Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

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モトチャンプ

ジャガー・ランドローバーがクラシックカーの試乗、購入が可能な拠点を設置へ

2015年4月〜2016年3月期に、初めて世界販売台数50万台を突破したジャガー・ランドローバー。現在はインドのタタ傘下とはいえ、英国を代表する伝統ある自動車ブランドだけに数多くの名車を世に送り出してきました。

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好調なセールスを支えているのは、F-PACEなどの新車ラッシュによるものが大きいでしょうが、一方で近年、注力しているのはクラシックカー・ビジネス。

750万ポンド(約10億4,250万円)を投じて、クラシックカーの販売をはじめ、レストア、パーツの供給、ドライビング・エクスペリエンスの提供を担うジャガー・ランドローバー・クラシックのための土地を英国コベントリーに取得し、新たに本部を開設するそうです。

オープンは2017年初頭の予定で、場所は2,000万ポンド(約27億8,000万円)を投資してコベントリーに新設された「スペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)」のテクニカル・センターの近く。

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なお、「スペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)」は、ビスポークオーダーをはじめ、「SVR」などのハイパフォーマンスモデルなどを生み出すジャガー・ランドローバーのスペシャリティ軍団。

ハイパフォーマンスモデルを生み出す部門とクラシックカーを扱う部門が隣接するとは、現在の同社を象徴する戦略と言えそうです。

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拡張されたジャガー・ランドローバー・クラシックの拠点では、ジャガーとランドローバーの2ブランドの貴重な歴史的モデルのコレクションの保管およびメンテナンスを担います。

またユーザーは、製造された当時を再現、レストアされたジャガーおよびランドローバーのクラシックカーを見たり、購入したりできるだけでなく、実際に走行体験することができるようになるそうです。

(塚田勝弘)

トヨタ博物館が「第27回 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル」を開催

トヨタの文化施設であるトヨタ博物館(愛知県長久手市)は、「第27回 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル」を5月29日(日)、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で開催します。

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愛・地球博記念公園をメイン会場に、クラシックカーによる公道パレードのほか、多彩なプログラムを予定しています。

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今回、Classic Car Studio(CCS)の新コンテンツ「エンジンサウンドパフォーマンス」も新たなプログラムに加えられました。

あわせて、「1920〜30年代 飛躍的に発展した欧米車と緒についた日本車」と題した企画展示も実施されます。

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この企画展示では、1920〜30年代を象徴するパッカード ツインシックス(1920・米)、ホルヒ 853(1937・独)、トヨダAA型乗用車レプリカ(1936・日)等、トヨタ博物館収蔵のクラシックカー5台を展示し、Classic Car Circuit(CCC)では走行披露もする、ということです。

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開催概要は、以下のとおり。

【日時】
5月29日(日) 8:45〜16:00(入場無料)、雨天決行
(天候等諸事情によりプログラムが変更となる場合があります)

【会場】
愛・地球博記念公園(モリコロパーク)

【参加車両】
一般参加車両 約150台、収蔵車両 11台など

【内容】
1. クラシックカーパレード
2. 車両展示・走行披露、記念撮影、同乗試乗会
3. 各種イベント

(山内 博・画像:トヨタ)

1972年のル・マンでクラス優勝を遂げたポルシェがレストアされて登場

新車登録から13年以上(ディーゼル車は10年)経過すると、自動車税が約15%割増になります。日本の税制は古いクルマには乗るな! といっているように思えますが、それは果たして「エコ」なのか、こうした指摘は確かにと頷きたくなります。

それは、ドイツやイギリス、スイスなどの欧州では旧車への優遇措置があるか、あるいは古いから税金を上げるといった税制がないという、対比からくるものもあるでしょう。

確かに欧州に行くと街中にたたずむ古いクルマを見かけると、よくいわれるように、文化も違うのかなという気もしてきます。

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それでもヒストリックカーイベントなどもあるじゃないか、という声もあるでしょうが、税金も含めた維持費を考えると、羨ましいけどなかなかできないよな、という感じもします。

さて、ポルシェAGから「911 2.5 S/T」のフルレストアのニュースが発表されました。

ポルシェ クラシックのスペシャリストによりじつに2年の歳月をかけてレストアされたという、1972年のル・マンでクラス優勝を飾ったモデルです。

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ポルシェは、クラシックモデルの強化を掲げていて、今年の4月6日〜10日にエッセンで開催された世界最大級のクラシックカーイベント「テクノクラシカ」の祭典にも出展。

この「テクノクラシカ」の開幕を記念して、波乱に富んだモータースポーツの歴史とともにレストアされた「911 2.5 S/T」が紹介されたわけです。

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ポルシェ クラシック代表のアレクサンダー・ファビック氏は、

「911 2.5 S/Tは、数年前に米国のコレクターによってレストアベースの状態で探し出されました。ポルシェのスペシャリストたちの巧みな作業によって、このスポーツカーは最高水準の状態によみがえりました」

と語っています。

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見つかったクルマは本当に稀少なものだそうで「911 2.4 Sクーペ」をベースとしてわずか24台が製造されたレーシングカー。

「911 2.5 S/T」は、グループ3(市販車ベースのGT車両)とグループ4(改造を施したGT車両)のカスタマースポーツ用に開発されたモデルで、1971年末に当時のDr.Ing.h.c.F.Porsche KGスポーツ部門から49,680マルクで限定発売されました。

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「911 2.5 S」は、タルガ・フローリオ、ル・マン、ラリーなどのサーキット用に開発された「911 2.4 Sクーペ」のワークス改造仕様であり、国際スポーツレギュレーションにしたがって厳密に変更され、特別仕様の価格はプラス19,000マルクだったそう。

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「最新のポルシェが最良のポルシェ」というフレーズは、新しい商品(クルマ)にベストを尽くすというメーカーとして当然の姿勢を示しているだけで、ポルシェの旧車への愛を感じさせます。

(塚田勝弘)