Motor Fan's YEAR 2016

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スズキがインドのカー・オブ・ザ・イヤーを受賞、そのクルマとは?

スズキといえばインドの自動車市場においてトップクラスの存在感を持っていることで知られています。

そのインド子会社マルチ・スズキ社が製造販売する新型SUV「ビターラ ブレッツァ」が、インドのカー・オブ・ザ・イヤーである「第12回 Indian Car of the Year 2017」を受賞しました。

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「Indian Car of the Year 」は、インド自動車雑誌9誌、自動車評論家15名からなる選考委員が選ぶ賞ということです。

受賞したスズキ・ビターラ ブレッツァは、20162月のオートエキスポ2016で発表したスタイリッシュな都市型のコンパクトSUV。

2016年3月の発売以来の累計で約8万3千台を販売し、インドのSUV市場においてマルチスズキ社の販売を牽引するヒット商品となっているということですが、カー・オブ・ザ・イヤー受賞を追い風にさらに伸びていくことが期待されます。

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トヨタとダイハツが既存の組織から独立した「新興国小型車カンパニー」を発足

トヨタとダイハツは、2017年1月1日付で既存の組織から独立した「新興国小型車カンパニー」を発足すると発表しました。

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トヨタが子会社のダイハツと両社を横断するかたちで同カンパニーを発足するのは、新興国、特にインド市場をにらんでダイハツの小型車に関する良品廉価なものづくり技術を活用しようとするものと見られます。

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同カンパニーの概要は次の4点で、企画・開発から製造まで一環して新興国市場のニーズにマッチしたクルマ造りを重視した内容になっています。

1.カンパニー内に新車を開発する新興国小型車商品・事業企画部、新興国小型車製品企画部と新興国小型車品質企画部の3部を設置。製造を担当するトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング(TDEM)も、本カンパニー所属とする。

2.カンパニーは、新興国小型車商品に関してトヨタブランド車の商品・事業全般に関する企画業務を行う。

3.新興国向け小型車の製品開発は、ダイハツが担当し、カンパニー内の新興国小型車製品企画部と新興国小型車品質企画部が、トヨタブランド車としての最終的な開発・品質責任を担う。

4.TMAP(トヨタ・モーター・アジア・パシフィック)は、トヨタの現地生産車種の製造だけではなく、ダイハツ主体の新興国向けの小型車製造を支援する。

京都大学経済学研究科がアジア中古車流通研究会で公表している「急成長するインド自動車市場 盤石の覇者スズキと追うトヨタの挑戦」という資料を読むと、トヨタが同カンパニーを新設する狙いが見えてきます。下の円グラフは2005年と2015年のインド乗用車市場メーカー別シェアです。

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2005年から2015年はインド乗用車市場が急成長した時期で、その中でトヨタはシェア3.8%から5.0%に伸びてはいるものの、現代の14.2%から17.2%、ホンダの3.7%から7.3%と比べると、伸び悩んでいると言わざるを得ません。

トヨタがインド市場で伸び悩んでいる理由は、SUVのイノーバ、フォーチュナーは好調ながら、ボリュームゾーンの小型車エティオス、リーバが不調で、シェアの伸びを下押ししているからです。

このようなインド市場の現状から、今回トヨタが同カンパニーを新興国市場に特化したかたちで新設したのは、本格的にインドの小型車市場に注力するという意図があるものと考えられます。

インド市場ではマルチ・スズキが圧倒的なシェアを握っていますが、トヨタの同カンパニー新設で、今後のインド市場の動向が注目されます。

(山内 博・画像:トヨタ、京都大学経済学研究科・アジア中古車流通研究会)

豊田合成、インドにエアバッグの新工場を開設

豊田合成は、インド市場の拡大と安全規制強化から見込まれるエアバッグなどの需要拡大に対応するため、インド北部のハリヤナ州バワルに新工場を設立すると発表しました。

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パワル新工場は、同社の生産子会社「豊田合成ミンダ・インディア株式会社」(TGMIN)の分工場として設立し、エアバッグやウェザストリップなどの自動車部品を2017年3月から現地の日系カーメーカーに提供します。

新工場の設立に伴う投資額は約5.5億ルピー(約9億円:1ルピー=1.6円で計算)です。

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パワル新工場とTGMINの概要は次の通りです。

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エアバッグに関しては、タカタがリコール問題で経営が揺らいでおり、その隙をついて豊田合成がインドで生産拡大に動いた形です。今後、豊田合成がインドの日系メーカー、特にスズキへの拡販に成功するかが注目されます。

(山内 博・画像:豊田合成)

豊田自動織機がインドのエンジン生産工場で開所式を実施。新興国市場でのエンジン生産能力拡充が続く

豊田自動織機のインドにおけるエンジン生産子会社「Toyota Industries Engine India Private Limited(トヨタ インダストリーズ エンジン インディ・以下TIEI)」は6月23日に現地で開所式を行い、本格的な生産を開始しました。

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開所式には、インド政府重工業・公企業省のAnant G Geete大臣、カルナタカ州のSiddaramaiah州主席大臣などの現地行政トップ、在インド大使館磯俣秋男公使、トヨタ自動車役員など多数の関係者が出席しました。

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インドは、2012年の自動車生産台数が400万台を超える世界第6位(自動車部品工業会調べ)の自動車大国で、生産の約4割をディーゼルエンジン車が占めるディーゼルエンジンの一大マーケットです。

豊田自動織機とTIEIは、より多くのTIEI製のディーゼルエンジンを生産し、インドのエンジン生産の主要拠点としてインドの自動車関連産業の一翼を担うことが出来るよう努めたい、としています。

TIEIインド工場は、カルナタカ州ベンガルール・ジガニ工業団地に立地し、建屋面積は約4万平方メートル、2016年3月末の従業員数は約1,200名で、生産能力は年間108,000基となっています。

トヨタ系では先日ブラジルでもエンジン工場を開設したばかりで、新興国市場でのエンジンの現地生産能力を拡充する動きが続いています。

(山内 博・画像:豊田自動織機)

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トヨタが中南米初のエンジン工場をブラジルで稼働開始http://clicccar.com/2016/05/14/371643/