Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

デンソーがNECと共同で「高度運転支援技術」開発を加速!

愛知県刈谷市に本社を置くデンソーが12月26日、高度運転支援や自動運転、モノづくりの分野でNECと協業を開始したと発表しました。

denso

自動車事業で培った技術力・モノづくり力と、NECのAI(人工知能)やIoT、セキュリティなどの先進技術を融合することで、「安全・安心」を実現する製品の共同開発を行うとしています。

今後、自動運転や電動化の技術開発競争が加速し、クルマに搭載される製品同士の連携が複雑さを増すと予想されることから、車載製品の効率的な開発に繋げる狙いがあるそうです。

世界的な潮流として、メガサプライヤとIT企業が連携する背景には両者間に補完関係があるためで、自動運転や「コネクテッドカー(つながる車)」の実現にはIT企業の持つ技術が不可欠。

また、IT企業にとっても、熱や振動などが伴う過酷な環境下に製品を搭載するには、メガサプライヤーの技術が必要とされています。

新聞報道などによると、同社はNECから人材を受け入れるようで、AI技術の開発にあたり、自社が持つカメラやセンサーの技術と、NECが持つAIによる「ディープラーニング」(深層学習)技術を融合することで、双方の技術力向上に繋げる模様。

これまで長らく自前主義を通してきたデンソーですが、すでに東芝ともAIの共同開発を発表するなど、積極的に提携戦略を推し進めており、こうした傾向はさらに加速しそうな状況にあります。

デンソーは今回の提携により、いち早くAI技術の実用化に漕ぎ付けることで、激化する競争の中で優位性の確保を図る考えのようです。

Avanti Yasunori・画像:DENSO)

【関連記事】

デンソーと東芝が自動車向け「AI」技術を共同開発
http://clicccar.com/2016/10/30/411434/

【関連リンク】

DENSO
https://www.denso.com/jp/ja/

アウディ、人工知能専門家会議でディープラーニングによる自動駐車を実演

アウディは、バルセロナで12月5日から12月10日まで開催された人工知能専門家会議で、Audi Q2の1/8スケールモデルカーを使用してディープラーニングによる自動駐車の実演を披露しました。

Audi Q2 deep learning concept , model car on a scale of 1:8

アウディが自動駐車を実演したのは「神経情報処理システム(NIPS)に関する国際会議及びワークショップ」で、アウディは同会議に自動車メーカーで唯一参加しています。この会議で縮尺モデルながら、クルマ自身が人工知能でパーキングの方法を学んでいく過程を紹介しました。

Audi Q2 deep learning concept , model car on a scale of 1:8

アウディでは、自己学習システムを自動運転を実現するための人工知能分野で重要なテクノロジーと捉えており、自己学習システムのノウハウを蓄積してきました。

今回、Audi Q2の8分の1スケールのモデルカー「Audi Q2ディープラーニング コンセプト」を使って、広さ3×3メートルのスペースのなかで、モデルカーが人工知能を働かせて金属フレームで囲まれた駐車スペースを探って発見し、パーキング作業を完了する様子を実演しました。

Audi Q2 deep learning concept , model car on a scale of 1:8

Audi Q2ディープラーニング コンセプトには、前方用と後方用の2つの単機能カメラと、車体の各所に設置された合計10個の超音波センサーからなるセンサーシステムが搭載されています。センサーシステムからのデータは、車載のセントラルコンピューターが自己学習システムで分析して、ステアリングや電気モーターを動かす信号に変換します。

デモンストレーションでは、システムが最初に駐車スペースと自車の位置関係を把握し、目的の場所である正しい駐車位置に車体を移動するためにはどうしたらいいかを自己学習して、始めにはエラーが多く発生しても、次第にエラーを減らして、クルマを駐車させていく様子が映されています。

Audi Q2 deep learning concept , model car on a scale of 1:8

Audi Q2ディープラーニング コンセプトは、ドイツのガイマースハイムが本拠のアウディの子会社「アウディ エレクトロニクス ヴェンチャー(AEV)」が先行開発プロジェクトとして製作しました。次の段階では、モデルカーではなく実際の自動車を使って、駐車スペースを探すプロセスを検証する予定。

Audi Q2 deep learning concept , model car on a scale of 1:8

アウディは、画像認識の分野で世界をリードするイスラエルのMobileye(モービルアイ)と連携しており、ディープラーニング(深層学習)を利用した環境認識システムのソフトウェアを、共同で開発中であることも明らかにしました。

アウディはこのソフトウェアを、2017年に発売する新型Audi A8の「セントラル ドライバーアシスタンス コントローラー」(zFAS)に初めて採用する予定としています。このzFASのハードウェア開発については、米NVIDIAがパートナーとして参画しています。

今回の実演では、モデルカーによるデモンストレーションでしたが、アウディが開発中の技術が実車に搭載されると、渋滞時の自動運転や自動パーキングといった機能が市販車で実現することになります。

今後、アウディ以外のメーカーも続々と自動運転や自動パーキングを搭載したモデルを発売することが予想され、期待が膨らんでいます。

(山内 博・画像、動画:アウディ)

会話できるEVコミューター「NeuV」をホンダが出展!【CES 2017】

ホンダが12月6日、ネバダ州ラスベガス市で2017年1月5日に開幕する国際家電ショー「CES2017」で、人とのコミュニケーションができる「AI」(人工知能)を搭載したEVコンセプトカー「NeuV(ニューヴィー)」をワールドプレミアすると発表しました。

HONDA_NeuV

「NeuV」にはAI技術「感情エンジン」が搭載されており、自動運転機能も備えたコンセプトカーとなっています。

「感情エンジン」は、ソフトバンクグループ傘下のcocoro SB株式会社が開発したAI技術で、パーソナルロボット「ペッパー」に搭載されていることでもお馴染みの技術。

同社は、1980年代の米TVドラマ「ナイトライダー」に登場したドライバーと会話できるクルマ「ナイト2000」に搭載されていたAI「K.I.T.T.」のような技術の実現を目指しているのかもしれません。

その他にも、パーソナルモビリティ「UNI-CUB β」の体験試乗コーナーや、コネクティッドカー技術でスムーズな交通の流れを実現する提案、米カリフォルニア州シリコンバレーの情報技術研究開発拠点Honda Silicon Valley Labで取り組んでいる車載エンターテイメント技術など、様々な展示を行うとしており、同社の最新技術に世界の注目が集まりそうです。

Avanti Yasunori・画像:HONDA)

【関連記事】

ソフトバンク子会社SBドライブが「喋る無人運転バス」を実証実験開始!
http://clicccar.com/2016/11/07/414575/

自動運転車の原点は米TVドラマ「ナイトライダー」だった!?
http://clicccar.com/2014/10/22/274072/

【関連サイト】

HONDA USA
http://www.multivu.com/players/English/7988331-honda-ces-cooperative-mobility-ecosystem/

CES2017
http://www.ces.tech/

ソフトバンク子会社SBドライブが「喋る無人運転バス」を実証実験開始!

ソフトバンクグループの「SBドライブ」が、自律型ヒューマノイド・ロボット「Pepper(ペッパー)」の開発を手掛けた同グループの「Cocoro SB」と連携して、自動運転車の会話機能を開発。愛知県で実証実験を開始しました。

SoftBank

今回の実証実検は、愛知県が実施している自動走行社会受容性実証実験事業の一部を「SBドライブ」が受託。アイサンテクノロジーやZMP、名古屋大学が開発した自動運転車に会話機能を搭載しています。

クラウドAI(人工知能)サービスなどに取り組んでいる「Cocoro SB」が無人タクシーを疑似体験できるアプリケーション「cocoro Drive(ココロドライブ)」を開発。

「Pepper」に搭載した人間の感情を表現する「感情エンジン」を活用しており、無人バスの車内に設置したタブレットを乗客が操作することにより、モニターを通して乗客と会話したり、運転状況や走行ルート周辺の施設を案内したりするほか、目的地や所要時間などを画面に表示することが可能になっています。

乗客がタブレット端末に話しかけると、その音声情報を携帯電話網でデータセンターに送信、内容を認識した後で乗客に返答するシステム。

「SBドライブ」は同機能を「無人運転車のインターフェース」と位置付けており、開発中の無人運転バスの運用地域として、高齢化が進んだ過疎地などを想定。

会話で多くの機能を動作できれば、高齢者に使いやすい無人バスになると考えているそうです。

「感情エンジン」のモビリティへの活用については、今年の7月21日にホンダがソフトバンクと共同研究をスタートさせると発表するなど、動きが出ています。

SB_Drive

「SBドライブ」では今回の実証実験事業への参画を通して、自動運転技術を活用したスマートモビリティーサービスの事業化を目指しており、2018年後半に実験運行を目指している無人運転バスに今回の技術を採用する考えのようです。

SoftBank

過疎が進む地域では、既存の交通システム存続が危ぶまれており、こうした地域で自動運転による無人の路線バスを走らせれば大幅な人件費節約が可能となり、交通網を存続できる可能性が高まるだけに、今後の取組みが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:SoftBank)

【関連記事】

SBドライブがスズキ、遠州鉄道、浜松市と自動運転の連携を締結
http://clicccar.com/2016/09/07/397713/

ヤマト運輸が自動運転による宅配「ロボネコヤマト」プロジェクトを始動!
http://clicccar.com/2016/07/25/387898/

トヨタが2019年度に家庭用ロボットの量産を開始する?
http://clicccar.com/2016/07/12/385489/

DeNAが8月からイオンモールに「自動運転バス」を導入!
http://clicccar.com/2016/07/11/384785/

ソフトバンクが自動運転サービス事業に進出! その理由とは?
http://clicccar.com/2016/04/04/363357/

【関連リンク】

SoftBank SB Drive
http://www.softbank.jp/drive/

デンソーと東芝が自動車向け「AI」技術を共同開発

デンソーと東芝が、高度運転支援や自動運転の実現に向け、「AI(人工知能)」に関する技術を共同で開発すると発表しました。

DENSO

自動運転の実現には、様々な障害物や標示、車両が走行するためのスペース、危険が予想されるシーンの認識などが必要となります。

そこで、デンソーがこれまで開発してきた「AI」技術を東芝の画像センサーに応用、高性能な高度運転支援、自動運転システムの実現を目指すそうです。

具体的には、人間と同等以上の高精度な認識処理を可能にすべく、画像認識システムに「AI」技術を合体させ、自ら対象物の特徴を抽出。さらに、人間のように学習する「ディープラーニング」を取り込むことで、センシング能力の飛躍的な向上を目指すそうです。

人間の脳の神経回路をモデルとする「ディープラーニング」では、大量のデータを元に「AI」が自ら学び、分析することで進化。

TOSHIBA

自動運転の分野では、安全面から歩行者や障害物を正確に認識することが不可欠なため、今回共同開発に乗り出したという訳です。

両社によると、年内に本格始動し、2020年以降の実用化を目指しているそうです。

Avanti Yasunori・画像:DENSO、TOSHIBA)

【関連リンク】

DENSO
http://www.denso.co.jp/ja/

TOSHIBA
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm

米・テスラが自社のEVに完全自動運転のためのAIを搭載か?

世界の自動車メーカーは、将来の完全自動運転に向けた取り組みを進めています。

TESLA

そうした中、米・テスラが、今後製造する全てのモデルに完全自動運転システムを搭載するとしており、AI(人工知能)に役立つ機能も採用するそうです。

同社が新たに搭載するのは、周囲監視用カメラ8台と改良版の12個の超音波センサー、そして電波により雨や濃霧、粉塵など悪条件の中でも障害物を見通すレーダー。

TESLA

さらに従来の40倍以上の処理能力を持つ車載コンピューターを搭載、人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークの採用により、今後のAI搭載に繋がる「ディープラーニング(機械学習)」機能を持たせるようです。

これにより、人間の感覚では捉えきれない情報まで認識可能になるそうで、ニューラルネットワークを採用したEVは既に購入できる状態にある模様。

TESLA

将来的にはワイヤレスアップデートにより、完全自動運転が実現するようで、今後もEV、そして自動運転で先行するテスラから目が離せません。

Avanti Yasunori・画像:TESLA)

【関連記事】

テスラが完全自動運転に対応するハードウェアを装備すると宣言
http://clicccar.com/2016/10/22/410286/

BMWが米・テスラへの対抗で全モデルにEVを設定?
http://clicccar.com/2016/10/17/408715/

イーロン・マスクCEOが先進的な「新事業計画」をブログで公開!
http://clicccar.com/2016/07/23/387813/

2020年に「先進運転支援システム」市場が1.4兆円規模に!
http://clicccar.com/2016/07/22/386990/

テスラ・モデルSが米国の公道で自動運転中に初の死亡事故
http://clicccar.com/2016/07/02/383006/

AI(人工知能)を利用して車両データから危険運転を自動検知するNTTコムのシステム

NTTコミュニケーションズ(NTTコム)およびレンタカー・カーリースの日本カーソリューションズ(NCS)は、車両データから交通事故の原因となり得る危険な運転を人工知能(AI)を利用して高精度で自動検知することに成功したと発表しました。

20160926_2b

両社は2016年9月に、車両から取得したドライブレコーダーや速度などの車両データを人工知能(AI)により解析する共同実験を行い、危険運転を自動検知できることを確認したということです。

従来から、NCSはカーリース契約者に安全運転促進のための自動車IoTツールとして「NCSドライブドクター(登録商標)」を提供し、オプションとして「NCS交通安全プログラム」の映像解析サービスを行っていました。

このサービスでは、専任スタッフが手作業で、車載器の膨大な映像データの中から、「交通違反」「ヒヤリ・ハット」などの危険運転シーンを抽出し分類する作業を行っています。

ncs

一方、NTTコムでは2015年から映像解析にAIを活用することに取り組んでおり、今回NTT研究所のAI技術である移動状況推定技術を活用することで、ドライブレコーダーから得られる映像や速度などマルチモーダル(複数のインターフェースを持つデータのこと)で時系列なデータから、より早く・正確に危険運転を自動で判別できると考え、両社で実験を開始しました。

実験では「危険運転の対象を自転車などが車両の前面に飛び出してきて、接触しそうになるシーン」を代表的な「ヒヤリ・ハットシーン」としています。

実験は次のような手順で実施されました。

1.データ抽出

「NCSドライブドクター」から映像データ、各種センサーデータ(3軸加速度センサー情報、速度情報等)といった時系列なマルチモーダルデータを抽出

2.判定モデル生成

抽出したデータから時系列なマルチモーダルデータをディープラーニングに基づき分析する移動状況推定技術を用いて、ヒヤリ・ハット判定モデルを生成

3. 危険運転を自動検出

生成モデルを用いて、ヒヤリ・ハットシーンが含まれるドライブレコーダーデータを自動検出

実際の実験では、約85%の確率でヒヤリ・ハットシーンの検出に成功したということです。

今回実験の対象になった「出会い頭」の事故は、警察庁交通局発表の『平成27年における交通事故の発生状況』データによると、交通事故の発生状況のうち「追突」に次いで2番目に多く、約24%を占めています。

今後両社は、AIにより自動認識できる対象を路面や交通状況などに拡大するとともに、映像やセンサー情報のビッグデータを解析する能力を高め、車両データから危険運転を検知・解析する技術の高度化を目指したい、としています。

(山内 博・画像:NTTコム、NCS)

トヨタ自動車がミシガン大学との「人工知能」研究に2,200万ドルを投資

トヨタ自動車は今年6月、人工知能技術研究会社「TRI」の新拠点を米国ミシガン州アナーバーに開設しました。

TRI

カリフォルニア州、マサチューセッツ州に次ぐ第3の拠点となるもので、アナーバーの「TTC」(トヨタ・テクニカル・センター)の自動運転研究チーム約15名が新拠点に異動、全体の陣容は約50名程度になっている模様。

新拠点では徒歩圏内にあるミシガン大学との連携により、人工知能関連の研究を加速させる考えのようで、今後4年間に渡り2,200万ドルを投じてクルマの安全性向上、生活支援ロボット、自動運転の取り組みなどで協力していくそうです。

TOYOTA_Highway_Teammate

ミシガン大学は自動運転など自動車安全に関する研究で優れており、アナーバーには「TTC」が運営を支援する走行実験施設「Mcity(エムシティ)」が存在するなど、自動運転研究を拡大するうえで絶好の拠点。

ミシガン大学では、ヒトやモノの移動をより安全で効率的なものにするため、コネクティッドカーや自動運転車の革新に向け、産学官連携を密に進めており、トヨタとの連携拡大は目標達成への取り組みを加速させることになるとしています。

トヨタでは既にスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)とも研究を進めており、「TRI」のギル・プラットCEOは、より安全・安心で効率的な移動手段を提供すべく、ミシガン大学の研究者や学生と共に、新たな人工知能技術の開発に取り組んでいく考えを示しています。

自動車メーカーでは、テスラや日産が「自動運転」の分野で先行するなか、トヨタ自動車における人工知能の研究成果がどのようにクルマやロボットに反映されるのかが注目されます。

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

【関連記事】

開発を急ぐ新技術は「守護天使」!? トヨタの研究部門の計画とは?
http://clicccar.com/2016/06/23/380973/

トヨタが人工知能「AI」の開発で米Google傘下のロボット会社を買収か?
http://clicccar.com/2016/06/13/377613/

トヨタ自動車、伊勢志摩サミットで生活支援ロボットをPR!
http://clicccar.com/2016/06/03/374432/

トヨタ自動車が「ライドシェア」のUber社に戦略的出資!
http://clicccar.com/2016/05/25/373938/

トヨタ、ミシガン州に新拠点を開設し、「自動運転」の研究を加速
http://clicccar.com/2016/04/18/365468/

トヨタが人工知能を持った「家庭用ロボット」を発売する!?

5月の伊勢志摩サミットで、トヨタ自動車が国際メディアセンターの広報展示スペースに日本のものづくり技術を世界にPRすべく、生活支援ロボット「HSR」(Human Support Robot)を展示しました。

TOYOTA_HSR

このロボットは手足が不自由な方を支援するため、実証実験を通じて利用者の視点をフィードバックしながら開発を進めているもの。

そうしたなか、同社が年初に米国に設立したAI(人工知能)研究開発子会社「TRI」を率いるギル・プラットCEOが6月20日、日経新聞の取材に対して、自動運転などの支援技術に加えて「家庭用ロボットがAIの有力な応用分野」と述べたそうです。

プラット氏は、高齢者の移動手段や家庭用ロボットはトヨタにとっての有力な新事業分野になるとの見方を示し、その実用化・普及については、個人的な推測とした上で「10〜15年後」との見解を示した模様。

TRI

「人類が火を使えるようになったのと同じで危険さもあるが、利点も大きい」としており、「自動車同様にAIでも品質管理を徹底、トヨタの良品廉価の製品を生産する技術を活かし、発明して良かったといわれるようにしたい」とロボット開発に向けた抱負を述べたそうです。

TOYOTA_HSR

おりしもトヨタはTRIを通じて米グーグル傘下のロボット開発会社、米ボストン・ダイナミクスと東大発のSCHAFT(シャフト)の2社の買収交渉を進めている模様で、本格的にロボット開発に取組む姿勢をみせています。

スマホの普及で安価なセンサーが登場しており、ディープラーニング(深層学習)など、AIの中核技術が利用可能になりつつあり、「家庭用ロボット」の実現が加速しそうな状況。

日米で高齢化が進むなか、トヨタ自動車は得意の環境技術に加え、ロボット技術でも先行したい考えのようです。

Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車)

【関連記事】

開発を急ぐ新技術は「守護天使」!? トヨタの研究部門の計画とは?
http://clicccar.com/2016/06/23/380973/

トヨタが人工知能「AI」の開発で米Google傘下のロボット会社を買収か?
http://clicccar.com/2016/06/13/377613/

トヨタ自動車、伊勢志摩サミットで生活支援ロボットをPR!
http://clicccar.com/2016/06/03/374432/

「立ち上がる」車椅子を生んだ、トヨタとセグウェイのコラボレーション
http://clicccar.com/2016/05/30/374747/

トヨタ、ミシガン州に新拠点を開設し、「自動運転」の研究を加速
http://clicccar.com/2016/04/18/365468/

開発を急ぐ新技術は「守護天使」!? トヨタの研究部門の計画とは?

トヨタ自動車が1月、米国に設立した「TRI」(Toyota Research Institute)を率いるギル・プラットCEOが、AI(人工知能)を使った新技術について語ったそうです。

TOYOTA_TRI

ロイター等によると、同社は自動運転技術で2方式の開発を進めていると言います。

一つはドライバーが事故を起こしそうになった際、AIが運転操作を支援する方式で、同社が「守護天使」(Guardian Angel)と呼んでいるもの。

TOYOTA_Highway_Teammate

プラット氏によれば数年内の実現を目指しているそうです。

もう一つは高齢者や体の不自由なドライバーに代わり、AIが運転する「Chauffer」(お抱え運転手)と呼ぶ方式で、こちらはほぼ完全な自動運転。

米人気映画「MIB Ⅱ」(メン・イン・ブラック2)でステアリングホイールの中から現れる運転代行ロボットを思わず連想してしまいますが、こちらの実現にはより高い信頼性が必要となるため、さらなる研究が必要としており、実用化には時間がかかるとしています。

TOYOTA_Highway_Teammate

また、プラット氏はAIの応用領域として「家庭用ロボット」が有力としており、日本を中心に今後10〜15年で高齢化に伴う介護用で需要が高まるとの予想のもと、商用化を急いでいる模様。

トヨタ自動車はTRIに今後5年間で約10億ドル(約1,050億円)の研究費を投じる計画で、先頃ご紹介した米Google傘下のロボット会社買収への動きも含め、AI研究を加速させる考えのようです。

Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車

【関連記事】

トヨタが人工知能「AI」の開発で米Google傘下のロボット会社を買収か?
http://clicccar.com/2016/06/13/377613/

トヨタ自動車、伊勢志摩サミットで生活支援ロボットをPR!
http://clicccar.com/2016/06/03/374432/

トヨタ自動車が「ライドシェア」のUber社に戦略的出資!
http://clicccar.com/2016/05/25/373938/

トヨタ、ミシガン州に新拠点を開設し、「自動運転」の研究を加速
http://clicccar.com/2016/04/18/365468/

トヨタの自動走行車は「気持ちが通ったパートナー」に!
http://clicccar.com/2015/10/08/331845/

トヨタが人工知能「AI」の開発で米Google傘下のロボット会社を買収か?

今年1月、米国にTRI(Toyota Research Institute)を設立するなど、AI(人工知能)の研究を加速させるトヨタ自動車。

DARPA(米国防総省 国防高等研究計画局)主催の災害対策ロボット競技会でプロジェクトマネジャーを務めたギル・プラット氏をTRIのCEOに据え、同氏の人脈によりGoogleで自動運転車開発プロジェクトを立ち上げたジェームズ・カフナー氏を招聘(しょうへい)するなど、積極的な動きをみせています。

TOYOTA_TRI

TRIはマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学ともAIの研究・開発で連携しており、走行中予期しない状況下に陥った際に危険を回避したり、何故そのような状況になったのかを説明できるような人工知能の実現を目標にしている模様。

さらに、トヨタはロボット事業を将来の成長を担う事業のひとつに位置付けており、日経新聞によると、Googleのロボット事業を担う中核子会社2社を買収すべく、詰めの交渉段階にあるようです。

2社の人材を活用してロボットの開発体制を大幅に強化する考えのようで、自動運転技術などへの応用も視野に入れている模様。

TOYOTA_TRI

買収対象としているのは1992年設立の米ボストン・ダイナミクス社と、2013年に米国企業の手に渡った東京大学発のベンチャー、SCHAFT(シャフト)社。

両社ともにDARPAの災害対策ロボットコンテストで注目を集め、Googleの傘下に入った経緯があり、TRIにとって理想的な買収相手と言えそうです。

このように、最先端のAI技術を吸収して生まれ変わろうとしているトヨタ自動車。今後もその動きから目が離せません。

Avanti Yasunori

【関連記事】

トヨタ自動車、伊勢志摩サミットで生活支援ロボットをPR!
http://clicccar.com/2016/06/03/374432/

トヨタ自動車が「ライドシェア」のUber社に戦略的出資!
http://clicccar.com/2016/05/25/373938/

トヨタ、ミシガン州に新拠点を開設し、「自動運転」の研究を加速
http://clicccar.com/2016/04/18/365468/

国家戦略特区プロジェクト「自動運転タクシー」実証開始!
http://clicccar.com/2016/03/14/358394/

トヨタの自動走行車は「気持ちが通ったパートナー」に!
http://clicccar.com/2015/10/08/331845/

ポルシェが自動運転などの先進技術開発で新会社設立!

ポルシェが先頃、新会社「ポルシェ・デジタル」を設立すると発表しました。

PORSCHE

今後ますます進むクルマのデジタル化に対応するのが目的で、プレミアム車用のソフト開発をリードする大手サプライヤを目指すそうです。

ドイツ・シュトゥットガルト近郊に本社を構え、米ITコンサルティング会社であるガートナー出身のティロコスロフスキー氏がCEOに就任。

新会社では先進技術の動向調査を行うとともに、特に自動運転の分野で世界中のイノベーターをつなぐインターフェイスに位置付けている模様。

PORSCHE

今後はドイツ本社の他にも米シリコンバレー、ベルリン、中国にも拠点を置くそうで、デジタル化に向けたパートナーとの長期的な協力を推進して行くとしています。

トヨタ自動車も自動運転の研究を加速すべく、米国に研究機関「TRI」を設置するなど、クルマの高度AI(人工知能)化に乗り出しており、こうした動きはポルシェにおいても同様のようです。

Avanti Yasunori ・画像:PORSCHE)

【関連記事】

トヨタ、ミシガン州に新拠点を開設し、「自動運転」の研究を加速
http://clicccar.com/2016/04/18/365468/

ポルシェ・911、次期モデルにプラグインハイブリッド確定か!?
http://clicccar.com/2016/03/22/361190/

ポルシェ・カイエン、次期モデルにEVモデル投入か!?
http://clicccar.com/2016/02/15/353738/

「立ち上がる」車椅子を生んだ、トヨタとセグウェイのコラボレーション

米国トヨタが5月21日、電動立ち乗り2輪車でお馴染みの「セグウェイ」を発明したディーン・ケーメン氏とのコラボにより、歩行者の目線まで「立ち上がる」電動車椅子を開発したと発表しました。

TOYOTA_iBOt

ケーメン氏が設立したベンチャー「DEKA」社との合同プロジェクトにより実現したもので、2009年に生産完了した、階段を登れる「iBOT」をさらに進化させたものとなっています。

オフロードでの4駆走行に加えて、着座位置を上昇させることで、歩行者と同じ目線での会話や同じ速度での移動が可能となっています。

新型では6輪を備えており、立ち上がった際にも2輪で安定して走行。

TOYOTA_iBOT TOYOTA_iBOT

トヨタ自動車は「DEKA」社から得た平衡保持技術の使用権を、医療リハビリ療法や潜在的な用途に発展させる計画としています。

同社は年初に米国に人工知能(AI)技術研究会社「TRI」設立、ロボットや自動運転などの研究を加速させており、今回の「DEKA」社とのコラボについても、社会福祉面における事業の可能性を模索しているものと推測されます。

Avanti Yasunori ・画像:TOYOTA USA)

【関連記事】

トヨタ自動車が「ライドシェア」のUber社に戦略的出資!
http://clicccar.com/2016/05/25/373938/

トヨタが米大学と共同でコンセプトEV「uBox」を開発!
http://clicccar.com/2016/04/23/366776/

トヨタ、ミシガン州に新拠点を開設し、「自動運転」の研究を加速
http://clicccar.com/2016/04/18/365468/

トヨタが立ち乗り電動車「ウイングレット」の公道試乗募集!
http://clicccar.com/2016/04/01/363225/

トヨタが開発するウェアラブルデバイス「BLAID」とは?
http://clicccar.com/2016/03/21/360778/

VWがドイツ人工知能研究センターの株式を取得

ドイツ自動車大手のVWは2016年5月13日、ドイツ人工知能研究センター(DFKI)の株式を取得し、DFKIの人工知能事業に参画すると発表しました。

kleinDB2016AL00883_large

DFKIは、世界有数の人工知能に関する研究機関で、60カ国以上から750人の研究者が集まっています。

DFKIでは人工知能を利用して学習能力を持つソフトウェアを開発しており、昨年2015年には1年間で4250万ユーロの研究資金を外部から獲得するなど、その研究能力は高く評価されています。

以前からVWとDFKIは運転者の疲労を検出できる機能を組み込んだシートを開発するなど、特定のプロジェクトで協働してきたようですが、今回、VWがDFKIに出資することで関係を強化し、人工知能を応用した自動運転技術や、生産システムのデジタル化など、より広範囲で高度化した研究テーマに取り組むものと見られます。

494x328+-+DB2016AL00885_large

VWとDFKIは資本提携後の初プロジェクトとして、人間とロボットをより密接に連携させるソフトウェアの枠組みである「ROCK」の開発を始めていることを発表しました。

また、VWが5月13日に開催した「IT Symposium 2016」では、センサーを使ったロボットと人間との協調などが、実用化を目指している研究テーマとして発表されました。

このように最近のVWは人工知能分野への進出を急ピッチで進めています。

排ガス不正問題で苦境に立つVWですが、得てして企業は苦境のときに後に大きな利益を生む研究・開発を進めるもので、VWの人工知能分野での今後の製品開発に注目が集まります。

(山内 博・画像:VW)