Motor Fan's YEAR 2016

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コンチネンタルが提案する自動運転を含む最新HMIとは?【CEATEC16】

2016年10月4日から7日まで一般公開されている「CEATEC JAPAN 2016」。

今回、初出展したドイツの自動車部品のメガサプライヤーであるコンチネンタル(コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン)。

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同社が「ホリスティック(包括的)・ヒューマン・インターフェイス」と呼ぶHMI分野のコクピット・デモンストレーションを披露しました。

コンチネンタルでは、タイヤはもちろんパワートレーンからシャーシ、そして自動運転技術まで幅広いハード、ソフトウェアを手がけています。

また「Toyota Safety Sense C」のサプライヤーとしても話題になりましたが、同社のグローバルシェアのうち1/3超が日本市場となっています。

日本初公開となる「インタラクティブ・コクピット・デモンストレータ」では、手動運転時のドライバーの注意喚起、ナビゲーションなどを警報音だけでなく、仮想現実感HUD(ヘッドアップディスプレイ)による誘導などで促したり、スマホを車両のドアロック、アンロック、エンジン始動に使ったりするなど、最新の技術を披露。

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たとえば、スマホをリモコンキーとして使う機能では「グラス・コントロール」として提案。スマホをかざすとサイドウインドウがスモーク状態(ドアロックが掛かっている状態)からクリアな状態(ドアロックが解錠された状態)に変化するなど、視覚的に分かりやすい仕組みが用意されています。

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また、手動運転時でもドライバーから見えない死角になっている車両などを知らせたり、ショッピングモールなどの大型駐車場の空きスペースに案内したりと、具現化されれば便利だと思われる機能を提案。

自動運転時には、ドライバーを監視するインカメラを使って眠気やよそ見、脈拍なども計測することで、手動運転時はもちろん、自動運転から手動運転に切り替わる際に備える(リバース・デリゲーション……ドライバーに手動運転に切り替わることを伝える方法、手段がHMIの課題のひとつ)などの機能も試験車を使ってテストされています。

そのほか、自動運転時の渋滞時運転支援機能、パーキング・アプリ、車線逸脱警報などを3Dサングラスをかけて体感できるようになっています。

(文/写真 塚田勝弘)

独・コンチネンタルがアジア地域での先進運転支援システム(ADAS)の強化を発表

ドイツの自動車部品大手コンチネンタルは、アジア地域で先進運転支援システム(ADAS)を強化すると発表しました。

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今回のコンチネンタルの強化策は、

 1) 日本とインドでの開発能力を向上させる
2)フィリピンと中国でレーダーセンサーの生産能力を向上させる

ことの2点を柱としています。

同社はアジア地域の自動車業界について、全世界で生産される車両の半数以上をアジアの自動車メーカーが生産する車両であり、日本の自動車メーカーの生産台数が世界全体の約30%を占めており、アジアが世界の自動車業界で成長センターとなっているとしています。

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さらに2020年の東京オリンピック開催を契機に、 日本の自動車メーカーを含む世界中の自動車メーカーが自動運転を含むADASという革新技術の開発にしのぎを削っています。

コンチネンタルでは、すでにカメラ、レーダーシステム、高解像度のレーザーセンサー、電子制御ユニットやソフトウェアなどの自動運転やADASに関する主要な要素技術を持っています。

コンチネンタルのADAS事業部の責任者、カール・ハウプト(Karl Haupt)氏は

「先進運転支援システムは、成長が最も著しい分野です。今年は周囲をモニタリングする環境センサーのおかげで、10億ユーロ以上の売上を達成する見込みであり、2020年には20億ユーロ以上への拡大を見込んでいます。つまり、わずか5年でさらに倍増することになります。」

とADAS分野の急成長を予測しています。

今回のADAS強化策のひとつ、日本とインドでの開発能力向上については、日本でADAS機器のハード部分の開発を行い、インドでソフトウェアとアルゴリズムの開発を行うことを計画しています。

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実際に、トヨタ自動車の衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」向けのカメラ・レーザーレーダー一体型センサーモジュール(MFL)で、コンチネンタルのADAS事業部が二度目となるトヨタ自動車の技術開発賞を受賞しているように、日本でコンチネンタルのADAS機器は高く評価されています。

もうひとつの強化策、フィリピンと中国でのレーダーセンサーの生産能力向上については、コンチネンタルの「in the market for the market(その市場で、その市場のために)」というスローガンに応じた現地化施策ということができます。

コンチネンタルは、2015年、短距離レーダーセンサーの製造をフィリピンのカランバで開始。この短距離レーダーセンサーは、死角検出、車線変更支援、後退時のトラフィックアシストなどの機能を自動車に提供しています。

同社では、将来的にはカランバ工場で1000万台以上の短距離レーダーセンサーと、100万台以上のカメラシステムを製造する計画で、多機能カメラ一体型レーザーセンサーも今年秋には生産を開始する予定としています。

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自動運転・ADASというこれからの自動車の鍵を握るキーテクロジー分野で、日本を含むアジア地域でのコンチネンタルの動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:コンチネンタル)

コンチネンタルが「Toyota Safety Sense C」開発で「技術開発賞」を受賞。その意義とは?

ドイツの自動車部品大手のコンチネンタルは、トヨタの衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」の開発への貢献で、トヨタから技術開発賞を受賞したと発表しました。

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トヨタ衝突回避支援パッケージにはプリクラッシュセーフティ(PCS)、レーンディパーチャーアラート(LDA)、オートマチックハイビーム(AHB)といった、ドライバーをサポートする機能が含まれており、パッケージ化することで、衝突回避の支援、車線逸脱による衝突事故の回避支援、夜間走行時の安全性向上、といった交通事故予防における3つの主要な分野に対応しています。

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トヨタの「2016グローバル仕入先総会」で行われた授賞式で技術開発賞を授与された、コンチネンタル・コーポレーションの取締役会会長のエルマー・デゲンハート(Dr. Elmar Degenhart)氏は

「大切なお客様からこのような賞を頂戴しましたことは、非常に名誉なことであり、安全性の向上を目指す、これまでの努力が認められたものと思っています。145年の歴史をもつドイツ系テクノロジーカンパニーとして、高品質と安全なモビリティを追及されるお客様を、今後もサポートしてまいります。」

と受賞の喜びを語りました。

コンチネンタルが受賞したトヨタの技術開発賞は、最新技術によりトヨタの商品力向上に大きな成果をあげた仕入先に贈られるもので、受賞の対象となった統合センサーモジュールMFLは、カメラとレーザーレーダーを単体のコンパクトユニットに統合したものです。

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このセンサーモジュールは車両前方の障害物を検知し、衝突の危険がある場合にはドライバーにブザーとディスプレイ表示で警告します。

万が一、衝突が避けられないとクルマが判断した場合には、自動ブレーキで衝突回避、または衝突被害軽減をサポートします。このPCSに加え、MFLは車線逸脱による事故に備えるLDAの他、AHBといったToyota Safety Sense Cの機能実現に貢献しています。

コンチネンタルは、このセンサーモジュールをトヨタが世界で販売しいる10車種以上に供給しています。

最近、自動車業界では系列やグループの枠から外れた取引が広がっており、従来ではトヨタ系の自動車部品会社との取引がほとんどを占めていたトヨタに、コントネンタルが今回のセンサーモジュールの納入で成果を挙げたことが注目されます。

今後ますます系列やグループの枠を越えた自動車部品のサプライチェーンが形成されることが予想されます。

(山内 博・画像:コンチネタル・コーポレーション)

642psにまで向上したベントレー・コンチネンタルGTスピードが登場

従来の635psでも十分に圧倒的ですが、マイナーチェンジを受けたベントレーのコンチネンタルGTスピードは642psまで最高出力が向上し、最大トルクも20Nmアップの840Nmというとんでもない数値になっています。

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6.0LのW12気筒を搭載し、ベントレー最速を誇るコンチネンタルGTスピード。フェイスリフトも受けた最新モデルは、ブーストコントロールを入念に最適化することで幅広い回転域でトルクアップを実現したそうです。

2000 rpmから5000 rpmまで途切れることなく湧き上がる最大トルクにより、加速性能が飛躍的に向上し、0-100 km/h加速は4.1秒で到達。

同時に発表された「Black Edition」の外観は、ボディカラーをより引き立てるべく、ウィンドウ周辺やランプベゼルなど、エクステリアのブライトウェアに高光沢のブラック仕上げが施されています。

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21インチの 5本スポーク・ディレクショナルホイールはオールブラックで、その間からのぞく特徴的なブレーキキャリパーは、レッドまたはブラックを選択可能。

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さらに魅力的なアクセントとして、フロントスプリッターとサイドスカート、リヤディフューザーにコントラストカラーを設定。

「Hallmark」、「Beluga」、「St. James’Red」、新色の「Cyber Yellow」の4色が用意されるほか、ドアミラーにもこのコントラストカラーを選択することもできます。

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インテリアにもダークトーンとアクセントカラーの組み合わせが採用されていて、フェイシア、センターコンソール、ルーフコンソールにカーボンファイバーが配置されています。

ほかにも、シートやセンターコンソールに、「Black Edition」専用のカラースプリットによるコントラストカラーのレザーを用意。

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エクステリアのアクセントカラーに合わせて、「Porpoise」、「Beluga」、「Pillar Box Red」、そして新色の「Cyber Yellow」が設定され、それぞれのドアと「Mulliner」製のGT専用デザインシートに施されたダイヤモンドキルトにはコントラストステッチも効いているのも特徴。

なお、新型GTスピード、GTスピード「Black Edition」の日本での価格は現時点では未定だそうですが、2016年度中の納車が予定されています。

(塚田勝弘)

自動運転技術の開発強化へ向け、高解像度3Dフラッシュライダー技術をコンチネンタルが獲得

独コンチネンタルは米国・カリフォルニア州サンタバーバラに本社を持つAdvanced Scientific Concepts, Inc. (ASC)から高解像度3Dフラッシュライダー(以下、FL)事業を取得することを発表しました。

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コンチネンタルは、ASC社のFL事業を買収して、コンチネンタルの自動運転部門を強化することを狙っているようです。

既存のコンチネンタルの運転者支援システム(ADAS)製品ポートフォリオをFL技術で補完し、高度自動運転や完全自動運転の実現に必要となる周辺センサー群にFL技術を組み込むものと見られます。

ASC社のFL技術の特長は、リアルタイムの画像認識と周辺環境認識を同時に実現できることです。FL技術を自動運転のサンサー類やMPUに組み込むと、より詳細・正確に車両周囲の視界を認識し、昼夜問わず、悪天候下でも性能を発揮することができることになります。

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コンチネンタルでは、車両の周囲を検知するさまざまなセンサー類を開発しており、まずセンサー類にFL技術を組み込むと思われます。

コンチネンタルのシャシー&セーフティー部門の先進運転者支援システム(ADAS)事業部を統括するカール・ハウプト氏(Karl Haupt)は、

「自動運転レベルを安全に高めていくには、幅広い環境センサー類が必要です。コンチネンタルは、これまでにレーダー類、カメラ、そしてデータ融合の分野で能力を発揮してまいりました。自動運転の開発において、業界リーダーの地位を高めるためには、ASC社のFLを製品群に加えることが非常に重要だと考えています」

と説明しています。

事業統合にあたり、ASC社の従業員はコンチネンタルのシャシー&セーフティー部門ADAS事業部に加わり、カリフォルニア州サンタバーバラに事業部を構えることになります。買収価格については非公表です。

コンチネンタルの取締役会メンバーでシャシー&セーフティー部門プレジデントを務めるフランク・ヨーダン氏(Frank Jourdan)は

「コンチネンタルでは、自動運転といった次世代技術に継続的に投資しています。自動運転は将来のモビリティの主要な要素であることは明らかであり、ADAS製品(先進運転者支援)ポートフォリオの拡充はその基礎なのです」

と述べています。

2012年12月、コンチネンタルはサプライヤーとして初めて、アメリカ・ネバダ州DMV(自動車登録免許管理局)から承認を受け、公道での自動運転カーの試運転ライセンスを取得し、72,000マイル(約115,880キロメートル)以上を高度自動運転モードで走行しました。

アメリカ、ドイツに続き、コンチネンタルでは日本でも自動運転への取り組みを開始しています。

コンチネンタルというとタイヤメーカーという印象ですが、傘下にオートモティブ・グループを抱える欧州での自動車部品メーカー大手としての顔もあります。

完成車メーカー、部品メーカーを問わず、自動運転に対する動きが激しくなっており、自動運転の分野でもコンチネンタルの今後の動向に注目が集まっています。
動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:コンチネンタル)