Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

現在の「BC戦争」はいかに?プレミオ/アリオンと日産・シルフィを比べてみると…

1960年代を中心に「BC戦争」というB(日産ブルーバード)、C(トヨタ・コロナ)の激しい販売競争がありました。

1972年生まれの私にとっては、かつてそんなことがあったのか、という逸話のひとつでしかありませんが、セダン全盛期の「隣のクルマが小さく見えます」という日産サニーのコピー(対トヨタ・カローラ)とともに記憶に残るキーワードのひとつ。

20160701Toyota Premio vs Nissan006

トヨタ・プレミオ/アリオンは5ナンバーサイズ枠にこだわっていて、一方の日産シルフィは、2000年に初代ブルーバード・シルフィとしてブルーバードの名を冠していました。現在の3代目は2012年に登場し、シルフィという車名になっています。

現行シルフィが3ナンバー枠に拡大されたため、サイズの比較では若干異なるものの、実際の販売現場では互いに意識しあう関係ではないでしょうか。

プレミオは全長4595×全幅1695×全高1475mm(FF)、ホイールベースは2700mmで、最小回転半径は5.3m。

20160701Toyota Premio vs Nissan008 20160701Toyota Premio vs Nissan009

ライバルのシルフィは、全長4675×全幅1760×全高1495mm(Sツーリング)で、ホイールベースはこちらも2700mm。最小回転半径は5.2m。

ただし、シルフィ・Sツーリングの全長は、エアロパーツ装着により長くなっていて、ほかのグレードは全長4615mmとプレミオ/アリオンよりも20mm長いだけ。

両モデルを並べると、ワイドかつ伸びやかなシルフィの存在感が上回っているように見えます。しかし、プレミオ/アリオンはマイナーチェンジにより5ナンバー枠という限られたサイズの中で最大限、質感の向上が果たされているだけあって、高級感というキーワードでは明らかに上回っている印象を受けます。

内装も質感ではプレミオ/アリオンが一歩リード。ただし、シルフィがSツーリングというスポーティなグレードであったこともあり、シンプルな仕上がりで、こちらの方が好みという方もいそう。

20160701Toyota Premio vs Nissan016 (1) 20160701Toyota Premio vs Nissan017

走りでは、1.8L+CVTのみのシルフィに対して、プレミオ/アリオンは1.5L、1.8L、2.0Lと3種類のガソリンエンジンを用意しているのが強みでしょう。

試乗したのは2.0L(2.0G EXパッケージ)で、152ps/193Nmというスペック。動力性能は街中はもちろん、高速道路でも不足はないはずで、乗り心地の良さや素直なハンドリング性能が印象的です。プラットフォームが初代プリウスをベースとしたものと考えると上出来。

20160701Toyota Premio vs Nissan045

一方のシルフィも、ロードノイズがやや高い点を除けば走りは悪くありません。とくに高速域の直進安定性の高さが光ります。また、131ps/174Nmという1.8Lエンジンは、高速道路で流れをリードすることもできるなど必要十分といえる動力性能を確保しています。

20160701Toyota Premio vs Nissan05420160701Toyota Premio vs Nissan06120160701Toyota Premio vs Nissan023 20160701Toyota Premio vs Nissan031

商品力では今夏マイナーチェンジを受けたばかりで、「Toyota Safety Sense C」を標準化したプレミオ/アリオンに軍配が上がりそうですが、居住性や積載性を重視するなら荷室容量510Lを確保するシルフィが適任かもしれません(プレミオ/アリオンは491L)。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

新型プレミオ/アリオンの木目調インテリアはまさにトヨタのお家芸

マイナーチェンジを受けたトヨタ・プレミオのフロントドアを開けると、目に飛び込んでくるのはセンターコンソールやドアスイッチパネルなど多用されている木目調パネル。

20160701Toyota Premio vs Nissan016

長年、高級車の質感向上の切り札として使われてきた木目調パネルは、高級コンパクトセダンのプレミオ/アリオンにも息づいています。

しかも「ライトブラウン」の明るい色調で、最近のクルマでは見かけなくなったトラディショナルなムードが漂います。

ほかにも、ステアリングホイールのリム上部やシフトノブ、助手席グローブボックスにもアクセントとして木目調を使っているほか、シートやフロントアームレストなどにダブルステッチを施すことで高い質感を演出。

今夏のマイナーチェンジでは、インパネをセンタークラスターからシフトレバーまでのコンソールまわりを変更し、一体感とシャープな印象をもたらしています。

20160701Toyota Premio vs Nissan020

さらに、メーターも一新され、4.2インチカラーTFT液晶の採用により多彩な情報が表示されるようになったほか、照明色、メーターの針を白に統一することにより高級感を付与。

20160701Toyota Premio vs Nissan02220160701Toyota Premio vs Nissan019

シートでは本革仕様にブラウンを採用することで上質感を強調し、ファブリック使用にはアイボリーから明るいフラクセンに変更。ブラック内装とのコーディネイトによりメリハリのある内装にイメチェンしています。

装備面では、待望の「Toyota Safety Sense C」を標準化しているのが最大のトピックス。

20160701Toyota Premio vs Nissan042

「Toyota Safety Sense C」は、レーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせることで衝突回避・被害軽減ブレーキやレーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームをパッケージ化した先進安全装備。

ほかにもインテリジェントクリアランスソナーや緊急ブレーキシグナル、シフト操作時の急発進・急加速を抑制し被害の軽減をサポートするドライブスタートコントロールが全車に標準装備されています。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

【関連記事】

若々しくなったトヨタ・プレミオ/アリオンのエクステリア
http://clicccar.com/?p=392492

若々しくなったトヨタ・プレミオ/アリオンのエクステリア

1957年にトヨペット・コロナとして登場した現行モデルのトヨタ・プレミオ/アリオンは、50周年を迎えたカローラよりも長い歴史をもつセダンです。

20160701Toyota Premio vs Nissan008

その後、コロナ/カリーナという兄弟車関係になり、現在のプレミオ/アリオンにも引き継がれています。カローラよりも上級志向であり、日本ならではの駐車場事情や道路環境に合わせて5ナンバー枠にこだわっているのが特徴。

かつてはセダンこそがファミリーカーの王道という時代もありましたが、いまやミニバンやSUV、ハッチバックなど多様な形態に変わっています。オーナーの年齢層はやはり高めで、60代後半から70代が中心だそう。

こうした保守的なセダンであっても、現在のシニア層は若々しい人が多いですから、内・外装の質感アップだけでなく、ダイナミックな顔つきなど、言葉は悪いですが「爺くさい」クルマでは振り向いてもらえません。

トヨタではSAIがアグレッシブな顔つきになってから存在感を増していて、SAIほどではないにしても、コンパクトなセダンであるプレミオ/アリオンもテコ入れが欲しいところでした。

20160701Toyota Premio vs Nissan007

外観の変更点まさに高級感、スポーティなイメージを高めることで、写真のプレミオは横バーを組み合わせたデザインにメッキを施したグリルになり、アリオンは細かいブロックメッシュが印象的なフロントグリルになっています。

20160701Toyota Premio vs Nissan013

プレミオのリヤビューでは、「C」字型のグラフィックが与えられたリヤコンビネーションが新しさを感じさせる点が特徴で、アリオンは6眼のストップランプを採用することでスマートかつハイクオリティな印象。

20160701Toyota Premio vs Nissan03720160701Toyota Premio vs Nissan040

ボディカラーでは、新色として「ブラッキッシュアゲハガラスフレーク(メーカーオプション)」を含む5色を加えた全8色を用意。なお、価格はプレミオが190万8655円〜271万1782円。アリオンは189万7855円〜267万5455円です。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

若返ったオヤジ系セダン!? ─ トヨタ「プレミオ/アリオン」画像ギャラリー

オヤジ系セダンといったら怒られそうなほどスポーティなフロントマスクに生まれ変わったトヨタ・プレミオ(トヨペット店)/アリオン(トヨタ店)。そうはいっても実際の購入層は高めなはず。

prem1606_10_s

最近行われたトヨタ車のマイナーチェンジで、SAIはかなりアグレッシブに、カムリも若々しい印象に生まれ変わっています。このことから、年齢層高めのオーナーが多いセダンとはいえ、コンサバな内・外装では売れない時代になったというが窺えます。

迫力が増したフロントマスクはもちろん、リヤコンビネーションランプは、プレミオには「C」の字グラフィックが与えられているほか、深みのあるレンズ色により上品で落ち着いたイメージが表現されています。

alon1606_01_s

一方のアリオンは、奥行き感のある造形と6眼のストップランプにより、スマートで高級感のあるイメージを演出。

alon1606_02_s alon1606_08_s

内装は、大人の上質な雰囲気という印象ですが、インテリアカラーは、本革シートにブラウンを採用することで上質で落ち着いた印象になっています。

また、ファブリックシート仕様は、アイボリーから明るいフラクセンに変更され、ブラックに統一した室内とのコントラストで、メリハリのあるモダンなテイストになっています。

prem1606_12_s

ボディカラーは「ブラッキッシュアゲハフレーク」を含む5色の新色が採用され、全8色を設定。

さらに、標準モデルのほかに、ウェルキャブも用意されていて、プレミオの助手席回転スライドシート車「Aタイプ」は219万6327円〜255万2727円、助手席回転スライドシート車「Bタイプ」は213万2000円〜246万2000円。

アリオンの助手席回転スライドシート車「Aタイプ」は218万5527円〜253万3091円、助手席回転スライドシート車「Bタイプ」が212万2000円〜244万4000円となっています。

(塚田勝弘)

【関連記事】

トヨタ・プレミオ/アリオンがマイナーチェンジ! ペダルの踏み間違い事故などを低減する安全装備を標準化
http://clicccar.com/?p=378471

トヨタ・プレミオ/アリオンがマイナーチェンジ。ペダルの踏み間違い事故などを低減する安全装備を標準化

国産ミドルサイズセダンがファミリーカーの定番だったのは、一昔も前の話。

自販連による販売ランキングを見てみると、フィールダーを含むトヨタ・カローラが10以内の常連になっているのみで、他のモデルはほとんど壊滅状態。カローラに続くのが高級車の象徴のクラウンという状況です。

prem1606_05_s

インプレッサやアクセラ(時々)なども30位以内にランクインしていますが、セダンだけだとランク外になると思われますし、一番売れているカローラもフィールダーと商用ニーズを除くと10位以内に入るか分かりません。

さて、6月13日にマイナーチェンジを受けたプレミオ/アリオンは、国産ミドルサイズセダンを代表する一台で、1.5L、1.8L、2.0Lガソリンを設定。

国内での販促ポイントとなるハイブリッドが設定されていないのは泣き所かもしれませんが、200万円を切るエントリーモデルから250万円超の最上級モデルまで、きめ細かくグレードが設定されています。

alon1606_05_s

外観は、コンサバなイメージを一新するほどアグレッシブな顔つきに変化。押し出し感のあるフロントグリルや、精悍さを増したシャープなヘッドランプなどを採用。

さらに、プレミオのフロントグリルは、横バーを組み合わせたデザインにメッキをあしらうことで重厚感を演出し、アリオンは細かいブロックメッシュグリルとなっています。

prem1606_01_salon1606_01_s

ハイブリッド車のSAIもマイナーチェンジで精悍な顔つきになり、台数回復に寄与していますから、プレミオ/アリオンがどうなるか興味深いところ。

prem1606_02_sprem1606_03_s

インパネは、センタークラスターからシフトレバーまわりの形状が変更され、一体感のある洗練されたデザインに変更されているほか、インテリアの質感の印象を左右するメーターを一新し、4.2インチカラーTFT液晶を採用。

prem1606_13_s

また、照明色やメーター指針を白に統一することにより高級感を演出し、視認性も向上したとしています。

prem1606_14_s

さらに、予防安全パッケージの「Toyota Safety Sense C」をはじめ、駐車時などの衝突回避や衝突被害軽減に寄与する「インテリジェントクリアランスソナー」を標準装備。ほかにもドライブスタートコントロール、緊急ブレーキシグナルを標準化するなど、走行時や駐車時での衝突回避あるいは衝突被害の軽減をサポートするという安全性の強化も朗報。

年配の方のニーズが高いと思われるプレミオ/アリオンだけに、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故低減などが期待できます。

なお、価格帯はプレミオが190万8655円〜271万1782円。アリオンが189万7855円〜267万5455円となっています。

(塚田勝弘)