Motor Fan's YEAR 2016

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BMWグループが量産車の部品製造に3Dプリンタを導入

BMWグループは13日、同グループのロールス・ロイス 「ファントム」に組み込まれている1万点以上の部品の量産に、3Dプリンタを使用していると発表しました。

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また同社の研究・イノベーションセンター(FIZ)にある部品製造センターでは、新型ロールス・ロイス「ドーン」の部品を製造するために、3Dプリンタによる製造プロセスを採用しています。

BMWグループが採用したのは「HPマルチ ジェット フュージョン技術」と呼ばれる平面的な3Dプリンタで、同グループでは3Dプリンタの採用で部品製造時間の短縮と、より経済的な生産が可能になるとしています。

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同グループの生産戦略・技術部門の責任者であるUdo Hanle氏は

「3Dプリンタによる部品製造技術は、BMWグループの今後の主な製造技術になると有望視しています。ロールス・ロイスの部品生産への3Dプリンタの採用は、大規模で、一つの重要なマイルストーンです。新しい技術を利用することにより、将来的にはさらに生産時間を短縮することが可能となります。」

とコメントしています。

今回、3Dプリンタによる連続生産に成功した部品は、ロールス・ロイス「ファントム」のハザード警告灯、センターロックボタン、電子パーキングブレーキ、そしてソケット用プラスチックホルダです。

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BMWグループの部品製造センターの責任者 Jens Ertel氏は

「平面的な3Dプリンタによる生産技術は量産している部品製造プロセスの中心になっています。その最近の一例が、「HPマルチジェットフュージョン技術」です。3Dプリンタによる部品製造プロセスは、最初はプロトタイプの部品に採用されましたが、今後我々は長期的に連続生産する量産部品に拡大していく予定です」

とコメントしています。

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「HPマルチジェットフュージョン技術」では、部品製造プロセスの開始時に、まずベース粉末材料の薄層が塗布されます。その後3Dプリンタのプリントヘッドが、塗布された粉末床の上に添加剤を噴霧して、粉末床の上に積み重ねる形で部品の細部の形状を成形します。噴霧される粉末・成分のそれぞれの層は、赤外線の照射で融合されます。

このような平面的な3Dプリンタによる部品製造を、同社ではCLIPテクノロジー(Contininuous Liquid Interfece Production:連続液体界面製造)と呼んでいます。

(山内 博・画像:BMWグループ)

ブランド初のコンセプトカー「ロールス・ロイス ビジョン・ネクスト100」は完全自動運転車

いままでコンセプトカーがなかったのは意外な気もしますが、純然たるコンセプトカーとしてはブランド初となる「ロールス・ロイス ビジョン・ネクスト100」がロンドンで発表されました。

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以下の4つのビジョンを提案し、未来の個人向け輸送手段は実用的かつ機能的なものとなるという一般的な考えを拒否しています。

パーソナル・ビジョン(個人の好みを反映)
エフォートレス・ジャーニー(平易な旅程)
グランド・サンクチュアリ(豪奢なる聖域)
グランド・アライバル(威厳のある到着)

2030年以降と想定されている「完全自動運転(レベル4)」が実現すると、運転する喜びはもちろん、クルマの「走り」や「乗り味」などのフィーリングが問われることもなくなり、自分で愛車を所有することもほとんどなくなるのでは? といった予想する向きも確かにあります。

そこでロールス・ロイスは、自分の所有するクルマに対して感情的なつながり(所有する喜びなど)を求めるオーナーに対し、全自動運転車でありながら一切妥協することなく、オーダーメイドによる独自仕様のビジョンを提案。

これが上記した第1の基本原則「パーソナル・ビジョン」です。

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ふたつ目の「エフォートレス・ジャーニー(平易な旅程) 」は、同モデルに搭載されている「エレノア」がオーナーのライフスタイルとクルマ周囲の環境をデジタルで接続。

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バーチャルなアシスタント兼運転手を務め、オーナーの負担を解放し、乗車する人の出発準備が整うとその人の待っている場所までクルマを「移動」させ、次の目的地に向かうそうです。

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3つ目の「グランド・サンクチュアリ(豪奢なる聖域)」は、同ブランドならではのラグジュアリーな室内空間を示したもので、同ブランド史上最も居心地の良いシートを用意。未来的でも手作業で仕上げられた「ラウンジ」に仕立てられています。

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最後の「グランド・アライバル(威厳のある到着) 」は、国賓などが目的地に到着した際の、「威厳のある到着」を約束する堂々たるスタイリングを有していることで、「スプリット・オブ・エクスタシー」、「パンテオングリル」、「ロングボンネット」、車両全体の象徴的なプロポーションはロールス・ロイスそのまま。

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ロールス・ロイス初のコンセプトカーがどんなモデルかのぞいて見たい人は、下記の動画(YouTube 360°)をチェックしてはいかがでしょうか。

(塚田勝弘)

「若者向け」のロールス・ロイス!? レイス・ブラック・バッジを日本初披露

いまやロールス・ロイスといえば、ベントレーとともに英国を代表する高級車ブランドで、紳士淑女あるいは成功を収めた人が「上がり」で乗るイメージがあるかもしれません。

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2016年のジュネーブモーターショーに登場し、5月25日に日本で初めてお披露目された「レイス・ブラック・バッジ」は、「自信みなぎる今日の若い型破り世代」をターゲットに据え、「妥協せず、言い訳をしない生き方とライフスタイルをおくる世代」に向けたモデルとのこと。

外観では、車名どおりブラックがキーワードになっていて、「ブラック・バッジ」のフロントエンド、サイドパネル、リヤのダブルRバッジが配色を反転させてブラックを背景にしたシルバーとなっているほか、フロントグリルの縁や、トランクリッドの仕上げのアクセント、ロワーエアインテークのアクセント、エキゾーストパイプなどのクローム・サーフェスがダーク調に変更。

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さらに「ブラック・バッジ」は、ブラックカラーにも、新しいレベルの色彩強度を付与。

ペイントとラッカーを何層も重ね塗りしたうえ、手作業で繰り返しポリッシュして仕上げられています。ソリッドカラーとしては異例といえる塗装とポリッシュに多くの手間がかけられているのも特徴で、量産車としては前例のない深みと黒色度、色彩を持つブラックカラーとして昇華されています。

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車内の「ブラック・バッジ・キャビン」は、航空宇宙技術由来のアルミニウム合金製糸の織物とカーボン・ファイバーからなるコンポジット材サーフェスを採用。「ブラック・バッジ」のダッシュボードとリヤのエアアウトレットは物理蒸着によってダーク調に仕上げられ、圧倒的といえる上質感を演出。

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エンジンは6.6LのV12気筒で、8ATとの組み合わせにより632psという圧倒的なアウトプットを誇るだけでなく、このハイパワーに追加のトルク(+70Nm)が加えられているのも特徴です。

さらに、エアサスペンションのチューニングや新しいドライブシャフト、8ATなどにより、ドライバーズカーとしての資質も向上。もちろん、ロールス・ロイスが誇る流「魔法のじゅうたん」の乗り心地は犠牲になっていないそう。

なお、価格などは発表されていませんが、2016年末までには発売するとアナウンスされています。

(塚田勝弘)