Motor Fan's YEAR 2016

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新型プリウスPHVには電力会社からお得なポイントサービスが付いてくる!!

今冬発売とアナウンスされている新型トヨタ・プリウスPHVには、「つながるクルマ」として多様なサービスが用意されます。

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新サービスの「PHVつながるでんきサービス」もその一例で、車両のEVモード走行距離や自宅での充電量によって、様々な特典を受けることができる新サービス。同サービスは、東北電力、東京電力エナジーパートナー、中部電力、関西電力、四国電力の5社とそれぞれ共同で実施されるものです。

新型プリウスPHVのユーザーに、より長い距離をEVモード走ってもらうことで、クルマが環境に与える負荷を低減したいとの思いで企画されたサービスとのこと。

「PHVつながるでんきサービス」は、トヨタのコネクティッド戦略の柱であるモビリティサービスプラットフォームを活用。異業種企業との連携のひとつの形になります。

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新型プリウスPHVに装着される車載通信機(DCM:データ・コミュニケーション・モジュール)を介して、EVモード走行距離や自宅充電量などの情報をトヨタからユーザーが申込みをしている電力会社に提供。

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提供された内容は、ユーザーがWEBサイトを通じて確認できるほか、内容に応じて電力会社からユーザーにポイントとして還元されます。そのポイントを利用することで電力料金の支払いや、商品との交換を行うことができます。

なお同サービスは、新型プリウスPHVの発売と同時に専用WEBサイトにてユーザーに案内を開始し、販売店でも各電力会社のサービス内容を紹介するチラシが用意されるそうです。

こんなサービスがあれば、「積極的に家で充電してEV走行しよう!」という新型プリウスPHVユーザーがさらに増えそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

新型プリウスPHVで始まるクルマの「つながる化」。トヨタのConnected戦略とは?

トヨタ自動車は「グローバル通信プラットフォーム」の構築を、クルマの「つながる化」に向けた重要技術に位置付けています。

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2002年にはいち早く一部の高級モデルに「DCM(車載通信機)」を搭載。

今年1月には、ビッグデータの集約と活用を図るためにマイクロソフト社と共同で北米に新会社「Toyota Connected」を設立、4月にはコネクティッドカンパニーを設置しています。

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続く6月にはKDDIと共同で「グローバル通信プラットフォーム」の構築を推進すると発表しました。

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クルマをネットワークに常時接続するためのDCM/クラウド間の通信を高品質、かつ安定的に供給すべく、国や地域で仕様が異なっているDCMを2019年までにグローバルで共通化していくとしています。

そして今回、11月1日に同社のコネクティッドカンパニーの友山茂樹プレジデントが「トヨタのConnected戦略」を発表しました。

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トヨタスマートセンターにおいて、DCM搭載車の情報をビッグデータとして吸い上げ、運転中のドライバーに故障やメンテナンスの必要性を通知したり、車載カメラの情報から道路の混雑状況や障害物の情報をドライバーに伝えることも可能になる模様。

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また、新型プリウスPHVに標準搭載される「DCM」関連のサービス「ポケットPHV」では、スマホ向けの専用アプリにより、車両の充電状況や充電ステーションの検索、エアコンのリモート制御などができるそうです。

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スマホによる操作や指示は、トヨタスマートセンターのクラウドを経由して車両のDCMに指令を送るシステムになっており、セキュリティにも配慮されています。

同サービスは新車契約から3年間無償で通信サービスが利用できるとともに、4年目以降も年額1万2000円(1000円/月)で継続利用できます。

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トヨタは今後、KDDIと共同で2020年までに日米の市場で販売されるほぼ全ての乗用車にDCMを標準搭載する計画で、その他の主要市場においても順次搭載を進めていくそうです。

国内タクシー事業者向けの新サービス開発や、次世代タクシーへの活用なども予定しているようで、今後の同社の「つながるクルマ」に向けた動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

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新型プリウスPHVに3年間無償で提供される「ポケットPHV」とは?

今冬に登場するトヨタ・プリウスPHVの新型モデルは、プラグインハイブリッド(PHV)の本格的な普及に大きく貢献しそうなモデル。

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欧州勢が急速に進めているPHV(PHEV)は、日本市場では500万円以上の高級車が中心で、三菱アウトランダーPHEVも459万円ですから、なかなか手が出ないという方も多いかもしれません。

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350万円を大きく下回る価格設定が期待される新型プリウスPHVは、急速充電も対応するなど、価格だけでなく使い勝手での面もニーズにマッチするようになっています。

そこで、欠かせないのがトヨタ コネクティッドカンパニーによる「Connected戦略」で紹介された「クルマとスマホ」や、「クルマとトヨタスマートセンター」が「つながる」サービス。

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新型プリウスPHVには、一部グレードをのぞき車載通信器のDCMが標準装備され、3年間無償で通信サービスが利用できます。なお、4年目以降は年額1万2000円(月1000円)で継続利用もできます。

「ポケットPHV」と命名された同サービスは、スマホでプリウスPHVのエアコンを操作する「リモートエアコン」、充電情報の表示、充電ステーションの検索などが可能。

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さらに、「Connected戦略」では「eケアサービス」も紹介されました。車両の警告灯が点灯するとトヨタスマートセンターでデータの解析を行い、異常要因の推定、走行可否判断などが自動的に生成されるもの。オペレーターによる対応だけでなく、担当販売店への連絡などのリアルタイムで万全のバックアップが用意されます。

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ほかにも、「故障予知サービス」を用意。こちらはビッグデータを活用し、車両のトラブルを予知してメールや点検入庫を促すサービス。ユーザーの利便性を向上はもちろん、販売店側にとっては入庫につながるサービスとして期待が高まります。

(文/写真 塚田勝弘)

トヨタが「つながるクルマ」によってライドシェアやカーシェアで「稼ぐ」方法とは?

トヨタのコネクティッドカンパニーが発表した「Connected戦略」のひとつに、「モビリティ」関連サービスがあります。クルマを「作って売る」という従来のビジネスに加えて、ライドシェアやカーシェア事業者との提携を強化するというもの。

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こうしたサービスに進出すると、肝心の新車が売れなくなるのでは? という疑問が浮かびますが、そうしたニーズもある以上は手をこまねいているワケにはいかないのでしょう。

日本では「白タク」行為として道路運送法違反になるほか、タクシー事業者から反発を受けているライドシェア。アメリカでは一般向けにパイロットサービスとして、2016年12月から開始されます。

ライドシェア事業者との提携では、トヨタとトヨタファイナンシャルサービスが手を組み、ユーザーがライドシェアのドライバー(運転手)として得た収入から月々のリース料金を回収するという「フレキシブルリースプログラム」と命名されたビジネスモデルを構築しました。

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一方、日本でも急速に普及しているカーシェア。北米では個人のカーシェア会員が増えていますが、課題となっているのが安全かつ便利なクルマのキーの受け渡し。日本よりも車両盗難が多いアメリカだけに、確かに課題となりそうです。

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従来は、キーをコンソールボックス内で受け渡す(キーが持ち去られるリスクがある)、特殊な通信装置をクルマのCANにつなぐ(外部からハッキングされる恐れがある)などの方法が採られることがあったそうです。

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そこで、トヨタが開発したのがスマートキーボックス(SKB)。車両を改造する必要がなく、車内にこの箱を設置するだけでカーシェアのユーザーが手持ちのスマホでドアロック、エンジン始動が可能になるというもの。

安全性の確保は、SKBにアクセスする暗号キーをユーザーのスマホに送信し、スマホを近づけるとSKBが反応。暗号キーが承認されてキー操作が可能になります。つまり、1台ずつに割り振られたスマートキーのような機能を果たします。

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具体的には、北米のGetaround社と2017年1月にSKBを使ったパイロットサービスを開始。先述したように、トヨタファイナンシャルサービスからユーザーに車両をリースし、ユーザーがカーシェアで得た収入を回収するというリースプログラムも併せて提供されます。

このSKBのシステムは、アメリカだけでなく日本、中国でも特許出願済みとのことで、日本でも同様のサービスが開始されるかもしれません。

(文/写真 塚田勝弘)

トヨタの「つながるクルマ」で何ができるようになる?

クルマのキーワードとして最近注目を浴びている「自動運転」は、日本語なので分かりやすい反面、「何でも自動でやってくれそう」という誤解を受ける可能性もあります。

一方で「Connected Car(つながるクルマ)」と聞くと、具体的に何を意味するのか判然としない気もしますが、自動運転とともにこれから頻繁に聞くことになりそうなキーワードです。

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2016年11月1日、トヨタ自動車 コネクティッドカンパニー プレジデントである友山茂樹氏が発表した「トヨタのConnected戦略」は、トヨタのこれまでの取り組みと、コネクティッドカンパニーによる今後の事業展開、そして具体的なサービス内容まで多岐にわたっていますが、ここでは概要をお届けします。

クルマとインターネット(サーバーやクラウド)を接続するには、いくつかの方法があり、トヨタでは2002年に車載通信機DCMを実用化しています。

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携帯電話(スマホ)や通信会社による通信機器を使うよりも車両のイニシャルコストが嵩む傾向があるため、高級車中心のラインナップでしたが、その時点でベストといえるセキュリティを確保。

現在は、トヨタ独自のTプローブ交通情報を活用した渋滞回避ルートの提供をはじめ、緊急通報サービス、盗難追跡サービス、先読み情報サービスなどがビッグデータから提供されています。

DCM搭載車(コネクティッドカー)からは、位置や速度情報をはじめ、エンジン、センサー、制御系情報が収集されビッグデータになるわけです。

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今回発表された重要なポイントとして、まず2020年までに車載通信機DCMをグローバルで共通化し、日米でほぼすべての乗用車に標準搭載。さらに順次主要なマーケットに拡大していくという計画。

さらにKDDIと共同で、車両の位置情報から国・地域ごとに選定された通信事業者に自動接続し、グローバルな通信プラットフォームを構築するとしています。

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これにより、世界中を走るトヨタ車(レクサス車)の情報を集めるだけでなく、マイクロソフトと共同で北米に設立された「Toyota Connected」により、ビッグデータとしての集約と活用が図られることになります。

こうしたビッグデータは、渋滞回避など現状のサービスだけでなく、将来的には自動運転につながる高度な地図や車両制御などに活用されるでしょう。

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もちろん、「つながるクルマ」個々の故障や整備の発見だけでなく、メンテナンスの予知にもつながるほか、車両データの遠隔操作まで広がります。

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ほかにも、保険会社への情報提供やライドシェア事業者との提携、カーシェア事業者との提携と課題(スマートキーボックスで解決)、アメリカのGetaround社との提携、国内タクシー事業者との連携強化、新型プリウスPHVの国内向けサービスなど多岐にわたっていますので、別記事でご紹介します。

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「つながるクルマ」により、将来は各ユーザーにAIも活用したエージェントが付き、車載ディスプレイやスマホなどの端末を媒体にして自動運転車両を動かすだけでなく、ドライブや移動のサポート、家庭の家電操作などを完璧にこなしてくれる付き人のようなサービスも実現しそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

ジャガー・ランドローバーがテストを開始した自動運転技術の目標とは?

好調な販売が続くジャガー・ランドローバー社。環境対策や自動運転技術の開発は、自動車メーカーにとって直近の業績が好調でも待ったなしの課題となっています。

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同社は今秋、英国において車両間通信を可能にする新しいコネクテッド技術の試験運用を初めて実施しました。

HORIBA MIRA社で実施されたUK Autodriveのデモンストレーションの一環として、最新のコネクテッド自動運転車両(CAV:Connected and Autonomous Vehicle)技術を披露しましたもので、ジャガー・ランドローバーはフォードおよびタタ・モーターズ欧州技術センターと協力し、車両間、そして車両と信号機をはじめとする道路インフラとの通信(路車間)を可能にするコネクテッド技術を英国で初めてテスト。

コネクテッド自動運転車両技術は、ジャガー・ランドローバーとしての重要プロジェクトのひとつに掲げられています。今後4年間で同分野の開発およびテストを幅広く行うために、100台を超える研究用車両を用意するという気合いの入れよう。

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最終的にはこの技術によって、ドライビング体験が向上するだけでなく、よりスマートかつ安全で、クリーンな運転が実現できることを目指しているそうです。

具体的には、下記の3つが挙げられます。

■Advanced Highway Assist(先進道路走行アシスト)
ドライバーがステアリングやペダルの操作をせずに、車両は道路の車線に沿って走行し、自動で追い越しが可能な技術。

■Electronic Emergency Brake Light Assist(電子緊急ブレーキライトアシスト)
前を走行する車両が急に、または予想外のタイミングでブレーキをかけた際、ドライバーに警告。濃霧のなかでの運転や、前方の車両が見えない場合にとくに役立ちます。

■Green Light Optimal Speed Advisory(青信号最適速度アドバイザリー)
車両が信号機と接続し、青信号で通過できるための最適な走行速度をドライバーに助言します。これにより交通の流れやCO₂排出量、さらにはドライビング・エクスペリエンスも向上します。渋滞の多いロンドン中心部やパリを走行中、すべての信号が青で通過できることをイメージしています。

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ちなみに「Green Light Optimal Speed Advisory(青信号最適速度アドバイザリー)」と似た装備として、ホンダがアコードや新型フリードに一部搭載し、日本でも導入済み。

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ジャガー・ランドローバー社では、運転する楽しさを維持したうえで、運転技術を必要とする走行や、退屈な道を走行する場合にドライバーを支援できるように完全自動および半自動運転車両技術の開発に取り組んでいます。

また、最終的なビジョンとして、オンロードのみならずオフロードを含めた路面状況や天候条件など、現実社会のあらゆる運転環境に対応する自動運転車両を提供するとしています。

(塚田勝弘)