Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

「とにかく凄すぎて笑いが止まらない」メルセデスAMG GT R、日本上陸へカウントダウン?

日本メーカーも威信をかけて参戦するニュルブルクリンク24時間耐久レース、2016年の総合優勝マシンがメルセデスAMG GTだったことは記憶に新しいところでしょう。

そのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)の別名ともいえる「グリーンヘル(緑の地獄)」という名前のボディカラーをまとった「AMG GT R」の国際試乗会が開催され、現地からの画像が届きました。

16c1112_012

フロントにV8エンジン、リアに7速DCTトランスアクスル(変速機とファイナルギアを一体化したユニット)を配したフロントミッドシップFRであるAMG GT。4.0L・V8ツインターボエンジンの最高出力は585馬力、最大トルクは700Nmまでアップされています。

モータースポーツ由来という空力ボディも魅力です。その象徴といえるのが、レース専用車であるGT3と同様の縦格子のフロントグリル。フロントバンパー、リアウイング、そしてフロア下の整流効果まで、その空力ボディの迫力はデジタルデータである画像からも感じられるほど。

果たして、日本での発売価格は? そのステアリングを握ることができるのは、選ばれし人物になるのは間違いないといえそうです。

(写真提供:メルセデス・ベンツ日本)【関連記事】

「緑の地獄」という名のボディカラー ─ 『メルセデスAMG GT R』画像ギャラリー・その1
http://clicccar.com/2016/06/27/381807/

レース専用車GT3のグリルを受け継いだ量産市販モデル ─ 『メルセデスAMG GT R』画像ギャラリー ・その2
http://clicccar.com/2016/06/27/381841/

F4は世界に通用する!イタリアGTで優勝の根本選手、FIA-F4では東京トヨペットとタッグ!【SUPER GT2016】

SUPER GTグランドファイナルと併催の第14戦で若干17歳の宮田莉朋選手がチャンピオンとしてシーズン2年目を終えたFIA-F4。

このカテゴリーは若手育成を目的として2015年に新設されたカテゴリーであり、SUPER GTのオーガナイザーであるスーパーGTアソシエーションが開催の名乗りをあげ、国内で最も集客の多いSUPER GTと併催することで、これから成長していくであろう若手への注目を最大限に拡げていこうと言う目的があります。

実際、2015年にランキング2位となりFIA-F4を卒業した牧野任祐選手は、SUPER GTの鈴鹿1000kmの予選でシンティアムアップルロータスに乗りQ1を担当、Q2を含めたGT300全ての中でトップタイムをマークし、次戦のタイからはドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTのドライバーとしてGT500に抜擢されるなど、FIA-F4出身のドライバーの活躍が目立ちます。

006

今期、FIA-F4を走りながら海外で大活躍したドライバーが根本悠生選手。

004

1996年09月22日生まれの20歳。今期FIA-F4ではランキング13位と中段の成績となってしまいましたが、実は海外では大きな成績を残しているのです。

15271478_628073694042989_1364707179_o

9月10~11日にイタリアのヴァレルンガサーキットで開催されたイタリアGT選手権に、VSRチームから出場。初めての海外、初めてのGT3、初めてのランボルギーニ、という状況にもかかわらず、なんと予選2位!

15239355_628073687376323_991752516_n

10日に開催されたレース1決勝では5位に入ります。これだけでもすごいことなのですが、翌11日に開催されたレース2ではなんと優勝!イタリアでは名も知らない19歳(レース当時)の日本人がいきなり優勝ということでテレビや新聞が大きく取り上げた、とのこと。

15228094_628073610709664_85879573_n

しかもドライバーオーディションから4日後にはレースⅠというスケジュールでの優勝は、根本選手とともにFIA-F4のレベルの高さをうかがえます。

011

そんな根元選手は、国内のFIA-F4でも概ね予選6〜7番手とグリッド3列目から4列目のいい成績を狙えるポジションにつけています。ただし、このポジションは逆にレベルが拮抗してトラブルに巻き込まれやすい位置でもあります。

008

実際、11月12日のSUPER GT第3戦代換えレース時に開催されたFIA-F4第6戦代換えレースではオープニングラップのヘアピンで接触、2周目の第1コーナーでも接触によるコースアウトなどで最下位に近いところまで大きく順位を落としてしまいますが、その後10台以上を抜き去り20位まで登っていきます。

003

数値としては現れにくい今期のFIA-F4でしたが、期待値の高さはかなりのもので、あのスーパーフォーミュラーでチャンピオン争いを展開した関口雄飛選手もグリッドに激励に来るほど。

009

メインスポンサーとなる東京トヨペットも、その期待値を評価してのスポンサードを展開しています。

東京トヨペットでは富士ともてぎで開催の3大会7レースでディーラーメカニックを派遣、「多くの体験と多くの知識を取得し、お客様のおクルマの整備にも活かしていく」とのこと。また販売店での根元選手とのコラボレーション企画中で、モータースポーツをハード面、ソフト面ともに活用していくそうです。

010

最後に根元選手にFIA-F4とランボルギーニのGT3マシンとの違いをうかがってみました。

「車重とタイヤが大きな違い。でもランボルギーニはよく止まるし、よく曲がる素晴らしいクルマでした。高価なクルマなのでビビッていましたが、乗りやすさのおかげでいい成績が残せました。初めてのツーリングカーでもタイムを出せたのはシミュレータートレーニングなどチームサポートのおかげもありました」

「FIA-F4はかなりクセの多いクルマだと思いますが、これを乗りこなすことができれば他のカテゴリーに移行するのはスムーズではないかとは思います。それと体重の軽い選手の方が有利な面もクセのひとつかもしれません。基準体重があって、それよりも軽い選手はウェイトを積むのですが、そのウエイトをバランスのよい場所に置くことでマシンの特性を変化させることができるのです」

「身長が高いとどうしても落とせる体重に限界がありますが、それを言い訳にするつもりはありません。自分の弱点は見えているので、それを克服してフォーミュラーでも活躍できる選手になっていきたいと思います」

002

海外での優勝でも驕り高ぶることなく、国内の課題を解決して次へのステップを駆け上ろうとする根元選手。来年の動向が今から気になります。

(写真・文:松永和浩 イタリアGT写真提供:根本悠生)

FIA-F4もてぎ3連戦。2016年のシリーズチャンピオンは17歳の宮田莉朋!

11月12〜13日にツインリンクもてぎで開催されたSUPER GT グランドファイナルと併催となった、FIA-F4選手権。熊本地震の影響で中止となった第6戦を加えた3連戦という忙しいスケジュールとなり、第6戦と第13戦の予選は11日に行われることとなりました。

101

結果を先に言ってしまうと、FTRSスカラシップの17歳、宮田莉朋選手が最終第14戦の順位によりチャンピオンを決めました。

102

金曜日の11日に行われた予選では各選手のトップタイムが第6戦、セカンドタイムが第13戦のスターと順位となる方式。なお第14戦のスタート順位は第6戦のベストラップが採用されるという方式となります。

105

11日に行われた予選では、第6戦、第13戦ともに11号車 エヴァRT弐号機 tanzen Rn-sの大湯都史樹(おおゆ としき)選手がポールポジション。

103 104

12日の朝の第6戦と夕方の第13戦のグリッドではエヴァ旋風が巻き起こります。

106

12日、SUPER GTの公式予選が終わった午前9時49分、第6戦決勝のフォーメーションラップがスタート。

前日からの雨は上がっていたものの路面はハーフウェットのコンディションで各マシンはタイヤチョイスに悩むところ。ポールポジションの大湯選手、予選2番手でポイントリーダーの36号車 宮田選手などはレインタイヤを装着。スタートはレインタイヤ勢が好スタートを切っていきました。

107

しかし2周目の第1コーナーで4番手争いのマシンがスピン、コースアウト。この区間がイエローフラッグとなり、絶好のパッシングポイントが封じられてしまいます。ただしセーフティーカーの導入にはならずレースは続行。3周目に入る頃の順位も予選順位から2位と3位が入れ替わっただけ。

しかし、中盤グループにとどまっていたスリックタイヤ勢がこの辺りからタイムを伸ばし始めていきます。

108 109

レース中盤、路面がドライになり始めたあたりでスリックタイヤ勢が圧倒的な速さで順位を大きく入れ替え、トップには60号車 川合孝汰選手、2位に4号車 河野駿佑選手が上がってきます。

111

そして最初に2分を切って周回を始めた62号車 平木湧也選手がベストラップをマークしながら3位に浮上。このタイムで第14戦の2番グリッドを獲得します。

112

中盤以降、コースがドライ路面になったことによりスリックタイヤを選択した選手が上位を占め、第6戦は60号車 川合孝汰選手が優勝。

116

2位に河野駿佑選手、3位に平木湧也選手となりました。

113

12日のSUPER GT第3戦終了後に開催された第13戦は完全なドライコンディション。

スタートはポールポジションの大湯選手が出遅れ、2番手の宮田選手がイン側から、3番手の9号車 阪口晴南(さかぐちせな)選手がアウト側から大湯選手をかわして前へ出ます。

宮田選手は阪口選手をⅠコーナーで抜き、2コーナーをトップで抜けますが、3コーナーで再び阪口選手がトップ、その後の5コーナーでは大湯選手が宮田選手をかわし、宮田選手は3位後退と、1周目から激しいバトルが展開。

126

大湯選手と宮田選手はチャンピオン争いがかかっているだけに、その後も激しいバトルを展開します。5周目の第1コーナーでは宮田選手が大湯選手を抜き2位に浮上。

7周目には宮田選手は阪口選手をとらえるも、両者接触。宮田選手は右側のフロントウイング翼端板を失います。そこに大湯選手が襲いかかり2位浮上。しかし翌周の90度コーナーでコースアウト。すぐに復帰しますが宮田選手が前に出て再び2位へ。

115

その後も宮田選手は猛追しますが、阪口選手が今期初優勝でチェッカー。2位に宮田選手、3位に大湯選手が入賞し、ポイントランキングは宮田選手142ポイント、阪口選手138ポイント、大湯選手125ポイントでこの時点でもまだチャンピオンは決定しません。

第14戦は第6戦のベストラップで予選順位が決まるため、チャンピオン争いの3名は後方からのスタートとなるために、どこかで大きくジャンプアップを果たさないと宮田選手のチャンピオンが優勢となります。

119 118

第14戦は13日、SUPER GT最終戦の予選後に行われました。ポールポジションは16号車篠原拓朗選手。WEC世界耐久選手権 富士6時間レースでグリッドボーイに抜擢されるなど、成績としては現われていませんが、一発の速さの面では注目の選手です。

120

2番グリッドは第6戦で3位となった平木湧也選手。8月7日の富士、第10戦で優勝した経験もあり今戦では大注目。

117

3番グリッドは第6戦で2位となった河野駿佑選手。

チャンピオン争いの3選手は大湯選手が20番手、宮田選手が25番手、阪口選手が33番手とかなり後方からのスタートとなります。

121

第14戦で好スタートを切ったのは平木選手。第1コーナーまでにトップに躍り出ます。

001

しかし最終戦ともなると各選手がヒートアップ。オープニングラップのヘアピンでアクシデントが起こりいきなりセイフティーカーが導入されます。

リスタートを切ったのは3周目、平木選手はトップを維持しますが、篠原選手は1秒未満で平木選手を追い、かなりの接近戦でプレッシャーを与え続けます。

125

この接近戦に50号車 澤田真治選手が加わり、3台が1秒未満の争いで周回が進んでいきますが、どれも前を走るマシンを捕まえるにいたりません。

122

結果的に3台が接近戦を繰り広げながらも順位が変動せず、平木選手がトップでチェッカーをくぐります。

002 124

平木選手にとっては今期2勝目。

003

この3連戦でただ一人、複数回(2回)の表彰台となりました。

123

チャンピオン争いは大湯選手が10位、宮田選手が11位と大湯選手が前に出ましたが、ポイントは1ポイントを獲得したにとどまりポイントランキングは変動なしで、宮田選手が2016シーズンのチャンピオンとして名を刻むこととなります。

001

今シーズンは8月の富士3連戦で最年少優勝と最年少連勝記録を果たした宮田選手が、最年少でシリーズチャンピオンを獲得という、ヤングバトルが繰り広げられるFIA-F4らしい展開となりました。

来年も新たなヤングファイターが多数登場することが期待されるFIA-F4。楽しみなレースシリーズですので、皆さんもSUPER GTとともにぜひご観戦、応援をお願いいたします。

(写真・文:松永和浩)

モリゾウ選手こと豊田章男社長はTeam TOYOTAドライバーの頂点だった【TGRF2016】

TOYOTA GAZOO RACING FESTIVAL(以下TGRF)が11月27日に富士スピードウェイで開催されました。直前に季節はずれの大雪が降り、また当日も朝から濃霧が立ち込めるような悪天候にもかかわらず、入場者数は4万人と大盛況。

016

SUPER GTではGT500がDENSO KOBELCO SARD RC F、GT300がVivaC 86 MC、ともにトヨタ系チームがチャンピオンを獲得。、スーパーフォーミュラーもINGINGの国本雄資選手がチャンピオン、全日本ラリーでもオーバーオールのJN6でグループのスバルがチャンピオンを獲得したほか、JN4、3、2の3クラスもトヨタ系チームがチャンピオンを獲得。さらに、ルマン24時間では23時間55分までトップと、今年のトヨタのモータースポーツは本当に強かった。

003

そんなトヨタがWRC世界ラリー選手権に復帰するとなれば、大注目されるのは必至。TGRFのオープニングセレモニーでは、WRC参戦マシンのヤリスが派手にドリフトを決めながら登場してきました。開発段階でお披露目してしまうというサプライズに観衆は驚きを隠せません。

004

ヤリスをドライブしたのは、WRC伝説のドライバーの一人であり、トヨタのWRCチームを率いるトミ・マキネン氏。

005

そしてコ・ドライバーはモリゾウ選手こと豊田章男社長!

008

レーシングスーツに身を包んだモリゾウ選手、スバルも含めたトヨタ系チームが勢ぞろいするウェルカムセレモニーの中央に立ち、TGRF開会の挨拶をします。

007

その姿はまさにTeam TOYOTAの頂点に立つドライバー。しかしモリゾウ選手は冒頭の挨拶だけのためにレーシングスーツを着ているわけではないのです。

010 008

富士スピードウェイの場内、ヘアピン前の駐車場、イベント広場、ドリフトパークなどを使ったTGRFラリー選手権でもドライバーとして参戦。

011 012

セレモニアルスタートでは、来場者に運転席からハイタッチをしながらスタートするという、まさにラリードライバーそのもの。

015

そしてニュルブルクリンク24時間レース参戦車両によるデモレースにも出走します。

014

乗ったマシンはご自身もニュルブルクリンク24時間レース参戦で乗車したというレクサスLF-A。

木下隆之選手とペアで出場し、木下選手の後にモリゾウ選手がドライブ。マシントラブルでなかなか走り出せないと言うアクシデントがありましたが、それでも2周を走行。

写真を見てもらえればわかると思いますが、かなり攻めたライン取りを見せています。それも他のプロドライバーに引けをとらない速度域。

013

世界を見渡しても自動車メーカーの代表がここまで攻めた走りをできるというのは、片手で収まるほどしかいないはず。

002

ご自身がここまでモータースポーツに熱心であるということも、今年のトヨタ系チームの強さにつながっているのではないでしょうか。信頼できるトップがいてこそ、チームや選手がついてくる。そういう意味で「モリゾウ選手はTeam TOYOTAのドライバーの頂点だ」といえるほど、TGRFでは大活躍されていました。

この勢いに乗って、来期のモータースポーツでもTeam TOYOTAが活躍しそうな予感がします。

(写真・文:松永和浩)

Audi Sportの手によるレーシングマシン「Audi RS 3 LMS」を1835万円で発売開始

アウディのモータースポーツ活動を担っているAudi Sportは、WEC(世界耐久選手権)をはじめ、DTM(ドイツツーリングカー選手権)や日本のスーパーGTなどへのワークス参戦や、プライベートチームをサポートを行っています。

Audi RS 3 LMS

さらに、新ブランドとしてハイパフォーマンスモデルから多彩なアクセサリーまでを一般ユーザーに市販することで、アウディのスポーティイメージを引き上げる役割も期待されています。

2016年9月に開催されたパリモーターショーで、RSモデルの最新バージョンであり「Audi RS 3 LMS」のベース車である「Audi RS 3 Sedan」が発表されました。

同時に、2015年からFIA(国際自動車連盟)公認シリーズとして欧州などを中心にスタートしたツーリングカー選手権「TCRシリーズ」に向けて、Audi RS 3 SedanをベースとしたレーシングバージョンAudi RS 3 LMSが公開されています。

Audi RS 3 LMS

このAudi RS 3 LMSは、Audi Sportが開発を手がけたもの。最近のAudi Sport はカスタマーレーシング活動に注力していて、日本国内でも2012年にGT3マシンAudi R8 LMSの販売を開始しました。

Audi RS 3 LMS

新たにAudi RS 3 LMSを導入する狙いは、より幅広い層のモータースポーツファンがレースに参戦することが可能になる点でしょう。

TCRシリーズは2016年に世界18カ国で10のシリーズ戦が開催され、またF1選手権のサポートレースとして実施されるなど、世界と同様に日本でもGT3カテゴリー以上の人気が期待されています。

なお、日本国内では、来期のスーパー耐久シリーズにTCR規定で走行するカテゴリーを新設する方向で調整が進められています。

日本に導入される「Audi RS 3 LMS TCR SEQ」は、全長4258×全幅1950×全高1340mmという空力を重視したワイド&ローなフォルムが特徴で、「TCRシリーズ」のレギュレーションに準拠。

Audi RS 3 LMS

最高出力330ps、最大トルク410Nmの4気筒2.0L TFSIエンジンに、機械式ディファレンシャルギアと6速シーケンシャルギヤボックスを搭載。駆動方式はFFで、車両重量は1160kgまで軽量化されています。0-100km/h加速はわずか4.5秒。

安全面では大型のロールケージをはじめ、FIA準拠の安全燃料タンクやシート、セーフティーネットが備えられています。

Audi RS 3 LMS

このAudi RS 3 LMS TCR SEQの価格は1835万円。なお価格は、為替変動により予告なく変更されることがあります。スターターキット、ハンドオーバー作業費用は価格に含まれますが、輸送費、輸入諸経費、スペアホイール、その他オプションは別途費用が必要です。

(塚田勝弘)

GT300チャンピオンVivaC 86 MC。最終戦優勝の瞬間、ピットは号泣!【SUPER GT2016】

2016年度のSUPER GT、GT300クラスでチャンピオンとなったVivaC 86 MC。

J SportsでSUPER GTの解説をするカーデザイナーの由良拓也氏が敬意をもって「アルミとリベット、パテで出来たクルマ」というほど、独自でなおかつ低予算で開発、改良を重ねてきたこのマシンは、ドライバーでエンジニアの土屋武士さんいわく「町工場の意地と魂のかたまり」。

001

マザーシャーシ1年目で実戦開発をして、2年目の今年でチャンピオンを獲るという目標を掲げたチームは、1年目の昨年にすでにSUGO戦で優勝という快挙を遂げていましたが、土屋武士さんは「まさか本当に目標どおりチャンピオンになるとは思わなかった」とパルクフェルメのインタビューでも答えているほど、今から思えば順調過ぎる今年の成績。

002

そして松井孝允選手の目覚しい成長も今年のトピックといえるでしょう。全日本F3選手権Nクラスに自費でスポット参戦し富士の2戦でポールtoウィンを決めたことは成長に大きく影響していることだと思います。今年の予選ではQ2のほとんどを松井選手が担当し、SUGOとタイではポールポジションを獲得。タイでは今季初優勝をポールtoウィンで飾っています。

003

タイでの優勝でランキングトップに返り咲いたVivaC 86 MC。最終第8戦のもてぎでも磐石な体制かと思いきや、ライバルとのポイント差は僅差。特にポールポジションのプリウスが優勝した場合は4位以内でチェッカーをくぐらないとチャンピオンがないという状況で楽観はできません。

250kmという短いレース距離のために、多くのチームがタイヤ無交換作戦を実行するという予想を立てた土屋武士さんは、チームもタイヤ無交換でレースを進めるためにグリッド上でタイヤの内圧を下げるというギャンブルに出ます。

027

そのために序盤はタイヤの内圧が上がりきらずに6〜7位という苦しいポジションでのレース展開となってしまいます。土屋選手がパルクフェルメのインタビューで語っていた「いろいろやってたから」というのは、この内圧の上がらないタイヤでできるだけペースを落とさずに走るという、とんでもない荒業をやっていたということなのです。

004

そして14周目になるとドライバー交代の準備を終えた松井選手がピットロードに現れます。

005 006

緊迫した打ち合わせがチームスタッフと土屋春雄監督の間で、ギリギリまで交わされます。

007 008

そしてピットイン。タイヤ交換は行われず、給油とドライバー交代のみ。その時間はなんと20秒切り!

010 011

走行を終えた土屋選手はヘルメットも取らずにモニターを食い入るように見入っています。

012 013

アウトラップでLEON AMG GT3を仕留めた松井選手はペースアップの猛プッシュ。同じくタイヤ無交換でコースに戻ったPURIUSを猛追します。

014

そして34周目、ついにPURIUSをとらえた松井選手。

015

34周目のV字コーナーでPURIUSを抜き去りトップに躍り出ます。

016

あとは無事にトップでチェッカーをくぐることだけを願うピット。

017

いよいよファイナルラップ。この1周が第8戦、そして今年のシーズンとしてのファイナルラップ。これで全てが決まることを思えば、チームにとって一番長い周になっていることでしょう。

018

そしてゴールの瞬間!万感の思いが駆け巡ったのか、土屋選手は目頭を押さえて涙を流します。

019

父である春雄監督が土屋選手を抱き寄せ、ともに涙を流すという感動シーン。

022 023

やっとピットウォールを出た土屋選手はスタッフらとも抱き合い、チャンピオンの喜びをかみ締めて行きます。

021

レースクイーンの皆さんも喜びの「イチバン」!

024

シーズンチャンピオンを最終戦優勝という最高のカタチで決めたVivaC 86 MCとVivaC team TSUCHIYA。土屋エンジニアリングとしては1998年のJGTC GT300チャンピオン以来、土屋武士選手にとっては初のチャンピオン獲得となります。

025

そして土屋武士さんはSUPER GTのメインドライバーとしてのラストランを優勝、チャンピオンで締めくくったことになります。

026

来期は若手起用でよりパワーアップを目指すVivaC team TSUCHIYA。チャンピオンをバネに、いっそうの飛躍を期待します。

(写真・文:松永和浩)

大混戦のGT300。最終戦を制したVivaC 86 MCがチャンピオンに!【SUPER GT2016】

Audi R8 LMSが初優勝を果たした第3戦から一夜明けた翌日の11月13日、ツインリンクもてぎで予選・決勝を開催したSUPER GT最終戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」。

009

予選トップは31号車TOYOTA PRIUS apr GT。コースレコードでの予選トップとなりますが、ドライ路面かつ路面温度が低い朝一番の予選とあって、12番手までが昨年のコースレコードよりも速いタイムを出すというハイスピードな予選となりました。

004

チャンピオン争いで25号車VivaC 86 MCを追う立場の筆頭と目されていた3号車B-MAX NDDP GT-Rは予選14番手と振るわず、チャンピオンからは遠いところからのスタートとなってしまいます。

チャンピオン争いのかかるライバルたち。ランキングトップのVivaC 86 MCの前にいるのは、ポールポジションを取ったことで12ポイント差まで近づいた31号車TOYOTA PRIUS apr GT。もしPURIUSが優勝した場合、VivaC 86 MCは4位までに入っていないとチャンピオンにはなりません。VivaC 86 MCの前はPURIUS以外全てFIA GT3車両。前日の第3戦も見てもGT3車両が圧倒的に有利に見えるのは否めません。

010

白バイ先導のパレードランから始まりフォーメーションラップの後、13時37分に最終戦の火蓋が切って落とされました。

ポールポジションからスタートしたPURIUSは好調にスタート。予選3番手までは順位をそのままにオープニングラップを周回します。しかし予選順位4番手以降は大きく順位が変動。4番手だった9号車GULF NAC PORSCHE 911が5番手だった4号車グッドスマイル 初音ミク AMGに、予選6番手だった25号車VivaC 86 MCが7番手だった61号車SUBARU BRZ R&D SPORTにそれぞれ抜かれてしまいます。スタート直後に第1コーナーが迫るためにイン側の偶数グリッド有利という「もてぎセオリー」が発揮された中段のスタート風景。

013

ここまで順位を落としてしまったVivaC 86 MCにチャンピオンの目はあるのでしょうか?

015

トップを走るPURIUSに対抗するためか、15周目という早い段階でピットインしタイヤを交換する65号車LEON CVSTOS AMG-GT。しかし同じタイミングで入ってきたVivaC 86 MCはタイヤ無交換でピットタイム19秒7! LEONの背後にぴったりと張り付きながらピットアウト。

025

そしてアウトラップの第3コーナーで、タイヤ無交換を敢行したVivaC 86 MCは新品タイヤでまだ温まっていないLEONをイン側から刺し抜き去っていきます。これで実質の2位浮上。

021

その翌周にはPURIUSもピットイン。実質トップをキープするためにPURIUSもタイヤ無交換を敢行するというギリギリの戦いとなりました。

030

しかしPURIUSがピットアウトした瞬間、その背後で最終コーナーを立ち上がるVivaC。ペースは明らかにVivaCの方が速い。PURIUSのタイヤ無交換は失敗だったようです…

ペースを上げたいPURIUSにVivaCはドンドンと差を詰めていき、34周目のV字コーナーでVivaCはPURIUSの前に出た!

039

そこからはVivaC松井孝允劇場。背後のPURIUSはタイヤが苦しく、ついていくのが精一杯。2〜3秒差のポジションにとどまっています。

しかし、ラスト4周からVivaCもタイヤが苦しくなってきたようで、PURIUSが背後から迫ってきました。ここからが松井選手の腕の見せ所。お互いに苦しいタイヤを駆使しながらのトップ2台のバトル。しかしPURIUSをギリギリで寄せ付けないVivaCのドライブに松井選手の大いなる成長を見た気がします。

041

そしてチェッカーフラッグをGT300で最初に通過したVivaC 86 MC。優勝でチャンピオンという、王道を極めたカタチでキメてくれました。

044

マザーシャーシ初勝利を昨年のSUGOで達成。そして今年はマザーシャーシ初のチャンピオンという快挙を飾ったVivaC 86 MCとVivaC Team TSUCHIYA。

そしてこのレースが土屋武士選手のSUPER GTラストランともなります(第3ドライバー登録はするとのことですが)。

017

3位には4号車グッドスマイル 初音ミク AMGが開幕戦岡山以来の表彰台となりました。

046

今年の激戦ぶりを象徴するような最終戦。ここまで劇的なチャンピオン争いは、近年まれにみる戦いだったと思います。

050

来シーズンも熱い戦いを期待します。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

第3戦の代換レース、GT300クラスはAudiが初勝利!【SUPER GT2016】

11月12日にツインリンクもてぎ予選、決勝の両方を開催した2016 AUTOBACS SUPER GT Round3。熊本地震の復興支援大会と位置づけられたこのレースは、4月14日から頻発した熊本地震により開催できなくなった第3戦の代換としてこの日に開催されたもの。

本来はSUPER GT最終戦の日程に第3戦を開催させるということで12日、13日ともに予選と250kmの決勝レースという過酷なスケジュールとなりました。

013

この第3戦のポールポジションは11号車 GAINER TANAX AMG GT3。日ごろSUPER GTでなじみのあるノックダウン方式ではなくドライバー1人による一発勝負。一発勝負ならではの駆け引き一切なしな走りは普段とは違った凄みを感じさせるものでした。

そんな一発勝負の予選でポールポジションを得たビヨン・ビルドハイム選手のGAINER TANAX AMG GT3は雨は上がったものの、朝一の冷えた空気で路面が乾かないウェットの残る路面でたった一台だけの1分54秒台はお見事。

014

そのGAINER TANAX AMG GT3、ビルドハイム選手が好スタートで2位の21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS以下をグイグイと引き離していきます。SLS時代はもてぎ最強といわれたメルセデス、AMG GT3になってもそれは健在なのか?という印象を与えます。

このオープニングラップでは次々と順位が変わっていきます。予選3番手だった61号車SUBARU BRZ R&D SPORTが4番手の31号車TOYOTA PRIUS apr GTにかわされ4位に落ち、7番手だった25号車VivaC 86 MCが6位に、そして12番手だった2号車シンティアム アップル ロータスが大きくジャンプアップして10位となります。

このまま順調にレースが進んでいくかのように見えた2周目、ファーストアンダーブリッジで7号車Studie BMW M6と5号車マッハ車検 MC86が接触。マッハ車検 MC86はコース上で停止してしまいます。そのすぐ後、今度はセカンドアンダーブリッジで55号車ARTA BMW M6 GT3がフロント部分を失うほどの大クラッシュ!これをうけてセイフティーカーが導入されることになってしまいました。

今回のセーフティーカー導入では、通常の導入時にあるのようなクラスごと順位順の整列は行われません。理由としてはまだGT500がGT300を追い抜いておらず、車両が順位の通りに走行していたから、だということです。

セカンドアンダーブリッジの飛び散った飛散物の処理に時間がかかり、ほぼ4周となったセーフティーカーラン。再スタートは7周終了時点。この再スタート時でもGAINER TANAX AMG GT3はHitotsuyama Audi R8 LMSを引き離していきます。

016

そしてHitotsuyama Audi R8 LMSにはの31号車TOYOTA PRIUS apr GTがにじり寄るという展開。その背後のSUBARU BRZ R&D SPORTには0号車 GAINER TANAX GT-Rが迫るなど、またしても順位変動の予感。

021

16周目には早くもピットインをするチームが出始めます。24周目にGAINER TANAX AMG GT3がピットインでタイヤ無交換。25周目にはHitotsuyama Audi R8 LMSが入ります。こちらもタイヤ無交換。ただしピット作業はHitotsuyama Audi R8 LMSのほうが早かったようで、なんとGAINER TANAX AMG GT3の前でコース復帰!これで順位が入れ替わります。

011

ともにダンロップタイヤを履くGAINER TANAX AMG GT3とHitotsuyama Audi R8 LMS。ピット作業でのちょっとした差が順位の変動を生んだようです。

027

GAINER TANAX AMG GT3にとってタイヤ無交換作戦は失敗に終わった感が否めず、後続の88号車マネパ ランボルギーニ GT3にも2位の座を明け渡して3位に後退。

028

そのすぐあとには33号車Excellence Porscheにも抜かれてしまうなど、勝負権を失ってしまうのです。

026t

この時点で1位のHitotsuyama Audi R8 LMSと2位のマネパ ランボルギーニ GT3はタイヤ無交換。3位に浮上してきたExcellence Porscheはタイヤ交換しての安定感から上位陣にチャージをかけ、ファイナルラップの1コーナーでマネパ ランボルギーニ GT3を抜いて2位へ。

024

しかし、Hitotsuyama Audi R8 LMSは強かった。Excellence Porscheはファイナルラップ中に追いつくことができず、ファーストチェッカーはHitotsuyama Audi R8 LMSがうけることになりました。

029

Hitotsuyama Audi R8 LMSというよりもAudiがSUPER GTで優勝したのは、このレースが初めて。技、力、運の全てが揃った初優勝といえるでしょう。

034

この優勝でHitotsuyama Audi R8 LMSはポイントランキングで2位の3号車B-MAX NDDP GT-Rと同点に躍り出ます。

037

ランキングトップのVivaC 86 MCは7位。ポイントを再び積んだとはいえ、今回優勝したHitotsuyama Audi R8 LMSや同点のB-MAX NDDP GT-Rとの点差は9ポイント。これでシリーズチャンピオンの行方が全くわからなくなりました。

チャンピオン決定は翌日の最終戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」に持ち越されることとなりました。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

ついにミッドシップへと進化!2017年モデルのポルシェ911 RSR発表

ポルシェが、2017年のモータースポーツシーンにおいてLM-GTEカテゴリーに投入する新型911 RSRを発表しています。

m16_5489

エンジンは排気量4000ccの水平対向6気筒。ボア102mm、ストローク81.5mmという超ショートストロークで、レーシングエンジンらしく重心を下げつつ油圧も確保できるドライサンプ方式。リストリクターによって変わりますが、最高出力は375kW(510PS)と発表されています。

主戦場となるWEC(世界耐久選手権)やアメリカIMSAシリーズでは、LMP1などプロトタイプと混走になりますが、その対策として「コリジョン・アボイド・システム」と呼ばれるレーダーサポートによる衝突警告システムを装備。夜間にも高速のLMPプロトタイプを早期に検知して接触を回避するという、レース仕様のプリクラッシュセーフティシステムが導入されているのがニュースのひとつ。

m16_5491

2017年モデルの911 RSRにおけるトピックスは、それだけではありません。市販車の911ではリヤエンジンであることがアイデンティティとなっていますが、このレーシングマシンはエンジンをミッドシップに搭載したのです。こうしてエンジン位置を動かしたことによるメリットは、後ろ姿で確認できる立派なリヤディフューザーが生み出すであろう空力性能など多岐にわたると想像されます。

その空力では、ポルシェのLMP1マシン「919ハイブリッド」譲りのトップマウント・スワンネックのリヤスポイラーも注目点。また、空力性能を引き出すために、マグネシウムケースの6速シーケンシャルトランスミッションも新設計されているということです。

(山本晋也)

独占潜入!現在ランキング2位の脇阪ルマンを支えるWAKO’S Mobile Lab.って何?【SUPER GT2016】

いよいよ来週、11月12〜13日に迫ったSUPER GTのファイナルラウンド「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」。

地震で中止となった第3戦オートポリス戦の代換えレースと最終戦の第8戦の2連戦を、土日の2日間でそれぞれ予選決勝を戦うという過酷なラウンドです。

011

そんなSUPER GTシリーズの中で、失礼を承知で言ってしまえば意外にもGT500ランキングの2位につけ、チャンピオンの可能性もかなり高い位置につけているのがLEXUS TEAM LEMANS WAKO’Sの6号車「WAKO’S 4CR RC F」。

010

鈴鹿で4位、タイでは念願の表彰台3位と、最近上り調子とも言える活躍。特に大嶋選手のキレのある走りは最近注目が集まっているようです。

005 008

そして監督は云わずと知れたミスターSUPER GTの脇阪寿一さん。鈴鹿戦の前にはマル秘トークをぶっちゃけに編集部までいらっしゃったのも記憶に新しいところです。

012

その脇阪ルマンがランキング2位まで登ってきたこととメインスポンサーのWAKO’Sは決して無関係ではありません。WAKO’Sはオイルだけを提供しているわけではないのです。

021

秘密はこのハイエース。SUPER GTのパドックに必ず停まっているこのハイエースは「Mobile Lab.」と名づけられ、名前の通り動く研究所となっているのです。

022

026 023

物々しい計器が並ぶ車内。ここでは、今走ってきた6号車 WAKO’S 4CR RC Fからオイルを抜き取り、その都度オイルの解析を行っているのです。

028 029

走行後のオイル内に含まれる金属粒子や未燃焼のガソリン燃料、使用後の粘度などを調べることによってオイルの配合だけではなく、燃焼の具合や通常では見ることのできない燃焼室内部の様子を知ることができるというのです。

024 025

ここで得られたデータはリアルタイムにチームエンジニアと共有し、エンジンのセッティングなどに活用されるとのこと。このスピード感が他にはないMobile Lab.のメリット。

F1の世界では半ば常識化しているというこのシステムですが、国内レースでやっているのはWAKO’Sだけ!と担当のエンジニアの方は胸を張っていらっしゃいました。

本来は社外秘というこのMobalie Lab.の車内、モニターの数値にモザイクをかけるということを条件にclicccarだけに特別公開していただきました。

013

このような取り組みがSUGOでのポールポジションなどをはじめ、現在のGT500ランキング2位となる原動力のひとつとなっているのです。

11月12〜13日のSUPER GTファイナルラウンド「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」では、LEXUS TEAM LEMANS WAKO’S以外でも行われているこのような様々な取り組みにも目を向けて観戦してみるのも面白いかもしれませんね。

(写真・文:松永和浩)

【関連リンク】

GTの監督はレース中に何してる?チームルマン脇阪寿一監督、鈴鹿1000kmを語る【SUPER GT 2016】
http://clicccar.com/2016/08/25/394797/

最終戦鈴鹿で新チャンピオン誕生!バンドーンは有終の美【スーパーフォーミュラー2016】

10月30日に鈴鹿サーキットで決勝が行われた2016年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 最終戦「第15回JAF鈴鹿グランプリ」。

201

今シーズンのスーパーフォーミュラーは大混戦。この最終戦の鈴鹿予選終了の段階でチャンピオン候補がなんと6人!

決勝はRACE1、RACE2の2レース制で行われ、各レースともに優勝は8ポイント、予選でのポールポイントは各レース1ポイントずつということで、最大18ポイントを獲得できるレースとなっています。

222

このレースの両方のポールポジションを獲得したのが昨年のチャンピオン、P.MU / CERUMO・INGING SF14の石浦宏明選手。しかし石浦選手がチャンピオンを獲るためには、ポールポジションを獲得しながらもなお両方のレースで優勝しなくてはなりません。

202

RACE1の直前の時点でポイントランキングトップは、ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14の関口雄飛選手。しかし予選が全く振るわず18番手からのスタート。

203

ランキング2位がP.MU / CERUMO・INGING SF14の国本雄資選手。RACE1は2番手からスタート。

204 221

RACE1ではポールポジションの石浦選手、セカンドポジションの国本選手ともに同じチーム。同じチーム同士でのチャンピオン争いは精神的な負担がかなり大きいのではないでしょうか。

206

スタート時刻9時49分22秒。見事なスタートを決めたのは国本選手。トップで第1コーナーを抜け、そのままS字コーナーへと進入していきます。

205

2周目以降も2位のVANTELIN TEAM TOM’S アンドレ・ロッテラ選手をどんどんと引き離していきます。

214

危なげないレース運びで確実に後続を引き離しトップをキープ。

207

国本選手はRACE1で見事に優勝を決めました。チームメイトの石浦宏明選手は残念ながらチャンピオン争いから脱落です。

218

RACE1で優勝を決めた国本選手。これでランキングトップに躍り出ます。しかしRACE1の時点でもチャンピオン候補は4人。素直に優勝を喜ぶにはまだ早いのか、国本選手の表彰式での面持ちは険しいまま。

219

つづくRACE2。予選3番手の国本選手はグリッドでも平常心のように見えましたが、実際の闘志はかなり燃え上がっているのではないでしょうか。

223

好スタートを切ったのはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGのストフェル・バンドーン選手。石浦選手のスタートも堅実ではあったものの、バンドーン選手のロケットスタートはそれを大きく上回っていました。

最もチャンピオンに近いはずの国本選手はスタートに失敗し、スタート周のS字コーナー進入では6位まで後退してしまいます。

211_2

その後のバンドーン選手はかなりの勢いに乗って周回を重ねていきます。

RACE2は35周という比較的レース距離の短い周回数ですが、タイヤ交換義務があるために1周目からタイヤ交換でのピットインをするチームも比較的多く、4番手を走行していたVANTELIN TEAM TOM’Sの中嶋一貴選手などもピットイン。4番手以降の順位が大きく変わります。

ランキングトップの国本選手、第5戦岡山のRACE2では1周目ピットイン作戦で優勝をもぎ取りましたが、今回はなかなかピットインをしません。23周目に各車ピットインをした段階でも、国本選手とKONDO RACINGのジェームス・ロシター選手はピットインをしていません。

220

24周目にREAL RACINGの伊沢拓也選手がスプーンコーナーでクラッシュしセーフティーカー導入となると、23周目には暫定トップとなっていた国本選手がやっとピットイン。タイヤ交換をしてコースに復帰します。このときの順位は7位。トップはバンドーン選手に。国本選手は優勝からは程遠い位置となってしまいます。

212

27周目にセーフティーカーが解除されると残り7周はスプリントレースの様相。バンドーン選手のトップは変わらず。ここで2位の石浦選手と3位のロッテラー選手がオーバーテイクシステムを使って追い上げようかという矢先、29周目最終コーナーでTEAM 無限の山本尚貴選手がクラッシュ!

またしてもセイフティーカーが導入されます。

225

32周目にセーフティーカーが解除されると、残り4周。ここでレースが大きく動きます。3番手を走行していたロッテラー選手が石浦選手をオーバーテイク!2位に浮上しバンドーン選手を追いかけます。ラップタイムはロッテラー選手のほうが速く、見る間に差をつめてきますが、バンドーン選手も動じません。

208

ロッテラー選手はバンドーン選手を0.7秒台まで追い詰めますが、もうそこはファイナルラップのコントロールライン。トップチェッカーはバンドーン選手の頭上で振られることになりました。

209

国本選手は6位でフィニッシュ。このチェッカーで2016年スーパーフォーミュラーのシリーズチャンピオンが決定。

210

来年からマクラーレンからF1に参戦することが決定しているバンドーン選手にとって、日本でのシリーズ参戦はこの鈴鹿戦が最後となります。

211

その最後のレースを優勝で飾ったバンドーン選手は、まさに有終の美。

217

同じパルクフェルメでは、チャンピオンとなった国本選手が、予選、決勝を含めて2日間のレースで初めて満面の笑みを見せてくれました。

003

2016年スーパーフォーミュラーで新しく誕生したチャンピオン、国本雄資選手。スーパーフォーミュラーの大きな大きなトロフィーに、国本選手の名前が刻まれることとなりました。

(写真・文:松永和浩)

【スーパー耐久2016】第5戦岡山ラウンド、ST-4クラスでロードスターが初優勝!地元戦でマツダ車が大活躍

10月22〜23日に岡山国際サーキットで開催された第5戦「 スーパー耐久レース in 岡山」。

110

決勝レースは23日の午前、午後に別れて2レースが行われ、午前はST-4、ST-5クラスのグループ2が3時間の耐久レースを走りました。

109

ST-5クラスをポールポジションでスタートしたのは「村上モータースMAZDAロードスターND」。第2戦SUGOではポールtoウィンを決めた新型ロードスターは、岡山でもポールポジションを獲得。

101

スタートでフィット3に抜かれ3位に後退するも、序盤から中盤はフィット3勢とサイドbyサイド、テールtoノーズのトップ争いを繰り広げ、ST-5クラスここにあり!とレースをかなり盛り上げてくれましたが、駆動系トラブルで後退を喫してしまいます。

119

NDロードスターが後退をした後に3位まで登り詰めてきたのが「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」。順調に追い上げを見せ、最後のドライバー交代を迎えたそのとき、なんとタービントラブルで長時間ピットストップ。こちらも戦線から離脱してしまいます。

118 112

ST-5クラスはスタートでトップをもぎ取った19号車「BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FIT」が優勝。2位に69号車「BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFIT」が入り、69号車はこれでポイントランキングトップに返り咲くことになりました。

104

NA換算2000ccまでのST-4クラスでは「TC CORSE iRacing ROADSTER」がなんと初優勝。初エントリーから3年越しの優勝です。

106

このクラス、今期はトヨタ86が開幕から4連勝。昨年まで強かったホンダ勢も表彰台に登るのがやっとといった状況下で、孤軍奮闘のNC型ロードスターの優勝は快挙といえるでしょう。

117 114

2位には「埼玉トヨペットGreenBrave86」。3位は、1位の表彰台に上がりながらペナルティーで30秒加算の3位となった「ENDLESS・ADVAN・86」。

105

中国地方唯一の国際サーキットである岡山国際サーキットは、マツダの地元ともいえる場所。そこで新型1500ccのNDロードスターがポールポジション、そしてNCロードスターが86やS2000を抑えての優勝と、まさに故郷に錦を飾ったレースとなりました。

ST-4、ST-5クラスは岡山戦終了時点でもまだシリーズチャンピオンが決定していません。熱い戦いは11月19〜20日の最終戦オートポリスまで持ち越しとなりました。

(写真・文:松永和浩)

Sタイヤがついに解禁!? D1GPのタイヤ戦争が激化したワケは…【TOKYO DRIFT】

D1GPに大きな変革が訪れています。それはタイヤ規定の変更です。

DSC_3452

従来、D1GPでは市販ストリート用タイヤだけが使用可能でした。レース用タイヤや、いわゆるSタイヤは使用できませんでした。

ここでご存じないかたのためにSタイヤというカテゴリーを紹介しておきましょう。

法規上、公道走行は可能ながら、耐久性の問題や騒音、振動などの面から公道走行は向かないとされるスポーツタイヤが、各メーカーから発売されています。これらはセミレーシングタイヤ、セミスリックタイヤ、略して『Sタイヤ』と呼ばれてきました。サーキット走行を主な目的としているのでグリップ力は高いです。

今まで、これらのタイヤはD1GPでは禁止されてきました(ごく初期は規定がなかったので使ってもOKでした)。ところが、このSタイヤの使用が来季から解禁になりそうなのです。

というか、なし崩し的にすでに解禁されているといっていいでしょう。先日行われたD1GP第7戦では、一般的にSタイヤだといわれている銘柄の使用を認可されたチームもあったからです。

これにはいろいろな背景があります。もともとタイヤ消費量が極端に多いドリフトにとってタイヤメーカーは最も重要なスポンサーといってもいい存在です。そのタイヤメーカーとD1主催者の意向によって、一般ユーザーがふつうに使えるストリートタイヤでやろうというのがD1GPの趣旨でした。

ところが近年、中国や台湾、インドネシアなどからの輸入タイヤがD1GPにも増えてきました。しかし、『Sタイヤ』というカテゴリーは、明確なスペック上の規定はなく、日本だけの慣例的な分類です。メーカーが「Sタイヤじゃないですよ」といえば、Sタイヤじゃないわけです。

海外、とくにアジアンタイヤメーカーにとっては、そんな『Sタイヤ』とかいう風習は関係ないので、日本でいえばSタイヤに匹敵するグリップ力のタイヤを出してきちゃうわけです。

でも文句はいえない。『Sタイヤ』というのは、現代においてはある意味ガラパゴス的なカテゴリーになってきちゃったというわけですね。

近年の齋藤太吾選手が使っていたのがまさにそういうタイヤで、昨年までのアキレス、今年のワンリーともに、日本のストリートタイヤではかなわないグリップ力を発揮して、圧倒的な強さを発揮してきました。ここまでひとりの選手が(しかもこういう形で)強いというのは、競技としてはあまりいい状況ではありません。

いっぽうで、日本のタイヤ業界にも変革が訪れます。86レースにおけるタイヤ開発競争が激化するとともに、Sタイヤに匹敵するグリップ力がありそうな、でも『Sタイヤ』とは自称していないタイヤが各メーカーから出てきてしまったのです。

そしてそれらは次々とD1GPにデビューしてきました。

DSC_3412 DSC_3408

DSC_3083

2016年シリーズで2勝した村山選手は、86レースから生まれたダンロップのハイグリップタイヤ、ディレッツァβ02を見事に使いこなしたことが勝因のひとつでした。そして、昨年のチャンピオンでありながら、今季前半は齋藤選手のスピードにまったく歯が立たなかった川畑選手も、TOYOのニュータイヤR888Rを投入したことで、最終戦では齋藤選手と互角の走りを見せました。

つまり、この“SタイヤみたいだけどSタイヤとはいっていないタイヤ”は、D1GPがつまらなくなることを防いでくれているのです。

E91I4716

そんな状況もあって、D1GPの主催者は、有名無実となりつつある『Sタイヤ禁止』規定を来年には廃止してしまおうと考えているようです。

ただ、これまた難しい問題が出てくる可能性があります。

国内のメーカーが高価なSタイヤを今までのストリートタイヤと同じようにD1GPに出してくれるのか? 現在D1で使うサイズにSタイヤ相当の銘柄を持っていないグッドイヤーはどうするのか? といった問題です。

海外タイヤを排除するというのは、経済も含めてグローバル化が進む現在、時代に逆行するのであまりいい手ではないでしょう。D1主催者にとっては、競技の面白さやルールの明確さを保ちつつ、スポンサーにも納得してもらわないといけないなかで、むずかしい舵取りを強いられる状況になっています。

いずれにしろタイヤ戦争は激化の一途をたどっており、そのおかげで超絶ハイスピードバトルが楽しめるようにもなっています。

10月22日にお台場で行われたD1GP最終戦では、ワンリータイヤを履く齋藤選手と、TOYOのニュータイヤR888Rを履く川畑選手が決勝で対戦した結果、川畑選手が斎藤選手をプッシュしてしまって齋藤選手が勝ちました。

いっぽう翌日に行われたエキシビションマッチの追走では、またしても齋藤選手と川畑選手が決勝で対戦した結果、齋藤選手が川畑選手をプッシュしてしまって川畑選手が勝ちました。

いずれも、以前は考えられないほどものすごいハイスピードドリフトの応酬でした。

A89I0673

D1GP第7戦の模様は11月26日発売の『ビデオオプションvol.273』に収録予定。

ビデオオプションの情報は公式サイトへ。また、D1グランプリの詳しい情報は、D1公式サイトまで。

(まめ蔵・写真提供:サンプロス)

【SUPER GT2016】第7戦タイはタイヤ無交換作戦を敢行したVivaC 86 MCがGT300優勝!

10月9日にタイ・ブリーラムのチャン・インターナショナルサーキットで開催されたSUPER GTの海外ラウンド「2016 AUTOBACS SUPER GT Round7 BURIRAM SUPER GT RACE」の決勝レース。

022

天候は快晴となりスタート時の気温は33度、路面温度は44度と、とてつもない暑さの中でのスタートとなりました。

007

そのタイのGT300クラスを制したのは25号車 VivaC 86 MC。ポールtoウィンです!

タイ・ブリーラムのチャン インターナショナルサーキットはタイヤの負担が比較的軽いとされ、タイヤ無交換も可能とされるサーキット。しかしこの気温と路面温度でそれは実現できるのか?

016

ポールポジションからスタートしたVivaC 86 MCですが、序盤に予選2位の3号車 B-MAX NDDP GT-Rと予選3位の0号車 GAINER TANAX GT-Rに抜かれ3位となります。この順位はしばらく動くことはありません。

しかし、ピットインのタイミングでその順位は大きく変わってしまいます。

011

24周目、先にピットに入ったのはB-MAX NDDP GT-R。その間にGAINER TANAX GT-Rはトップに踊り出し、猛チャージで2位以下を引き離そうと試みますが、27周目の最終コーナーでなんとGT500マシンをプッシングしてしまいフロントバンパーを破損。VivaC 86 MCがトップとなり淡々と周回を重ねます。

そして29周目にピットイン。土屋武士選手から松井孝允選手に交代、タイヤ無交換を実行。ピットタイムはなんと21秒台。B-MAX NDDP GT-Rの前に余裕でコース復帰します。

008

後半、トップはVivaC 86 MC、2位に18号車 UPGARAGE BANDOH 86、そしてB-MAX NDDP GT-Rというオーダーになります。

そのB-MAX NDDP GT-RはUPGARAGE BANDOH 86に追いつき後半残り15周ほどから激しいバトルを展開。これには観客も大興奮となるのですが、このバトルに後ろからGT500のポイントランキング首位の1号車 MOTUL AUTECH GT-Rと2位の38号車 ZENT CERUMO RC Fが、こちらも激しいバトルを展開しながら迫ってききます。

ここでUPGARAGE BANDOH 86とMOTUL AUTECH GT-Rがまさかの接触!

神業のように接触した2台をかわしたB-MAX NDDP GT-Rのヤン・マーデンボローは勢いに火がついたのか、激しい猛プッシュを継続。20秒以上あったVivaC 86 MCとの差をラストラップでは1秒189にまで追い詰めました。

002

しかしあと一歩及ばず、優勝はVivaC 86 MC!今季初優勝!

最後のギリギリのところで燃料ポンプのトラブルに見舞われながらも優勝に賭けた意気込み。本当にギリギリの戦いで勝ち得た優勝です。

001

この優勝でVivaC 86 MCは再びGT300のポイントランキングトップとなりました。ランキング2位はB-MAX NDDP GT-R、3位には55号車 ARTA BMW M6 GT3。奇しくもこのタイの表彰台の順位がそのままポイントランキングの順位ということとなります。

001

次戦は11月11日から13日の2連戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」。泣いても笑ってもこの2連戦でチャンピオンが決まります。

(写真:高橋秀彰 文:松永和浩)

 

世界各地のレーシングカーに採用されている、レース用電動パワーステアリングのメーカーは?

最近のレース用車両では、一般の乗用車と同様に電動パワーステアリング(EPS)が普及しています。

このレース用EPSの分野で圧倒的なシャアを誇っているのが日本の自動車部品メーカー KYB(カヤバ)であることをご存知でしょうか。

kyb1a

KYBがレース用EPSに進出したのは、1994年の全日本ツーリングカー選手権車両向けにEPSを供給したのがはじまりでした。その後、2001年にはル・マン24時間レースのレース車両向けにEPSの供給を開始しました。

kyb1b

近年では同社の独自設計によるモーターとECUを開発し、2013年以降は標準型化されたコラムEPSをレース市場にリリースするほど、同社のレース用EPSはレース業界に浸透しています。

実際に世界各地のレースで同社のレース用EPSの採用実績が高くなっています。

たとえばル・マン24時間レースでは、2016年度全出場車中45%の採用率を確保しており、中でもトップカテゴリー のLe Mans Prototype(LMP)クラスに至っては32台中23台、採用率にして72%に達しています。

また、デイトナ24時間レースでも、Prototypeクラスで88%のシェアを誇っています。

kyb2a

その他、世界各地のモータースポーツではFIA(国際自動車連盟)主催のWorld Rally Cross(WRX)参加車両へもEPSの供給を開始し、国内のスーパーGT、スーパーフォミュラーなど世界中のレースシーンで同社のEPSが活躍しています。

さらに今後の取り組みとして、2016年には無人EVレース「ROBORACE」車両など新たなカテゴリーの車両にEPSの供給を開始しました。

自動車部品メーカーは、目立たない縁の下の力持ち的存在ではありますが、いろいろな分野での活躍が期待されます。

(山内 博・画像:KYB)

リカルドが今シーズン初優勝!恒例のシューイーもスペシャルバージョンに!!【2016 F1第16戦マレーシアGP】

10月2日(日)、2016 F1第16戦・マレーシアGPが、セパン・インターナショナル・サーキット(全長5.543km、周回数56周)で開催されました。

18年連続18回目の開催となるマレーシアGPですが、今年はサーキットのアスファルトを再舗装し、9つのコーナーを変更するなど大改修が行われました。

また、ほぼ赤道に直下に位置するサーキットであるため年間を通じて高温多湿。決勝の気温は33度、路面温度は52度まで上がり、ドライバーにとって、とても過酷な環境でのレースとなりました。

P-20161002-01550_HiRes JPEG 24bit RGB

オープニングラップから波乱のスタートとなったマレーシアGP。

好スタートを切った5番手スタートのセバスチャン・ベッテル選手(フェラーリ)が、ターン1で3番手スタートのマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル)のインを突きますが、2台ともタイヤをロックさせて止まりきれず、ベッテル選手が2番手スタートのニコ・ロズベルグ選手(メルセデス)に追突して左フロントを壊しリタイアしてしまうというハプニングが発生! ロズベルグ選手もスピンして16番手まで下がってしまいました。

この事故により、ベッテル選手には次戦F1日本GPで3グリッド降格ペナルティが科せられます。

f11002001H

この接触によりバーチャルセーフティーカーが導入され、ポールスタートのルイス・ハミルトン選手(メルセデス)と3番手スタートのフェルスタッペン選手の順位は変わりませんでしたが、4番手スタートのダニエル・リカルド選手(レッドブル)は2番手にジャンプアップ。

パワーユニット交換で計45グリッド降格ペナルティを受け最後尾スタートだったフェルナンド・アロンソ選手(マクラーレン)が混乱をうまくすり抜け、11番手まで浮上しました。

M42416

9周目にはロマン・グロージャン選手(ハース)の左リアのブレーキがトラブルに見舞われ、ターン15でコースオフしてストップし、再びバーチャル・セーフティーカーが導入。

上位勢はステイアウトしましたが、フェルスタッペン選手、ロズベルグ選手らがピットインし、フェルスタッペン選手はソフトタイヤからソフトタイヤへ、ロズベルグ選手はソフトタイヤからハードタイヤへ履き替えます。

タイヤを履き替えたロズベルグ選手は猛プッシュ! 前を走るマシンをどんどん抜いていきます。他のチームを軽々とオーバーテイクするメルセデスの速さは、もはや異次元の世界にいるかのようでした。

ファステストラップを刻みリードを広げていくハミルトン選手。

その後方では、フェルスタッペン選手が6周分新しいハードタイヤを装着し、リカルド選手を上まわるタイムで後ろから追いかけます。

ここまできたらチームオーダーが出るかな?と思いきや、特に出ずコース上でホイール・トゥ・ホイールの激しいチームメイトバトルが展開され、レースを観ている私達ファンを楽しませてくれましたよね。

P-20161002-01812_HiRes JPEG 24bit RGB

レッドブルがチームメイトバトルをしている間に、更にリードを広げ優勝が見えてきたハミルトン選手に悲劇が訪れます。なんと、41周目のメインストレートで突然リアから白煙と炎を吐いてストップ。

「Oh!No—!No—!!」という悲痛な叫びがチーム無線で響き渡ります。ターン1でマシンを止め降りたハミルトン選手は大きく肩を落とし、その場でしゃがみ込んでしまいました。

ドライバーズチャンピオンシップをかけた大事な一戦で、ここで勝てばトップのロズベルグ選手に並ぶことができたはず……。ハミルトン選手の気持ちを考えると胸が痛みます(涙

M42429

ハミルトン選手のマシンストップにより、またしてもバーチャルセーフティーカーが導入。また、エステバン・グティエレス選手(ハース)のフロントタイヤがいきなり外れるというハプニングも発生し、大波乱のレースとなりました。

この波乱のレースを勝ち抜いたのは、リカルド選手! 2014年ハンガリーGP以来の優勝となりました。

2番手は9月30日に19歳の誕生日を迎えたフェルスタッペン選手、そしてスタートの接触で後退し素晴らしい走りで4位まで浮上したロズベルグ選手は、レース終盤でキミ・ライコネン選手(フェラーリ)をオーバーテイクする際、接触し10秒ペナルティを科せられましたが、猛プッシュの甲斐があり、ライコネン選手に13秒差をつけて10秒ペナルティを跳ね返し3位を獲得しました。

マクラーレンはアロンソ選手7位、ジェンソン・バトン選手9位でダブルポイントを獲得。これは次戦の日本GPでも期待できそうですね!

リカルド選手が優勝ということは、当然やりますよね。シューイー(笑)。ポディウムの下では、チームスタッフが自分のシューズを持ってリカルド選手に「絶対やれよ!」と言わんばかりのアピールをし始めたではありませんか!

P-20161002-01627_HiRes JPEG 24bit RGB

その期待に応えるかのように、レーシングシューズにシャンパンを入れ(ロズベルグ選手も一緒になって注いでいました)、思いっきりシャンパンを飲んだのはいいのですが、今回はリカルド選手だけでは終わりません。

なんと、一緒にポディウムに上がったレッドブルチーム代表のクリスチャン・ホーナー氏、チームメイトのフェルスタッペン選手、そしてロズベルグ選手、全員にすすめたのです! 3人とも若干苦笑いでしたが、リカルド選手のあの笑顔にはかなわなかったようです(笑)。

P-20161002-01714_HiRes JPEG 24bit RGB P-20161002-01705_HiRes JPEG 24bit RGB News

M42802_D326335 P-20161002-01759_HiRes JPEG 24bit RGB

今年のF1流行語大賞は「シューイー」に決まりですね(笑) 。

さぁ、いよいよ次戦は待ちに待った日本GP! ドライバー達もぞくぞくと来日し、レースウィークが始まるまでどのように過ごすかも楽しみなところです(^^

マレーシアGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。

順位/No./ドライバー/チーム
1/#3/ダニエル・リカルド/レッドブル
2/#33/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
3/#6/ニコ・ロズベルグ/メルセデス
4/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
5/#77/バルテリ・ボッタス/ウィリアムズ
6/#11/セルジオ・ペレス/フォースインディア
7/#14/フェルナンド・アロンソ/マクラーレン
8/#27/ニコ・ヒュルケンベルク/フォースインディア
9/#22/ジェンソン・バトン/マクラーレン
10/#30/ジョリオン・パーマー/ルノー

(yuri)

ホンダ・シビックのWTCC参戦、2017年も継続!

ホンダのモータースポーツ活動は多岐にわたりますが、そのひとつがWTCC(世界ツーリングカー選手権)です。

欧州シビックをベースとしたマシンでエントリーしているWTCCは、2016年でフル参戦4年目。9月にツインリンクもてぎで開催された日本ラウンド・オープニングレースでワン・ツー・スリーと表彰台を独占するなど好調です。

WTCC Rd9 - Twin Ring Motegi - Japan

さて、そのWTCCに参戦しているカストロール・ホンダ・ワールドツーリングカー・チームのWEBサイトにて次のような発表がありました。

Honda to continue in FIA World Touring Car Championship in 2017

ホンダレーシングは、2017年も引き続きWTCCに参戦するというわけです。もちろん、ワークス体制であることもアナウンスされています。

2016年以上の活躍が期待できるホンダのWTCCに、ますます期待が高まります。

(写真:Honda 文:山本晋也)

SUNOCOの「みのこ」こと、藤井みのりチャンが土屋武士選手と編集部にやってきた!

SUNOCOといえば特徴的なロゴでお馴染みのアメリカ発祥のオイルメーカー。日本でもスーパーフォーミュラーを中心に様々なカテゴリーでそのロゴを見ることができます。

012

特にスーパーフォーミュラーでは、SUNOCO TEAM LEMANSとしてナレイン・カーティケヤン選手と小林可夢偉選手の2台体制でシリーズに参戦。

008 007

9月10〜11日に開催されたスーパーフォーミュラー第5戦岡山国際サーキットでは、2レース制の第1レースでナレイン・カーティケヤン選手が3位で表彰台に上がるなどの大活躍を見せました。

009 010

そんなスーパーフォーミュラーでのSUNOCOの活躍で忘れてはいけないのがイメージガールの藤井みのりちゃん。

009

愛称は「みのこ」。由来は髪型からという噂もありますが、そこは定かではありません。

005 004

その「みのこ」こと藤井みのりちゃんが、スーパーフォーミュラー岡山の翌日に編集部に来てくれました!

001

なんとSUPER GTのGT300、VivaC 86 MCのドライバーである土屋武士さんも一緒に登場。

003 007

第2戦富士500kmで3位、第4戦SUGOで2位で現在ランキング5位。そしてSUGOではポールポジションも獲得しているVivaC 86 MC。残りあと3戦で充分にチャンピオンを狙える位置にいます。

VivaC 86 MCは、エンジンオイルに市販のSUNOCO『BRILL』をそのまま使用しているとのこと。

実はSUGOでの公式テストでスタッフがエンジンオイルの積み込みを忘れて、あわてて販売店を検索、仙台市内のグランドスラムに買いに行ったというエピソードも。このエピソードを詳しく知りたい方は土屋武士さんのtwitterをご覧下さい。

そして、VivaC 86 MCのレースクイーンも藤井みのりちゃん!

002

このように、モータースポーツで大活躍中のSUNOCOでは、10月1日から12月31日まで「SUNOCOどう?買って試して貰っちゃおう!キャンペーン」を開催します。概要は下記。

<開催概要>

クローズド懸賞:
対象製品を税抜き3000円以上ご購入の上、専用はがきにレシートを添付して応募する「オイル交換キャンペーン」
賞品:
・Aコース 蟹三昧 10名様
・Bコース アラジン グラファイト グリル&トースター 3名様
・Cコース YAMAHAキーボード PSR-E253ポータトーン 3名様
・Dコース リンベル 選べる宿泊ギフト 3名様

期間:
2016年10月1日〜2016年12月31日
応募締切:
2017年1月10日(火)当日消印有効

オープン懸賞:
SUNOCO公式WEBサイト(※10月1日開設)から誰でも応募できる(1)「WEBキャンペーン」、Twitterで簡単に応募(フォロー&ツイート)できる(2)「Twitterキャンペーン」

WEBキャンペーン賞品:
・タカタふとんサービス じぶんまくらギフト券 2名様
・フィリップス マルチチョッパー 2名様

Twitterキャンペーン賞品:
SUNOCOオリジナル可夢偉デザインJTBトラベルギフト1万円分 5名様

オープン懸賞期間:
2016年10月1日〜2016年12月31日23:59受信分まで

個人的にはAコースの蟹はそそりますね。

そして土屋武士さんのVivaC 86 MCでも使っているSUNOCO『BRILL』はパッケージをリニューアル。店頭では順次新パッケージに置き換わるとのことで、BRILLの新パッケージを購入したら即キャンペーン応募がいいかもしれませんね。

004

(写真・文:松永和浩)

リカルドがまたやっちゃった!今度はあの大先輩にシューズシャンパンを!?【2016 F1第13戦ベルギーGP】

約1カ月のF1の夏休みが終わり、いよいよ2016年シーズンも後半戦に突入しました。

待ちに待ったF1 第13戦の舞台は、ベルギーのデ・スパ・フランコルシャン(7,004km/周回数44周)です!

P-20160828-01507_HiRes JPEG 24bit RGB

ポールポジションを獲得したのは、ニコ・ロズベルグ選手(メルセデス)。フロントローに並ぶのは、チームメイトであり最大のライバルのルイス・ハミルトン選手…ではなくマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル)でした。

金曜日に多数のパワーユニット交換を行ったハミルトン選手は土曜日にもさらに交換し、55グリッド降格。21番グリッドからのスタートとなりました。

3番手にはベルギーGPで過去に4勝を挙げ、スパを得意とするキミ・ライコネン選手(フェラーリ)、4番手にはセバスチャン・ベッテル選手と(フェラーリ)とフェラーリ勢が2列目に並びます。

M39342

同じ奇数列の一番前と一番後ろからスタートする、ロズベルグ選手とハミルトン選手。ハミルトン選手がどこまで追い上げてくるのか、そしてロズベルグ選手とライコネン選手がソフトタイヤでスタートする中、フェルスタッペン選手だけスーパーソフトを選択しどちらのタイヤ選択が良いのか、スパが得意なライコネン選手が優勝争いに絡んでくるのではないかなど、見所満載でスタート前からドキドキ!

P-20160828-00884_HiRes JPEG 24bit RGB

全車が一斉にスタートし、スパ名物のオールージュをかけあがるシーンはいつみてもシビレます。いつか現地に観に行きたいサーキットのひとつです。

オープニングラップの1コーナーで、ベッテル選手とライコネン選手、そしてフェルスタッペン選手が接触し上位争いから姿を消してしまいました。後方でも接触があり、大混乱のスタートとなりました。

M39535

6周目、オールージュを駆けあがったケビン・マグヌッセン選手(ルノー)が態勢を崩し、リアのコントロールを失ってスピン。その後タイヤバリアに向かって、高速状態のまま突進するという衝撃的な映像が飛び込んできます。

クラッシュしたマシンからヘッドレストが飛んでいくほど衝撃が激しく、マシンの右側はほとんど破壊されていました。何よりも心配だったのが、マグネッセン選手の体。マシンから自力で降りてきましたが、足をひきずりながら歩いているではありませんか(涙)。

すぐにメディカルセンターに向かったマグネッセン選手ですが、ルノーによると左足首に軽い切り傷があるとのこと。マグネッセン選手は、自身のTwitterで「みんな、メッセージありがとう!自宅に戻っている最中だ。足首が痛むけど、モンツァの準備はできているよ。」とコメントしていたので、一安心です。次戦でマグネッセン選手の元気な姿が見られますように!

P-20160827-00640_HiRes JPEG 24bit RGB P-20160827-00711_HiRes JPEG 24bit RGB

マグヌッセン選手の事故を受けてセーフティカーが導入されましたが、数周後にはタイヤバリアを修復するために約10分間の赤旗中断となりました。

レース中断中、ドライバーはマシンから離れることが可能なのですが、フェルスタッペン選手がレッドブルのピットウォールに行き、レッドブルチーム代表のクリスチャン・ホーナーにオープニングラップ時の接触について一生懸命話している姿が印象的でした。ホーナーがフェルスタッペン選手を落ち着かせている姿は、まるで父と息子のよう(笑)。

M39508

レース中断中に、装着していたミディアムタイヤからソフトタイヤに履き替えたハミルトン選手。オープニングラップ時の混乱によりポジションを大きく上げていましたが、レース再開後も前にいるマシンをどんどん追い抜いていきます。終盤、2番手を走るダニエル・リカルド選手(レッドブル)より2秒速く走りますが、残念ながら届かず3番手でゴールしました。

21番グリッドからスタートして3番手でフィニッシュしちゃうハミルトン選手は、やっぱりかっこいい! ドライバーズチャンピオンシップのポイントリーダーを守り抜きました。

1位は自身20回目、ベルギーGP初優勝のロズベルグ選手。見事なポール・トゥ・ウィンでした。2位を獲得したのは、ずいぶん日焼けをしたリカルド選手。きっと夏休みを満喫したのでしょうね。

そんなリカルド選手が、ポディウムでまたやってしまいました……。

P-20160828-01471_HiRes JPEG 24bit RGB

前戦のポディウムでレーシングシューズにシャンパンを入れて飲むという、パフォーマンス(?)を見せたリカルド選手ですが、今回はコメンテーターのマーク・ウェバーに、シャンパンを入れた自分のレーシングシューズを勧めているではありませんか!

ウェバーといえば、オーストラリア出身の元レッドブルF1ドライバー。そう、リカルド選手の大先輩なのです!! いくらオーストラリアの風習(?)だからといって、さすがにそれは……と思いましたが、少し迷いながら飲んだウェバー。なんて優しいのでしょう!

ウェバーが飲み終わった後、リカルド選手は「オーストラリア人として少し恥ずかしいことをしてしまいましたね。ごめんなさい。」と反省していましたよ(笑)。

P-20160828-01447_HiRes JPEG 24bit RGB

次戦イタリアGPは9月4日(日)に開催されます。イタリアGPといえば、フェラーリのホームグランプリ。たくさんのフェラーリファンが集まる前で、フェラーリ2台はどのようなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。楽しみですね!

ベルギーGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。

順位/No./ドライバー/チーム
1/#6/ニコ・ロズベルグ/メルセデス
2/#3/ダニエル・リカルド/レッドブル
3/#44/ルイス・ハミルトン/メルセデス
4/#27/ニコ・ヒュルケンベルグ/フォース・インディア
5/#11/セルジオ・ペレス/フォースインディア
6/#5/セバスチャン・ベッテル/フェラーリ
7/#14/フェルナンド・アロンソ/マクラーレン
8/#77/バルテリ・ボッタス/ウィリアムズ
9/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
10/#19/フェリペ・マッサ/ウィリアムズ

(yuri)

販売代理店となるキャロッセに訊いた、グローバルMX-5カップカーを取り扱ったワケ

マツダMX-5ロードスターの世界統一仕様車によるワンメイクレースシリーズである「グローバルMX-5カップ」。

その日本での開催がアナウンスされた8月1日、同時に株式会社キャロッセから同レースに出場できる統一仕様車両の受注販売も開始されました。

参戦車両の販売代理店となったのはキャロッセ。その経緯を代表である長瀬努さんに伺いました。

GLMX5CUP_JP_038_12

日本のレースを戦うグローバルMX-5カップカーも、北米にあるロングロードレーシング社が制作し、日本へと運ばれます。

キャロッセに代理店の白羽の矢が立ったのは、過去にモータースポーツで使用できる手軽なベース車両を供給したいということから、マレーシア最大の自動車メーカーのプロトンからサトリアネオを輸入しており、業務に精通していること、そして北米にも拠点をもっていることが、主な理由とのこと。

しかし、選ばれたなによりの理由は、長年、日本のモータースポーツを選手の育成、競技用車両の製作、そして広範な車種に向けた競技用パーツの供給などで、支えてきたという実績への評価があると思われます。

GLMX5CUP_JP_1200_Fur_079_12_1

長瀬さんは「日本のモータースポーツの世界を広げる今回のレースに、関われることは誇らしいことです。同一仕様で行われるグローバルカップという世界統一戦がもつダイナミックさ、そしてユニークさに期待したい」と語りました。

MX-5カップカーは2017年のレース開催に向けて、現在は車両のオーダーを受けたものから順次、北米からの輸送を進めているそう。

納期は2ヶ月から2ヶ月半ほど。マシンは完成車として交換が可能なパーツ以外は封印が施された状態で状態で到着するので、仕様変更などの作業はないものの、車両に取り付けられているパーツの確認や、輸送にともなう不具合などのチェックを経て、各参戦者のマシンをメンテナンスするショップへと届けられることになるそうです。

GLMX5CUP_JP_025_12

ひとつだけ、確認の際に取り付けるパーツがありました。ドライバーに合わせる必要のあるバケットシートだけは、海を渡ってくるマシンに付属しないそうなので、個別に取り付けて納車準備完了となるようです。

今後は車両輸入のほか、指定部品となる各消耗品などもロングロードレーシング社より輸入、ストックし、開幕への準備を進めるとのこと。

すでにレース参戦を決めたユーザーもおり、車両手配が始まっていると聞くと、ますます来年のレースが楽しみになってきますね。

(文・写真:古川教夫)

【関連記事】

約800万円のロードスターに筑波で試乗!? グローバルMX-5カップカーは2リッター左ハンドル!
http://clicccar.com/2016/08/25/394762

グローバルMX-5カップカーはモメンタムカー? ─ 開発ドライバートム・ロングさんインタビュー
http://clicccar.com/2016/08/28/394828

グローバルMX-5カップカーはモメンタムカー? ─ 開発ドライバートム・ロングさんインタビュー

「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」の参戦車両となるグローバルMX-5カップカーの試乗会が開催されるのに合わせ、開発ドライバーのトム・ロングさんも来日しました。

GLMX5CUP_JP_1200_Fur_400_12_1

トムさんは現在、マツダUSA/マツダ・モータースポーツが開発しているプロトタイプレーサーのドライバーでもあり、デイトナ24時間レースなどを擁するIMSAウェザーテック選手権に出場中です。

そんな彼も、実はそのレースキャリアをロードスターの北米仕様であるMX-5ミアータでスタートしているのです。

Canadian Tire Motorsporst Park

2003年、NA型を相棒にスペックミアータというレースで始まったチャレンジは、2005年にはチャンピオンシップを獲得。NB型を経てコンチネンタルチャレンジでも好成績で戦歴を重ね、NC型に乗る頃にはフリーダムオートスポーツチームからレースエントリーするように。

アマチュアドライバーならば憧れるレーシングチーム所属となり、快進撃は続きます。

2011-20112年には4ローターエンジンを搭載したRX-8でデイトナ24時間レースに参戦、表彰台に上るなど大躍進。また自らも走っていたスペックミアータ・レースでは、ドライビングコーチとしてもロードスターに関わっていきます。

そしてND型ではグローバルMX-5カップカーの開発ドライバーとなっています。

まさにそのレースキャリアをMX-5ミアータ=ロードスターとともにステップアップしてきたヒストリーが見えてきます。

そんな歴代ロードスターを深く知るトムさんに、ロードスターのレーシングカーとしての資質やロードスターレースの魅力について訊いてみました。

すると「私たちはロードスターのことを『モメンタムカー』と呼んでいます」となにやら聞き慣れないコトバが飛び出しました。

トムさんに、歴代ロードスターをストリートで、そしてレースで走らせてきて感じている共通点、ロードスターの魅力について訊いてみたところ飛び出してきた『モメンタムカー』。それってどういう意味なのでしょうか。

GLMX5CUP_JP_1200_US_001

トムさんは続けます。

「ロードスターは、ご存知の通り大出力のエンジンはないけれど、軽量でレスポンスの良いシャシーとハンドリングを持っています。旋回スピードを含めてスタート地点からゴール地点までの平均速度を高く維持していくのが秘訣。

そのためには、タイヤと相談し、ブレーキングもステアリングも的確な速度で的確な量だけ動かすことが必要です。これも皆さんご存知のとおり『速く走りたいならアクセルをより速く多く踏めば良い。深く曲がりたければステアリングを速く多く回せば良い』というようなセンスのものではなく、スポーツカーを知らない方が思っているより少ない動きでしかもゆっくり……ですよね。

そして、更なるタイムアップのために、その引き出し方を最適解の上下にあるほんの小さな調整範囲内で少しずつ使っていき、操っていく。

速く走らせるには、ドライバーのすべてのスキルを常に最大限使ってマシンを走らせる必要があります」。

GLMX5CUP_JP_1200_US_002

ここでのモメンタムカーとは、うまくあらわせませんがすべてにおいて「足るを知るコトができるクルマ」といったところでしょうか。

「レースではさらに……」とトムさん。

「この効率よくアベレージを上げていく走らせ方をしながら、回りのライバル達の動き方を見つつ、ゴールまでレースプランを組み立て直し続けるというスキルが必要になります。

私がエントリーしていたミアータカップなどは出場台数も多く、もちろんすべてロードスターですから、そういった駆け引きも多く学べました。

ロードスターのレースはステップアップしていくために必要なものがたくさん含まれているのです。グローバルMX-5カップは45分のレース、長いレースになりますから、そういった戦術に対するスキルもアップできるはずです」。

「そのモメンタムカーとしての資質という点で、新型となったグローバルMX-5カップカーは人気が絶大だった初代MX-5に原点回帰している印象もあります。

パワーウェイトレシオが向上した上、ライトウェイトシャーシを手に入れたことでバランスのとれたプラットフォームとなって、運転するのがワクワクします。

初心者でもエキスパートでも、誰に乗ってもらっても価値のあるクルマにするというテーマで開発してきたマシン。まさにロードスターらしさに溢れているといえるでしょう」。

MX-5カップカー、北米市場ではすでに100台が販売され、各レースも40台前後のマシンで争われているという状況。来年から始まる日本でのレースにも注目ですね。

GLMX5CUP_JP_1200_Mazda_001_12

トムさんは現在もプライベートではNB型のストリートカーを所有しているそうで、愛車を評して「今でもとてもファンなクルマだよ」とおっしゃっていました。

(文:古川教夫 写真:古川教夫・マツダ)

【関連記事】

約800万円のロードスターに筑波で試乗!? グローバルMX-5カップカーは2リッター左ハンドル!
http://clicccar.com/2016/08/25/394762

WEC富士6時間レースのWECグリッドセレモニーガールが発表!

10月14日(金)〜16日(日)に富士スピードウェイで開催される、FIA世界耐久選手権 FIA WEC 富士6時間耐久レース。

l001

富士6時間レースはル・マン24時間レースも含まれる世界耐久選手権の第7戦として開催されます。

l002

ル・マンといえば23時間50分以上もトップを走ったトヨタ・TS050 HYBRIDが記憶に残っています。そのル・マンでライバルだったポルシェ、アウディなど名だたる強豪もやってきての世界選手権となるのが富士6時間レース。

l003

同レースを彩るWECグリッドセレモニーガールの8名がSUPER GT第5戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round5 FUJI GT 300km RACE」のWECブースで発表となりました。

l005

WECブースではSUPER GTのレース中での発表会となったので選ばれたメンバーはSUPER GTのチームの衣装を着ていましたが、WEC富士6時間レースの際は和服を着用してセレモニーに臨むとのこと。

それでは、発表となったメンバーを紹介しましょう。

荒井つかさ

p014

忍野さら

p010

清瀬まち

p001

西村いちか

p024

早瀬あや

p009

藤井みのり

p019

藤木由貴

p018

水瀬きい

p027

日本を代表する女性ということで選ばれたメンバーは、いま人気絶頂のレースクイーン8名。この中には歴代clicccar賞受賞者が2名も含まれてます!

l004

WEC世界耐久選手権富士6時間レースでの彼女たちの活躍に期待しましょう。

(写真・文:松永和浩)

【関連リンク】

WEC世界耐久選手権富士6時間レース
http://fiawec-fuji.com/

宮田莉朋選手2連勝!FIA-F4最年少優勝と最年少連勝の記録が塗り変わる【SUPER GT2016】

毎戦がSUPER GTと併催で行われるFIA-F4日本選手権。その第5戦と9、10戦が8月6〜7日のSUPER GT富士戦の中で行われました。

変則的に第5戦が組まれているのは中止となったオートポリスでの第5戦、第6戦の代替としてとなります。なお、第6戦は11月12日のツインリンクもてぎとなっています。

005

6日に開催された予選はベストタイムが第5戦、セカンドタイムが第9戦のものとなり、第5戦が宮田莉朋選手、第9戦は小高一斗選手がポールポジション。FTRSスカラシップチームがポールを分け合うカタチとなりました。なお第10戦のスターティンググリッドは第5戦のベストタイムから算出されることになる変則ルール。

001

この第5戦、第9戦を見事優勝、そして連勝で飾ったのが 1999年8月10日生まれの宮田莉朋選手。17歳を4日後に控えた16歳での優勝及び連勝は最年少。

003 011

波乱の多い、というよりも波乱だらけのFIA-F4ですが、宮田莉朋選手はその波乱をうまくかいくぐって速さとともに上手さを身に着けた驚異的な16歳(執筆現在は17歳)といえるでしょう。

002 015

5月の富士戦で小高選手がたてた最年少記録を塗り替え、現在FIA-F4のドライバーランキングでは首位となっています。

 014 008

ランキングでは追うカタチとなってしまった小高選手、第10戦ではトップチェッカーを受けるも、セイフティーカー中の追い越しがあったとされてペナルティ加算で16位まで順位を下げてしまうことに。

012

その波乱の第10戦を制したのは平木湧也選手。昨年8月の富士戦以来1年ぶりの表彰台が暫定2位、正式結果は優勝となりました。

013 009

そして第10戦でポールポジションとなっていた篠原拓朗選手も最終的に2位となり、第9戦の3位に続いてFIA-F4参戦以来の最高位更新となりました。

この熱いヤングファイトがたまらなく面白いFIA-F4.次戦は8月27、28日、SUPER GT鈴鹿1000kmと併催で行われます。SUPER GTを観戦予定の方はFIA-F4もぜひチェックしてください。

(写真・文:松永和浩)

ドッグファイト!第5戦富士GT300はBMW vs アウディの超接近バトルが展開【SUPER GT 2016】

8月7日、 富士スピードウェイでSUPER GT第5戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round5 FUJI GT 300km RACE」の決勝が行なわれました。

002

午後2時35分に静岡県警の白バイとパトロールカーがGTマシンを従えパレードランが行われ、2時42分に33,500人という大観衆が見守る中、ローリングによる決勝レースがスタート。

003

ポールポジションからスタートの55番 ARTA BMW M6 GT3が絶好調のスタートを見せホールショットを決めますが、2番手スタートの21番 Hitotsuyama Audi R8 LMSもガッツリと後を追いかけます。

007

3番手スタートだった51番 JMS LMcorsa 488 GT3は2周目以降じりじりと後退し、4周目で61 番SUBARU BRZ R&D SPORTが前へ。3番手に上ります。

011

5周目からARTA BMW M6 GT3、Hitotsuyama Audi R8 LMSの激しいバトルが延々と続き、Hitotsuyama Audi R8 LMSはTGRコーナー(第1コーナー)で何度も抜きにかかりますが、そこを踏ん張るARTA BMW M6 GT3。Hitotsuyama Audi R8 LMSはなかなか前へ出られません。

017

そのバトルに、いよいよSUBARU BRZ R&D SPORTが追いついてきて、いよいよ三つ巴のバトルか?という矢先の16周目にセーフティーカーが導入され、上位3台のバトルに水が差されることになりました。あわせて、この3台とそれ以降に開いた大きなアドヴァンテージも帳消しに。

022

21周目でレースが再開されると、ARTA BMW M6 GT3、Hitotsuyama Audi R8 LMSの2台は群を抜いての速さを見せます。好調なリスタートのARTA BMW M6 GT3に逃さず食いつくHitotsuyama Audi R8 LMS。遅れてSUBARU BRZ R&D SPORTが後を追います。

045

29周目でHitotsuyama Audi R8 LMSがピットイン。先にピットを終わらせてARTA BMW M6 GT3がピットに入っている間にトップに立ってしまおうという作戦か?

043

ここで30周目にARTA BMW M6 GT3がピットイン。ピットタイム36秒6という速さで作業を終えるとコースへ復帰。見事にHitotsuyama Audi R8 LMSの前でのアウトラップに成功します。

038

ピット作戦でARTA BMW M6 GT3にわずかに及ばなかったHitotsuyama Audi R8 LMS。しかし終盤にARTA BMW M6 GT3がペースを落としつつあったことでギャップがどんどん詰まって行き、残り5周で2秒を切るほどに接近します。

026

しかしHitotsuyama Audi R8 LMSの接近に最後の力を振り絞って抗うARTA BMW M6 GT3。並びかかけられても見事にかわしてトップを死守!

ラストラップの最終コーナー、リチャード・ライアンのHitotsuyama Audi R8 LMSは小林のARTA BMW M6 GT3のスリップストリームにガッツリと入り込むと、最後の最後で勝負を仕掛け並びかけます。しかし追い抜くよりも早くコントロールラインがやってきて、先にラインを踏んだのはARTA BMW M6 GT3。

026

0.106秒差でARTA BMW M6 GT3が優勝を果たしました。

034

2位はHitotsuyama Audi R8 LMS。アウデとしてはSUPER GT参戦以来の最上位でのフィニッシュとなります。

028

3位はSUBARU BRZ R&D SPORT。SUGOに続いての連続表彰台。

033

4位はマネパ ランボルギーニ GT3。

015

5位にはグッドスマイル 初音ミク AMG。初音ミクとしては今期最上位。1戦毎に順位を上げてきていますので、鈴鹿戦では台風の目になるかもしれません。

040

前戦SUGOでは表彰台に一台もいなかったGT3勢。ここ富士では2台が表彰台に上り、SUBARUとUPGARAGE以外のポイント獲得はGT3勢ということで、GT3勢復活の狼煙が上がったかのように見えました。

039

次戦はボーナスポイントのつく鈴鹿での1000kmレース。ARTAはかなり重いウェイトを積んでの参戦になります。まだまだシリーズの行方がわからないSUPER GTのGT300クラス。

次戦の鈴鹿はよりいっそう面白い展開になりそうです。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

大事件!? シューズにシャンパン入れリカルドが飲んじゃった!【2016 F1第12戦ドイツGP】

7月31日(日)2016 F1 第12戦ドイツGPがホッケンハイムリンク(全長4,574km、周回数67周)で開催されました。

スタンドには多くのファンの方が集まり、応援しているドライバーのフラッグを掲げたりチームウェアやキャップを身に着けたりと、2年振りのドイツGPを心から楽しんでいるように感じられました(^^

P-20160731-00848_HiRes JPEG 24bit RGB

母国GPでポールポジションを獲得したニコ・ロズベルグ選手(メルセデス)ですが、スタートに失敗し4番手まで後退……。逆に、最高のスタートを切ったチームメイトのルイス・ハミルトン選手(メルセデス)は、ロズベルグ選手を抜き1番手でオープニングラップを駆け抜けていきました。

2番手、3番手にはレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手、ダニエル・リカルド選手が続きます。

M38663

2回目のピットアウト後、ヘアピンで外側にまわったフェルスタッペン選手のインを突いたロズベルグ選手が追い抜いたのですが、フェルスタッペン選手をコース外に押し出してしまい、ロズベルグ選手に5秒のタイムペナルティが科せられてしまいます。

母国GPでポールポジションを獲得し、ファンの方もロズベルグ選手の優勝を期待していたはず。でも、レースでは散々な結果となってしまいました(涙)。やはり、母国GPというプレッシャーは相当なものだったのでしょうね。

F1ドライバーはドライビングテクニックだけでなくメンタルも強くなければいけない、過酷なスポーツだと改めて思いました。

M38528

レッドブルはチーム内でタイヤ戦略を変え、フェルスタッペン選手はSS(スーパーソフト)→S(ソフト)→S→SS、リカルド選手はSS→S→SS→SSに履き変えました。結果、2回目のピットインでスーパーソフトになったリカルド選手は、チームの指示でソフトを履くフェルスタッペン選手をパス。2位リカルド選手、3位フェルスタッペン選手でチェッカーを受けました。

せっかく前を走っていたのに、チームの指示で順位を落とすことになってしまったフェルスタッペン選手。大丈夫かなと心配していたのですが、ポディウムで行われたインタビューでは「それぞれストラテージが違った。チームとしては、2位3位になれて良かった。Wポディウムを今回目指していたし、フェラーリより多くポイントをとれて満足している。」と笑顔で話していたので一安心!

P-20160731-01571_HiRes JPEG 24bit RGB

ドイツGPの優勝を獲得したのは、スタートから最後まで完璧な走りだったハミルトン選手。ポディウムでは優勝トロフィーにシャンパンを入れて飲んだりと、やることがかっこよすぎです!

そんな姿を見てリカルド選手は何を思ったのか、自分のレーシングシューズにシャンパンを入れ飲み始めたではありませんか!! 陽気なリカルド選手はとっても魅力的ですが、レーシングシューズでシャンパンを飲むってどうなのでしょうか……。新品であったことを祈るばかりです(笑)。

P-20160731-01890_HiRes JPEG 24bit RGB

F1はこれから約1カ月の夏休みに入ります。次戦は8月26日(日)にベルギーの伝統サーキット、スパ・フランコルシャンで開催されます。

ドイツGPでコンストラクターズポイントをフェラーリから逆転し2位となったレッドブルがメルセデスにどこまで追いつけるのか、それともフェラーリが追い返してくるのか、今後のレース展開も楽しみですね!

ドイツGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。

順位/No./ドライバー/チーム
1/#44/ルイス・ハミルトン/メルセデス
2/#3/ダニエル・リカルド/レッドブル
3/#33/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
4/#6/ニコ・ロズベルグ/メルセデス
5/#5/セバスチャン・ベッテル/フェラーリ
6/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
7/#27/ニコ・ヒュルケンベルグ/フォース・インディア
8/#22/ジェンソン・バトン/マクラーレン
9/#77/バルテリ・ボッタス/ウィリアムズ
10/#11/セルジオ・ペレス/フォースインディア

(yuri)

【SUPER GT2016】FIA-F4 17歳で最年少優勝の小高一斗選手、SUGOでも優勝飾る!

7月23〜24日のSUPER GT第4戦 2016 AUTOBACS SUPER GT Round4 SUGO GT 300km RACEの中で行われたFIA-F4選手権の第7〜8戦。

002

その第8戦で、5月の富士戦で最年少優勝と2連勝を飾った17歳、FTRSスカラシップの小高一斗選手が第8戦を優勝。ポイントリーダーに返り咲きました。

014

7月23日の予選で第7戦、第8戦ともにポールポジションを獲得した小高一斗選手。17歳とは思えない貫禄が備わってきたようです。

003 004

第7戦のグリッドでは優勝宣言。それも1位を2回獲る!自信の程がうかがえます。

005

第7戦はポールポジションから危なげなくスタートした小高選手のホールショット。

013

この後もぐいぐいと突き進み、11 番 エヴァRT弐号機 tanzen Rn-sの大湯都史樹選手とのバトルを交えながらもトップを死守。1番にチェッカーフラッグをくぐり抜けての優勝を果たします。

これで富士2連勝からの3連勝かと思いきや、なんと再車検で車両規則違反が見つかりまさかの失格!ノーポイントでチャンピオン争いすら危険な状態になってしまいます。

016

第7戦を優勝したのは小高選手失格によって繰り上がった大湯都史樹選手。初優勝となります。

009

そして24日の第8戦。小雨が徐々にやみつつある中でのグリッド整列は、タイヤチョイスが悩みどころ。結局全車レインタイヤを装着で臨んだスタートですが、溝の浅いユーズドタイヤか溝の深い新品タイヤかはチョイスが分かれるところです。

ポールポジションからスタートした小高選手は、すばらしいスタートを決めた大湯選手に第1コーナーまでに先行を許してしまいます。小高選手は新品タイヤ、大湯選手はユーズドタイヤ。このタイヤの差もスタートに関係してくるのでしょうか。

008

小高選手は2周目から大湯選手の直後、スリップストリームの効く距離まで接近し、ストレートでは並びかけます。しかし第1コーナーにいたスピン車両のために出ていたイエローフラッグのおかげで抜き去ることが出来ません。

006

そして5周目にイエローフラッグが解除されると、それを機に大湯選手を一気に抜き去りトップへ浮上。6周目までにその差を2秒に広げて独走態勢に持ち込もうという矢先、最終コーナーでコースアウトが発生しその回収のためにペースカーが導入されます。せっかく築いたマージンが全くのゼロに。

007

トップでのセーフティーカー解除を経験したことがない小高選手ですが、恩師である片岡達也選手に直伝されたという解除後のスタート方法で、2位以下を一気に引き離す素晴らしい再スタート!

001

そしてもぎ取った第8戦の優勝。前日の失格騒ぎを払拭する完璧な優勝と言えるでしょう。

012

恩師の片岡達也選手もパルクフェルメに祝福にやってきました。

010 015

チームメイトの宮田莉朋選手も2位となりFTRSスカラシップチームの1、2フィニッシュ!

011

次戦は8月6〜7日の富士スピードウェイでの第9〜10戦。SUPER GTを観戦するなら、ますます盛り上がるFIA-F4も一緒に楽しみましょう。

(写真・文:松永和浩)

【WEC第4戦ニュルブルクリンク】トヨタがもう一つのホームレースで今季初勝利を目指す!

WEC第4戦ニュルブルクリンク6時間耐久レースが7月24日(日)に開催されます。

ニュルブルクリンク・サーキットは、チームの本拠地であるドイツ・ケルンから車で1時間ほどの場所にあり、ル・マンでの悪夢を振り払い、心機一転、勝利を目指すのに最高の舞台と言えます。

E91I6914

レースにはル・マン24時間レース用に開発された低ドラッグ空力仕様ではなく、ストレートの距離が短く、タイトなコーナーをもつニュルブルクリンクに合わせた超ハイダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDが投入されます。

ケルンのトヨタモータースポーツ有限会社(TMG)の風洞で開発された新しい空力仕様は、最高速性能と引き替えにより強力なダウンフォースを生み出し、これが、これからのシーズン後半戦へ向けたパッケージとなります。

7月22日(金)に行われる公式練習走行では、5.137kmのニュルブルクリンク・グランプリコースにおいて新しい空力仕様の検証とそのセッティングが進められる予定。尚、サーキットに関しては、今シーズンからヴィードル・シケインがよりタイトに変更されています。

A89I6006

チーム代表、ドライバーのコメントが届きました。

■佐藤俊男(TOYOTA GAZOO Racingチーム代表)

「前戦ル・マンの無念は一旦胸中に収め、前を向いて進みたいと思います。ファンの皆様をはじめ、関係者やライバルメーカーの方々にはこれまでに多くの温かい励ましの言葉を頂き、心から感謝を申し上げます。モータースポーツチームとして、改めてレースをしたい、戦いたい思いで一杯であり、モチベーション、チーム力ともこれまで以上に高まっています。

よってニュルブルクリンク6時間レースは再度パフォーマンスを示す絶好の機会になると思います。またケルンのTMG社員など大勢の応援がもらえるこのレースは、我々にとってはホームレースと言えるイベントです。昨年は、とても多くの観客の皆様にも声援を頂きました。今年も、グランドスタンドを埋めつくす皆様の前で勝利に向かって戦うことが出来るものと確信しています。」

■中嶋一貴(TS050 HYBRID 5号車)

「ル・マンからあまり間を空けずにレースに戻ることが出来るのは嬉しいことです。例年WECはル・マンの後長い夏休みとなっていましたが、1か月でシリーズが再開するのは我々にとって歓迎すべき状況です。

ル・マンでは我々の真の強さを証明出来たので、今週末も同様に戦えると思っています。ニュルでのレースには、ケルンからチームの仲間が、大勢応援に駆けつけてくれます。特にあのル・マンの後だけに、彼らに好結果をもって応えるべく、士気は高まっています。チームの仲間は、懸命な努力を続けてくれています。このレースは彼らの働きに報いる絶好のチャンスです。」

E91I2140

■アンソニー・デビッドソン(TS050 HYBRID 5号車)

「ル・マンが残念な結果に終わっただけに、これまでにないほど雪辱に燃えています。ニュルブルクリンク・サーキットはとても楽しいコースで、これまでと同じように、我々のTS050 HYBRIDがここでも競争力があることを願っていま

す。チームのホームレースで勝利を目指し戦えることは大きな励みとなるでしょう。ケルンから応援に来てくれる多くの仲間の前でのレースは特別です。その素晴らしい雰囲気とチームスピリットは、この週末のレースに大きな力をもたらしてくれるでしょう。」

■セバスチャン・ブエミ(TS050 HYBRID 5号車)

「あのル・マンからすぐにレースに戻れるのは気分的に良いことで、ニュルブルクリンクでの第4戦をとても楽しみにしています。我々は再び勝利を争えると思っていますし、シーズンの前半戦を良い流れで締めくくるためにも好結果を目指します。今季これまでの3戦中、2戦でレース終盤までリード出来たことは大きな自信に繋がっており、ニュルブルクリンクでも同様の好パフォーマンスを見せられると思っています。ル・マンの結果を受け入れるのが困難なのは我々全員同じですが、それはもう胸にしまい、シーズン残りのレースを見据えて戦う時期に来ています。何としても今季初勝利を狙って行きます。」

[nextpage title=”6号車ドライバーのコメントは次ページへ!”]

■小林可夢偉(TS050 HYBRID 6号車)

「個人的にはニュルブルクリンクでここ数年間レースを行っていませんが、フォーミュラカーでは何度か良い結果も得ており、LMP1-Hカーでの初のニュルブルクリンクを楽しみにしています。我々のTS050 HYBRIDは充分に上位を争える速さがあると思っていますので、表彰台の一番上を目指します。このレースにはダウンフォースを増強した空力仕様を投入することになり、最高のパフォーマンスを引き出すべくハードワークが必要です。チームはル・マンのパッケージでも素晴らしい仕事をしてくれ、今週末も再び良いレースが戦える自信があります。」

A89I0217

■ステファン・サラザン(TS050 HYBRID 6号車)

「ル・マンで我々は素晴らしい仕事をやり遂げ、昨年と比べて大きな進歩を果たしました。今の我々にとって最も重要なのは、ライバルと戦える位置に戻れたということです。今の我々の目標はレースに勝つ事、そして世界チャンピオンのタイトル争いです。ル・マンの後に長い休暇がないのは良いことだと思っています。ニュルブルクリンクのコースは大好きですし、我々には競争力の高いTS050 HYBRIDがあります。この週末のレースを心待ちにしており、戦う準備は出来ています。」

■マイク・コンウェイ(TS050 HYBRID 6号車)

「ニュルブルクリンクは最高のコースで、レースを戦うのを本当に楽しみにしています。ハイダウンフォースサーキットなので、どのチームのパッケージが適しているのか、とても興味があります。我々も改良したパッケージを持ち込みますので、ル・マンのような良いペースで戦えることを望んでいます。6号車はドライバーズ選手権を争っており、着実にポイントを獲得してタイトルを狙いにいきます。昨年のニュルブルクリンクでの雰囲気は最高でした。我々にとってもう一つのホームレースで、多くのファンやチームの仲間を前に戦えるのを楽しみにしています。」

E91I2420

前戦のル・マン24時間レースでは、TS050 HYBRID 5号車がチェッカーフラッグまであと数分というところで、痛恨のメカニカルトラブルにより、ほぼ手中にしていた初勝利を逃すこととなりましたが、速さではライバルのポルシェとアウディに決して引けを取らないことを証明しました。

ニュルブルクリンクはル・マンでの悔しい気持ちをバネに、素晴らしい結果になることを期待したいですね。今度こそチームトヨタの笑顔が見ることができますように。

(yuri)

地震で中止のオートポリス戦、代替レースは岡山で同日に開催!【スーパーフォーミュラー2016】

9月10〜11日にオートポリスで予定されていたスーパーフォーミュラー第5戦は「平成28年(2016年)熊本地震」の影響で中止となっていました。第3戦が開催されている7月16日、その代替レースが発表となりました。

001

代替レースは予定されていた日程の9月10〜11日のまま、場所は岡山国際サーキットとなります。

[大会名]
2016年 全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第5戦 岡山国際サーキット

[開催日]
2016年9月10日(土)・11日(日)
10日:フリー走行、公式予選(20分間)、決勝レース(30Laps/110km)
11日:ノックアウト予選(Q2まで)、決勝レース(51Laps/190km)※タイヤ交換あり

[開催場所]
岡山国際サーキット(3.703km)

[主催者]
株式会社岡山国際サーキット/アイダクラブ(AC)

[併催イベント]
2016全日本フォーミュラ3選手権第13戦・第14戦
2016 N-ONE OWNER’S CUP Rd.10

002

土曜、日曜で2レース制となる第5戦、シリーズを戦う上ではかなり重要な一戦となりそうです。

(写真・文:松永和浩 写真は第3戦富士のフリー走行のものです)

【関連リンク】

第5戦 岡山国際サーキット開催のご案内
http://superformula.net/sf/apf/ap/NList02.dll/?No=NS022147

本田宗一郎も走った幻のサーキット「多摩川スピードウェイ」開設80周年記念展

戦前、多摩川の河川敷に日本最初のサーキット「多摩川スピードウェイ」がありました。

丸子橋の上流、川崎側に作られた全長1.2km、コース幅20mのオーバルコースで、1936年から全国自動車競走大会が開催され、初開催時には1万人を超える観衆も集めたそうです。

このとき、若き本田宗一郎兄弟が出場を果たしています。しかし、その後燃料事情の悪化などもあり、3年・4回で開催が休止します。

01

終戦後は大きなイベントは開催される事もなく、騒音問題などで廃止となりました。

現在、コース跡は川崎市の硬式野球場として利用されていますが、グランドスタンド跡は現在も堤防の一部として現存しています。

IMG_3720 IMG_3727

そのグランドスタンド跡に、スピードウェイ開設80周年を記念してプレートが設置されました。

IMG_3725

今回、川崎市市民ミュージアムで開設80周年記念展「多摩川スピードウェイ〜日本初の常設モーターサーキット〜」が開催され、市民ミュージアムのスペース1F「逍遥展示空間」で、当時の写真を中心に以下の物が展示されます。

○写真パネル(多摩川スピードウェイの会制作)
第1回から第4回のレースの模様や出場者などを紹介するパネルのほか、レースに関わった人たちの紹介パネル。

○昭和14年の航空写真

○実物資料
・東横目蒲電鉄 沿線パンフレット(昭和13年)
・昭和12年の川崎市都市計画図などの地図資料

○映像資料(会場内に液晶モニターを設置)
市民ミュージアム所蔵の第4回のレースを撮影した映像(約2分30秒)を初公開。

特に映像は、所蔵されていたコレクションの中より発見された貴重なものです。ほかにも全国自動車競走大会や多摩川スピードウェイの貴重な映像が公開される様です。

IMG_3760

また、7月17日(日)、31日(日)各日14時から、多摩川スピードウェイの会 会員によるギャラリートークが開催されます。

観覧料、ギャラリートーク共に無料です。参加者には市民ミュージアムから多摩川スピードウェイ跡地への行き方等を記載したガイドマップが提供されます。

スピードウェイ跡地には市民ミュージアムより徒歩で20分程です。イベント終了後、マップ片手に日本最初のサーキット跡を訪れてはいかがでしょうか。

LEAF01LEAF02

【開催概要】
会 期:平成28年7月17日(日)〜31日(日)
会 場:川崎市市民ミュージアム 1階 逍遥展示空間
主 催:川崎市市民ミュージアム 川崎市中原区等々力1-2 TEL 044-754-4500
共 催:多摩川スピードウェイの会
協 賛:日本プロセス株式会社

(川崎BASE・写真:(c)多摩川スピードウェイの会)

国内レース史上初の快挙!デミオディーゼルがS耐鈴鹿でクラス優勝!【スーパー耐久2016】

6月12日に鈴鹿サーキットで決勝レースが行われたスーパー耐久シリーズ2016 第3戦 「SUZUKA “S耐”サバイバル」で、TEAM NOPROのマツダ デミオSKYACTIVディーゼル「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」が、国内レース史上初のクリーンディーゼルエンジンによる耐久レース優勝を果たしました。

013

海外のチームが持ち込んだディーゼルマシン、たとえば世界耐久選手権のアウディや世界ツーリングカー選手権のセアトなどが優勝をしたことはありますが、国内のレースにおいて国産メーカーのディーゼルエンジンが耐久レースで優勝したのは初の快挙です。

004

今回の第3戦は大会名の「SUZUKA “S耐”サバイバル」が示すとおり、今までに類を見ないレースフォーマットで開催されました。

6月11日に通常通りの予選が行われますが、ここでは各クラス3位までが予選通過となり、4位以下はその日の午後に行われる敗者復活レース「セカンドチャンス100」に出場しなくてはならないというルール。

ST-5クラスの場合は「セカンドチャンス100」で5位以内、予選総合順位で8位以内にいないと決勝レースに進出できないということになるのです。

001

DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-Dは通常予選の順位が7位、セカンドチャンス100のグリッドは4番となります。このレース、レース時間は100分。デミオディーゼルの燃費を活かすことができるかどうか。

006 005

しかしグリッド上では余裕の表情。スタートドライバーは野上達也選手が務めます。

007 008

スタート直後、SUGOでも見せたショートフォーマット特有の「あの作戦」で、すぐさまピットイン。谷川達也選手チェンジ。さすがに0周ではなく1周でのピットインでした。

その後30分強で井尻薫選手にドライバーチェンジのためにピットイン。フロントタイヤのみ交換、給油は無しでのピットアウト。燃費に優れるデミオディーゼルは、100分のレース時間であれば無給油で走りきることができるのです。

003

そしてセカンドチャンス100を2位でフィニッシュ。予選順位は5位となりました。

020

決勝のグリッドは、もう最後尾ではありません。予選順位5位はデミオディーゼルにとって、今までの中では最上位の結果でした。

021

スタートドライバーは谷川達也選手。ここから4時間の熱い戦いが始まります。

009 001

グリッドでは多少小雨もパラついていましたが、路面はドライコンディション。天気予報では雨に向かうとのことでタイヤの選択に悩むチームが多数いる中、デミオディーゼルはスリックタイヤをチョイスし勝負に出ます。

023 022

スタートから1時間とちょっと経った頃に、いきなり本格的な雨が降ってきます。

ピットは大渋滞になりつつも、デミオディーゼルはピットの渋滞ピークを1周だけステイすることでかわし、4輪をレインタイヤにチェンジ、給油を行い、ドライバーは谷川選手から井尻薫選手へと交代。

012

雨足は激しさを増し、コースのいたるところに川ができるほど。こうなるとガソリン勢もペースを落とさざるを得ず、デミオディーゼルとのタイム差は僅差になって行きます。

010

デミオディーゼルは2回目のピットインで再び谷川選手に交代し、規定ピットイン回数をクリア。これ以後は給油の必要も無く、あとはひたすらゴールを目指すのみ。

しかし、ライバルは給油のためにあと1回以上はピットインしなくてはなりません。

007

ラスト40分ほどのところでトップがピットイン。順位が入れ替わりデミオディーゼルは、トップに躍り出ます。

その後、ライバルがタイムを詰めようと必死に追いかけますが、ラスト5周に谷川選手はさらにペースアップで後続を引き離します。

001

そして、感動のゴール!

003

史上初のクリーンディーゼルエンジン車による耐久レース優勝を果たしました。いよいよ速さとともに「燃費」がレースを制する時代が来たのです。

024

次戦は9月3〜4日の富士。9時間の長丁場で、燃費のデミオディーゼルにはかなりの期待を寄せてしまいます。

(写真・文:松永和浩)

わがまま家族対応型!? ショッピングもスポーツ観戦も楽しめる!おトクなオススメバスツアー

今度の日曜日、あなたは家族とどのように過ごしますか? せっかくのお休み、ゆっくり寝ていたいのに、家族は朝から元気いっぱい! 「どこかへ連れて行って!」と当然せがまれるでしょう。出かけるのもいいけど、運転するのは当然あなたです。

クリッカー4

目的地に向かう車内、子供たちははしゃぎ、そして奥さんは気持ちよさそうにスヤスヤと眠っている……

目的地に着いたはいいが、もちろん休む間もなく、あなたも連れ出されるでしょう。そして一日が過ぎ、帰りの運転もあなた。当然道は渋滞、あなたを除くみんなは夢の中。「…こんな休日はいやだー!」とお困りのお父さま方、そんな声に応えるバスツアーがあります。

ルートは、朝、東京を出発して、御殿場アウトレットへ。午後にはサーキットで国内最高峰のレース・スーパーフォーミュラを特別待遇で観戦。その後再びバスに乗り、帰路へ、というスペシャルなコース。

クリッカー2

このツアーは、毎年4月に東京・お台場で「モータースポーツジャパン」という10万人イベントを開催しているNPO法人日本モータースポーツ推進機構が主催するレース観戦バスツアー。

都会の家族にモータースポーツの現場を体験してほしい、ということで企画されたツアーなのです。

開催日は7月17日(日)。静岡県富士スピードウエイで行われる「スーパーフォーミュラ第3戦」の決勝レースを観戦します。

参加費は8000円。しかも、これは1名の金額ではなく大人1名と子供2名(中学生以下)の費用なのです。

つまり、家族ならパパとママに子供4人の場合、1万6000円という金額で日曜日一日が過ごせるというわけ。ただし、中学生以下の子供を同伴することが参加の必須条件となっているので、ご注意を。

クリッカー1 クリッカー3

特別待遇の観戦には、ピットビルからのスタート観戦や、普段は入れないメディアセンターや表彰台を見学できたりと、スペシャル感が満載。レースに興味がない奥様は、アウトレットでのショッピングを楽しめる、という至れり尽くせりなバスツアーです。

40名の定員になり次第締め切りなので、参加希望者は下記をご覧いただき、お早めにお申し込み下さい!

募集案内(PDF):超お得!親子で楽しむ日帰り観戦バスツアーのご案内

(クリッカー編集部)

「ニュルブルクリンク24時間レース」でFALKEN勢2チームが好成績。総合9位とクラス優勝

住友ゴム工業は、5月26日(木)〜29日(日)に開催された世界最大級のツーリングカーレース「第44回ADACチューリッヒ ニュルブルクリンク24時間耐久レース」で、FALKEN(ファルケン)勢2チームが好成績を収めたと発表しました。

2016_047_02

まず、ファルケンタイヤヨーロッパがタイヤを供給しているFALKEN Motorsportsチームの「ポルシェ 911 GT3 R (991)」は、同レースでポルシェ勢最上位となる総合9位で完走しました。

2016_047_01

また、住友ゴム工業がタイヤを供給している「SUBARU WRX STI」は、同レースのSP3Tクラスにおいて昨年に続き2年連続でクラス優勝を果たしました。

2016_048_01

ニュルブルクリンク24時間レースは、自動車メーカー、タイヤメーカーが開発テストを行うサーキットとしても有名なニュルブルクリンクで行われる24時間レースです。

2016_048_02

ニュルブルクリンク24時間レースは、高低差300m、ブラインドコーナーを含め約170カ所のコーナーを持つ北コース(オールドコース)と、F1も開催される近代的なGPコースをつなげた1周約25kmのフルコースを使用し、世界一過酷なレースとも言われています。

(山内 博・画像:住友ゴム工業)

実は薄氷の勝利だった!? ── ニュル24時間スバルSTIチーム・辰己英治総監督に訊く

2016年のニュルブルクリンク24時間レースが終わりました。スバルSTIチームは、SUBARU WRX STI NBRチャレンジ 2016を投入し、見事SP3Tクラス2連覇を達成したことは皆さんもご存じのことでしょう。

2016-05-27 16 41 56

完走することでも、いや、1周を無事に帰ってくることすら困難なことでも知られる、世界屈指の難コース。そこで24時間レースを2年連続で制することの素晴らしさ! 心から賛辞を送らせていただきます。

DSC_1197 2016-05-29 16 33 27

レース開始直後45分に降り出した大雨、そして雹がアレンベルクコーナーを埋め尽くす状況となり、コースアウトするマシンが続出。WRX STIもコースオフしてあわや接触という状況で、なんとかそれを回避したカルロ・ヴァン・ダム選手のドライビングテクニックに『神回避』というネットでの命名もありました。

さて、ネットでの皆さんのリアクションを見ると、賛辞の一方で、終盤になにも起こらなかったからか、その戦いぶりを「退屈だった」と表現する方もいらっしゃるようでしたが、果たして実際はどうだったのでしょうか。

ゴール直後の辰己英治総監督にお話しを伺いました。

2016-05-27 17 29 37

── 辰己総監督、優勝おめでとうございます!

「ありがとうございます。いやぁ、今年も大変でした」

── 勝因は?

「今年は・・・運かな? 運ですね。あとは、スバルのグループの人たち、ディーラーメカとかスバルの人たち、そしてスバルファンの皆さんに、なんとかみんなに喜んでもらいたい。そのためにはなにがなんでもゴールさせるぞ! という執念がありましたよね」

── ここまでの道のり、大変だったですね。

「去年から、このクルマづくりおいては(シェイクダウンでのクラッシュなど)大変なことがあった。そういうことを乗り越えて、とにかく出るんだという執念はものすごいものがあったんじゃないかと思いますね。そういう執念がありながら、現地に来ると、もう運でしたね」

── レース序盤、ヒヤッとするシーンがありました。

「これだけ天気に翻弄されたのは初めてですよ。そのせいか、自分で勝ち取った感は、正直、いまいちなんですよ」

2016-05-29 4 12 49

── WRX STIに不利になるようなレギュレーション変更がありましたが、これも対応は大変だったのでは?

「レギュレーション変更が公表されたのが、実は今年に入ってからだったんです。今年に入って急に変えられてれても、実は間に合わない。アウディ勢は、変更されるレギュレーションにのっとって去年からクルマづくりをしている。そういうところでアウェイだなぁと感じましたね。それがわかったのが、実はけっこう最近でした

うちは2月か3月にはクルマをドイツに送らなければならない。そうなると、エンジンに関しては小さくなったレギュレーションに仕様に合わせて開発ができない。昨年仕様にそのままリストリクターを小さくして臨むしかないわけです。そして、日本で事故をして(船便で)送れなくなった。そうしたことにエネルギーを使われてしまいました」

── アウディはしっかり対応できていたと。

「アウディは、リストリクターが大きくなって、タイヤも太くなって、タンク容量も大きくなって、そういうレギュレーションのなかでクルマづくりをしている。でも、レギュレーションについて我々のほうが理解が低かったということですよね。ルールはヨーロッパで作られています。ドイツで勉強が必要だということを痛感しました」

── そういうマシンの状況下、トップを走るアウディTT RS2を追いかけているとき、また、トップに立った後にアウディTT RS2を引き離そうとしても、なかなかその差が変わらず、我慢比べのような展開が続きましたね。

「完全にクルマ作りで負けたなと思いました。有利な展開なはずなのに、逃げられない。蛇ににらまれたカエル状態。まだまだ力が及んでないなと思いましたね。真っ当に戦ったら追いつけないと思いましたね」

2016-05-29 11 13 15

── いっとき差がついても、また戻ったりという展開はなんだったのでしょうか?

「アウディのドライバーのレベルの差だと思いますね。1人はめちゃめちゃ速い選手がいました。彼が走っているときは、うちはかなわなかった。ほかの2人はまあまあ、1人はあまり速くない。そのドライバーのときにうちは追いつくんだけど、そのあとがうまくいかなかったですね」

── その点、STIチームの4人は全員が総じて高いレベルで走れていますしたね。

「そうですね。4人が、うちのクルマのすべてを出してくれました。雹がふったときにグラベルに飛び出して当たりそうになったときも、よく避けられたよね。あれはカルロの執念でした。普通だったら終わっていましたよ。壁とクルマの間に入っていった。パッと切ってすぐ戻した。だから、リアバンパーをかすったくらいで済んだんです。フロントが当たっていたら、クルマが回転してしまって足がやられて、多分終わりだった。直後に来た車にも挟まれて、絶対に終わっていたと思います」

思うようなマシン開発が進まず、レギュレーションにも邪魔をされた今年のニュル。

それをカバーしたのは『運』であり、それを呼び込んだチーム全体の『執念』であり、ドライバー全員の『実力』だったという辰己総監督。

DSC_1197

勝った嬉しさはもちろんですが、マシン開発に関する困難さ、それがゆえに「スパッと勝ちきれなかった」ことに、どこか『悔しさ』が滲んでいるようにも見えました。

「でもね、我々は勝つために出ているわけですから。やっぱり、勝たないといけない。みんなにきっとしばらくの間は喜んでもらえるんだろうなと思いますよ」

そう語って、辰己総監督はチームの輪のなかに入って行きました。

スバルSTIチームは、すぐにスーパーGTへの戦いに集中するとともに、来年に向けたクルマと体制づくりに入るものと思われます。

スバルSTIチームの戦いは、まだまだ続きます。

(写真・文 ハイパーレブ/86&BRZ WORLD編集長 渡辺文緒)

レーシングドライバー・モリゾウ選手とトヨタ自動車・豊田章男社長がいる現場

2016年のニュルブルクリンク24時間レースが終了しました。レースレポートはAUTSPORT WEBなどの詳報に譲りますが、今年も最終ラップまで目が離せない、白熱したレースを楽しむことができました。

1

かつては「世界最大の草レース」と呼ばれ、それこそワゴンでも大衆車でもポルシェでも参戦できたこのレース。

近年は、多くの自動車メーカーがワークスもしくはそれに準ずる体制で参戦し、最先端の市販レース用マシン規格を満たしたGT3車両が多く参戦しています。

車両のバリエーションは、今の日本のスーパー耐久に各種ワンメイクレース車両が混走しているようなイメージです。

B

さて、今年はTOYOTA GAZOO RACINGがアルテッツァで参戦してから10年目の区切りを迎えました。

そういうこともあってか、トヨタ自動車の関係者そして関連企業の重役クラスの方々の来場が非常に多く、トヨタ自動車社内外でこのレースのプレゼンスが大変高まっていることがよくわかります。

そして、今年もドライバーのラインアップにモリゾウ選手、つまりトヨタ自動車の豊田章男社長がエントリーされていました。世界の豊田社長が重視するイベントとあっては、周囲の方々も見逃すわけにはいきません。

レースウイークの木曜日には「今年は走らない」とこれまで言ってきたモリゾウ選手がレーシングスーツを着て予選1回目の現場に登場しました。

実際のところは、現場の皆を驚かせてやろうと、サプライズでレーシングスーツを着たのだといいますが、いざモリゾウ選手が現場に到着してみると、チームの誰もが「マシン、準備できています」と、予選出場が当然だという対応をしたのだそうです。

「断ることもできなくなってしまってね。乗らないわけにはいられなくなっちゃったんですよ」と笑いながら、そのときの様子を語ってくれたモリゾウ選手。

でも、本当は走る気満々だったのだと、勝手に思っています。

2

先にも書きましたが、世界の豊田章男社長です。

当然ガードも厳しく、やすやすとお話できるような雰囲気ではありませんし、新聞経済系記者はまだしも自動車メディアの端くれがおいそれと話しかけられるような状況にはとてもなりません。

しかし、決勝レース中、空が白んできた日曜朝、GAZOO RACINGのピットで取材をしていると、朝の陣中見舞いでしょうか、豊田社長が現れました。

そして、気軽に話かけてきてくれたのです。

「朝から大変だね〜。記者のみんなもメカニックみたいだね。私は寝ましたよ。でもあまり寝られないんだよ。年だからね〜。体力がない(ワハハハ)」と、そんな世間話をしてくれました。

トヨタ自動車の代表取締役豊田章男ではなくひとりのクルマ好き、レース好きのモリゾウ選手の素顔と接することができました。

マシンにトラブルが続く現場の様子を、そして必死に対応する現場の面々の姿を、自分の目で見に来たのでしょう。

そして、早朝からピットでうろうろしているレースが好きそうな取材陣をちょとからかってやろうと思ったのだと思います。

3

こちらも調子に乗って、モリゾウ選手に聞いてみました。

GAZOO RACINGのニュル24時間レース活動において、これまで重要な役割を担ってきたトヨタ86の存在が今年はないことが非常に気になっていたのです。多くの86オーナーの皆さんの、今年のニュルに86が出ないことが残念だという声を聞いていたのです。

「86は、ここ(ニュル)でなければ生まれなかったクルマです。そしてここでの走りをベースとしたGRMNを発売し、それをある程度盛り込んだマイナーチェンジを迎えようとしています。
あるひとつのところまでは、やりきったというふうに、私は見ています。これから次の86に対してのいろいろなヒントを、ここから盛り込んでいくのではないかと思います。未来を向いていると思っていただいていいと思いますよ」

とモリゾウ選手。

モリゾウさんのコメントは、決して86オーナーに対するリップサービスや宣伝文句ではありません。

真摯に来年の参戦車両を検討し、それを市販車にいかに直結させるのか考え、そして現場に指示する方向性を考えているのだろうと感じました。

ニュルブルクリンクで自分という人を鍛え上げ、自らがステアリングを握ることで86も鍛え、ついに86GRMNを世に送り出した人物たからこそ言える言葉です。

一番楽しそうに応えてくれたのは、86のマイナーチェンジ版の乗り味をお聞きしたときです。

「ええ、乗りました乗りました。ほんと、良いクルマに仕上がってますよ。エンジンもいい感じです。ほんと86・BRZは素晴らしい」

と。

4

さて、GAZOO RACINGからはエントリーした、LEXUS RC、TOYOTA C-HR、そしてTOM’Sの協力により出走となるLEXUS RC-F、そしてLEXUS IS-F CCS-R。

それぞれ、レース中のトラブルで厳しいレースとなりました。

特にRCは電気系統に起因する駆動系のトラブルで、エンジン、トランスミッションを夜通しかけて交換する状況でした。

「大変でしょうが、仕方ないですね。頑張るしかない」とモリゾウ選手。

本当はそんな作業を続ける現場でメカニックに檄を飛ばし、不具合があるというクルマを自分で乗って確かめて、ニュルのコースに出ていきたいのではなかったのでしょうか。

でも、豊田章男社長という存在が、そんなことを許してはくれません。

ニュルに来ても、世界の豊田章男社長でいなければならないモリゾウ選手が、少しだけかわいそうに思いました。

しかし、レーシングドライバーとしてのモリゾウ選手の存在を薄く消しながらも、クルマづくりに対するモリゾウ選手のポリシーを、強く表現されているように見えました。

現場ありき。道が人を鍛え、クルマを鍛える。

今年のニュルブルクリンク24時間レースでモリゾウ選手とお話をしてその言葉の意味が、少しわかったような気がします。

(ハイパーレブ/86&BRZ WORLD 編集長・渡辺)

F1女子おススメ! 往年の名車が集うモータースポーツヒストリックイベント「SUZUKA Sound of ENGINE 2016」とは?

2016年11月19日(土)・ 20日(日)に鈴鹿サーキットで、モータースポーツの歴史が凝縮された夢のヒストリックイベント、「SUZUKA Sound of ENGINE 2016」が開催されます!

国内外から集結した数多くの往年の名車を6つのカテゴリーに分別。懐かしのエンジン音を聞き、それぞ れの歴史、魅力をたっぷりと堪能できる素敵なイベントです。

NA1_4509

【カテゴリー1】 Group C 〜世界を席巻したモンスターたち〜

1982年グループCカーと呼ばれるマシンによる、世界耐久選手権シリーズ(WEC)が始まりました。排気量無制限の ターボエンジンを搭載し、1000馬力以上を絞り出すモンスターマシン達が鈴鹿サーキットにやってきます。

■ 1982年 スカイラインスーパーシルエット

スカイライン シルエットフォーミュラ

市販車をベースとしながらも大幅な改造が許され、そのシルエットは市販車ですが、中身はフォーミュラカーのようだと「シルエットフォーミュラ」とも呼ばれた、スカイラインスーパーシルエット。570馬力以上のモンスターマシンです。

■ 1989年 MAZDA 767B

767B

1988年ル・マン24時間レースに参戦し7位を記録。マシンは後に787Bへと進化し、1991年のル・マン24時間レースで日本車初の、そして日本メーカーとして唯一の総合優勝を飾りました。

※ 参加決定車両: ニッサンR92 CP(1992年)、マーチ83G シルビア・ターボC(1983年)、 NP35(1992年) 、グッピーMCS(1985年) 、ポルシェ962C(1986年)

[nextpage title=”歴代F1マシンが集合!”]

【カテゴリー2】 日本のモータースポーツの原点 〜プリンスが生んだ純国産レーシングマシン“R380”〜

■ 1966年 R380(A-I型)

R380

1964年に鈴鹿サーキットで行われた、第2回日本グランプリ自動車レース大会で敗れたプリンス自動車は、打倒ポルシェを目指して日本初のプロトタイプカーR380を開発。直列6気筒エンジンをミッドシップに搭載した流麗なスタイルには、誰もが驚きを隠せなかったそうです。1966年の第3回日本グランプリでポルシェ906と対決。見事優勝し雪辱を果たしました。

【カテゴリー3】 Formula of LEGEND

1987年鈴鹿サーキットで初めて開催されたF1グランプリは大きなブームを巻き起こしましたが、F1が始まったのは1950年。 古い歴史の中で数多くの名車が生まれ、数多くの名勝負、ドラマが生まれました。長いF1の歴史の中で独創的、革新的な技術が次々 と生み出された、1970年代から1980年代に参戦したマシンが鈴鹿サーキットに集います。

■ 1975年 Ferrari 312T

Formula One World Championship

フェラーリ312Tの「T」の由来となった横置きギアボックスを搭載したのを始め、独特なフロントウイングと独創的な機構を満載し たマシンです。ちなみに、「T」は横を意味するTrasversale(イタリア語)の頭文字。1975年はニキ・ ラウダが5勝、クレイ・ ガッツォーニが1勝し、ニキ・ ラウダのドライバーズととも にコンストラクターズチャンピオンも獲得し、ダブルタイトルに輝きました。

■ 1982年 Alfaromeo 179C

title-2

1976年、チームにエンジン供給する形でF1に復帰したアルファロメオは1979年からワークスチームとして参戦。水平対向12気筒からV型12気筒エンジンへ換えた179を投入し、1981年には1978年ロータスでチャンピオンとなったマリオ・ アンドレッティがチームに加わりました。1982年にかけてアルファロメオは179C、179D、179Eと3種類のマシンを参戦させ、1981年の最終戦ラスベガスGPでアンドレッティが3位入賞。アルファロメオにF1復帰後初の表彰台をもたらせたのです。

※ 参加決定車両: Tyrrell 006 (1972年)、Venturi LC92 (片山右京車/ 1992年) 、Wolf WR1 (1977年)

【カテゴリー4】 世界に勝ち、世界に敗れた日本 〜WGP250 90年代〜

日本メーカーが活躍してきたWGP(ロードレース世界選手権)は、1990年代に入るとGP250ccクラスで日本人ライダーが大活躍。1993年には YAMAHAの原田哲也氏がタイトルを獲得しました。鈴鹿サーキットでの日本グランプリもジャパンパワーが大活躍! しかし、次第に海外 メーカーに遅れをとって行ってしまいます・ ・ ・ 。

18699

【カテゴリー5】 日本のモータースポーツの原点〜マン島T

1959年Hondaチームは4台の125ccマシンとともに当時の最高峰、マン島TTレースに参戦。3年目の1961年、Hondaは 世界選手権の1戦となったマン島に再び上陸し125ccクラス、250ccクラスで悲願の優勝を飾りました。

2輪の参加車両はまだ決定されていませんが、どの歴代マシンが登場するのか楽しみですね。決まり次第発表されるので、鈴鹿サーキット公式ホームページを要チェック!

【カテゴリー6】 TIME TRAVEL PARKING

1976年以前に 生産された2輪車、4輪車限定200台が、鈴鹿サーキット国際レーシングコースのパドック内に設けられ た専用スペースに集います。 また、展示車両によるフルコースを走行するTIME TRVEL PARADEも見逃せません。

タイムトラベルパーキング

そして、このTIME TRVEL PARKINGの参加車両を募集しています! 対象車両は1976年以前に生産された2輪車・ 4輪車。市販車・ レーシングマシン。募集締め切りは8月31日(水)。対象車両をお持ちの方、愛車との思い出に応募してみてはいかがでしょうか?

18722

今年も盛りだくさんなラインナップの、SUZUKA Sound of ENGINE。各マシン、どのようなサウンドを響かせてくれるのでしょうか。ぜひ鈴鹿サーキットで歴代マシンの歴史に触れ、そしてめったに聞くことができない、歴代マシン達のサウンドを楽しんで下さいね。

前売り券(2日間通し券で、大人3500円・ 中高生1700円・ 小学生800円・ 3歳〜 未就学児600円)は、9月25日(日)から発売されます!

公式サイト:SUZUKA Sound of ENGINE 2016|鈴鹿サーキット

(yuri)

本物のレーシングカーが買える!! トータルカーECモール「Garage」がオープン

5月23日にオープンしたECモールの「Garage」は、「トータルカー」ECモールを謳っています。

トータルカーを標榜するのは、カスタムカーやチューニングパーツなどだけでなく、レースで実際に使われた本物の車体を含めてレーシングモデルまでラインナップしている点です。

01

レプリカではなく「ガチ」ですから、ファンなら気になるところでしょう。

「Garage」は、いままでネット上で探すのが難しかったカーグッズやチューニングパーツ、カスタムカーからレーシングカーまでの情報を集約し、インターネットを通じて事業者、ユーザーに情報提供から販売、部品の取り付けまでをサポートするECサイト。

0302

まずは先行β版サイトにて、国内最高峰レースに参戦するサードと提携し「アウディR8GT3」をはじめ、実際のレースで使用された中古レーシングカーなどが販売されます。

公式サイト:Garage

(塚田勝弘)

ポルシェが911RSR後継モデルのテストを開始

ドイツ・ ポルシェAGは同社のGTレーシングカー、ポルシェ911 RSRを2017年シーズンに向けて一新すべく、911RSRの後継モデルのテストを開始したと発表しました。

porsche-911RSRの後継モデルがテストを開始 (2)

911 RSRの後継モデルはポルシェのヴァイザッハ研究開発センターのテストコースにおいてシェイクダウンを終え、間もなく世界中のサーキットにおいて本格的なテスト段階に入るということです。

ヴァイザッハで行われた今回のシェイクダウンでは、ポルシェワークスドライバー達が新しい2017年のGTEレーシングカーの感触を確かめました。

porsche-911RSRの後継モデルがテストを開始

同社GTモータースポーツ総合プロジェクトリーダーのマルコ・ウジャーシ氏は

「新しいマシンの初走行を数人のドライバーが行うのは非常に珍しいことです」

と説明し、さらに

「しかしワークスドライバー全員が開発に携わったこともあり、可能な限り多くのドライバーにテストコースを数ラップしてもらいました」

と今回のシェイクダウンについてコメントしています。

porsche-911RSRの後継モデルがテストを開始 (1)

911RSRの後継モデルは、2017年1月のデイトナ24時間でのデビューを予定しています。

ポルシェのモータースポーツGT部門トップであるDr.フランク=シュテッフェン・バリサー氏は次のようにコメントしています。

「完全に新しいマシンの初戦が24時間レースというのは大きなチャレンジですが、デビューに向けて開発は順調に進んでいます」

porsche-911RSRの後継モデルがテストを開始 (3)

911RSR は2015年シーズンにもっとも成功を収めたGTレーシングカーといわれており、ル・マン24時間やWECのGTカテゴリーで目覚しい活躍を見せてくれました。優秀な戦績を誇る911RSRの後継モデルの実戦デビューが待ち遠しい限りです。

(山内 博・画像:ポルシェジャパン)

【SUPER GT2016】ツインリンクもてぎ2レース連日開催!地震で中止のオートポリス戦代替決定か?

「平成28年熊本地震」の影響で中止が決定したSUPER GTオートポリス戦。SUPER GTシリーズは全8戦で競われる予定であったため、その代替となるレースがどうなるのか?というところは注目の的。

その代替レースについて5月20日、SUPER GTを統括するオーガナイザーであるGTアソシエーションから発表がありました。

051

開催サーキットはツインリンクもてぎ。シーズン当初は最終戦の開催地として11月11〜13日で「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 もてぎ GT250 ㎞レース」の日程を組まれていたツインリンクもてぎですが、このレースを“熊本地震復興支援大会”(仮称)と位置付け、2レースを開催するとの発表です。

052

現在発表となっている、JAF申請中の大まかなスケジュールとルールは下記のとおり。

・11月11日(金)練習走行(ウェイトハンディ:参戦7、8戦目の走行を予定)
・11月12日(土)Rd.3 代替の予選、決勝 (参戦7戦目のウェイトハンディ:ポイント*1kg)
・11月13日(日)Rd.8 の予選、決勝(参戦8戦目のウェイトハンディ:無し)

なんと1日に予選と決勝の両方を行い、それが2日連続というハードスケジュール。

代替レースでクラッシュしたら最終戦に出場できない可能性もあります。2日間を通した作戦を立てる必要があるでしょうから、チームとしてもかなり難しい戦いになって来るでしょう。

002

また、大いに盛り上がっているサポートレースのFIA-F4のスケジュールも大いに気になるところ。

003 002

ファンにとっては連日開催のスケジュールで、ピットウォークやグリッドウォークなどがどうなるのか?など気になる点は満載です。

001 (2) 002 (2)

いずれにせよ、SUPER GTの今年ラストのレースウィークは、例年以上に大波乱の予想となることは間違いありません。

000

今後、詳細なスケジュールが発表になることでしょうから、大いに注目していきましょう。

[公式発表]
2016 AUTOBACS SUPER GT オートポリス大会の代替イベントに関して | SUPER GT OFFICIAL WEBSITE

(写真・文:松永和浩)

ファルケンが今年も「ニュルブルクリンク24時間レース」に挑戦

住友ゴムグループのファルケンタイヤヨーロッパと日本の住友ゴムは、5月26日(木)〜29日(日)にドイツで開催される世界最大級のツーリングカーレース「第44回ADACチューリッヒ ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に、今年もファルケンタイヤで挑戦すると発表しました。

2016_040_01

また、昨年に続きFALKENは同レースの公式パートナーとして協賛。ブースを出展するなど各種イベントでファルケンタイヤをアピールします。

ファルケンタイヤヨーロッパは、1999年の初参戦以来、連続出場を続けて今年で17回目の挑戦にとなります。今年は、昨年総合3位入賞を果たしたドライバーが新型車両「Porsche 911 GT3 R (991)」で参戦。必勝のチーム体制で総合優勝を目指します。

2016_040_02

FALKENブースではタイヤ展示に加え、レースのバーチャル体験コーナーやドライバーによるサイン会などを開催するほか、会場内ではドリフトショーを繰り広げて、FALKENブランドをアピールします。

logo_falken

一方、日本からも住友ゴムのSUBARU Tecnica Internationalチームが「SUBARU WRX STI」で同レースに挑戦します。

「SUBARU WRX STI」は昨年SP3Tクラスでクラス優勝を達成した強豪で、ドライバーには日本人ドライバーの山内英輝が起用されています。

2016_041_01

SUBARU Tecnica Internationalチームでは、今年はさらに車両の走行性能を高め、装着するファルケンタイヤのグリップ性能や耐久性も一層向上しているとのことで、同クラス2年連続優勝を目標としています。

(山内 博・画像:住友ゴム)

【スーパー耐久2016】マツダ車が躍進!ディーゼルデミオ5位、新型ロードスターがクラス優勝

5月14日にスポーツランドSUGOで開催されたスーパー耐久シリーズ第2戦「SUGO SUPER TAIKYU 3Hours Race」。

037 023

14日の土曜日にすべての予選が開催されるのは普段のスーパー耐久と同じですが、決勝を2つのグループに分け、トヨタ86やホンダS2000などのST-4クラスとデミオ、フィット、ヴィッツなどのST-5クラスの2つのクラスがグループ2として即日決勝、その他のクラスがグループ1として翌日の15日に決勝を行う2レース制として開催されました。

022

14日に決勝レースが行われたグループ2、1500ccクラスで争われるST-5クラスのポールポジションは、今年から参戦した「村上モータースMAZDAロードスターND」。現行型となるNDロードスターは1500ccクラスなのでST-5クラスとなります。

予選では、15分しかないAドライバー予選中にクラッシュが発生し赤旗が提示される場面がありましたが、クラッシュ車両撤去のための赤旗中断時間に対して予選時間の延長がなかったために、アタックを出来ていないチームが多く、ST-4、ST-5クラスともに予選順位は大方の予想を裏切るものとなっていました。

混乱した状況の中でポールポジションを獲得したNDロードスターは、かなりの速さを持っているといえるでしょう。

011

ディーゼルエンジンでの参戦で注目を集めるディーゼルデミオ「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」は予選8番手。前回のもてぎ5時間レースでは2位を獲得したディーゼルデミオですが、スーパー耐久では比較的短い3時間というレース時間でどう戦っていくのでしょうか。

009 001

ディーゼルデミオのスタートドライバーは野上達也選手。スターティンググリッドにはBドライバーの井尻薫選手の姿も見えますが、Aドライバーの谷川達也選手の姿が見当たりません。

002_02 002

グリッドウォークの最中、谷川選手はドライバーチェンジのための準備をしていたのです。

004_02 003

そしてフォーメーションラップからのローリングスタート。セーフティーカーの後を追うようにピットインしてきたディーゼルデミオ。今年もやりました、0周ピットイン!

コントロールラインをピットレーンで超えてもスタートしたことになるので、ピットの配置にもよりますが、コントロールラインがピットよりも前にある菅生では有効な手段。

これでドライバーチェンジを伴うピットイン義務2回のうち、早々に1回を消化したことになるのです。

001 026

ガソリンを使用するほかのマシンに対してディーゼルデミオは圧倒的に燃費が良いため、3時間レースでは給油は1回で済みます。

そこで、まだ周回差が開いていない序盤の早い時期にピット義務を消化してしまおうという作戦です(給油の写真は同時出走したガソリンデミオ「ワコーズDXLアラゴスタNOPROデミオ」)。

なお、コントロールラインがピットの後ろにある岡山国際サーキットでは、1周回らないとスタートしたことにならないので0周ピットインという裏技は使えません。

008

3時間レースで2回のピットイン義務ということは、単純に1時間に1回のピットインとなるわけで、ディーゼルデミオは他のマシンが2回目のピットインをするであろう2時間目まで谷川選手がドライブする作戦を取っていたようです。

狙い通りならこの時点でかなりの上位にいたはずです。

014

昨年のデータからすれば余裕の2時間ドライブだったはずですが、今年は昨年よりラップタイムが3秒も速くなっており、燃費はともかくタイヤの消耗が早かったようで1時間半ほどでピットイン。タイヤ交換の後、井尻選手へとバトンタッチ。

021

その間、NDロードスターはトップを快走。レース中のベストタイムはこのNDロードスターだけ1分39秒を切るという俊足ぶり。これだけ速くて燃料はもつのでしょうか…

004

ディーゼルデミオのTEAM NOPROが走らせるもう一台、ガソリンのデミオ「ワコーズDXLアラゴスタNOPROデミオ」も快調に周回を重ねていきます。

012

そしてゴール!ディーゼルデミオ「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」はタイヤに苦しみながらも5位でポイントゲット!ポイントランキング2位を死守しました。

ガソリンデミオ「ワコーズDXLアラゴスタNOPROデミオ」は4位。優勝はポールtoウィンの「村上モータースMAZDAロードスターND」。

024

さらに、こちらも今年から出場のデミオ15MB「odula MAZDA デミオ15MB」も完走。現時点でマツダ車が4台もエントリーし、しっかりと結果を残している今年のスーパー耐久シリーズST-5クラス。

マツダの躍進はまだまだ続きそうな予感です。

次戦は6月11〜12日の鈴鹿。決勝は4時間レースとなります。

(写真・文:松永和浩)

ブリヂストンが「ニュルブルクリンク24時間レース」で「POTENZA」をアピール

ブリヂストンは、2016年5月26日(木)〜29日(日)の4日間、ドイツのニュルブルクリンク・サーキットで開催されるニュルブルクリンク24時間耐久レースの会場内に、コミュニケーションブースを初出展すると発表しました。

20160510_01

今回ブリヂストンは、同ブースにプレミアムタイヤブランド「POTENZA」とランフラット技術「DRIVEGUARD」を展示して、同社のモータースポーツ活動への想いを伝えたい、としています。

2014102302_01

ニュルブルクリンク・サーキットは、過酷な車両開発用の走行路として世界で有名なコース。同社では、1980年代に国内タイヤメーカーとして初めてポルシェやフェラーリに新車装着されたタイヤの開発を行ったことに始まり、以降、ニュルブルクリンク・サーキットは様々なタイヤ開発やモータースポーツ活動の重要な拠点となっています。

img_figure03

また、ニュル24時間レースは毎年約20万人が来場する世界最大級の参加型モータースポーツイベントで、ブリヂストンとしては、同レースに参戦するトヨタチームにタイヤをサポートして今年で10年目の節目を迎えます。

ニュル24時間レースのブースでは、ニュルブルクリンクをはじめとするサーキットを基盤に鍛え上げられたグローバル・プレミアム商品ブランド「POTENZA」を「ブリヂストンモータースポーツ×POTENZAヒストリーコーナー」として紹介することを狙っています。

(山内 博・画像:ブリヂストン)

【SUPER GT2016】17歳の小高一斗選手、FIA-F4富士2連戦を史上最年少優勝で2連覇!

SUPER GTと併催で開催されるステップアップフォーミュラーのFIA-F4。5月3〜4日のSUPER GT富士戦でもFIA-F4が2戦設定されていました。

006

この富士2連戦をなんと連覇したのは、日本のFIA-F4史上最年少の17歳と1ヶ月ちょっとで優勝となる小高一斗選手。

015

昨年から出場していた小高一斗選手ですが、昨年の開幕戦岡山ではまだ15歳であったためにフォーミュラー限定の特別ライセンスが発給されず、続く富士戦からのデビューとなっていました。そのデビューから丸一年で表彰台の頂点、それも2連戦を2連勝という快挙で飾りました。

010 018

SUPER GT1戦に対して2戦設定されるFIA-F4は、1回の予選で2レース分の順位を確定させますが、その方式が結構シビア。

ベストタイムが1日目の決勝順位に、セカンドタイムが2日目の決勝順位となるため、予選では平均的にタイムを出していかなくてはなりません。

その予選を2戦両方で2番手と好位置につけた小高選手。

009 014

FTRSの校長でもある関谷正徳さんもグリッドで激励!

007 002

1日目の第3戦では絶妙な好スタートでホールショット!序盤をトップでリードしますが、途中6周目辺りで周回遅れに手こずり順位を一つ下げてしまいます。

003

しかし果敢に攻め続ける小高選手は10周目、ストレートを4ワイドになるような展開で第1コーナーであるTGRコーナーを一歩も引かずに勝負を仕掛け、立ち上がったときには首位に返り咲くという見せ場を作ってくれました。

011

その後、2番手から4番手が絡む接触でトップ争いをしていた3台が消えると、小高選手はそのままチェッカーフラッグを受けて優勝!

008 004

続く2日目の第4戦。こちらも2番手からスタートした小高選手、1周目こそ澤田選手の後塵を喫しますが2周目のTGRコーナーを制しトップに浮上。3番手4番手の追突などもあってその後ろは混戦となり、後続グループを徐々に引き離していきます。

016

そして2位に5秒以上の大差をつけてのフィニッシュ。

019

最年少出場だった昨年の富士戦から1年。最年少優勝を飾った小高一斗選手はポイントランキングでもトップとなります。

012

今期は残り4大会8戦が行われますが、小高選手の活躍には大きな注目が集まっています。

(写真・文:松永和浩)

【関連記事】

SUPER GTと併催のFIA-F4で最年少・16歳の小高一斗選手が凄い!【SUPER GT2015】
http://clicccar.com/2015/09/12/326417/

【SUPER GT2016】500も300もGT-R!GT300はドラマチックなGT-R NISMO GT3の復活劇。

5月3日に決勝が行われたSUPER GT第2戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJI GT 500km RACE」。

sgtfji046

入場者数は5万人を超える大盛況の中、午後2時頃の決勝スタートとなります。

sgtfji009

GT300のポールポジションはゼッケン55のARTA BMW M6 GT3。コースレコードとなる1分35秒707という驚愕のタイムでの堂々のポールポジション。

sgtfji050

続く2番手は前戦岡山でポールポジションを獲得したゼッケン25のVivaC 86 MC。0.2秒差という僅差で惜しくも2番手スタート。そして今年からボディーが新型となったゼッケン31のTOYOTA PRIUS apr GTが3番手からのスタート。

sgtfji001

今回の第2戦富士では500kmという長丁場のために、ドライバーチェンジを伴うピットイン義務が2回となり、また1回のスティントが300kmや250kmのレースよりも長くなってくるために、他のレースと作戦の立て方が違ってくるところも見どころとなっています。

sgtfji015

序盤にレースをリードしたのはARTA BMW M6 GT3。しかし、スタート直後のコカコーラコーナまでにはゼッケン7のStudie BMW M6とTOYOTA PRIUS apr GTがVivaC 86 MCをパス、Studie BMW M6は3番手に浮上。

2周目のコントロールラインは55、31、7の順で通過しますが、その周のTGRコーナー(第1コーナー)から2コーナーまでにStudie BMW M6がTOYOTA PRIUS apr GTをパス!コカコーラーコーナーをARTA、StudieのBMW M6 GT3が1,2で通過します。

sgtfji016

磐石に見えたBMW M6 GT3体制でしたが、10周に満たないうちにStudie BMW M6がペースダウン。14周目でイレギュラーのピットイン。

原因はパワステトラブル。修復してレースに復帰しますが、上位争いには参加できないポジションとなってしまいました。

sgtfji045

Studie BMW M6が抜けたのち、TOYOTA PRIUS apr GTと、徐々に追い上げてきたゼッケン3のB-MAX NDDP GT-Rが2位争いを展開。そのおかげもあってARTA BMW M6 GT3が2位とのアドバンテージを6秒以上に広げて29周目でピットイン。

ただ、パワーで押すARTA BMW M6 GT3は燃費がかなり悪いのか、給油に思いのほか時間がかかり1分6秒以上のピットストップ。

TOYOTA PRIUS apr GTはピットワークでARTA BMW M6 GT3の前に出ますが、アウトラップでオーバーラン、その周で再び緊急のピットイン。

sgtfji021

そしてB-MAX NDDP GT-Rはピットタイム52秒ほどと、ARTA BMW M6 GT3より14秒早く、というよりもARTA BMW M6 GT3の遅いピットタイムが尾を引いて、B-MAX NDDP GT-Rが前へ出ます。

徐々に差を開こうとするB-MAX NDDP GT-Rに、パワーで追いつこうとするARTA BMW M6 GT3。この2台の攻防の最中に壮絶なドラマが起こります。

GT500クラスで72週目、GT300クラスでは68周目に、GT500クラス ゼッケン100のRAYBRIG NSX CONCEPT-GTがトヨペット100Rコーナーでバースト!剥がれたタイヤがボディカウルの後ろ半分を吹き飛ばすという壮絶さ。

砕けたパーツはヨペット100RコーナーからヘアピンのADVANコーナーにまで撒き散らされることになり、その除去のためにセーフティーカー(SC)が導入されたのです。

B-MAX NDDP GT-Rがトップ、ARTA BMW M6 GT3が2番手のオーダーは変わりませんが、SC導入のおかげでその後ろにはゼッケン88のマネパ ランボルギーニ GT3、ゼッケン51 のJMS LMcorsa 488 GT3、ゼッケン18の UPGARAGE BANDOH 86、そしてVivaC 86 MCまでが同一周回の隊列を組むことになってしまいます。

GT300の70周目にレースが再開されると、タイミング的には2度目のピットイン。SCがピットインすると、それに続くかのように各車ピットイン。その混雑を避けるかのようにB-MAX NDDP GT-Rは73周目にピットインし、タイムロスを最小に留めます。その間に暫定トップはVivaC 86 MC。

sgtfji035

B-MAX NDDP GT-Rに約1分のアドバンテージを持ってVivaC 86 MCも77周目に最後のピットイン。

ここでチームは奇策に出ます。なんとタイヤ無交換でピット時間を短縮!ギリギリ1位でピットアウトか?と思われた直前をB-MAX NDDP GT-Rが通過。5秒以上の差で2位でピットアウト。

しかし2位も安定ではありません。その背後には怪物の加速力を持ったARTA BMW M6 GT3が迫ってきます。しかしいかにストレートが早いARTA BMW M6 GT3でも、そう易々とはVivaC 86 MCは抜かせてくれません。

コーナーは若干VivaC 86 MCの方が有利な様子ですが、松井選手のVivaC 86 MCがARTA BMW M6 GT3のスリップストリーム作戦を絶妙にかわす逃げを見せ、ストレートで抜かれるのを阻止。コカコーラコーナーからは最終コーナーまではVivaC 86 MC有利の展開で粘ります。

しかし、89周でタイヤが尽きたか、コカコーラコーナーでARTA BMW M6 GT3に先行を許してしまいます。

sgtfji059

そしてチェッカー!B-MAX NDDP GT-Rが波乱の500kmレースを制して見事優勝!GT500クラスもゼッケン1のMOTUL AUTECH GT-Rが優勝。今季初のGT-R2クラス制覇です。

sgtfji060

ARTA BMW M6 GT3は3.7秒及ばずの2位。そして3位はVivaC 86 MCが入りました。

sgtfji065

4位にはゼッケン18のUPGARAGE BANDOH 86、5位には昨年のチャンピオンマシンであるゼッケン0のGAINER TANAX GT-R、6位には初戦岡山からいい位置につけるゼッケン51のJMS LMcorsa 488 GT3が入りました。

sgtfji037

そして、もう一つのトピックは2013年の開幕戦以来3年ぶりのポイントゲットとなったDIJON RACINGのゼッケン48 DIJON Racing GT-R。

入賞の顔ぶれも開幕戦とは全く変わったSUPER GTはやはり今年も大波乱の様相です。次戦は地震の影響でオートポリス戦が延期となったため、7月23〜24日のスポーツランドSUGOとなります。

魔物が棲むと云われるSUGOではどんなレースが観られるのでしょうか。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

【動画】電気自動車のF1、フォーミュラEの360度動画が大迫力!

2014年からはじまった電気自動車版のF1「フォーミュラE」。

ガソリンエンジンとは異なり、走行音は小さく、排ガスを出さないのが特徴。その美点を活かして、ロンドンやパリなどの市街地コースでレースが開催されています。

そんな「フォーミュラE」に新たな取り組みとして導入されたのが「360度動画」。

01

00

ウェアラブルカメラの「Go Pro」などがドライバー視点のみを記録するのに対し、360度動画ではドライバー視点だけでなく、マシンを中心に前後左右のあらゆる状況を楽しむことが可能。

「Oculus Rift」、「HTC Vive」、「Gear VR」などのヘッドセットが必要とのことですが、あたかも自分が乗っているような感覚に浸ることができます。モータースポーツの新たな楽しみ方として注目を集めそうです。

(今 総一郎)

WEC開幕戦で、LMP1デビューの小林可夢偉が2位を獲得

WEC(FIA世界耐久選手権)が開幕しました。

その最高峰クラスとして1000馬力級のマシンで競われるLMP1クラスでは、前年チャンピオンのポルシェやアウディといったフォルクスワーゲングループのマシンに、トヨタTS050ハイブリッドが挑むかたちになっています。

03_2016_Silverstone_Sunday_race_8_s

今シーズンからTS050 ハイブリッドへと進化したトヨタガズーレーシング、5号車には中嶋一貴選手、6号車には小林可夢偉選手と、F1パイロットを経験した二人の日本人が参戦しています。

トヨタのマシンで久しぶりに世界選手権を戦うことになった小林可夢偉選手は、いきなり開幕戦(英シルバーストーン6時間レース)で表彰台に立ちました!

レース終了時点では、アウディの8号車がトップで、アウディ(8号車)、ポルシェ(2号車)、トヨタ(6号車)で表彰台をわけあいましたが、レース後に8号車のレギュレーション違反が発覚。小林選手はトヨタでの世界選手権復帰戦を2位で飾ることになりました。

アウディ、ポルシェがそれぞれ1台の完走に対して、トヨタは2台ともフィニッシュしたことで、マニュファクチャラーポイントでは、トヨタが33ポイントでトップ。課題は多いものの、結果として好スタートを切ったという見方もできそうです。

(山本晋也)

【SUPER GT2016】開幕戦岡山のZFベストメカニック賞は「VivaC team TSUCHIYA」

SUPER GT開幕の岡山戦でポールポジションを奪ったVivaC 86 MC。

008

予選Q1ではトップタイムを61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝選手に譲ったものの、Q2では土屋武士選手が1分25秒586というコースレコードでポールポジションをゲットしました。

003

予選Q2では実に7台が過去のコースレコードを破るという熾烈な争いの中でのポールポジション。喜びもひとしおだといえるでしょう。

しかし、このポールポジションはもっと深い意味を持ってチームにはとらえられていたようです。

011

3月20日のSUPER GT岡山公式テストで、VivaC 86 MCはクラッシュ。マシンにかなりのダメージを負い、大方の予想ではその翌週の富士テストはおろか、修復は開幕戦にも間に合わないのではないかと思われていたのです。

010

しかし、チームはほぼ毎日の徹夜作業で富士テストの最終日までにマシンを復旧させ、富士テストではセッティングのヒントを見つけるまでに至っていたのです。

005 002

そんな状況からのポールポジション。このタイムを叩き出した土屋武士選手の喜びを噛みしめた表情も納得できます。

012

そのマシンを修復し復旧させたメカニックの方々への努力の成果がポールポジションに結びついたとして、岡山戦でのZF AWARDベストメカニック賞はVivaC team TSUCHIYAに贈られました。

SUPER GTではメカニックの力も大きく、レースのすべてに影響します。そのメカニックの方々に贈られるのがZF AWARDベストメカニック賞。

004

これを受賞することは、チームの総合力を評価されたといっても過言ではありません。

(写真・文:松永和浩)

【スーパー耐久2016】開幕戦もてぎ5時間レースでデミオディーゼルが2位表彰台の快挙!

4月3日に決勝レースが行われたスーパー耐久開幕戦「スーパー耐久シリーズ2016 第1戦 もてぎスーパー耐久」。

FIA GT3規格のST-Xクラスからフィット、ヴィッツ、デミオなどのコンパクトカーで争うST-5クラスまで総勢62台というの大量エントリー!

028

ST-Xクラスでは日産GT-R NISMO GT3からBMW Z4、メルセデスSLSなどSUPER GTのGT300クラスのような顔ぶれ。

027

ランサーの横をフェラーリが駆けぬけるという珍しいレース風景がみられるのは、日本ではスーパー耐久シリーズだけの魅力です。

002

そんなスーパー耐久シリーズに昨年から投入されたTEAM NOPROのデミオディーゼル「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」。

昨年はスターティンググリッドがすべて最後尾という不名誉な記録を更新しましたが、最終戦の鈴鹿でST-5クラスで3位の表彰台に登り、シーズンが終わってみればクラス4位という好位置に。

昨年の実績を見れば、今年は更なる期待を抱かずにはいられません。

010

そのデミオディーゼルが開幕戦のもてぎで5時間を走りきり2位で表彰台に登りました。

022

軽量化に明け暮れた昨年でしたが、今年は速さの部分にも手が入ることになり、予選順位はST-5クラス13台中8位。それでもラップタイムでクラストップから3秒差がついている状態です。

023

しかし、スタートドライバーの谷川達也選手は余裕の表情。なぜか?

003

デミオディーゼルの強みはなんと言っても、レーシングスピードでの圧倒的な燃費のよさ。ライバルが給油などで2時間で3回以上のピットインをする間、デミオディーゼルはノーピットで走りきるほどの実力を持っています。

そのライバルがピットインをしている間に、気がつけばトップ!それも2位に2周差をつけてのトップを20周以上に走ります。

020

このままピットイン回数を規定の3回だけで終わらせて、その間にどんどん周回差を広げて行こうという作戦だったといいますが、スタートからちょうど3時間、タイヤトラブルのために緊急ピットイン。

タイヤ交換と給油のみ、ドライバーチェンジは行わず、タイムロスを最小限にとどめてピットアウトしていきます。それでも順位は4位まで落ちてしまいますが、ロングランは続行。

015

その総計2時間以上もロングランをしたのは井尻薫選手。緊急ピットイン後にはトップのマシンと互角のラップタイムを刻み、なおかつ走りで前走車を追い抜いて見せるなど、かなりエキサイティングな見せ場を作ってくれました。

その井尻選手に2時間に及ぶロングランについて聞いてみると「この季節だからそんなに辛くはなかった。クールスーツは着てなかったから背中に汗はかいているけど、クルマが乗りやすいから疲れた!というほどの疲労はしてませんね」とのこと。

018

作戦といえば、マシンのつくりにしても燃費を活かした作戦に合わせている様で、他車に比べて給油回数が少ないために給油口を車外に作ることを避け、トランク内の安全タンクに直接設けた給油口に給油するつくりになっています。この方が数kgほど軽く作ることができるとのこと。

014

ディーゼルはエンジン単体の重量がかなりあるために、他の部分をどこまで軽量化するかがディーゼルレーシングカーを作るうえでのポイントだ、と監督の野上敏彦さん(上の写真右)は語っています。

そんな、徹底した作戦に合わせたマシンをロングランした井尻選手からバトンタッチしたのは野上達也選手(上の写真左)。

017

そしてラスト1時間。再び谷川選手がドライブ。上位にいた1台がトラブルでピットに入り大きく順位を落とすと、デミオは順位を3位に。そして谷川選手が前走車を自力で抜き去ると順位を2位まで上げていきます。

009

そして5時間後のゴール!

021 012

堂々の2位入賞で表彰台に登ります。

013

耐久レースは速さだけがすべてではない!ということを一人ひとりの強さと、それを総合したチームワークで実証し、そしてクリーンディーゼルがモータースポーツで活躍する時代の幕を開けたTEAM NOPROのデミオディーゼル「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」。

第2戦以降も活躍を期待します。

(写真・文:松永和浩)

1972年のル・マンでクラス優勝を遂げたポルシェがレストアされて登場

新車登録から13年以上(ディーゼル車は10年)経過すると、自動車税が約15%割増になります。日本の税制は古いクルマには乗るな! といっているように思えますが、それは果たして「エコ」なのか、こうした指摘は確かにと頷きたくなります。

それは、ドイツやイギリス、スイスなどの欧州では旧車への優遇措置があるか、あるいは古いから税金を上げるといった税制がないという、対比からくるものもあるでしょう。

確かに欧州に行くと街中にたたずむ古いクルマを見かけると、よくいわれるように、文化も違うのかなという気もしてきます。

S16_0133_fine

それでもヒストリックカーイベントなどもあるじゃないか、という声もあるでしょうが、税金も含めた維持費を考えると、羨ましいけどなかなかできないよな、という感じもします。

さて、ポルシェAGから「911 2.5 S/T」のフルレストアのニュースが発表されました。

ポルシェ クラシックのスペシャリストによりじつに2年の歳月をかけてレストアされたという、1972年のル・マンでクラス優勝を飾ったモデルです。

S16_0131_fine

ポルシェは、クラシックモデルの強化を掲げていて、今年の4月6日〜10日にエッセンで開催された世界最大級のクラシックカーイベント「テクノクラシカ」の祭典にも出展。

この「テクノクラシカ」の開幕を記念して、波乱に富んだモータースポーツの歴史とともにレストアされた「911 2.5 S/T」が紹介されたわけです。

S16_0126_fine

ポルシェ クラシック代表のアレクサンダー・ファビック氏は、

「911 2.5 S/Tは、数年前に米国のコレクターによってレストアベースの状態で探し出されました。ポルシェのスペシャリストたちの巧みな作業によって、このスポーツカーは最高水準の状態によみがえりました」

と語っています。

S16_0128_fine

見つかったクルマは本当に稀少なものだそうで「911 2.4 Sクーペ」をベースとしてわずか24台が製造されたレーシングカー。

「911 2.5 S/T」は、グループ3(市販車ベースのGT車両)とグループ4(改造を施したGT車両)のカスタマースポーツ用に開発されたモデルで、1971年末に当時のDr.Ing.h.c.F.Porsche KGスポーツ部門から49,680マルクで限定発売されました。

S16_0127_fine

「911 2.5 S」は、タルガ・フローリオ、ル・マン、ラリーなどのサーキット用に開発された「911 2.4 Sクーペ」のワークス改造仕様であり、国際スポーツレギュレーションにしたがって厳密に変更され、特別仕様の価格はプラス19,000マルクだったそう。

S16_0132_fine

「最新のポルシェが最良のポルシェ」というフレーズは、新しい商品(クルマ)にベストを尽くすというメーカーとして当然の姿勢を示しているだけで、ポルシェの旧車への愛を感じさせます。

(塚田勝弘)

D1GPでタイヤ本数制限がスタート。2強に死角あり!?【TOKYO DRIFT】

モータスポーツシーズンも始まりましたね。先週末はお台場でD1GPの開幕戦が行われましたが、今年のD1GPでは今までになかった大きなルール変更がひとつあったのです。

それは、タイヤの本数制限です。

D1GP_TIRE01

これまでタイヤの使用本数は無制限でした。もはや1000psに迫る車両も増えた現在、トップチームは1対戦ごとにリヤに新品タイヤを投入していました。

しかし、今年は決勝日のタイヤ使用本数に制限が設けられたのです。それは単走決勝から追走の準決勝までリヤタイヤは4セットしか使えないというもの。

D1GP_TIRE02

さらに4セット目を投入した場合は、その時点で0.5ランクの減点が入ります。つまり完全に自由に使えるのは3セットまで。減点を受け入れればもう1セットってことですね。

なお、決勝に進出すれば、もう1セット新品タイヤの使用が許されます。もちろん使えるタイヤにはマーキングされて、ひと目でわかるようになっています。

D1GP_TIRE03

大会の結果は、優勝が斎藤太吾選手、準優勝が川畑真人選手。去年からつづく2強時代そのままというリザルトで、なにも変わっていないように見えますが、細かいところを見るとタイヤ本数制限の影響が見られます。

まずは、単走決勝の走行2本目をキャンセルするドライバーが出てきました。1本目に追走進出を確実にしておけば、2本目をキャンセルすることでタイヤを温存できるからです。

そしてもうひとつは、本来圧倒的な速さを誇る川畑選手と斎藤選手についていけたマシンが結構出たことです。

たとえば準決勝で川畑選手と対戦した草場選手は、ストレートで離されずについて行きました。また、同様に準決勝で斎藤選手と対戦した藤野選手は、最後でミスをしてしまったものの、完全に斎藤選手をとらえ、ビタビタの接近ドリフトをしていました。

D1GP_TIRE04

川畑選手は、決勝に向けて使えるタイヤを残すマネージメントをしていました。斎藤選手は、準決勝の前に末永選手、日比野選手という強敵と戦うため、新品タイヤを使い果たし、中古タイヤで走っていました。いっぽうで、草場選手はマイナス0.5ランクを受け入れてニュータイヤを投入していました。

このように、状況によっては、圧倒的なパワーを持つ川畑選手や斎藤選手にも、ほかの選手がついていける可能性が出てきたのです。

また、決勝は斎藤選手が川畑選手に勝ちましたが、斎藤選手にはもう使えるタイヤが残っていませんでした。もし再戦にもつれこめば、使えるタイヤを残しておいた川畑選手が圧倒的に有利な状況に変わっていたはずなのです。

こんなふうに、タイヤの本数制限が設けられたことで、各チームの戦略が複雑になってきました。そして、斎藤選手、川畑選手といった2強も、思わぬところで足下をすくわれる可能性が出てきたのです。

今季のD1GPはそんなところにも注目して見てみると面白いかもしれませんね。

D1GP第1戦の模様は、『ビデオオプション 266号』(4月26日発売)に収録されます。ニューマシン情報や、今村選手、時田選手など生の声も満載!公式サイトはこちら

D1GPの詳しい情報は、D1公式サイトでどうぞ!

(まめ蔵)

SUPER GTデビューが待ち遠しい!「アキュラ NSX-GT3」公開

4月2日まで開催中のニューヨーク国際自動車ショーにて、ホンダの北米ブランド・アキュラが、来月末から量産に入るスポーツカー新型「アキュラNSX」のレーシングカー「アキュラNSX-GT3」をワールドプレミアしました。

RES_NSX-GT3-3

搭載されるユニットは市販モデルと同じ3.5L V6ツインターボエンジンですが、ハイブリッドシステムは搭載されていません。駆動方式はMRになり、ギアボックスは6速シーケンシャルとなります。

車体は、市販モデルにならってアルミニウムや超高張力鋼板など複数の素材を組み合わせたスペースフレームと、レース用のボディパネル、ロールバーを組み合わせて製作されます。

スタイリングは、公開された映像やオフィシャルフォトを見た感じだとGT3マシンの中では、一番大人しいと感じました。逆に言えば、それだけ市販モデルのNSXがスポーティなスタイリングであるという事だと思います。

RES_NSX-GT3-4

開発は、北米ホンダのレース部門「ホンダ・パフォーマンス・ディベロプメント(HPD)」が主導し、FIA-GT3クラスのホモロゲーションを取得するため、上記の映像の様にテスト走行距離を確実に重ねています。

RES_NSX-GT3-2

アメリカでの開発ですので、レースデビューはまずアメリカ・ルマン・シリーズが可能性としては高いでしょう。

日本でのレースデビューはどうでしょうか?シリーズとしては、SUPER GTでGT300クラスになります。ホンダのモータースポーツ活動、体制が最も整っているのは、当然ながら日本ですので、市販モデルのプロモーションとしても日本のサーキットで走らせたい気持ちは高いと考えています。

あとは、どこのチームが走らせるのかが気になるところです。とはいえ、今年のGT300参戦チームは、マシンを一新したところが多いですね。なかなかこの1年でNSXに乗り換えるというのも資金面やポテンシャルの面でもなかなか考えづらいです。

となると、ホンダがGT300チームを設立する可能性も十分に考えられます。「TEAM無限」の復活…なんてことになったら面白いですね。

今後の情報に目が離せません。

最後にニューヨーク国際自動車ショーでのプレゼンテーションの映像をご覧ください。

(栗原 淳)

20馬力ダウンは軽量化でカバー!STIのNBRチャレンジ、連覇目指しシェイクダウン!

3月22日、スバルテクニカインターナショナル(STI)は、富士スピードウェイで第44回ニュルブルクリンク24時間レースに参戦するSUBARU WRX STI参戦車両のシェイクダウンを行いました。

115

昨年のニュルブルクリンク24時間レースでST3Pクラスのクラス優勝を果たしたSTI。今年は連覇をかけての出場となります。

103

今年はリストリクターを1mm小さく設定されてしまったための対応を詰めていったおかげで、当初2月に行われる予定であったシェイクダウンが3月22日にズレこんだとのこと。

このリストリクターの件はSTIの平川社長曰く「アウディに勝ってしまったので厳しくされた」とのこと。

109

昼ごろに行われた記者会見で辰巳英治総監督は「リストリクターを1mm小さくされたことで20馬力のパワーダウンとなっています。300馬力そこそこのマシンで20馬力ダウンはかなり厳しく、我々以外にも協賛各社、サプライヤーの皆様のご尽力とご協力で軽量化と空力を徹底的に見直し、昨年並みの競争力を持てるようになったという手ごたえを得ました」と語ります。

106 107

ドライバーはカルロ・バンダム、マルセル・ラッセー、ティム・シュリック、そして山内英輝という、辰巳総監督の言うところの「昨年の優勝を勝ち取った信頼を置く4名のドライバー」が採用されています。

111

その山内選手がシェイクダウンを担当。記者会見では「昨年初めてニュルに挑戦しましたが、夜、雨が降っている時にスリックタイヤで走っていたときは生きた心地がしませんでした。でも、それを乗り越えて優勝を飾ることができた時は、人生でいちばん感動しました。ぜひその感動を今年も分かち合いたいと思います」と語っています。

113

個別のインタビューでも「とにかくサプライヤーさんの協力のおかげで参戦できるようになった」と語る辰巳総監督。それだけパワーダウン分の戦闘力確保には苦労があったようです。

104 104_02

特に軽量化と空力面では各部の見直しが0.01グラム以下、0.01ミリ以下の単位で行われ、見た目で大きく変わるのはフロントグリルがふさがれたことで、エンジンルーム内の空気の流れまで厳密に検証しているとのこと。また日中の走行では補助ライトを無くすなど、慣性モーメントを最小限に抑える努力も惜しみません。

なお、補助ライト付のグリルに交換するための時間は、ルーティーンピットワークで充分間に合うとのことです。

101

だからこそ、スタッフが並ぶ記念写真では協力企業、サプライヤー各社のみなさんも一緒に写ります。

102

またレースメカニックには今年も販売ディーラーから6名の方が参加し、NBRチャレンジの経験を各々の販売ディーラーに持ち帰り、お客様に接していくとのことです

122

今年のNBRチャレンジはクラス優勝が目標であることは変わりませんが、それにもまして、予選9分切りという新たな目標を掲げての参戦となります。それだけマシンに大きな自信があるということでしょう。

123

ただひとつ、心残りなのは午後のセッションで単独クラッシュを喫してしまったこと。ドライブした山内選手に大事はありませんでしたが、マシンはかなりダメージを負ってしまったようです。

しかしながらリストリクター制限によるパワーダウンを一丸となって克服したSTIと協力企業のみなさんですから、きっと不死鳥のごとく復活することは間違いないでしょう。

118

2016年5月28日〜29日の決勝では、晴れやかな姿を期待します。

(写真・文:松永和浩)

スバル・レヴォーグがBTCCに参戦!レースカーを公開

イギリスのドニントン・パーク・サーキットにて、BTCC(英国ツーリングカー選手権)2016年シーズンのローンチイベントが開催されました。

BTCC過去最大の32台がエントリーしており、車種もBMW1シリーズ、ホンダ・シビック、フォード・フォーカス、メルセデス・Aクラスなどバラエティーに富んでいます。

そしてこの2016年シーズンから、スバルが「レヴォーグ」をイギリスのレーシングファクトリー・BMRとともにBTCC仕様のレーシングカーに仕上げて参戦します。

Levorg-BTCC2016-4

Levorg-BTCC2016-2

レヴォーグBTCCは、マシンの製作コストを抑えるために改造範囲を制限されています。市販車のシルエットを色強く残しているので、エアロパーツでレプリカができそうです。

Levorg-BTCC2016-3

BTCCでは、

・2.0L直噴ターボエンジン(フライ・バイ・ワイヤスロットル)で350+馬力
・ターボはオーウェン・ディベロプメント製に統一
・XTRAC製6MT+APRacing製カーボンクラッチ
・FFもしくはFR(生産車の方式に依存)
・生産車が4WDに関しては、任意に駆動方式を選び、エンジンの搭載方向は生産車にならう
・ペンスキー製ダンパー搭載のダブルウイッシュボーン・サスペンション
・80LのATL製燃料タンク
・車両重量は1280kg(スバルUKで販売されているレヴォーグ市販車のマイナス274kg)
・タイヤはダンロップのワンメイク(245/65R18)
・ブレーキはAPRacing製
・電装関係はコスワース製に統一

と規定されています。

レヴォーグBTCCは後輪駆動に改造されていますが、直噴ターボエンジンが技術規定にあるのでFA20DITエンジンをベースでほぼ間違いないでしょう。

余談ですが、英国で正規販売されているレヴォーグは1.6L仕様のみのようです。

このレヴォーグBTCCで参戦するチームBMRのドライバーは、ジェーソン・プラト選手、コリン・ターキントン選手、ワーレン・スコット選手、ジェームズ・コール選手の4人となっています。

ローンチイベントではゼッケンが確定していないので、10日後に控えた開幕戦・ブランズハッチに4人全員が参戦するかはまだ不明です。

BTCCにとっても久しぶりのツーリングワゴンの参戦。英国国内外からの注目度は高いです。

残念ながら、日本ではTVで視聴することはできませんが、BTCC公式のYoutubeチャンネルからダイジェストを見ることが可能です。レヴォーグの活躍を見て、可能であれば、現地に行って応援しましょう!

最後にBTCC最終戦ブランズハッチのダイジェスト映像みてBTCCがどんなレースか観てみましょう!

BTCC公式サイト
BTCC-Youtubeチャンネル
Team BMR公式サイト

(栗原 淳)

シビック クーペがラリークロスに参戦!

ダートと舗装路を組み合わせ、さらにジャンピングスポットも設定した、アメリカらしいレース「レッドブル・グローバル・ラリークロス」にホンダが参戦します。

Civic_Coupe_GRC_04

レース車両のベースとして選ばれたのは、シビッククーペ。詳細なメカニズムは未発表ですが、エンジン最高出力は600馬力、0-60mph(約96km/h)加速は1.9秒という市販車とは別物のパフォーマンスを得ているということです。

四輪においてはダート系モータースポーツのイメージはあまりないホンダですが、これまでグローバル・ラリークロスを支えてきたスバル、フォードをはじめ、フォルクスワーゲン、ヒュンダイ、シボレー、シトロエンといったライバルマシンとどのように戦うのか、注目といえそうです。

(山本晋也)

発売求む!新型シビック タイプRにツーリングワゴン!?

昨年後半の発表以来、日本のスポーツカーの話題の中心になっている新型シビックタイプR。750台の枠はあっという間に埋まってしまい、運良くその権利を獲得した方はXデーを首を長くして待っていると思います。

そんな中、シビックタイプRにとって第2の故郷ともいえる英国で、「R」の称号を得た謎のホンダ車がサーキットで目撃されました。

CIVIC Grand Tourer R1

一見、マットブラックの新型シビックタイプRに見えますが……あれあれ?リアがちょっとふくよかな感じです。

CIVIC Grand Tourer R3

左隣りのシビックタイプRと違ってワゴンスタイルですね。この謎のクルマの正体は、シビックタイプRではなく、日本未導入のシビックツアラー(写真下)にシビックタイプRのメカニズムを移植したシビック“ツアラー”タイプRなのです!

RES_60487_2015_Civic (2)

これを作ったのはイギリスツーリングカー選手権(BTCC)でホンダワークスとして活躍しているSynchro Motorsport。Honda YUASA Racingのシビックツアラーのレーシングカーを開発製作した実績があります。

RES_honda-civic-type-r

そんなレーシングチームファクトリーが作った1台ですので、そのクオリティは非常に高く市販化してもおかしくないレベルに仕上がっているようです。

ワゴンカーをベースにレーシングカー・スポーツカーに仕上げるBTCCならではのひとネタでした。今年はスバル・レヴォーグも参戦するので、日本でも注目が集まるモータースポーツカテゴリーになると思います!

Facebook-Synchro Motorsport