欧州の自動車部品大手のシェフラーとコンチネンタルは、第37回ウィーンモーターシンポジウム(オーストリア、2016年4月28、29日)で、48Vマイルドハイブリッドシステムによる第2世代のガソリン技術車(Gasoline Technology Car、以下GTC II)を世界で初めて公開したと発表しました。
このGTCⅡは、2014年に公開された第1世代のガソリン技術車(GTC I)を発展させたもので、 シェフラーとコンチネンタルの共同開発による48V P2ハイブリッドアーキテクチャを採用しています。
GTC IIとGTC Iの大きな相違点は、第2世代モデルでは、電気モーターをエンジンとトランスミッションの間に配置したことで、この全体構成を両社はP2アーキテクチャと呼んでいます。
GTC IIによるフォード・フォーカスには、3気筒1リッターのターボエンジン(GTDI)と、48Vシステムとは別の12Vスタート・ストップシステムが併設されています。
NEDC(新欧州燃費基準のドライビングサイクル)においてGTCⅠと比較してGTCⅡの燃料効率は約13%向上し、標準のガソリン車と比較するとトータルで25%も燃費が向上している、ということです。
GTC IIでは、電気モーターを駆動するエンジンとトランスミッションの間のベルトに上流側と下流側の2つのクラッチが配置されていることにより、運転状態に応じてエンジンから完全に切り離すことができ、電気モーターを独立して使用できることが特徴です。
これによりGTC IIは、低負荷かつ一定速度での電気走行およびアイドリングストップ時の電気モーターによる発進の両方が可能なシステムになっています。
最近48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載した欧州勢の新型車の登場が話題にのぼっています。今回のシェフラー・コンチネンタル・欧州フォードの3社によるGTCⅡの公開は、48Vマイルドハイブリッドシステムの実現が近づいていることを示しています。
注目されるのは、従来は中型・大型乗用車に適していると言われていた48Vマイルドハイブリッドシステムをコンパクトカーのフォード・フォーカスに搭載した点です。
フォード・フォーカスは、先日世界累計販売500万台を達成したスズキ・スイフトの欧州市場での有力コンペティターであるだけに、スズキが48Vマイルドハイブリッドシステムに対して、どう対応するのかに注目が集まっています。
(山内 博・画像:シェフラージャパン)
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