ナビ、電話、ミュージック、そのほか対応アプリなどを「MMI」から呼び出し、操作が可能になっています。

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オーディオは、アウディでお馴染みのバング&オルフセンの「3Dアドバンスド・サウンド・システム」をオプションで設定。

755Wの16チャンネルの高性能アンプや3Dツィーター、19個のラウンドスピーカーなどにより上質がサウンドを享受できます。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久、塚田勝弘)

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新型アウディA4が誇るドライバー支援機能の実力は?

新型アウディA4に搭載されている最先端の安全、ドライバーサポート機能は、数多くあります。

全車速域対応のアダプティブクルーズコントロール(ACC)には、0-65km/hの範囲で先行車両に追従し、アクセルとブレーキだけでなく、車線から逸脱しそうになるとステアリングの操作にも介入する「トラフィックジャムアシスト機能」も用意されています。

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こちらは主に高速道路などでの渋滞時などにドライバーをサポートする機能ですが、バイパスや国道など白線などの走行区分線がはっきり肉眼でも見えるような場所であれば、ステアリングのアシストを含めて作動するもの。

追従する精度はなかなか高い印象ですが、もちろん手放し運転で追従するものではなく、あくまでドライバーエイドとして成り立っている機能。

しかし、フォルクワーゲン・パサートでも同じような傾向がありましたが、白線には比較的高い精度で反応する一方、黄線には反応しないケースも散見されました。

Traffic jam assistant

なお、ACCの再発進時は、0km/hになっても3秒以内に先行車両が動き出せば自動的に再発進する機能も備わっていて、部分自動運転を感じさせる機能ともいえますが、道路状況などによって作動状況にバラツキがあるなど、従来のACC、車線維持機能の延長線上にあるのは間違いありません。

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ACCやレーンキープ系の機能は、ステアリングコラム左側にあるレバーを使って操作しますが、ACCとレーンキープそれぞれ1本ずつレバーが割り振られているほか、ACCはレバー1本で速度設定(上下)、車間距離設定、セットのオン/オフ、設定速度の復帰/加速などをするため、慣れが必要で初めてだと戸惑います。

しかも、ステアリングのリムとスポークの間からのぞくような位置にあり、視認しにくいのも気になるところ。こうしたドライバー支援機能などが増えるほど、その操作性と見せ方の「両立」は難しくなるのは確かですが、アウディに限らず見た目もよくて使いやすい! というのは、まだ出てきてないような気がします。

Audi A4

さて、そのほかにも車両や歩行者との衝突を避ける「アウディプレゼンスシティ」は、85km/h以下でフルブレーキまで作動するほか、これを補助する「プレセンスフロント」により約250km/hまで場合によってはフルブレーキまでかける機能が加わっています。

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さらに、レーダーセンサーの情報を元に、交差点での右折時に対向車に衝突する危険を察知すると警告や自動ブレーキを作動させる(約2km/h〜10km/hの範囲)など、世界最先端の装備も用意(同機能は、欧州での発売が早かったボルボが世界初を謳っています)。

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Rear cross traffic assist

そのほかにも、後方からの衝突に備えて前席シートベルトを締め上げ、ウインドウなどを閉じるシステムの「アウディプレゼンスリヤ」や、「パークアシスト」が有効になっている際に、バックで駐車スペースから出る際に接近車両があると、警告サイン、警告音、ブレーキペダルの振動という順で警告する「リヤクロストラフィックアシスト」を設定。さらに、駐車時に自動ステアリングで駐車をサポートする「パークアシスト」などもオプション設定されています。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久、塚田勝弘)

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新型アウディA4のフットワークと乗り心地をCクラス、3シリーズと比べてみると?

前回の記事でもご紹介しましたが、新型アウディA4で気になるのはやや硬めの乗り心地。

もう少し走行距離が伸びれば、路面からの当たりも少し「角」も取れるかもしれませんが、劇的にマイルドな乗り味になるわけはないでしょう。

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高いボディの剛性感は速度域が高まればフラット感も抱かせますから、人によっては全然気にならないかもしれません。

オールアルミボディとはならずとも、シャーシにアルミを多用していることで、軽くはないけれど重厚感もないという乗り味は、もう少し柔らかめなら言うことナシ! といったところでしょうか。

フロントサスペンションはお馴染みの5リンクですが、新型A4向けに改良されていて、操縦安定性確保のため横からの入力に対してはマウントを硬めにすることで対応し、縦方向のコンプライアンスはソフトにチューニングされているそう。

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リヤは従来のトラペゾイダルから5リンクに一新。5kgの重量減によりバネ下重量を軽減し、ダンパーやブッシュ類のチューニングはもちろん、フロントだけでなくリヤにもモノチューブ式ダンパーを採用することで、軽量化が図られています。

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「クワトロ」モデルの試乗車は、スポーツサスペンションとなる「クワトロ スポーツ」でタイヤサイズは245/40R18。FFの試乗車は225/50R17のこちらも「スポーツ」で、乗り味に大差は感じられませんでした。

新しいプラットフォームによる恩恵で5リンク化された恩恵は、乗り心地の面よりもフットワークで強く察知できるのが印象的。

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また、直進安定性の高さは期待以上で、ワインディングでもFFモデルでもとくに曲がりにくい(アンダーステアになりやすい)と印象づけられることはなく、クワトロはターンインのしやすさもありますが重量がFFよりも120kg重いこともあって、公道の法定速度内ではほとんど無視できそうな差といってよさそう。

新型アウディA4と前後して、Cクラス(プラグインハイブリッド)とBMW3シリーズに乗る機会がありましたが、A4は看板モデルのクワトロだけでなくFFもレベルアップしているのは間違いありません。

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Cクラスはプラグインハイブリッド化されたことで、純ガソリン車よりも重さを感じさせるものの、乗り心地と予想以上に軽快なフットワークとのバランスが秀逸。

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BMW3シリーズは、ひと回り以上小さく感じる(実際にサイズも小さいのですが)旋回性の高さなど一枚上手。低速でコーナー1つ曲がる際でもBMWらしいキビキビとした動きが感じられ、パワステのフィーリングなどは好みが分かれそうですが、それでもフットワーク重視を貫くセッティングといえそう。

Cクラスに最近使われているキーワードである「俊敏性(アジリティ)」も十分に伝わってきますが、軽快感ではやはり3シリーズでしょう。

ドイツプレミアム御三家は、やはり「三車三様」なのだと再確認させられました。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久、塚田勝弘)

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新型アウディA4は前輪駆動とクワトロのどちらを選ぶ?

いきなり結論を言うようですが、アウディといえばクワトロ以外興味はなし、という方は新型アウディA4でもフルタイム4WDを選べばいいと思います。

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でも、新型A4に興味があるけれど、エンジン(駆動方式)で悩んでいる場合は、まずはFFで十分満足できるはず。

2.0L TFISエンジンは、FF向けの190ps/320Nm版、クワトロ向けの252ps/370Nm版があり、エンジンを選ぶと必然的に駆動方式も決まっています。

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FF向け190ps版は、252ps版のクワトロと乗り比べなければトルク、パワーともに不足は感じさせず、4WDよりも車両重量は当然軽く、重量差は120kgもあります。

およそ大人2分の差は無視できないもので、ダウンサイジングならぬ「ライトサイジング」というコンセプトを掲げるもの。

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こうした省エネ系エンジンにありがちな線の細さや、「回らない」など面白みのない加速フィールもほとんど感知させず、いわれなければ吸気バルブ早閉じのミラーサイクルエンジンだとは分からないかもしれません。

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エンジンレスポンスやパワーだけでなく、ダイレクト感のある変速フィールも今モデルからFFにもDCTの7速トロニックが組み合わされる恩恵も感じさせてくれます。

一方のクワトロモデルに乗り替えると、やはり「速い!」という感触は街中で巡航速度に乗るまでの早さでも実感できますし、高速道路でも床まで踏み込む必要性は感じさせません。

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最高出力の発生回転数は、190ps版が4200-6000rpm、252ps版が5000-6000rpmとなっていますが、252ps版の高速域の伸び、パンチ力は明らかに上で、しかも7000rpm近くまで回りますから高速道路での追い越し時なども余裕綽々。

高速域の直進安定性は、ドライ時であればFFもクワトロも劇的な差は感じさせず、FFでも十分過ぎるほど安定感があり、しかもパワステのフィールもより手応えがあり、安心感も絶大といえます。

雨天時や雪上では当然ながらクワトロの利点が際立つでしょうが、普段は街中使いが中心で、ロングドライブに時々出かけたとしてもFFで何ら不足はないはず。

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これだけFFの出来がいいと、クワトロが必要という明確な理由がない限り、カタログ燃費も約3km/L良好(FF:18.4km/L クワトロ:15.5km/L)なFFを選んでも新型A4の良さは十分に堪能できるのではないでしょうか。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

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大きくなった新型アウディA4の広さ、使い勝手は?

新型にスイッチしたアウディA4。

先代A4は、トランスミッションケースの影響もあってか運転席足元の左側の張り出しが大きめで、少し斜めに座る感覚で、長時間だと疲れを誘いそうなドラポジになるのが気になりました。

新型ではかなり改善した印象で、完全ではないものの、ほぼ真っ直ぐ左足を伸ばすことができます。

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ボディサイズは全長4735×全幅1840×全高1410〜1430mmで、先代A4は全長4720×全幅1825×全高1440mmですから、全長も全幅も15mm拡大し、全高は10〜30mm低くなっています。

全高を下げたのはCd値改善のために欠かせない設計だったのではないでしょうか。

なお、メルセデス・ベンツCクラスの4690×1810×1445mm、BMW3シリーズの4645×1800×1440mmと比べると、全長はCクラスよりも45mm、3シリーズよりも90mm長く、全幅も30〜40mmワイドになっています。

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一方の全高はライバルよりも低めですから、伸びやかでワイド、そして低く構えたロングノーズのスタイリングは、そのサイズ感も相まって1.5クラス上という印象も受けます。

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エンジンを縦置きし、その直後にトランスミッションを配置する縦置きFF(もしくは4WDのクワトロ)というレイアウトを取る以上、こうしたスタイリング、そして居住、積載スペースを稼ぐには大きくなるのは宿命でしょうが、これだけ大きくなると、駐車場事情から選択肢から外れる人もいるはず。もちろん、A3セダンという弟分があるからこそできるサイズアップだと思いますが。

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アウディによると、ショルダー部の幅は11mm、前席のヘッドクリアランスは24mm拡大し、室内長は17mm延長、後席の膝前空間は実質23mm広くなっているそうです。

実際に座ってみると、低めの全高からも想像できるように、前席は基本的に低めに座らせるポジション。

長いフロントノーズの先は、前席座面を上げても完全に見切ることはできません。シートは座面も背もたれもやや小さめですが、そのぶんフィット感はまずまずという印象。

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後席は、Cクラスや3シリーズよりもとくにフットスペースに余裕が感じられ、大型化された恩恵を感じさせる点。頭上には身長171cmの私で、こぶし1つ弱分くらいの空間が残ります。

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幅が約1m、奥行きも1m超というスクエアな形状のトランクは、通常時で480Lを確保。「4:2:4」の分割可倒式後席をすべて倒せば962Lまで拡大可能。プレミアムDセグメントのセダンとしては、トップクラスの容量が確保されています。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

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■大きくなった新型アウディA4の広さ、使い勝手は?
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アウディに期待する先進性は新型A4にも備わっている?

アウディといえば「技術による先進」という社是というか、その心意気を思い浮かべるファンの方も多いでしょう。最近では、内・外装のハイクオリティからくるクールな雰囲気に惹かれる人も少なくないはず。

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先進性、革新性といった言葉で新型アウディA4を眺めていくと、外観のデザインよりも内装から大きく感じられることが多い印象を受けます。

その前にドアを開けると、「お!」と思うのが、アウターハンドルが従来の前ヒンジから上に引き上げるタイプの上ヒンジ式になっていて、軽い操作感で開けること。

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女性や子どもでも楽でしょうし、あるいはネイルなど指先を傷付けたくないなど、そんな方でもスマートに操作できるはずです。

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インテリアでは、ダッシュボード中央、中心に配置された8.3インチカラーディスプレイ、そしてメーターパネルの「バーチャルコクピット」が目を惹きます。

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中央のディスプレイは、従来型のメーターと横同軸上で、メーターフードとの一体感のあるものから、独立式になっていますから視認性が向上。

その反面、ナビなどを見る必要がない場合でも常に鎮座していますから、視線を妨げるとまでは言えなくても「格納できればな」と思うこともありそうです。

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最も先進性を感じさせる「バーチャルコクピット」は、慣れてくると、ドライバーにとってナビの情報はこの12.3インチディスプレイで十分! と思わせてくれる見やすさ。

一方で、8.3インチカラーディスプレイとバーチャルコクピットの2つのディスプレイは、たとえば両方ともナビを表示していると、少し煩わしく感じるほどで、インパネの「見せ方」が少しスマートではないような気もしますし、まだ「見せ方」には改善の余地がありそうです。

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それでも、スクエアで短めのシフトレバーやその周辺のコンソールのスイッチレイアウトなどは、たとえばCクラスのCOMMANDシステムや3シリーズのiDriveよりもセンスの高さ、操作のしやすさを実感できるもので、アウディがMMIと呼ぶ操作も先代よりもシンプルかつ、浅い階層で目当ての機能にたどり着く印象を受けました。

質感に関してもやや素っ気ない3シリーズなどよりは色気も適度にあり、このインパネのハイクオリティが購入の大きな決め手になるというケースもありそうです。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

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■美点も課題も感じられた新型アウディA4の走り
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美点も課題も感じられた新型アウディA4の走りとは?

クラストップレベルのCd値0.23やライバルよりもやや大きめのボディサイズ、そしてキープコンセプトながらもキリッとしたエクステリアに生まれ変わったアウディの中核モデルA4。

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アウディといえば、アルミを使った軽量ボディを思い浮かべる人が多いと思いますが、新型は最大120kgの減量化を果たしていて、ダッシュボード下のモジュールクロスメンバーをアルミ押し出し材、シートアルミで構成、さらにフロントのクロスメンバーにもアルミ押し出し材が採用されています。

ほかにも、ストラット(フロント)の軸受け部分に鋳造アルミの強化部材を使用。また、ルーフフレームの前面、Bピラー、ドアシル、フロアの一部に熱間成形鋼鈑パーツ(ホットスタンプによる高張力鋼板)を使用するなど、複合材料を使っていますが、A8のようにさすがにオールアルミボディ化せずに、A6と同様のアルミコンポジットボディとなっています。

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これから少なくても4、5年以上はアウディを支えていく中核モデルですから、新型A4ではオールアルミボディへの期待も個人的にあったのですが……。

そんなことを思いながら乗り込むと、最初に気がつくのはボディ剛性感の高さ。

兄貴分のA6よりもサイズが小さいこともあってか、ボディがギュッと引き締まっていて、しかもスチール主体のコンポジットボディでも意外なほどの軽快感もあります。

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また、運転席のフットスペース(主に左足側)が広くなった印象で、適正なドラポジがとれるようになり、左足への圧迫感がなくなりました。ほかにも、やや手応えが希薄で軽すぎた感のあるパワステも新型では適度な重さ、そして路面からの情報もより感じやすくなったのも見逃せません。

逆に気になるのは、予想以上に硬めの乗り心地。コーナリング時などでは先代よりもストローク感は得られるものの、とくに街乗りでは小さなショックが常に感じられます。

救いなのは、先述したように高い剛性感あるボディが減衰している感じがするのですが、良くも悪くもアウディA4ってこんなに硬質だったかな? という乗り味になっています。なお、試乗した17インチ、18インチモデルもその印象はほぼ同じようなものでした。

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エンジンはFFに搭載される190ps/320Nm版と、クワトロ向けの252ps/370Nm版の2.0L直列4気筒ターボがあります。

190ps版でもこれ1台で乗る限りは街中から高速道路からパンチ不足を痛感させられることはなく、DCTとしてはスムーズかつダイレクト感のある7Sトロニックという組み合わせもあって、適度にメリハリがあり、しかもショックの少ない変速フィールも大きな美点。

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しかし、クワトロに乗り替えるとトルク、パワーともに額面どおりの差は歴然とあり、「アウディ=クワトロだろう!」という方は動力性能の面でも不満を抱くシーンはほとんどないのではないでしょうか。

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ボディの堅牢感がありながら軽さもあり、あとはもう少ししなやかな乗り心地があればCクラスや3シリーズなどのライバルとの差別化も明確に図れるはずで、乗り心地に関しては今後の熟成も期待したいところです。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久)