Motor Fan's YEAR 2016

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メルセデス・ベンツGLSは「SUVのSクラス」にふさわしいの走り

メルセデス・ベンツGLSは、2016年4月末に受けたフェイスリフトで、メルセデス・ベンツGLクラスから車名も変更しました。GLCやGLEなどと同様に、SUVを示す「GL」に、車格を表す「S」が付けられたことになります。

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今回試乗したのは最上級グレードで1900万円というプライスタグをぶら下げる「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC」。

最量販グレードの「GLS 350 d」系は右ハンドルなので、全長5130×全幅1980×全高1580mmという巨体でも少しは扱いやすいかもしれません。

最大の注目であるエンジンは、5.5L V8の直噴ツインターボ。585ps/760Nmの強大なパワー/トルクはもちろんクラス最強です。同グレード以外のGLSは9ATですが、強大なトルクに対応すべく7ATが搭載されています。

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スタータースイッチを押すと、ド派手な始動音とともに目覚める5.5L V8ツインターボは、街中で走り出すと意外とジェントルで拍子抜け。さらに踏み込むと、希薄なスピード感で速度を上乗せしていく感じは恐ろしさの片鱗を見せるものの、本領を発揮するのは空いている高速道路ということになります。

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しかし、同じ585ps(最大トルクは760Nm)を発生する「メルセデスAMG GLE 63 S 4MATIC」と比べると、2.6tを超える超重量級ということもあってか(GLE 63 S よりも220kg重い)、暴力的な加速でもどこか抑制された感じがします。

それでも、こんな巨体がこんなに速くていいの!? という恐怖心もつきまといますから、高速道路ではレーダーセーフティパッケージのディストロニック・プラスとアクティブレーンキープアシストを使ってゆったりと走る方が向いているかもしれません。

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モンスターSUVなのにそんな気分にさせるのは、22インチとは思えないほど良好な乗り心地。AMG専用のエアサスペンション「AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション」による恩恵は、快適な乗り味だけでなく、「Sports」モードにすれば巨体でも正確なハンドリングに寄与してくれます。

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1900万円もの価格に目を奪われる「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC」。このグレードに7人乗りのニーズがどれくらいあるか分かりませんが、多人数乗車が可能で、かつ快適な俊足SUVと考えればお値段以上の価値があるのかも!?

(文/写真 塚田勝弘)

メルセデス・ベンツ GLが「GLS」になってどう変わった?最上級SUVに試乗

フルサイズの3列シートSUVであるメルセデス・ベンツGLS、しかも最上級の「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC」に試乗する機会がありました。

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GLSは、メルセデス・ベンツのSUVであることを示す「GL」に、車格を表す「S」を付けたもので、2016年4月27日にフェイスリフトとともに車名を「GL」から変更。

なお、3列シートを有するフルサイズSUVは、輸入車ではオプションで用意するアウディQ7やBMW X5、ボルボXC90、レンジローバー・スポーツ、キャデラック・エスカレードなどがあります。

メルセデス・ベンツGLSは、今回のフェイスリフトで2本のルーバーと大型化されたエアインテークなどによりAMGフェイスになっているほか、写真の「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC」には、現在のメルセデス・ベンツで最大径となる22インチタイヤを装着。

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インテリアは、車名からも分かるように「SUVのSクラス」を名乗るだけあって質感の高さを抱かせます。

ただし、センターのディスプレイは後付け感があり、インパネのスイッチ類が数多く配置されているなど、ひと世代前の設計。にもかかわらず「COMANDシステム」は最新バージョンになっているなど、ややチグハグな印象を受けます。

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3列どの席に座ってもゆったりと座れるシートサイズ、そしてゆとりある頭上、足元スペースが確保されているのは、全長5130×全幅1935×全高1850mmという巨体からすると当然かもしれません。

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「GLS 550 4MATIC Sports」と「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC」は左ハンドルで、主力グレードのGLS350d系が右ハンドルとなっています。価格帯は「GLS 350 d」の1070万円から「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC」の1900万円です。

(文/写真 塚田勝弘)

メルセデス・ベンツGLSが新登場! 新型ボルボXC90や新型アウディQ7との競争激化は必至!?

メルセデス・ベンツのSUVは、「別格」のGクラスをのぞき、SUVを表す「GL」に車格を表すアルファベッドを末尾に加えるという、モデル名の整理が「SUVイヤー」の2016年に着々と進行しています。

最初からモデル名が「GLA」だったAクラスベースのSUVモデルは別にして、「GL」に「C」で「GLC」、「GL」に「E」で「GLE」と、マイナーチェンジやフルモデルチェンジを機に改名されているわけです。

今回、3列7人乗りの「GL」が「GLS」に変更されました。「GL」は、オフロード系のGクラスをのぞき、メルセデス・ベンツSUVの最上級という位置づけでしたが、車格を表す「S」が付くことでより理解しやすくなったといえます。

新生「GLS」の外観は、スポーティでダイナミックな最新のメルセデスデザインとSUVのデザイン要素が組み合わされているのが特徴で、最新メルセデスの最上級SUVにふさわしいエクステリアに刷新。

フロントグリルは、2本のルーバーと大口化されたエアインテークなど特徴的なAMGデザインに変更され、迫力を増しています。

ほかにも、アンダーガードやルーフレール、サイドスカートなど随所にクロームルックのエクステリアパーツを取り入れ、スポーティなムードとSUVのデザイン要素を融合。

また、AMG仕様の「メルセデスAMG GLS 63 4MATIC」の足元は、メルセデス・ベンツの現行ラインアップで最大径となる22インチのブラックAMGマルチスポークが足元の存在感を圧倒的なものに仕上げています。

インテリアは、車格を表す「S」からも分かるように、Sクラスと同等の上質感の追求が見どころ。

3列すべての席にエルボールームとヘッドルームが広く確保されていて、大人7人がゆったりとくつろげる室内空間が特徴です。また、シートレイアウトを変更することで、ラゲッジ容量を680Lから最大2300Lまで調整することが可能。

シャーシでの注目ポイントは、路面状況や走行状況に応じてばね定数や減衰力、車高を自動的に調整する「ADS PLUS(アダプティブ・ダンピング・システム・プラス)」付電子制御式エアサスペンションの「AIRマティックサスペンション」の装備で、最新のフルタイム四輪駆動機構「4MATIC」が用意されています。

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ほかにも、今回の変更により最新の9AT「9G-TRONIC」が採用され、「4MATIC」と組み合わせて様々な天候や路面状況下で常に最適なトラクションを確保(GLS 350 d 4MATIC、GLS 350 d 4MATIC Sports、GLS 550 4MATIC Sportsに設定)。

エンジンは、「GLS 350 d 4MATIC」と「GLS 350 d 4MATIC Sports」に搭載される3.0L V型6気筒「BlueTEC」は、ピエゾインジェクターを採用した最新のコモンレールシステムや電子制御式可変ターボチャージャーなどの先進テクノロジーにより、最高出力258ps、最大トルク620Nmという強大なトルクを発生し、大型SUV モデルに相応しい力強い動力性能を確保。

安全装備では、全車に標準装備される「レーダーセーフティパッケージ」をはじめ、車両周囲の状況をモニターする「360°カメラシステム」や、自動操舵・ブレーキ機能により縦列駐車と車庫入れをアシストする「アクティブパーキングア シスト」を全モデルに標準で用意。

価格は、3.0LのV6直噴ディーゼルターボ「GLS 350 d 4MATIC(受注生産)」が1070万円、同エンジンの「GLS 350 d 4MATIC Sports」が1190万円4.7LのV8直噴ツインターボを積むGLS 550 4MATIC Sports」が1500万円5.5LのV8直噴ツインターボを搭載するメルセデスAMG GLS 63 4MATICが1900万円となっています。

新型ボルボXC90や新型アウディQ7など、日本ではフルサイズといえる3列大型SUVの新型が続々と登場していますが、メルセデス・ベンツGLSの登場で、再びフルサイズSUVの注目度が高まりそうです。

(塚田勝弘)