Motor Fan's YEAR 2016

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2017年モデルなのに全車ハロゲンヘッドランプのトヨタ・コースター、その理由は?

トヨタの「コースター」が4代目へとフルモデルチェンジしました。

日本だけでなく、世界的なマイクロバスのトップランナーという同モデルがフルモデルチェンジしたのは、なんと24年ぶり。ですが、日本では2017年1月23日から発売される新型コースターの電装系は、非常に保守的に見えます。

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ヘッドライトは全グレードでハロゲンタイプが標準で、HIDやLEDの設定はありません。もちろん、テールランプもすべて電球タイプとなっています。

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その理由について

「新興国で貴重な移動手段として利用されているコースターは、どの地域であっても容易に修理できる(部品供給が期待できる)ことを考えている」

からだといいます。たしかにLEDヘッドライトは球切れの心配がないというのがセールスポイントですが、故障まで考えるとオーソドックスなハロゲン球にするという結論に至ったといいます。

まさに、コースターに求められるグローバル視線でのメンテナンス性を象徴する選択といえそうです。

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従来までのコースターは、仕向地や仕様によって12Vと24Vという2種類の電装系を持っていたそうですが、新型では12Vに統一されたというのも地味ながら見逃せないニュースのひとつ。こうした仕様の統一化はコストダウンにつながります。

また12Vにしたことで、乗用車で使われているVSC(横滑り防止装置)を利用することが可能になり、VSCの全車標準装備化に寄与したといいます。そのほか室内灯やオーディオなどにおいても12Vに統一したメリットがあるといいます。

ただし、全車12V化したことで、先代モデルではラインナップされていたエアサス仕様がなくなっています。これはエアサスのユニットが24Vだったことで、キャリーオーバーで使えないのが理由ということですが、12Vのエアサス仕様の開発を諦めているわけではないといいますから、将来的に追加設定される可能性がゼロということではなさそうです。

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そのほか、ユーザーが期待している進化を遂げなかった点として、運転席のウインドウが上下にスライドする開閉式にならなかったことが指摘されてています。

ただしここが従来通りの横スライドタイプなのは、運転席のドア強度を上げたことが理由。なお、キャビンに使われているウインドウはすべてUVカットガラスを採用しているそうです。

一見すると期待通りの進化をしていないように見える部分もありますが、あえて進化させていない意味があるというわけです。

■トヨタ・コースターEX 主要スペック
車両型式:SDG-XZB70
全長:6990mm
全幅:2080mm
全高:2635mm
ホイールベース:3935mm
車両重量:3880kg
乗車定員:29名
エンジン型式:N04C-VK
エンジン形式:直列4気筒直噴ディーゼルターボ
総排気量:4009cc
最高出力:132kW(180PS)/2800rpm
最大トルク:461Nm(47.0kg-m)/1600rpm
変速装置:6速AT
燃料消費率:8.80km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/70RR17.5
メーカー希望小売価格(税込):862万3800円

(山本晋也)

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新設計ボディとアルミシートで快適性アップ? トヨタ「コースター」を新旧比較の同乗試乗!

トヨタのマイクロバス「コースター」が4代目へとフルモデルチェンジです。なんと24年ぶりにボディを一新、2017年1月23日から発売される新型コースターの乗り心地を短時間ですが味わうことができました。

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新型コースターのパワートレインは従来モデルより引き続き採用される4.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ(出力違いで2種類を設定)。駆動方式はFR、トランスミッションは6速ATのほか5速MTも用意されています。

今回、6速ATの新旧コースターを同じルート、同じ乗車位置で乗ることができたのです。

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パワートレインだけでなくフレームシャシーもキャリーオーバーで、大きく変わったのはアッパーボディだけという新型コースター。試乗前には、基本となるシャシーが共通であれば、それほど差が出ないという先入観もありましたが、その思いは荒れた舗装路を走ったときに間違いだったことに気付きます。

旧型ではゴツゴツと突き上げるような感触のあった路面で、新型はコツコツといった感じとなり、カドがとれた印象になっているのです。

その理由は、ボディ剛性アップにあるといいます。新型コースターは四角いボディの中に、何本もの輪っかを入れるようにして強度と剛性を強める「環状骨格」を採用しています。さらにハイテン鋼(590MPa)を使っているほか、点で止めるスポット溶接とは異なり、線で止めるレーザー溶接も用いてアッパーボディを強くしています。

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3代目モデルが24年というロングライフになったのは、アッパーボディのスタイリングが非常に優れており、飽きられることがなかった、実用性に大きな不満がなかったからと想像できますが、それでもフルモデルチェンジをすることになったのは、ロールオーバー対応などパッシブセーフティーを高めることにあります。

その第一の目的は横転時に乗員の生存空間を確保することにありますが、同時に剛性アップも実現しているのです。モノコックボディと異なりフレームとアッパーボディが別れている構造ですが、アッパーボディの剛性アップは直進性などにも効果的といいます。ボディがしっかりしたことが乗り心地を改善しているともいいます。

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さらにボディの拡幅により肩や腕と窓までの距離が広くなっているため、座っただけでも旧型より快適になっていることが確認できるのです。

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アッパーボディのスペース効率と剛性アップによるキャビンの快適性向上に加え、フレームシャシーの改善ポイントとしてショックアブソーバーの改良も、乗り心地には効いているといいます。ちなみに、バネレートと呼ばれるスプリングの硬さは従来モデルと同等ということです。

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さらに、アッパーボディにはもう一つ秘密がありました。

ルーフ内側の四隅にアルミシートを貼ることで、キャビン内の帯電を減らし、旋回時のスッキリ感を実現したといいます。トヨタのアルミシートといえば、スポーツカーの86やミニバンのヴォクシーなどに使われていることで知られている魔法のアイテム。

コースターにおいて効果的な理由については研究中ということですが、実際にアルミシートの有無で比較すると「効果は実感できる」といいます。これも、新旧比較で感じた快適性の違いを生んでいるのでしょうか。

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2017年に発売されるニューモデルながら、前後の燈火類がすべてバルブタイプとなっている点や、プリクラッシュセーフティシステムが非搭載になっているなど、進化を求めたい部分もありますが、基本性能はしっかりとブラッシュアップされていることが確認できました。

先代モデルが24年もの長寿モデルになったことを思えば、新型コースターも時間をかけて進化していくことが期待されます。

そのラインナップはバスがLX、GX、EXの3グレードでメーカー希望小売価格は594万円〜862万3800円。幼児専用車は581万400円〜673万3800円、ビッグバンは619万3800円〜677万1600円となっています。

■トヨタ・コースターEX 主要スペック
車両型式:SDG-XZB70
全長:6990mm
全幅:2080mm
全高:2635mm
ホイールベース:3935mm
車両重量:3880kg
乗車定員:29名
エンジン型式:N04C-VK
エンジン形式:直列4気筒直噴ディーゼルターボ
総排気量:4009cc
最高出力:132kW(180PS)/2800rpm
最大トルク:461Nm(47.0kg-m)/1600rpm
変速装置:6速AT
燃料消費率:8.80km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/70RR17.5
メーカー希望小売価格(税込):862万3800円

(山本晋也)

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なんと24年ぶりのフルモデルチェンジ!トヨタのマイクロバス「コースター」の新型が登場

トヨタのマイクロバス「コースター」がフルモデルチェンジです。冠婚葬祭や旅館の送迎、スクールバスなど様々な用途で使われているマイクロバスのシェアトップモデルのフルモデルチェンジは、なんと24年ぶりです。

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コースターの歴史を遡ると、原点といえるのが1963年に誕生した「ライトバス」になります。初代「コースター」の誕生は1969年で、二代目にフルモデルチェンジしたのが1982年。そして1993年に誕生した3代目がロングセラーモデルとなり、2017年1月23日から4代目の販売が始まるというわけです。

ボディタイプは標準とロングの2種類。エンジンは圧縮比違いの4.0リッターディーゼルとなり、乗車定員は24〜29名となっています。なお、幼稚園などの送迎に使われる幼児専用車は大人3名+幼児39名(ロング)、大人3名+幼児29名(標準)の定員です。

さて、新型「コースター」は24年ぶりのフルモデルチェンジというだけではなく、トヨタにとって記念すべき一台にもなっています。

トヨタは2016年4月よりカンパニー制をとっています。製品軸により7つのカンパニーが生まれたわけですが、その中で商用車を担当するCV(コマーシャルビークル)カンパニーとして初めてのフルモデルチェンジになるのです。

ユーザーレベルでは関係ない話ともいえますが、ロングセラーモデルであり、新カンパニーの初物というだけあり、力の入ったフルモデルチェンジといえそうです。

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CVカンパニーとして初めてのフルモデルチェンジとなったことについて、CVカンパニーのプレジデントを務める増井敬二さん(トヨタ自動車 専務取締役)によると「カンパニー内での商品強化の優先順位に則って開発できるようになったことでタイムリーに商品強化が可能になった」ということです。

また、コースターの生産はトヨタ車体が担当していますが、増井さんがトヨタ車体の社長を兼務していることで、より一体化したスピーディな開発ができたということです。

まさに新生CVカンパニーがかかげる『もっといいCVづくり』の第一号車といえるのが新型コースターというわけです。

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パワートレインやシャシーフレームは従来モデルから基本設計を受け継いだという新型コースター。

その進化ポイントは、環状骨格設計を採用したボディにあります。高張力鋼板やレーザー溶接も用いることで、アッパーボディの強度を上げ、欧州統一基準のロールオーバー(横転)安全性能を実現しています。

また、VSC(横滑り防止装置)を全グレードに標準装備。運転席と助手席のSRSエアバッグに加え、プリテンショナー機構付きシートベルトも標準装備しています。客室シートも補助席を除き3点式シートベルトを採用するなど現在の安全性能を満たす内容となっています。

グローバル基準でのロールオーバー時の生存空間を確保している新型コースターですが、全幅・全高の拡大は、日常使いでの居住性アップにもつながっています。さらに、レンタカーといて使用されることも考慮して、全長は7m未満に抑えられるなど、国内での使用を考えたボディサイズとなっているのも特徴です。

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ラインナップはバスがLX、GX、EXの3グレードでメーカー希望小売価格は594万円〜862万3800円。幼児専用車は581万400円〜673万3800円、9名+1250kgの荷物を積めるビッグバンは619万3800円〜677万1600円となっています。

いずれも駆動方式はFR、トランスミッションは6速ATのほか5速MTも用意されています。

■トヨタ・コースターEX 主要スペック
車両型式:SDG-XZB70
全長:6990mm
全幅:2080mm
全高:2635mm
ホイールベース:3935mm
車両重量:3880kg
乗車定員:29名
エンジン型式:N04C-VK
エンジン形式:直列4気筒直噴ディーゼルターボ
総排気量:4009cc
最高出力:132kW(180PS)/2800rpm
最大トルク:461Nm(47.0kg-m)/1600rpm
変速装置:6速AT
燃料消費率:8.80km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/70RR17.5
メーカー希望小売価格(税込):862万3800円

(山本晋也)