Motor Fan's YEAR 2016

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スバルが米国生産累計300万台を約27年で達成!

アメリカ北部を中心に好調な販売だというスバル。2016年7月28日(米国時間)には、米国での生産が累計台数 300万台に到達したそうです。

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1989年9月、米国インディアナ州の「スバル・いすゞオートモーティブ インク(現スバル オブ インディアナ オートモーティブ インク、以下 SIA)」において初代レガシィの生産を開始して以来、26年10か月での達成です。

現在のSIAでは、「レガシィ(1989年〜)」と「アウトバック(1995年〜)」が生産されていますが、過去には「バハ(2002年〜2006年)」「トライベッカ(2005年〜2014年)」を生産していたこともあります。

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アメリカでの販売は、近年は「売るクルマがないほど好調」という状況もある中、SIA では継続して能力増強投資を実施。

標準操業における生産能力を2016年3月末の218千台から 、2016年末には394千台、2018年度には436千台へ引き上げていくそうです。

これにより2016年内にも新たにインプレッサの生産を開始。2018年には多人数SUVの生産を追加する予定としています。

これらの生産車は、主に米国・カナダで販売されていて、2015年暦年でのスバル車の生産台数は、過去最高の228,804台(対前年比+18.5%)となっています。

これにより、スバル車のシェアはかつての1%程度から4%程度に急拡大しています。新型インプレッサの生産開始で、今後さらにアメリカでの人気が高まるかもしれません。

(塚田勝弘)

BMWグループが量産車の部品製造に3Dプリンタを導入

BMWグループは13日、同グループのロールス・ロイス 「ファントム」に組み込まれている1万点以上の部品の量産に、3Dプリンタを使用していると発表しました。

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また同社の研究・イノベーションセンター(FIZ)にある部品製造センターでは、新型ロールス・ロイス「ドーン」の部品を製造するために、3Dプリンタによる製造プロセスを採用しています。

BMWグループが採用したのは「HPマルチ ジェット フュージョン技術」と呼ばれる平面的な3Dプリンタで、同グループでは3Dプリンタの採用で部品製造時間の短縮と、より経済的な生産が可能になるとしています。

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同グループの生産戦略・技術部門の責任者であるUdo Hanle氏は

「3Dプリンタによる部品製造技術は、BMWグループの今後の主な製造技術になると有望視しています。ロールス・ロイスの部品生産への3Dプリンタの採用は、大規模で、一つの重要なマイルストーンです。新しい技術を利用することにより、将来的にはさらに生産時間を短縮することが可能となります。」

とコメントしています。

今回、3Dプリンタによる連続生産に成功した部品は、ロールス・ロイス「ファントム」のハザード警告灯、センターロックボタン、電子パーキングブレーキ、そしてソケット用プラスチックホルダです。

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BMWグループの部品製造センターの責任者 Jens Ertel氏は

「平面的な3Dプリンタによる生産技術は量産している部品製造プロセスの中心になっています。その最近の一例が、「HPマルチジェットフュージョン技術」です。3Dプリンタによる部品製造プロセスは、最初はプロトタイプの部品に採用されましたが、今後我々は長期的に連続生産する量産部品に拡大していく予定です」

とコメントしています。

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「HPマルチジェットフュージョン技術」では、部品製造プロセスの開始時に、まずベース粉末材料の薄層が塗布されます。その後3Dプリンタのプリントヘッドが、塗布された粉末床の上に添加剤を噴霧して、粉末床の上に積み重ねる形で部品の細部の形状を成形します。噴霧される粉末・成分のそれぞれの層は、赤外線の照射で融合されます。

このような平面的な3Dプリンタによる部品製造を、同社ではCLIPテクノロジー(Contininuous Liquid Interfece Production:連続液体界面製造)と呼んでいます。

(山内 博・画像:BMWグループ)

トヨタがマレーシアで乗用車専用工場を新設。生産体制を再編

トヨタは、マレーシア市場で生産体制を構築するために、新たな車両工場を建設し現地生産体制を再編すると発表しました。

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今回トヨタは、マレーシアにおける合弁事業会社UMW Toyota Motor Sdn. Bhd.(以下、UMWT)と車両生産子会社Assembly Services Sdn. Bhd.(以下ASSB)を通じて、乗用車専用工場を新たに建設します。

既存の乗用車と商用車を混流生産する工場での乗用車生産は2019年初に終了するということです。

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セランゴール州クラン市に建設する新工場への投資額は約490億円で、伸縮自在ラインやコンパクトな塗装ブースなど、メキシコ新工場・中国新ラインと同様の革新的生産技術を導入し、2019年初より年産5万台の生産能力で稼働を開始する予定です。

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一方、1968年にコロナ・カローラのCKD生産からスタートした現在の工場は商用車生産に特化し、車両構造・サイズに応じて工程や物流を最適化して生産性を向上させるという目論みです。

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現在のマレーシア工場での生産車種は、商用車系のハイラックス、ハイエース、乗用車系のフォーチュナー、イノーバ、カムリ、カムリ ハイブリッド、ヴィオスとなっています。

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トヨタは2014年にガザフでSUVのフォーチュナーを生産開始し、インドネシアでイノーバ、ヴィオスを生産開始していることから推して、今回のマレ-シア新工場でも現地仕様車のフォーチュナー、イノーバ、ヴィオスを増産することになると見られます。

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トヨタの高見常務役員は次のようにコメントしました。

「今回の新工場は、昨年新設を決定したメキシコ新工場・中国新ライン、本年開所したインドネシア・ブラジルの新エンジン工場に続き、『競争力ある新しい工場づくり』を実践するもの。最新鋭の生産技術の導入に加え、『もっといいクルマづくり』を支える人材育成に尽力することで、UMWTを通じてより高品質の車をマレーシアのお客様へ届けたい」

(山内 博・画像:トヨタ)

新型「シビック」を生産するホンダのタイ新四輪車工場が完成

ホンダのタイにおける四輪車生産販売現地法人であるホンダオートモービル(タイランド)カンパニー・リミテッド(以下、HATC)は、タイ・プラチンブリ県・ロジャーナ工業団地内に完成した新四輪車工場のオープニングセレモニーを5月12日に挙行しました。

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今回の新プラチンブリ工場は年12万台の生産能力があり、これを加えてHATCは年42万台の生産体制を持つことになります。

新プラチンブリ工場には、四輪完成車の量産では世界初(ホンダ調べ)となる、完成車組立のメインラインに組み込まれる流動型のセル生産方式ライン「ARC(アーク)ライン」(ARC:Assembly Revolution Cell)が設置されています。

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新プラチンブリ工場では、昨年の10月に樹脂工場が、今年2月にエンジン工場が稼働を開始し、今年3月から新型「CIVIC(シビック)」の量産を開始しています。

ホンダでは、今後も小型車を中心に生産モデルを増やし、タイの国内市場ならびに輸出における競争力を強化していたい、としています。

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ホンダのタイ工場というと、思い出すのが2011年11月に発生した大雨による洪水での浸水。

当時「浸水した新車が販売されるのでは」という噂を打ち消すために、被災したタイ工場の全生産車を廃棄処分したことが記憶に残っています。

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ホンダは、洪水に見舞われたロジャーナ工業団地内で洪水後の2013年から今回の新プラチンブリ工場の建設を開始しており、同工場の完成はホンダが5年前の洪水被害を乗り越えた証といえます。

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新プラチンブリ工場の完成式典に招待されたタイ政府副首相ソムキット・チャトゥシピタック氏は次のようにコメントしました。

「自動車産業はタイ経済の発展にとって大変重要であり、ホンダがタイを戦略的な生産および輸出拠点として位置づけ、環境に配慮した先進的な技術を投入することを歓迎します。グローバルにおける四輪車生産拠点として、タイの位置付けがますます強化されるものと期待しています」

同式典でのホンダ代表取締役社長 社長執行役員 八郷隆弘氏のコメントは次の通りです。

「タイは、国内市場のみならず、グローバルでの販売拡大を牽引するアセアン市場を含む全世界へ完成車および部品を供給することで、ホンダの生産拠点の一つとしてその存在感を高めてきました。ホンダの最新の生産技術を最大限に活用するこの新プラチンブリ工場の完成にともない、タイの役割をこれまで以上に価値のあるものにしていきます」

同じくホンダ執行役員 アジア・大洋州本部長 安部典明氏は次のようにコメントしました。

「この新工場における最新で高効率の生産技術により、ホンダの商品はさらに競争力を高めていきます。シビックに加え、将来はここプラチンブリ工場で生産する小型車モデルを増やし、タイ市場ならびに輸出向けの競争力を強化することで、タイの経済に貢献していきます」

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ホンダのタイ・新プラチンブリ工場には次のような技術が採用されています。

[生産効率向上]

組立ライン:世界初(ホンダ調べ)となるARC(Assembly Revolution Cell)ライン
→生産効率を従来の製造工程比で約10%向上

プレス:サーボ制御、高速フィーダー採用
→プレス工程の効率を従来比で25%向上

溶接:軽量小型ロボット治具の採用
→溶接ロボット稼働率を40%向上

[人・環境に配慮した取り組み]

溶接:生産工程で使用された冷却水を再利用する「水搬送」を採用
→施設管理:屋根から自然光を取り込んだ「スカイライトルーフ」の採用

(山内 博・画像:ホンダ)

【関連記事】

世界初!ホンダが新発想の量産完成車組立ライン「ARCライン」をタイ工場に導入
http://clicccar.com/2016/04/25/367879/

世界初!ホンダが新発想の量産完成車組立ライン「ARCライン」をタイ工場に導入

ホンダは、四輪完成車の量産では世界初(ホンダ調べ)となる、完成車組立のメインラインに流動型のセル生産方式を組み込んだ「ARC(アーク)ライン」を開発したと発表しました。

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この組立ラインは、タイのホンダオートモービル(タイランド)カンパニー・リミテッド(以下、HATC)のプラチンブリ工場に導入され、2016年3月から稼働しています。

ARCラインとは、Assembly Revolution Cellの略で、特徴をひとことで説明すると、「セル生産方式」をメインラインに組み込んで流れ作業を行う四輪車の組立ラインのことです。

これまで四輪車の生産現場では、よく知られている「ライン生産方式」が採用されていました。「ライン生産方式」では、コンベア上を流動する車体に組立作業者が単一工程で部品を組み付けていく方式です。

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一方、今回のARCラインでは、一人の作業者が広い範囲の工程を受け持ち、複数部品の組み付けを行う「セル生産方式」の生産ユニットをメインラインに組み込んで流動させたことが特徴で、ホンダによると世界初の革新的でユニークな組立ラインということです。

ARCラインでの組立作業では、上図のように1台の車体と1台分の部品を積載した「ARCユニット」に4人の組立作業者が乗り込み、車体と一緒に移動しながら組み付け作業を行うスタイルになります。

これにより、従来の「流れてくる車体の仕様に合わせて必要な部品を選び、歩きながら組み付ける」という作業を減らすことができ、工程ロスを削減して、生産効率が大幅に向上する効果が期待できる、ということです。

またARCラインでは、1人の作業者が従来よりも広範囲な工程を担当するので、製造工程に関してより幅広い知識と技能を習得することが可能になります。

将来的には開発現場へ生産現場の意見をフィードバックできるような「熟練作業者」を育成する効果も期待されています。

(山内 博・画像:ホンダ)