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東芝がコネクテッドカー・自動運転車対応のソフトウエアプラットフォームを販売開始。電機大手の車載機器事業進出が続く

東芝は、コネクッテドカー・自動運転車に対応するソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」の販売開始を発表しました。

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先日は日立グループの日立オートモティブが自動運転技術への進出を発表するなど、電機大手の車載機器事業進出が続いています。

東芝のソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」は、自動車や二輪車はもちろん、建設機械、農業機械などを含む多様な車両や機械・機器で行う移動体通信に対応できるIoTデータを扱う車載機器向けの次世代テレマティクスを実現するための通信制御ソフトウエアプラットフォーム。自動車・二輪車だけに限らず、幅広い移動体通信全体をカバーできることが目新しい点です。

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たとえば建設機械の移動体通信に関しては、パワーショベルなどの建設機械にGPS端末を搭載して端末からの位置情報を利用することで、一時新聞紙上をにぎわした盗難建設機械によるATM破壊事件が激減したというセキュリティ面での事例があり、このような建設機械を含めた幅広い車載機器向けの次世代テレマティクスに対応できます。

東芝のソフトウエアプラットフォーム「Next CGW」の特長は、①車載ネットワーク側の機器とクラウド間通信のセキュリティ機能、②通信状態の監視して通信経路を選択・自動切り換えする機能、③クラウド選択機能で通信コストを低減、④通信切断時でも継続したサービスが可能、⑤データバッファリング機能でクラウドへの再送信を実現する機能を備えていることです。

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東芝は、自社が保有する組込みソフトウエア開発、ICカード技術などの産業機器、通信・制御技術、セキュリティ技術を活用して、車載IoTシステム・機器でのソフトウエア開発から、安全なクラウドの構築・提供までをトータルで対応できる広範囲な車両・機械・機器間をつなぐ移動体通信の制御ソフトウエアプラットフォームを手掛けることになります。

電機大手は、従来の電機業界での収益減少に対応して車載機器事業へ進出する事例が続いており、電機業界各社の車載機器事業への進出に注目が集まっています。

(山内 博・画像:東芝)

【関連記事】

デンソーがソニー製イメージセンサーを使用して車載用画像センサーを高性能化
http://clicccar.com/2016/10/28/411710/

日立オートモティブとルネサスの2社が相次いで自動運転関連技術への対応を発表
http://clicccar.com/2016/10/31/412672/

デンソーと東芝が自動車向け「AI」技術を共同開発

デンソーと東芝が、高度運転支援や自動運転の実現に向け、「AI(人工知能)」に関する技術を共同で開発すると発表しました。

DENSO

自動運転の実現には、様々な障害物や標示、車両が走行するためのスペース、危険が予想されるシーンの認識などが必要となります。

そこで、デンソーがこれまで開発してきた「AI」技術を東芝の画像センサーに応用、高性能な高度運転支援、自動運転システムの実現を目指すそうです。

具体的には、人間と同等以上の高精度な認識処理を可能にすべく、画像認識システムに「AI」技術を合体させ、自ら対象物の特徴を抽出。さらに、人間のように学習する「ディープラーニング」を取り込むことで、センシング能力の飛躍的な向上を目指すそうです。

人間の脳の神経回路をモデルとする「ディープラーニング」では、大量のデータを元に「AI」が自ら学び、分析することで進化。

TOSHIBA

自動運転の分野では、安全面から歩行者や障害物を正確に認識することが不可欠なため、今回共同開発に乗り出したという訳です。

両社によると、年内に本格始動し、2020年以降の実用化を目指しているそうです。

Avanti Yasunori・画像:DENSO、TOSHIBA)

【関連リンク】

DENSO
http://www.denso.co.jp/ja/

TOSHIBA
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm

妨害電波を抑制し、EVバス用ワイヤレス急速充電の実用化につながる技術を東芝が開発

東芝は、EVバスなどの大型車用ワイヤレス急速充電システム向けに妨害電波の抑制技術を開発したと発表しました。

東芝では、この技術により他の無線通信を妨害する不要な電磁波を抑制することができ、ワイヤレス急速充電システムを実用化する際に必要な電波法の規制をクリアできるとしています。

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東芝ではEVバス向けに標準化が進む85KHzの周波数で、44KWの電力を伝送するワイヤレス充電システムを開発しています。

この開発中のワイヤレス充電システムを実用化するためには、10kHz以上の高周波を利用しているので、電波法における高周波利用設備としての許可を受ける必要があり、システムから出る他の無線通信を妨害する不要な電磁波を抑制する必要があります。

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今回東芝では、EVバス向けの44kWワイヤレス急速充電システムを2系統に分割し、2か所の送受電パッドからそれぞれ22kWの出力で逆相の電力を送電する方法を採ることで、それぞれのパッドから放射される電磁波が打ち消し合い、不要な電磁波を抑制しました。

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さらに、2か所の送受電パッドの位置関係にも、バスの底面に「斜めかつ水平」に配置する工夫をしてパッド間で生じる干渉の抑制を実現しています。この2か所のパッドの配置は、2か所のパッドの最適な位置関係を電磁界シュミレータで割り出すことにとって見出したということです。

これらの技術により、対策前と比べて距離が10m離れた位置における電磁波が約1/10に抑制され、EVバスに必要な44kWので送電量を確保しながら、電波法上の高周波利用設備の許容値を満たすことが可能になりました。

東芝では、早稲田大学理工学術院紙屋雄史教授研究室と共同で環境省からの委託を受けて「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として、2016年2月から行っているEVバスの公道実証実験にも本技術を採用しています。

この公道での実証実験は2016年末ごろまで実施される予定で、その後はワイヤレス急速充電システムの早期の実用化に向けて研究を進めたい、としています。

(山内 博・画像:東芝)

【関連記事】

東芝、共同開発したワイヤレス受電のEVバスを公道実証実験【動画】http://clicccar.com/2016/02/21/355188/