Motor Fan's YEAR 2016

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自動車大手4グループ、欧州でEVの超高速高出力充電ネットワークを設置する合弁事業を計画

ポルシェおよびアウディを含むフォルクスワーゲン(VW)グループ、BMWグループ、ダイムラーAG、フォード・モーター・カンパニーの自動車大手4グループは、欧州の主要幹線道路に超高速高出力充電設備を設置する合弁事業を計画していると発表しました。

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この計画の骨子は次の5点です。

1.欧州の長距離走行道路を対象にバッテリー式電動輸送機器(BEV)向けに高出力DC充電ネットワークを展開。

2.高出力DC充電設備は、現在の充電システムより大電力の350kWの出力レベルを持ち、充電時間を大幅に短縮。

3.欧州全域で約400ヶ所の超高速充電施設を構築。

4.最新および次世代BEVに完全に対応するコネクターを使用したコンバインド・チャージング・システム(CCS)に基づくネットワーク。

5.先例のない自動車大手4グループの提携で、ブランドから独立した充電インフラ・ネットワークを新設。

前出の欧州の自動車大手4グループは、欧州において最高出力の充電ネットワークを新設する覚書に署名して、この計画がスタートしました。この計画はマスマーケットでのBEVの普及を促進する重要なステップとなります。

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計画されている出力レベル350kWの超高速高出力充電のネットワークは、現在ある最も短時間で充電できる充電システムの充電速度を大幅に上回ります。充電ステーションのフルパワーに対応するBEVは、現在のBEVに比べて大幅に短い時間で車両のブランドに関係なく充電できるようになります。

このネットワークの構築は2017年に開始され、欧州全域で約400ヶ所の設置が初期目標の計画です。さらに、2020年までに数千ヶ所の高出力充電ステーションをユーザーが利用できるようになる見込みです。

計画されている充電インフラのネットワークは、コンバインド・チャージング・システム(CCS)標準テクノロジーに準拠し、電気自動車(EV)向けの既存の標準充電技術を、次の段階の350kWによるDC急速充電に更新することを後押しすることになります。

計画では幹線道路や主要道路沿いにオープンネットワークのスタイルで充電ステーションを設置する予定で、これまであきらめていたBEVの長距離走行を可能にすることを目標としています。

充電作業がガソリンスタンドの給油と同じくらい簡単なものに進化することに期待が寄せられており、今後、350kW DC急速充電に対応したBEVが、どのように普及するかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:ポルシェ)

ヴァレオの自動運転車「Cruise4U」がヨーロッパ一周13000キロの公道実証走行へ出発

欧州の自動車部品大手・ヴァレオは、同社の自動運転車「ヴァレオ Cruise4U(クルーズ4U)」が10月26日にヨーロッパ一周の公道実証走行へ出発したと発表しました。

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ヴァレオ Cruise4Uは、一年前のフラン ス一周、今夏の米国一周、一カ月前のパリ環状道路 24 時間走行に続いて、5 週間かけて欧州の主要地を巡る13000キロの公道を自動運転で実証走行することになります。

今回の自動運転による公道実証走行は、まず英国からスタート。エジンバラからプリマスまで走行した後、大陸に渡り、ドイツでベルリン、カールスルーエ、ミュンヘンなどの都市を走行して、オランダのアムステルダムで U ターン。チェコ・プラハまで走行した後、フランスとスペインを走行し、 セビリアからパリに戻るというコースを巡ります。

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ヴァレオ Cruise4Uがどのような自動運転システムを備えているかは発表されていませんが、今回ヨーロッパ一周・6カ国を自動運転モードで走行することで、ドライバーの代わりに運転操作を担うヴァレオが開発したソフトウェアを実際の道路状況の中でテストする絶好の機会が得られるとしています。

(山内 博・画像:ヴァレオ)

トヨタ、ポーランドでハイブリッド用部品の現地生産を開始。EUでのハイブリッド車の生産体制を強化

トヨタは、欧州のトランスミッションおよびエンジン生産拠点であるポーランドのトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ポーランド(Toyota Motor Manufacturing Poland Sp.zo.o:TMMP)で、2018年からハイブリッド用トランスアクスルの生産を開始すると発表しました。

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ハイブリッド用トランスアクスルは駆動系最重要部品で、トヨタが欧州で生産しているハイブリッド車には、日本で生産したハイブリッド用トランスアクスルを輸出していますが、2018年からはTMMPでの生産に移管することになります。

当面TMMPでは、欧州で販売するオーリス・ハイブリッドとオーリス・ツーリング・スポーツ・ハイブリッドに搭載するトランスアクスルを生産しますが、今年末には欧州で販売開始される新型クロスオーバー「C-HR」のハイブリッド車にも、TMMP製トランスアクスルが搭載される予定。

2015年8月にハイブリッド車世界累計販売が800万台に達し、1000万台超えも目前になっており、今回のTMMPでのハイブリッド用トランスアクスル生産開始で、ハイブリッド車の普及、世界標準化への体制を強化する構えです。

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TMMPは2003年に開所以来、トヨタの駆動系部品のマザー工場である衣浦工場からの技術移転を受けて生産技術を磨いてきました。TMMPのあるポーランドは欧州の中央に位置し、欧州全域へ製品を供給するのに有利なポジションにあります。

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一方、欧州のエコカー市場では、最大手のVWがディーゼル不正問題で電気自動車(EV)へエコカーの軸足を移行させざるを得ない状況で、ハイブリッド車が弱いといわれている欧州エコカー市場の今後の動向が注目されます。

(山内 博・画像:トヨタ)