Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

積水化成品工業の発泡体 「ピオセラン」が、トヨタ・C-HRの座席シート部材に採用

積水化成品工業は、同社の発泡体「ピオセラン」が、12月に発売されたトヨタ・C-HRの座席シート部材に採用されたと発表しました。今後、トヨタの各グローバル拠点で順次発売されるC-HRへの供給も計画しているということです。

pio1

「ピオセラン」は、積水化成品工業のポリマーハイブリッド技術を採用しており、ポリスチレンの剛性とポリオレフィンの緩衝性の両方を備えているという特徴があります。また、成形金型と成形品(発泡体) の寸法の差異が小さいという寸法の再現性や、温度変化に対する寸法変化が小さく寸法安定性に優れている点もメリットとして注目されています。

pio2

従来では、手作業で座席シートのウレタンと固定具であるワイヤーを組み立てていたのを、「ピオセラン」 の寸法安定性を活かして、ワイヤーと「ピオセラン」を一体成形する技術を確立することができ、組み立て工 数の大幅な削減が実現しました。

また、この一体成形品を座席シートの芯材とすることによって、ウレタン使用量を削減して、軽量化に成功したことが、今回「C-HR」に「ピオセラン」が採用される決め手になったということです。

「ピオセラン」を座席シートに採用したことで、工数削減によるコストダウンと、軽量化による燃費改善効果や環境負荷軽減が期待 されています。

さらに「ピオセラン」は高い衝撃吸収性能も備えており、万一の事故の際、乗員が座席に沈み込むことを防ぎながら、衝突時の衝撃を吸収する機能も発揮できます。

積水化成品工業は、原料開発から部材設計を取り入れた成形までを一貫して行う世界でも数少ない化成品メーカーで、今後も「ピオセラン」の他車種への採用拡大を目指すということです。

(山内 博・画像:積水化成品工業)

トヨタ紡織、従来より耐衝撃性を向上させた高耐衝撃プラスチック事業で三井化学と業務提携へ

トヨタ紡織は、プラスチックの耐衝撃性能を向上させる技術を開発し、当該技術を自動車シートやドアトリムに活用するとともに、自動車用以外の用途にも広く応用を拡大する業務提携の覚書を 三井化学と締結したと発表しました。

img01_01

今回、トヨタ紡織が豊田中央研究所と共同で開発した技術は、「高耐衝撃プラスチック」をプラスチックに添加する改質剤として利用する技術で、「高耐衝撃プラスチック」を通常のプラスチックに添加することで耐衝撃性を飛躍的に向上させることができます。

この「高耐衝プラスチック」は、 植物由来樹脂のポリアミド 11と石油由来樹脂のポリプロピレンに、三井化学製の相容化剤を複合化させて、衝撃を吸収できる構造にしたプラスチックのことです。

img01-1

「高耐衝撃プラスチック」が高い耐衝撃性を持っているなら、例えば自動車シートの骨材を全て「高耐衝撃プラスチック」で製造すれば、と単純に考えるのですが、「高耐衝撃プラスチック」を通常のプラスチックに添加する「改質剤」として使用する点がキーポイントのようです。

新開発されたプラスチックの耐衝撃性を飛躍的に向上させる技術は、トヨタ紡織が製造している自動車シートやドアトリムに限らず、 耐衝撃性が求められる樹脂を使用する色々なプラスチック製品に応用できるので、トヨタ紡織は三井化学との業務提携を結ぶことで、同社の販路を利用して広く他の業界への拡大を目指しています。

(山内 博・画像:トヨタ紡織)