Motor Fan's YEAR 2016

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トヨタの「つながるクルマ」で何ができるようになる?

クルマのキーワードとして最近注目を浴びている「自動運転」は、日本語なので分かりやすい反面、「何でも自動でやってくれそう」という誤解を受ける可能性もあります。

一方で「Connected Car(つながるクルマ)」と聞くと、具体的に何を意味するのか判然としない気もしますが、自動運転とともにこれから頻繁に聞くことになりそうなキーワードです。

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2016年11月1日、トヨタ自動車 コネクティッドカンパニー プレジデントである友山茂樹氏が発表した「トヨタのConnected戦略」は、トヨタのこれまでの取り組みと、コネクティッドカンパニーによる今後の事業展開、そして具体的なサービス内容まで多岐にわたっていますが、ここでは概要をお届けします。

クルマとインターネット(サーバーやクラウド)を接続するには、いくつかの方法があり、トヨタでは2002年に車載通信機DCMを実用化しています。

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携帯電話(スマホ)や通信会社による通信機器を使うよりも車両のイニシャルコストが嵩む傾向があるため、高級車中心のラインナップでしたが、その時点でベストといえるセキュリティを確保。

現在は、トヨタ独自のTプローブ交通情報を活用した渋滞回避ルートの提供をはじめ、緊急通報サービス、盗難追跡サービス、先読み情報サービスなどがビッグデータから提供されています。

DCM搭載車(コネクティッドカー)からは、位置や速度情報をはじめ、エンジン、センサー、制御系情報が収集されビッグデータになるわけです。

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今回発表された重要なポイントとして、まず2020年までに車載通信機DCMをグローバルで共通化し、日米でほぼすべての乗用車に標準搭載。さらに順次主要なマーケットに拡大していくという計画。

さらにKDDIと共同で、車両の位置情報から国・地域ごとに選定された通信事業者に自動接続し、グローバルな通信プラットフォームを構築するとしています。

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これにより、世界中を走るトヨタ車(レクサス車)の情報を集めるだけでなく、マイクロソフトと共同で北米に設立された「Toyota Connected」により、ビッグデータとしての集約と活用が図られることになります。

こうしたビッグデータは、渋滞回避など現状のサービスだけでなく、将来的には自動運転につながる高度な地図や車両制御などに活用されるでしょう。

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もちろん、「つながるクルマ」個々の故障や整備の発見だけでなく、メンテナンスの予知にもつながるほか、車両データの遠隔操作まで広がります。

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ほかにも、保険会社への情報提供やライドシェア事業者との提携、カーシェア事業者との提携と課題(スマートキーボックスで解決)、アメリカのGetaround社との提携、国内タクシー事業者との連携強化、新型プリウスPHVの国内向けサービスなど多岐にわたっていますので、別記事でご紹介します。

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「つながるクルマ」により、将来は各ユーザーにAIも活用したエージェントが付き、車載ディスプレイやスマホなどの端末を媒体にして自動運転車両を動かすだけでなく、ドライブや移動のサポート、家庭の家電操作などを完璧にこなしてくれる付き人のようなサービスも実現しそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

トヨタが「つながるクルマ」でKDDIと共にグローバル通信プラットフォームを構築へ

トヨタとKDDIは、「つながるクルマ」に必要な車載通信機(データ・コミュニケーション・モジュール、以下 DCM)とクラウド間の通信でにおいて、高品質で安定した通信をグローバルに確保するために、従来のローミングサービス等に依存しないグローバル通信プラットフォームの構築を推進すると発表しました。

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クルマの「つながる化」を推進するため、現在は国・地域で仕様が異なっているDCMを、2019年までにグローバルで共通化。2020年までに日本・米国市場で販売されるほぼ全ての乗用車に搭載し、その他の主要市場においても順次搭載を進めていく予定です。

今回構築するグローバル通信プラットフォームは、グローバル共通DCMを搭載した車両の位置情報から、国・地域ごとに選定した通信事業者への自動的な接続・切替と、通信状態の監視を統合的に行うもので、これにより、コネクティッドカーに必要な、高品質かつ安定した通信をグローバルで維持することができます。

通信の接続・切替は、ローミングに依存せず、DCMに内蔵されたSIMの設定情報を、通信による書き換えによって行うことで、選定した通信事業者へ直接接続が可能となり、ユーザーはより低価格かつ高品質の通信を車両から確実に利用することができます。

当プラットフォームはトヨタとKDDIが共同で企画・設計し、開発・運用はKDDIが行うということです。

また、各国における通信回線は、KDDIが有する600社以上の海外通信事業者との関係を生かし、トヨタとKDDIが共同で選定・調達し、当通信プラットフォームに組み入れていく予定です。

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一方ですでにトヨタはソフトウェア大手の米・マイクロソフトと共同で、新会社「Toyota Connected, Inc.」(上の写真は同社のヒックス社長)を、2016年4月に米国テキサス州プレイノに設立しており、車載通信機(DCM : データ・コミュニケーション・モジュール)が装着されたトヨタ車、レクサス車から得られる様々な情報を集約するトヨタ・ビッグデータ・センター(以下、TBDC)の運用を推進しています。

トヨタは今回のKDDIとのグローバル通信プラットフォームおよびマイクロソフトとのTBDCの運用で「つながるクルマ」でも万全の事業体制を構築しているものと見えます。

(山内 博・画像:トヨタ)

トヨタ、KDDIと共同で日米の全車両をネット常時接続化!

トヨタ自動車とKDDIが6月2日、「グローバル通信プラットフォーム」の構築を共同で推進すると発表しました。

両社はクルマをネットワークに常時接続するための「DCM(車載通信機)」とクラウド間の通信を高品質、かつ安定的に供給すべく、国や地域で仕様が異なっているDCMを2019年までにグローバルで共通化していくそうです。

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トヨタは2020年までに日本・米国市場で販売されるほぼ全ての乗用車にDCMを搭載し、その他の主要市場においても順次搭載を進めていく考え。

今回のグローバル通信プラットフォームでは、国境を越えた際にローミングではなく、コネクテッドカーに最適化された通信事業者を自動的に選定、DCMに内蔵されたSIMの設定情報を通信により書き換えることで、ユーザーはより低価格で高品質な通信が可能になるそうです。

トヨタとKDDIが共同で企画・設計し、開発・運用は600社以上の海外通信事業者との関係を有するKDDIが担当。

トヨタでは今回の「グローバル通信プラットフォーム」の構築を、クルマの「つながる化」に向けた重要技術に位置付けているそうです。

Avanti Yasunori

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