Motor Fan's YEAR 2016

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新設計ボディとアルミシートで快適性アップ? トヨタ「コースター」を新旧比較の同乗試乗!

トヨタのマイクロバス「コースター」が4代目へとフルモデルチェンジです。なんと24年ぶりにボディを一新、2017年1月23日から発売される新型コースターの乗り心地を短時間ですが味わうことができました。

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新型コースターのパワートレインは従来モデルより引き続き採用される4.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ(出力違いで2種類を設定)。駆動方式はFR、トランスミッションは6速ATのほか5速MTも用意されています。

今回、6速ATの新旧コースターを同じルート、同じ乗車位置で乗ることができたのです。

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パワートレインだけでなくフレームシャシーもキャリーオーバーで、大きく変わったのはアッパーボディだけという新型コースター。試乗前には、基本となるシャシーが共通であれば、それほど差が出ないという先入観もありましたが、その思いは荒れた舗装路を走ったときに間違いだったことに気付きます。

旧型ではゴツゴツと突き上げるような感触のあった路面で、新型はコツコツといった感じとなり、カドがとれた印象になっているのです。

その理由は、ボディ剛性アップにあるといいます。新型コースターは四角いボディの中に、何本もの輪っかを入れるようにして強度と剛性を強める「環状骨格」を採用しています。さらにハイテン鋼(590MPa)を使っているほか、点で止めるスポット溶接とは異なり、線で止めるレーザー溶接も用いてアッパーボディを強くしています。

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3代目モデルが24年というロングライフになったのは、アッパーボディのスタイリングが非常に優れており、飽きられることがなかった、実用性に大きな不満がなかったからと想像できますが、それでもフルモデルチェンジをすることになったのは、ロールオーバー対応などパッシブセーフティーを高めることにあります。

その第一の目的は横転時に乗員の生存空間を確保することにありますが、同時に剛性アップも実現しているのです。モノコックボディと異なりフレームとアッパーボディが別れている構造ですが、アッパーボディの剛性アップは直進性などにも効果的といいます。ボディがしっかりしたことが乗り心地を改善しているともいいます。

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さらにボディの拡幅により肩や腕と窓までの距離が広くなっているため、座っただけでも旧型より快適になっていることが確認できるのです。

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アッパーボディのスペース効率と剛性アップによるキャビンの快適性向上に加え、フレームシャシーの改善ポイントとしてショックアブソーバーの改良も、乗り心地には効いているといいます。ちなみに、バネレートと呼ばれるスプリングの硬さは従来モデルと同等ということです。

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さらに、アッパーボディにはもう一つ秘密がありました。

ルーフ内側の四隅にアルミシートを貼ることで、キャビン内の帯電を減らし、旋回時のスッキリ感を実現したといいます。トヨタのアルミシートといえば、スポーツカーの86やミニバンのヴォクシーなどに使われていることで知られている魔法のアイテム。

コースターにおいて効果的な理由については研究中ということですが、実際にアルミシートの有無で比較すると「効果は実感できる」といいます。これも、新旧比較で感じた快適性の違いを生んでいるのでしょうか。

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2017年に発売されるニューモデルながら、前後の燈火類がすべてバルブタイプとなっている点や、プリクラッシュセーフティシステムが非搭載になっているなど、進化を求めたい部分もありますが、基本性能はしっかりとブラッシュアップされていることが確認できました。

先代モデルが24年もの長寿モデルになったことを思えば、新型コースターも時間をかけて進化していくことが期待されます。

そのラインナップはバスがLX、GX、EXの3グレードでメーカー希望小売価格は594万円〜862万3800円。幼児専用車は581万400円〜673万3800円、ビッグバンは619万3800円〜677万1600円となっています。

■トヨタ・コースターEX 主要スペック
車両型式:SDG-XZB70
全長:6990mm
全幅:2080mm
全高:2635mm
ホイールベース:3935mm
車両重量:3880kg
乗車定員:29名
エンジン型式:N04C-VK
エンジン形式:直列4気筒直噴ディーゼルターボ
総排気量:4009cc
最高出力:132kW(180PS)/2800rpm
最大トルク:461Nm(47.0kg-m)/1600rpm
変速装置:6速AT
燃料消費率:8.80km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/70RR17.5
メーカー希望小売価格(税込):862万3800円

(山本晋也)

【関連記事】

なんと24年ぶりのフルモデルチェンジ!トヨタのマイクロバス「コースター」の新型が登場
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なんと24年ぶりのフルモデルチェンジ!トヨタのマイクロバス「コースター」の新型が登場

トヨタのマイクロバス「コースター」がフルモデルチェンジです。冠婚葬祭や旅館の送迎、スクールバスなど様々な用途で使われているマイクロバスのシェアトップモデルのフルモデルチェンジは、なんと24年ぶりです。

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コースターの歴史を遡ると、原点といえるのが1963年に誕生した「ライトバス」になります。初代「コースター」の誕生は1969年で、二代目にフルモデルチェンジしたのが1982年。そして1993年に誕生した3代目がロングセラーモデルとなり、2017年1月23日から4代目の販売が始まるというわけです。

ボディタイプは標準とロングの2種類。エンジンは圧縮比違いの4.0リッターディーゼルとなり、乗車定員は24〜29名となっています。なお、幼稚園などの送迎に使われる幼児専用車は大人3名+幼児39名(ロング)、大人3名+幼児29名(標準)の定員です。

さて、新型「コースター」は24年ぶりのフルモデルチェンジというだけではなく、トヨタにとって記念すべき一台にもなっています。

トヨタは2016年4月よりカンパニー制をとっています。製品軸により7つのカンパニーが生まれたわけですが、その中で商用車を担当するCV(コマーシャルビークル)カンパニーとして初めてのフルモデルチェンジになるのです。

ユーザーレベルでは関係ない話ともいえますが、ロングセラーモデルであり、新カンパニーの初物というだけあり、力の入ったフルモデルチェンジといえそうです。

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CVカンパニーとして初めてのフルモデルチェンジとなったことについて、CVカンパニーのプレジデントを務める増井敬二さん(トヨタ自動車 専務取締役)によると「カンパニー内での商品強化の優先順位に則って開発できるようになったことでタイムリーに商品強化が可能になった」ということです。

また、コースターの生産はトヨタ車体が担当していますが、増井さんがトヨタ車体の社長を兼務していることで、より一体化したスピーディな開発ができたということです。

まさに新生CVカンパニーがかかげる『もっといいCVづくり』の第一号車といえるのが新型コースターというわけです。

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パワートレインやシャシーフレームは従来モデルから基本設計を受け継いだという新型コースター。

その進化ポイントは、環状骨格設計を採用したボディにあります。高張力鋼板やレーザー溶接も用いることで、アッパーボディの強度を上げ、欧州統一基準のロールオーバー(横転)安全性能を実現しています。

また、VSC(横滑り防止装置)を全グレードに標準装備。運転席と助手席のSRSエアバッグに加え、プリテンショナー機構付きシートベルトも標準装備しています。客室シートも補助席を除き3点式シートベルトを採用するなど現在の安全性能を満たす内容となっています。

グローバル基準でのロールオーバー時の生存空間を確保している新型コースターですが、全幅・全高の拡大は、日常使いでの居住性アップにもつながっています。さらに、レンタカーといて使用されることも考慮して、全長は7m未満に抑えられるなど、国内での使用を考えたボディサイズとなっているのも特徴です。

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ラインナップはバスがLX、GX、EXの3グレードでメーカー希望小売価格は594万円〜862万3800円。幼児専用車は581万400円〜673万3800円、9名+1250kgの荷物を積めるビッグバンは619万3800円〜677万1600円となっています。

いずれも駆動方式はFR、トランスミッションは6速ATのほか5速MTも用意されています。

■トヨタ・コースターEX 主要スペック
車両型式:SDG-XZB70
全長:6990mm
全幅:2080mm
全高:2635mm
ホイールベース:3935mm
車両重量:3880kg
乗車定員:29名
エンジン型式:N04C-VK
エンジン形式:直列4気筒直噴ディーゼルターボ
総排気量:4009cc
最高出力:132kW(180PS)/2800rpm
最大トルク:461Nm(47.0kg-m)/1600rpm
変速装置:6速AT
燃料消費率:8.80km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/70RR17.5
メーカー希望小売価格(税込):862万3800円

(山本晋也)

ドコモとDeNAが、自動運転車両を第5世代移動通信方式を利用して遠隔管制する実証実験を実施

NTTドコモ(ドコモ)とディー・エヌ・エー(DeNA)は、第5世代移動通信方式(5G無線技術)を利用して自動運転車両を遠隔管制する実証実験を共同で進めることを合意したと、それぞれ両社のHPで発表しました。

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5G無線技術は、10Gbpsを超える超高速な通信速度で通信容量を拡大できることが特徴です、IoTの普及に対応できる次世代の移動通信方式として研究開発と国際標準化が進行しています。

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今回の実証実験は、運転手のいない自動運転車両と遠隔地にいるオペレータとの間を5G無線技術でつなぐもので、具体的には、走行中の自動運転車両周辺の高精細映像をカメラで撮影し、5G無線技術を使って遠隔地のオペレータに伝送する実験を実施します。

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両社は、ドコモの5G無線技術に関するノウハウと、私有地で無人の自動運転バス「Robot Shuttle (ロボット シャトル)」を活用したモビリティーサービスを手がけるDeNAのノウハウを組み合わせ、遠隔地からの自動運転車両の監視や乗客へのサポートなどに5G無線技術を利用して、運転手のいない自動運転の実用性・利便性を向上させることを目論んでいます。

発表された実証実験の内容を見ると、5G無線技術は自動運転車両の監視や乗客へのサポートに利用されるようで、自動運転車両の運行を5G無線技術で制御するものではなく、補助的な遠隔管制にとどまっていますが、今後は5G無線技術で無人の自動走行車両の運行を直接に遠隔管制する方向に発展することが期待されます。

(山内 博・画像:ドコモ、DeNA)

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DeNAが8月からイオンモールに「自動運転バス」を導入!
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ソフトバンク子会社SBドライブが「喋る無人運転バス」を実証実験開始!
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トヨタが東京五輪に向けて100台超の燃料電池バスを投入!

トヨタ自動車が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、都内を中心に100台超の水素で走る「FCバス」導入を予定しているそうです。

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経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として、トヨタのお膝元の愛知県豊田市が選定され、2010年8月に「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」を立ち上げたことを受け、日野自動車と共同で「FCバス」を開発。

2013年11月に豊田市で実証試験運行をスタートさせ、昨年1月には「FCバス」を豊田市へ納車、豊田市内を走る基幹バスとしての営業運行を通じて、実用性を検証、着実にノウハウを蓄積してきました。

この「FCバス」では出力を高めるため、同社が開発した燃料電池車「MIRAI」用の燃料電池システム「TFCS」を2基搭載。高圧水素タンクを10本(総容量600L)搭載しており、1回の水素充填で200km以上の走行が可能。

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実証試験運行で得た知見をもとに、外部電源供給(V2H:Vehicle to Home)システムに改良を加えており、非常時には学校体育館等の避難所照明用の電力を約1週間程度(最高出力9kW、235kWh)を供給できるそうです。

同社は今年10月21日、これまで走行実証を重ねてきた「FCバス」を2017年3月にトヨタブランドから販売、東京都交通局が運行する路線バスとして2台が採用される予定であることを明らかにしました。

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今後、順次導入台数を増やし、東京オリンピック・パラリンピックでの活用を通じて「水素社会」の実現に貢献すべく、2018年からは新型のFCバスによる導入拡大を目指し、鋭意開発を進めているそうです。

2020年の東京五輪開催時には、都内を走る同社の燃料電池バスの姿があちこちで見受けられることになり、海外からも大きな注目を集めそうです。

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

NEDOが「超急速充電」できる2階建てEVバスを実証試験!

経済産業省が所轄するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、重量の制約上、EV化は困難とされていた2階建て大型EVバス(ダブルデッカー)の実証試験をマレーシアで実施するそうです。

NEDO

同機構は2015年度から現地で実施しているEVバスシステム実証事業を通して、マレーシアの都市交通スマート化と、都市交通事業の広域展開を目指しています。

実証試験は東芝、ピューズ、ハセテック、オリエンタルコンサルタンツグローバルの4社、及びマレーシアのバス運行会社であるPAPSB社と共同で行う模様。

NEDOとマレーシアのプトラジャヤ市が6月3日、新たな実証試験で協力して行くことで合意、基本協定書を交わしました。

主な実証内容は以下の3点となっています。

・超急速充電が可能な超寿命二次電池搭載のEVバス走行
・超急速充電システムの現地設置
・バス運行状況モニタリング、電池の品質、充電状態確認

実証試験用の2台のEVダブルデッカー(長さ12m)は、僅か10分間で充電できる「大電力充電技術」を採用、ディーゼルバス並みの運行性能を保有しているといいます。

NEDOは日本の技術を活用し、現地企業とも連携しながら、本事業をショーケース化することで、マレーシアがASEANのEVハブとなることに貢献、都市交通パッケージ事業の広域展開を目指すとしています。

Avanti Yasunori

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東芝製二次電池「SciB」搭載の中型EVバスが実証走行開始
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東芝、早稲田大と共同開発したEVバスを公道実証試験
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三菱ふそうが「ローザ」でベトナムの小型バス市場に初参入

三菱ふそうトラック・バス(以下 MFTBC)は、日本でもなじみ深い小型バス「ローザ」をベトナム市場に初投入すると発表しました。

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MFTBCでは小型バスの現地での様々なニーズに対応して、経済成長著しいベトナム市場で、市場プレゼンスを高めたいとしています。

今回MFTBCはベトナム・ホーチミン市郊外にある専用工場で「ローザ」初の現地生産を開始しました。

「ローザ」の現地生産は、MFTBCの川崎工場から基幹部品を輸出し、サイゴン交通運輸機械総公社(SAMCO)でノックダウン生産する形で行われます。同工場は2015年3月に完成、約4万平方メートルの敷地を有し、年間生産能力は約1000台の規模を備えています。

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「ローザ」の販売は、親会社であるダイムラー社の100%子会社メルセデス・ベンツ・ベトナム社(MBV)を通して行ない、約1000台の年間販売台数を目指すということです。

今回の小型バス「ローザ」は1960年に日本国内で発売されて以来、おもに送迎・幼稚園バスや、福祉車両・キャンピングカーのベース車両として使われており、累計生産台数は2015年に20万台を達成しました。世界約40カ国に輸出されており、「ローザ」の全販売台数の80%(2015年)が輸出されています。

MFTBCは、今日産との資本提携が話題になっている三菱自動車工業(三菱自動車)の子会社でしたが、2004年にトラックの車輪脱落による死亡事故が問題になって三菱自動車が持ち株をダイムラーに売却し、三菱の名前は残っていますがダイムラーの子会社となっています。

(山内 博・画像:三菱ふそうトラック・バス)

日本初!2階建てオープントップのレストランバスが発進

ウィラーコーポレーションは、umari と協働して「オープントップバスの絶景を楽しみながら、その土地の食材を楽しむ」をコンセプトとした2階建てのレストランバスを開発した、と発表しました。

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レストランバスは「移動」と「食」の融合により、生産者や地域の人々、初めて見る食材、そして 料理との出会いを創造し、旅行者に新たな感動を提供することを狙っています。

旅先の大きな楽しみである「食」や「観光」は、地域に広く点在しています。

レストランバスはその点と点を便利につなぎ、さらに、移動しながら美しい景色とともに料理が楽しめ、その土地の旬な食材に出会うことができ、バス旅行の楽しみを演出します。

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レストランバスは、1階に料理が作れるキッチンが配備され、2階には乗客25人が着席できる座席とテーブルが設置されています。さらに天井が開閉式の透明な樹脂製の屋根になっており、暖かな天気の良い日にはオープントップで開放的な景色を楽しめます。天候が悪い日には透明の屋根を閉め、景色を楽しみながら快適に食事ができるようになっています。

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ウィラーコーポレーションでは、レストランバスを新潟県で4月30日(土)より運行開始します。農園での収穫体験や観光を楽しみながら、地域の食を楽しめるコースを企画しています。

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今後は、様々な地域でレストランバスを企画し、食を楽しむ旅行者と食を提供する地方の方々の双方を元気にして地方創生を目指す、としています。

(山内 博・動画・画像:ウィラーコーポレーション)