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NEDO、フィリピンで電動3輪車による新公共交通システムの実証事業を開始

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、フィリピンで電動3輪車を使った新公共交通システムの実証事業を開始したと発表しました。

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今回のNEDO実証事業は、フィリピンの貿易産業省(DTI)およびイントラムロス監督庁(IA)と共同で、日本のソフトバンクを委託先として、電動三輪自動車とEVエコシステムを組み合せた新公共交通システムの実証事業を行うものです。

具体的には、2016年10月から2018年9月までの2年間で、マニラ市内の観光・文教地区であるイントラムロスで実施され、現地の交通事情に合わせた定期運行管理、車両稼働率管理、EV充電管理を行って、現地ニーズに適合した公共交通システムであるかを検証する、ということです。

フィリピンでは、125ccのガソリンバイクにサイドカーをつけた「トライシクル」と呼ばれる3輪タクシーが400万台も走っており、年式の古いトライシクルが大気汚染や交通渋滞の原因になっています。

フィリピン政府はトライシクルの電動化を進めており、愛媛県の渦潮電機が2014年からトライシクルを電動化した「e-トライクル」を現地で生産する事業を開始しています。

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今回の実証事業は、現地で生産されている「e-トライクル」に代表される電動3輪車にクラウドを利用した「EVエコシステム」を組み合わせて、①個別認証を含む充電インフラ、②運行管理・アセット管理をするテレマティクス、③運賃課金等のサービスプラットホーム、④車両に搭載する通信機器の4テーマについて実証するものと見られます。

NEDOは、今回の実証事業で電動3輪車を使った新公共交通システムを実現して、エネルギー消費量を85%削減することを目指しています。

(山内 博・画像:NEDO、渦潮電機)

NEDOが「超急速充電」できる2階建てEVバスを実証試験!

経済産業省が所轄するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、重量の制約上、EV化は困難とされていた2階建て大型EVバス(ダブルデッカー)の実証試験をマレーシアで実施するそうです。

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同機構は2015年度から現地で実施しているEVバスシステム実証事業を通して、マレーシアの都市交通スマート化と、都市交通事業の広域展開を目指しています。

実証試験は東芝、ピューズ、ハセテック、オリエンタルコンサルタンツグローバルの4社、及びマレーシアのバス運行会社であるPAPSB社と共同で行う模様。

NEDOとマレーシアのプトラジャヤ市が6月3日、新たな実証試験で協力して行くことで合意、基本協定書を交わしました。

主な実証内容は以下の3点となっています。

・超急速充電が可能な超寿命二次電池搭載のEVバス走行
・超急速充電システムの現地設置
・バス運行状況モニタリング、電池の品質、充電状態確認

実証試験用の2台のEVダブルデッカー(長さ12m)は、僅か10分間で充電できる「大電力充電技術」を採用、ディーゼルバス並みの運行性能を保有しているといいます。

NEDOは日本の技術を活用し、現地企業とも連携しながら、本事業をショーケース化することで、マレーシアがASEANのEVハブとなることに貢献、都市交通パッケージ事業の広域展開を目指すとしています。

Avanti Yasunori

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リチウムイオン電池を超えるか?「RISINGⅡ」事業スタート

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、リチウムイオン電池(LIB)を超える革新型蓄電池を開発するRISINGⅡ事業に着手すると発表しました。

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RISINGⅡでは、大学・研究機関、企業の3者が連携(集中研方式)して、現行LIBの5倍のエネルギー密度を持つ革新型蓄電池を開発し、容量5Ah級の実セルを試作する予定です。

2030年には開発した革新型蓄電池を普及価格帯の電気自動車(EV)などへ車載化することを目指しています。

今回のRISINGⅡには、京大を代表機関に16大学、10企業、4研究機関が参加しており、自動車関係ではトヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車などが、電気関係ではソニー、パナソニック、日立製作所などが名を連ねています。

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NEDOは前身のRISING事業を2015年度まで実施し、RISING事業で革新型蓄電池として亜鉛空気、ナノ界面、硫化物の3タイプでエネルギー密度300Wh/kgを検証し、現行LIBの5倍に相当する500Wh/kgも可能という見通しが得られました。

そこでRISINGⅡでは、2016年度から2020年度までの5年間に150億〜180億円(予定)の予算をかけて容量5Ah級の革新型蓄電池の実セルを試作し。2030年度には航続距離が500kmのEVを実現したいとしています。

RISINGⅡでの研究開発項目は、その難易度が極めて高いことから、大学・公的研究機関と蓄電池メーカー・自動車メーカーの連携体制を作って、学のサイエンスと産のエンジニアリングを融合させて技術的なブレークスルーを目指すとしています。

実用化の目標時期である2030年から逆算すると、今後の開発スケジュールとして、2020年代前半までに革新型蓄電池の有望な電池タイプ・構成材料を絞り込んでセルの基本仕様を固め、電池モジュール・システムの開発フェーズに移る必要があるとNEDOでは見積もっています。

(山内 博・画像:NEDO)