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ボルボ60シリーズに「Drive-E」戦略の新エンジンを搭載

「Drive-E」と呼ばれる自社製のパワートレーン戦略により、エンジンのラインナップを徐々に刷新しているボルボ。

フォード傘下から離れたことで、こうした戦略を掲げる必要があったのでしょうが、4気筒以下、2.0L以下、電動化も見据えたもの。

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ガソリンとディーゼルも共通の基本構造で「25%は共通部品、25%は異なる部品、50%は類似部品」となっているそうです。ガソリンエンジンはT3、T4、T5、ディーゼルエンジンはD4が導入されているほか、最上級SUVのXC90にはT5、T6、T8が導入されています。

さらに、セダンのS60、ステーションワゴンのV60、SUVのXC60にこの「Drive-E」戦略により開発された新エンジンが搭載されました。

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ボルボの60シリーズは、日本の販売比率(2015年)のうち約36%を占めるという主力シリーズで、上級グレードに2.0Lの直噴エンジンである直列4気筒スーパーチャージャー+ターボの「T6」を設定。

さらに、XC60をのぞくS60、V60に1.5Lで直列4気筒ターボの「T3」を搭載した「T3 SE」グレードを追加しています。

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ボルボらしく安全装備は充実しており、ミリ波レーダー、カメラ、赤外線センサーからなるシステム、歩行者・サイクリスト検知機能付追突回避・軽減フルオートブレーキシステムやACC(アダプティブクルーズコントロール)など、10種類の先進安全装備からなる「IntelliSafe(インテリセーフ)」も全車に標準装備。

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価格帯は、S60が434万円(T3 SE)〜614万円(T6 AWD R-DESIGN)、V60が454万円(T3 SE)〜634万円(T6 AWD R-DESIGN)、XC60が539万円(D4)〜719万円(T6 R-DESIGN)となっています。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

新型ボルボXC90は2.0Lの直列4気筒ターボでも「走る」のか?

新型ボルボXC90のボディサイズは、全長4950×全幅1930×全高1775mm。

日本ではフルサイズSUVといえる堂々たる体躯ですが、先代XC90にあった2.5Lの直列5気筒ターボや3.0Lの直列6気筒ターボ、3.2Lの直列6気筒ターボ、あるいはヤマハ製の4.4L V8エンジンなどからすると、時代の流れとはいえ大胆なダウンサイジングぶりに「走るの?」という疑問が浮かぶのも不思議ではないでしょう。

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「排気量信仰」から抜け出ていないのでは? と言われそうですが、新型XC90のサイズを目にするとやはり最も気になるところ。

エンジンラインナップで「T5」と呼ばれる「B4204T23」型は、2.0Lの直列4気筒DOHC16バルブターボ。

254ps/5500rpm、350Nm/1500-4800rpmというスペックで、8ATとの組み合わせ。もちろん、アイドリングストップも備わりJC08モード燃費は12.8km/L。駆動方式は4WDのみとなっています。

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本来は最もベーシックなこちらに乗りたかったのですが、試乗車は「B4024T27」というエンジン型式となる2.0L直列4気筒16バルブターボ+スーパーチャージャーのダブル過給器により、320ps/5700rpm、400Nm/2200-5400rpmというアウトプットを得ている「T6」。

こちらも8ATとの組み合わせで、アイドリングストップ付、カタログ燃費は11.7km/Lとなっています。

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最大トルクが発揮されるのは「T5」の1500rpmよりも高い2200rpmからですが、出だしから力強く、8ATのスムーズな変速もあってストップ&ゴーもスマートにこなしてくれます。

高速道路に合流する際などの加速フィールもなかなか力強く、巡航速度に乗ってから追い越しをかける際もまったく力不足を抱かせないのには驚かされました。

「いや、最近のダウンサイジングターボはこれくらいやるよ」なんて思う一方で、車両重量は「XC90 T6 AWD Inscription」で2080kgと2t超えしているわけですから、やはりよく走るといえます。

ボディ自体の重さやサイズ感はありますが、大型SUVにありがちな鼻先の重さも感じさせず、見た目よりも意外なほどの軽快感さえ漂わせます。

先代XC90よりも全長が140mm延びていますが、車両重量は最大125kg減らした効果もあるのでしょうが、「Drive-E」と呼ぶ100%自社開発のエンジン、そしてDレンジのままだと何速で走っているのか分からないほど非常にスムーズなアイシンAW製の8ATという組み合わせのパワートレーンはXC90の魅力といえそう。

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室内の静粛性の高さも印象的ですが、試乗車のエアサスペンション装着車は、とくに市街地を流す程度の速度域だと意外にも硬めに感じさせるシーンもありました。

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とくに、荒れた路面の凹凸を乗り越える際は、ドライブモードを「Comfort」にしてやや大きめの振動と音が感じられます。それでも高速道路までを含めた幅広い車速域では、先代XC90と比べても音・振動面の対策は念入りにされている印象です。

(文/塚田勝弘 写真/佐藤靖彦)

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