Motor Fan's YEAR 2016

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ヒュンダイとBASFがレーシングカーモデルのコンセプトカー「RN30」をドイツの展示会で披露

韓国のヒュンダイモーター(現代自動車。以下ヒュンダイ)、ドイツの総合化学会社 BASFは、レーシングカーモデルのコンセプトカー「RN30」をドイツの展示会で展示し、「化学の力」を取り入れた斬新なデザインとテクノロジーを披露しました。

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今回、両社が出展したのは10月19日〜26日までドイツ・デュッセルドルフで開催されたK Fair(国際プラスチック・ゴム産業展)で、展示されたコンセプトカー「RN30」は2017年初頭に新発売される市販モデル「ヒュンダイi30」シリーズの原型となるということです。

高性能車の車体軽量化では炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用する例が多いのですが、展示された「RN30」はBASFが提案する合成樹脂の軽量素材を採用しているのが特徴です。

たとえば「RN30」のフェンダーやスポイラーのように曲面を複雑に組み合わせたデザインを軽量化と両立するために、BASF の硬質樹脂材料であるElastolit(登録商標:エラストリット)や、ボディパネル用に開発された反応射出成形(RIM)技術が採用されています。

BASFによると、同社のエラストリット樹脂は優れた流動性を備えており、「RN30」 のフェンダーやスポイラーのような非常に難易度の高い設計を可能にしています。しかもエラストリット樹脂で成形された部品の表面は、仕上げ加工なしで塗装できるクラスA サーフェスの高品質だということです。

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また、「RN30」には随所に「化学の力」が活躍しています。項目だけを列挙しても、1.電子基板などの電子コンポーネント、2.ダッシュボードの樹脂材料、3.ウィンドウ・フィルム、4.座席シートの骨格、5.ロールバー、6.フェンダーとスポイラー、7.車体の遮熱塗装、8.座席シートの表面材とステアリングホイール、9.ブレーキ液、10.トランク・フロアーに、それぞれ化学素材が使用されています。

このように見直してみると、1台のクルマには実に多くの化学素材が使われていることに改めて驚かれる方も多いかと思います。しかし、これはガソリン車の場合。EVやHV・PHVのような電動車になれば、これにバッテリー関係の化学素材が加わり、ますます「化学の力」が活躍するフィールドが大きくなります。

改めて1台のクルマに使われている化学素材の種類の多さと、「化学の力」に気付かされた両社のK Fairの展示でした。

(山内 博・画像:BASF)

コンチネンタルが提案する自動運転を含む最新HMIとは?【CEATEC16】

2016年10月4日から7日まで一般公開されている「CEATEC JAPAN 2016」。

今回、初出展したドイツの自動車部品のメガサプライヤーであるコンチネンタル(コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン)。

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同社が「ホリスティック(包括的)・ヒューマン・インターフェイス」と呼ぶHMI分野のコクピット・デモンストレーションを披露しました。

コンチネンタルでは、タイヤはもちろんパワートレーンからシャーシ、そして自動運転技術まで幅広いハード、ソフトウェアを手がけています。

また「Toyota Safety Sense C」のサプライヤーとしても話題になりましたが、同社のグローバルシェアのうち1/3超が日本市場となっています。

日本初公開となる「インタラクティブ・コクピット・デモンストレータ」では、手動運転時のドライバーの注意喚起、ナビゲーションなどを警報音だけでなく、仮想現実感HUD(ヘッドアップディスプレイ)による誘導などで促したり、スマホを車両のドアロック、アンロック、エンジン始動に使ったりするなど、最新の技術を披露。

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たとえば、スマホをリモコンキーとして使う機能では「グラス・コントロール」として提案。スマホをかざすとサイドウインドウがスモーク状態(ドアロックが掛かっている状態)からクリアな状態(ドアロックが解錠された状態)に変化するなど、視覚的に分かりやすい仕組みが用意されています。

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また、手動運転時でもドライバーから見えない死角になっている車両などを知らせたり、ショッピングモールなどの大型駐車場の空きスペースに案内したりと、具現化されれば便利だと思われる機能を提案。

自動運転時には、ドライバーを監視するインカメラを使って眠気やよそ見、脈拍なども計測することで、手動運転時はもちろん、自動運転から手動運転に切り替わる際に備える(リバース・デリゲーション……ドライバーに手動運転に切り替わることを伝える方法、手段がHMIの課題のひとつ)などの機能も試験車を使ってテストされています。

そのほか、自動運転時の渋滞時運転支援機能、パーキング・アプリ、車線逸脱警報などを3Dサングラスをかけて体感できるようになっています。

(文/写真 塚田勝弘)

三井物産、炭素繊維を自動車車体へ利用する独・自動車エンジニアリング会社へ出資参画

大手商社の三井物産は、独・Forward Engineering GmbH(フォワード エンジニアリング ゲーエムベーハー:FE社)に出資参画するとともに、FE社と業務提携の契約を締結したと発表しました。

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FE社は、炭素繊維・複合材料を使用した自動車構造材設計・エンジニアリング分野のリーディング企業で、南ドイツ・ミュンヘンに本拠を置いています。

三井物産は、今後FE社の技術を利用して、炭素繊維・複合材料を自動車分野に使用する事業を拡大することを目指すものと思われます。

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航空機分野では構造体に炭素繊維・複合材料を使用することは広く普及していますが、自動車の量産車ではまだまだ研究段階で、車体を軽量化するために今後の普及が期待されています。

FE社は、旧社名のRoding Automobile GmbHの頃から量産車を軽量化することを目指して、炭素繊維・複合材料を用いた自動車車体開発で実績を積み重ねてきました。

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一方、三井物産は昨年4月、金沢工業大学の革新複合材料研究開発センターと複合材料研究で手を結び、炭素繊維・複合材料による自動車部品の新製法に関する共同開発を開始。本年3月にはノルウェーと韓国の炭素繊維関連メーカーの株式を取得するなど、炭素繊維関連事業を急速に拡大しています。

(山内 博・画像:三井物産)