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ジェイテクトがステアリングシステムの評価・解析を行う欧州テストコースをオープン

自動車部品大手ジェイテクトは、フランスにあるヨーロッパ地域統括拠点・JTEKT EUROPE S.A.S(JEU)において、ステアリングシステムの評価・解析を行うテストコース「IRY JTEKT EUROPEAN PROVING GROUND」を開所したと発表しました。

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同社では、自社製品の評価、解析を行える施設を開設することで、技術力と営業力の強化をすすめ、欧州市場でのステアリングビジネスのニーズに対する対応力を向上させたい考えです。

今回のJEUの新テストコースでは、高度運転支援(ADAS)に対応する製品技術を開発・提案することも目指しています。

7月11日に開所したジェイテクトの欧州テストコースは、フランス中西部のローヌ川に沿ったリヨン地方の都市IRIGNYにあり、敷地面積が125,970㎡、コース面積50,200㎡の規模で、試験路には、①500mの直線路、②直径190m・勾配0度のダイナミックパッド、③75mの低μ(摩擦)路、⑤NV(異音)評価路を備えています。

開所式には、フランスの経済産業大臣・エマニュエル=マクロン氏、メトロポールドリヨン区長・ジェラード=コロム氏も参加し、同社取締役社長の安形哲夫氏やJEU代表・フランシス=フォルタン氏が出席しました。

会場内では同社の開発によるEPSを搭載した自動運転バス・NAVYA-ARMAも登場し、式典を盛り上げたということです。

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同社は、日本国内のテストコースとして三重県伊賀市に敷地面積55万平方メートル、周回路長さ2.2kmの伊賀試験所を所有しており、これに加えて今回ヨーロッパ地域での新テストコースを開所したことで開発環境が一層拡充されることになります。

(山内 博・画像:ジェイテクト)

スタッドレスタイヤの性能向上には東京ドーム約19個分の広さが必要!?

北海道のイメージといえば「旭川動物園」「ラベンダー」「流氷」などなど、とくに観光地としてのイメージが強いですよね。

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しかし、自動車業界にいる人間にとって北海道といえば「テストコース王国」であること。

事実、自動車メーカー、サプライヤー、タイヤメーカーなどなど、道内には20箇所以上のテストコースが存在します。

1979年にいすゞのテストコースとしてオープンした「ワーカム北海道」(勇払郡むかわ町/※現在は独立した自動車試験場)を皮切りに、自動車メーカー各社やタイヤメーカーが、とくに寒冷地特有の試験を行うためにコースを設立していますが、今年1月、旭川市に新たなテストコースが開設しました。

そのコースとは、横浜ゴムの冬用タイヤテストコース「北海道タイヤテストセンター(Tire Test Center of Hokkaido=TTCH)」。

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旧旭川競馬場跡地に建設された横浜ゴムの最新テストコースとはどのような施設なのでしょうか。

一般には公開されていない新テストコースに、報道陣向け試乗会で取材してきました。

敷地面積は東京ドームの19倍強に当る906,462㎡という新テストコースは、約1kmの圧雪路、そして氷盤路、登坂路、雪上/氷上旋回路、ハンドリング路などが備わっています。

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横浜ゴムは北海道内に「T*MARY(ティーマリー)」(上川郡鷹栖町)と呼ばれる冬用タイヤテストコースを持っていましたが、広さは約4倍になります。

「T*MARYでは直線の距離が短くて制動評価に手詰まり感がありました」

横浜ゴムの担当者は試乗会でこう語っていましたが、新テストコースの完成でスタッドレスタイヤ性能の向上に繋がることを期待しているようです。

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試乗会では新テストコースの各路面を走行したとき改めてわかったのは、圧雪路、氷盤路などなど、ひとえに「雪道」と呼ばれるあらゆる路面をスムーズに走ることができるにはタイヤの性能が重要だということ。

走る、止まる、そして滑らない──これらを高いバランスで実現するためには、新たなテストコースが必要なのだと理解できました。

今年は暖冬のためタイヤ各社ともに売上的には苦労したようですが、スタッドレスタイヤの性能競争は今後ますます激しくなっていくことは間違いありません。

そんななか、新たにテストコースを開設した横浜ゴムのスタッドレスタイヤがどのように進化していくか注目したいですね。

【テヅカ・ツヨシ】