4月24日に開催された「モーターファンフェスタ in 富士スピードウェイ」の中でも最大規模のコンテンツだった「史上最大のグリッドウォーク」。
富士スピードウェイのメインストレートに100台の名車が集まり、レースのスターティンググリッドのように並べて展示するというもの。
あいにくの霧の中とはいえ、集まった全ての来場者が参加できるとあって大盛況となっていました。
そのグリッドウォークでひときわ人目を引いていたのが、この赤いマシン。
これはヤマハが1991年に発表したOX99-11というモデル。
当時F1にエンジンを供給していたヤマハが、そのエンジンを積んだスポーツカーを発売しようと計画したモデル。
可愛らしいデザインは日本屈指の大御所である由良拓也さんの手によるもの。見た目は一人乗りに見えますが、前後に2名乗車するタンデム配置となっています。
日本で行われるクラッシュテストなどのテストを避けるため、部品を全てイギリスに送って組み立て、輸入車としてナンバー取得を目指したとのこと。
少量生産の高額車となることから、その方がナンバーを取得しやすかったようです。
エンジンはミッドシップの縦置き配置のV型12気筒DOHC60バルブの3498cc。F1のエンジンを公道向けにアレンジしたものが搭載されていますが、それでも最高出力の450馬力を発生するエンジン回転数は10000回転!
史上最大のグリッドウォークでは、そのヤマハのF1エンジンに火が入りました!
澄んだ高回転の響きがたまりません。さすが楽器も作るヤマハ。
モーターファンフェスタ in 富士スピードウェイではOX99-11のほかに、同時期に同じコンセプトで計画されたスーパーカーも展示されました。
ジオット・キャスピタ。童夢とワコールが出資して、やはりイギリスで組み立てる輸入車として日本での発売を目論んでいました。こちらも、ジャッドV10というF1のエンジンを搭載しています。
ヤマハOX99-11もジオット・キャスピタも、バルブ景気の崩壊という時代の流れに逆らうことができずに市販化を断念せねばならなかったのですが、夢は広がっていたといえるでしょう。
日本の自動車の歴史の中でも、うっかり見逃していきそうなモデルにもフォーカスをあてるところが、別冊を含めて90年の歴史を誇るモーターファンのさすが!なところです。
(文・写真・動画:松永和浩)