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新型プリウスPHVで始まるクルマの「つながる化」。トヨタのConnected戦略とは?

トヨタ自動車は「グローバル通信プラットフォーム」の構築を、クルマの「つながる化」に向けた重要技術に位置付けています。

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2002年にはいち早く一部の高級モデルに「DCM(車載通信機)」を搭載。

今年1月には、ビッグデータの集約と活用を図るためにマイクロソフト社と共同で北米に新会社「Toyota Connected」を設立、4月にはコネクティッドカンパニーを設置しています。

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続く6月にはKDDIと共同で「グローバル通信プラットフォーム」の構築を推進すると発表しました。

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クルマをネットワークに常時接続するためのDCM/クラウド間の通信を高品質、かつ安定的に供給すべく、国や地域で仕様が異なっているDCMを2019年までにグローバルで共通化していくとしています。

そして今回、11月1日に同社のコネクティッドカンパニーの友山茂樹プレジデントが「トヨタのConnected戦略」を発表しました。

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トヨタスマートセンターにおいて、DCM搭載車の情報をビッグデータとして吸い上げ、運転中のドライバーに故障やメンテナンスの必要性を通知したり、車載カメラの情報から道路の混雑状況や障害物の情報をドライバーに伝えることも可能になる模様。

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また、新型プリウスPHVに標準搭載される「DCM」関連のサービス「ポケットPHV」では、スマホ向けの専用アプリにより、車両の充電状況や充電ステーションの検索、エアコンのリモート制御などができるそうです。

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スマホによる操作や指示は、トヨタスマートセンターのクラウドを経由して車両のDCMに指令を送るシステムになっており、セキュリティにも配慮されています。

同サービスは新車契約から3年間無償で通信サービスが利用できるとともに、4年目以降も年額1万2000円(1000円/月)で継続利用できます。

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トヨタは今後、KDDIと共同で2020年までに日米の市場で販売されるほぼ全ての乗用車にDCMを標準搭載する計画で、その他の主要市場においても順次搭載を進めていくそうです。

国内タクシー事業者向けの新サービス開発や、次世代タクシーへの活用なども予定しているようで、今後の同社の「つながるクルマ」に向けた動きが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

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東京都青少年・治安対策本部からの受託で富士通とFTRD社がビッグデータ分析で東京の433交差点の渋滞を分析

富士通と富士通交通・道路データサービス(以下、FTRD社)は、FTRD社の「FUJITSU インテリジェントデータサービス 商用車プローブデータサービス」を使用するビッグデータ分析で東京都の主要渋滞箇所433交差点の交通渋滞を定量的に分析したと発表しました。

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今回2社は、東京都青少年・治安対策本部(以下、東京都)から渋滞分析調査業務を受託し、商用車プローブデータを使って交通渋滞を分析しました。

商用車プローブデータとは、トラックなどの貨物商用車に搭載したデジタルタコグラフから1秒間隔で集められる商用車データで、移動速度、位置、時刻、X軸・Y軸・Z軸の3方向の動きに対する加速度などの情報が含まれています。

本調査で富士通とFTRDは、建設コンサルティングの地域未来研究所の協力を得ながら次の2つの作業を2015年12月23日から2016年3月11日までの約3カ月間で実施しました。

第1は、東京都全域の主要道路の内、国道と都道・市の幹線道路にある交差点間の平均旅行速度を色分けした上図左側の平均旅行速度図を作成する作業です。なお、東京都全域の主要道路とは、日本デジタル道路地区協会が定めた道路種別のうち「その他の道路」を除く、高速道路、国道、都道、市道を含む道路のことです

第2は、主要渋滞箇所433交差点の右左折直進方向別交差点通過時間分析(上図右側に示す)を行う作業です。主要渋滞箇所433交差点は、国土交通省関東地方整備局が設立した首都圏渋滞ボトルネック対策協議会が特定し、2013年1月に発表した東京都の主要渋滞箇所です。

平均旅行速度図で交差点間の交通渋滞の状況を俯瞰することができ、交通渋滞が連なって発生している路線を発見しやすくなります。

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交差点の右左折直進方向別交差点通過時間分析をすれば、具体的にどの方向へ向かう車線に渋滞が発生しているかを可視化できるため、より的確・効率的な渋滞原因の究明や、効果的な対策立案に役立つということです。

東京都は、2015年3月27日公開の「東京都長期ビジョン」に示している、高度に発達した利用者視点のインフラを備えた都市の実現を目指す具体的政策を展開する中で、より的確・効果的な交通渋滞対策を行うために、本調査結果を活用する計画です。

今回の調査・分析で東京都は、大きな都市問題になっている渋滞を緩和するために、より的確な交通渋滞の原因究明と効果的な施策立案を目指すことになります。

(山内 博・画像:富士通)