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「ペダルの踏み間違い事故」が激減する!? 町工場から画期的なアイテムが登場!

最近耳にする機会が増えている高齢者による歩行者等への加害事故。

人は年齢を重ねるごとに老化が進み、反射神経や視力の衰えからくる対応能力の低下から、誰しもが常に危険と隣り合わせの状態にあります。

中でも「ペダルの踏み間違い」による事故は、年間6,000件を超える規模で発生しており、その多くがコンビニやショッピングセンターなどの駐車場内での発進・後退時に起きているそうです。

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MT車の場合、運転時に常にギアの選択や、頻繁なペダル操作が必要だけに、脳が活性化される傾向にありますが、AT車が主流の現在では運転が「安楽化」しており、その副作用として「うっかり」や「ボンヤリ」による事故が増える傾向にあるようです。

「ペダルの踏み間違い」による事故は、実は「踏み換え忘れ」により発生しているといいます。運転時にパニック状態に陥ると、アクセルからブレーキへの踏み換え操作が省かれ、ブレーキを強く踏んだつもりが、実際にはアクセルを強く踏み続けることになってしまうようです。

当然クルマは急加速しますが、ドライバーは意図しない加速が発生したと勘違いし、その恐怖から、さらにアクセルペダル(ブレーキのつもり)を踏み続けることに……

そこで重要になってくるのが、こうした操作ミスの未然防止。現状のAT車に何らかの工夫を施す必要性が高まっていることから、最近では低コストで後付けが可能な画期的な発明品が登場しています。

その一つがナンキ工業が開発した「STOPペダル」。

例えペダルを踏み間違えたとても、前進、後退のどちらの場合でもクルマが止まる仕組みで、同社ではこの開発品を100台ほど生産し、希望者に無料提供していくそうです。

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また、熊本県の町工場、ナルセ機材からはアクセルとブレーキを一体化した「ワンペダル」と称する発明品が登場しています。

ペダルの踏み換え操作を不要にしたもので、操作方法は至って簡単。

ぺダルを踏めばブレーキが作動、足を横にずらせばアクセルが作動し、アクセルONの状態でブレーキを踏めばアクセルが解除される仕組みになっています。

ペダルを踏む操作をブレーキに限定することで、踏み間違える可能性を排除したという訳です。

最近では20代のドライバーでもペダルの踏み間違い事故が多発しているそうで、もはやこうした対策の必要性は高齢者だけに留まらない状況。

究極の対策としてAI(人工知能)を使った「自動運転車」が研究される一方で、こうした身近で即効性が期待できる打開策が、自動車メーカー側から一刻も早く提案されることを望まずにはいられません。

Avanti Yasunori

【関連記事】

安倍首相、高齢ドライバーによる加害事故多発で対策指示!
http://clicccar.com/2016/11/17/417457/

高齢者の踏み間違い事故への救世主となるか?「ワンペダルフィーリング」
http://clicccar.com/2016/11/14/416892/

【関連リンク】

ナルセ機材有限会社「ワンペダル」
http://www.onepedal.co.jp/

安倍首相、高齢ドライバーによる加害事故多発で対策を指示!

高齢ドライバーによる加害事故が日々報道されるなか、11月15日に総理官邸で開かれた閣僚会議で、安倍総理が石井国土交通大臣、加藤一億総活躍担当大臣らを交え、事故の未然防止に向けた対策について協議したそうです。

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安倍総理は、来年3月に施行を予定している認知症対策を強化した改正道路交通法の円滑な施行に万全を期すとともに、自動車の運転に不安を感じる高齢者の移動手段の確保など、社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備を着実に進めていくとしています。

新聞報道によると、総理は今後も高齢ドライバーの一層の増加が見込まれることから、取り得る対策を早急に講じ、喫緊の課題に一丸となって取り組むことで、事故防止に向けた対策を積極的に講じるよう指示した模様。

その一方で、交通網が脆弱な地方や山間部に住む高齢者にとっては、クルマが生活の足となっており、免許更新時の認知機能検査の強化や免許の自主返納だけでは解決し得ない課題になっています。

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政府は同日、こうした状況を受け、高速道路や一般道を利用して、自動車メーカーや部品メーカー、大学などと共同で大規模な自動運転の実証実験を行うと発表しました。

記者会見に臨んだ鶴保科学技術担当相は「高齢化が進んで運転したくてもできない人が増えてくる。ニーズは計り知れない」と述べたそうです。

実証実検は2017年9月頃から2019年3月末までに及び、首都高のほか、東名高速道路や新東名高速道路、常磐自動車道などの自動車専用道路計約300Kmの区間と、東京臨海地域の一般道、経済産業省が整備中のテストコースなどで実施する予定になっているそうで、海外の自動車メーカーにも参加を呼び掛けるそうです。

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基本的に人は年齢を重ねるにつれ、「老化」による認知・判断力の低下からは誰一人として逃れることができません。

従って、高齢化による事故の未然防止においては、難易度が高い「完全自動運転車」の実現をただ待つのではなく、その過程で普及できそうな運転支援機能(例:逆走防止やペダルの踏み間違い防止など)から順次、市販車に搭載していく必要が有ります。

また、それらの機能は別枠のオプション設定にするのではなく、標準仕様化してこそ効力を発揮するだけに、自動車メーカーにはコストダウンへの努力が求められます。

今後、ますます高齢化社会が表面化するなか、それに伴う加害事故未然防止への努力で成果を出した企業が業績を伸ばす時代になると予想されます。

Avanti Yasunori

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