Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

ミニバンの中でもVWゴルフ トゥーラン TSI R-Lineの走りが抜きんでている理由

11年ぶりにフルモデルチェンジを行なったフォルクスワーゲン・ゴルフ トゥーランに今年6月に加わったTSI R-Line。ベース車は上級仕様のTSI Highlineで、フォルクスワーゲンR GmbH社によるピリ辛仕上げの内・外装が最大の魅力といえます。

20161006vw-touran_012

美点は見た目だけでなく、硬質なしっかりした走りも見逃せません。初代からトゥーランは「ゴルフのミニバン」という雰囲気が漂っていましたが、2代目の新型トゥーランはさらに走りがブラッシュアップされています。

TSI R-Lineは、専用アルミホイールと組み合わせられる215/55R17タイヤが標準ですが、試乗車にはアダプティブシャーシコントロール「DCC」とセットになる225/45R18サイズのピレリ製Cinturato P7が装着されていました。

20161006vw-touran_013

ベース車のTSI Highline(こちらも215/55R17サイズ)からして硬めの乗り味を示すトゥーランですから、18インチになっているぶんハードな乗り心地になっています。

20161006vw-touran_001

ただし、ボディの剛性感が高いため、大きめの段差を乗り越えても揺れがダラダラと続くことはなく、路面状態が良ければフラットな姿勢が保たれます。

これなら長距離移動でもドライバーが安心してステアリングを握り続けられるでしょう。また、峠道や中央道のように上り下りやコーナーの多い高速道路でも余計な疲れが軽減されるはず。

20161006vw-touran_014

クルマ酔いしやすい子ども2列目に座れば(3列目はより突き上げが大きめ)快適なドライブを楽しめそう。

オプションのアダプティブシャーシコントロール「DCC」は、「スポーツ」にもできますが、乗り心地とハンドリングのバランスからすると「ノーマル」が最も同車に適している印象。「コンフォート」は中・低速が多い街中向きという感じを受けました。

20161006vw-touran_016

150ps/250Nmという動力性能以上に加速フィールが優れているように感じるのは、ターボの恩恵。わずかにターボラグを感じさせますが、中低速域のトルク感があることでほとんど帳消しといえるフィーリングが得られます。

20161006vw-touran_02320161006vw-touran_02120161006vw-touran_019

張りのあるシートは適度なフォールド性、そして快適性を両立している点も見逃せません。こうしたある程度硬さのあるシートもお尻などが座面に沈み込むことなく、長距離移動に向きそう。

20161006vw-touran_032

「ドライバーズミニバン」といえるゴルフ トゥーランR-Lineは、同乗者にも快適で使い勝手も優れています。とくに、日本製ミニバンはどうしても生活臭がしてイヤという人にオススメできます。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

スポーティな内・外装と使い勝手の良さが美点のVWゴルフ トゥーラン「TSI R-Line」

2016年6月にフォルクスワーゲン・ゴルフ トゥーランに追加された「TSI R-Line」。今秋開催されたオールラインナップ試乗会で乗る機会がありましたのでご報告します。

20161006vw-touran_003

フロントグリル「R」のバッヂがスポーティミニバンであることを主張するゴルフ トゥーラン TSI R-Lineは、試乗車が鮮やかな色合いの「ハバネロオレンジメタリック」をまとっていることもあり、数あるフォルクスワーゲン車の中でも存在感は際立っていました。

同モデルは、上級仕様の「TSI Highline」をベースに、フォルクスワーゲンR GmbH社が手がけたスポーティモデル。

なお、フォルクスワーゲンR GmbH社は、日本で販売されているゴルフRをはじめ、世界ラリー選手権で参入初年度に総合優勝という快挙を達成したポロR WRCといったレーシングマシンの企画、開発などを担当するフォルクスワーゲンのインハウスチューニングメーカーです。

20161006vw-touran_006

フォルクスワーゲンR GmbH社が手がけただけあって、内・外装ともにかなりスポーティな仕上がりが印象的。

20161006vw-touran_015

外観は、専用フロントバンパーやサイドスカートのほか、リヤバンパーにクロームパッケージを装備することで、11年ぶりにフルモデルチェンジを受けたトゥーランのスタイリングを際立たせています。

20161006vw-touran_03220161006vw-touran_018

一方の内装も、R-Line専用のファブリックシートやドアシルプレート、アルミ調ペダルクラスターなどでスポーティかつ洗練されたムードに仕立てられています。

20161006vw-touran_034

ミニバン大国日本には数多くの選択肢があります。その中で輸入ミニバンを選ぶということは単に使い勝手だけでなく、走りやスタイルにもこだわりを持ちたいというニーズがあるはず。

20161006vw-touran_022

ゴルフ トゥーランは、両側スライドドアではなく通常のヒンジ式ドアになりますが、それ以外のシートアレンジや3列目の乗降性、最大1857Lという広大な荷室容量など日本製ミニバンに負けない使い勝手が美点。

20161006vw-touran_03020161006vw-touran_031

助手席まで完全にフラットに倒せるシートや、外したトノカバーを荷室床下に収納できるなど、非常に使いやすく実用性の面でも満足できるはず。なお、今回紹介したゴルフ トゥーランTSI R-Lineの価格は397万4000円です。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

輸入ミニバンの定番モデルにスポーティモデルが追加 ─ フォルクワーゲン「ゴルフ・トゥーラン」画像ギャラリー

2016年1月に2代目にスイッチしたフォルクワーゲン・ゴルフ・トゥーラン。初代は2003年(日本は翌年)に登場しました。

00010157_s日本における新車販売の中では確かにニッチかもしれませんが、ゴルフ・トゥーランは、輸入ミニバンの中でトップシェアを誇る人気モデルとなっています。さらに、兄貴分のシャランと合計するとこの2台で輸入ミニバンの半数を占めるという人気ぶり。

vw2016年6月21日から追加された新グレードのゴルフ・トゥーラン「TSI R-Line」は、走りや質感、安全性などはもちろん、スポーティな内・外装にもこだわる人向けのモデル。

価格は397万円と決して安くはありませんが、ベースの上級グレード「TSI Highline」とは異なる雰囲気に満ちています。

00010192_s

ゴルフ・トゥーラン「TSI R-Line」は、フォルクスワーゲンR GmbH社が、同モデルのために企画、開発したエクステリア(フロント&リヤバンパー、サイドスカート)やプラスティックデコラティブパネルなどの「R-Line」専用パーツを内・外装に標準装備。

00010170_s

00010168_s00010188_s

フォルクスワーゲンR GmbH社は、ゴルフRや、世界ラリー選手権で参入初年度に総合優勝という快挙を達成したポロR W RCなどの本格的なレースマシンの企画、開発などを一手に手掛けるフォルクスワーゲンのインハウスチューニングメーカーです。

こちらでもご紹介したように、内・外装に専用アイテムが装備されているほか、新色の「ハバネロオレンジメタリック(有償色)」も用意されています。

(塚田勝弘)

【関連記事】

VWの新型ゴルフ・トゥーランに早くもスポーティな新グレード「TSI R-Line」を追加
http://clicccar.com/?p=380709

VWの新型ゴルフ・トゥーランにスポーティな新グレード「TSI R-Line」を追加

2016年1月から発売されている新型フォルクワーゲン・ゴルフ・トゥーランに、新グレードの「TSI R-Line」が設定されました。

00010193_s

11年ぶりにフルモデルチェンジを受けたゴルフ・トゥーランは、まさにゴルフ・ミニバンといえる質感の高い走りと、先代から乗降性などを中心に使い勝手を進化させた輸入ミニバンの代表的モデル。

「TSI R-Line」は、ゴルフ・トゥーランの上級グレード「TSI Highline」をベースに、新たに「R-Line」専用の内・外装アイテムを追加。

専用フロントバンパーやサイドスカート、リヤバンパーからなる「クロームパッケージ」が採用され、スポーティな外観となっています。

00010170_s

また、内装も「R-Line」専用のファブリックシートやドアシルプレート、アルミ調ペダルクラスターなどを装備することで、スポーティかつ上質で洗練された仕上がり。

また、「R-Line」専用の215/55 R17モビリティタイヤ/6.5JX17アルミホイール(5ダブルスポーク)が足元を引き締めています。

00010158_s00010163_s

安全装備はベース車同様に、プリクラッシュブレーキシステムの「Front Assist(シティエマージェンシーブレーキ機能付)」を装備するなどフォルクワーゲン自慢の最新装備が標準装備されています。

00010189_s00010184_s00010157_s

ボディカラーは、新色の「ハバネロオレンジメタリック」をはじめ、「カリビアンブルーメタリック」、「ピュアホワイト」、「ディープブラックパールエフェクト」、「リフレックスシルバーメタリック」という全5色を用意。価格は397万4000円となっています。

(塚田勝弘)

フォルクワーゲン「ゴルフ・トゥーラン」のライバルは?

全長4535×全幅1830×全高1640mm(1660mm)というボディサイズの新型ゴルフ・トゥーラン。価格帯は284万7000円〜376万9000円で、7人乗りのみとなっています。

20160119VW Touran014

輸入車でライバルを探すと、7人乗りのシトロエン・グランドC4ピカソが全長4600×全幅1825×全高1670mmとサイズが比較的近く、価格帯は353万9000円〜385万6000円。

現行C4ピカソが最新のプラットフォームに変わったため、先代C4ピカソの兄弟車といえるプジョー5008は、フォルクワーゲンが意識したのか分かりませんが、全長4530×全幅1840×全高1645mmと新型トゥーランと非常に近いサイズ。価格帯は330万5000円〜362万1000円となっています。

150930_C4_Picasso140218_5008_02

グランドC4ピカソ、プジョー5008ともにゴルフ・トゥーランよりも高めですが、十分に競合するモデルといえそうです。

BMW

BMW2シリーズのグラン ツアラーもボディサイズは近く、全長4565×全幅1800×全高1645mm。価格帯は1.5Lの直列3気筒ガソリンターボ搭載モデルが358万〜411万円、2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボが379万〜432万円、2.0Lの直列4気筒ガソリンターボ車が424万〜452万円。

価格的に競合するのは1.5Lの直列3気筒ガソリンターボ、2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボのエントリーグレードである「218d グラン ツアラー」あたりでしょうか。

サイズを見ると分かるように、いずれも4.6m未満(グランドC4ピカソは大きめ)と比較的コンパクトな全長ですが、ヨーロッパは全幅に寛容なのか1.8m台を超えるモデルが多くなっています。

日本のミニバンで4.6m未満というとマツダ・プレマシーの4585mm、トヨタ・ウイッシュの4590〜4600mmあたりになってきますが、全幅は1695〜1750mmの範囲に収まっています。

プレマシーはどうやら次期モデル登場の期待は薄い模様で、ウイッシュがどうなるか分かりませんが、5ナンバー系のBOXミニバンに人気が集中しているためか、日本のミドルサイズといえるミニバンは以外に品薄になっています。あるいは、トヨタ・シエンタや次期型が気になるホンダ・フリードなどミニ・ミニバンという選択肢になってくるわけです。

20151210VW TOURAN031

さて、ゴルフ・トゥーランの魅力から見ていくと、まずは走りの良さと18.5km/LというJC08モード燃費の高さが抜きんでています。

最新の安全装備も万全の構えで、レーンキープアシストを中間グレードの「Comfortline」にオプションで追加すれば最新モデルらしい充実ぶりを享受できます。

C4_GRAND_C4_PICASSO_01

シトロエンのグランドC4ピカソは、その大きさの割に1.6Lターボエンジンでも動力性能に不満はなく、インテリアの広々感も広大なフロントスクリーンなど、グラスエリアの広さもあってほかにはない魅力。

個性的なインパネやメーター表示などシトロエンらしい独創的な味わいや、2列目と3列目をフラットに格納すれば最大で2181Lという、かなり広いスペースが出現します。

プジョー5008も広々とした視界、開放感の高いキャビンが魅力で、2列目と3列目、そして助手席もフラットに倒せるなど、7人乗りのスペースユーティリティの高さが魅力。

なお、このクラスのミニバンは、3列目の居住性はやはり緊急用という印象が強いですが、最もきちんとした姿勢で座れるのは最も大きなグランドC4ピカソといえそう。

BMW2シリーズのグラン ツアラーは、FF化されてもBMWらしい走り、とくにハンドリングのよさが印象的で、ディーゼルも設定しているのが強みです。

ただし、サードシートの居住性は、乗降性も含めて最も「厳しい」印象で、完全な非常用と割り切りたいところ。装備では、衝突回避・被害軽減ブレーキに加え、「iDrive ナビゲーション・システム」、LEDヘッドライトなどが標準装備になっているのがポイントです。

居住性で選ぶならグランドC4ピカソ、価格と装備バランスがいいのがゴルフ・トゥーランで、走りやスタイリング、そして1800mmというこのクラスでは抑えられた全幅のBMW2シリーズ・グラン ツアラーも大きな強みがありそう。

20151210VW TOURAN049

なお、ここで紹介している輸入ミニバンはスライド式ではなくヒンジ式ドアになっていますので、駐車場が狭かったり、小さな子どもがいたりする場合は注意が必要でしょう。

(塚田勝弘)

【関連記事】

■新型ゴルフ・トゥーランの使い勝手はどうか?
http://clicccar.com/?p=360598

■VW「ゴルフ」らしい走りはトゥーランの大きな強みでミニバン向き!
http://clicccar.com/?p=360587

■フルモデルチェンジを受けた新型フォルクワーゲン・ゴルフトゥーランの魅力とは?
http://clicccar.com/?p=360449

フルモデルチェンジした新型ゴルフ・トゥーランの魅力とは?

2代目に移行したフォルクワーゲン「ゴルフ・トゥーラン」。日本では「ゴルフ」の名が冠されていますが、それ以外の国では単に「トゥーラン」となっています。

vw_golf_touran_01

それだけ日本ではフォルクワーゲン・ゴルフの名が通っている証なのでしょうが、外観を見ると一見フルモデルチェンジしたの? というほど同じテイストに見えるのは、ゴルフ・トゥーランに限らずフォルクワーゲン、アウディ、ポルシェなどでは「それほど」珍しいことではないのかもしれません。

もちろん2代目ゴルフ・トゥーランはフルモデルチェンジを受けた新型で、最新の生産方式であり、モジュラープラットフォームの「MQB」を採用。先代よりも全長は130mm延び、全幅も35mm拡幅されています。全高は0-30mmと変わらないか低くなっていて、ホイールベースも110mm延長されています。

20160119VW Touran011

エンジンは1.4Lの直列4気筒DOHCターボ(1.4L TSI)で、ボディサイズの拡大にも関わらず車両重量を20kg減らし、燃費は15.0km/Lから18.5km/Lに向上したのもトピックス。

一見、フルモデルチェンジしたのか分からないほど印象が同じと紹介しましたが、もちろん新旧2台を隣に並べると差は歴然で、いわゆるキープコンセプトといえる見た目の進化となっています。

vw_golf_touran_02

同じキープコンセプトといえるフルモデルチェンジを果たしたパサートが新型になってキリリとした外観(とくに顔つき)になったのと同じ印象で、とくにLEDターンシグナル付のLEDヘッドライトとなる「TSI ハイライン」は、より精悍なフロントマスクになっています。

20160119VW Touran026

インテリアでは、ボディサイズの拡大によりとくに2列目の居住性が向上。2列目の前後スライドが40mm拡大し、より足元を広く設定(スライド位置)することが可能になっているほか、3列目のレッグスペースも54mm拡大。それでも3列目は非常用の域は出ていませんが、先代よりも若干広く感じます。

20160119VW Touran02220160119VW Touran02120160119VW Touran025vw_golf_touran_03

また、2列目と3列目シートの脱着はできなくなりましたが、頻繁に取り外しする人は少ないはずで、それよりも2列目にイージーエントリー機構が備わり3列目の乗降性が改善された点や、3列目から助手席まで運転席をのぞいてフラットに倒せるシートなどにより高い積載性を得ていることの方が「現実的」で朗報といえそうです。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久)